第15回総会・第18回基礎問題小委員会合同会議後の石会長記者会見の模様
日時:平成16年9月21日(火)15:58~16:28
〇石会長
久しぶりにお目にかかってハッピーでありますが、久しぶりに活気がありますね、この部屋も。既に総会にご出席の方もいらっしゃっていると思いますので、細かい内容のご紹介は省きますが、秋にかけて、あるいは来年度税制改正にかけて今日から議論をスタートしたわけであります。
今後のスケジュール等々につきましては、事務局の説明もありましたけれども、我々としては、いろいろ外側で決まってくる事情、つまり与党大綱であるとか、経済財政諮問会議のいろいろなご意見とか、当然念頭に置きますが、我々として、税調として、短期的な問題はどうか、あるいは中長期的な問題はどうかというふうに論点を整理しながらこれから議論を進めたいと考えております。そこで、スケジュール感は、10月、11月、かなりインテンシブにやりたいと思います。週2回の週も決めておりますので、その中で、できれば11月下旬には一応来年の税制改正に関する主要論点をまとめて、答申という形で小泉首相に持っていきたいなと。これは昨年の例からいってもそうであります。それを受けて、与党税調、あるいは自民党税調で来年度税制改正の具体的な中身の設定なり、あるいはやるかやらないかも含めて議論をしていただければいいのではないかと、このように考えております。
そこで、今日の議論を踏まえまして、恐らく早急に我々手がけなければいけない問題としては、やはり定率減税の廃止・縮減、具体的にどうするかという、そういう問題が所得税改革の中で行われると思っています。当然のこと、景気の問題が絡んできますので、それについては十分な議論をしなければいけないと思いますが、総会の質問でも答えましたように、定率減税、仮に我々が案を盛り込んだとしても、実施は2006年1月からだろうと思っていますので、1年3カ月後の景気を今から前提にしても議論できません。つまり、そのころ景気が落ち込んでいるから議論をやめろという議論も無理でありましょうし、景気は非常に底固いから実現しようと、実際に実施しようという議論もあるかもしれませんし、そのときには案を作っておいて、実施の段階でまたいろいろやりようもあるだろうと。つまり、延長するとか、そういうこともあろうと思っていますので、現状において議論を妨げるものではないと思っています。景気の問題はそういう形で切り離して今後、定率減税の議論をしたいと。これがいいのではないかと思っています。
少なくとも、1999年当時に導入した時の日本経済の動向と、今、あるいは今後、数カ月後のことを考えますと、はるかに今の方がいいのでありまして、その議論は当然してもいい。それから今後恐らくすべての税目について、あるいは社会保険料も含めて、国民負担増という議論が出てくると思います。ただ、バブル崩壊以降、失われた10年、もう12~13年になりますか、政府がある意味で民間を支えてここまで建て直してきたという、恐らく多大な犠牲を払ったという思いがあるでしょう。税制しかりですね。そういう意味で、今後、やはり長い目で見たときに、年金・医療を初めとする社会保険料の財源を確保しなくてはいけないという点から言いますと、今度は民間の方が少し力がついた段階で、今度は政府の財政破綻をどう阻止するかという視点が出てこないと、日本はうまく回らないと考えています。
したがって、景気が将来悪くなりそうだという形で、すべからく財政破綻回避の議論を封じ込めては、かえって不幸になるのではないかと思っていますので、そういう意味もあって、定率減税は当然議論しなければいけないと思っています。
それから、我々固有の問題としては、金融所得の課税の一体化というのを議論しておりまして、できれば4月からできるものからやるというスタイルで議論は詰めていきたい。具体的には、配当と株の譲渡損の通算の議論だと思いますが、当然しかるべき番号制をかませていくしかないと考えています。
それから、三位一体は今日の資料でも出ておりますように、11月ごろ諮問会議の方で案をまとめてくると思いますので、その段階で税源移譲の額、補助金の削減の中身がわかれば税源移譲の中身も分かりますので、その段階で所得税から住民税という流れを具体化する作業が始まろうと思います。ただ、来年4月からはまだ所得譲与税という形でつなぐんだろうと思いますので、この点につきましてはまだ時間的余裕があるかなと考えています。
それから、やはり消費税については、今日も大分総会で議論が出ましたように、恐らく税調としては真正面から受けとめて、この議論を1年、2年かけて議論しなきゃいけないと思っていますので、今年の秋から消費税の議論はすべきだと思っています。小泉さんのいる間はできないということであれ、2006年9月からですか、理論的には導入は可能になると思いますので、それまでの間、議論を正確に詰めておく必要があると思います。そういう意味で、今日行いました北欧、あるいはヨーロッパ、その他の国の事情等々の調査というのは、いろいろな形で我々参考になるかと思っています。
消費税は当然のこと、社会保障の財政面の議論と絡んできますので、社会保障の議論が今後先行してくると思います。年金、介護、それから医療も当面議題になってきますので、その中で一体どういう形で議論するか、必ず消費税の議論は避けて通れませんので、その議論は工程上の問題として受けとめていきたいと、このように考えています。したがって、消費税は来年の今ごろ、まだ大いに盛り上がっているかもしれませんが、その布石は今から打っておくべきではないかと考えています。
それから、毎年1月から6月の間までは基礎研究に税調は充てておりますが、今年は例の経済社会の構造変化に対する実像把握をやりましたし、その前は少子高齢化のもとにおける税制のあり方も議論いたしましたというふうにやっておりました。少し時間があるとき、基礎的な議論をするという意味では所得税、住民税の税源の問題を議論する、所得税のあり方を議論するのか、あるいは社会保障の財源面の中で保険料でやるか、税方式でやるのか等々も併せて議論する時期が来ようかと思っております。
そういうスケジュール感でありますが、いずれにいたしましても、所得税本体をしっかりさせ、消費税の構造的な中身も加味させつつ、社会保障の財源としてどういうふうな位置づけにするか、つまり福祉目的税云々の議論もあると思いますが、その辺の議論も踏まえて、これから議論は展開していきたいと思います。
とりあえず、そういうスケジュール感と税制改革の議論の中身ですね、これを考えております。基礎問題小委員会を2度ほどやって、総会1回という1順繰りを6~7回やることになりますかね、できればね。いずれにいたしましても、11月に入りまして、中旬以降は起草小委員会を恐らく作らなければいけないと思いますので、それまでに基本的なあらすじは、主要な論点整理は終わっておきたいと、このように考えております。
以上が今日の総会を開催し、改めて再開した中での議長としての総括であります。以上です。
〇記者
ご指摘になった定率減税の縮小・廃止の件なんですけれども、先生、景気とは切り離して議論すべきだというふうに強い決意を示されたわけですが……。
〇石会長
決意、それほどでもないよ。
〇記者
今日はそこまで踏み込んだ議論はなかったですが、具体的な方法、一気にやるか、段階的にやるか、その辺からご見解をお伺いできますか。
〇石会長
当然のこと、これは税調でこれから議論するわけでありますから、私が言いたいことは個人的見解ですが、半分ずつやるか、これは与党大綱でも17年、18年でやると書いてありますから、あれは恐らく半分ずつという意図が入っているかと思いますが、いろいろな意味で非常に大減税になっています。それが直るとなると実質的に「大増税」になるので、そこの逆にするときにもインパクトは和らげるという意味から言えば半減ですからと思いますけれども、それは一気にという議論もあるかもしれません。ただ、現実的には半分ずつというのは、私の個人的見解ですけれども、多分これは税調でも大分議論になる議論だと思っています。ただ、やらなくていいという議論は恐らく難しいと思いますよね。恐らく税調と税調以外でも、やらなくていいという議論はなかなか、景気の問題さえクリアしてしまえば、これからやはり少子高齢化社会に向けて国民全員が何らかの形で負担するというときに、ああいう大きな固まりとして中高所得者層にドカッと恩恵が行っているものをいつまで残せるかということになると、これは廃止をしなくていい、あるいは縮減しなくていいという論理はありえないでしょう。景気の問題以外に僕は難しいと考えています。
〇記者
消費税の議論はもっとしろという話がありましたけれども、これは確認ですが、秋、11月、年度改正の問題が終わってからやるということですか。
〇石会長
まず最初1~2回は、やはりマクロ的な税収見積もりがどうだとか予算編成上の問題がどうだとか、いろいろあると思いますよね。それを踏まえつつ、最初の基礎小2回、総会1回というのは、どちらかというと大枠で議論します。来週、だから10月中旬以降、問題の取り上げ方ですけれども、定率減税の方に入っていくという意味から言うと、所得税から入るでしょうから、所得税をこなして消費税というふうな段取りになりますと、来月あるいは11月早々には入れるかなと思っています。
〇記者
今日、海外調査の報告がされたわけですけれども、国によって、日本と事情が違うので一概に当てはめられない部分もあるかと思うんですが、ただ、多分、政府への信頼とか連帯感とか、その辺は共通する問題ではないかと思うんですが、今回の海外調査で、日本に非常に参考になるなと思うようなところというのはどの辺なんでしょうか。
〇石会長
個人的には、今よく言われる高福祉・高負担か低福祉・低負担か、その間をとって中福祉・中負担か、逆な言葉で言えば公助・共助・自助だよね。その間どこに落ちつかせようかという議論から言えば、今回の北欧の体験談は、私は非常に参考になったと思いますね。はっきりしていることは、誰も恐らく北欧型の高福祉・高負担は望まないでしょうね。というのは、余りにも日本の現状とギャップがあり過ぎるね、負担の面においても福祉の面においても給付の面においても。といって、やはり誰の目にもアメリカ型みたいに市場原理オンリーで、言うなれば各自頑張ればいいよと。政府は引っ込んでろということも望まないでしょうね。そういう意味で、幅はあるけれども、中福祉・中負担ということを言うならば、恐らく北欧の給付、あるいは負担のレベルと現状の間、中間ぐらいにまで日本の受益・負担のレベルを上げているという議論あたりが参考になるかなとは思っています。
それから、負担が高まれば高まるほど、できるだけ多くの国民が負担の方に参加するということがないと、受益の方にただもらいする層が増えると、これは恐らく福祉国家としてはもたないと思いますね。総会でも申し上げましたが、制度なんかは課税最低限が所得税にもないし、消費税に免税点がないという世界から言えば、ほとんどすべての人が、すべての業種が何らかの負担をするという、そういう仕組みのもとであれだけの高い福祉ができているわけで、やはり北欧モデルから言うなれば、負担なくして受益なしですか、受益のために負担するということですか、受益と負担のギャップというものをいかにこれから少なくしていくかということが我々日本の目指すところだと思います。
〇記者
今後の議論で、いわゆる財制審との連携という、前回、西室会長の方から、いわゆる歳出歳入のバランスをとってやらなきゃいけないという話がありましたので、いわゆる税制改革の中で歳出をどれぐらいやっていくかという、その点の……。
〇石会長
10月初めに私、財制審に呼ばれておりまして、北欧あるいはヨーロッパの方の社会保障のあり方なり、付加価値税の問題なり、一応海外調査の報告という形で行く予定でおります。その含みは、要するに歳出と歳入と、ある意味で同時並行的に、つまり受益と負担の関係をどういうふうにこれから決めていこうかとなると、やはり受益の方は何といっても財制審ですよね。負担の方は我々ですよね。負担は社会保障審議会の方も絡むかもしれない、保険料があるから。いずれにしましても、これから極力、隣接部分の審議会の意見とすり合わせて議論して、そういう意味では財制審とはインフォーマルな形で幹部メンバーと意見交換したこともございますけれども、今後は財制審の方からも人に来てもらって、税調で議論に参加してもらうとか、もっともっと相互交流を審議会の実際の場でやっていきたいと考えています。そうしないと、今言った受益・負担のギャップをどうやって埋めるかといった議論はできにくいと思う。どういうことかと言えば、負担が嫌だったら受益を削っていくしかないので、逆に言って、受益がどうしても欲しければ負担を高めるしかないという、そういう議論の展開にしませんと、やみくもに何でもかんでも負担増で一色であるという議論は余り生産的でないと思いますので。
〇記者
先ほどの定率減税の話ですけれども、これは当然ですけれども、議論の中で所得税全般、いわゆる控除の見直しとか累進税率の問題とか、これも並行して……。
〇石会長
定率減税というのは、ある意味で非常にアドホックに入れられた、ある意味では所得税体系を無視した減税なんだよ、はっきり言うと。したがって、ある意味では所得税の構造をゆがめている最たるもので、言うなれば三位一体で所得税から住民税に3兆円譲るなんて大きな抜本改革をするとき、あるいは「あるべき税制」で所得税をあるべき方へ持っていこうという課税ベースを広くするなんて議論も前に本来やるべきだったんですよ。それが景気の問題もあり、政治的な問題があってできてませんので、やはり本格的な所得税改革を志すならば、まず今言ったアドホックに行われています定率減税のところを直さないと、本格的な税の議論はできませんよ。そういう意味で、我々税調としては、まず定率減税を少なくとも障害にならない程度に直していくという議論が先だと思いますね。
〇記者
確認なんですが、定率減税と三位一体の全体像の話なんですけれども、11月に出されるという答申には、例えばこういう段階までやりなさいとか、例えば定率減税に関しては会長がおっしゃったような意見がそのまま通るかどうか今後の議論ですが、こうこうこういうふうにいついつからやりなさいとまで書くのか、あるいは三位一体の方に関連しては、骨太に出ているような税率何%をフラット化にしてどうだこうだという点まで踏み込んで答申に書かれるべきものだとお考えなんでしょうか。
〇石会長
定率減税はもう廃止・縮減だというのはもう数年前から言っているんですよ、我々。昨年のたしか中間的な「少子・高齢社会における税制のあり方」の中でも書いていますしね。だから、それと同じ文言ではやはり失礼だからね、もちろん何か踏み込んだ我々の意思表示があるような文章にまでしていきたいと思いますけれども、いついつまでにどうだこうだというところまではっきり言うかどうか。ただ、少し前進したニュアンスのものは出したいと思います。三位一体について、もう既に幾つかのフォーミュラというか、直し方の案も出ておりますから、書き方ですけれども、そっちを示唆するような、基本的な方向ということが分かるような書き方ぐらいはしないとと思いますけれどもね。あまり税率まで入れ込んで等々ということになると、我々、私なんか個人的には、企画とデザインをするのが税調の役割だと思っていますから、まさに国民の付託を受けた政治家がやるような、自民党税調あたりの議論とは一線を画した方がいいと思っていますので、具体的な税が入ると、税率が入る等々のところまではちょっと行かない方がいいと思っています。
〇記者
2点お願いします。1点は、去年の税制改正大綱が出てきたときに、年金の国庫負担の上げの財源の話から定率の話に行った経緯があると思うんですけれども、今回、定率減税の縮減をやった場合に、目的税とは言わなくても、使途を社会保障費用に限定することは政府税調の立場としてはどういうふうにお考えなのか。
〇石会長
それはあり得ないでしょうね。だって、所得税を非常にディストート(distort)する、つまりゆがめているわけだから、ゆがめているものを直すんだったら、一般財源という形で議論するというのが我々の真っ当な議論だと思っています。
〇記者
もう1点、景気とは切り離してというお話だったと思うんですけれども、減税をやったときの法律には景気の回復などにらみながらみたいな、細かい文言は忘れましたが入っていました。今日のお話を踏まえると、そうすると景気の判断については、景気と税、国民負担増の関係については党税調なりが決める問題だと、そういうご認識ですか。
〇石会長
いや、党税調が例えば2006年1月からやるという案が現段階で決まっているとして、秋ぐらいの景気動向を見てということはあり得ると思いますよ、実施に踏み切るのかどうか。そういうやり方というのはあり得ると思う。そうしないと、今、誰も予想つかないんじゃないですか、今から1年3カ月後の景気なんて。景気が悪くなるであろうから議論しちゃいけないというのもおかしな話ですし、案をつくってはいけないというのもおかしな話ですからね。それは政府税調が決めるというか、最終的には小泉さんが判断することでしょうね、そういう大きな話は。僕はそう思う。それで、また議論しろ等々があれば議論しますけれども、そこは、僕は最後は政治的判断だと思います。ただ、案をつくるのは、一向に僕は構わないと思っている、定率減税の廃止、あるいは縮減の案をつくることはね。
〇記者
それに絡んでもう一つ、今日どういう議論をされていたのか、一部聞き漏らしているんですけれども、97年から98年にかけての、これは金融機関の破綻とかいろいろありましたが、消費税の上げもありましたよね。景気の腰折れを招いたんじゃないかという一部の批判もあると思うんですが、そこら辺の総括については今日ご議論されたのか、あるいは、されていなければ、会長ご自身としてどういうふうにお考えなのかということを改めてお願いします。
〇石会長
これは財制審で結構細かく実証分析したり何かしていますが、意見が2つあるのは重々承知しております。3%を5%に上げたのと、あの当時、97年9月に社会保険料を上げて、9兆円の国民負担増になったのがそもそも景気後退を招いたという意見と、それは十分に耐え得るだけの経済体質があったのに、秋以降のアジア危機と大型の金融倒産ですか、長銀とか山一とかあってと、議論はなかなか難しいんですけれど、消費税を3%から5%に上げても、夏までは個人消費は十分伸びていたんですよ、いろいろな数字を見ますと。そういう意味で、それをどうするかということですが、ただ、今と1997年、橋本内閣の時代と根本的に違うのは、民間経済の強さが全然違うということですよ。当時は、まだ不良債権が山積みしていましたし、民間経済のリストラはほとんど進んでいなかった。ここ4~5年の間に、まさにオーバーエンプロイメントとオーバーボローイングとオーバーインベストメントと、オーバーがつくものがほとんどなくなったでしょう。そういう意味で、私は個人的には、民間経済主導型の経済は底固いと見ています。
これから97年の議論をもう1回、論点を整理するということはやりますけれども、恐らくそのときどういう意見があったでしょうかぐらいで終わってしまうんじゃないかな。それを我々としてどう判断に資するかと言われれば、その当時の経済状況と今を比べたら、今はもっと経済は強いですよ、議論するときは。そういうふうに考えています。
〇記者
消費税のことなんですけれども、基本的に基礎小でずっとやっていくのか、それとも何か別の小委員会をつくるのか。あと、今日の総会で出ていましたが、集中審議の話なんですけれども、どういうタイミングで……。
〇石会長
今後どうしようかということで、ちょっと調整を経ないと。金融小、あれをどうしようかという議論が実はあるんですよ。ただ、幾つも幾つも小委員会をつくってしまうと、それだけで、総会に上げて承認をというのは煩瑣ではないかということもあって、今後、基本的に金融課税関係の例の実施のところも含めて、納番も含めて、基礎小でやる予定です。消費税の問題も、当然、基礎小が舞台になると思いますが、基礎小でやって総会でという順繰りの場合もありますが、総会の方々はちょっとご不満の方もいらっしゃる。総会しか出ていない委員の方は、したがって、基礎小で集中審議をやらずに総会でやってもいいと思っているんです。あそこには消費者団体の方、労働組合の団体の方、いっぱいいらっしゃいますから、定率減税の是か非かとか、福祉目的税の是か非か、まず主要な論点を総会で挙げてもらって、それを基礎小でもう1回持ちかえって議論を整理するという、そういうこともあり得べしと思いますが、基本的には消費税を含めて基礎小でやります。
〇記者
先ほど先生、金融課税の話で、配当と株の譲渡損のときに金融整理番号云々という話がありましたけれども、株の配当を入れた段階で、つまり今年金融整理番号を入れるということで議論するということですか。それとも待つということですか。
〇石会長
だから、4月から仮に一元化、金融所得の一部の一元化という、要するに政府がやろうというときには、恐らく番号がなければだめでしょう。株と配当だけなら、今の特定口座か、あんなものでできないこともないかもしれませんが、長い目で見ると、これから利子まで入れて、そういうふうに本格的にやりたいわけでしょう。やはりスタートからちゃんとしたものにしないとというのが私個人的に思っていますので、やるなら金融番号という名前にするかどうかわからないけれども、番号制も含めてスタートさせるのが筋じゃないでしょうかね。
〇記者
消費税の話ですけれども、補足で、やり出したら相当長い議論だと思うんですが。
〇石会長
そう思いますね。
〇記者
この短い期間の中では、どういうことを、例えば論点整理をするとか、何が問題かを整理するとか、何をしようということなんでしょうか。
〇石会長
僕は消費税の問題は、今後1年以上かかると見ているんです、来年の秋以降も。その間に、また対話集会みたいなものをやるのも手だと思っているんです、皆さんに1回議論を聞いてもらうと。そういう意味では、今おっしゃったように、主要な論点はどこにあって、どこをどう議論しなきゃいけないというぐらいの論点は十分整理し得るし、ただ、何%の税率にしていつ上げるかということは、税調ではできないと思う。これは政治的な決断ですよ。僕は総理大臣だと思いますけれどもね、こういうことをやれる人は。したがって、方向性としていつかわからないけれども税率を上げるとなったときに、複数税率がいいのか、インボイスがいいのか、福祉とどういう形で結びつけるのか等々、いろいろな議論があり得ると思いますよ。そういうことをやっていきたいと。かつ、社会保障の財源と言うけれども、本当にそうなのかねという議論をお持ちの方もいらっしゃると思います。今日もあったように、口で言ってみても、何かいつの間にもうやむやになってしまう、つまり特定財源にしないと福祉財源の担保にならないという意見もありますから、その議論もしないといけないと思っています。税調の本場でまだ本格的に議論していませんので、それは今年から来年の秋以降含めて、十分時間をとって議論すべきだと思っています。
〇記者
対話集会は、今年はなくて来年ということですか。
〇石会長
いや、わからない。それは、恐らく僕は消費税を上げるというときと、いろいろな社会保障をどうするのかということ、年金、医療、介護含めて、ご存じのように、年金もいずれまた揺り戻しがあるかもしれないし、介護は来年待ったなしでしょう。そういうことを踏まえますと、やはり受益と負担という意識は皆さんお持ちになっていると思うんですよね。その段階で今5%という、そう言ってはあれだけれども、先進国の最低の消費税をどうしましょうかという議論は国民的議題になり得ると思うんですよ。だから、そういう意味では、1月から6月ぐらいまで、仮に何かそういう社会保障財源の調達の仕方云々の議論ができれば、それも消費税が出てくるから、それをもって議論ということはあり得ると思いますよ、対話集会で。ただ、それは来年か再来年かよくわかりませんけれども、消費税が完全に上がるまでには、もう1回ぐらいそういうプロセスを経ないと、なかなか税調としても最後の決断はしにくいなとは思っています。何か対話集会についてご要望が多いようでありますので、考えましょう。
(以上)