第22回基礎問題小委員会 議事録
平成16年10月12日開催
〇委員
時間になりました。基礎問題小委員会、開催いたしたいと思います。
今日は消費課税、中身は消費税と酒税と環境税と三つの税をこれから順次取り上げて議論を行いたいと思います。
それでは、さっそく消費税のほうから、税制第二課長、それから税務局の都道府県税課長、お二人からご説明いただきます。三つとも区切って議論したいと思っています。最初は消費税にいきましょう。では、税制第二課長、お願いいたします。
〇事務局
それでは、私のほうから「基礎小22-1」という消費税関係資料に沿いましてご説明をしたいと思います。大変分厚い資料を用意させていただいておりまして、事柄の重要性を語っていると思っておりますが、今後、税制改革の中で消費税の議論が本格化していくわけでございますので、今までのいわば歴史といいますか、来し方行く末ということを確認していただくという意味もありまして、答申などをもう一度確認的な意味、あるいは原点に帰るということで用意させていただきましたので、やや中身を飛ばしながら、端折りながら参りますけれども、その点あらかじめご容赦いただきたいと思います。
それでは、まず最初のページを開けていただきたいと思います。まず「消費税の現状」というところからご説明をいたします。1ページ目でございます。消費税は平成元年に導入されまして、16年ということで、元服を迎えておるということでございますが、税収規模で申しますと、9兆6,000億円ということで、これは国の分4%相当額ということでございまして、地方消費税1%を加えますと、12兆円という規模になっておるわけでございます。ここでは4%相当分9兆6,000億円、一般会計分を記載させていただいておりますが、これが一般会計に占める割合が22.9%ということでございます。この規模は現在の段階では法人税収に匹敵する規模ということでございます。
それから、この推移をご覧いただきますと、安定的な推移というようなことでございまして、16年たちまして、当委員会の言葉で申し上げますと基幹税という言葉がありますが、それに向かっての成長をしつつあるということかと思います。
次、1枚飛ばしていただきまして3ページでございます。消費税の負担のレベルを見ていただくということでございます。この数字は国民負担率ということで、見慣れた表でございますけれども、日本のところ、国民負担率は35.5%ということで、現世代の負担のサイズを表しているわけですが、その中での租税負担率は21.1%、消費課税に当たるものが7%どまりということでございまして、他の国と比較いたしまして、小さな規模であるということでございます。
その消費税の内訳をご覧いただくということで、次の4ページでございますが、これは消費税の中も、いわゆる一般的な消費税と個別間接税、こういうものの組み合わせになっておるわけでございまして、日本の場合には国民所得に占める消費課税ということでは、7%のうち個別間接税によりますものが3.7%、消費税によりますものが3.3%ということになっております。
参考でGDPに対する比率というものを示してございまして、分母の取り方の違いによりますが、2.4%という数字になっておるわけでございます。直接税中心のアメリカを除きまして、他の国との比較でいきますと、概ね3分の1から4分の1の水準ということになるわけでございます。
ちなみに、スウェーデンは13%となってございますが、日本の3.9倍という負担の割合でございます。標準税率が日本の場合は5%、スウェーデンが25%、標準税率で見ますと5倍の規模でございますが、負担率でいきますと3.9倍ということでございます。日本の場合には課税ベースが広くて単一税率であるというようなことから、どちらかというと、規模に対しまして低い税率で済んでいる面もあるかと思われるわけであります。
続きまして5ページでございます。消費税のご議論をいただく場合のいわば前提といたしまして、極めてプリミティブな話ではございますけれども、仕組みをもう一度確認させていただければということで用意をしたポンチ絵でございます。ここの上の段、物の流れ、川上から川下の流れで書いてございます。実際にはいろいろな業者は様々なところから仕入れてまいりまして、様々なところに売り上げていくという流れでございますが、この図はそういう意味では直線的に書いていまして、単純化しておるということでございます。ご案内のとおり、この消費税は、原則としてすべての財・サービスの国内販売等々にかかるものだということで、取引の全段階において事業者を納税義務者として課税されていくという多段階課税だということはご案内のとおりでございまして、事業者が消費税を支える重要なプレイヤーであるということは、言うまでもないところでございます。
その納めるべき納付額を計算する際には、売上に関します税額から仕入れに含まれます税額を引くということで、いわゆる税の累積を排除するという仕組みになっておるということ、それから、納付税額というものはいわばコストとして価格の形で次の段階に転嫁されていって、最終消費者が負担をするというふうになっています。当たり前の我々の概念でございますが、これを図示したものでございまして、もう一度確認的に申し上げますが、卸売段階の業者をご覧いただきますと、この業者は仕入れで5万2,500円というものの仕入れをいたします。税抜きで5万円。仕入れにかかる税額が2,500円ということで、それまでの段階で納付されている税額がここに転嫁されてきている形でございます。この5万円に対しまして利益を乗せまして、7万というものが税抜き価格で出るということでございまして、これに対する消費税が3,500円ということでございます。納付税額は前段階の仕入税額控除ということでございますので、この2,500円を引きまして、3,500円引く2,500円で1,000円というものが納付されるということでございます。結果的には利益2万円にかかる5%。付加価値相当に対する5%課税という形になっておるという姿でございます。この3,500円という消費税は、次の段階へ7万3,500円という形で売られていくということで、転嫁されていくわけでございます。こういう仕組みになっておるということです。
ここで重要なポイントは、事業者が納税義務者になりながら、前段階の仕入税額控除というものがとられているということがこの仕組みの基本でございまして、取引が複雑になればなるほど、この仕組みに関する事務負担等々もかかってくるということをご確認賜ればということでございます。
続きまして、ちょっと飛ばしまして、7ページ以後は歴史を振り返させていただきたいと思います。温故知新というわけではありませんけれども、消費税の位置づけをもう一度確認したいという趣旨でございまして、7ページの表でございます。平成元年に消費税が導入されましてから16年目になるわけでございますけれども、その導入に至りますまでの紆余曲折というのはご案内のとおりでございまして、この表の左側、昭和53年の一般消費税(仮称)から始まりまして、それが撤回され、いわゆる第二次臨調路線に入ったあと、売上税という形で、シャウプ税制以来の税制改革ということが行われ、その中の大きな柱として売上税法案というものが国会に提出されていく。ここでは、高度成長を経ました日本経済構造が大きく変化をした、そういうものに対応したいという税制改革がここで試みられたわけでございます。売上税法案そのものは審議未了で廃案ということですが、トライをして、63年に消費税という形で日の目を見たということでございます。
その後は、傍線を引いています平成3年の10月、あるいは平成6年の11月、これは施行されましたのが3年後の平成9年でございます。それから平成11年、それからあるべき税制に関連した平成15年の改正で施行が平成16年というふうな、大まかに見まして4回ぐらい大きな改正が行われてきましたけれども、基本的には、これから見ますように、消費税をいわばブラッシュアップしていく歴史であったかと思われます。
それから、平成元年及び平成6年のあたりに、税制改正及びそれに伴います消費税の見直しを行っているわけですが、その当時の様々な背景・事情といいますものと、平成15年以降、あるべき税制改革を行いますこの消費税の見直しというもの、これを行いました背景・事情というものは、小委員会で6月に出していただきました「実像」なども踏まえますと、かなりバックグラウンドが異なっているということも含めてご説明をしたいと思います。
8ページでございます。消費税のブラッシュアップの歴史と申し上げましたが、簡単にもう一度確認をしていただきたいということでございます。税率3%で導入されまして、平成6年の時に4%プラス地方消費税を合わせましての5%としたということでございます。
それから、[2][3][4]、これは中小企業に対するいわゆる中小特例ということでございまして、事務負担に配慮した制度として導入されたものでございますが、いわゆる益税批判ということもございまして、それに対する改革が着実になされてきたということでございまして、例えば免税点につきましては、その適用上限が3,000万円というところから、前回の15年の改正におきまして1,000万円になるとか、簡易課税についても同等の改正がなされ、限界控除制度につきましては、6年に廃止をするという形での改革がなされてきておるということでございます。仕入税額控除に関しましても、仕入税額控除を行いますための要件としまして、いわゆる帳簿保存ということの帳簿方式から、それをさらに充実する形での請求書等保存方式にするといったような改革もなされて、今日に至っておるということでございます。申告納付につきましても、消費税の預かり金的な性格ということで、いわゆる運用益問題の対応ということで、申告回数を増やしていくということで、ここでご覧いただくような改正を前回の改正の中で行ってきたということでございます。価格表示につきましては、ご案内のとおり、総額表示を15年度に義務づけたということも行われているわけでございます。
このようなブラッシュアップの歴史ではございますけれども、それぞれの回の税制改革のバックグラウンドをもう少しトレースをして、我々が直面しております状況と対比をしてみたいと思います。9ページ以下が消費税導入当時の状況でございます。以下、税調答申を引っ張ってございます。アンダーラインのところを目で追っていただきながら、ポイントだけ、端折りながらですがご指摘をしていきたいと思います。
創設当時の問題意識というものがこのアンダーラインに三つに分けて書かれております。一つは所得課税にウエイトが偏っておったということが指摘されておりまして、所得水準の上昇とか平準化という流れの中で問題視されておったということが一つ。
それから、下から二つ目のパラグラフでございますが、「本格的な少子・高齢化社会の到来を前に、勤労世代に偏らずより多くの人々が社会を支えていけるような税制を構築……」というようなコンセプト。
それから、次の下のパラグラフでございますが、「当時のわが国の消費課税は」としまして、「物品間での課税のアンバランスが生じ、また、サービスに対する課税が行われておらず、消費の多様化やサービス化といった変化に対応しきれていませんでした」というようなことでございまして、主として俗に言う直間比率の是正というような形での話、あるいは個別間接税の問題を解消していくということを前提としまして税制改革が組まれ、消費税が導入されたということでございます。税制の構造改革というような、税の体系論が議論になったということでございます。
その点を確認していただくということで、11ページでございますが、参考のところ、「昭和63年の税制改革の骨格」というものがございます。詳細は避けますけれども、差引純減額2兆6,000億円ネット減税であったということで、そういう姿が象徴されるのかと思います。
12及び13ページに、その当時の社会の状況をちょっとトレースをしてみました。12ページ上の段、高齢化率を示したグラフでございます。実はこの消費税導入当時でございますが、1989年ということで、近傍で見ていただきますと、12%ぐらいの高齢化率であったというようなこと、それから、足元の財政収支というようなことで見ますと、1990年あたりをご覧いただきますと、いわゆる均衡財政という状態になっているということで、赤字国債からの一時的な脱却が行われるというようなことで、財政事情も、一種の天佑であったのかもしれませんけれども、好転の状況にあったということで、この二つの指標は現状とはずいぶん違う状況であったということでございます。
したがいまして、むしろ税体系の歪みのほうが議論の焦点になっておったということで、13ページでございますけれども、ここにはいわゆる直間比率、それから間接税の歪みということで、当時議論されたものの関係しそうなところだけを示してございますけれども、左側の所得・消費・資産の課税バランスというものにつきましては、昭和63年のところ、全体が82兆3,000億円という中で、消費課税が14.6兆円ということで、18%ぐらい、その辺の課税バランスが問題になっておったということでございます。
それから、右側の間接税の歪みというところでございますが、特にこの時物品税があったわけでございますが、上の表で、贅沢品か否かとか、新しい商品かそうでないかとか、同じように普及しているかということに伴いまして、課税と、課税されていないというもので、物品間のいわば線引きの難しさということが議論されておったということでございまして、これを解決していこうという中で、選択的な物品税ではなくて、一般的な課税ベースの広い消費税に移行していった、そういう歴史、教訓というものがあったということでございまして、今後のご議論の中で、この教訓をもう一度吟味しておく必要があるのではないかということで、提示をさせていただいております。
次の14ページ以下、平成6年の税制改革、ここもアンダーラインのところでございます。ちょうど真ん中あたりですが、個人所得課税の負担軽減と消費課税の充実を内容とする税制改革を行うということで、この税制改革は、少子・高齢化が進展していく中で、活力ある福祉社会を実現するためには、勤労世代に偏らず、社会の構成員が広く負担を分かち合うことが必要だと。ライフサイクルを通じた税負担の平準化を図ることが必要だということで、所得・消費・資産の間でのバランスのとれた税体系を構築すると、こういう言い方で、平成元年に比べまして、少子・高齢化の進展ということがかなり視野に入ってきておるという形でございますけれども、基本的には課税バランスを改善するということが根っこにあったということでございます。
「ただし」としまして15ページをご覧いただきますと、4行目でございますが、平成6年の税制改革は、少子・高齢化の進展という経済社会の構造変化に税制面から対応するとともに、消費税率の引上げよりも個人所得課税の減税を先行させるということで、当面の景気回復に資することを重点を置いたということで、この時点では、景気への配慮ということも頭に置かれたということでございまして、いわゆる先行減税という形になったということでございます。
それで、16ページでございますが、その時の増減収、税制改革の姿を見ていただきますと、いわゆるプラス・マイナス・ゼロ、すなわち税収の中立という形になっておるということが見て取れるかと思います。
次、17ページ、これは「あるべき税制」の構築に向けた話として、15年度税制改革を消費税についてもかなり行ったわけでございますが、この時には、先ほど二つほど挙げてまいりました2回の90年代に行われました税制改革とはかなり状況が変わってきています。人口を見ましても、あるいは財政状況を見ましても、大きく変化をしてきました。それをベースにあるべき税制というのを議論され、また、グローバル化が進むという大きな変化もあったということはご案内のとおりでございまして、そこで、消費税の位置づけでございますが、ちょうど真ん中あたりのアンダーラインで、今後、少子・高齢化、グローバル化の一層の進展に伴って、消費税の役割がますます重要となってくると。制度の信頼性を高めるとともに、税率水準の見直しを図ることが大きな課題だと。しばしば指摘される消費税の所得に対する逆進性の問題については、消費税だけではなく、税制全体、さらには歳出を含めた財政全体で判断することが必要であると、こういうふうな基本的なポジションが明確に出てまいったということでございまして、来るべきあるべき税制の課題は、この制度の信頼性向上ということと、税率水準の見直しということだと指摘し、次の18ページでございますけれども、15年度の税制改正において行ったこととして整理されております。2行目でございますが、「あるべき税制」の構築に向けて、その第一歩としての改革を進めていくということで、下に見ていただきますような中小特例の抜本的改革というものを行ったという形になってございます。そういう位置づけで15年度の改革が行われたということで、免税点制度や簡易課税制度の適用上限の引下げ、申告納付の回数を増やすというような改革が行われたということでございます。
それで、昨年15年の6月に出されました中期答申では、以上の内容を踏まえまして、22ページでございますけれども、我々の立っておるポジションを再確認した答申が出ておるわけでございます。この行を読みますと、「少子・高齢化が進展する中で国民の将来不安を払拭するためには、社会保障制度をはじめとする公的サービスを安定的に支える歳入構造の構築が不可欠であることから、消費税は極めて重要な税である。したがって、将来は、歳出全体の大胆な改革を踏まえつつ、国民の理解を得て、二桁の税率に引き上げる必要もあろう」ということでございまして、ここで平成元年のあたりのイメージをしておりました税体系論という部分から、こういう財政の構造改革といいますか、そういうような文脈の中で消費税というものが位置づけられるという形に大きく位置づけが変化してきたと見られるわけでございます。
そして、今後の課題ということで、下の(2)以下、[1]の税率構造、[2]の仕入税額控除、[3]の消費税の使途というような課題が第二段階として残されている。こういう整理になってまいったということでございます。
その辺のことが24ページ、4でございますが、与党の税制改正大綱におきましても、そういう問題意識を踏まえた形での「消費税を含む抜本的税制改革を実現する」ということがうたわれておりますし、25ページの政府の中におきます「骨太2004」という中にも、上の2の(4)「包括的かつ抜本的な税制改革」という中で、「持続可能な社会保障制度の確立」とか、「基礎的財政収支の改善」といったような視点を踏まえながら、税制改革案を抜本的に検討していくというふうな位置づけに至って、今日に至っておるということでございます。
続きまして、そういう消費税の流れでございますけれども、今、我々が立っております、あるいはこれから将来を見据えた中での構造変化の確認すべき点だけを実像把握の中から選び出したいと思います。お時間の関係もございますので、文章を中心に見ていただきますが、まず26ページをご覧いただきたいと思います。ここは人口の高齢化あるいは少子化、長寿化の進行という話でございますが、ちょうど真ん中あたり上に従属人口指数の上昇ということで、社会的な扶養力の弱まりというような指摘をいただいたわけでございます。
27ページに「従属人口指数の推移」というグラフを掲げさせていただいておりまして、これはなじみのある表かと思いますけれども、象徴的なものは、1990年、ちょうど消費税が導入されました前後あたり、実はこの従属人口指数が一番低かったのでございます。すなわち、社会的な扶養の負担が一番軽い時期であったということでございますが、その後、少子化、長寿化ということで、この数字がずっと右肩上がりになっていくということで、その水準が70という数字を早晩超えていくという指摘が「実像」のレポートの中で指摘されておるわけでございまして、みんなで社会的な共通の費用を分担していく必要性が訴えられたデータでございます。
次の28ページ、この辺は価値観の多様化、あるいは選択の自由、そういうようなことが指摘された部分を抜粋しておるということでございまして、生き方とかライフスタイル、価値観の多様化という中で、平均値で割り切れないということで、この下のほうでございますが、個人による自由で多様な選択をなるべく阻害しない制度設計が必要になってくるというような指摘をいただいたということでございます。
32ページをご覧いただきますと、分配面の話でございました。分配面につきましては、最初のアンダーラインでございますけれども、わが国の分配構造は、国際的に見ると、高い経済水準のもとで相対的に格差は小さい均質的なものだと。それから、所得に関するジニ係数につきましては、最近では上昇する傾向が見られるけれども、基本的には高齢者世帯の増加といったような人口構造の変化を反映したものだというようなご指摘、それから、下のほうでございますが、社会の多様化が進む中で、分配についての人々の考え方が変化していく可能性があるというようなことで、特に機会の平等というものの志向の強さがあるのではないかというようなご指摘、それから、世代間の公平にも留意する、このあたりをご指摘いただいたわけでございまして、関連の資料を後ろにつけてございます。
35ページをご覧いただきたいと思いますが、内閣府の「国民生活選好度調査」という資料でございまして、実像把握の時にはこのデータをいわば数字の形でお示しをしておりましたが、ここではグラフの形にしてみました。先ほどの意識というところをご覧いただきたいということでつけたわけでございますが、「収入や財産の不平等が少ないこと」、そういう事柄に対する満足度はどうかということと、その事柄についての重要性、関心度はどうかと、この二つを聞いたわけでございますが、満足度そのものは、例えば1987年、90年といった消費税導入あたりの時から見まして現在に至るまで、実線の線でございますが、少し右肩に下がってきておるということでございます。一方、破線でございますけれども、そういうことが重要であるという意識がそれよりも速いスピードで落ちてきている。そういうような意識の変化というものも見られるというのも一つ指摘をさせていただければと思います。
36ページ、これは収入階級別の税負担ということで、しばしば今まで消費税に絡みましてお示しをしているデータでございます。新しい13年分のデータとしてお示しをしておりますけれども、左側、X分位に収入の階級を分けまして、それぞれにおきます消費税、あるいはそれを含めます税全体の税負担の金額を示したもの、それから、右側がそれを率として示したものでございます。第I分位とX分位を比べていただきますと、第I分位が336万円という収入に対しまして消費税額9万円、税全体で見ますと23万円ということでございます。第X分位は1,219万円、それに対しまして消費税が24万円、税全体では169万円ということでございまして、当然のことながら、絶対額では高収入のほうが大きいということになっておるわけでございますが、それを率に換算をいたしますと、消費税につきましては、2.7%の第I分位に対して、第X分位が2.0%、税を全体で見ますと、6.8%に対して13.9%ということでございまして、この2.7%と2.0%の差というのが、いわゆる逆進性ということで指摘される部分でございますが、税全体で見ますと、6.8%と13.9%ということで累進的であるということで、税全体の中では逆進的な部分は解消されているということで論ぜられるものでございます。先ほどから申し上げておりますような分配構造の現状の中で、こういうあたりをどのように考えるかということが、今後の消費税の議論の中で重要なポイントになるかと思います。
38ページ、これは財政事情についての記述でございます。この部分につきましては、しばしば取り上げられておりますので、ここでは割愛させていただきます。
そして、最後、今後の検討課題というところを、おさらいかたがたご説明をさせていただきます。
45ページまで飛んでいただきたいと思います。今後の検討課題ということにつきましては、税率ないしは税率構造の問題、仕入税額控除の方式の問題、それから使途の問題、この三つがこれからのあるべき税制を構築していくいわば残された課題だということでございますが、その税率及び税率構造につきましては、これも見慣れた表かもしれませんが、日本の場合は5%という消費税率でございまして、例えば欧州理事会指令では15%以上だということでございますから、水準的には3分の1弱ということであります。
それから、46ページ以下は、税率構造に関する答申の重要な部分を抜き出しをしてございます。若干拾い読みをいたします。
まず最初の行でございますけれども、「税率構造については、制度の簡素化を図り、経済活動への中立性を確保する観点からは、単一税率を基本として検討が行われることが望ましい」とされております。
それから、中ほどですが、「そもそも、複数税率制度の導入は」ということで、「公平・中立・簡素といった消費税導入の趣旨からすれば、基本的には、これを設けることは望ましくない」というようなこと。
それから、次のページでございますが、47ページあたりをご覧いただきますと、一番下のほうでございますが、「消費生活のパターンが多様化してきている中で、軽減税率の適用範囲を合理的に設定することは極めて困難です」。それから、下のほうですが、「わが国の消費税が、従来の物品税を中心とする個別間接税制度が有していた物品間の課税のアンバランスなどの諸問題を解消する観点から創設されたことを鑑みれば、消費者のライフスタイルや価値観がますます多様化している中で、税制が消費者の選択を左右することは基本的に望ましいことではなく……」、そのようなご指摘もあったわけでございます。
それから、最近の答申では、49ページでございますが、「消費税の税率構造は、制度の簡素化、経済活動に対する中立性確保の観点から極力単一税率が望ましい。しかし将来、消費税率の水準が欧州諸国並みである二桁税率となった場合には、所得に対する逆進性を緩和する観点から、食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題となる」、そのような指摘がなされたのが最近の状況でございます。
50ページ以下は、この夏に行われました海外調査報告の中で、税率に関する部分ということでございまして、これはお時間の関係で割愛いたしますが、いろいろな部分で各国の悩みとおぼしきところをアンダーラインを引いてございます。反面教師となる部分があるのかと思いますけれども、1点だけ指摘をしておきたい点がございまして、それが51ページのノルウェーのところでございます。四つ目のポツでございますが、付加価値税の逆進性緩和の観点からも、累進的な所得課税や給付による再分配効果のほうが、軽減税率よりも効果的と考えられるとした上で、四つほど指摘しておりますが、[1]でございます。軽減税率は、再分配の対象とされるべき家計に適用を限定することはできず、すべての家計に対して適用されてしまうといったようなこととか、[2]でございますが、軽減税率による再分配の量的効果、要するに絶対額ということですが、高所得者のほうが大きくなるという問題がある、といった点のご指摘もあったということもここで指摘をしておきたいと思います。
それから、次の仕入税額控除のところまで、56ページでございます。仕入税額控除につきましては、現在は帳簿及び請求書等を保存することが控除要件になっておるということでございますが、その関連で57ページ、いわゆる日本におきます請求書保存方式とインボイス方式の違いというものを見たものでございます。
日本で通常出されております請求書が左側でございまして、ここでは税抜きで100万円という売上がございます。それに伴います消費税額が5万円ということで、105万円というような請求書が出ておるわけでございます。
右側のイギリスでございますけれども、これもトータルでは397.85ポンドということでございますが、VATということでここは59.25ポンドという税額が記載されておるわけでございます。一見この請求書とイギリスにおきますインボイスは同じような形式をしておりますけれども、イギリスの場合のVATのこの部分の記載がいわば義務化されているというところの違いがございます。たまたまこの場合、17.5%という税率が一本でございますが、これがイギリスの場合は複数段階になってございますので、様々なものがございますと、ここにレートが複数書かれ、トータルの金額が表示されるということで、仕分けが簡便になるという形になっておるわけでございます。
インボイス方式は、ということで枠内でございますが、[1][2]ということで特徴を掲げてございます。インボイスには、税額、すなわち売上に対する税額を記載することが義務づけられているということが違いであります。それから、免税事業者については、インボイスを発行できないという形でございまして、したがって、免税事業者からの仕入れについての仕入税額控除ができないということでございます。
それから、(注)でございますが、様式が欧州においては特定されているわけではないということも申し添えたいと思います。
これに関連します答申がいろいろついてございます。お時間の関係がございますから、ここも省きます。
それから、海外調査報告につきましても、これもまた省きます。
63ページ、インボイス制度の外国の比較を入れてございます。どういう記載事項があるかということだけ確認をいただければということでございます。フランスの場合、[1]から[6]までございますが、日本との違いということになりますと、[6]の部分の適用の税率ないしはその税額があるかないかということの違いがございます。それから、[2]のところで各国とも登録番号というのがございます。すなわち、課税事業者として登録するということが必要になってまいりますので、その番号がここにも書かれる。そういう違いがあるということでございます。
最後、消費税の使途に関するご議論でございます。消費税の使途につきましては、64ページに答申で事柄が整理されてございますけれども、平成11年度以降、いわば当時の自自合意に基づきまして、福祉目的化がなされたということでございますが、この関連で[2]の福祉目的税化ということをどう考えるかというご議論もなされたようでございまして、下の段、今後、わが国の税財政にとってますます重要な役割を果たすべき基幹税である、目的税化は財政の硬直化を招くおそれがあるというようなことで、慎重に検討すべきという意見も多々あったという一方で、次の65ページでございますけれども、社会保障給付の増大にいかに対応するかが重要な課題である、そのための消費税の充実が不可避であるとするならば、福祉目的税化も検討に値する考え方ではないか、というような意見もあったというようなことで、ここでは事柄として整理をされておるということでございます。
66ページ以下は、海外調査報告でございます。ここは割愛いたします。
69ページ、現状、消費税の使途の状況でございます。これをご覧いただきたいと思います。国の消費税4%、地方消費税1%ということでございます。国の消費税のうちの29.5%が交付税という形になりますので、福祉予算へ行く部分が全体の56.4%相当ということでございます。
70ページがその福祉目的化の根拠となります予算総則上の規定を例示させていただいております。
71ページ、実際に福祉目的化ということでございますが、16年度予算ベースでは、国分が6.7兆円当たっておるわけですが、見合いの歳出が11兆円ということで、そこにすき間が4兆3,000億円ほどあるというような現状もご確認を賜ればということでございます。
以上、端折ってまいりましたけれども、平成元年以降消費税を取り巻く様々な状況が大きく劇的に変化をしてきて、今後残された課題というものが、税率アップをはじめそれに関連する問題ということを、今後ここでご議論賜ることかなということで、以上で説明とさせていただきます。
〇委員
ありがとうございました。端折った割には十分時間を取って説明してくれたと思いますが、今後これがベースになりますから。
それでは、都道府県税課長、地方税をお願いします。
〇事務局
都道府県税課長でございます。資料は「基礎小22-2」、地方税関係、地方消費税関係の資料でご説明をさせていただきたいと思います。
目次の次のところ、1ページでございます。棒グラフを入れておりますけれども、そのうち黒い部分が地方消費税収、およそ2.5兆円ということで、安定的に推移をしてきてございます。図には入れておりませんけれども、地方税収との割合を見てみますと、平成16年度で7.7%ということで、シェアにつきましてはそれほど高くないという状況です。
2ページに地方消費税の概要を入れさせていただいております。国税のご説明の中にもありましたけれども、4の課税標準及び5の税率のところですが、地方消費税は消費税額に100分の25、25%を掛けまして税額を出しています。消費税率換算1%ということになっております。
そして、6に清算がございます。都道府県間で清算を行うという性質を持ってございます。
次の3ページ以下に地方消費税の創設ということで、過去の経緯との関連の資料を入れております。
4ページ、これが昭和63年の抜本的税制改革ということで、消費税創設時の地方の対応の関係資料です。税制改革法十四条に、消費税創設に伴いまして、地方税の既存の個別間接税の廃止等を行っておるというものが入ってございます。さらに十五条には、消費税収の、ここでは「一定割合の額」と書いていますが、5分の1を地方に譲与する消費譲与税を創設することとされています。
5ページあるいは6ページがその関連の資料でして、6ページにこの時の差引の増減収額を入れています。トータルで地方のほうにつきましても△0.9兆円ということで、減が超過をしているというものでした。
それから、7ページ以下に平成6年の時の税制改革の資料を入れています。この時に消費税率が3%から実質5%に引上げということになったわけです。その時の改正法の提案理由を入れています。アンダーラインのところをご覧いただきますと、「地方分権の推進、地域福祉の充実等のため消費譲与税に代えて、消費に広く負担を求める地方消費税を道府県税として創設……」ということで、地方税源の充実を図ることにしたということになっています。
同じく、8ページあるいは9ページにこの時の改正の内容を入れていますが、9ページをご覧いただきますと、この時は国税と同様、増減収なしということで地方のほうも対応をしておるということです。
それから、いくつか地方消費税の性格との関連での資料をご覧いただきたいと思います。全体としては安定的であるわけですが、10ページをご覧いただきますと、これは都道府県にとりまして、地方消費税がどの程度の構成比を占めているかということでございまして、それぞれ団体によって差があるわけですが、大都市部ではないところの都道府県、かなりの数の道府県にとりまして、税収の2割を超えている状況にあるということです。
それから、11ページです。これはどの程度各団体で税収が偏在をしているか、ばらついているかというのをご覧いただきたいということで、人口1人当たりの税収額を、全国を100とした場合、各都道府県でどれぐらいの数字になるかというので、基幹税を三つ並べてみたものです。現状、どうしても一極集中というものがございますので、それを反映したような形になってしまうわけですけれども、その中で言えば、個人道府県民税、法人二税、地方消費税(清算後)で比較をしますと、地方消費税(清算後)が一番偏っていないほうの税になっているということかと思います。
あと、12ページ、13ページは、これまでの、特に最近の政府税調での答申です。消費税全体の今後の改革の方向、あるいは検討課題というものの中の地方消費税についての部分を抜き書きさせていただいております。今後、福祉、教育等の幅広い行政需要を担う税として、地方消費税の充実確保を図っていく必要があるという趣旨での答申でございます。
簡単ですが、以上、よろしくお願いします。
〇委員
ありがとうございました。
さて、今、税制第二課長と都道府県税課長から現状と過去の経緯をご説明いただきましたが、今日残った時間で、あと20分ぐらい取りたいと思いますけれども、何を議論すべきかというところがポイントでありまして、過去のおさらいだけで終わってしまってはちょっと困るのであります。まだ消費税は少し時間があると思いますが、おそらく来年の今ごろはもっともっといろいろな形でしなければいけないと思います。ここにありますように福祉目的税の問題、それから税率を上げた時に伴ういろいろな問題、インボイス、様々問題があると思います。少し先を見据えて、どういうことをこれから議論しなければいけないかという視点を中心にしていただいたほうがいいと思います。といっても、過去のことでわからない点がありましたら、質問等でも結構です。少し消費税をめぐる諸問題を整理していきましょう。
どうぞ、どなたからも結構です。
〇委員
15年6月の「少子・高齢社会における税制のあり方」という答申の消費税に関する部分について、私は基本的にこういう方向で考えていくということだと思います。そして、その場合の今後の検討事項の主たるものが、税率構造、仕入税額控除のあり方、使途ということであろうと。おそらくそれ自身は外すことはないと思います。
その上で若干私の感想ですが、まず、税率構造に関して申し上げますと、おそらくこれは消費税の逆進性の問題がこれまでいろいろな形で議論され、私もそのことはいろいろ問題にはなると思います。ただ、この答申で触れられているように、税制全体の負担のあり方で見る、あるいは社会保障給付等とあわせて見る、というような考え方をおそらくとらざるを得ないだろうと私は思っております。
ただ、そういう点を考えましてやや気になりますのは、一つは、仮に所得税を地方に移譲した時に、今までは3段階であったにせよ、累進的なものを比例税率化するという可能性があるとか、あるいは、もちろん従来から分離課税だったものもありますけれども、被用所得がもし今後一体として分離されて、ある程度一定の比例税率なり一定税率でかけるとなった時に、所得税の側からサポートすることができるのかどうか、住民税も含めて、あわせて見た時に、果たして消費税の負担というものをどの程度中立化できるかということについて、少し今後の状況を見ないといけないのではないかということ。
それから、いずれにしても、やや選択の問題で、軽減税率などは確かに非常に問題が多いので、入れないとすればあまり消費税率を上げないか、あるいは相当上げて、そのかわりそれを社会保障給付なり支出のほうでカバーしようとなると、私はおそらく国民負担率50%というのは外してもらわないと、今のヨーロッパなどの状況を見ると、おそらく難しいのではないかと、その辺は感触の印象でありますが、そういう点を思っております。
それから、私のように外の世界でいろいろ話を聞いていますと、ご存じかもしれませんが、消費税万能主義、何でもかんでも消費税に頼るという風潮になってきている。それは少し安易なところがあって、今までの議論もそうですし、それから、例えば仕入税額控除のあり方についても、前々からインボイスのことを議論しておりますけれども、こういうような、いくつかまだ消費税の中での構造的な問題は、かなりハードルとして残るという認識は持つ必要があるのではないかと思います。
インボイスの問題については、私は正確性とか透明性ということもありますけれども、もう一つは、これはどこかの海外調査でも報告されておりましたけれども、やはり免税業者を課税業者の選択のほうに促す効果というものがあるわけで、それは非常に否定的にとられる、排除されるからだめだというのではなくて、むしろ課税業者の選択を促すということが、消費税制度全体の信頼性なりを高めることになるのではないかという感想を持っております。
それから、使途については、もちろん将来の基幹税を目的税化することが、財政政策全体にとっていいことかどうかということは当然前から議論されていることでありますけれども、細かい点で申し上げますと、今、消費税というのは、そのうちの29.5%は地方交付税の原資になることになっているわけで、そうしますと、その辺まで含めて使途ということを考えているのか、それとも国税部分だけの議論で考えているのかによって、例えば税収見積もりが非常に違ってくるわけでありまして、その辺のところはまだ議論が進んでおりませんし、今の予算総則のような形での目的税というべきなのか、あるいは特別会計に直入して給付と連動させるのを目的税というふうに理解するのかというあたりも、実はそういう議論は実際にはほとんど行われていないのではないかという気がしてなりません。
最後の一つですが、今、実は特に社会保障の世界では、社会保険料を抑制する代替財源としての消費税というイメージが非常に強いのです。ということは、はっきりいえば、財政赤字のほうには回せない可能性があるわけで、ですから、社会保障のほうももうちょっときちっと給付の見直しも含めたやり方を考えないと、消費税というのはただ社会保障に吸収されるだけということになりかねない雰囲気であるということは、私が言うのはおかしいですが、知っておいてもらったほうがいいのではないかと思います。失礼しました。
〇委員
最初から核心部分に触れるお話をいただきまして、重要な問題点が4つぐらい出てきたと思います。どうぞ、それ以外でも結構ですし、それについて深く掘り下げていただいても結構です。
〇委員
逆進性に絡んで軽減税率の問題が出てくると思うのですが、今までの答申では、二桁になった場合は軽減税率あり得べしというニュアンスで書かれているわけですよね。しかし、今の委員のお話もありましたけれども、基本的に軽減税率を認めるということになれば、衣食住のうち食が抜けてしまう。2~3割課税対象から外れるわけですから、食はどうせ皆さん頭に描いているわけですから、それはやはりちょっと考え直していかないといけないのではないかと思います。結局、食を外すという議論は、いわゆる低所得者といいますか、逆進性を緩和する目的で言われていることだと思うのです。しかし、さっき財務省の税制第二課長の説明がありましたけれども、金持ちもみんな恩恵を受けてしまう。何のためにやったかという話になるわけで、そうするとまた先程の委員の所得税とか相続税とか、そういうものでカバーしていくということになるのでしょうけれども、とにかく軽減税率を安易に、二桁になったら即、複数税率だよ、それでインボイスだよという考え方は、もうちょっと慎重に考えるべきだろうと思っています。
〇委員
ぎりぎりまで頑張れということですね。
ほかに、どうぞ。
〇委員
先程の委員のお話と少し関連するのだろうと思いますが、今ご説明を伺っている時に、消費税の今後の課題というのが、消費税だけでは到底考えられないなということを強く認識いたしました。それは例えば、今後高齢化社会だとか、あるいは財政赤字をどうするかといった時に、当然、安定的な、そして国民が広く分かち合うような負担でこれを支えていかなければいけない。そうした時に、例えば所得税の課税最低限を思い切って引き下げることが可能になった場合に、果たしてそういう議論が出てくるかどうか。つまり、今の議論は所得税の課税最低限が非常に高くて、しかも累進性になっていて、安定的ではないと。だから、そのあたりが今後所得課税をどうするかということをにらみながら考えていかなければならない問題だと思います。それは累進性を確保するという時に、今、税制全体でとか、あるいは所得税でもって逆進性の問題を補完すればいいではないかと、そういう指摘があるわけですが、これもやはり所得税の課税最低限をどうするのだ、累進性をどうするのだということとの関連が出てきますので、その議論を抜きにして、消費税だけで複数税率にするかどうかというようなことが果たして言えるかどうかというのは、ちょっと疑問です。
それから、実像把握のところで、分配が不平等になってきているというのは、一つの大きな要因が、これもご説明がありましたけれども、高齢者間での分配が不平等になってきているということと、高齢者のウエイトが高くなってきている。この場合に、消費税でどうするかとか、所得税でどうするかという問題と同時に、やはり今後資産課税をどうするのかというそういう問題も大きく出てきますので、これは今後の議論で、今回は消費税という議論では、なかなか難しいのではないかという感じがしまして、したがって、やはりタックスミックスの話ではないですけれども、そういうものをにらみながら検討していかなければならないなと、そんな感じがしております。
〇委員
大いににらんでやる予定ですから、3回目あとぐらいに資産税もやりますし、その視点からぜひご議論ください。
では、どうぞ。
〇委員
本来、目的税というのは反対なのですけど、福祉目的化というところで妥協したのが今にして思えば失敗だったなということを感じます。というのは、目的税だったらその目的に使うのであって、それで事足れりにしなければいけないわけですよね。補てんする必要ないわけですよね。道路財源が足りないから一般からくれと言われても、「うるさいよ」と言えるわけですよね。そういう意味でいくと、福祉目的税に完全にしてしまって、そのかわり足りなかったら「知らないよ」というのも手かななんて一つ思ったのですけど。そうすると、12~13%までは知らんぷりできるという考えもないこともないなというのが一つ。
あとは軽減税率ですけど、軽減税率というのは、公平とかそういうところから考えるよりも、基本的にすごく国のあり方とか社会のあり方に対する政策の問題ではないかなという気もします。例えば子供服にはかけないとか、それだったら、なるほどそうかと。いくら高かろうが、安かろうが、子供を育てている人は大事な宝なのだから、そういう人からは税金を取らないというのだったらわかるし、それは公平とはまた別の話ではないかなと思いますので、文化とかそういうのも入ってくるだろうし、不平不満の大きい層はうるさいからまけてやるという、そういう政策も入ってくるから、そこら辺も考えなければいけないことかなと。軽減すること自体、そもそも税金から言ったらエコヒイキというか、極めて変な話なわけですから、金がないなら安いのを買えばいいわけだから、そうじゃないということを考えると、軽減税率ってなかなか奥が深いなと。おまえに言われなくてもわかっていると言われる話ではありますが。
あと、質問なのですが、地方消費税というのは、地方消費税だけ上げるという選択はあり得るのですか。
〇委員
5%の中で1%から2%にしようという話ですか。
〇委員
そうではなくて、地方税だけ10%とか、一般消費税は5%でいいけれども、地方消費税だけ。
〇委員
それは、都道府県税課長、あり得ないのではないですか。
〇事務局
今の法律で言いますと、先ほどもちょっとご説明しましたけれども、地方消費税税率100分の25とありまして、もとが消費税率でございますので、理屈だけ言えば、その100分の25を変えて、全体の税率が変わるということはあり得ないわけではないと思いますけれども、いずれにしても、それは全体としての消費税の負担をどうするかという議論がないと、そこだけという話には多分ならないと思っておりますが。
〇委員
でも、やろうと思えばできるんですよね。
〇委員
いや、消費税を上げなければ無理ですよ。
〇委員
だから、消費税というのと地方消費税というのは違う税金にしてしまって……。
〇委員
それならできますよ、地方小売消費税とか昔の個別間接税みたいなものを復活させれば。そのかわり今の地方消費税はそれとは別な形ですよね。それはできると思います。
〇委員
もう一ついいですか。
〇委員
どうぞ。
〇委員
消費税の地方分配の清算というのは、清算すると大体なだらかになりますけど、しないとひどいことになっているのですか。
〇事務局
今日お示しをしました中で言いますと、地方のほうの11ページの中に、全国の人口1人当たりの税収額100とした場合ということで、基幹税のいわばばらつきを出しておるのですけれども、その法人二税の資料よりももっと東京に集中してしまうような数字になっていたかと思います。といいますのは、今の消費税の納め方につきまして、国税と一緒に納めていただくということになっておりまして、なおかつ、それは例えば全国で活動しているような企業につきましては、本社があるところで一括して納めるものですから、清算をするということがありませんと、私どもは地方消費税に本来清算というものはつきものだということで考えているわけですけれども、むしろ法人課税よりももっと集中するというような数字になろうかと思います。
〇委員
しつこくてすみませんが、清算というのは平準化するためにやるのだったら、全部100になるようにすればいいのではないですか。
〇事務局
今の地方消費税につきましては、制度を仕組みます時に国の消費税と同じ考え方、趣旨でもって課税をする税というふうに発想してございます。それをどういう形で仕組むかという時に、一つ一つの取引について、全部個々の団体間で税収をやりとりするのではなくて、マクロベースで、トータルの各県ごとの消費に相当する額というものをはじき出して、それでもって各県間の清算をしましょうと。主として小売の売上ですとか、サービスの各県ごとの数字というのが指定統計でございますので、それを中心にして今使っておるということでございまして、単純に全部同じようにということに精算をしてしまうと、国の消費税とは、考え方が全く異なってしまうのではないかということで、理屈といいましょうか、考え方としてなりにくいのかなと思っています。
〇委員
あくまで消費税という性格を持たせたいから、地方が消費する額で配分しているわけです。委員の意見みたいに全部やってしまうと、消費税でなくてもいいわけですので。
〇委員
まず、消費税を上げるかどうかは別として、仮に上げた場合ということで、今、軽減税率の話が2、3の方から出ましたけれども、ちょっと確認しておきたいのです。22ページの一番下にありますこの文章の意味ですが、「消費税率の水準が欧州諸国並みである二桁税率となった場合には……軽減税率の採用の是非が検討課題となる」ということの意味は、10%になった場合でも検討するというのか、欧州諸国並みだから、つまり15%以上になって初めて考えるという意味なのか、どちらなのでしょうか。
〇委員
これはおそらく、僕も絡んでいましたけれども、二桁税率というと10%からというイメージですよね。ところが、「欧州並み」とかませたのは、10%で多分ないというイメージがあったと思いますが、ただ、それは皆さん同床異夢でありまして、10%でもいいし、15%でもいい、この辺曖昧ですよ。したがって、今の委員の意見みたいにぎりぎりした議論をしていませんから、ここは税調特有の曖昧模糊たるところがあるかもしれませんが、10%でやってもいいし、15%でやってもいいし、その辺は特にその当時は意識していませんでしたから、これからの議論だと思います。
それで、ご意見はどういうことですか。
〇委員
まず確認をしたかったということです。
〇委員
確認はそういうことですけど、何かご意見ありますか。
〇委員
税率については、複雑でないほうがいいというのが私の意見です。ただし、まず上げるかどうかはまた別の話です。
〇委員
今のことでご意見といえば、10%だったら軽減税率……。
〇委員
すみません、手を挙げている人がいるから……。
〇委員
今、関連で。
〇委員
関連でどうぞ。
〇委員
10%の場合は、軽減税率は入らないというような意味合いなのでしょう?
〇委員
どうですかね。そういう意味合いでとった人もいるし、そうでない人もいるかもしれない。ただ、おっしゃるとおり、「欧州並み」とかませたのは、10%ではどうかなというイメージがあったのがマジョリティだと思いますけどね。欧州並みというと、大体EUのヘッドクォーターが標準税率は15%と言っていますから、ひとえにそういうふうに今解釈するかどうかです。
〇委員
一つは、あまり議論になっていない税率そのものの話で、特に税率の10%というのではなくて、そこに至るまでの過程なのですけれども、一つはデフレからいつ脱却できるのかということにもかかわるのですが、デフレがもし続いているのだったらば、少しずつ税率を上げていくという形でデフレから脱却できるかもしれない。それから、万一逆にデフレから脱却していた時に、今の金融政策が残っている可能性があって、ある種のマネーが市場に非常に残っていて、いわば火薬があって、導火線で火をつければ爆発してしまうというような状況かもしれないので、そういう時にあまり高率にいっぺんに上げると、いろいろな問題が発生する可能性がある。今のは二つのケースですが、それ以外にもケースがいろいろ考えられると思うのです。一般論でいうと、やはり徐々に上げていくほうが安全なのではないかと一つは思います。いずれにしても、そこら辺を、上げることは見えているにしても、どのぐらいのタイミングで、どう上げていくのかということについても、きちんと議論しておく必要があるのではないかというのが1点です。
もう1点は、先ほど来問題になっている税率構造の問題ですが、先程お二人の委員がおっしゃられたことは、私も非常に賛成するところがありますし、例えば35ページ、税制二課長のご説明があったわけですが、私はやはり国民の間の不平等に関する意識というのは、決して無視すべきではないと思うのです。
揚げ足を取るようなのですが、このグラフも重要度に関する指標が下がっていることは確かなのですが、それは不平等が重要だという人たちが71%から60%に10%下がっただけです。ところが、グラフをもうちょっときちんと本当は書いていただきたいなという気がするのですが、満足しているかどうかは、10%が4%に下がっている。半分以下になってしまっています。そういう意味では、国民は不平等に関して不満を持っていることは事実だろうと思うのです。そこを税率を考える時にはきちんと考えていく、あるいは税を考える時には考えていく必要があるだろうと一方では思います。
他方では、しかし財政も非常に厳しい。高齢化で経済も厳しい。こういう状況の時に、やはり再分配の問題に関しては、できるだけ効率的にといいますか、あまり無駄のない、つまり、できるだけ全体として効率で無駄のないことをしながら、できるだけ的確に貧しい人のところにターゲットを当てるような形で再分配をしていくことが必要だろうと思うのです。
そういう意味でいうと、もちろん所得税にも限界がありますし、資産課税も限界があるのかもしれませんけれども、消費税を安易に使うということは、逆に私は問題のような気がします。それはある意味で消費税というのは、そもそも資源配分にかなり中立的な税であるわけですし、そこに税率構造が違うことを入れることは、いろいろな問題を引き起こすだろう。それから、税を取る側にとっても、税を払う側にとっても、複数税率があるということは、非常にいろいろな問題が発生する。コストも高くなる。
最後に、北欧の調査の例えばメディア関係のところでもずいぶん出ましたけれども、まず第一に何を軽減税率にするかが非常に難しいし、一遍してしまうと、それをやめるのは非常に難しいという政治経済学的な既得権益上の問題が非常にあって、もちろん最終的にどうしてもという場合はあるのかもしれませんが、やはりできる限り免税はやめる、避けるという方向で考えていって、できるだけ所得税、あるいは支出、資産課税、そこら辺で再分配のことをきちんと手当てしていく。それを大原則にすべきだと思います。
〇委員
段階的に税率アップという時は、経団連みたいに1%ずつなんていう細かいことは考えていないのでしょう。どのぐらいの感触ですか。
〇委員
2%ぐらいずついったほうがいいのではないかと思いますが。
〇委員
タイムスパンは?
〇委員
5年とか。
〇委員
そうなんでしょうね。
〇委員
長期的に20年とかそういうことを考えています。
〇委員
わかりました。
どうぞ。
〇委員
先程の委員が国民負担率の話をなさったのですけど、財務省の資料の7ページに「消費税の歩み」というのがあります。それの左から4行目のところに、臨時行政調査会があるわけです。ここで土光臨調が初めて国民負担による縛りということを言ったわけですが、その時の数字が35%だったと思うのです。それで、同じ主税局の資料の3ページをご覧いただきますと、一番左のところで、現在も35%なのです。あの時土光さんの言ったのは、今は35%だろうけれども、これはだんだん上がらざるを得ないと。しかし、当時のヨーロッパの平均である50%よりかは低くしましょうよと言ったわけですね。土光さん、いまだに35%だと聞いたら、びっくりすると思うんですよ。これは結局何をしてきたのかというと、その下にある9.6%、つまり、その間、全部借金でやってきて後代につけを回しているということなのです。土光さんの予想以上に国民負担率は上がっていないのです。だから、35%というのを上げていかなければいけないというお話だったのですが、実は50%というのに対しては、土光さんの当時といまだに同じすき間があるのです。だから、そこは潜在的何とかみたいに、公債発行まで足した数字で考えると、大きな間違いをするということを申し上げておきたい。まだ今のまま、縛りの心配までしなくても、実は上げていないのだという、上げ方の遅れを取り返すのだということなんですね。
〇委員
潜在的な概念は、必ずしも有効でないと思われますか。
〇委員
有効だと思えませんね。
〇委員
そうですか。
ほかにいかがですか。どうぞ。
〇委員
今の委員は、土光臨調との歴史的な話で感慨深いのですが、私も土光臨調を取材したり、それから、消費税導入の時に、まさに財研で明けても暮れても消費税だったという記憶がございます。その当時は今の委員などを取材する立場にあったわけです。ここに何人か同じような立場の人がいますけどね。
それで、感想だけ言いますけれども、もう元服を迎えたわけですよね。当時、導入時から5%というのはほぼみんな考えていた数字でしたよね。政治的な妥協で3%になったというふうに理解していますが、元服を迎えてもまだ5%というのは、とうに二桁にいっていていいはずだなと我々ずっと思っていたし、まだ5%というのは、これまた不思議だなという感じがします。
それから、逆進性についていえば、また当時の話をしますけれども、まさに我々新聞、マスコミは物品税批判をさんざん書いたわけです。つまり、何が課税で何が非課税になっているのかと。当時よく出されたのがファックス電話です。要するに、電話とファックスと、片方は課税で片方は非課税ということで、つまり技術革新で、今はどこの家庭でもファックス電話になってしまったほどです。この技術革新になかなかついていけなかったというのがまさに問題で、つまり間接税をいかに単純化するかということですよね。そこから始まっているわけですよ。
したがって、複数税率というのも同じことが起こりやしないかと。例えば食品に課税するにしろ、だって今米だって高いほうが売れるのですから、ブランド米のほうが売れるわけでしょう。つまり消費の構造、志向、これが完全に変わってきているわけですよね。その辺もちゃんと考えなければいけないかなと。やはり単純化するのが一番だと僕は思うわけです。
〇委員
どうぞ。
〇委員
先ほどはすみません。気になったものだから。10%ぐらいだったら、軽減税率はないほうがいいだろうなと思いながら、質問があったものですから。
僕が一番基本的に知りたいのは、今、委員が3%の時の話をしましたけれども、3%から5%になった時、単純に消費税を上げたことによって、どういう社会的影響――社会的影響というと社会が広すぎるから、もう少し狭めていえば、消費者がどういう買い控えなり、買い控えではない行動を起こすか、そういうのはデータ的にどういうふうになっているのか。確かに安いから買うとは限らない時代です。それで、10%にしたらどういう現象が起きるのかというのを、これは多分、逆に言えば新聞などがまたヒステリックに騒いだりするから、そういう変な効果が生まれて、気分が消費意欲を落としていくということがあるかもしれないのだけれども、増税、増税と書くとね。ただ、本当の意味で3%になった時と5%になった時に、実際にどういう影響があったかのかというのは、何かデータで出せるものがあるのですか。
〇委員
かなり事務局でやられていますから、あとでお答えしてもらいますが、私の感想では、3%とか5%になった時は、物品税をやめた時の3%というのは、25%の物品税がありましたから、それが下がったという意味で、全体としてそんなに影響がなかったと思う。5%になった時も、4月に入れて7-9月期では個人消費が伸びているんです。問題は秋、アジア危機があったり、北拓がつぶれたり、それからまた9月に社会保険料が上がったりという、そっちが影響されてガタガタ来て、それがトータルで失敗だなんていう話になっていますけど、ただ、問題は次なる時はネット減税的にならないということですね。所得税、法人税を抱き合わせで減税できないでしょう、多分。したがって、その見返りとして福祉目的税云々とか、軽減税率を入れるとかという議論が多分出てくるのでしょう。僕はそういう予想を持っていますけれども、前と違うのはそこですね。抱き合わせの減税が非常に難しいという点がおそらく難しい。
事務局のほうで、過去の何かがあったら、今日でなくてもいいですから。
〇事務局
また改めて整理いたしますが、12年の中期答申の時に、そのあたりの事柄についてちょっと記述がございますので、また改めまして整理をいたします。
〇委員
出してもらいましょう。
どうぞ。
〇委員
先ほどご説明いただきましたように、税制調査会の答申の中で複数税率の問題点があるという指摘がありますし、この会合の場でもそういうご意見が強いのですが、非常に難しいのは、所得税のほうでも課税最低限を下げないといけない。他方で消費税を入れると、生活関連用品への負担が高くなる。これはおそらくこちらの税制調査会で議論しても、政治の世界で全然予想もしなかったような複数税率が入ってしまう可能性はあると思うのです。
ちょっと紹介もなされていますけれども、カナダの売上税は、今はどうなっていますか、いわゆる売上税のところで支払った金額を今度は所得税のほうで控除する、いわゆる消費税額控除ということになりますけれども、家計調査などで、食料品、衣料品にかかる負担というのが、国民の、各階層がありますけれども、大体同じような平均値が出せるということですので、そういう形で複数税率でない選択肢というものができればよろしいのではないかと思うのです。ただ、その場合には所得税を納めている人は還付できるのですけれども、年金受給者のように、納めていない人にだけ今度は逆に支給するかという、こういう難しい問題があるわけですけれども、いずれにしても、複数税率には問題があるというアピールだけではなくて、代替案といったものも検討しておく必要があるかなと思っております。
〇委員
カナダのタックスリベートの問題ですね。これもいずれまた資料もちゃんと整理して議論したほうがいいと思います。
〇事務局
今、委員からお話がありましたカナダの件でございますが、いずれまたこの辺、制度の概要などをご紹介する機会があると思いますが、基本的にこの制度は、所得税の還付制度というよりも、給付の形という制度の整理になっているようでございまして、いろいろな要件がかんでいるようでございますので、その辺また改めましてご紹介をしたいと思っております。
〇委員
我々二人、その当時しかと見てきたんですよ。それで、これはおっしゃるとおり、歳出面での処理というのは給付なんですね。だから、主税局ではなくて主計局の管轄になってしまうのです。そんな意味合いを持ちますね。
ほかによろしゅうございますか。大体予定した時間が過ぎ、主要な様々な論点が整理されましたので、第一ラウンドしては、かなりの成果というか、非常な成果があったのではないかと考えております。
では、次の税目にいきましょうか。酒税のほう、税制第三課長。
〇事務局
税制三課長でございます。よろしくお願いいたします。
「基礎小22-3」「資料(酒税関係)」と書いた資料に沿ってご説明をしていきたいと思っております。
まず最初に1ページ、消費課税における酒税の位置づけということでございまして、そこに消費税ほか個別間接税をいろいろ書いてございます。今回、個別間接税いろいろある中で酒税を取り上げようと思いましたのは、基礎小のほうでいろいろと実態把握をしてこられましたけれども、おそらくこの個別間接税の中で社会生活の変化を受けている分野の代表例ということが言えるのではないかという観点から、酒の税金についてご説明をしたいと思います。
次、2ページでございますが、最初にまず基礎的な知識の確認ということで、ポイントだけご説明します。酒税法では、酒については種類と品目という形で、10種類、11品目に分けまして、そこで主な製造方法というのを法律で定義しております。ここでは製造方法のところで原料と製法に着目してそれぞれのお酒の定義を置いているというのが一つのポイントでございます。
具体的な税のかけ方は3ページでございますけれども、今見ていただきましたいろいろな区分のお酒に沿って、標準的なアルコール分はいくらなのか、それに対する1kl当たりの税率という形で定められております。例えば清酒でありますれば、15度を標準といたしまして、15度の清酒については、1kl当たりの税率を14万500円と定めておりまして、それから1度上がれば9,367円を上乗せしていく。こういうような形の従量税をとっております。
この数字だけを追いかけても見にくいので、次の4ページに代表的なお酒を棒グラフ化したものがございます。一番上のグラフ、これはアルコール分1度当たりにしてみると、それぞれの代表的なお酒について、どれぐらいの税金がかかっているのかということで、よくビールが高い高いと言われるのですけれども、これで見ていただければ、アルコール分1度当たりは確かに高いということかと思います。ただ、実際には標準的なアルコール度で飲んでおりますので、それを次の真ん中のグラフ、1kl当たりの税率ですが、標準的なアルコール度換算をしております。これで見ていただくと、ビールというのはしょうちゅう甲類、しょうちゅう乙類と同じような形、むしろ逆に、40度もアルコール度があるウイスキー類のほうが1kl当たりの税率は高くなるという形になります。
以上従量税なのですが、では標準的な小売価格でどれぐらいの税金の割合になっているのかが一番下、通常商品1本当たりの酒税負担率ということでございまして、これで見ていただきますと、ビール、しょうちゅう、あるいは発泡酒といったあたりが30%近く、30%以上ということになっています。ただ、個別間接税は、冒頭見ていただきましたように、酒だけではなくて、たばこであるとか、エネルギー関係、例えばガソリンなどにもかかっておりますが、たばこ、ガソリン等では、大体小売価格に占める半分以上は税金という形になっております。
続きまして5ページ、これは参考までということで、欧米諸国の酒税制度の概要ということで書いてございます。欧米諸国では、付加価値税がかかっている上に酒税も存在しているという、日本と同じような形になっております。これはご参考まででございます。
続きまして6ページでございます。酒税の課税実績、これは15年度の数字ですが、ここでは日本人がどういうお酒をどの程度飲んでいて、どれぐらい税金を払っているのかというのを示してあります。左側の円グラフ、これが課税数量ということで、日本人が飲んでいるお酒の総量、それの内訳ということになります。一目で見ていただいてわかりますように、日本人はたくさんお酒を飲んでいますが、ビールが4割という形でございまして、発泡酒が26.4%、あわせて70%近くがビールと発泡酒で占められています。したがいまして、日本人はいろいろなお酒を飲んでいるといいますけれども、ほとんど飲んでいるものはビールと発泡酒であるということかと思います。
それから、同じように右側に課税額、実際に上がってきている酒税の内訳が書いてございますけれども、これも見ていただきますと一目でわかるとおり、ビールと発泡酒で大体7割。現在、1兆6,792億円の酒税をいただいておりますけれども、約1兆2,000億円は実はビールと発泡酒から上がってきているというのが実態でございます。
これを若干時系列的に追ったものが次の7ページにございます。ここではまず棒グラフのほうで、飲まれている量を37年度からずっと追いかけて、折れ線グラフで課税額の推移を示しております。
まず最初に、課税数量のほうですが、実は長らくずっと右肩上がりでどんどん飲まれている量が増えていたのですが、大体バブルが崩壊してから、平成6年度あたりから頭打ちになっているというのが、この棒グラフで示されている課税数量の推移のポイントかと思います。
税収のほうは、実は同じく平成6年度あたりから、今度は逆向きにどんどん落ちてきている。横ばいではなくて、落ちてきているというのがポイントかと思います。
次の8ページ、これは内訳的に長いタームで見たものでございます。昭和48年度からとっておりますけれども、48年を見ていただくとわかりますが、実は6割がビール、3割ぐらいが清酒、日本酒ということで、実は9割以上はこの当時ビールと清酒、つまり日本人はそのころビールと清酒を基本的に飲んでいたということになります。その後、次第に昭和50年のほうにかけて、ウイスキーがだんだん増加してまいりまして、清酒は落ちてきている。しかし、依然ビールは強いという状態が続いていまして、次に、平成時代に入りまして、平成5年のところが書いてございますけれども、ビールは引き続き伸びているのですが、今度は清酒もウイスキーも両方落ち始めるというような特徴がございます。平成10年、実は発泡酒が出たのは平成6年ですが、平成10年度以降は、今度は逆にビールが減少トレンドに入って、発泡酒が増えてきている。このあたりが先ほど申し上げましたように、発泡酒が増える分だけ税率が安いので、その分税収が下がってきている原因かと思います。
次の9ページ、ここは特に最近、平成6年以降、発泡酒が出始めた以降、最近のものをずらっと並べています。ここで見ていただくとわかりますけれども、数量全体として若干かげりが生じてきているということ、それから、ビールと発泡酒との比率が次第に変わってきています。それから、しょうちゅうと清酒、これは実は逆転をしております。平成15年度で、昔は清酒のほうがたくさん飲まれていたのですけれども、今ではしょうちゅうのほうがたくさん飲まれるようになっているということかと思います。引き続きウイスキー類が弱くなっているということかと思います。
以上までがお酒の内訳の変化でございますけれども、次に、お酒の数量がどういうふうに変わってきているのかという点をご説明したいと思います。
まず、10ページの表、いくつか棒グラフ、折れ線グラフがついていますけれども、一番上、酒類消費数量の指数というのがございます。これは実際にどの程度お酒が売れているのかというのを、昭和58年度を100として並べているのですが、最近になって微減から横ばいに変わってきています。
他方で一番下の折れ線グラフ、成人人口です。これは人口減少社会にまだいっていませんので、成人人口だけは増えております。ということは、差し引きしてみますと、1人当たりで飲んでいる酒類の消費数量はどうなっているのかというのは、その棒グラフでございます。この棒グラフを見ていただくと、実はバブルが崩壊したあたり、平成2年ぐらい、あるいは3年ぐらいから、1人当たり飲んでいるお酒の量は次第に横ばいになっています。平成6年度、7年度を境に今度は逆に減少を始めている。ちょうどこのころ金融危機等があって、企業文化が次第に変わってきていて、社会におけるお酒の飲み方の変化等あったのかもしれません。
したがいまして、ここでちょっと申し上げたいことは、実は従来、バブル前、右肩上がりの時代は、どんどん課税数量が増えてきていた。それと、ここに消費者物価指数というのがございますけれども、これもインフレ基調だったわけです。したがいまして、だんだん生活が豊かになるにしたがって、酒の小売価格が上昇していく。皆さんが購入されるお酒の値段が上がっていく。そういう中で、従量税が基本でやっておりましたお酒でしたので、従価換算にすると次第に比率が下がってまいります。したがって、右肩上がりの時代の酒税というのは、基本的には税負担の適正化ということで、ある程度価格が上がってきて従価換算の率が下がると、お酒全体を増税して、増税する中で酒類間の税率を調整するといったような調整をしてきたわけでございます。ただ、現在は、今申し上げましたように、デフレ下で価格上昇がほぼない。お酒も1人当たりだんだん飲まなくなってきている。この中でまた成人人口が下がり始めますと、酒自体がだんだん飲まれなくなってくるだろう。こういう中で酒税についてどう考えていくのか、というのが一つ課題としてあると思います。
次のページも補足的な材料でございますけれども、1世帯当たり年間でどれぐらいお酒を買っているのかということですが、ポイントは、実はお酒にはお金をかけなくなっているということです。各世帯ごとにお酒にはあまり使わなくなっているというのが見て取れるかと思います。
こういう中で酒の税をどう考えるのかということで、12ページに「あるべき税制の構築に向けた基本方針」ということで、税制調査会で答申をいただいております。ここで傍線部だけ読みますけれども、「現行の酒類の区分(10種類)の簡素化を図り、酒類間の税負担格差を縮小する方向で見直していく。とりわけ『同種・同等のものには同様の負担』という消費課税の基本的考え方に適合していないものについては、早急に負担の均衡を図るべきである」ということで、右肩上がりで全体の増税ができない中で、どういうふうにしてこういうことを達成していくのかというのが課題になっておるということでございます。
13ページのところに、近年の酒税改正について概要を書いてございますけれども、平成8年以降のもの、これはすべて横断的な増税ではなくて、むしろ税負担格差の調整を図ってきた歴史ということが見て取れるかと思います。平成8年の時に発泡酒について税負担の見直しをしたあと、平成9年、10年で、これはWTOの勧告が出たのを踏まえてですけれども、蒸留酒間の税率格差を縮小しております。ですから、現在、しょうちゅう、ウイスキー、スピリッツ、リキュールといった蒸留酒は、品目分類は異なりますけれども、税率はほぼ同じ、横並びになっております。
それから、平成12年、13年には、しょうちゅうなのだけれども分類はみりんにするとか、しょうちゅうなのだけれども、合成清酒の分類でといったような、業者の側が出してきた新製品をしょうちゅう並みの課税にしたというのがございます。
平成15年、これは14ページにございますけれども、ビール・発泡酒、清酒・ワイン、あるいは清酒・合成清酒、リキュール・甘味果実酒といった同種同等のものについて、税負担格差を4分の1だけとりあえず縮小しました。これについてはまだ道半ばでございまして、まだ4分の3が残っているという状態になっております。
最後に、足元の動きとして、若干これも今後どう考えていくのかという問題がございますけれども、ビール・発泡酒について、今まで何度か議論がございましたけれども、最近、ビール風酒類と呼ばれているものが出てきております。15ページの右側のところの点線で囲ったようなものでございます。これはリキュール類、その他の雑酒という二つの種類のものが出てきておりまして、例えばリキュール類のほうは、発泡酒なのだけれども、ごくわずかだけ麦焼酎を加える。こうすることによって、リキュールというのは混合酒なものですから、分類が発泡酒から混合酒にいって、税金が20円ほど安くなる。あるいはその他の雑酒と呼ばれている分類のビール風の酒類については、麦芽を全く使わずにエンドウたんぱくを使って発酵させて、カラメルでビールの色をつけて売る。これでまた20円ほど安くなる。こういったものが出てきております。
16ページが、それによってビール・発泡酒関係がどういうふうになっているかということでございますけれども、これは平成15年の前半と今年の前半とで、ビール、発泡酒、ビール風酒類の三つを書いたものですが、全体の合計数量は変わらない中で、ビールもあまり変わらない中で、発泡酒のところにビール風の酒類というのが入り込んできているということでございます。
これのマーケットでの受けとめ方が最後のページに若干出ていますけれども、実際、メーカー側はこういうものについては、酒税の負担率が発泡酒より低いことを理由にして、低価格化が実現したというような広告宣伝を行って、酒販店でも同じように発泡酒と区別せずに陳列販売しているということになります。
ここで出てきている問題点は、冒頭申し上げましたように、従来の酒税法というのは、原料とか製法で区分してきて、これは租税法定主義ですので、厳密に区分してきて、そこで税率を張っていたわけですけれども、今となっては、これはビール風酒類に限らないことだと思いますが、メーカー側の技術力の向上で原料とか製法の壁をやすやすと乗り越えられるようになってきているということだろうと思います。こういう技術革新がある中で、税法におけるお酒の定義というのをどう考えるのか。従来の伝統的な原料・製法という形でずっとやっていくのか、あるいはそれがだんだん現実と乖離しているとみなすのか、こういったあたりも課題となるかと思います。
私のほうからは以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
最後の点が重要だと思いますが、そこに税制第三課長の、あるいは三課の問題意識があると思います。製法、原料で区別する10種類方法でやるのか、諸外国はもっともっと大括りですよね。三つ、四つぐらいですから。そういう意味で曲がり角に立っていますので、いろいろなご意見をいただきたいと思います。それから、ビール風何とかも出てきましたし。といって、これは今年度大上段に振りかぶって議論するというよりは、やや後段に出てくるテーマかと思います。ただ、パッチワーク的に直してきた酒税でありますので、そろそろ抜本的な見直しも必要な時期かもしれないという問題意識が多分我々の中にはあるのです。そういうことも踏まえまして、少し議論しましょう。どうぞ。
〇委員
ビール風酒類というのを気になるから飲んだのですが、発泡酒が最初出てきた時と同じに、ちょっとまずいですよね。こういうのは日本人の味覚を衰えさせるので、特に若い人が飲むと、これがビールだなんて思われて、たまったもんじゃないということはあります。それが税制の欠陥のおかげであるということを考えると、すべて税が作ってきた酒ですよね、発泡酒もビール風酒類も。それは制度のほうの欠陥ではないかなと思います。だから、ちゃんと直したほうがいいのではないか。こういうのを作ること自体は、商売をやっている人は何とかして儲けようとするわけだから、やめろというわけにもいかないし、そこのところは倫理観があるかなという気も、発泡酒の時はなかったけれども、今度のはするので、そんなところです。だから、制度的に直さないと、次々出てくる。
〇委員
つまり、税によってすき間を探すようなのはディストーションだから、税のほうを直したほうがこんなものは出ないだろうという発想ですよね。
〇委員
まあ、やっても出ると思いますけどね。
〇委員
やっても出るけれども、これほどまでにまずい酒は出てこないだろうということですね。
ほかにございますか。
〇委員
質問ですが、ビールや発泡酒から税金分を引いた残り、ビールの実力の値段とミネラルウォーターとどっちが高いですかね。おそらくミネラルウォーターというのは少なくともガソリンよりは高いですよね。ビールの場合はどうなのでしょうか。
〇委員
わかりますか。
〇事務局
正確な統計を手元に持っておりませんけれども、確かにおっしゃるように、ミネラルウォーターは酒税がかかっておりませんので、例えば15ページで見ていただくとわかると思いますけれども、発泡酒の場合であれば、下の消費税抜き小売価格というのが書いてございますが、発泡酒で145円、うち酒税46.98円というのが上に書いてあります。消費税も若干乗りますので、これを差し引きますと100円弱程度ということになるかと思います。もちろん、この種の発泡酒とかミネラルウォーターとかは、正確に原料費ということなのか、中に運送費だとかそういうものも入っておりますので、そういう部分は厳密にわかりませんけれども、税を除きますと、発泡酒のほうがかなり安いということが言えるかと思います。
〇委員
今のご発言の裏には、税金とどう絡めて議論したらいいのですか。ビールのほうが重すぎるというのですか。
〇委員
いや、重すぎるという意味でもありません。ただ、ちょっと興味があって。申しわけありません。
〇委員
なかなか含蓄に富む質問だから、どう考えたらいいか。
主税局長、何かありますか。
〇事務局
資料が飛び飛びで恐縮ですが、3ページに通常商品1本当たりの酒税額等というのが出ています。ここのところで350mlの缶、標準的な価格、消費税抜きで218円、1本当たりの酒税額が77円。したがって、これを引きますと130円ぐらいですね。350mlですので、それで割り算しますと、今の3倍ですか。ペットボトルはいくらぐらいするんですか。500mlですね。1.5倍ですので、それの1.5倍、今申し上げました140円の1.5倍、つまり200円ちょっととこれということですので、これ(ミネラルウォーター)がどれだけのコストがかかっているかわかりませんけれども……、値段はいくらですか。120円とか130円らしいですが、どちらを高いというかということだと思いますが。
〇委員
ほかに何かご意見ございますか。どうぞ。
〇委員
私は個人的には、アルコール類は一括して負担の均衡化を図るべきだと思っています。ただ、その場合に、度数当たりの税率なのか、あるいはリットル当たりの税率なのかということになってくると、これは非常に悩ましいところがあって、ただ、ビールとウイスキーをリットル当たりで同じ税率にするというのは、やはり度数がずいぶん違うわけですから、どちらかというと、今、4ページで出していただいた度数当たりの税率、これを均等化できないのかとは思っているのです。
もう1点は同種間で負担を均衡化するという場合に、それはそれで一つの考え方かなと思うのですが、では異種間でどう調整するのかという問題が今抜けているわけですね。それは安いものは税率を低くするというような考え方でいっているのか、どうもそのあたりが今後の課題で、学生の飲み方を見ていますと、その時その時に応じていろいろな酒を飲みますから、そういう意味では、税率の差で歪みがあってはいけないというようには思います。ただ、何単位当たりの税率を等しくするかということが非常に難しいなということです。
〇委員
おっしゃるとおりですね。悩ましい問題ですね。
どうぞ。
〇委員
基本的なことでいつもすみませんが、酒税の決め方です。さっきの委員が言ったような味で決めるというのはおそらくできないだろうから、度数と飲む量ですか、どういう決め方を、基本的な質問で恐縮ですが、酒税の原点は。
〇事務局
それは現行のという意味でございますか。
〇委員
そうです、もちろん現行の。
〇事務局
現行の税のかけ方は、まさに3ページにお示ししましたとおり、通常のアルコール、標準的なアルコール度において1kl当たり税率がいくらになるかという形でございますので、純粋に、例えば清酒をたくさん飲めば、その分だけ1 kl当たり税率でたくさんお払いいただいている。こういうような形でございます。
〇委員
ということは、基本的に度数の調整ということですか。
〇事務局
度数の調整と量の調整と両方入っております。ですから、通常の清酒15度というふうに前提を置いてありますけれども、仮に16度の清酒が出てきました場合には、ここの1kl当たり税率は14万500円ではなくて、その14万500円に9,367円という1度度数当たりの税率を加えたものという形になります。ですから、その分度数が上がれば税金が高くなるというのが通常のやり方でございます。
〇委員
さて、まだあるかもしれませんが、お酒にかまけて時間が大分過ぎてしまいました。環境税が残っていますから、残りこれを片付けたいと思います。また酒税の話はいずれやると思いますので。
では、税制第三課長と企画課長、環境税についてご説明ください。
〇事務局
引き続きまして、「基礎小22-4」「資料(環境税関係)」というものに沿ってご説明をしたいと思います。
最初に、1ページでございますけれども、実は環境問題は、すでに実像把握の中のキー・ファクトの8というのに出てきておりまして、そこでは上に囲んであるように、従来の産業型の公害に加えて、オゾン層破壊、酸性雨、地球温暖化等、様々な環境問題が顕在化している。これについては環境と経済の両立が必要だということが報告の中に盛り込まれているということでございます。
他方で地球温暖化につきましては、下の右側に書いてありますように、予想される影響等から今最も重要な環境問題の一つとされていまして、京都議定書でも温室効果ガスの6%の削減というのがうたわれているところでございます。その関係をざっと最初に見ていただきたいと思います。
まず2ページでございます。これが地球温暖化問題の経緯という年表でございます。ポイントになるところだけ拾っていきます。まず上から二つ目の「〇」、平成9年の12月、ここでいわゆる「京都会議」というものが行われまして、この場で各国ごとにCO2などの温室効果ガスの削減目標が定められました。日本の場合には6%を平成20年から24年の5年間の間に削減するということが一応決まったということでございます。これは実は日本は批准をして、全体の条約が発効していなかったのですけれども、年表の一番下にございますように、ロシアが9月になって、京都議定書を批准する旨の政府決定をいたしております。ですから、ロシアが批准をすれば、批准後90日たてばこの義務が発効するという形になります。
これに対して日本国内はどうしてきたかということが「〇」の三つ目、平成10年の3月に地球温暖化対策推進大綱というものを政府で作りまして、この京都議定書の6%削減を履行するために具体的裏づけのある対策を提示するという観点から議論をしていったところでございまして、昨年の8月に、四つ目の「○」ですが、中央環境審議会におきまして、温暖化対策税制の具体的な制度の案というものが公表されています。これはその下の黒ポツに書いてありますように、炭素1トン当たりで3,400円、ガソリンにすると約2円を課税する。エネルギー課税をする。その時に想定される税収規模は9,500億円程度だということになっております。ただ、これは国民的議論のためのたたき台という位置づけであって、環境省案というわけではございません。ですから、正式のはまだ存在していないという状態にございます。その後、今年に入りまして、中央環境審議会、産業構造審議会等で様々な議論がされていますが、これはあとでご説明したいと思います。
3ページは飛ばしていただきまして、4ページ、ここで、では6%削減というのをどうするのかというのが、地球温暖化対策推進大綱の中で一応削減目標が設定されております。これを見ていただきますと、基準年1990年と書いてある欄、ここに90年時点の総排出量が書いてございます。これで見ますと、二酸化炭素換算にして12億3,700万トンを日本は排出している。ここから6%削減しなければいけない。その右の欄でございますけれども、総削減量は7,400万トンになる。これが6%に相当する数字でございまして、これを分野別に割って、それぞれの役割分担が定められているという形になります。
ここでちょっと申し上げておきたいのは、まず総量からしてみると、[1]のエネルギー起源の二酸化炭素、例えばこれはガソリンを使ったりした時に出てくる二酸化炭素ですが、これが圧倒的であるということでございます。分野別の排出量で見ていただきますと、85%程度が実はここから出ているということが第1点。
それから、第2点目に、一番下の[6]、その他(京都メカニズムの活用等)というのが出てまいります。これは俗にいう排出権取引などがここに入りますけれども、排出権だけではなくて、例えば日本が先進国や途上国に出ていきまして、共同でCO2の削減事業をやって、実際削減された場合には、それがカウントされるといったような共同事業的なものもここで認められております。ただ、いずれにせよ、[6]のところは補完的措置だというふうに推進大綱ではされております。
次、5ページでございます。これが6%削減を取り巻く現状でございます。左側の温室効果ガス総排出量でございますが、先ほど申し上げましたように、基準年、12億3,700万トン出していた。これの一番右側、京都議定書の目標というのがございますが、実はその後もどんどんCO2が増えておりまして、平成14年度時点では13億3,100万トンまで増えています。したがって、6%削減ではなくて、現実には現時点から13.6%の削減という形になっています。
このうち最も量が多い、先ほど申し上げましたように、エネルギー起源のCO2の排出量のところだけ取り出したのが右側のところでございます。これはそれぞれ部門別に産業部門、民生部門、運輸部門とございまして、それぞれどういうところに落ち着いていくのかを矢印で書いてありますけれども、これをご覧いただくと、民生部門、運輸部門のところはかなり増えていますので、ここから急降下していくのは、なかなかしんどいものがあるのかなと思います。
6ページ、これがややスケジュール的なものでございますけれども、地球温暖化対策推進大綱では、ステップ・バイ・ステップでアプローチしていこうということで、実際の約束年である一番右側にある2008年から2012年に先立つ6年間を二つに分けまして、第1ステップ、第2ステップというのがございます。実は今年は第1ステップの最終年に当たります。第1ステップの間に講じてきた施策が足りないということになりますと、第2ステップで新たに政策を講ずるということになっていまして、それの見直しの年である。こうした流れの中で環境税の議論がされているということでございます。
ここまでが総論でございまして、次に環境税のほうに足早に入らせていただきます。
7ページ、ここは、6%削減約束に向けて地球温暖化対策推進大綱の中で税が記述されている部分でございます。ここでは、税、課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながらいくつかの観点、そこでは環境保全上の効果であるとか、国民経済に与える影響であるとか、諸外国の取り組みの現状、こういった論点について引き続き総合的に検討するということになっております。
次の8ページ、これは当税制調査会で昨年6月、少子・高齢社会の答申の際に、環境税についても議論いただいていまして、それの該当箇所を抜いてあります。三の「環境問題への対応」ということで、「基本的考え方」のところですけれども、「環境問題に対する総合的な取組みの一環として、税制面での対応について、幅広い観点から検討していく必要がある」ということで、その下に2で税制面で対応する際の検討の留意点が並べてございます。
「まず」というふうに書き出しております第2段落目のところでは、環境税というのはエネルギーに対して税を課して、それによって消費を抑えていくという考え方、これについてどう考えるのか。これは俗に価格インセンティブ効果と言われていますけれども、傍線のところで申し上げれば、特定の政策目的に税制を活用することや政策目的が実現されるにつれて税収が下がっていくということになります。こういうものは課徴金ではないかというご意見があったというのが1点。
それから、「さらに」と書いてございます財源確保のところについてですけれども、ここで出てきた税収を地球温暖化対策に使うというような観点から見た時に、一般財源にするのか、目的税または特定財源にするのかというのは、税の基本的な考え方に沿って検討する必要がある。基本は一般財源でしょうということだったかと思います。
それから、前提条件として、その次に「いずれにせよ」というところで、国民の理解と協力が得られることが不可欠だと。こういった中で汚染者負担原則に立って、引き続き幅広い観点から検討するということで、最後に既存エネルギー税制との関係についてメンションがございます。
今年に入ってから、9ページですけれども、地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しをしなければいけないということで、中央環境審議会がいろいろ議論しております。これが8月の時点での中間取りまとめでございまして、これも税のところだけ抜いてきておりますけれども、左側の二つ目の「〇」のところ、温暖化対策税制の効果としてはということで、3点挙げています。1つは化石燃料に課税してという点で、価格インセンティブ効果がある。2番目に税収を使うということの地球温暖化対策の活用による効果がある。3番目にアナウンスメント効果があるということで、そのあとの「○」で、様々な観点から比較して、結局、右側の欄の線が引いてある最初の「このため」のところですけれども、温暖化対策税制が有力な手段だと言いつつ、その次のところで、いろいろ有効性等について疑義があるので、さらに議論を深めることが適当ということになっております。
10ページでございますけれども、これは温暖化対策税制というところだけに焦点を当てて、同じ中央環境審議会の中の施策総合企画小委員会というところで議論されていることでございます。ここでは、課題として残された主な事項というのが掲げられておりまして、そこの左側の黒ポツで書いてあるようなところ、現時点ではこれらはまだできていないということで、具体案がない状態になっております。右側のところにありますように、産業界からの反対の意見等があることを踏まえて、さらなる意見交換が必要であるというふうにされております。
11ページ、これは今度、経産省の産業構造審議会のほうの中間とりまとめでございまして、ここでは導入に反対という指摘があったということで、線を引いてある部分がまさに反対の理由であります。効果が不明確であるとか、あるいは国際競争力に悪影響があるとか、あるいは空洞化が起こるかもしれないとか、予算は既存の枠組みの中で十分確保されているとか、こういったことを踏まえて、最後のところで、総合的かつ慎重に検討することが重要とされております。
以上、12ページのところで簡単に論点だけまとめてございます。一番上の四角の中でございますけれども、京都議定書で定められた温室効果ガス6%削減のために必要な施策がどうなっているのかという全体の地図、そういうものの中で税がどう位置づけられるのか、それは規制的手法、自主的取組み、税制以外の経済的手法との比較等幅広い観点から検討されなければいけない。プラスで国民の理解と協力が必要。これは税制調査会の答申でも出ていたかと思います。
以上の全体のもとで税制面の対応について考えると、以下のような論点があるということで一番下に五つの「〇事務局」が書いてございます。価格インセンティブ効果なのか財源確保なのか、課徴金なのか環境税なのか、あるいは特定財源にするのか、既存予算を活用するなどの形にするのか、それから、課税対象として汚染者負担の原則(PPP)というのが税制調査会でも挙げられておりました。それから、最後に既存エネルギー関係諸税との関係ということでございまして、議論の前提条件がなかなかそろわないという中ではございますけれども、第1ステップの最終年になっているということを踏まえて議論していく必要があるかと思います。
そのあとは参考資料ですので、説明は省略させていただきます。以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
では、企画課長、急いで地方側をご説明ください。
〇事務局
全体の説明がありましたので、地方との絡みを簡単に「基礎小22-5」という資料でご説明いたします。
1ページ、環境問題、特に地球温暖化対策に関する地方の責務でありますけれども、環境基本法の36条では、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を実施するというのが責務になっております。
下のほうで地球温暖化対策推進法では、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を推進するとされておりまして、2項で、地方公共団体自らの事業に関し、温室効果ガス排出の抑制のための措置を講ずるとともに、区域の事業者又は住民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進を図る云々というふうに責務が書かれているわけであります。
そういうもとで2ページでありますけれども、国のほうの13ページの参考資料で説明されましたが、それに見合う形でどんなことを地方団体がやっているかというのを整理したものでございます。民生・産業部門では住宅用の省エネ機器助成とか、あるいは公共交通機関の整備、自転車利用の促進、低公害車導入、新エネルギー対策では風力発電その他、原子力の推進等もございます。あと廃棄物処理施設事業、これは今非常に排ガスの少ない高機能なものへ更新する市町村が多ございます。その他ノーカーデーとか、造林、公共施設の屋上緑化等々、主にやっているものを中心に掲げたわけであります。
金額的には備考欄に、国の13ページに対応するような形でわかるものだけ、それも大きめなものだけ記載しております。
それから、3ページでございますけれども、地方税と環境の関わり、税の面でどういうことをやっているかをここに書かせていただきました。
まず1番では、特例的に税負担の軽課・重課、軽減を行うという政策税制でありますけれども、一番上の「〇」にありますように、「自動車税のグリーン化」ということで、環境負荷の小さい自動車は軽減、大きい自動車は重課というのを、地方税独自のものとして13年に導入いたしまして、これは実は大変効果が出ていると思います。税収中立の予定が大減収になるぐらい、新しい車はみんな低公害車になったというようなことが現れております。それから、二つ目の「○」の自動車取得税の軽減措置も相当な効果、この二つがあいまって、少なくとも自動車の排出ガスは相当きれいになりつつあるのではないかと考えております。
それから、2番で、結果としていわゆる従量課税等で環境負荷の軽減になるのではないかというのが軽油引取税とかでございます。それから、自動車税、軽自動車税は、排気量の大きい車は高くなるという設定になっているということであります。
ちなみに、従量税としては、かつて電気税、ガス税のような市町村税があったということであります。
3番に新しい話なのですが、森林環境税というような名前で、住民税の均等割を超過課税する動きが最近4県出ておりまして、例えば高知県ですと、個人、法人ともに森林を守るために使うのですということで、これはもちろん水と空気と両方ありますけれども、年額500円を超過課税する。つまり個人の均等割の税率が1,000円のところ、さらに500円上乗せするというようなことであります。ほかの県では法人のほうは均等割に5%ということであります。法人の均等割は、資本によって、2万円から80万円であり、その5%というような決めをしているところもありまして、それぞれこれでそうした森づくりのお金を出す。ただ、これは従量税でも何でもありませんで、啓蒙的な効果という意味では相当あると思いますけれども、抑制効果という面ではどうかというのはございます。
その点、一番最後の産業廃棄物税ですが、これは大分広がってまいりまして、今成立していますのが13府県、1政令市でありまして、今協議に来ていますのが6県ほどございますが、こちらのほうは当該府県に聞きますと、かなり排出の抑制効果もあるのではないかというようなお話を伺っております。
大雑把でありますが、以上でございます。よろしくお願いいたします。
〇委員
ありがとうございました。
予定した時間にほぼなっていますが、せっかくでございますから、若干時間を延長させていただきます。環境税でご質問なりご意見、どうぞ。
〇委員
地球環境問題、特に京都の問題は、ロシアの話もありますし、ブッシュとケリーの話もありますし、アメリカがどうなるか、それから開発途上国が入っていない、そういういろいろな問題があって、非常に不確実で、今この際何かを決めるというのは、いいことなのかどうかよくわからないというのが私の率直な印象ですが、他方では、京都メカニズムで「京都」という名前がついているので、実際に発効して日本がうまくこの京都の目標を満たせないような状況になった時に、非常に困るという状況にもなると思うのです。しかも、この種の話は対策にはかなり時間がかかる。例えば税金を入れても、それがエネルギー削減という形で実際に数値に出てくるまでに5年、10年下手したらかかるし、税金を整備するだけでもかなり大変なので、早い時点から準備だけはある程度しておいたほうがいいのではないかと思います。
そういう意味では、環境税の話を税調ではしなさすぎるのではないか。高率で入れるとか、低率で入れるとか、どの税率でというような議論をするよりも、まず入れるとしたらどういう税の構造がいいのかということを、そろそろ議論しておかないと、いざという時に困るのではないかというのが私の印象です。
なぜかというと、簡単に理由を説明すれば、5ページに書いてありますけれども、今、産業部門は景気が悪いということもありますから割と減っていて、減らないのは民生と運輸です。基本的には、産業部門だと大規模な排出減はどのぐらい減らしたかということが割と見えるので、自主規制とかそういうのでコントロールできますけれども、家庭とか車はそう簡単に見えない。だからインセンティブでコントロールするしかなくて、出しすぎているから減らしなさいといっても、誰を減らしたらいいのかよくわからない。そういう意味では、税金が一番きちんと機能するのは民生と運輸。言い換えると、税金以外ではなかなか民生、運輸をコントロールできない。そういう意味で、環境税を使わないと、最終的に京都が本当に問題になってしまった時に大変なのではないかと私個人は思っています。それが2点目です。
3点目として、ちゃんとした議論したほうがいいというもう一つの理由は、環境税というのはやはり炭素ベースでやるべきであって、そういう意味では、既存のエネルギー税を一緒にきちんと考えるべきだと思うのです。小泉内閣ができた時には、まさにエネルギー税で特定財源とかいろいろな話があったわけですが、それも含めて今全然議論されていない。そこも含めてきちんと議論をすべきタイミングに来ているのではないかと思います。
最後にもう一言だけですが、もし本当に価格インセンティブとしてきちんと入れるならば、税率をもっと高くする。1リットル2円なんていうのは絶対効きっこない。2番目に、まさに道路とかの特定財源で懲りているわけですから、特定財源にはしない。本来、経済学とかそういう議論でやっても、これは特定財源にする必要は全然ない話であって、むしろするとまずいというのが普通の議論ですから、特定財源にはむしろしない。道路特定財源も含めて全部見直す。環境税としてエネルギー関係諸税を見直して、特定財源を外すということを、そろそろきちんと議論すべきタイミングに来ているのではないかと思います。
〇委員
全く賛成ですね。
どうぞ。
〇委員
今の委員が言ってくれたのですが、後半の話で道路特定財源を含めての見直し、実はさっきの酒の下にずっと並んでいるんですね。先ほど10%の分、軽減税率を抱き合わせに使うかもしれないとおっしゃったけど、抱き合わせに使うのだったら、この特定財源のほうを使っていただくのが一番よろしいかと思います。つまり、消費税の抱き合わせでいいものがないということで、軽減税率のほうにいってしまうよりは、特定財源のほうを、これはダブついているわけですから。そこにまた環境税2%とか、それはガソリンからいくらでも取れるからということはあるでしょうけれども、でも、今ガソリンと自動車重量税で4兆4,000億円ですよね。これが余って今無理やりに道を作っていますから、それを何とか少し分けるなり何なり、いずれにしろ特定財源の使い道を見直していく必要がある。
それから、2%ぐらいやっても、今ガソリンが急騰して20円か30円上がっても、我々は必要だからガソリンスタンドへ行ってガソリンを入れるんですよね。だから、価格インセンティブはあまり当てにならないのではないかと思っていますけれども。
〇委員
今のご意見は、特定財源を削減して、消費税アップの時の減税財源に使えと、そういうことですか。環境税に振り替えるという意味ではないんですね。
〇委員
環境税は一般財源でやればいいと、もしあるとしたら。
〇委員
今、エネルギー関連の特定財源がいっぱいありますよね。これはやはりどんどん一般財源にしていかないと、余っているんですから、いい加減に使っているわけですから、これはとにかく一般財源化していって、そこから環境対策の財源は十分ひねり出せるだろうと。まず一般財源化の議論をすべきではないか。
それから、もう一つ、勉強するのはいいと思いますが、具体的な議論というのは今この時期できるのか。つまり、消費税の問題あり、所得税の問題あり、さらに環境税などという話は、当然ながら政治的にもたない話でしょう。むしろ消費税とかその辺のところの足を引っ張るのではないかという懸念を私は持っております。
〇委員
税調の時間的配分ですね。エネルギーの問題もあるかもしれないし。環境省に少し下駄を預けてという面があったと思うので、先程の委員が危惧されているように、少しやってなさすぎたのではないかといいますが、おっしゃるとおり、全くやらなくてもいいというわけでもないでしょうから、多分委員も、ほどほどに他のトピックスと関連づけてということでしょう。難しいですね。時間配分はこれから事務局とも相談して……。
では、どうぞ、最後に。
〇委員
先ほど税制第三課長がご説明になった2ページの地球温暖化問題の経緯ですが、そのうちのご説明になった4番目の「○」です。平成15年に中央環境審議会が温暖化対策税制の具体的な制度の案として一つ出したものですけれども、これは炭素1トン当たり3,400円という数字を見れば、それほどでもないように思われるのですが、最終的に税収規模が1兆円近い税金であって、試算によりますと、それによって温室効果ガスの排出は1%しか抑えられないというのです。ということは、環境税として仕組んだ場合に、何の意味もなくて、国民の抵抗だけ大きくて、効果は意味がなくなる。そこで結局、歳出をどういうふうに持っていって、それによって何とか設備の改善をしようと、こういうことなのですけれども、非常にまずいといいますか、これではとても税制として成り立たないなというのが私の印象なのですけれども、やはり税制調査会あるいは財務省のほうで明確な、基本的な構造とかそういうものを検討していただきたいと思います。
〇委員
要するにイニシアチブをとって議論したらいいのではないかと、こういうご意見ですね。それは時間との関係もありますけれども、すべからくうまくセットできれば、その議論はすべきなのでしょうね。
さて、まだおありかと思いますが、大分時間が過ぎてしまいました。いずれこの種の問題はまた議論する場を設けますので、その時またご発言いただきましょう。
次回以降の予定をちょっと申し上げて散会にしたいと思いますが、今週の15日、金曜日でありますが、総会を開きます。今日の議論と前回の個人所得課税をあわせて総会にご報告して、総会の方々のご意見を聞き、また我々との意見を交わしたいと思っていますので、ぜひご出席ください。
それから、10月19日、来週の火曜日になりますが、2時から法人課税、国際課税等々、企業関係のことに触れたいと思っておりますので、ぜひご予定いただきたいと思います。
ちょっと時間が過ぎました。申しわけありません。では、これにて。どうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。