基礎問題小委員会(第7回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成16年2月27日(金)16:12~16:36

石会長

では、皆さんおそろいのようなので、今日の基礎問題小委員会第7回目でありますが、ご報告いたします。

先々週、「家族」というものを中心にいたしまして、経済・社会の構造変化の「実像」調査というのをやりました。今日は、第2回目ということで就業構造という形で行いまして、お手元に事務局の作りました参考資料というのがございますが、まず最初、事務局からご説明いただきました。ここにはさまざまな情報が詰まっておりまして、ぜひ後でご覧いただけたらと思います。身近にでも、就業構造が大きく変化しているなということは、肌身で分かっているわけですが、それを今日、お二人の専門家、慶応大学の樋口さんと、それからリクルートワークス研究所の大久保所長、お二人から聞きまして、改めてその感を深くしたということであります。正直言って大変勉強になったし、税制という視点からみると、ミスマッチというのは、私なんか個人的に想像以上に大きいなという感じがいたしております。感想めいた話になりますが、二、三、その論点を整理したいと思います。

樋口さんと大久保さんの資料にも、大分細かくいろんな形で出ておりますが、やはり今、就業構造というのがきわめて大きく変わっているということですよね。まあ三種の神器とよく言われますけれども、この三種の神器自体が本当にあったかどうかということも言われておりますが、ただ、国際的な比較をすると、明らかに日本の特色であります。それが崩れているというのは事実でございまして、その結果、何が起こったかといいますと、まさに終身雇用が崩れてパートという話になるでしょうし、それからリストラという現象も起こっているわけでありましょうし、それからやっぱり、年功序列じゃなくて成果主義ですよね。まあ年令で大体決めた賃金体系が崩れて、いろんな業種や成果で決まってきたというふうになってくるでしょう。まあそういう大きな崩れがもうさまざまなところで起こっている。その一番の大きな現象はフリーターであるという形で、今さまざまなお話を聞いたわけであります。まあ一言で言うと、フリーター現象ということが今の就業構造の一番キーになる言葉ではないかと考えております。印象的なのは、フリーター同士が結婚されると、これまた低所得フリーター層が出来てきて、子育てもままならぬといったようなことが出てくる。また日本の少子化が進むんじゃないかなんていうお話もございましたけれども、そういう意味で、形態にとらわれない層が出てくるのはいいんですが、それによってまたさまざまな影響が出てきたなと思います。

それからもう一つ、あえてこの辺で言うならば、私は、業務委託が増えてきて、これはある意味では、個人業種という過去の業種形態から変わる新しい一つの動きであるというふうに理解しております。とりわけ、在職老齢年金なんていうと、年金をもらっていて給料をもらうような職に就くと年金を減らされますよね。そういうことを避けるために一括業務委託をするという方法がさまざまあるんですね。そういう意味からいって、新しい形で親の生業を継いで店を構えて個人で店を経営するなんていう、何やら一括でやってみないかという形で引き受けるような形の新しいタイプの個人業種がこれからどんどん出てくるんじゃないかという感じがいたしておりまして、そういうものに対してこれから税がどう対応したらいいか、頭の痛い問題だと思っています。これが第1点の印象でありまして、就業構造の変化が予想以上に進んでいるということですね。

第2点は、これはある現代というところで切った変化なのですが、実はこれは、今日の大久保さんの話にもありましたように、江戸時代から綿々と続いている話であって、なにも今改めて急に起こった話じゃないというのも、これまた非常に、今日のお話のなかでは論点としておもしろかったと思います。特に江戸時代の丁稚奉公から選抜されて番頭にまで上るというのは、まさに終身雇用の制度であって、選抜が大企業の重役になるのと同じのような形で番頭にのし上がって、言うならば終身そこの大店に勤めて、自分の雇用を全うするといったような話があったというような話ですね。それから、正規職員あるいは正社員といった言葉も、戦後次第に出てきたという背景、まあ今でこそフリーターなんていう言葉で説明されているような非正規社員、非正規雇用ですね。これも実は根深く昔からあったんだと。ただ、このウエイトが大きく変わってきたということが最大の問題ではないかと、このように考えています。それは、事務局の作ってくれました資料にも幾つか出ておりますが、先程申し上げた、個人業種が減っていってという話と、それから正規・非正規の割合が随分変わってきたというあたりが大きな問題になっているのじゃないかと思っております。そういうわけで、歴史的な展望を踏まえても、この就業構造の変化は大きかったというのは非常に印象深かったと思っています。

第3点は、この間の家族と税制のミスマッチでもご説明しましたけれども、今抱えておりますこういった就業構造の変化に、例えば所得税というものを一応対象に当てているわけですが、これが本当に対応し切れるのかなという、そういう大きな問題が出てきていると思っています。端的に言えば所得税ですよね。この源泉徴収制度というものが、今のようにフリーターの世界になってしまいますと、本当に源泉徴収義務者として雇用主にどう義務を課するか、あるいはそれを避けて、そもそも源泉徴収になじまないような業種をつくっていくとか、いろいろあるんだろうと思います。

今日、最後に事務局から整理してもらいましたが、月給でみて8万 7,000円未満だと源泉徴収の義務は雇い主はないし、日給で言うと 9,300円未満ならいいと。ただ、2カ月以上こういう形で雇用されると源泉徴収というのはされるといいますけれども、これは恐らく、くぐり抜けてさまざまな形をやるのじゃないかと、このように考えています。

それから、業務委託の問題も税の問題をどうするか、あるいは、まさに正規・非正規の間のやりとりがされて税がどう変わるかという問題も所得税にあるでしょう。それから、今日、大久保さんなども大分整理されましたけれども、退職金制度ですよね。こういうものは、要するに退職金のポータブルというのはなかなか難しいんですが、要するに、たしか20年だったかな、そうなればドカッと控除が引き上がるといったような今の制度でいいかどうかですよね。

それから、これから住民税の前年度課税というのがかなり、就業、失業、就業、失業という形でフリーターみたいなことを繰り返している方にとっては、失業したときに前年度の所得のあったときをベースにした住民税がかかるなんてことになりますと、これはかなり厳しい税になる。これは、退職して退職1年目の人にかかるのと同じ現象なんですが、そういう住民税の前年度課税もひとつ大きな問題でしょう。

それから、今申し上げたように、非正規の方は所得に変動が生じますから、同じ額でも、毎年毎年コンスタントに所得が増える人と、あるときドッと…ドッとなんてもう稼げないかもしれないけれども、ある塊を稼いで、翌年は何もない。しかし、数年でやると通算だなんていうときの変動の所得をどうするかというあたりの議論は大きく残るんじゃないかと、このように考えております。

そういう意味で、就業構造から出てきております税制のそもそもの仕組み、あるいは徴税方法等々については、かなり本格的な検討のメスを入れ、改革のプランに乗っけていかなきゃいけないかなというふうに考えております。というわけで、今日は就業構造を中心に議論いたしましたし、事務局からきわめて役に立つ資料の提供を受けましたので、これからおのおの議論していきたいと思います。

今申し上げたようなことにつきまして、ご自分の体験、あるいは意見等々、随分活発に議論があったと思います。何分にも自分で会社をやられているような女性の方もいらっしゃったことでありますし、そういうところのやりとりを通じて、今みたいなことについての共通の認識が高まってきたと。

結論的に言いますと、これからの新しい企業モデルあるいは就業モデルというのができるのかできないのか。つまり会社は、言うなれば昔みたいにオン・ザ・ジョブ・トレーニングで新入社員を教育しつつ、自分の幹部職員に育てて定年まで面倒をみるという生涯モデルはとらないだろうという話でありまして、そういうことになりますと、会社が教育しなかったら社会的に教育しないと、人材の訓練というものにはならないわけですよね。そういうわけで、これからの職業能力を高める教育をどうするかというときに、まあ税が少し絡んでくる。大いに絡むかもしれない。いずれにいたしましても、新しいモデルができてくるまで、個人対応型でこういう教育をするのか。あるいは従来のOJTと違った形の、まさに外に出してアウトソーシングでその社の教育能力を高めるかなんていう議論が、ここでは残るんでしょうけど、まだこの辺はよく分からないという専門家の言葉のように、私も分からないというのが率直な意見であります。

そこで3月も、同じように経済社会構造の「実像」について有識者からご意見を聞くことを予定しております。3月16日、価値観とかライフスタイルにつきまして、今ある人に来てもらおうと思っていますし、第2回目が3月30日、所得分配、分配を中心にまた有識者ヒアリングを行いたいと思っています。これはまたいずれも、税と直接・間接に関係あるテーマが出てくると思いますので、また勉強をやっていきたいなと考えております。税調で税に直接アタックしない議論というのをやっているわけでありますが、これは非常に間接的に効いてくる話ですから有益だと考えておりまして、今日も異口同音に、非常におもしろかったし、ためになったということで口々に申されて退室された委員が多かったと思います。ただ、例の所得税、住民税の議論というのもいずれやらなきゃいけないと思いまして、ワーキンググループを作ってという話もこの前申し上げましたが、それは3月ぐらいからスタートさせていきたいと、このように考えています。いずれにいたしましても、3月中に予算があがり、税制改正法案も通過するんだろうと思いますので、そういうのを待ちながら、本格的に議論を進めていきたいと、このように考えています。

以上です。

記者

まず、今も出たんですけれども、給与所得と事業所得の格差の見直しの必要性に言及があったわけなんですけれども、これはやはり事業所得に対して課税強化というふうな方向になる…。

石会長

おっしゃる意味はクロヨンの問題ですか、それともレベル全体のお話ですか。今、給与所得と事業所得の格差とおっしゃったのは。

記者

請負契約です。

石会長

コンスタントにサラリーという形で払われる業種の人と、それから今言った事業をするときに請負とか個人委託とか、そういう格好のさまざまなタイプがあって、それを税の観点からみてどういう議論をするかと。こういうのは必ずしもクロヨンの話じゃないんですね。

そこで、実は今日、その話はそう大きなポイントとしては浮かんでこなかったと思いますが、就業構造と当然それに見合った形の報酬、それについてのギャップというのは当然出てこざるを得ないんですが、そこでパートだとかフリーターだとかなんていう議論と絡めて、、同じ仕事をしていて給与でもらうか、事業でもらうか、この辺を今の税が阻害しているのか等々は少し検討はしたいと思います。

記者

フリーターとかパートがこのまま増えれば、どうしても所得税の改革を行っても所得税が伸び悩む問題があるかと思うんですけれども、これはパート雇用とかの増加を抑制するような方向で税制を考えるというようなことはどうでしょうか。

石会長

いやあ、税がその辺の今の就業構造をもろに変えるような方向で、例えばパートを規制するとか、パート税をかけるとか、そういうのはよろしくないんですよ。つまり、税はあくまで、こういう場合は黒子に徹して、樋口さんのレジュメにもありましたが、積極的に対応するか、受け身的に対応するかというくくりの仕方がありましたよね。今、われわれの問題意識というのは、過去二、三十年、まあ戦後といってもいいんだけれど、経済・社会構造のなかでさまざまな変化が就業構造で出てきたから、それに税制が対応しきれていない。したがって、受け身的な方向で現行の税制を見直すというようなことが重要ではないかと思っています。そういう意味では源泉徴収をどうするとか、あるいは業務委託にかける税をどうするとか、パートの定義をどうするとか、そういうことをやろうと思いますが、就業構造自体に税から働きかけてそれを直すといったような方向は、ちょっととれないし、とるべきでないと思っています。

記者

源泉徴収がだんだん難しくなってきていると思うのですけれども、これは、中にあったように、全員確定申告とか、そういうものに変わっていく可能性というか、ありますでしょうか。

石会長

源泉徴収は、僕は決して難しくないと思いますよ。あれは世界に冠たる日本の制度で、問題は、年末調整で税務署と縁が切れちゃうというようなことをやっているのは日本だけなので、そこをどうするかという議論は残ります。

今おっしゃったのは、さっきちょっと申し上げた8万 7,000円と 9,300円のような、未満の人たちがどんどん増えていったときに、源泉徴収体制というのが本格的にどうなるかということだと思いますが、いくら増えたといっても、私はトータルをみれば源泉徴収制度自体を大きく覆すほどではないと思いますが、ただ、源泉徴収があるがゆえに、納税者の税に対する感覚が鈍化して、3月15日に、自分でもう一度計算をして申告納税者になったほうがはるかに税に対する感覚が鋭くなります。また、納税者としての責務、あるいは公共サービスの使い方についての、言うなればチェックの仕方等が変わってきますから、これから次の議論として、どこまでできるか分からないけれど、そういった自分で申告をして、申告納税者として責任を果たしつつ税制をチェックするというようなやり方を入れるということについては、かなり議論は支持もあると思います。という議論はしてみたいと思います。ただ、徴税コストの問題が大きくなりますから、そこは難しいと思いますが、源泉徴収の見直しという意味において、自主申告をする道を開くということは議論としてあり得ると思っています。

記者

確認ですが、ワーキンググループですけれども、これは3月のいつごろからというのは決まっていないのでしょうか。

石会長

ちょっとまだはっきり…、メンバー等とか決めておりませんから確定的なことは申し上げられませんが、私は個人的にはなるべく早くやってもらいたいなと思っていますけれども、まあ3月の中・下旬以降というのか、この辺かなあという気はしていますけどね。

記者

今の徴税方法のあり方ですけれども、最後に先生がおっしゃった、源泉徴収のあり方を見直して確定申告の道を開くというのは、答申にも出ていて、例えば給与所得控除とか、ああいうイメージを想定しているということでしょうか。

石会長

給与所得控除がどうも過大であるという意見もございますし、実額控除という道を開いてくれと、アメリカ型にという要望も強いので、そういう意味で給与所得控除全体を縮減する方向で、さはさりながら、自分でちゃんと控除を積み上げてきて申告する人が出てきても結構だと思いますので、今おっしゃったとおりの方向で議論したい。したがって、給与所得控除の縮減合理化ということと絡めて今の話が出てくる可能性は大きいですね。

記者

住民税の前年度課税が大きな問題だとおっしゃいましたが、事務的な意味で、どこをどういうふうに修正すれば前年度課税を直せるのでしょうか。

石会長

これは、ある意味では絶えず問題になっているけれども、まだ実現していないというのはおっしゃるとおりの難しさがあるからでしょう。つまり、今、住民税というのは前年度の国税の課税所得をもらってきて、自分なりに控除を計算するから、ある意味で楽と言えば地方自治体は楽なんですよね。だから、もしくは現年度課税であれば、かなり見込みでやるしかないでしょう、まさに前年度幾らもらっているから今年度はこのぐらいになるかねという形で。ただ、これは私の税務行政、税務執行上の技術・能力をもってなかなか難しいということだけしか申し上げられないけれど。ただ、その問題は前からあるんですよ。前からあるから、まして今回の、今言った就業構造の変化でさらに問題が提起されたということについて、少しその辺を改善するような話、これは総務省の方とも議論してみなきゃ分からないけれども…。

賦課主義とくっつけるかですね。固定資産税みたいに。つまり、あなたは幾ら幾ら持ってるんじゃないかって、冒頭に丸めた金額を表示されて、払った後でもう一回申告して調整するということはあり得ると思うけれど、フリーターみたいな人がどんどん出てくると、100対0になっちゃったら、前年度かけておく意味なくなるよね。就業、失業、就業、失業をやってるような人が出てくるとね。そういう意味ではかなり難しいなと思ってますけど、少し議論の余地はあるかと思っています。ただ、まだとてもじゃないけど、新聞ダネになるほどの話じゃないよ。

記者

これからの基礎小の進め方というか議論の中身について、先程、会長は最近の経済・社会の変化に税制が追いついていないということがあって、それをキャッチアップするようなイメージだと。一方で、本来こういうふうにあるべきだという姿にもっていくために税金をいじるという見方もあると思うんですね。

石会長

ありますよ。

記者

あらゆる問題で前者のキャッチアップ…。

石会長

いやいや、それは同じことですよ。あるべき税制というのは、要するに経済構造に税制が追いついていない、ミスマッチが起こっているから、それをキャッチアップさせようというのは、あるべき税制に対する一つの表示ですからね。まさにわれわれがやっていること、だからあるべき税制のベースになっている。例えば経済構造社会の変化を見ていこうというあたりで今日は就労をあげたわけだから、就労のさまざまな変化というのと、それと終戦直後から1970年代ぐらいまでの、要するに標準的な、三種の神器的な雇用形態でやっていた所得税のかけ方と食い違っているところを発見すれば、それなりに食い違ったところを埋めていくということをやらなきゃいかんでしょう、これから。それをどこまでやるかという問題はありますけれども、少なくとも現行はミスマッチは非常に大きいなという問題意識は今日、鮮明に皆さん持って帰ったと思いますよ。何度も申し上げているような、安定した所得税、終身勤めて、退職金をもらって、家族を養って…なんていうイメージのサラリーマンだけが前提の所得税ではなかろうということですね、これからは。だから、ここにいられる方の所得税とは違ったところで所得税はさまざまな形で今、変化が起こっているということでしょうね、そういうことです。だから、これをどういうふうにもっていくかというのは非常に難しい仕事ですよ。そういう意味では、一個一個、今問題になっている所得控除の洗いなおしのところでこの種の議論が生きてくるかなとは思ってます。洗いなおしですね。そんなところかな。

記者

退職控除のところですけれども、給与の控除と退職控除というのはかなり性格が似ていて、結局サラリーマンのところにかかってくるわけですけれども、時間的な考え方として、どこから手をつけていくという考え方なのか、あるいはもう抜本的な改正として一気にやってしまうような考え方なのか…。

石会長

退職金と給与所得というか、やっぱり性格的には違うというふうにとらえてるわけですね、今の税制は。つまり、年々稼ぐ給与所得と、30年、40年勤めて、ある時期にドカッと入ってきた退職金とは、やはり担税力の重み等々違ってくるだろうという判断で退職所得控除は別掲して、就業年数に応じた1年間幾らでやっていて、20年を超えた途端に控除が大きいから、要するに20年を超えて勤めないとしようがないねというような形で、まさに終身雇用なり年功序列をベースにしたのが退職金ですね。でも、今日も議論になりましたけれども、松下電器みたいに、あらかじめ退職金込み込みの給与制度にして、毎年、給与プラス退職金の分割払いみたいなことをすると、これは税制上も不利ですよ。というのは、何といっても退職金の塊だけ単独に取り上げれば、かなり税制は優遇されてますからね。その優遇を放棄して年々のなかに繰り込ませて年々の所得にするというのは非常に不利です。逆にいって、松下型の賃金支払あたりが常態化してくるということになると、退職所得だけ別掲してという計算をするほうがおかしいのかもしれない。それもちょっと、まさに調査をして、ただ、過度に退職金ということを従来以上に重視するというやり方ではないでしょう。一部年金でもらうところも出てきましたからね。そういう意味で、雇用形態が変わったということは退職金にもろにきいてますから、そういう視点から退職金を全面的に見直す時期というのはあり得ると思っていますし、そういう問題意識も持っています。それから、退職金をポータブルということが今日ありましたけれども、ある会社から別の会社に、退職金というのをぶらさげて行けるのか。仮に行けるとして税はどうなるのかというような問題もあるでしょうしね。そういう意味では、いろんな意味で問題点はわかったんだけど、問題の解決策のところが分からないというのがいっぱい出てきたなというのが今日の印象ですね。大久保さんも、まだこれからの状態は分からないと言ってましたけれども、税との関係でいくと、まだ分からないというのが正直だと思いますね。

(以上)