総会(第20回)・基礎問題小委員会(第27回)合同会議後の石会長記者会見の模様
日時:平成16年11月12日(金)15:08~15:27
〇石会長
今、ご出席いただいて傍聴されたことに尽きますけれども、今日の議論の結果を踏まえましてどうしようかというあたりの整理をしておかなければいけないと思ってます。数々の問題が出されました。冒頭、私が説明しましたように、経産省案も環境省案も一つの参考案ですよね。したがって、あの中身に立ち入ってとやかくコメントするというよりは、あれをベースにして税調がいかなる環境税に対する意見を持つかという議論に徹したわけであります。それで今日、最後にまとめましたように、さまざまな多くの問題が出ましたので、それを取り上げて、環境税の検討を早急にしなきゃいかんということが皆さんのご意見だろうと思います。したがって、ここで環境税がどうなるとか、こうなるとかというのは、まだ即断するのは早いんでありまして、おそらく来年の今ごろまでいろんな形で議論を進めさせなきゃいけない。なにぶんにも情報不足、それから分析不足というのも大きいと思います。それから、規制一つ取り上げましてもですね、それに対するさまざまな感覚の違いもありますよね。まあさまざまな人がさまざまなことを言っているわけで、それ以外に我々がこれから整理し、ある論点を国民に提示できるかというところがポイントだと思ってます。そういう意味で、どなたかがおっしゃってましたけれども、やっぱり国民的課題なんですね。皆さん、それとなく気象の異常にも気がついておりますし、地球温暖化に対するさまざまな弊害にももう気がつかれたでしょう。そういう自然現象のなか、プラス国際的責任が京都議定書なんかも出てきましたから、ある意味では待ったなしなんですよね。したがって、この種の厄介な問題のときには先送りして、まあ中長期的見通しから検討しましょうというような形で、少し逃げるときもありますけど、この問題はそうはいかんでしょう。そういう意味で議論をこれからしかるべき仕組みをつくってやっていきたいと、このように考えてます。しかし、いろんな障害が山ほどありますね。どういうふうな形でクリアできるか。例えば一つの障害は、既存税制との兼ね合いをどうやってつけていくかということだと思います。既存税制の大きな塊があって、それがある意味では環境税と逆なような方向に作用している例があったとき、まあ小規模な環境税でどうなるかということも、今日どなたかおっしゃってましたけども、そういう議論が多分というか大いにあるわけでして、これをどんな形で整理するかということであります。
そういうわけで、主要な税目の検討を今日で終えましたので、先程申し上げましたように、来週から起草に入りたいと思っております。あまりないないと言いつつ、随分多くの税目と、それから大きな論点が出てきたと思いますので、それをどういう形で整理するかというのが起草の役割ではなかろうかと思ってます。いずれにいたしましても、4~5回起草問題をやりつつ、総会というのを重ねてまとめていきたいと思ってます。一応、最終的なものは25日にまとめて首相のところに持っていきたいと、このように考えておりますので、ここ1~2週間、いろんな形で精力的にやらなきゃいかんと考えております。
今日は環境税に限ってではございますが、何かご質問あればお答えいたします。
〇記者
分析不足、情報不足ということなんですけども、2005年の税制改正には間に合わないということでよろしいのでしょうか。
〇石会長
今日お聞きになっていておわかりのように、環境省案が丸飲みされるという状況ではないですよね。しかし、環境税は必要だということは皆さん、そういう理解に達しているわけですよね。したがって、来年度の税制改正に絡んでやはり環境税も議論しているわけですから、そのなかでできることがあれば、これからの議論がホットになってくると思います。だから、来年はだめで先だよという切り離し方はちょっと急だと思うんですね。さっき申し上げたように、時間的には切迫してますからね、絶えず環境税の議論、あるいは地球温暖化防止の議論、京都議定書の中身をどうやって達成するか、議論は重ねていかなきゃいけませんので、その結果としてですね、この環境税の具体的なデザイン、もしくは入れようとすれば出てくるだろうし、まあ、環境税なくして京都議定書の達成ができるかということは今日の少数意見だと思いますので、税調としても環境税の問題は主体的にやらなきゃいかんと思ってます。
〇記者
では引き続き環境税を検討…。
〇石会長
内閣府のほうの中にある地球温暖化対策推進大綱、今度具体的にやらなきゃいけない、見直しの時期ですよね。あれとの絡みで、さっき言った13.6%かな、あの中身について…。あれは実は国の責任ですよ。あれをどうやって縮めていくのかというのは。そのなかで税制の部分がどのぐらいあるかというのが決まれば、それはもうすぐ税調の議論だし、なくて一体どうなるかわかりませんけれども、なくて補助金でやるとか、なんかそういうことになっても、おそらく財政の問題でしょうから。でも、財源調達の問題はどうしても残るでしょうからね、その問題は我々としても真剣に受けとめたいと考えてます。ただ、見通すところ、税抜きで13.6%、税制抜きで13.6%削減を達成するということは、今日も皆さんおっしゃってたけど、難しいですよね。ポリシーミックスが必要だというのは、まさにそのとおりだと思います。
〇記者
そうなりまして集まったお金というのは、やっぱり一般会計に入れたほうが効果的…。
〇石会長
一般財源というのは、これはどこの国でもそうですからね。私はそれが当然だと思います。ただ、今日なにやら疑問を呈しておられた方がいるけど、ああいう関係者みたいな人まで一律一般財源といいつつ、使途を特定化してというのもちょっとおかしな話だと思いますけど、ただ、まあその辺の緩やかなリンケージというのはあるのかなとも思いつつも、まあ基本的には一般財源。それから、たまたま今度の環境省案に企業の活力云々とか、まああれは社会保険料みたいなことを言っているのかもしれませんけど、ヨーロッパの環境税というのは、一般財源で所得税等々を減税に回したり、今言った社会保険料の減免に回したり、いろんなことを多目的にやってますんでね、まあそういうことを参考にするのか、参考にしないのか、それはちょっと議論しなきゃいけないと思います。
〇記者
来週から起草に入るということなんですけれども、ちょっと税の哲学論になってしまうんですけれども、今回の税制改正によってどう社会のインセンティブの枠組みとかを変えていきたいとか、そういうのはありますか。
〇石会長
要するに課税の公平・中立・簡素化というのが我々のにしきの御旗でやってましてね、これまで税制は減税という形で景気対策、景気に対してインセンティブを与えようとか、さまざまなインセンティブというのをやり過ぎたと思ってるんですよ。所得税を使ってもいろんなことをやりましたからね。だから、哲学的に言うなら、本来の公平な、かつ中立な複雑でない税制をつくるというほうに主眼がありますから、それを通じて民間活力が出てくるようになるだろうと思います。個別の施策に税を使うという視点よりは、トータルで見て公平・中立というその基準を生かすのが重要だと思っているんですよ、税調も大体。したがって、税のなかにさまざま潜んでいる不公平とか、あるいはゆがみとかひずみとか、そういうことをどうやって是正するかというほうに我々の主たる関心がありますね。
〇記者
結局、お話を伺うと、環境税の必要性と、環境税そのものを考える必要性は、税調でも認識して今後議論するということですが、要は05年度、来年度の改正に盛り込むのか、それとも、総会でも意見がありましたけれども、中期的なものとして位置づけるのか、どちらなんでしょうか。
〇石会長
答申案の書く段階で、もう一回基礎問題小委員会で、来年度税制との絡みでどう位置づけるかという議論はもう1ラウンドあるんだと思いますよ。それは、どういう具体的なデザインをするかによると思いますけれども、そこは少しはっきり、来年度あるいは再来年度以降というような分け方ではなくて、来年度以降の大きな問題としてつなげていけばいいというふうに考えてますけどね。これはもう1段落やって、結果的に答申にどう書き込めるかというところの問題だと考えてます。今の段階でそれを分けちゃうのは、私の頭のなかではちょっと難しいかなとは思ってますけどね。
〇記者
以前、環境税のことを会見で問われたときに会長のほうが、本来は数カ月ぐらいかけて、小委員会でもつくってやったほうがいいと。で、引き続き議論をするということになったわけですけれども、これについては、会長としてどういうふうな…。
〇石会長
今日だけで十分な議論をしたとは誰も思いませんよね。今日は集中審議とは銘打っても、まあたかだか2時間、説明が30分ありましたから90分のなかで議論がつきたわけではなくて、今日出てきた問題点だけだって、クリアしなきゃならないのが八つも九つも、十ぐらいあるわけですから、やっぱり時間かけてそれをつぶしていかなきゃいけないということになればですね、と同時に外側でのんびりやろうという話でもないだろうということになれば、これは集中審議みたいのを何回も繰り返さざるを得ない事態にも多分なるだろうと思いますし、まあいずれ、例えばですね、一番具体的なご質問の趣旨は、小委員会みたいのをつくってまでもやるかという話でしょう。
これはひとえに、先程から申しております内閣府のほうの地球温暖化対策推進大綱の見直し、今はなんか三位一体でひいこら言ってるから手が回らないようですが、それはおそらく年明けぐらいから具体化してくるんだと思います。というのは、政府としたって、京都議定書の実現に向けて責任が出てますから、なんかせにゃいかんでしょう。そのなかで具体的に税制の役割と税調の審議の役割は決まってくると思いますから、その段階で、仮にですよ、小委員会云々があれば改めて議論しなきゃいけないというふうには考えてます。ちょっとこの辺は外側の影響要因で少し変更されるかもしれません。
〇記者
環境省案は丸飲みはしないけれども、一応たたき台としては生きてるというかあれが…。
〇石会長
あれがはじめて公に出た案ではありますよね。で、あの辺で丸飲みというのか、丸々あれで 100%オーケーという人は多分いなかったけど、あれはあれなりの、一つの仕組みとしてね。ただ、あれを選択肢の一つとし、次の選択肢を考えるときには、例えばあれとまた逆方向で、今日も大分出てたけど、1円50銭なんてどうしようもないから、1トン当たり10万か20万にして20~30円にしてね、減税に回せとかいう選択肢もあるという意味において、あれは参考になるだろうということでしょうね。…と思います。
〇記者
環境税とは関係ないんですが、今日、7-9月のQEが出て、今週の火曜日にやった定率減税ですけれども、これも若干減速傾向が出ていたわけですが、それに対する影響については、会長としてはなにかご見解ありますでしょうか。
〇石会長
まあ表現上、少し減速の表現にはなっていると思いますが、あれで消費はそこそこ堅調じゃないですか。それから名目GDPの例のマイナスになっていないし、まあいずれにしましても、今の時点と2006年1月を目指す定率減税が仮に実現するとしたときのギャップは、まだ1年数カ月ありますからね。今の状態がそのままどんどんどんどん下降してですよ、2006年1月まで続くとも思えないし、幾つかまた揺り戻しもあるんだろうと思いますから、そういう意味では、今回出された7-9というのは、現状においての参考面はあるけど、先行きの政策決定にはそう決定的な役割は与えないと思いますね。まあ、そりゃあ今は非常に景気よくて、先行きもっと明るいというほうがハッピーですけど、なかなかそうならないのが世の中の常でありますから。といって今のまま超悲観してもうやめたという話でもないでしょう…と思ってます。
まだまだ、そもそも堅調なんじゃないですか、若干堅調の前にただし書きが少し落ちたけど、そう思います。
〇記者
先程、会長は05年度の改正に盛り込むのか盛り込まないかというところで、今の段階で分けるのは難しいというふうにおっしゃいましたが、その点に関連してなんですけれども、環境省は環境税の導入を平成18年1月からという目処をつけて検討しているのですが、それも一応、そういうのも視野には入って、全然実現できないと決まったわけではないというふうな受けとり方でよろしいでしょう。
〇石会長
来年度やるやつがAとB、それ以降がCとD、以下ずっとまとめて書くような書き方にするか、それともA、B、C、D、全部一気に一つのカテゴリーで、平成17年度税制改正に関する幾つかの検討事項と書くか、それはまだ決めてないんですよ。ただ、おそらく限定してもう来年はこれだけやっていくという書き方ではなくて、幅広にいろんな検討をしましたからね、我々これまで。例えば三位一体の話、これあり。金融所得の一元化と納番の問題あり、定率減税あり、消費税もといろいろありますから、そのなかに環境税が新しい装いをこらして、重要な検討項目に加わったということだと思いますね。したがって、これから起草の段階でどうまとめるかですけど、例えば環境省が言っているような形で書けるのか、あるいはそれは多分難しいとなれば、時期は明示できないけど、早急に検討して議論を重ねてというような形になるか、そのあたりかなとは思ってますけどね。したがって、今おっしゃるような、2006年1月というような話は、環境省は環境省で言ってるんであって、我々としてはそういう制約をされることは多分ないでしょう。といって全面的に否定しているわけでもないし…。
〇記者
念押しなんですけど、今日の総会終了時点で、政府税調は05年度改正に環境税を、時期なりどうなり具体的に明示するかどうかはまだ決めてないという意味ですか。
〇石会長
いいですよ。だって、環境省案自体を丸飲みするという案がないんだから。いずれにしても、あれをベースで議論するんだったら、さらに幾つか議論せなきゃいけないのは明々白々ですよね。あのままそっくり採用して云々という議論でないというのは、今日、皆さんご覧になっている。しかし、税なくして規制だけできるとも皆さん思ってないわけだから、そういう意味では我々税調としてはまあスタート…審議を本格的に始めなきゃいかんという再確認をしたということでしょうね。
まあどちらかと言えば、まとめて言えば、環境税にはある程度理解があって、環境省案にはもう一つ不満があったということなのかなあ、議論としてはね。まあお聞きのとおりです。
〇記者
今日の議論のなかでは、ヨーロッパみたいな形ですね、要するに強くかけてという意見がありましたけれども。それをもっと突き詰めると、逆に言うと税収中立であるとか、ほかの根本的な税制を変えくちゃいけないとか話になったりするんですが、そういう話を検討する余地というのも相当あるんでしょうか、今後。
〇石会長
まあもう一つ、今回みたいに低負担補助金型に比べれば、高負担減税型なんていう選択肢はあり得るんでしょう。あるいは高負担減税プラス一般財源化があるんでしょうけども、幾つかは私は議論の余地はあると思いますけど、ただ、税制改革の行く末を見たときに、大物がいっぱいこれから控えてる。定率減税あり、消費税あり、あと三位一体等々等々あるなかに、その大きなものを抱えて消化できるかという問題は残るよね。今日は大分議論も出ましたけれどもね、その辺のかねあいが問題になってくるんじゃないですか、その大物にチャレンジするには。そんな気がしますけどね。まあ、それは我々のエネルギーと時間をどれだけ使って、能力に応じて頑張るかですね。…というわけです。起草に入ると、というわけでしばらくお目にかかれませんが、グッドラックです。
(以上)