金融小委員会(第11回)・基礎問題小委員会(第16回)・総会(第13回)後の石会長・奥野小委員長記者会見の模様

日時:平成16年6月15日(火)16:38~16:49

石会長

今、総会が終わりました。そこで、この金融小委員会の報告を受けたという形で、一応税調の共有の財産にしたつもりです。そこで、既に内容的には事前レクもあったことでしょうし、いろいろ勉強も済んでられると思いますから、いろいろなご疑問もあろうかと思いますので、そちらから積極的に出していただこうと思ってます。ただ、イントロダクション的にご挨拶がわりに、冒頭一言だけ、小委員長に話してもらいます。

奥野小委員長

今朝、11時から第11回の金融小委員会を開催して報告をとりまとめて、午後4時からの総会でご報告いたしました。去年の秋以来、金融小を開いてきて、会長を初め小委員会の委員、事務局に大変お世話になりまして、ここでお礼申し上げたいと思います。

議論自体は、経済・財政の専門家と税制の専門家の間で非常に活発な議論があって、それなりにバランスがとれた報告書ができたかというふうに思っております。まだいくつか、技術的な点で残された点がありまして、これは秋以降、事務局のほうで詰めていただくということになっております。

以上です。

石会長

私からも一言。そういうわけで、奥野さんには、小委員長として取りまとめに大変ご苦労いただきまして、この場を借りて厚く御礼申し上げますが、あとこれをどう扱うかの話なんですが、まあ言うなれば、基本的な骨格を示し、基本的な考え方を示して、その方向性を示したというのがこの報告書の最大の狙いでありました。これを実際にどう制度にうつしていくか、あるいはいつ頃から税制改正に組み入れるかというのは秋以降の議論を待っていただくということになろうかと思いますので、その先行きのことはこれからだというふうに申し上げておきたいと思います。

以上です。

記者

まず総論的な話、一体化の意義のところなんですけれども、これは最初、議論が始まったときは、株式市場は低迷していて、そこへの資金誘導という側面もなきにしもあらずだったと思いますが、現時点において、「貯蓄から投資へ」という流れを後押しする、そのねらいというのはどこにあるんでしょうか。

石会長

いや、別に短期的な、近視眼的な話で始まったばかりではなくて、個人金融資産が 1,400兆円あって、それが目減りも始まっているという段階で、その中身をいかに「貯蓄から投資へ」と組み換えるかということが、実は中長期的視点から大きな課題としてあったんで、たまたま今、株が上がったから云々とかいう、そういう話とはそう直接結びつけないほうがいいんじゃないかと思いますがね。それでいいよね。

奥野小委員長

ええ、と思います。まさに会長おっしゃるとおりですね。まさに、少子・高齢化という時代がきていますから、貯蓄率自体が下がってくるという時代になろうと思います。そういう意味で、貯蓄…金融資産ですね、を有効に日本経済として活用していくというためには、やはりこういう中立的な金融所得に対する課税というものはきわめて今後有効なのではないかというふうに思います。

記者

今回、大分幅広い範囲の利子まで思い切って入れられた、この背景はどういうところにあるんでしょうか。

石会長

それはやっぱり金融所得の一体化という、文字どおり大きくネットを張って、できる限り金融所得というものを一つの網のなかに入れたいという配慮のなかで、やっぱり一番キーになるのは、主なのは利子でしょう。これが、いつの段階でどうなるかはこれからの議論ですが、外れてしまっては、金融所得一体化がまさに画竜点睛を欠くということになります。そういう意味で当然、議論のなかに入れて、まあ今日、実は総会でも反対だというご意見も出ましたし、小委員会のなかでもございましたけれども、まあそういう形で入れたということですが、当然のことだと思いますよ。大分、議論あったよね、利子についてはなかでも。

奥野小委員長

ええ、利子については。ただ、やはり小委員会のなかで、利子をぜひ入れることが、やっぱり金融所得の大宗を占めてますから、そういう意味でも非常に重要ではないかということだと思います。会長がおっしゃったことにまったく尽きていると思います。

記者

ひとつ意見書みたいものも出ていて、そもそも一体課税に反対ということと、納番ですね、これは限定じゃなくて、全部入れろということだと思うんですけれども、今日の総会でも一部、納税者番号制度については全般的に対象にするべきだと、せめてもそういう方向性を示したうえで、とりあえず選択制ということに関して、石会長はどういうふうにお考えですか。

石会長

今回のなかは選択制という形で、やや入り口を、まあ言葉は悪いけど、おずおず入ろうかというような感じの意味合いでありますけれども、先行きを見ると、その段階で終わるということは多分ないでしょう。今、非常にまだアレルギーが強いですよね、プライバシー等々があってですね。で、われわれ税調としてはもう20数年前から納番には関心をもって、海外視察も3回か4回出して、つぶさに見てます。そういう意味で、各諸外国の事情は十分分かってるつもりですが、我が国にそれをそっくり入れるのがいいかどうか。それは慎重にみなきゃいけないという意味でですね、今回、この秋以降の議論ですけどね。まあとりあえずは入って、それから番号制度を比較的定着させて、それからでないかという、言うなれば段階論をとっているわけであります。まあ先行きをどういうふうな形で説明するかということで、今日の不満を持っている方に対して十分お答えできると思います。ただ、住基番号と年金番号、どっちを使うかとか等々の議論になると、まあ番号自体にもいろいろ今、問題提起されておりますからね、これはこれから慎重に考えたいと思います。

記者

会長に伺いたいんですが、導入時期の問題で幾つか課題があると思うんですが、例えば株の譲渡益に対する10%優遇税率、配当の10%とかですね、報告書では20%を軸にするということを書いてあるわけで、例えばその期間中は、ここで打ち出している幅広い通算は認めないとか、あるいはそうでなくて、例えば課税の一体化の部分から先行して先にやっていってとか、その辺の時間軸のイメージはどういうふうに思ってらっしゃいますでしょうか。

石会長

おそらく二つ選択肢があるんだと思うんですよね。で、白地に絵を描くんだったらですね、金融所得の一体化というのは、まさにすべて大きなネットのなかにおさめて、ドッとやるのが一番筋でしょうね。ところが、今ご指摘のように、配当と株の譲渡益は、正確に言うと2008年3月まで一応今の特例が続くわけですよね。それで、10%になっているという格好になってますから、一挙にドッとやるという第一の選択肢はとりにくいというか、事実、2008年まで待てばいいんですよ。そこまで待って、それをやるかという選択肢が一つね。それからもう一つは、さはさりながら、やっぱり「貯蓄から投資へ」という政策の実現に当たって、やれることから少しずつやるのもいいではないかということになればですね、今言った、たまたま例ですが、配当とキャピタルゲインの間だけなら、同じ10%だからできないこともないだろうとか、それから利子のいろんな金融機関のコスト負担等々が膨大になるとか、これはちょっと調査してみなきゃ分かりませんけどね、まあそれがどうなるかということにもよるのですけれども、一挙にドッとやらないで、できる形のところ、つまり、公社債の譲渡益あたりを今度は実際にやろうとか、外為あるいは外貨預金ですね、これをやるとか、できるところというのは、おそらく統合論にはのりやすいという選択的にやっていく、番号と同じようにですね、というような配慮のほうがあって、そっちがここではやや色濃く、この報告には出ております。いずれにしても9月以降、俗に言われますインプリメンテーションの議論はやりたいと、このように考えてます。だから、待ってると何も、2008年3月までできないので、できることからやっていこうというのが基本的なスタンスであるというふうにご理解いただいていいと思います。

記者

その際、その番号についてはどうでしょうか。先に一部やるときにですね・・・・。

石会長

当然、使えたら番号を入れたいと思いますね。番号って、ここで言う選択的な番号ですね。つまり、納税者番号と俗に言われる全国民を相手にするとか、年金を使うとかいう大がかりなものは、これはまだまだ、かなり議論を固めなきゃいけないという意味において時間がかかると思いますが、今言った損益通算等々に使えて、申告者、納税者が自ら名乗り出て番号を使うという制度ならば、まあやり方にもよるかもしれませんが、十分可能性はあると思ってます。

記者

配当とキャピタルゲインを通算するとか、そういう部分的にやる場合でもそうでしょうか。

石会長

はい。それがないと、損益通算できませんからね。やはり何らかの番号制がないと、私はこの金融所得一体化はスタートしないと思います。

記者

秋以降の取組みというのは、政府税調のほうでも、業界にいろいろ意見を聞いたりとか、もう少しインプリメンテーションというところ…。

石会長

ヒアリングですか。

記者

はい。

奥野小委員長

それは、事務局のほうでヒアリング等も含めてやってということだと思いますが、もちろん、それを、場合によっては金融小のほうでその報告を受けると。で、議論するということもあるかもしれません。

石会長

だから、その仕組みについてはまだ具体化は確定しておりません。まあでも、当事者がいることですからね、いろいろ聞いてみないと、ということはあると思います。

(以上)