第29回基礎問題小委員会 議事録
平成15年5月20日開催
〇委員
時間になりました。今から基礎問題小委員会、開催いたします。
議事予定はすでにお配りしていると思いますが、まず、前回積み残しました環境問題への対応というところから始めていきたいと思います。今日はいっぱい議題があるので、4時を少し超える可能性があります。ご予定のある方は、途中退室で結構でございますから。
それでは、環境問題への対応に加えて、最近話題の証券市場との関連において、幾つかまた資料も出ておりますし、新しい情報も入っておりますので、株価対策も含めまして、事務局から、一通り簡略にご説明ください。
〇事務局
まず、お手元でございますが、「証券市場の構造改革と活性化に関する対応について」、議場にご配付申し上げているものでございます。
これは、証券市場活性化関係閣僚等による会合ということで、一昨日の夕刻、決定されたものでございます。まず柱書きでございますが、2つ目のパラグラフ、中ごろあたりに、デフレ克服を目指す。構造改革を加速する。さらには、その1つ下の行で、経済全体の活性化と。「また」ということで、その下の行、企業自らの収益性・配当性向の向上、それから投資家の信頼確保に向けた最大限の努力。また、証券会社による個人投資家層拡大のための企業努力も不可欠だと。
「他方」ということで、今回のパッケージというか、メニューは、この「他方」のところに重点があるわけでございますが、証券市場における当面の需給関係を視野に入れたいと。また、基本的には、リスクのある資産への資金が拡大するようと。このような位置づけでございます。
具体的な中身でございますが、「記」の下でございます。「郵貯・簡保による対応」、その次のページでございますが、「公的年金による株式運用」、それから報道でもいろいろ出ております「厚生年金基金の代行返上」の問題、それから「企業による自社株取得」、さらに、今後の税制上の対応の検討ともある種かするかもしれませんが、「確定拠出年金の普及」ということで、(早急に対応)は、「普及に努める」、それから(本年度中に検討)ということで、次のページでございますが、「拠出限度額の引上げ等について検討を行う」と、このようになっております。
加えまして、「ESOP(従業員株式所有プラン)の検討」ということで、アメリカに例があるということで、「従業員の資産運用の自由度や企業倒産時のリスク等を踏まえつつ、関係省庁間で引き続き検討」と、このようになっております。
その後、いわゆる「銀行等保有株式に関するの措置」、それから「政府保有株式の売却」、こう続きまして、9.で税制が出てまいります。(早急に対応)ということで、15年度改正の中身、金融・証券税制、さらには、相続税・贈与税の一体化措置、これを積極的に周知徹底するということで、これもお手元でございますが、パンフレットを六十数万部刷りまして、各ルートを使いまして、現在、一生懸命PRを周知徹底いたしておるところでございます。
さらに、(引き続き検討)ということで、「金融・証券税制、法人税制などにつき、税体系全体のあり方との関連をも踏まえ、中長期的観点からあるべき税制の構築に向けて引き続き検討する」と、このようになっております。
以下、4ページでございますが、マーケットの信頼性の向上でありますとか、業界への対応、それから日銀による銀行保有株式の買入れ措置、こういった事項が決定されております。
続きまして、横長の資料「環境問題への対応」でございます。先回、中央環境審議会の会長からお話を伺いました。
1ページ目でございます。経緯、これはもう詳しく申し述べませんが、1997年12月に、各国ごとにCO2等の温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書が採択されました。日本はと申しますと、6%の削減、90年を基準年にして、2008年から2012年、この5年間にマイナス6%を達成せいと。現在、この(注)でございますが、8%を上回っているという状況でございます。その後、大綱が2度にわたってつくられ、2002年6月に京都議定書を日本国政府として締結したと。ロシアが現在まだ批准していないということで、ロシアが批准すれば発効されるということでございます。
次のページでございますが、大綱の抜粋でございます。ここでいわゆる経済的手法の一つとしての税についての記述がございます。「ポリシーミックスの活用」ということで、3行目でございますが、「市場メカニズムを前提とし、経済的インセンティブの付与を介して」ということで、経済的手法の定義がここにございます。「税、課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果」等々ということで、最後、「様々な場で引き続き総合的に検討する」となっておるわけでございます。
さらにその下に、「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」ということで、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、特に2005年から2007年、先ほどの約束期間の一歩手前の第2ステップ、これが2005年からとなっておるというタイムスケジュールでございます。
次のページに「環境政策としての各手段の比較」ということで、規制的手法、自主的取組、そして税・課徴金が含まれる経済的手法と、いろいろな文献から抜粋したメリット、デメリットを整理してございます。税・課徴金について申し上げますと、メリットとしては、市場メカニズムを通じて、各主体が最も効率的な対策を選択できる。継続的なインセンティブであるとか、そもそも収入が、税収が上がるのではないか、ないしは課徴金収入が上がるのではないかと。デメリットでございますが、税調でもかねてご議論のように、国民の理解が必要だということで、社会的合意の形成が大変と、このようになっております。
いずれにいたしましても、税・課徴金の議論というのは、それぞれの手法の中の一つとして、このように位置づけられているということでございます。
次のページでございますが、去年の税調答申で環境税について書いていただいている箇所でございます。3行目、「国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力を得て、今後、積極的に検討……国・地方の環境政策全体の中での税制の具体的な位置づけを踏まえ……PPPに立って幅広い観点から検討」と、このようになっております。
次のページでございます。現在、引き続きでございますが、環境問題についての税制上の対応をご検討いただいているわけでございますが、我々なりに整理した留意点をここに書いてございます。1つ目の作業でございますが、「まずは、国・地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置づけを踏まえ、幅広い観点から検討」と。これは税調の年度答申でいただいているものでございます。このうち、規制的手法、自主的取組、それから税制以外の経済的手法、すなわち課徴金の類のものがございます。もちろん、ここは言わずもがなでございますが、経済的手法というのはいわゆる環境に対して負荷、環境負荷の原因者に負担を求めることによって、その環境への負荷の低減を図る、こういったものを経済的手法と呼んでおります。
その次の固まりでございますが、税制面での対応というものをシングルアウトして考えようとした場合に、以下のような点を踏まえる必要があるのではないかということで、2つ目のPPP、それから税収の使途、これは目的税でありますとか、特定財源についてのご論議、従来からも税調でご論議いただいております。それから既存のエネルギー関係諸税との関係、こういったものも従来からご議論いただいておりますが、租税としての性質というのは、従来、比較的、議論の中からはあまり出てきてない論点ではございます。税金とは、言わずもがなでございますが、公的サービスの財源調達、つまり、歳入確保が基本的な機能、その性格を持っているわけでございますが、そういったものに照らしまして、特定の政策目的のための制度、仕組み、これをどのように考えるかと。また、仮に環境税というふうに行った場合には、政策目的が実現されるにつれて税収がなくなっていくと、こういう話になるわけでございます。担税力という尺度に則って負担をお願いする租税というものとの関係もご議論願えたらと思います。
はしょりましたが、以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
今、全く2つ異なるテーマでご説明いただきましたが、若干時間をとりまして、今後の対応、とりわけ環境への対応というのは、これから我々も議論していかなければなりませんので、その先をどういう形で進めていくかも含めて、内容に即しても結構ですから、ご意見なりご質問なり……。
どうぞ。
〇委員
環境のことについて一言申し上げておきたいのですが、この環境税導入論の前提は2つあるのですね。ロシアが批准するであろう、その可能性は半分以上あると思いますけれども、半分近くないかもしれない。そうすると、ロシアが批准しなければ、この条約、京都議定書は発効しない。そうすれば、それを前提にした諸対策というのは大きな変更を余儀なくされる。2番目の前提、ロシアが批准することはまずまず何とか実現するのではないかということを前提とした上で、その次に、マイナス6%という京都議定書で我々が背負った課題があるのです。
問題は、批准した後、何が予定されているか。すぐやることは、京都議定書締約国が全員集まって、目標を達成しなかった国に対してどういうペナルティを課すかという議論をやるのですよ。今、環境外交で、京都議定書であんなでたらめな負担を背負ったということに対するものすごい反発が根っこにあって、国会議員も、去年、批准するときには結構、結構と言ったけれども、今になってみれば、情報がだんだんわかってきて、いや、これはえらい不平等条約だということがわかってきていることが1つ。
2番目に、マイナス6%を実現しなかった場合にペナルティを食うかどうかということに関して言えば、京都議定書における環境外交が大失敗したことは周知の事実ですから、財界だけ言っているのではない、今井さんが言っているだけでない、それは事実なのですよ。そうすると、ペナルティを課することに対して、日本政府はおそらく、環境外交の基本だけれども、絶対に反対することになっているのですよ。これはほとんど間違いなく反対するのですわ。
そうすると、前提は批准すること。発効するかもしれない。しかし、マイナス6%を達成しないときのペナルティは、我々払わないよ。そんなことやったら、抜けるとは言わないけれども、ということをやるつもりでいるのですよ。そうすると何が起こるかというと、批准はした。しかし、ペナルティを示唆することはしないという外交方針はほとんど確定的だとするならば、そうすると、ここに書いてある国民的合意、一体、マイナス6%はどれだけ切実なのだと。こんな不合理な、不当な負担を何で日本経済だけが負わなければいかんのか。しかも国民全体が。というような議論、負けを見ることは目に見えているのですよ、この話は。
ですから、何回も言ってますけれども、今の段階で、大義名分は京都議定書実現ということですよ。これは地方自治体から、環境庁から、通産省から農水省に至るまで、みんな増税を視野に置いて今議論を始めているのです。水面下でね。相当なものですよ、聞いてみれば。しかし、それは今申し上げた事態が展開して、来年の春になれば、ちょっと待てよと、そんな簡単な話かということになることは火を見るより明らかなのですよ、この話は。
とするならば、我々はここで、中間報告で、京都議定書関連において環境税を議論するなら、慎重に事態の推移をまず見ること。2番目に、それをベースにして、本当に国民合意ができるかどうかということについて徹底的に議論をやること。この2点を書いておく必要があると思います。そのぐらいの先を読まなければ、各者がそれぞれの思惑を持って財源調達論でやっているわけだから、それに対して水をかけるという意味ではないけれども、それはちょっと甘い、幻想に近いよということを、そこまで明確に、今僕がしゃべったようなことを明確に書くことはないけれども、含みとしては、そういう展望を持ったぐらいの先見性のあることを書いておく必要が僕はあると思います。
〇委員
何もそんな慌ててやることはないよということがその背後にあるわけですね。我々が先走って、フロントランナーとして。だから、それについてはいろいろ眺めつつ、ウォッチしながらね。
どうぞ。
〇委員
今の委員のご意見、ロシアが批准しないと大変なことになると。その部分はおっしゃるとおりだと思うのですが、ロシアが批准した場合のことですけれども、京都議定書、そうすると発効するわけですね。京都議定書は大筋2つのことを言っていて、日本は1990年に比べて6%削減する必要があるということが1つですが、今おっしゃらなかったこととして、フレキシビリティ措置、弾力化措置という、典型的にいうと、国際排出権取引というもので、その6%の部分を一部処理できるという仕組みになっていて、アメリカはやめてしまいましたので、実は排出権を売る可能性があるのはロシアだけで、ヨーロッパは、さまざまな事情で国際交渉で負けたというのは、まさにヨーロッパは容易に排出削減ができるわけですから、あまり排出権需要がない。だから、排出権需要を持っているのは実は日本で、排出権供給を持っているのがロシア、そういう相対になって、実はロシアは非常に大量の排出権を売ってくる可能性が強くて、普通の経済学の計算でいくと、日本の足りない不足分を、仮に限界費用というか、いわゆるシャドウプライスで評価すると、1,000億円とか2,000億円とか、そのぐらいでもって買えるだろうと言われていると私は理解しています。
〇委員
全額ですか。
〇委員
ええ、全額を。ですから、その部分も含めてきちんと1つは考えておく必要があって、ロシアが批准するからといって、京都があるからといって、そう慌てる必要はむしろない。いわゆる第3ステップといいますか、要するに2008年から12年までの間というのは、アメリカも入ってきませんし途上国も入ってこないで、ロシアと日本だけがいる世界ですから、この部分はむしろ安心できる。問題はその後に、アメリカとか途上国が入ってきた段階で、当然排出権の価格が上がる。そのときのための準備を我々は今から考えておく必要があるのではないかということのほうがむしろ大事ではないかというのが1点です。
それからもう一点は、じゃ日本は今何をやっているのかということが問題で、実は経済的手法を使っていないわけですよね。使うということをほとんど何も言わないで、自主規制でやるということを言っていまして、非常に簡単にいうと、産業界は自主規制で非常に頑張っていると。増えてないわけですよね。増えているのは民生と運輸で、これは非常に増えているのですね。ですから問題は、産業界は自主規制でできるかもしれないけれども、民生と運輸は自主規制もできない。このままほうっておくとどんどん増える。それこそ京都の後が大変と。2012年以降はですね。そういうことを考えると、今の段階から経済的規制を、とりわけ対民生、対運輸で入れることを考えておく必要があるのではないかというのが第2点です。
第3点は、じゃそれで産業界はもつのですかというのが多分3番目の大事な問題で、産業界の中でも、今、今井会長という名前が出ましたけれども、一部の業界ですね。とりわけエネルギーに関して非常に集約的な産業、ここの負担が非常に大きい。とりわけ国際競争力という意味でも非常に大きな問題になっている。ここを、長期的なことを考えて、経済的規制をできれば入れながら、しかし、短期的には、国際競争力という意味で救うと。あるいは負担を軽減する。そういう仕組みを考えることが本当は大事なのではないかと思います。
そういう仕組みとしては、実は今度は国内排出権取引で、最初に排出権を、例えばそういう犠牲を受ける業界にはかなりの量を割り当ててしまう。そうすると、必要として、市場から追加的に購入しなくてはいけない排出権というのは、そういう産業は、わずかで済むわけですから、それだけ負担は少なくて済む。例えばですけれども、こういう仕組みがあり得るわけで、そこまでできれば考えた上で、経済的規制については、要するに長期的なことを考えると、そろそろ考え始める時期に来ている。とりわけ民生、運輸のコントロールということで考えるべき時期に来ているのではないかと思います。
〇委員
先生のおっしゃったこと、後のほうは、それも一つの議論の流れだと思って、よくわかってますよ、私は。ただ、それに対する一つの反発は、ロシアみたいに努力もしないで、ただで金になる話を仕組んだのですよ。議定書全体はね。何で国民の税金、巻き上げたやつをそこに、1,000億にしろ2,000億にしろ、やらなければいかんのかなと。そんなことやるのだって、マイナス6%は一生懸命やりましたと、しかしできませんでしたと。アメリカ、抜けてしまったのだから。誠心誠意、このぐらいまじめにやっている国ないのですよ、実は。環境問題についてこれだけ組織的にやっている国は、世界中どこ見たって。だから、我々は別に恥じることも何もないのだというふうに考える人もいるのですわ。わかります?
〇委員
エネルギー関係税制を整理して、私は環境税をつくるのが望ましいと思います。それからあと排出権、今言われたのは、これも課税して普通財源に入れて、エネルギー税法でやはり遅れをとるわけにいかないと。それが第1点です。
それからあと、地方自治体で今、ごみ処理、その他で、環境税的な目的税というのをあちこちでやっておられるのですけれども、これは本来、法定外目的税でやっているのでやむを得ないのだけれども、これがあちこちでできますと、やはり税としての総合体系ができにくくなるのですよね。ですから、これは市町村ぐらいの範囲でやっている段階で、国としてもやはり考えないと、税体系が、例えば都なんかで大きな税を仕組まれたとすれば、今度国はもうやりにくくなってしまうわけですね。だから、時流として、やはり早くコンセンサスつくってやるべきだと、そういう論議です。
〇委員
ぼつぼつ次へいきたいのですけれども。
じゃあと2人にします。どうぞ。短くお願いします。
〇委員
短くお話しいたします。
環境税につきましては、北欧で炭素化合物に課税するという形をとっておりますし、またOECDでも、毎年のように報告書が出て、経済的手法のことが述べられているわけですが、さらに環境問題、特に地球の温暖化ということで、いかにも前向きに検討すべきであると思われるわけですが、よく考えてみますと、何か、環境税、環境税とずうっと聞かされてきたもので当たり前なのかと思いましたが。特にピグー税という名前がありましたから。
最後に、資料の最後にも出ておりますけれども、非常に理屈っぽい話になるようですが、租税としての性質。今まで税金というのは、負担する能力があるかどうか、あるいはそれだけのサービスを受けている対価として、一般的な対価としての性格を持っているのでかけると。こういうところに合理性が認められてきたわけですけれども、いわゆる原因者であるとか汚染者であると、それを根拠に課税するということがどれだけできるのだろうかということですね。一旦、それを税金として認めますと、税金というのは勝手に財産を差し押さえたりすることができるものでありますので、この一つの環境税の例があると、今度ほかのものも、いわゆる手数料だ何だでなくて、税金の形で一方的に徴収するといったようなものが出てくる。こういうことになりますと、非常に税金の概念があいまいになってきてしまいますので、ここはやはり、昨年の答申でも、「積極的に検討を進めていくことが望ましい」と書いてありますけれども、基本的なところから検討していくことが必要ではないかと思っております。
〇委員
慎重にということですね。
どうぞ。
〇委員
今まで議論に出てなかった点で重要だと思うのは、仮に環境税を導入したとして、挙がってくる税収がどのぐらいになるかということだと思うのですけれども、その額が小さい限りは問題ないでしょうけれども、排出権がいいか環境税がいいかということもいろいろありますけれども、ポイントの一つは、もし環境税をやってきたときに、その目的というのは環境を正すと。CO2なりいろんなものを正していくと。上がってきた税収は必ずしも、今の仕組みで何とか特会にぶち込んで、狭い範囲で環境は環境に還元していくという必要は必ずしもないと。それ以上の非常に大きな額が上がってくる可能性があるわけで、したがって、環境税を議論する段階で、揮発油税等々のいろいろ経験もすでにあるわけで、使途をどういうふうにするかというところまで含めて、将来的には同時に議論していく必要があるだろうと。
〇委員
ということは、一般財源化がいいと言っているのですね。
〇委員
ええ。必要になるだろうと。
〇委員
ちょっともう時間がないのですが、短く。
〇委員
自動車重量税なんか、車は重たいから道路壊すと言うのだけれども、ガスを排出するから自動車が問題になるということだから、自動車重量税の中に排出税みたいなのを食い込ませるとか、そういうこと、去年どうなったのでしたっけ、結論は。よく覚えてないのですけれども。
〇委員
どこの結論? 税調の結論ですか。
〇委員
ええ。
〇委員
これから前向きに環境への対応を検討しようという、そういう抽象的なレベルですから。今のお話を聞いていると、かなり細かいところにご関心を持ちつつ、もう少し前向きでという人と、まあ慎重にという人がいますけれども、書き方としては、やはり大きな関心を持って議論しなければいかんということでしょう。世の中の動きを眺めつつ。その中で、委員のおっしゃるようなポイントも、あるいは排出権の話も含めた形で書けると思いますけどね。我々としては、問題意識は持っているという点でしょう。おそらく強調すべきことはね。
また今日は盛りだくさんなのです。したがって、この辺でとりあえずこの議論は打ち切らせていただきます。今ほんのイントロダクションなのですよ。今日はこれから本番の議論が始まりますから。少子高齢化で税制をどうしようかという話でずうっとやってきましたが、今日はもう一度、所得税、消費税、法人税、この3つの主要な税の中でやってきましたことを一通り整理したいと思います。それを踏まえて、これから中期答申への案文にかかるわけでありますから、そういうわけで、かなりの資料がございますが、これから順次こなしていきたいと思ってます。
その前段といたしまして、これまた宿題があったのですが、例の資産関係のことで、あるいは統計関係のことでちょっとご質問があったことについて事務局からお答えをいただくという形と、それから個人所得課税の資料につきまして事務局からご説明いただくということを引き続きやりたいと思います。
じゃどうぞ。
〇事務局
それでは、お手元の、資料番号がついておりません横紙の資料で、若干お時間をいただいてご説明させていただきます。
先日4月18日に高齢者の資産保有の関係でデータをお示しした際に若干の宿題をいただきましたので、ここで補足をさせていただきます。
おめくりいただきまして、1枚目と2枚目はすでに基本的にご覧いただいたものでございますけれども、貯蓄動向調査と全国消費実態調査の差ということでご覧いただきたいと思います。
まず1ページ目でございますけれども、これは4月18日に、実物資産を含めた全体の資産保有について年齢階級別に見たデータをお示ししたものでございます。前回とちょっと違っておりますのは、棒グラフの上の頭のところに具体的数字を書き込んでございます。ここで金融資産はグロスで表示してございまして、負債がその横に白抜きで別途出ている。したがいまして、例えば70歳以上の方ですと、2,223万円のグロスの金融資産と171万円の負債があると、こういう姿でございます。
下の注の1.にございますが、これはご案内のところでございますが、1999年の消費実態調査に基づいて、こういうデータを前回お示ししているということでございます。
1枚おめくりいただきまして2枚目でございますが、これはその前に、4月8日に、同じくこの小委員会に出した資料でございますが、この資料自体は、貯蓄、すなわちネットの金融資産についてのみ、高齢者と勤労者世帯の資産保有の分布を比較したものでございまして、ちょっと1枚目と趣旨が違う資料でございますけれども、ここに文字で書いてございますように、それぞれの平均値ということで、世帯主65歳以上の世帯で平均2,739万円という数字がございます。一番下のところにございますが、これは貯蓄動向調査、別の調査に基づいてこの資料をお示ししております。
それから一番上にございますけれども、これは時点としては2000年の数字ということでございます。したがって、この2000年の数字と、先ほど1ページ目でご覧いただきました、金融資産から負債を引いた数字が若干数字の差がある。こういったことを先日ご指摘いただいたところでございます。
そこの差の要因でございますけれども、3ページ目に、今2つお示しいたしました貯蓄動向調査と全国消費実態調査の統計としての差を一覧ということで表示させていただいております。ご覧のようなそれぞれの趣旨がございまして、3つ目の〇からでございますけれども、調査対象といたしまして、貯蓄動向調査のほうは、実物資産を除く金融資産だけを対象にしておる。それから消費実態調査のほうは、実物資産を含む調査となっております。他方で、調査の頻度のほうでございますけれども、貯蓄動向調査は毎年、これに対して消費実態調査は5年ごと。他方、その次の世帯数、カバレッジ、サンプル数でございますが、貯蓄動向調査は6,300世帯に対して、消費実態調査のほうは5万9,800世帯ということで、10倍ぐらい多いと。こんな姿になっております。
あと細かいところで、ここではございませんが、例えば金融資産の範囲がどうかというのは先日ご質問ございました。これは中身を見ましたらほとんど違いございません。いずれも時価がとれるものは時価でというような整理になっております。
そこで、先ほど2枚目のほうでお示しした資料、これは金融資産について直近のデータということでございますと、毎年調査をしております貯蓄動向調査ということでお示ししておりましたので、そういう意味で、1枚目と比較していただきますとやや違ったということでございます。
ポイントとしては、統計の違い、それから1999年と2000年という時点の差、それから細かく申しますと、片や65歳以上、片や60~69、70歳以上という刻みの差がございまして、こういう数字の差があったのかと分析されるかと思います。
ただ、いずれの統計におきましても、平均的な高齢者の資産保有が多くなっているという姿は共通して見てとっていただけるかと思います。
それから4ページ目でございます。もう一点でございますけれども、先日、委員のほうからご質問がございました、それぞれの年齢層の中での資産の保有状況ということでございます。先日の資料は高齢者の平均値だけを見ておりますけれども、その内訳、ばらつきはどうかというご指摘でございました。
これは新しい資料でございますけれども、実物、金融含めた全資産につきまして、これは消費実態調査しかございませんので、消費実態調査から新たにつくった資料でございます。
これは眺めていただきますとご覧いただけるところでございますが、例えば下の2つの円グラフを見ていただきますと、60~69歳、あるいは70歳~、半分以上の方が4,000万円を超えるという数字になっておりまして、全体として見れば、平均値だけでなくて、分布をとりましても、高齢者層の資産が厚くなっているという状況がご覧いただけるかと思います。
以上でございます。
〇事務局
それでは、基礎小29-1「個人所得課税関係」という横長の資料をお開きいただきたいと思います。
先月18日に所得税関係、一度、基礎小でご議論をいただきました。その際いろいろな資料の説明をさせていただきましたが、若干その後のマスコミなんかの報道を見ておりますと、年金受給者に課税強化といった、ややシンプルな報道になっておりまして、そういう意味では、前回の私のほうからの説明がやや雑であったかなあと反省しておりますが、今日は、高齢者の経済実態についてのもう少しきめ細かなファクトファインドをしていただくという意味で、若干補足資料を準備してございますので、ご覧をいただきたいと思います。
目次を飛ばしてお開きいただいて、最初は幾つか前回の資料がありますが、3ページをお開きいただくと、「高齢者世帯の所得階層別に見た世帯分布」ということで、これは一度ご覧いただいた資料でございますが、平均世帯人員が3人弱。この全世帯のグラフに比べますと、高齢者世帯は平均世帯人員が1.5人程度と少ないこともありまして、300万円とか400万円以下のところに集まっていることが見てとれようかと思います。全世帯で見るよりも高齢者世帯は、そういう意味で下のほうに集まり、なおかつ所得格差が少し大きいかなというのが見てとれるということでございます。
4ページ以下が今回準備しました新しいデータでございますけれども、4ページをご覧いただきますと、ちょっと見にくいデータですが、「高齢者世帯における主たる所得別の世帯の構成割合」と分かりにくい表題になっておりますが、この厚生労働省の国民生活基礎調査で世帯を4分位に分けます。4分位というのは25%ずつに分けるということでございますが、そのうち第I階級、一番所得の低い階層でありますけれども、ここに属する高齢者というのが、主たる所得が公的年金・恩給である方が85.5%いらっしゃると見ていただければと思いますが、当然のことながら、これが第II、第III、第IVと所得の階級が上がるに従いまして、主たる所得が年金だという世帯の割合が、第IV階級で見ていただくと14.1%と下がっていきます。それに伴って、稼働所得や財産所得が主たる所得であるという高齢者が、所得が増えていくと出てくるということでございます。
なお、さっき4分位と申し上げましたが、若い世帯も含めた4分位でございまして、高齢者はどちらかというと第I階級とか第II階級の低いところに集まっておりまして、書いてありませんが、第I階級で高齢者全体の約6割を占めておるということのようでございます。
それから5ページでございます。これも似たような資料でございますが、「高齢者世帯における公的年金等の総所得に占める割合の世帯構成比」ということで、これはどういうふうに見ていただくかといいますと、例えば250万円未満という一番低い所得階級のところで見ていただくと、右のほうに73.8%、上に100%と書いてありますが、公的年金等が総収入の100%である方が、250万円未満のところでは73.8%いらっしゃるということで、250万円未満といった低い所得階層の高齢者は、その7割強がすべて公的年金という方だと見ていただければと思います。
これがだんだん所得が上がっていくに従って、100%公的年金に頼っておられる方がだんだん減ってまいりまして、例えば一番下の1,000万円以上の所得がある高齢者世帯はおよそ公的年金に100%頼っている方はおられずに、一番低い20%未満の依存、あるいは40%とありますが、20~40%程度の依存という、公的年金に頼らない方がだんだん増えていくという、ある意味で当然な姿が見れるということでございます。
6ページでございますが、これも一度ご覧いただいた資料でありますけれども、高齢者の中に稼働所得、要するにサラリーを主たる収入とされる方が真ん中で8.3%いらっしゃいます。この方は年金と合わせた全体の収入が600万円を超えておられるということでございます。それから自営業者世帯、自営業種が12%ぐらいいらっしゃって、これも公的年金のほかに自営業種としての所得があって、460万円ぐらいの収入を得ておられる。そうでない方がその他の世帯でありますが、この方々は公的年金に頼って暮らしておられる。こういう方の全体の収入は270万円ぐらいという感じではないかと思います。
以上がばくっと見た高齢者の多様な姿でありますけれども、今度は、どのぐらい高齢者が年金をもらっておられるかというのを可能な限り把握してみたいということで作ってみた資料が7ページ以下でございます。
7ページは、基礎年金の受給年金額別の受給権者数ということで見ていただきますと、下のほうに、12万円までもらっている、あるいは12~24万円もらっている方ということで、人数が棒グラフで書いてございます。いわゆるモデル年金とよく言われますけれども、右から2番目のところに基礎年金の満額の水準というのがございます。月6万7,000円で、12カ月、1年ですと80万円ぐらいもらっておられる。このところに山が一番大きく出ておりまして、こういう方が618万人おられるということでありますが、加入期間の関係で、こういう満額以下の方がその左のほうに分布しております。
それから84万円以上という一番右のところでありますが、こういう方はおそらく年齢を繰り下げて支給を受けておられる方が80万円以上もらっておられるということではないかと思います。
これに、8ページでございますが、2階の部分の報酬比例部分を足したときにもらう額の分布がこうなるということで、60万円未満、60万円以上、120万円以上というふうに棒グラフを立てておりますが、後から見ていただきますけれども、報酬比例部分まで含めた40年加入のモデル年金というのが大体基礎年金と合わせまして200万円ぐらいでございます。従いまして、180万円以上という棒グラフのところにモデル年金の人がいらっしゃるというイメージで見ていただければと思いますが、ここは前のページの基礎年金と違いまして、モデル年金を超えてもらっておられる方が240万円以上という右のほうの棒グラフでかなりいらっしゃいまして、若いころに賃金の高かった人は標準報酬も大きくなるわけですので、モデル年金を超えて受給している人が、報酬比例まで含むとかなりいるということではないかと思います。
9ページでありますが、さらに3階部分を乗せてみるとどうなるかということであります。先ほど申し上げたように、右のほうの箱に基礎年金と厚生年金保険というのがありまして、これにいわば3階として厚生年金基金という制度があるわけですけれども、一部、厚生年金保険を代行しておられる部分があります。例えば加算年金という一番左の、基金が独自で上乗せして設計している、いわゆる企業年金の部分でありますけれども、これが、下の(注)の1.に書いてありますが、加算年金の平均年額が5.6万円ということで、この5.6万円が乗っかる結果、代行部分に若干プラスアルファがありますので、厚生年金基金に加入していない人に比べて、左のほうにありますが、5.8万円ぐらい上乗せされるのがこの加算年金を受けておられる厚生年金基金の方ということになりまして、先ほど、モデル年金で、2階までで200万ぐらいと申し上げましたけれども、加算年金を受けられる方の水準というのを平均してみますと、(注)の2.にありますが、平均年金額は加算型の場合は295万円程度ということで、加算型まで乗っかると300万円弱の年金をもらっておられるという姿になるわけでございます。
10ページ、細かいファクトファインドで恐縮ですが、今申し上げた加算型の平均額が5.6万円ですけれども、基金によってはこの加算の設計の仕方がまちまちでございまして、平均以下で、1万円とか2万円加算しているところもかなりございます。一番大きいところでは、14万円以上加算するといった設計になっている厚生年金基金もあるということのようでございます。
11ページにお進みいただきまして、これはよく厚労省のほうで出される資料でございますけれども、モデル年金と高齢者の消費支出を比較した資料でございます。月額ベースで書いてございます。高齢者の消費支出が一番上にございますが、ちょっと白く塗った部分、食料・住宅、保健医療、交通・通信のところまで足しますと約15万円、これに教養娯楽や交際費まで入れると24万円というのが高齢者の消費支出でございます。
これに対しまして、モデル年金、40年加入の場合、基礎年金がそれぞれ6万6,000円もらいまして、さらに報酬比例として10万3,000円乗っかって、23万6,000円というのがモデル年金でございまして、ほぼ消費支出を賄える程度のモデル年金設計になっているということではないかと思います。その上で、この23万6,000円というのは、右下にございますが、現役世代の税引き後の可処分所得40万1,000円に対して約6割という水準になっておりまして、これを所得代替率と申しておりますが、正確には59%という設計になっているということのようでございます。
これを年ベースに延ばして比較したものが12ページでございます。年ベースに延ばしますと、消費支出が289万円、それからモデル年金額が、だんなさんの場合、基礎年金と報酬比例で、先ほど申し上げた203万円程度、それから奥さんが基礎年金として79.7万円ということで、夫婦のモデル年金を足し合わせますと、203万と79万を足しますので280万円ぐらいもらっておられるということで、ほぼ消費支出と見合っているわけでございます。
これに対して現在の高齢者課税の課税最低限というのを参考までに下につけてございますけれども、まず奥さんについて、80万円弱のモデル年金については公的年金控除がききます。その結果、公的年金控除を引きますと、奥さんの所得が38万円未満になりますので、奥さんは基礎控除等がかかって課税されない上に、だんなさんの扶養控除になられるということで、だんなさんの課税最低限は、そこにありますように、公的年金控除や基礎控除や配偶者控除や老年者控除がききまして、285万円ということになりますので、これはモデル年金額をかなり上回って、そこにありますように、モデル年金を超える報酬比例部分や3階の企業年金の受給のところまで非課税にするだけのかなり高い水準に現在の課税最低限は設定されているということでございます。
これから先はぜひご議論いただきたい点でございますけれども、こうした年金の受給水準を踏まえまして高齢者の控除を見直す場合、どういった点を見直していくのか、高齢者の課税最低限はどの程度がいいのか、老齢基礎年金、あるいはモデル年金だけで生計を立てておられる高齢者にまで課税を及ぼしていいのか、どこまで課税すればいいのか、具体的に公的年金控除等を見直していく際に、こうした高齢者の年金の受給状況ですとか、消費や収入の実態についてきめ細かに踏まえて議論していただく必要があろうかと思いますけれども、一般的に年金から税金をとるということではなくて、こういう高齢者の経済実態を踏まえた公平の確保という観点から、どこまで見直しをするかという観点でご議論をいただけるとありがたいと思いまして、幾つかの資料を準備させていただきました。
13ページ以下は、年金制度にかかわりますやや原データ的なものをつけてございますので、説明は省略させていただきます。
ちょっと後ろのほうで25ページ、26ページには退職金関係の資料がついてございます。これもご覧いただければと思います。
資料の説明は以上でございますが、もう一枚、「会議終了後返却」という白い表紙がついた資料がございますので、簡単にご覧いただきたいと思います。
3月以降、個人所得課税を中心に基礎小でご議論をいただいておりますので、個人所得課税も見直しの方向につきまして、かなりいろいろなご意見をいただいております。それを便宜、私どものほうで整理したものでございますので、これをご覧いただきながら、なお不足しているご意見等賜れればありがたいと思っておりますが、若干、時間の関係で恣意的になることはお許しいただきたいのですが、少し拾ってみたいと思います。
1ページ、2ページは、やや総論でありますので飛ばさせていただきますが、3ページの【個人所得課税一般】という表題がついたところ、ちょっと拾ってみますと、例えば13番、所得格差と資産格差が広がってきている現状を踏まえると、垂直的公平を重視していくべきではないか。あるいは14番、クロヨンなどの所得捕捉の問題などについても議論すべきではないか。16番、所得税の働く世代への集中をどのように防止するのか検討する必要があるのではないか。
それから4ページにお進みいただきまして、18番、我が国の所得税の特色は、資産性所得などを非合算としていること、特定収入に結びついた特定控除を設けていること、こういったことが世代間ないし世代内の不公平を拡大しているのではないか。
それから【人的控除の簡素化・集約化】ということでいただいたご意見としては、21番でございますが、公的年金等控除や給与所得控除を整理合理化することによって、基礎的人的控除を引き上げるとともに、標準控除を設け、人的控除プラス標準控除に一元化してはどうか。あるいは22番で、手当等の給付を充実させた上で、基礎控除だけにすべきではないか。
それから5ページの24番あたりは、高齢者を一括りにせずに、各種控除の歪みを是正していく必要があるのではないか。それから25番では、扶養控除は児童に対するものだけでよいのではないか。
それから【給与所得控除】につきましては、大体6月の基本方針と同じような方向のご意見をいただいているようでございます。経費概算的な性格を徹底させて、実額控除的なものに変えていく必要があるのでないか。同時に所得捕捉の問題についても議論すべきだといったご意見でございます。
それから6ページにまいりまして、30番あたりをみますと、サラリーマンも全員確定申告にし、痛税感といったものをわかってもらう必要があるのではないかというご意見もいただきました。
それから高齢者に関する控除として、公的年金等控除や老年者控除につきましては、概ね見直しの方向で同じような意見をいただいておりますけれども、例えば33番あたりでは、こういった控除を見直すに当たっては、適用者などの関係者に不安を抱かせないよう、経過措置を工夫すべきではないか。それから36番でありますが、高齢者は公的年金以外にも収入があるので、高齢者に対する配慮は、人的控除(老年者控除)にまとめるべきではないか。こういったご意見をいただいております。
それから7ページにお進みをいただくと、年金課税について、40番あたりでは、具体的なイメージを早めに国民に提示して、ある程度の期間を持った経過措置を設けるべきではないか。それから41番、1,000万円以上の収入のある者が年金を一緒にもらっている場合には制限してもいいのではないかといったようなご意見。
それから年金課税の整合性という観点からは、次の8ページの44番とか45番、46番あたりでは、拠出段階というよりは、どちらかというと給付段階での課税の見直しに重点を置いたご意見をいただいているように思います。
なお、拠出段階での、一定の場合には控除を否定してもいいのではないかといったようなご意見もございまして、例えば9ページにいきまして、【社会保険料控除】のところなどでは、所得税の課税ベースを侵食しているので、社会保険料控除を制限して、生命保険料控除と一緒にしてはどうかとか、強制的に徴収される一種の税と考えれば、所得税上控除しなくてもいいのではないかといったご意見をいただいております。
【退職所得課税】につきましても、概ね最近の支払い実態等を踏まえた中立的な税制に見直すべきであるといったようなご意見がございました。
それから最後の10ページ、【非課税所得】の問題につきましては、北欧の例などを出していただきまして、一旦課税した上で、費用回収の手段として税を課税するといったような方向のご意見をいただきまして、大体各項目にわたってご意見をいただいているように思いますけれども、なお補足すべきようなご意見がございましたらお願いしたいと思います。
ちょっと時間が長くなりましたが、以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
お二人から大変いい資料をご提示いただいたと思います。高齢者の経済実態がどうなっているかというのを踏まえて、これから控除なり、あるいはその他もろもろを議論しなければいけないと、まさにそのとおりであります。しばらく時間をとって、今事務当局から出された問題につきまして議論したいと思います。
どうぞ。
〇委員
北欧の実態をちょっと見てきたのですけれども、それとの関係で言いますと、北欧は社会保障給付を課税にしたわけですけれども、そのときに比較的抵抗なく導入できた理由として、それと同時に社会保障額を、つまり給付額を増やして、実質の手取りがあまり変化しないようにしたので受け入れやすかったという話があるわけです。
そうしたら何も変わらないかというと、実は変わっていて、所得控除ですから、所得の少ない人の限界税率は低いので負担は少ないわけですが、税収も少ないのですが、所得の多い人からは、負担も多いし、控除のメリットは非常に大きくて、言いかえると税収が減っている部分が非常に多いわけですね。それをいわば給付を増やすという形でやるということは、基本的には所得控除から税額控除みたいな形にしたことになるので、むしろ税収が増えるという形になるわけです。
ですから、私は基本的には、こういう、老齢者というか、社会保障給付に関しては控除をもっときちんと見直して、圧縮するということを一方では考える、少なくとも所得控除という形では圧縮することを考えるべきだと思うのですが、他方で低所得者のために対応するためには、それを税額控除にするとか、あるいは給付を増やすとか、何かそういう形でむしろ老齢者の中での高額所得者の負担を増やす、それで税収を回復するという方向で考えられないかなと思います。
〇委員
興味あるご指摘でした。
どうぞ、順にいきましょう。
〇委員
今度の中間報告に、僕は1年ぐらい前に漠然と考えていたことは、何か増収策を考えるとすれば、消費税と所得税の合わせ技だと思ったのですよ、実は。それが総理の意向に従って、また9月以降あの人は総理になり続ける可能性もあるので、そうすると、政権を持っている間、消費税いじらないということを彼は言ったわけですね。勢いどういうことが起こっているかというと、所得税中心にものすごく、この改革論に便乗する形で、ここで何か捻出してくれるのではないかという世間の期待が一方的に高まった。前回、厚生労働省の3人の方のお話を聞いていて、説明はなかなか説得的だったし、それはそれでよくわかったけれども、言外に、税調は、会長含めて、何か我々の期待に沿うような財源を所得税の中から、放っておいても出してくるのではないかというふうな気持ちがあるように、これは僕はひねているかもしらんけれども、思われている。
第2に、ここのところ我々が小委員会で議論をやるたんびに、新聞で小さな記事、大きな記事、出ているのですよね。僕は大体、昔、新聞記者だから、スクラップするの大好きで、全部一応、大小取り混ぜてとってあるのですわ。それを読み返してみると、僕はこの前もここで、総理が消費税だめだと言うから、しようがないから所得税だと。かなりつらいこともやらなければならんということは、腹決めてやろうではないかということを申し上げたけれども、しかし、新聞に出ているのを見ると、いかにも、我が税調は高齢者から有無を言わさず一網打尽に一括的に税金をとるかのごとき印象を与えるような記事がオンパレードになっているわけです。現実問題としては。
確かにそういう印象を与えるのもやむを得ないような議論を我々やっているとは思いますよ。思うけれども、しかし、これは去年もやったし、今度も、会長がそうおっしゃっているからやるだろうと思うけれども、夏場、地方で税金問題について皆さんの意見を聞く機会をやるとすれば、もしこの印象だけが紙面に出ていれば、全体像ではなくて、歪んでいるわけだから。実は一方的な、一括的な議論しか出てないから。単純に。僕はどこか1カ所ぐらい行こうと思っているけれども、おそらくそういう印象は違っているということを弁明これ努めることになると思うのですね。こんなあほな話ないですよ。
だとするならば、いずれ我々は年末に向かって、中期答申で書いたようなことについての細目についてかなり具体的に決めなければ責任果たしたことにならないから、やると思いますよ。思うけれども、今事務当局から説明あったこともまた事実とするならば、もうちょっと配慮のある書き方を少なくとも6月の我々の答申の中には、方向は明快だけれども、書いておく必要があると思いますね。これは政治問題になる可能性があると思います。
〇委員
配慮とおっしゃるのは、年金受給者の低所得者層のほうと、高いほう、低いほう、いろいろ踏まえて配慮するということですね。今たまたま言った税額控除しろとか、そういう発想ですね。
〇委員
はい。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今事務局のほうからお示しいただいた個人所得課税関係の資料を見ると、前半では、高齢者はやたら資産があって、貯金もあって、金持ちだと。ところが、だんだん、年金だけで暮らしている人が結構いると。10ページ以降になってくると、大体月二十数万で暮らしていると。この資料を見る限り、高齢者の実態というのはどうなのかなと、わからなくなってくる。実際に高齢者になると個人差というのは当然出てくるわけで、こういう資料になるというのもうなづけるわけですが、税制の議論をする場合、特に年金等々の課税問題をする場合、どこに焦点をあわせるのかなということになると、やはりすれすれで暮らしている人への配慮というのは、これはどうしても留意しなければいけないのではないか。
そういう人たちをぶった切るような格好で、公的年金等控除がこんなに恵まれているのだと、丸々払わなくていいのだというような議論に突っ走るというのは、果たして国民の理解を我々として得られるのかどうか、慎重に議論しなければいかんし、中期答申では慎重に記述しなければいかんと思っているわけです。
1つ、これは事務局への質問なのですが、公的年金等控除と給与所得控除との関係で、かつて、年金の給付は給与所得でやってましたと。それが昭和62年か63年かに公的年金等控除になりましたといういきさつを説明していただいているわけですが、なぜそういうことになったのかということをちょっと改めて伺いたいと思います。
〇委員
ご説明いただけますか。
〇事務局
お手元に前回4月18日の資料が置いてあるかと思いますが、この冊子の上に置いてあるようですが、恐縮ですが、これの29ページでございます。当時の、見直しに当たっての政府税調の答申がつけてございますけれども、右側の、たくさんアンダーラインが引いてありますが、ロとかハのところをご覧いただきますと、ご指摘ありましたように、それまではみなし給与ということで給与所得課税をしておったのですが、給与所得控除の性格として、勤務関係を前提として、勤務に伴う経費を概算的に控除する性格があるということでございましたけれども、公的年金の給付について、こういう経費のようなものを観念するのはあまり合理的ではないということで、給与所得控除の適用は合理性がないという、年金の控除についての性格づけがそこで整理されておりまして、「しかしながら」というところに書いてありますように、経済的稼得力が減退する局面にある者の生計手段として給付されている年金であるので、その年金という収入の性格を踏まえて、他の所得との間で何らかの負担調整措置が必要であるということで、他の所得との負担調整のための新たな控除を設けるという考え方で、この公的年金等控除がつくられたということでございます。
〇委員
いきさつは、詳しくは後でこれを読ませていただくとして、この公的年金控除を給与所得控除に統合すべきだというような意見がこれまでの議論にもあらわれてきて、それも一つの有力な案だとは思うわけですが、1つ気がかりな点は、現在の年金制度において、在職老齢年金というもので、一定水準の給与所得があると年金の給付をカットするという制度が実はあるわけであります。
この前の欧米の調査団の、会長なんかの調査報告を拝見しても、年金の給付は課税だよ、課税だよということは極めて明確にレポートされているわけですが、一定の給与所得があると年金をカットする。つまり、在職老齢年金のような調整は海外ではどう行われているのかというあたりがいま一つつまびらかではなかった。
何が言いたいかといいますと、公的年金の給付を給与とした場合、こういった在職老齢年金の今のようなカットができるのかどうかということなわけです。つまり、給与所得である以上、あなた、ほかでいっぱいもらっているのだからこっち削っていいでしょうというわけにはなかなかいかない。しかし、これからの年金制度の中では在職老齢年金のカットというのが非常に大きな柱になってくる。今70歳未満を70歳以上にしたらどうだというご意見もあるわけでありまして、ここら辺の年金の給付と、給与所得にした場合の関係がどうなっていくのか。ちょっとそこら辺は頭の中に、私、入っているわけです。
〇委員
その辺、もう少し資料を集めて議論する必要があると思いますが、とりあえずカナダについて言うなら、老齢基礎年金にはクローバックシステムというのがありますから、2~3万ドルぐらい超えるとだんだん減らしていって、あるところまで来ると全くなくなると。今の在職老齢と同じように入ってますね。だから、ほかの国もおそらくそういうのを入れていると思いますので、これから、その辺の一種の再分配みたいな効果も入れる必要もあるかもしれませんね。
どうぞ。
〇委員
質問ですが、先ほどの委員のお話にも関連があるのですが、高齢者の生活実態を見る場合に、特に年金ですけれども、遺族年金となった場合、実態としてはどうなるのかという、もうちょっと資料が必要だという。それから、その遺族というものについての議論というのがあまり今までなされていないのではないかという気がしますので。
〇委員
具体的には、扶養家族とか経済状況とか、そういうもう少しミクロ的な意味でのデータが必要だろうとおっしゃるわけ?
〇委員
はい。これの、いわゆる本人が生きている間はまことに結構に見えますが、遺族となった場合、残った者には相当の落差があると思いますからね。実際。
〇委員
これは今日は無理だと思いますけれども、何かできましたら、次回以降でも、ちょっと計算の上お出しください。
〇事務局
はい、準備いたします。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今の制度にも関連しまして、年金控除は、62年の前の昭和48年に初めて5万円年金が実現したときに、それは非課税にしようではないかということで、老年者年金特別控除というのを60万円で作って、年金は非課税ということに。そしてそれを、60万円上回る人についてはさらに給与所得控除を適用したという。この30ページのあれに出ておりますけれども、それはそういうふうな、国として年金制度を初めて完成したというときに、そういったものは非課税にしようという発想だったのだろうと思いますけれども、これだけ全体としての高齢者の所得水準、収入水準も上がって安定的になってきていると、その中でなぜ年金だけを特別扱いするのか。むしろこの時点におきましては、どんな収入であれ、所得であれ、もう公的年金だから特別扱いをするということでなしに、高齢者の生活実態にあわせて、高齢者、そうした人への控除を考えるというふうに基本的に発想が転換できれば一番はっきりするだろうと思うわけでございます。
ですから、公的年金であれ、稼得所得であれ、財産所得であれ、高齢者としてどう考えるか。端的には老年者控除があるわけですが、これも見直しの対象にはなっていますけれども、公的年金とか、そういった収入の性質からではなくて、老年者控除といった特別の控除、あるいは普通の人的控除、38万円を、前から申し上げているように、1人50万円とか、そういったことでやっていけば、実質的に年金で生活している人を大体救えるのではないか。そしてほかの所得があれば課税になると、そういう方向が考えられるのではないかと思うわけでございます。
その場合に、遺族は6万円の、奥さんは自分の基礎年金と一緒に、ご主人のあれを4分の3引き継げるのかなあと思いますけれども、そういった金額の水準であれば、老年者控除なり基礎控除、人的控除なりでやれば、当然、奥様お一人残されても非課税でいけるのではないかと。ですから、遺族年金は非課税を課税にしますよという言い方にどの程度こだわるのか、そういうような老齢者控除なり人的控除なりでいけば大体救えるような方向ですんなり出していくといううまい方法があればいいなあと、そんな感じがします。
〇委員
ほかにこの問題についてご発言なさりたい方、いらっしゃいますか。
じゃお二人、どうぞ。
〇委員
今議論しているのは中期答申で年金課税をどう書くかということですけれども、すでに事務局が今までの議論を、集約したものを示されてますけれども、私が思うのは、やはり課税の原則というのをきちんと税調として示すと。それから第2点は、さんざん出ている高齢者の所得と資産の実態について、どこまで我々が合意を得られているのかということを示すと。それから第3点は、年金制度自身についてどう書くかということはまた後で話したいと。
原則については、何番ということは言いませんけれども、事務局のまとめたもので、やはり年金、公的年金をイメージしているのですけれども、基本的にはこれは所得課税、拠出時に課税して、積み立てプロセスで課税してということはできないわけですから、おそらく原則的には支出税、消費税的にかけるのだ。これが第1点。ただ、消費税的にかける以上は、もらう段階できちんと課税しなければいけない。どう課税するかはともかくとして、原則はそうだと。
それから原則の第2点は、それはそうだけれども、今非常に社会保険料が大きくなってきた。年金もそうだし、医療もある、等々もある。社会保険料を全額非課税にしていいかどうか。社会保険料の一部は、これは積み立てではなくて賦課方式で、今払った保険料はほとんど税と同じで、その時点の高齢者に移転されるわけですから、社会保険料全額を所得控除する必要はないかもしれない。実際に税をどう仕組むかとは別に、今言った2点ですね。もう少しあれば議論すべきですけれども、やはり原則というのに関して合意を得るべきだ。
それから第2点の高齢者の所得と資産について、今日新たに実態が出てきたのですけれども、毎回実態が出てきて、また宿題を出し続けるのも申しわけないのですけれども、僕も実際このデータを使ってやってみて、実は高齢者という名前がまず、これは65歳以上だと思うのですけれども、本当の問題は、70歳を超えて75歳ぐらいからいろんなおもしろい問題が起きてくる。70歳くらいまで見ると貯蓄も高いのですけれども、75歳ぐらいになるとさすがに取り崩してくる。そして、平均余命が非常に長くなってますから、実はこの仕事では不十分だと。
言いたいのは、実は今日示していただいた、あと個人的にあれかもしれないですけれども、世帯別の資産分布でも、よく見ると、70歳ぐらいまでだと、そんなにばらつきというのは変わらないわけですね。60~69歳、70歳以上で……
〇委員
何ページ?
〇委員
今日新しく示していただいた「資料」という、これの一番最後のページで、「世帯主年齢、資産総額階級別世帯分布」ということで、これはじっと見ると、60~69歳、70歳~をご覧になっていただくと、ほとんど変わらないのですよね。分布がね。だから実態としては、私の理解は、後期高齢者になってくるとかなりこれもばらついてくる。したがって、支出税的にかけるのだと言ったときに、高齢で資産が少ない、また所得が少ない人をどう扱うかということは大きな問題だと。
ただ、すでにもう出ているように、それは高齢で貧しいということがポイントなわけですから、公的年金に対して控除を与えることでそこを救済する必要はないと。一般的に、高齢で貧しいということに対して手当てをすべきだと。そういうことで、課税ベースは大分変わっていくと思います。
最後に少し短く。年金について、在職老齢年金というのは、働いていると、その部分はカットされると。厚生労働省は、働いて所得があるのだからと言うわけですけれども、もらっているほうは税金と同じだと。ただ、その問題、どこまで税調で、年金制度の在職老齢年金のあり方、あるいは遺族年金でも触れていくと、私もこの仕事しましたけれども、もう一方で、なぜ遺族年金を出すのだと。生涯単身で暮らしていく人がいて、片方は、夫婦生活して、仮に夫が亡くなったら何で4分の3もらえるのだという議論だって同時にあり得るわけですよね。だから、年金制度のあり方自身、在職老齢にせよ、遺族年金にせよ、全部重要なことは承知しているつもりですけれども、それを議論し出すと、少なくとも中期答申でどこまで書き込めるかというのは困難があると思います。だから、それよりあと議論するならば、401kというか、拠出型の個人年金をどう扱うかとか、その辺はあり得るのかなと思います。
〇委員
じゃ最後にどうぞ。
〇委員
今日資料を出していただいて、大体高齢者は思っているよりずっと金持ちだなんていう議論がずうっと言われておりまして、そういう人もいることは間違いないのですけれども、その実態がかなり出ましたので、その点は、私、大変よかったと思っておりますが、実際に見ておりまして、おかしいといいますか、不公平といいますか、そういうことを感じる場面というのは、これはあまり所得税で解決できないような問題が多くて、例えば年金をもらっておる。ところが、ベンツ乗り回して、大きなうちに住んで、高級レストランに出入りしている。これはおかしいという話。これはやはり年金がおかしいので、なかなか税で対応できない。そういう人は収入はないのでしょうけれども、過去のいろいろ蓄積があって、それで暮らしておるわけで、そういう不公平感というのは所得税ではなかなか難しい。
それから今日の資料に出ております、結構資産は持っているけれども、実際は年金だけというのは、これも非常に数が多くて、それは自分が住んでいる家、不動産ですよね。不動産ですけれども、この資産、どうにもならないので、リバースモーゲージなんて手が打たれてはおりますけれども、大して働いておらない。そうすると、これは数字上は金持ちだけれども、この人からとると、やはり厳しいことになる。先ほど委員がおっしゃったあたりの落ちつきぐあいが私は一番いいと思うのですけれども、これはやはりとれないだろう。
それからもう一つおかしいのは、年金をもらって、一方、施設等に入っていろいろなほかの社会保障の給付で生活しておって、年金丸々たまって、お亡くなりになってみると、たっぷり年金が残っておって、これは相続のほうにいったと。これも、現場におると非常におかしいと思うのです。これもなかなか所得税で対応できない。
ですから、世の中、高齢者で金持ちだけれども、だからという議論でそう単純にはいかないところがいろいろあって、今日大分きめ細かく議論ができるようになったので、私は大変いいと思っております。
〇委員
また知恵をおかりします。それでは……
〇委員
ちょっと遺族の問題で、1つは質問というか、後でやっておいてもらえればいいのですけれども、というか、多分抜けていると思うのですが、夫が死んだら妻に4分の3いく場合があるでしょう。年金。逆に妻が死んだときには、例えば妻が厚生年金で夫が国民年金の場合は、基礎年金みたいなものだけれども、そっち側の返しはないの? 男女共同参画時代だから、そういうことはあり得るわけで。
〇事務局
正確には調べて、次回ご報告いたします。
〇委員
どうぞ。
〇事務局
先ほど先生のほうから、後期高齢者の資産の話、私どもも、今の4ページの資料をお出しするときにいろいろ調べて、私ども自身も関心を持っております。ただ、まず全資産について見れるのはこの消費実態調査。これも刻みが実は70歳以上というのが最後でございまして、この上が今データとしてはないという問題がございます。さらにちょっと何かないか、努力はしてみますけれども、なかなか、現状、手元の資料、データでは難しいということもご理解いただきたいと思います。
〇委員
そういうようにいろいろなデータが出てきますが、頑張ってもらえばもっと出てくるのではないかと思いますから(笑)。特に後期高齢者の問題ってこれから最大の問題ですよ。よろしくお願いします。
じゃ消費税にいきましょう。次の大きなテーマは消費税でありまして、いろいろな問題出ると思いますので、国税と地方税絡ませて、事務局からそれぞれ概略ご説明ください。
〇事務局
まず消費税ですけれども、基礎小29-2という資料、「消費税関係」でございます。
目次を飛ばして、1ページ目に、昨年の基本方針の抜粋を示しております。消費税の今後の改革の方向の基本的考え方としましては、2つ目のパラグラフでございますけれども、「今後、税率を引き上げ、消費税の役割を高めていく必要がある」ということ。それから「消費税制度に対する国民の信頼性、制度の透明性を向上させるための措置を講じる必要がある」という基本方針でございました。
具体的には、次の2ページでございますけれども、まず中小事業者に対する特例措置について、イの事業者免税点制度、それからロの簡易課税制度について、早急に抜本的な改革に取り組むべきであるとされたところでございます。
それからもう1ページめくっていただきまして3ページ目ですが、申告納付制度につきましては、申告納付の回数を増やす方向で検討すべき。それから次の総額表示方式につきましては、積極的に検討されるべきであるということでございました。
それから次の[4]のインボイス制度でございますけれども、基本方針での整理は、単一税率や狭い非課税範囲の下では、現行制度で支障はないが、将来、複数税率が採用される場合には具体的な検討を行うべきであるとされたところでございます。
そして、最後に税率構造でございますけれども、「極力単一税率が望ましい」とした上で、仮に、将来、消費税率の水準がヨーロッパ諸国並みになる場合には軽減税率の採用が検討課題となると。ただ、「その範囲は極力限定する必要がある」という整理でございました。
4ページ目でございますけれども、「消費税制度改正の歩み」としておりますが、特に右側の【平成15年度改正】というところをご覧いただきたいと思います。先ほど申し上げた基本方針を踏まえまして、免税点制度につきましては、3,000万円から1,000万円、簡易課税制度につきましては、2億円から5,000万円、そして、少し下になりますけれども、申告納付につきましては、一定の消費税額を納める方についてでございますけれども、中間申告の納付回数を年11回に増加して、確定申告と合わせて毎月納付するという改正が行われました。
そして、一番下でございますけれども、価格表示については、総額表示を義務づけるという改正でございます。
これまでの改正と比較してみましても、15年度改正というのが、基本方針を踏まえて相当に抜本的な見直しが行われたということはご理解いただけるのではないかと思います。
次に5ページ目でございますけれども、これはいつもご覧いただいてます消費税収、税収の推移でございます。
もう1ページめくっていただきまして6ページ目に、所得税収、法人税収と消費税収の推移の比較を載せております。もちろん、所得税、法人税については、税制改正、特に減税の影響等ございますけれども、消費税収が安定的に推移しているということが見てとれるのではないかと思います。
そして7ページでございますが、これもよくご覧いただいている税率の国際比較でございます。これにつきましては、左にありますように、欧州の理事会指令では15%以上という内容になっておりまして、EU諸国については軒並み15%以上ということだけ申し上げたいと思います。
8ページでございますけれども、こちらは食料品に対する付加価値税率、いわゆる軽減税率の国際比較でございます。これもEUのところを注目していただきますと、イギリスやアイルランド等、ゼロ税率の国がございますけれども、大体5%以上の軽減税率の設定になっている。
これにつきましては、(備考)の下の2.にありますけれども、欧州理事会指令においては、ゼロ税率及び5%未満の軽減税率は否定する考え方がとられているところでございます。
さらに(備考)のところに、「なお、食料品の範囲は各国ごとに異なる」と書いてございますけれども、それを具体的に示したのが次の9ページでございます。食料品に対する付加価値税の課税関係はどうなっているかということをフランス、ドイツ、イギリスでまとめてみたところでございますが、これを見ますと、規定ぶりが、フランス、それからイギリスについては標準税率が適用される品目を限定列挙している。一方で、ドイツについては軽減税率が適用される品目を列挙しているという違いがございます。
例えばフランスについては、軽減税率が適用されない、標準税率が適用される品目としましては、アルコール飲料とか、あるいは菓子類、それからキャビアなどの高級品、それからその場で消費がなされるものというふうに規定されているわけでございますけれども、同様の規定ぶりになっているイギリスで見ましても、違いがある。例えばイギリスであれば、さらにアイスクリームやフルーツジュースなども標準税率が適用されている。食料品は、従来から言われていることでございますけれども、軽減税率を設定するとしましても、その範囲をどうするかというのは相当大変な問題であるということがこの資料からも見てとれるのではないかと思います。
次に10ページでございますけれども、同様に、基本方針で複数税率の際の検討課題とされたインボイス方式でございます。ここでは、現行の日本の請求書等保存方式とインボイス、具体的にどうかというのを並べてみました。日本の請求書保存方式の場合には、この請求書が仕入税額控除の要件になるわけでございます。イギリスの例ですけれども、これがインボイスですが、見ていただきますとわかるように、大体同じようなものであると。
下に書いておりますように、結局のところ、請求書保存方式、それからインボイスの違いでございますけれども、税額の記載が義務づけられているか否か。それから免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除が認められているか否か。この2点が違うわけでございますけれども、基本方針にもありますように、単一税率のもとでは、仮に税額の記載がなくても簡単に税額がわかるということで、現行支障がないということでございます。
なお、この[2]のところについて若干申し上げますと、イギリスの場合に、このインボイスのところに、From:AnyStreet, Any Townの下にVATナンバーがございますけれども、これは、事業者が登録されてVATナンバーを付与されて、この付与された事業者の発行するインボイスについては仕入税額控除ができるという仕組みになっております。
続きまして11ページ、これは「消費税の使途」でございますけれども、消費税と地方消費税を合わせた5%分を100にした場合に、地方消費税と、それから交付税の分がございますので、国が56.4、地方が43.6という配分になります。この56.4について、基礎年金、老人医療、介護に充てられているということでございます。
次の12ページでございますけれども、具体的には15年度予算で申し上げますと、交付税を除いた、国に残る消費税分が6.7兆円、これが歳出のところの基礎年金5兆円、老人医療3.9兆円、介護1.6兆円、こういう経費に充当されているわけです。これは平成11年度予算から毎年の予算総則で定められているところでございます。
具体的には13ページでございます。小さな字で恐縮ですが、これが予算総則の現物でございまして、第16条に「消費税の収入が充てられる経費の範囲は、次に掲げるとおりとする」ということで、今申し上げました基礎年金や老人医療、介護の経費に充てられているところでございます。
次の14ページでございますけれども、諸外国ではどうなっているかということでございますが、フランス、それからイギリスにつきましてはこのような充当規定はございませんで、全くの一般財源ということでございます。ドイツにつきましては、これは付加価値税収の5.6%を公的年金の助成に充当する旨が財政調整法で規定されておりまして、目的税ではございませんけれども、やや日本の制度に近いことになっているようでございます。
ただ、付加価値税収の5.63%というのは、ドイツの標準税率が16%ですので、0.9%に相当する部分です。ごくごく小さい部分の充当規定があるということでございます。
最後のページでございますけれども、福祉目的税についての議論について、前回の中期答申でまとめられた内容を抜粋しております。これにつきましては、2つ目のパラグラフでございますけれども、消費税が今後重要な役割を果たすべき基幹税であることや、財政の硬直化を招くおそれがあることから、福祉目的税とすることについては慎重に検討するべきであるとの意見が多数ありましたという整理になっております。
ただし、いずれにせよ、一番下にありますように、「この問題は、税制、財政及び社会保障のあり方に深く関わる問題であり、今後、国民的な議論が行われるべきものと考えます」ということでございました。
私からの説明は以上でございます。
〇事務局
基礎小29-3、「地方消費税関係」の資料でございます。
1枚目に昨年6月の基本方針、地方消費税の今後の改革の方向ということで、2行目ですが、「清算を行うことにより税収の偏在性が少なく、安定的な基幹税目の一つ」という評価です。その下に「少子高齢化等の進展に伴い、今後、福祉・教育等の幅広い行政需要を担う税として、充実確保を図っていく必要がある」とされてございます。
2ページに、「地方消費税の概要」を出しています。表の中で、3の課税標準、4の税率をご覧いただきますと、消費税額に対して100分の25ということですので、国税の消費税4%と合わせて、1%相当で地方消費税をかけている。5の申告納付のところに、譲渡割、これが国内での消費サービスへの課税の関係です。「当分の間」ということで、国で賦課徴収、消費税とあわせて行っているということです。
6の清算などのところです。これは課税団体の都道府県内の税務署から地方消費税がそれぞれの都道府県に入ってくるわけですが、最終消費が行われるところに税収を帰属させなければいけないということですので、小売販売額などの基準を使いまして、消費に相当する額に応じて、一旦入った税額を各都道府県の間で清算をしているというものです。
3ページ目は、先ほど国税のほうでもございましたけれども、地方税収、
地方の間接税収、その両者の関係です。一番左側の平成元年が消費税が入ったときで、上のほうに吹き出しを作ってますが、地方の間接税、電気・ガス税など、相当廃止をしてございます。そういうこともあって、黒い部分、低い水準だったのですが、9年度から地方消費税創設ということで、それなりに上がってきた。ただ、全体の中では1割程度というところでございます。
4ページに、地方の税収の地域的な偏在性を人口1人当たりで税収額を指数化してご覧いただくということにしています。上のほうが地方税全体でして、東京都がどうしても突出しておるわけですが、それに比べますと、下のほう、清算後の地方消費税は、東京、それでも145ぐらいまでいっているのですが、大分バランス的にはよくなっているということであろうかと思います。
5ページ、6ページに中期答申を抜粋で入れてございます。6ページのところ、先ほど、使途の関係、消費税でお話がございましたけれども、アンダーラインをしていますが、地方消費税の場合は最初に地方間接税をやめて、消費譲与税ができて、それをさらに9年のときにやめて、地方消費税としています。さらに、そのときに個人住民税の減税などもしています。そういう経緯なども踏まえて、今後とも地方の幅広い行政サービスに充てるための財源ということでの整理がなされておるところです。
以上です。
〇委員
ありがとうございました。
今、国税、地方税につきまして、消費税、地方消費税、ご説明をいただきました。それほど目新しいデータがあるというわけではございませんが、ただ、中期答申でもこの問題を避けて通れませんので、どういう書き振り、あるいはどういう方向でいくかということをご議論いただきたいと思います。
どうぞ。
〇委員
福祉目的税化ということが、この資料でもありますように、前回の中期答申で触れられているわけです。全体的にまあ否定的というか、慎重な書きっぷりになっているということですが、思い返してみると、3年前の段階では、福祉目的税ということに関して議論がまだ未熟だったような記憶があるわけですね。つまり、現在ある目的税、道路とか、何かいろいろあるのでしょうけれども、あれと同じような仕組み、制度にすべきだというようなイメージで議論していたような節がある。
ただ、その後の議論の中で、そういった制度とか法律とか、あるいは特別会計云々とかいうことにあまりこだわる必要はなくて、むしろこれは社会保障と消費税とのリンケージというものが国民に示されればいいのではないかという意見も出ました。出ましたというのは、これは私が言っているわけで、全体の議論ではないようなこともあるのでしょうけれども。今度の中期答申では、目的税化、いわゆるほかの目的税と同じようなレベルでの議論以外に、もう少し緩やかなやり方もあるのではないかというような記述も入れてもいいのかなと思います。
〇委員
緩やかなとおっしゃるのは、特会やなんかに放り込むということではなくて、もうちょっと……
〇委員
消費税を上げる際にはある程度の、例えば社会保障の分野で、給付なり保険料なり、こうしますというような説明、説得をした上で上げる。つまり予算措置でもいいから、何らかの国民に対する、要するに説明が必要だと、こういうことですね。
〇委員
わかりました。
じゃどうぞ。
〇委員
今の委員の意見にちょっと関連して一言。
消費税というのは、これは首相が政治的な意図で何を言おうと、遠からず上げなければいけないというか、上げざるを得ない、そういう情勢だと私は思っています。そして、前回の答申では、今委員もおっしゃったように、両論併記的に書いてありますが、ここで、これまで学者の方々の意見というか、レクチャーが幾つかありまして、それを聞いた限りの結論として、私の印象では、やはり消費税を上げるときは、目的的税でもいいのですけれども、目的税化でいいのではないかと。社会福祉目的のですね。というふうに思います。それは、目的税は硬直化するという一般理論をおっしゃる、もっともだと思うのですけれども、少なくとも消費税を上げて社会福祉のコストに使う限り、10年や15年は、ひょっしたら20年くらい持つ、必要ではないかと思います。10年、20年先のことを思って、目的税化をせずに、一般の理論でやるということよりも、やはり国民がのみやすい形で導入する必要があると。その1点で、やはり目的税化でいいのではないかと私は思います。
とりあえず今そういうことで。
〇委員
委員のおっしゃるのも、先ほどの委員的に、やや予算措置的に、厳密でなくても、のみやすいような表現でいいということですか。
〇委員
はい。そういうことです。特別会計にするとかいうことでなく。ですから、目的的税と。
〇委員
わかりました。
〇委員
今の部分に関しては、私もほとんど、よく似てます。それよりも、ちょっと申し上げたいことは、この6月に書くときの基本スタンスのことについてです。今日ご説明いただいた資料の4ページで、昨年は4点、具体的に変えましたね。したがって、昨年は大きく変えたので、今年、年末までにおそらく具体的に何か1つ、あるいは2つやる余地があるか、あるいはそういう環境にあるかというと、必ずしもないのかもしれないと私は思います。
ただ、先ほど委員もおっしゃったように、総理のお得意のワンフレーズ・ポリティックスで、自分のときはやらないということをおっしゃったためにいろんな制約が来ていると。昨年の年末から年始にかけて、経団連や同友会がああいう提案までされ、さらに具体的プログラムまで出されていることは、売上税や消費税の導入のときから考えたら、大きく社会的に変わっていると思います。あれに対する社会的反発はほとんど今ありませんから。
それから、昨年、全国でアンケート調査しても、消費税は国民の中にかなり定着していると。若者はとりわけアレルギーがないと。会長のコメントを覚えてますが、簡単にヨーロッパへ旅行して、15%ということを非常によく経験しているから、ほとんどアレルギーはない。あるいは、消費税が竹下内閣で始まったときにまだ問題意識はなくて、問題意識ができたころはもう消費税というものは自分の生活に入っているので、なかったころからあったころに対する変化を経験してないから、若者たちはほとんどアレルギーがないと思うのです。
そこで、先ほど委員もおっしゃいましたが、ここにたがをはめられているとか制約があるとかいう前提で6月のペーパーを書こうとすると、ほかのところに随分しわ寄せがいって、何か悪代官のようなものを書かざるを得なくなる。そこで、今年具体的なテーマとして挙がらないとしても、中長期的な視点で、社会保障制度のさまざまな改革に当たって、負担、給付、その他のところで十分、歳出の削減等々、メスを入れた後、どうしてもここにいかざるを得ないのだという、何といいますか、考え方のメッセージをこの6月には、総論的でもいいですから、しっかり入れたいと、そういうふうに私は考えております。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今のご発言にほとんど同意なのですが、それで結局どう書くかということで、さっき用意された消費税関係の1ページに、我々が去年の6月に書いた基本方針があって、そこに消費税の項目があって、いろいろ書いてあるのですね。この上に何を書くかということなのですよ。ここに、極めて重要な税であるとか、いろいろなことが書いてある。本来ならば、ある税率をいつごろ、どの程度の目的で入れるかということについて、アバウトであるけれども、ここに書ければ一番いいと思いますけどね。それがそうでなければ、いずれはそうなるということを書く、それも一つの考え方だと思うのです。
それで、もう一つ、ここで上から4行目か5行目に、消費税の役割を高めていく必要がある、前提条件は2つあると我々書いたのだ。1つは、徹底した行財政改革を進める。2番目には、消費税制度に対する国民の信頼を回復するためにいろいろなことをやる。我々のやったことは、後段の国民の信頼性、制度の透明性を向上させるための措置ということについては実行したのです。我々はね。すでに実行したのですよ。残っているとするならば、これがまた大いに議論のあるところだけれども、経済政策論としては、徹底した行財政改革、歳出カットということは、何となく漠然としていえば、十分でないということを言えるかもしれない。この文章を基本的に考えて、どこを直すかということならば。ということぐらいしか書きようがない。
さっきちょっと詳細な、もうちょっと詳しいインボイスだとかについての説明があって、それをもうちょっとここに書き入れてもいいのかもしれないとは思いますけれども、しかし、いずれにしても、そんな大きなあれは書きようがない。長期展望では、いずれその時期が来る。今は来ないかもしれないけれども。しかし、そのためには、前提条件、2つのうちの1つは我々はもうクリアーしたよと。我々税調はまじめにやって。随分抵抗もあったけれども。
しかし、その前の徹底した行財政改革、これは総理が言っているせりふですね。消費税を安易に上げると歳出カットができないからというのは一つの立派な哲学であることは間違いないのですよ。消費税万能で、これに頼れば何でもできるというふうな風潮もないではないから、そういう意味では、総理の言っていることも部分的にはわかるけれどもね。ただ、ああいうふうなふたのされ方をすると、我々、総理の諮問に答えるという、総理相手にもの言うわけだから、なかなか難しいことは難しいのですよね。それも考えた上で、この1ページの中で何がしかの修文をする程度で、大したことはできない(笑)。
〇委員
委員、税率のことに言及されたけれども、いずれは何かしらの形で、我々、書き込まなければいけないけれども、まだ時期尚早であるということは皆さん思ってられるけれども、しかし、将来の……
〇委員
時期尚早なんて言うことはないのですよ。総理がそう思っているだけなのだから。
〇委員
書き方として、具体的にずばりは書けないだろうという意味ですね。
〇委員
まあそうですね。難しいけどね。
〇委員
そこで何か、難しいとおっしゃっているけれども、いい知恵はないですか。
〇委員
だから、ここに書いてあることを若干修文するようなことですよ。せいぜい。
〇委員
丁寧にね。
〇委員
ええ。
〇委員
今の首相の意向についての質問ですが、この諮問は、あるべき税制はどうかという漠然とした諮問ですよね。答申は、総理大臣が何と考えておられるかは別として、あるべき税制というのだから、これは自由ではないのですか。そこをちょっと考え方を……。
〇委員
それは皆さんのまさにご判断ですよ。つまり、総理大臣は10年先、15年先まで首相やっているとはだれも思ってないでしょうからね。我々の税制論というのはまさに長いスパンでやっているわけですから、その辺はうまく文章の上で表現すればと思いますけどね。もうちょっとみんなで考えましょう。
〇委員
私も委員の意見に賛成なのですが、今年1月の最初の総会のときでも、総理は冒頭発言ではこの部分に触れてないのですよ。地方への財源移譲とかいろいろな話は相当迫力込めておっしゃっていたけれども、この話を彼が政府税調にたがをはめてきたと言うつもりはないのですよね。少なくとも事実はそうですよ。したがって、外野席でちらちら出てたし、だから、聞いたらそう答えたというだけの話で、小泉純一郎総理大臣の諮問機関なのか、内閣総理大臣の諮問機関なのかという議論さえ出てくるので、僕は、委員のおっしゃるとおり、あるべき税制についての考え方を提示すればいいし、ただ、それをまだ税率をいじらないときから、さっきから言っているような各論、いろいろなことを言い出すと、我々で、自分で迷路に入っていくような話になるので、基本的コンセプトを、確かに委員のおっしゃるように、じゃ新たにどう書けばいいのだと、もう書くものないよと言われればそこまでだけれども、せっかく、繰り返しになりますが、ああいう意見がいろいろなところから出てきたところを冷やすメッセージはよくないと、そういうことです。
〇委員
まだかなりこの問題については議論する場があろうと思いますから、最終的に書き込むまでには皆さんの忌憚ないご意見をいただいてまとめていきたいと思ってます。その点に関しては、また事務局等々からも政治的ないろいろな配慮というのもあるのでしょうから、それはまだこれから煮詰めましょう。すみません、最後の法人税にいきたいのですが、よろしゅうございますか。
どうぞ。
〇委員
税率のことも重要なのですけれども、免税点が3,000万から1,000万円に引き下げられる段階で、実際に納付する方のいろいろな反応が予想されますので、それをうまくクリアーした上での税率ということになるのでしょうから、なかなかそこは、もう決まっている話ですからいいにしても、現実にはいろんな混乱があって、また実際に納付する人の反応というのは、今まで考えもしてなかった人がそのメカニズムの中に巻き込まれるときの嫌な感じというのが、ちょっと心配は心配ですね。
〇委員
免税点を引き下げるのは来年の2月以降でしょう、多分。いつになるのですか。
〇事務局
免税点の引下げは16年4月からの適用でございますけれども、実際は、例えば申告時期というのはその後でございますから、個人の方について言えば、17年に免税点が引き下げられて、実際の申告は18年と、そんな感じになります。
法人について言えば、16年4月から適用ですから、16年4月から17年3月の課税時期になりますと、その申告は17年5月ということでございます。
〇委員
1つ、知恵だけ出しておきますけれども、この本文はどうせそんなに分厚いものにならないのですよね。中期答申は。いつも附属資料なんかつけるでしょう。そこに、今委員が言ったみたいに、経団連はこんなこと言ってるよ、言ったよということを記録すればいいのです。そんなことは。何も我々、エンドースするかどうかわからないなら。
それから、よく委員長が言っている、青年はそんなに抵抗力ないよ、反感持ってないよというデータが客観的にあるならば、若い連中はもう慣れてしまっている、生まれたときからそんなところで生きているわけだから、それなら、そういうデータをきちっと載せておけばいいのですよ。よくわかるわけだから。読む人にとっては。そうする手もあると。これは本文に書くのはきついから。
〇委員
いろいろ知恵を絞りましょう。この辺も一つのポイントですから。
じゃ事務局、法人税の説明をしてください。
〇事務局
それでは、時間の関係もありますので、簡潔にご説明をさせていただきます。
まず、お手元の資料29-4、「法人税関係」という資料でございますが、1ページ、2ページに、昨年6月のあるべき税制の基本方針を載せてございます。それに基づきまして、3ページにありますとおり、15年度税制改正におきましては、研究開発減税、設備投資減税という政策税制の集中・重点化を行ったところでございます。
これにつきましては、4ページにございますが、経済界からも評価すると。特にこういう政策税制の実現は企業の国際競争力強化に役立つものであるというようなコメントが出されてございます。
5ページにまいりまして、こういうような措置を講じました背景といたしましては、5ページにございますとおり、現在、我が国の企業を見ていますと、キャッシュフロー自体は非常に潤沢にある。一番上の点線でございますが、その中で(B)にございます設備投資のほうは伸び悩んで低下基調にあるという結果、手元の資金余剰自体、(A)-(B)の棒グラフ自体はかなり多額に上っているというもとで、どのようにすれば有効な経済活性化ができるかという経済状況があったわけでございます。
6ページにございますが、そういった金余りの状況のもとで、設備稼働率自体は非常にどんどん下がってきていて、設備のほうも余っている状況にあるというような2つの経済状況があったという点が第1点。
それから第2点でございますが、7ページをおめくりいただきますと、税率についての議論もあったわけでございますけれども、ここにございますとおり、国の法人税率というところで見ますと、一番上の数字のところを見ていただきますと、我が国は現在30%というというところでございますが、G5の中で見ても決して高いほうではない、日本より低いのはドイツしかないという状況にございます。また、国・地方を含めた実効税率で見ましても、外形標準課税の導入によりまして、16年度以降は39.54%となるというような状況がございます。
8ページにまいりますと、アジアとの税率の比較の議論をする向きもあるわけでございますが、ここにG7、あるいはアジアの諸国の税率並びに法人課税、あるいは消費課税の負担率を見てみた表でございます。右のほうに、アジアの諸国の中で、例えば韓国、台湾、マレーシア、それから香港、シンガポールは当然さまざまな税金が低いわけでございますが、こういう税率の低い国はございますが、一番右のほうを見ていただきますと、香港のような例外の国は除きまして、消費課税の負担率というのが非常に高くなっているのがアジアの国の実態でございます。こういう意味では、税体系全体の中で、どの税に着目して課税を求めていくかというのはそれぞれの経済発展段階なり国の事情があるわけでございます。
9ページをおめくりいただきますと、これもいつも提出させていただいている表をリニューアルしたものでございますが、税率以外にさまざまな投資関連コストがアジアの中では違っていて、必ずしもその税率が決定要因になっているかどうかという表でございます。
それから10ページでございますが、昨年の「あるべき税制」においてもお触れいただいたところでございますけれども、新たな事業体の問題というのが現在経済界の中でも議論が始まっております。
例えばアメリカのところを見ていただきますと、左から2番目でございますが、原則的に法人課税が課税されるわけですが、LLC(リミテッド・ライアビリティ・カンパニー)という、いわば法人と私人、個人との間のような形態、日本でいえば組合のようなものがございまして、法人のように、ギチギチとしたガバナンスの規定ですとか、あるいは強行法規がなくて、比較的、契約の自治のもとに自由な法形態で法人を結成するというような法形態がございまして、ベンチャー企業ですとか、あるいは集団的な投資に利用されているということがございます。こういった法人につきましては、アメリカのところを見ていただきますと、法人課税ではなく、構成員課税を選択することができるといったような税制を仕組んでいる国もあるわけでございます。
11ページをおめくりいただきますと、そういった問題意識のもとに、これは規制改革推進3カ年計画、昨年の3月の閣議決定でございますが、「私法上の事業組織形態の検討」ということで、一番右にございますが、平成17年を目途として、法務省のほうで現在検討を始めようとしているところでございまして、いずれは、中期的にはこのような問題が検討課題に上ってくるということになってございます。
それから基礎小29-5のほうで、不良債権処理に関する資料を用意いたしております。不良債権処理につきましては、一度ご説明させていただきましたので、新たな資料を中心にご説明させていただきますが、1ページ、これは3つの要望、無税償却の拡大、繰戻還付の15年への延長、それから繰越控除期間の5年から10年への延長という金融庁の要望が昨年度出されていたわけでございます。
2ページにございますが、昨年11月の税制調査会の答申におきましては、その2行目から、こういう繰延税金資産の取扱いを初めとする金融行政、企業会計を含め全体として相互の関連を考慮しつつ検討しなければならないということで、その対応策の一環として、税制面の対応についても検討するという答申を頂戴いたしております。
3ページをおめくりいただきますと、まず金融行政上の検討でございますが、この3ページの表の3.「新しい金融行政の枠組み」に「自己資本の充実」という項がございまして、繰延税金資産等の検討がございまして、一番右にございますとおり、金融審議会の中の「自己資本比率規制に関するワーキンググループ」で検討が行われております。
4ページをおめくりいただきますと、今の検討状況でございますが、そういった自己資本比率につきましてどのような監督規制をしていくかということにつきまして、この会議自体は公表されているものではございませんので詳しいことはわかりませんが、まだ議論が始まったところというのが現段階の状況でございます。
5ページをお開きいただきますと、金融大臣の記者会見がございますが、その6行目ぐらいに、大臣のお話でございますが、いつまでに結論を出すというその期限は区切っておりませんと。それから一番下でございますが、半年ぐらい議論したところでは経過報告のようなものは当然にしていただきたい、といったようなことで、現在、7月ごろを目途に中間報告みたいなものができればというようなところが現在の検討状況と伺っておりまして、これからの検討が待たれるところになってございます。
それから6ページ以下、要望の内容に関しまして、簡単に資料を提出いたしております。6ページの資料は、無税償却の拡大に関しまして、債権償却につきまして、企業会計と税務会計の間で相違があるということは、そのそれぞれの会計の基本的な考え方に基づく側面がございます。
企業会計、そこにございますが、真実性の原則、あるいは保守主義の原則として、この不利な場合に備えて会計処理をしなければならないというのが企業会計。そのもとに、下にございますが、企業全般の指針と金融機関向けの指針とが出されてございまして、特に金融機関向けには、金融システムの安定性という観点から、経営の健全性確保を重視した見積もり方法が定められているところでございます。
一方、右側の税務会計につきましては、そこにございますが、「適正・公平な課税の確保の必要性」がございまして、そういう意味では、債権回収の客観性、確実性をきちんと見た上で評価していくというのが税務会計の基本的な考え方。さらに、「全ての納税者に平等に適用」するというような前提で組まれてございます。そのもとに、下にございますが、直接償却としての貸倒損失の制度、それから間接償却としての貸倒引当金の制度、これは個別評価と、それから一括評価と2つ制度があるというような仕組みになってございます。
7ページは、前もご説明いたしましたが、特にこの税務会計の面では、同じ債務者に対してさまざまな債権者がいる場合に、その間の公平の問題というのは、これをベースに税務会計は考え方を構築しているというものでございます。
8ページをおめくりいただきますと、債権償却につきましての企業会計上の取扱いと税務上の取扱いを一覧表にまとめたものでございます。企業会計につきましては、真ん中の2つにございますが、金融機関向けの債権区分と一般事業者向けの、一般的な会社全般にわたる債権区分とがございます。
金融機関向けを見ていただきますと、普通の正常先債権から、一番下にございます、破産や会社更生に至ったような破産先債権まで幾つかの段階があるわけでございますが、金融機関向けの実務指針の上の3つの債権、あるいは一般事業会社の一般債権につきましては、税務上も、それから企業会計上も、一般貸倒引当金として対応しているというような形になってございます。
一方、金融機関の下の3つ、あるいは一般事業会社の下の2つにつきましては、企業会計上は個別貸倒引当金で対応がされている。税務会計につきましても、基本的には個別評価貸倒引当金の世界になっているわけでございますが、金融界のほうからは、特にこの真ん中の破綻懸念先債権につきましては、必ずしも企業会計上の取扱いとそれから税務上の取扱いの間で一致していない面があるのではないかといったようなご指摘もいただいているところでございます。
私ども事務局といたしましては、このような税務会計の基本的な考え方を見ながら、これまでもさまざまな私的整理のガイドラインを含めまして、この間の明確化といったようなことについては対応してきたところでございまして、今後とも引き続き必要なことについては検討いたす必要があるのではないかと思っております。
9ページから11ページは税務会計の資料でございます。
12ページをおめくりいただきまして、ただその際に1点申し上げておきたいのは、これも何度かご説明させていただいた資料でございまして、今の金融機関の現状のもとでは、つまり、赤字であるという前提のもとでは、有税償却を行っても無税償却を行っても、結果は繰延税金資産であるということに変わりはないということをこの表を用いまして何度かご説明させていただいております。
それにもう一点つけ加えるべき点がございまして、真ん中の無税償却を拡大した場合に、欠損金が拡大して、それが繰延税金資産になるというところでございますが、真ん中辺に、欠損金というのは5年間の繰越しの制度がございます。つまり、現在の金融機関の経営状況のもとでは、有税償却をした場合には、それが引当金として積まれている限りは、いつそれが損金化され、つまり、10年後、20年後、30年後、損金化された時点で、この繰延税金資産が働いて所得を減らすことになるものに対しまして、無税償却として処理いたしますと、いずれにせよ、その欠損金というのは一定の期限がございますので、期限後は繰延税金資産として使えなくなるというような点を指摘する向きもございます。
それから13ページ以降は繰越し、これは何度かご説明させていただいた表でございます。
14ページ、この繰越しの問題、何度か、帳簿保存期間との整合性のような問題というのはご指摘させていただいてございますが、もう一点ここにございますのは、この下の方ございます翌期繰越欠損金額というのが、これまでの経済状況を反映して、現在約80兆円ほどたまっている状況にございます。これが、将来、法人の所得が回復したとしても、それの足を引っ張る要因になるわけでございます。今年の13年分というところを見ていただきますと、39兆6,000億円という当期所得が計上されてございますが、これは(注)の1にございますとおり、繰越欠損金控除後の金額でございまして、繰越欠損が実は本年度約10兆円繰り越されてきております。本来50兆円ぐらいあった所得が約10兆円圧縮されて、39兆6,000億になっているというのが13年分の姿でございます。
この繰越欠損期間の延長という問題は、80兆円という繰越欠損金、当然延長されれば延長されるだけ拡大してまいりますので、そういう税収との問題も出てまいるわけでございます。
15ページ、さまざまな業界が繰越欠損を巨額に抱えている実態。右から5番目に金融保険業で約8兆円の繰越欠損がございますが、不動産業は21兆円ほどございますし、左のほうの建設業は7兆円。さまざまな産業が繰越欠損を多額に抱えているという状況のもとで、金融庁の要望自体は、金融機関については延ばしてほしいという要望になっているわけでございます。
それから最後、繰戻しにつきましてもいろいろな問題点をご指摘いただいているところでございますが、17ページをおめくりいただきますと、金融庁の要望は、過去15年間の法人税額の累計というものが、一番下の(注)を見ていただきますと、金融庁によれば、金融機関では9.5兆円あるということで、今回の措置を講じた場合には9.5兆円の減収が立つということを前提にしているわけでございます。
この9.5兆円、この表の上では右から5番目の金融保険業、これは約24兆円ございますが、この中に含まれておりまして、金融機関のほかに実はノンバンク、あるいは証券、保険といったところを含めた15年間の納税額は24兆円。ほかに、最近経営に苦しんでいる中では、左のほうにございますが、建設業21兆円、あるいは小売業11兆円、不動産業9兆円といったような形で、さまざまな産業が、15年間とれば多額の納税をしているという中で、金融庁の要望は、金融機関について15年分繰り戻してほしいという要望になっているわけでございます。
18ページ、何度かご説明いたしましたが、特に繰越期間、繰戻期間の件につきましては、帳簿保存期間等との整合性というのが、国際的にもそういったことを踏まえて制度設計がなされているという表でございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
4時という時間、タイムリミットを過ぎておりまして、本来ならばここで打ちどめということですが、せっかくご説明いただきまして、またご意見もあろうかと思います。少し時間を延長しまして。
どうぞ。
〇委員
ちょっと単純な質問です。この金融庁要望の3点セットのうちの1本目の柱に関しては、何回か前の小委員会後、会長が、記者団から聞かれてかどうか知りませんが、この部分では知恵を出してやらなければならないだろうみたいことをおっしゃったという報道がありますが、ちょっとその考え方を知りたいのと、それから2番目の柱は、ほぼ当局の考え方ははっきりしてますから、3本目の柱について、会長なり、あるいは当局が現時点でどうお考えなのかということをちょっと質問……。
〇委員
3番目の柱、現行5年で、帳簿の保存がもう2年あるのかな。だから、7年ぐらいまでのタイムスパンでの議論はあり得るかと思ってます。それから最初のところは、無税償却の範囲なり解釈なり、これを少し緩めて、適用の範囲を少しアベイラブルにしてやったらどうかなということを申し上げました。大体これあたりが精いっぱいかなという感じですけれども、事務当局のほうから補足的にどうぞ。
〇事務局
基本的に会長おっしゃったようなことだと思いますが、私ども、もう一点だけちょっと補足して指摘申し上げたいのは、特に繰越欠損金の延長の問題でございますけれども、従来ご説明しているように、やる場合には除斥期間等との期間の整合性をとらなければいかんという話は、それはそれとして、その前に、ひるがえって、基本的に、この繰越期間の延長というのは何の目的のためにこれをやるのかと。その政策目的がどこにあるのか。それから、それを解決するために、この繰越期間の延長が果たして効果があるのかどうか。
そこについて、私どもとしては、これは金融機関のみにやる場合、あるいは一般企業全体含めてやる場合、特に構造改革等とも絡んで、これが果たしてどういう政策的な意味合いと効果を持つのかという点については、よくよく議論をしていただきたいなという気持ちは持っております。
〇委員
よろしゅうございますか。
どうぞ。
〇委員
この問題は、15年度の税制改革の答申で出しているわけですね。基本的なラインは。金融行政、企業会計含めて、全体としての対応策が大事であると。その一環としてということなのでしょう。その辺の基本ラインはやはり今回の答申でも踏襲する必要があると思います。
それから金融庁の要望も、要望を出している以上は、これにやはり触れざるを得ないということなのでしょうけれども、今会長おっしゃった無税償却の問題、これは金融機関だけというのはやはり問題があるわけでありまして、そこはほかの業種も含めて公平に適用するという観点が大事だから、そういう観点から見直すということだろうと思うのですね。
それから2番目の繰戻期間の延長、これは15年というのは幾ら何でもひどいわけで、これはもう全く論外であると。それなら公的資金の投入にまともに取り組むべきではないかということを言ってしかるべきだろうと思いますし、3番目の欠損金の繰越控除期間ですが、これはそういった帳簿の保存期間、除斥期間と整合性とれますかね。非常に難しいのではないかと思いますしね。本当にこれが不良債権の処理の加速に役立つのかどうか非常に疑問があると、そういう否定的にやはり書く必要があるのではないかと思います。
〇委員
どうぞ。
〇委員
欠損金の繰越しや繰戻しというのは、本来、課税理論で当たり前のことなのだけれども、青色申告とか帳簿の要件によって一定の期間に制限されているのか、それとも、本来そんなものはなくていいと。特権だから、青色申告を条件として特に与えているのか。どちらが本質なのかによって大分状況は違ってくる。結論、落ちつくところは同じであっても、説明の仕方は大分違ってくるのではないかという気がいたしまして、アメリカの最高裁の判決とか見てますと、課税年度で区切るほうがむしろおかしいのだから、本来自由なのだけれども、一定程度絞っているというのが説明なのですけれども、日本はそういう説明でなく来ているということなのでしょうか。これはわりと重要なことかもしれないと思うのですが。
〇委員
何かお答えありますか。委員、ご自分で考えあるのではないの?
〇委員
わからないです。どっちの説明も可能。
〇委員
どっちの説明も可能だそうですけれども、どうですか。
〇委員
法人格を持った一つの継続、ゴーイングコンサーンとしての客体に対してどう課税する、これはやはり基本的には単年度で期間を区切って見る。それからまた、横の広がりでは連結の話がありますけれども、連結はそうしたことによって、一つのグループとして、扱いは分かれますけれども、縦のほう、これはその年、ゴーイングコンサーンはどこかで切って課税せざるを得ないとすれば、やはり単年度が原則かなあという気がするのですが、どんなものか。
〇委員
そうすると若干、複数年に及べば例外的に扱うということですね。
〇委員
それは全くの機械的なですね。単年度ではなくて。ある程度の幅は見ようかと。
〇委員
じゃ、委員で最後にしましょう。
〇委員
不良債権問題についてのあれはこの前も発言したし、今、会長が言われたことと、私、全く同じ意見なので、もう言うことはありません。で、法人税。先生がいなくなってしまったので、あの人が法人税の強力なる減税論者だから、一言聞こうと思ったけれどもいなくなったのでしようがないけどね。財務省が今日用意したデータは、国際比較論から見て日本はどうだという議論に対して、そんなことはないのではないかということのだめ押しのだめ押しの数字だよ、これね。これはある程度信頼性があるだろうと思うのですね。それはそれでいいのですわ。
問題は、そのことをわかった上で、なおかつ法人税減税だというときに、一体何を考えているのか。結局、どこかで聞いていれば、そうやってやれば設備投資が増えて、日本経済がという話につながっていくような話だと思うのですね。企業家が設備投資やるときに、若干法人税の手取りが増えたから、それで設備投資やるとかやらないとか、そんなこと、トヨタを含めてやるかと。そんな決断を経営者が。見込みのあれば設備投資やるのですよ。借金でも自己資金でも何でも。ないからやらないだけの話であって。そこのところを混同しているのではないかというのが第1点。
第2は、仮にも法人税をいじくるのだったら、財源の用意ぐらい考えてくれと。今の世の中でね。そこは何も言わないで、消費税が先に延びてしまったのだから、それを当てにした法人税減税論というのは成り立たないです、実際問題としてはね。と私は思うのですよ。
〇委員
皆さんの気持ちを代弁しているかもしれませんが。
どうぞ、最後に。
〇委員
ちょっと今日の議論に直結しているわけではないと思うのですけれども、私の持っている疑問をちょっとお話しさせていただきたいと思うのです。
それは、今度の中期答申というのがどれぐらいのタイムスパンを持って、先を見通したものを書くのかというところから始まるわけですけれども、これは、先ほど来、委員などがお話しされたことと関係あると思っているのですが、中期答申というのですから3年、あるいは5年ぐらいのところまであるのかもしれません。去年のあるべき税制の基本答申というのは、15年とか20年とか、これはシャウプ勧告以来の抜本的な改正を目指してやった議論でございまして、それとはやはり違うのだろうと思うのですね。それからまた、来年度税制改正ともこれは明らかに違う。そのタイムスパンの差というのが今回予定する答申の中にどういうふうに反映されるべきものなのであるかということなのですよ。
私はやはり、税調の答申ですけれども、税制というのはその時々の経済、財政、こういうものと密接不可分なものであるとするならば、そのタイムスパンに応じた見通しなり何なりを踏まえた議論がなされなければならないのではないかと思うわけでございまして、総理がおかわりになるのかならないのかということとは別として、そのタイムスパンの間の我々なりの見通しなり何なりをもとにして考え方をまとめていくべきものなのではないかと思うのです。
私、非常に心配しますのは、ここのところ金利が非常に下がってまして、国債の価格が非常に上がっていると。この低金利というのは日本の経済のいわば金利機能を完全に麻痺させているような状況でございまして、これがずっと続いていくというふうに考えるのか。先々の日本経済の成長性や何かを考えて、こういう低成長がずっと続くということがあらわれているのだという議論もあるのですけれども、どうも何かある均衡状態にはあるのだけれども、どこかで変わってくるのではないのかなあという気がしないでもない。金融に携わる者といたしまして大変危惧をしているところでございまして、この辺が、3年先を考えるという場合とどういうふうに、どう考えていったらいいかというのが私自身よくわからない。
そのときに、一つのよすがになるのが、例の閣議決定された中期展望というものがあるわけですけれども、あれがそういう今後の作業を我々がやっていく上においてよるべきよすがになり得るものなのかどうかと、あるいはあれを踏まえてやらなければならないという性格のものなのかどうかという点をもう一遍検証する必要もあるのではないのかなあと。作ってからもうそろそろ1年半ぐらいたちまして、大分事情が変わっているというような理解も私はあるのではないかと思いまして、そこら辺の我々の踏まえ方をどうするかというのは一遍考えておく必要があるのではないのかなという感じがしております。
私だけの疑問なのかもしれないと思うのですけれども、一応申し上げました。
〇委員
いやいや、そんなことありませんよ。皆さん同じような疑問を持っていると思いますが、ただ、3年という中期答申を厳格に3年に区切って、そこの中でそういうタイムスパンを議論するか、それとも、あるべき税制と言って、我々、10年、15年先と言っているので、もちろん3年が発射台的な議論でありましょうが、さらにその先を見通してという議論もあると思うのですよね。そうなると、おそらく10年、15年先といったら、我々は、日本経済の成長力はまた戻り、潜在力的に強いとかなんとかいう前提で議論しないと、まさに必要な税収も確保できないということだろうと思いますから、そこはざくっと書くしかないと思いますし、その点、委員、マクロ経済学者あたりからまたご意見はいずれ聞きたいと思いますから、今の委員の問題提起は一応今日は受けとめて、考えてみましょう。よろしゅうございますか。
すみません。今日は大分、20分延びましたが、次回は、5月20日を考えておりますが、2時から4時でありますが、論点の整理ということを行いたいと思いまして、今日はお忘れなく資料を置いていっていただきたいのですが、そのような整理の紙が出てきて、さらに項目が追加されると思いますが、それをベースにして、これからだんだん絞っていきたいと考えております。
それから20日は、基礎小が始まる前に、社保審の委員と税調の委員が、数名ずつ集まりまして意見を交換しようということになっておりまして、それについてまた、何かありましたらご報告したいと思います。
それから、5月23日に財制審で社会保障問題を取り上げることになっておりまして、向こうからも税調がどういう議論を今社会保障と税制でやっているか聞きたいということなので、私も財制審の委員でもございますので、我々の空気を伝えてきたいと思っております。マスコミあたりでよく話題にされるのは、給付引下げを財制審が言い、課税強化を税調が言って、ダブルパンチで、これ議論できますかという話があるのです、やはり。今日も大分議論になりましたけどね。その辺の議論をこれからどう取り決めていくか。つまり、両方やるにしても、おそらくタイミングの問題というのがあるだろうと思いますので、これはこれから議論しなければいけないと思ってますが、しかし、おのおのの場でおのおのの筋論で議論し、最後にその辺の調整だろうと思ってます。
それから27日、総会を行うことにいたします。そういう意味で、これまでの各種小委員会の報告、あるいは海外調査の報告をしたいと考えております。なんかワッと会議の日程が詰まっておりますが、ぜひ日程を調整して、ご出席いただけたらと思ってます。
それでは、残す資料もございますが、今日は本当に長時間ありがとうございました。終わりにしたいと思います。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。