第27回基礎問題小委員会 議事録
平成15年4月18日開催
〇委員
おはようございます。時間になりました。今日は午前中というちょっと変則的なやり方になりましたが、これから基礎問題小委員会、開催いたします。
お手元に議題がいっていると思いますが、「少子高齢化と税制」という大きなタイトルのもとで、個人所得税をその視点から整理する、あるいは相続・贈与の問題をもう一度検討するという形で、2つの大きなテーマで、今日は2時間ほど議論いたしたいと思っております。
そこで、もう5人ほどの方からスピーカーとして、「少子高齢化と税制」、大分核心に迫る議論をいただいたと思ってますが、こういうことを基礎にいたしまして、これから、税制の中で本格的にこの議論を落としていきたいと、このように考えております。
じゃ最初に個人所得課税、これは国税と地方税ございますので、事務局からおのおのご説明いただこうと思います。じゃお願いいたします。
〇事務局
それでは、横長の基礎小27-1「個人所得課税関係」という資料をお願いいたします。五十数ページということで若干厚めになっておりまして、資料の上に、縦の一枚紙で「説明資料の概要」というのをつけさせていただいております。昨年の6月に「基本方針」をおまとめいただく前のご議論の過程でも説明をした資料がかなり入っております。さらにご議論を進めていただきたいということで、改めてポイントを説明させていただきたいと思いますが、その概要にございますように、今日は、3.課税ベースと書いておりますが、(1)から(8)まで、少子高齢化絡みということもございまして、課税ベースの問題を中心にご説明をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
資料のほうでございますが、目次を飛ばしていただきまして、最初の何枚かは所得税の現状でございます。1ページだけご覧いただきますと、15年度予算で所得税収が13兆8,000億円ということで、ピークの平成3年度、26.7兆円でございますので、半分強にまで減ってきております。その結果、NI(国民所得)に占める所得税のウェイトも3.8%、地方税を入れて6.1%ということで、諸外国と比べて格段に低いという現状がさらに進んでおるということでございます。
2ページから3ページ、4ページ、5ページと、いつもご覧いただくような現状の資料でございますので、説明は割愛をさせていただきます。
6ページまでお進みいただきたいのですが、6ページから10ページぐらいまで、G5諸国の所得税の計算の構造をイメージとしてフローチャートにしてございます。日本の所得税、6ページでご覧いただきますと、そこにございますように、総合累進課税を原則とはしておりますけれども、計算の仕組みの特徴として2点ほどご覧いただけるのではないかと思います。
1つは、左側に収入の種類がたくさん並んでおりますが、その右側に必要経費等ということで、3番目に所得分類ということで幾つかの所得を箱にして書いてございます。1つ目の特徴として、収入の性格に応じて所得分類が定められているのですけれども、それぞれの所得金額の計算の過程で必要経費等の欄をご覧いただきますと、収入に結びついた控除がございます。先般、先生のほうからもご指摘をいただいた点でございますが、給料、賃金というものには給与所得控除、それから公的年金には公的年金等控除、それぞれは後からご覧をいただきますけれども、給与所得控除は、その勤務に関する経費の概算控除という性格と他の所得、特に4番目にあります事業収入、事業所得との担税力の調整という2つの趣旨で、かなり大きな控除が設けられております。
それから公的年金につきましても、高齢という経済的稼得能力が減退する局面を考慮した、他の所得との間での担税力の調整だという趣旨で、ここに控除が設けられているということでございます。いずれも、この所得分類に至る所得計算上の控除として位置づけられているというのが1つでございます。
もう一つの特徴は、下のほうに土地等の譲渡収入、株式等の譲渡収入、預貯金の利子という収入欄がありますけれども、これらについては、ずうっと右に寄っていただきますと、分離課税ということで、総合累進課税の例外として、こういった資産性の所得にはかなり広範に申告分離課税で比例税率を適用するという例外扱いになっているということでございます。所得分類ごとに所得を整理しまして、損益通算をして所得控除を働かせ、累進税率を適用して、最後に税額控除するという仕組みがその後の流れでございます。
諸外国を見ますと、この日本と違う点が幾つかございまして、特に7ページでアメリカをご覧いただきますと、やや小さい、見にくいフローチャートで恐縮ですが、アメリカの所得税の計算の仕組みの中には所得分類という欄がございません。収入を損益通算いたしまして、総所得というのにまず合算します。その後に調整控除というのが1つありますが、その後の調整総所得というのが計算された後の所得控除をご覧いただくと、概算控除と実額控除の選択があって、人的控除をして、課税所得を出して、累進税率を適用するという流れになってますけれども、日本のような、所得計算上の控除が、所得分類がありませんのでないのと、所得控除のところで見ていただくと、個人的な経費、例えば医療費ですとか寄附金、盗難・災害の損失といった個人的な経費を実額で控除するのとの選択で概算控除が設けられている。この実額控除の中にサラリーマンの被用者の経費というのも盛り込まれておるということでございます。
1人3,050ドルの人的控除があって、累進税率を適用した後に、一番右に税額控除というところがございますが、この中に、子女税額控除とか勤労所得税額控除というふうに記述されておりますが、担税力の調整をする税額控除が幾つか設けられているというのがアメリカの特徴ではないかと思います。
8ページからヨーロッパ諸国でございますが、8ページのイギリスをご覧いただくと、所得分類というのがあって、スケジュールAからE、いろいろなものがございます。日本の所得分類の先駆けになっているのがイギリスの所得税でございますが、大体日本と同じ構造ですけれども、やはり税額控除のところに児童税額控除というのがあるということでございます。
それから9ページ、10ページ、ドイツ、フランスと、日本と似たような形になっておりますが、あるいは税額控除のところに、ドイツですと、児童手当等と書いてございます。それから10ページのフランスですと、低所得者税額控除ですとか幼年者扶養経費税額控除といった、担税力の調整を税額控除でしている国が諸外国では比較的多いということではなかろうかと思います。
以上、10ページまでがそれぞれのG5諸国の計算のフローチャートでございますが、11ページに進んでいただきまして、課税ベースということで整理をしてみますと、収入その他経済的利益を得ますと、所得税の計算上は、まず非課税所得ということで、100%課税ベースから落とす仕組みがございます。下に(例)と書いてありますが、遺族年金ですとか失業給付、生活保護給付といった社会保障給付、こういったものが非課税所得になっておるということでございます。
それから、先ほど申し上げた所得計算上の控除として、給与所得控除や公的年金等控除、あるいは退職所得控除がある。その後、損益通算をした後の控除として人的控除やその他の所得控除がそこにございますが、それを引きまして、最後に課税所得が出るとい うのが所得税の課税ベース計算のイメージでございます。
順次、人的控除等から見ていただきますが、12ページでございます。12ページは「人的控除の概要」ということで、いつも見ていただく控除が一覧になっております。基礎的な人的控除と特別な人的控除に分かれておりますが、このうち、13ページにお進みをいただいて、昨年6月の「基本方針」で、人的控除の簡素化・集約化というご指示をいただいて、今回の改正で、基礎的な控除に割増・加算で乗っかっております配偶者特別控除の上乗せ分の廃止を決めさせていただきました。残っている割増・加算としては、そこの特定扶養控除、それから老人扶養控除があるということでございます。
それから14ページでございますが、この割増・加算の根っこにあります基本的な3控除については、昨年6月の「基本方針」の時点で3つの考え方を提示して、国民の議論に付したいという整理をしていただきました。その14ページに考え方1から3と書いてありますが、考え方1は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の3つの人的控除で構成する。これは現行どおりの姿であります。それから考え方2は、配偶者控除を廃止するとともに、扶養控除については児童及び老齢の親族のみに対象を限定する。それから考え方3は、配偶者控除及び扶養控除を廃止する一方で、児童の扶養について税額控除を設ける。
これを絵にしたものが15ページでありますが、外国の状況をこれについて見たものが16ページの資料であります。アメリカは、見ていただきますように、納税者本人に関する控除、配偶者に関する控除、扶養の控除、いずれも人的控除ということで、一人に1つずつ、37万円程度の控除があるということであります。
イギリスには、納税者本人の基礎控除はありますが、配偶者控除はない。それから扶養については児童税額控除というものがござい ます。
それからドイツ、フランスは、本人に対する基礎控除も配偶者控除もありませんで、ドイツの場合には、子女控除と児童手当の選択が認められている。ただドイツとフランスは、ここには書いてございませんが、本人に基礎控除がないかわりに、税率表の中にゼロ税率という部分が設けられているということでございます。
「基本方針」で考え方3つ示してあるわけですけれども、その6月の「基本方針」の段階で、個人所得税につきましては、できるだけ個人を基本にするという観点、あるいは男女や家族の就労等の選択を歪めない税制を構築するという観点があったと思います。そういう考え方で配偶者特別控除を廃止したわけですけれども、男女共同参画という議論もございまして、配偶者控除をどうするかというのが 一つの議論としてあろうかと思います。
これに加えまして、少子高齢化という視点では、子育て等の児童の扶養による担税力の減殺へどう配慮するかということが、社会保障制度との関連も念頭に置いて、どう考えていけばいいかという点をご議論いただけるとありがたいと思っております。
これとの関連で、17ページで、課税最低限というのをご覧いただきたいのですが、いつも課税最低限の諸外国との高さを比較することがございます。一番上の数字はその高さを比較してあるわけですけれども、高さもさることながら、積算の内訳というところをご覧いただきますと、それをどういう所得控除が構成しているかということで、一番下のイメージというところで黒く塗りつぶした部分と斜線の部分がありますが、日本の場合には、人的控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除といった、先ほど申し上げた3つの基礎控除が課税最低限の約55%を占めております。その他というのが給与所得控除と社会保険料控除でございます。
これを諸外国で見てみますと、その他に相当するサラリーマンの経費控除的な部分が課税最低限の中に比較的ウェイトとしては小さくなっておりまして、むしろ納税者全体に関係する人的控除で課税最低限を構成している。さらに、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスそれぞれ積算の内訳を見ていただきますと、税額控除という欄がございます。担税力の調整という観点から、税額控除を用いる国が最近出てきているという点が特徴でございまして、給与所得控除を見直した場合に、納税者に広くかかわる基礎控除や扶養控除を今後どうしていくのかという課税最低限の構成のあり方ということもぜひご議論いただけるとありがたいなあと思っております。
18ページ以降は給与所得控除で、いつもの資料でございまして、大体ご承知のとおりでございますが、18ページ、収入に応じた給与所得控除額をつけてございます。右下で見ていただきますように、B/Aの割合で見て、平均して3割弱の控除の大きさになっているということでございます。
こんなふうに給与所得控除が大きくなりましたのは昭和49年以降でございまして、19ページの資料をご覧いただきますと、昭和48年までは、そこにございますように、16万円の定額控除の上に20%から5%の定率控除がございまして、76万円で控除限度額、頭打ちに来るという仕組みでございました。これを49年の改正で頭打ちを廃止しますとともに、控除率を、そこで見ていただけますように、40%からスタートさせるということで大幅に拡充しまして、現行のような高いところで推移をする控除の絵になっているわけでございます。
20ページはその経緯を書いてございますので飛ばさせていただいて、21ページ、これも時々見ていただく資料ではありますが、勤務に係る費用の概算控除という観点から、どのぐらい経費を使っておられるかというのを家計調査で見てみますと、衣料品からつきあい費まで、経費に係る支出とおぼしきものを拾ってみますと、一番右の(B)/(A)のところで大体6.6%でございまして、費用の概算控除という観点からは1割ぐらい引いておけば十分な感じということではなかろうかと思います。
22ページでございますが、昭和63年の改正以降、サラリーマン、給与所得者の実額控除を認めるということで、5項目の特定支出については、給与所得控除額を超えますとその実額控除は選択できるという仕組みがございます。通勤費、転勤の引越費用、研修費、資格取得費、単身赴任者の帰宅旅費といった5項目が並んでおるわけですけれども、給与所得控除、概算控除のほうが非常に大きいということもありまして、一番下の(注)でご覧いただけますように、平成13年でこの特定支出控除を適用しておられる方は全国で4件という少なさでございます。
23ページは、諸外国でも、サラリーマンについて概算控除と実額控除それぞれ選択で認めている国が多うございます。イギリスには概算控除はなくて、実額の経費だけ引かせるということのようでありますが、日本の特定支出控除と比較してみて、日本になくて外国にあるものというのを探してみますと、下のほうでありますが、職業上必要とされる特殊な衣服の費用とか、一定の交際費、あるいは労働組合が含まれたり含まれなかったりしますが、職業上の団体の会費、こういったものが実額で引ける項目に入っておるようでございます。
24ページ、昨年の6月の答申でございますが、これは整理していただいておりますけれども、勤務費用の概算控除という趣旨と、他の所得との負担調整のための特別控除という2つの要素がこの給与所得控除にはあるけれども、被用者特有の事情に特に配慮する必要はだんだん低下してきているのではないかということで、勤務費用の概算控除としての合理的な水準を見極めつつ、縮減を図る方向で検討する必要がある。その場合、特定支出控除制度についての範囲についての検討も必要であろうという指摘をいただいているところでございます。
以上が給与所得控除で、次が公的年金等に関する課税の仕組みということで、高齢者の控除という観点からご覧いただきたいと思います。25ページでございます。公的年金、拠出の段階では本人の掛金は社会保険料控除の対象になって、全額控除されます。給付を受けますと、公的年金等控除という仕組みと、それから老年者控除、これは65歳以上で所得の金額が1,000万円以下のお年寄りには一律50万円の控除が認められるということでございまして、この2つの控除をした後に、普通の人と同じように、基礎控除や配偶者控除等を行った上で課税所得を出して、税率をかけるという仕組みでございます。
このうち公的年金等控除でございますが、26ページにございますように、「公的年金等控除」となっておりまして、例えばイからカまで対象とされる公的年金等の範囲が書いてございますが、ロの国民年金基金ですとか、リ、ヌ、ルの確定給付企業年金、適格退職年金、確定拠出年金といった、いわゆる公的な強制保険ではなくて、加入が任意とされている年金の給付もこの控除の対象になっているということでございます。
それから控除自体の仕組みでございますけれども、27ページに絵が書いてございますが、そこでご覧いただきますように、勤労者の給与所得控除とまず重なりながら動いているグラフが、これは65歳未満の方の公的年金等控除のグラフでありまして、最低、定額控除50万円、それから25%から5%の定率控除がございます。最低保障ということで、計算上70万円の最低が保障されているというのが65歳未満になっておりまして、これが65歳以上で給付を受けられるときには、それぞれ定額控除、最低保障が倍の100万、140万ということで、上にかさ上げをされた形になっておるということでございます。
この公的年金に対する控除の考え方には変遷がございまして、28ページに簡単に歴史を書いてございますけれども、昭和32年以降、給与に準ずるものとして、年金を給与所得とみなして、給与所得控除を適用してきた時代が長くございました。これが昭和62年の見直しの際に、公的年金については、給与所得ではなくて、所得分類上、雑所得にかえまして、公的年金等控除を新たに設けたということでございます。
そのときの考え方が29ページの当時の答申に書いてございますけれども、右側のロとかハのところをご覧いただきたいと思うのですが、年金には本来の給与所得とは異なって、経費を必要とはしないので、概算経費の控除としての給与所得控除を適用するのは合理的ではないと。むしろ公的年金は、経済的稼得能力が減退する局面にある高齢者の生計手段とするために給付される年金であるので、他の所得との間での負担調整措置として整理し直して仕組みを考えようと。ただ、高齢者に対する配慮として、控除の水準は維持しようということで見直しが行われております。
その結果が30ページでありますが、昭和62年以前の老年者年金特別控除と給与所得控除が適用されていたころに比べて、公的年金等控除を適用した結果どうなっておるかということで、年金収入が250万円の場合と400万円の場合で比較してございますが、上のほうの黒く塗った所得金額のところで見ていただきますと、老年者年金特別控除と給与所得控除を廃止しまして、公的年金等控除に変えた結果、所得金額はほとんど変わっておりません。ほぼ同じ水準で設計をしてあるということでございます。
さらに、その後の所得控除のところで、老年者控除が25万から50万に増額をされております。老年者控除についても拡充したということで、最終的な課税所得のところで見ていただくと、年金収入400万円の場合、87万7,000円だった当時が、現在は79万9,000円ということで、少し課税の規模は小さくなるように配慮がなされているということでございます。
課税最低限ということでこの状況を見ていただきますと、31ページでございます。公的年金等控除がほぼ同水準で維持され、老年者控除が拡大されたということで、年金受給者世帯の課税最低限、右側の配偶者特別控除を廃止した後の平成16年~という箱で見ていただきますと、2人世帯で299万8,000円、それから独身世帯で236万円ほどということで、現役の給与所得者、2人世帯で156万円ということになっております。かなり高くなっておるということでございます。
32ページは住民税の関係ですので飛ばさせていただきまして、33ページ。さらに、年金を受給しておられる高齢者が別途給与収入を得ておられる場合の課税最低限というのを計算してみますと、モデル年金で200万円、年金の支給を受けておられる方を前提に計算をしますと、一方で、給与所得を得ておられると給与所得控除も効きまして、課税最低限が355万円ぐらいになります。先ほど見ていただいたように、現役ですと156万円ということで、倍以上の課税最低限に膨らむということでございます。
これは、先ほど見ていただきましたように、給与は給与所得、年金は雑所得ということで所得分類を別々にしまして、別々の所得計算上の控除が適用されるという考え方から、給与所得控除と公的年金控除が両方適用される結果であるわけですけれども、次のページでご覧いただきますように、65歳以上でも、実際に働いておられる方がかなり増えてきております。平成13年、就労者6,400万人ぐらいのうち、7.5%、480万人の方が65歳以上の就労者ということで、昭和60年を100として162ということで、相当、最近、65歳以上でも就労が増えてきているというのが1つ。
それから35ページでありますが、高齢者世帯で雇用者世帯、自営業者世帯、それから年金だけもらっておられるその他世帯というので比較してみますと、例えばその他の世帯と雇用者世帯で年金の額は203万と219万とほとんど変わりませんけれども、雇用者世帯にはこれに稼働所得380万円ぐらいが加わっておるということで、働いておられる高齢者というのは全体として見るとかなり豊かでございます。
こういったことを考慮いたしますと、2つの控除を適用していることをどう考えるかと。公的年金等控除は経済的稼得能力が減退しているので負担調整をするという趣旨の控除だと先ほどご説明いたしましたが、給与を得て、経済的稼得能力が一方で実現しておられる方に公的年金等控除を重ねて適用する必要があるのかどうか、ご議論をいただけるとありがたいと思っております。
以上が公的年金等控除や老年者控除を高齢者の控除という観点から見た資料でございましたが、年金課税という観点から今の論点をちょっと見ていただきたいのが36ページ以下の幾つかの資料でございます。
36ページは年金制度の体系を書いてございます。ご承知のように、自営業者とサラリーマンということで就労形態によって制度は分立しておりますが、1階部分が全国民共通の基礎年金、国民年金の部分、それから基礎年金の上乗せとして報酬比例の年金を支給する厚生年金保険というのが2階にあります。それから3階に、さらに厚生年金の上乗せとして厚生年金基金というのがありまして、今、返上で話題になっている代行部分と独自上乗せ部分があります。この黒で塗った部分がいわば加入強制型の年金というふうに整理していただいていいと思いますが、その上に2階、3階、4階という形で、加入が任意な国民年金や確定拠出年金、確定給付年金というものが乗っかっているというのが我が国の年金制度の体系でございます。
この税制でございますけれども、37ページ。年金税制を考える場合には、拠出段階の入口と給付段階の出口の課税の整合性ということが議論になりますが、37ページの一番左の欄で見ていただきますと、我が国の公的年金は、拠出時、入口の段階では、雇用主の負担分は本人の給与とされず、事業主の損金に算入されます。それから本人が拠出した負担分は社会保険料控除とされ、全額、課税対象から除かれる。それから出口の給付の段階では、年金払いの場合と一時金払いの場合がありますが、年金払いの場合には、先ほどの公的年金等控除が働いて、実質的に非課税ということになっております。それから途中の運用段階の課税は行われていないわけでございます。
なお、3の「退職年金等積立金に対する1%課税」というのがございますが、企業年金に関しては、事業主負担の掛金が拠出のときに給与とされないということで、給付時まで課税が繰り延べられるので、その課税の遅延利息相当分という意味で、積立金に対する特別法人税という形で3が課せられておりますが、現在、(注)にございますように、課税停止状態ということでございます。
こういった年金課税の考え方としては、38ページにございますように、所得税を考えますときに、大きく2つの考え方があろうかと思います。1つは包括的所得税とございますが、所得を発生ベースで包括的にとらえるという考え方からしますと、拠出時にすべて課税をする。したがって、給与として事業主拠出も課税をし、被用者本人の拠出は所得控除しない。運用益も、発生の都度、受給権者に帰属させて課税する。そのかわり給付は非課税。拠出時課税でございます。
これに対して支出税という考え方でいきますと、一生涯の所得を課税ベースにするということで、各期は支出を課税ベースにとる。貯蓄は非課税という発想がございますので、拠出時は、そこにありますように、非課税。そのかわり給付の段階で全額課税をするという、どちらかの考え方が典型的にはあるわけでございます。
日本の場合には、それが入口も出口もほとんど非課税ということになっているわけですが、外国を見てみますと、それぞれ必ずしも理屈どおりにはなっておりませんけれども、39ページでありますが、アメリカは、給付のほうは課税と書いてありますが、所得計算上の特例措置がかなりありまして、所得の低い人は実質的に非課税になっている。そのかわり拠出の段階で本人負担分は控除が全くされないということであります。イギリスは拠出の段階の本人負担分の控除がないだけでなくて、給付段階もほとんど課税が行われておるということであります。ドイツ、フランスは拠出の段階で一部控除があり、給付の段階でも一部控除等があって、部分的な課税になっておるということのようでございます。
40ページは企業年金で同じ比較をしてございますが、恐縮ですが、割愛いたします。
41ページが「社会保険料控除」ということで、拠出のほうの資料をつけてございますが、日本の拠出時点での社会保険料控除を見ますと、1階から3階までの掛金を基本的に全額控除するということになっております。その結果、3番目の「適用状況の累年比較」というところをご覧いただきますと、平成13年で、右から2番目の控除額、18兆円、社会保険料控除で、マクロでは所得税から控除されております。1人当たり53万円ということで、給与のうち約1割が社会保険料控除として落ちているということでございます。
(参考)の右のほうを見ていただくと、例えば厚生年金は平成15年の4月で保険料率が13.58%ということで、この半分が本人の拠出になって社会保険料控除の対象になるわけですが、このまま推移していきますと、平成37年には24.8%まで拡大するというのが厚生省の推計でございます。
社会保険料控除によりまして、我が国の所得税、かなり課税ベースが侵食されております。社会保険料控除をどう考えるかというのも一つの論点だろうと思いますが、年金課税ということで考えますと、その入口も出口も非課税になっている、どちらを手直しするかということだろうと思いますが、世代間の負担の公平ですとか、勤労世代の負担を増大させないという観点からは、出口サイドの公的年金控除の見直しが優先するのかなあと考えておりますけれども、社会保険料控除につきましても、3階部分が特に個人や企業の自助努力を基本とした任意加入の年金等についての全額社会保険料控除の対象になっている、こういった点をどう考えるかというのが課題ではなかろうかと思っております。
43ページにお進みいただきまして、以上ご説明いたしました高齢者の控除や年金課税をめぐりましては、1つは、13年の暮れに閣議決定をされた「高齢社会対策大綱」におきまして、画一的な高齢者像の見直し、あるいは年齢だけで高齢者を別扱いする制度、慣行等の見直しという観点から見直しの視点をいただいております。
こういったことを踏まえまして、昨年の6月の「基本方針」では、44ページにございますように、高齢者に関する控除の見直しの方向を指摘していただいております。逐一のご紹介は省略させていただきます。
それから46ページにお進みいただきまして、給与所得控除といった給与に対する課税の問題、それから今の企業年金、年金払いの課税の問題、それぞれに関係してこようかと思いますが、退職一時金に対する課税の方式をどう考えるかというのも一つの課題ではなかろうかと思います。
現在、46ページにありますように、退職所得につきましては、退職所得控除というのがございまして、これは20年までの勤続については1年につき40万、20年を超えた長期勤続については1年について70万を控除しまして、2分の1を掛けて退職所得を計算するという方式になっております。
これについては、48ページに諸外国の退職金課税の概要が書いてございますが、アメリカは5分5乗という制度があったようですが、最近は廃止されて、経過措置だけが残っておるようでございます。それからイギリス、フランスについては、かなり大きな控除が認められている。ドイツは、5分5乗で平均で計算をするといったような配慮が行われておりますけれども、日本の退職所得課税についてどういうふうに手直ししていくかという課題があろうかと思います。
それから最後に50ページでございますが、課税ベースのところで見ていただいた非課税所得についての現状をご紹介したいと思います。50ページが「主な非課税所得」ということで、ワーッと一覧されております。所得税法に規定されているもの、それから右のほうで租税特別措置法に規定されているもの、それから税法以外の法令で非課税とされているもの、いろいろございまして、例えばノーベル賞や文化功労者の年金ですとか、オリンピックで金メダルをとった人へ交付される金品ですとか、いろいろあるわけでございますが、税法以外の法令で規定されているもので、少子高齢化という観点から税制を考えます場合にご議論いただきたいものとして、そこにございますが、厚生年金保険の保険給付、あるいは雇用保険の失業等給付、生活保護の保護金品等についてどう考えるかという問題がございます。
先日、委員のほうから、社会保険給付を課税ベースに取り込んだ上で、課税して費用回収をするといったような論点を提起していただいておりますが、所得税の課税ベースの問題として、広く公平な負担を今後求めていく際に、こういった社会保障給付が非課税となっている点についてどう考えるかということについてもご議論いただけるとありがたいなあと思っております。
51ページをご覧いただくと、税法以外の国民年金法ですとか厚生年金保険法、雇用保険法、生活保護法といったそれぞれの法律で公租公課の禁止規定というのが設けられておりまして、例えば年金ですと、老齢年金は課税でございますが、遺族年金や障害年金は非課税という扱いになっています。それから失業等給付についてはすべて非課税ということになっています。生活保護も非課税でございます。
例えば生活保護なんかの場合には、ミーンズテストを経た上で最低生活費を保障する給付であるということで非課税になっているようでございますが、年金ですとか失業給付については、それをもらう方の経済状況、例えば他の資産収入があるかないかといったようなことを必ずしもチェックしないで給付をされておる社会保障給付でございまして、こういったものについて課税上どう考えていくかという論点はあるのかなと思っております。
幾つか資料がついてございますのでご覧いただければと思いますが、54ページだけご覧いただきたいと思います。先日、委員から生活保護基準額についてご質問がございましたので、この機会に整理してお示ししてございます。1級地、2級地、3級地それぞれの地域ごとに、世帯の構成に応じて生活保護基準額というのは決められておりますので、非常に多くのケースがあると思いますが、これを例示として挙げてございます。
例えば夫婦子2人で35歳、30歳、9歳、4歳という世帯構成ですと、1級地-1というところは275万円というふうに見ていただければいいと思います。1級地は東京都区部や横浜、大阪といったところのようでありまして、3級地になりますと、島根県の出雲とか岐阜県の高山とか、地方に行くと3級地ということで、その地域や世帯構成によって基準額が違ってくるということのようでございます。
長くて恐縮でございましたが、私からは以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、地方税関係、お願いいたします。
〇事務局
続きまして、個人住民税関係でございます。資料は55ページをご覧いただきたいと存じます。
個人住民税の基本的な仕組み、考え方は所得税と同じでございますが、個人住民税の場合、特に費用をみんなで分かち合おうという負担分任の性格が強いということで、各種の控除が低く設定されております。その結果、課税最低限が所得税に比べまして非常に低くなっているというのが特徴でございます。
そこで、特に社会的に弱い立場にある方の稼得力ですとか担税力を配慮いたしまして、ここに書いてございますような人的非課税を設けているというのが特徴になっております。均等割と所得割がともに非課税になっているものといたしまして、[1]で、生活扶助を受けている方、[2]のところで、老年者などであって、かつ所得が125万円以下の方。それから均等割が非課税になっている方といたしましては、幾つか、地域によって違いますけれども、1級地の場合ですと、本人を含めた家族数×35万円、そして24万円を加えたもの、それ以下のものにつきまして非課税になっております。また[2]のところでございますけれども、たびたびご説明いたしております生計同一の妻というのが非課税になっております。
また、ウのところでございますけれども、所得割が非課税になっているものといたしましては、本人を含めた家族数×35万円、それに36万円を加えた額よりも所得が少ない方につきまして非課税になっているというところでございます。
このようなことから、特に社会的に弱い立場にある方について配慮しているというところが個人住民税の特徴でございまして、それ以外につきましては所得税と概ね同じでございます。
以上です。
〇委員
ありがとうございました。
この後、実は相続・贈与もお聞きしてから議論と思いましたが、いささか、聞いていると疲れましたから、これから議論しましょう(笑)。それで、一わたり議論が終わった後で資産課税のほうに入るほうがいいと思いますので、今、国税、地方税、両方で受けました個人所得課税の、特に控除につきましていろいろご議論があろうと思いますし、6月の中期答申にはかなりのものを書き込みたいと思ってますので、この際いろいろご意見を賜れたらと思います。ご質問でも結構です。
どうぞ。
〇委員
2点あるのですけれども、もう何回も議論している点ではありますが、17ページの前半のほうの、日本と諸外国の所得税の課税最低限の議論で、説明いただいたのは、いろいろ話をいただいたと思いますけれども、日本はその他部分が多いと。逆にいうと、その他の国は人的控除が多いと。であるならば、何遍も言うように、夫婦子2人の給与所得の場合で課税最低限を議論しても、その他の国、日本以外の国では人的な控除部分が大きくなるわけですよね。したがって、この手の図表を出すときは、やはり単身、夫婦、夫婦子ども2人という形で出していただかないと、所得税の評価というのが私は難しいと思います。
そうすれば、例えば単身で見ていけば、人的控除部分が、日本はほかのところも小さくなってくるわけですから、逆にいうと、日本のその他部分が相対的に大きくなってくる。つまり、課税最低限が日本が大きくなってくるという形で、問題点がよりよくわかってくると思います。
あと後半の方は、年金のところで説明いただいた中で38ページ、年金課税についての典型的な考え方で、私はこう思うのですけれども、やはり原則として、年金、最終的に高齢者に幾ら税金をかけるかということは別にして、あるいは結果的に今高齢者が払っている税金と同じ額になるかもしれないとしても、大切なことは、これから本当の高齢化社会になるに当たって、高齢者というか、年金という所得にどうやって税金をかけるのかという考え方だと私は思います。
それで、ここで説明いただいたことは非常に重要だと思うのですけれども、包括所得税というのはまさにそういうことで、事業者のところでは非課税だけれども、もらった賃金にかける。で、運用のところにかける。それは現実的ではないわけで、おそらく現実的には、右側の支出税のところでかけるのでしょうけれども、そうするとそこで重要なのは、どうやって今ある公的年金等控除を整理していくのかと。
そうすると、そこで負担との関係になるのですけれども、やはり支出税という形でかけるのだと。ただ、ある理由で、高齢者に負担させてはかわいそうだと。それならば、支出税+老年者控除というのを拡充して負担を下げるべきだと。公的年金という所得に着目して下げるのではなくて、高齢者はいろいろな所得を持っているわけで、その中で年金も含めて、高齢者であるがゆえに何らかの理由で下げるという、それは老年者控除を結果的に上げることだというふうな形できちんと問題を整理して、そして最終的に負担をどれだけ求めるかという議論をすべきだと思います。
〇委員
公的年金等控除と老年者控除一まとめにして、それを両方というのではなくて、その性格を考えるということですね。
〇委員
はい。
〇委員
わかりました。ほかにどうですか。
〇委員
すみません。私、火曜日にいつも授業が入っているものですので、ここに出席させていただく機会が少ないものですから、少し余分なことまで踏み込むかもしれませんが、2点ばかりお話をさせていただきたい。
1つは、前回も少し、私の発表のときにお話をさせていただきましたけれども、やはり社会の構成員全体でお互いに負担し合うという少子高齢化社会を目指した税制を、そういう意味で確立するのだという方向をはっきりさせておくというビジョンが必要だと思うのですね。
私、2つ重要な面があると思います。1つは、やはり資産性所得を公平に課税するということ。税務行政上、含めてやはり考えていくべきだと思います。福祉を支えるのに消費税に頼らなければならないということはわかりますけれども、それをやるにしても、前提として、ご説明いただいたように、所得税があまりにもみすぼらしければ、つまり応能的な課税がきちっとしてなければ、消費課税も引き上げることは不可能なのではないかという観点からです。
そういう意味で、包括的な二元的な所得税をやっているスウェーデンでも、ロスによって資産所得に、租税回避が起きてしまうということのために課税ベース入れていますけれども、可能な限り課税ベースは広げようとしているわけですから、包括的な所得ベースに広げるということが重要なのではないかということです。
それから、これは余計なことかもしれませんが、課税単位の議論も、税収は上がらないかもしれませんが、公平性を貫くという観点から議論してもいいのではないか。シャウプ勧告は、給与所得などに関しては、額に汗した所得に関しては個人単位を適用してもいいけれども、資産所得に対しては個人単位を適用すべきではないということから、合算制度、夫婦合算を勧告していたわけですけれども、消費税を導入するときに時を同じくして廃止されているわけですね。これは私は逆ではないかと。消費に課税するということをやるのであれば、資産性所得に対する妥協はあまりすべきではないと考えておりますので、ご検討いただきたい。
それからもう一つは、控除も、少子高齢化社会を支える福祉はもう税の控除では無理だということをはっきり、もう限界があるというふうに言ったほうがいいと思うのですね。手当ないしはサービスでやるので、社会の構成員の方々はすべてそれぞれ応分の負担をしてくださいと。先ほど、資産所得のほうは特に国税では絶対妥協すべきではないと思いますし、それから、この控除その他については、特に地方税、その他の見直しについていえば、これはあまり社会保障政策を控除でやるべきではないと。
年金への過大な妥協もその一環だと思います。私は、ちょっと理屈が合わないかもしれませんけれども、支出税的にもらったときにかけたほうがいいとは思いますが、それは議論、いろいろ説があるかと思いますけれども、あまり大きな妥協はしないほうがいい。ほとんどの国が今そういう方向に動いているというのが私の認識であります。
この間もちょっとびっくりしたのですけれども、スウェーデンでは、課税最低限が、貧しい人が基礎控除が低くて、LOの丘と言われているところまで基礎控除額が、所得が増えるにつれて上がっていくわけですよね。貧しい人が低いというのはあまりにも気の毒ではないかと言ったら、いや、ここは学生のアルバイトがほとんどだから、これは構わないと。我が国では、勤労学生に対しては、勤労することによって学費を稼ぐというのはけなげであるということでやっているのだけれどもと言ったら、いや、我が国では、学生の本分というのは学問をすることであって(笑)、そんな推奨することはないと、こういうふうに言っておりましたし、それから老齢者に対しても、控除で配慮してあげるとかえって貧しい人々にきついのだということを説明しないとまずいと思うのですね。これは決して貧しい人にやさしくないのだと。
例えば老齢者の配偶者控除などもやると、スポーツ選手などの高額所得者、みんな年上の人と結婚するわけですよね(笑)。だから、それはまずいのではないかと。やはり払うべきものはちゃんと払ってもらう。それをみんなで支え合いましょうと。そのかわり今度は手当で返しますよということとセットで考え直すという大きな、一挙にはできませんけれども、見通しをちゃんとつけた上で一つ一つ進んでいくということが重要だと思います。
〇委員
大変おもしろい、含蓄のあるお話、ありがとうございました。
どうぞ、ほかに。
〇委員
全体に、財務省のお話を聞き、大筋の流れというのはやはり広く薄く、薄くかどうか知りませんが、広く負担するという方向は、財政状況、それから税の構造からいってやむを得ないとは思います。
1つ、私の関心事、いろいろな問題あるのですが、1つ訴えておきたいのは、サラリーマンの給与所得での概算控除が非常に高過ぎるというお話がありまして、私もそれは必ずしも否定しません。ただ、このいきさつというのは、説明にもありましたように、クロヨン問題とかいうふうに言われる税の捕捉の差を、これによってサラリーマンの不満を抑えるということからこういうふうになったとされております。
この資料にもありましたように、サラリーマン、雇用者が全体の8割を占めたから、もう優遇する必要はないのではないかと書いてありますけれども、書いたというか、ここの税調で出したのですが、だからといって残り2割をほうっておいて、こっちのサラリーマンのほうを増税するという理屈には全くならないと思うのですね。
というのは、公聴会などでもわかるように、税の不公平感というのは非常に、第1位にほとんどなっていると思うのですね。それはやはり税の捕捉の問題が不十分であるからだと。それで、所得の捕捉が不十分ということは、税だけではなくて、実際にはその所得を基準に、つまり、何か公的な支援を受けるときには、必ず市役所かなんかへ行って納税証明書を持ってこいと。この結果、例えば公営住宅に入るときとか、奨学金をもらうときとか、保育所の費用とか、すべてその捕捉がもとになって負担が割り当てられる。ですから、単に税だけではなくて、捕捉が不十分ということは、生活全般の非常に広い範囲の不公平が広がっているということをやはり忘れてはいかんと思うのですね。
ですから、サラリーマンの経費を問題にするときは必ず、一方では、じゃ残った2割の捕捉をどうするのだということとしっかりセットでやらないと話は進まないし、そうなかなか理屈どおりに国民は納得しないのではないかと思います。
ほかにいろいろありますけれども、長くなりますので、また追い追い……。
〇委員
2割とおっしゃったのはクロヨンの下のほうですか。6と4のほうという意味でおっしゃっているのですか。
〇委員
いや、ほとんど給与所得者が多いからと書いてある。
〇委員
あとの事業所得とか農業所得も少し考えなければいかんと、こういうことですね。
〇委員
はい。
〇委員
どうぞ、ほかに。
〇委員
今ずっと年金関係中心のお話をいただきまして、考えることは、例えば25ページの「公的年金等に係る課税の仕組み」ですけれども、受け取ったときに公的年金等控除というものが認められて、実際には課税されないような仕組みになっていると。それから最後のほうでお話がありましたけれども、国民年金法や厚生年金保険、この法律によって、いわゆる非課税が定められている。その趣旨がやはり大事だと思うのですが、考えていきますと、もとにさかのぼって、社会保険の財源をどこに求めるかというのに非常に密接につながってくるわけですね。
実用書の説明などですと、大体、なぜ控除を認めるかというと、担税力がないからですと言ったり、受け取ったときになぜかけないのですか、これは担税力がないからですと、そう簡単に説明されますが、本当のところは、年金に対して社会保険給付というもの、これを課税の立場から見た場合にどういうふうに関与するのかと。場合によってはこれは課税するという考え方がありますけれども、この場合には、社会保険、厚生年金等にかかわることであるけれども、それとは全く無関係に税金は税金で取り立てますという話になるわけですね。
さらに非課税が定めてあるというのは、そこには税金はかかわらないということなのですけれども、これの枠を外して所得に応じて課税するということになりますと、社会保険のほうの政策はそれなりにあるけれども、課税は課税で横並びですべて課税するというような考え方になると思うわけです。
そうすると、さかのぼっていきますと、財源で結局、これを課税、税金で賄うのか、やはり社会保険料という形で徴収するのかという根本の問題にさかのぼってまいりますので、この辺の公的年金等を控除するとか、国民年金は非課税にするといったその仕組みを考えるに当たって、さて、社会保険の財源をどこに求めるのか。別に別建てで社会保険料として徴収する、それに依存していくのか、あるいは税金で全部カバーするのか、そういった問題と深くかかわってきますので、非常に難しい問題であると思います。
〇委員
難しい問題というご指摘はわかったけれども、一番おっしゃりたいことは何ですか。
〇委員
これは、簡単にいいますと、文化勲章になぜ税金かけないかというと、文化勲章受章者にお金がないからではなくて、文化を奨励するという意味合いであって、それに対して税金をかけると非常に冷や水を浴びせる格好になるわけですね。社会保険料の場合も、社会保険のほうの政策の担当者が考えたことに対して、それとは関係なく税金でかけますと、いわゆるバッティングが生ずると。そういう問題があるから、ある意味でこれは控除を認めたり非課税にしているのだろうなというのが私の理解なのですが、そうしますと、もとへ戻って、そもそもじゃ社会保険の負担はどこでどうしたらいいのだろうという問題に、大もとをたどっていきますと突き当たりますねと。だから、そこから考え直したときに税制というものもやはりあり方が変わってくるのではないかなと、こう考えているわけです。
〇委員
どうぞ。
〇委員
その点、私、非常に重要だと思うのですけれども、今日の配付資料で触れてないのは、その点というか、年金は保険なのだという議論がずうっと前提にあると思うのですよね。払った保険料があって、それからもらう。ただ、現実的にはそういう裏づけはないわけで、現実には、今働いている人が、保険料というか、保険料という形で負担をして、それが現在のお年寄りに配られると。そうすると、税とどこが違うのだという話ですよね。したがって、もし現実に、例えば高齢者の、わかりやすくいうと、基礎年金部分が所得移転なのだと考えれば、それは所得移転プログラムと同じで、もう保険料という考え方はない。したがって、アメリカのやっているような税体系になる。
あともう一つつけ加えると、もちろん給付も重要で、そうすると、その所得移転プログラムで高齢者に払うとするならば、その部分の保険料の管理をなぜ社会保険庁がやるのか。税金の中で閉じてやる。ほかの支出は税金でとって、税金から払うわけですから、それと同じように、たまたまある高齢者というカテゴリーに所得移転するならば、それは国税庁が税金をとって、国税庁から払う。その払うところはどこでもいいですけれども。
だから、もう一つ視点はあって、年金という名で呼ばれているものが実質的には同時点における所得移転ならば、それは税でやってもいい。そのときには、さっき言った原理というのは大分ずれてくるという、その点は今日の話の中で欠けていたと思います。
〇委員
いずれにしても難しいと思いますな、その解釈は。
どうぞ。
〇委員
範囲が広いのであれですけれども、所得税の空洞化という問題をどういう形で是正していくかという観点でみんな関連があるわけですけれども、その視点は忘れてはいけないことだと思いますから、それは説明があったとおりだと思うのですが、今年金の話になってますけれども、年金の場合も、控除を縮小するという形で課税強化というのは、それはそれでいいのですけれども、今、23万8,000円ですよね。これを前提にすると、控除をそんなに縮小できるのかなあということだと思いますね。限界があると。それから、まだ他に所得のある人とそうでない人の区分けをどうしていくのかという難しい問題があるので、そう大きな金額になって出てこないのではないかという気がするのですけれども、38ページですか、典型的な考え方という、ここで、拠出段階、事業主も、それから個人も非課税になっているというのをもうちょっと考え直す必要があると。
卑近な例ですけれども、さる公的資金を受けている銀行の3階建て、4階建てのところが大体50万から70万ぐらいということですね。24万+50万、70万円というようなケースがあるわけですよね。そうすると、これも拠出段階で非課税になっているのはやはりおかしいでしょう。どう見てもね。だから、これは拠出段階である程度課税する。全額でなくてもいいと思いますけどね。全額でもいいけれども、個人でも、拠出段階というのはまだ若いですから、働けば何とかなる世代ですよね。ところが、年とってからもらう人はこれしかないという人がたくさんいるわけですよ。おそらく表へ出せばそういう声が非常に大きくなって、一緒くたになって、高齢者に税金かけるとは何だという話になってきますから、ちょっとやったらいいと思いますけれども、あまり極端にはできないだろうと思います。
ですから、私の言っているのは、拠出の段階でむしろきちっと税金をかけて、受け取る段階ではほどほどの、今はちょっと、他に所得のある人に対しては非常に甘いと思いますけれども、そういうものの是正というのは必要だと思いますけれども、限界があるなということだと思います。
〇委員
どちらかというと入口で課税強化したほうがいいよと、こういうご主張ですね。
〇委員
ええ。
〇委員
先生がおっしゃったのはそのとおりだと思うのですけれども、実際は、これからやろうとしているのは、給付も控除も両方下げるということなのではないかと、鬼のようなことを考えなければこの世の中成立しないということをやっていくのだと思うのですが、それでちょっと質問したいのですけれども、36ページのイメージ図というのは、それぞれの出かさというのは何をあらわしているのかなというので、僕なんかのイメージだと、右のほうの小さく書いてある3つが意外と実際は大きいのであって、基礎年金というのはもっと、この3分の1ぐらい平べったく書かないと実態をあらわしていないような気はするのですが、この大きさの意味というのと、あと、この2階、3階というのを社会保険料控除から除くという話の場合の現実的な金額というのはどういうふうになっているのでしょうか。
〇委員
それでは、事務局、ご説明ください。
〇事務局
この絵自体は全くのポンチ絵として準備してありますので、ここの大きさの比較はほとんど意味がありません。おそらくそれぞれについて規模を比較する場合に、加入者がどのぐらいいるかとか、受給権者がどうなっているかとか、資産がどれぐらいか、あるいはそれぞれの拠出金のオーダーがどうなっているかということで比較しなければいけないと思いますが、今手元にありませんので、次回にちょっと整理をして説明させていただきますが、よろしゅうございましょうか。
〇委員
じゃお願いします。
それでは、どうぞ。
〇委員
控除についての基本的な分類、15ページの考え方3つありますが、先ほどお話がありました、年金でも23万6,000円までは高齢者ではあるわけですから、年間では250~260万になる。そういたしますと、この考え方2の中でも扶養は児童と老齢の親族とありますけれども、老齢の親族ということも、そういう意味では考える必要もあまりないのではないかとすれば、考え方3のような、児童の扶養、子女の扶養についての配慮だけでもいいのではないか。
しかし、いろいろ考え方ありますが、税法の体系の中に所得控除あり、税額控除ありというのがどこまで割り切れるのか。税額控除となりますとやはり負担とともに給付の意味も含めた、歳出・歳入両面に関連するような感じもありますので、そうしますと、考え方の2の基礎控除で基本的に拡充し、これを中心にする。そして、児童と老齢とありますけれども、児童についてだけ扶養控除をというあたりが一つの方向かなという感じがするわけでございます。
それから給与所得控除、公的年金等控除、こういった収入の性質に応じた控除というのは、現時点では役割というのはもうあまり期待することは必要ないのではないか。やはり全体としての所得水準も上がってきているということ、それから一方、歳入の面では非常に苦しい状況にある、所得税が最盛期の半分になっているという、こういう時期におきましては、こうしたきめ細かい所得の性質に応じた控除的なものは役割を終えていってもいいのではないか、これが現時点での要請に合うのではないかと思うわけでございます。
しかし、先ほどお話しございましたサラリーマンあたりからなおご要望が強い。それをどういうふうにして対処していくか難しい問題だと思いますけれども、基礎控除をかなり拡充していくとか、あるいは概算経費控除についてかなりな配慮をしていくとか、いろいろな方法はあると思いますけれども、難しい面もあるかとは思いますけれども、現在、一つの機会ではないか。そういった意味で、給与所得控除、公的年金等控除についての見直しの一つのいい時期ではないかと思うわけでございます。
ただ、やはり高齢者、老齢者というのはそれなりに計算をしつつ現在の高齢期を迎えておる。また、その所得は必ずしも本人の裁量のきくものではございませんから、既得権を大きく侵害するというようなことになりますと高齢者もかなり困惑するだろうと思いますので、経過措置的なものは十分配慮して対処していく。それによってご理解を得るように努める必要があるのではないか、そんなふうに思います。
〇委員
ありがとうございました。
どうぞ。
〇委員
何で政府税調が今日こんなギスギスした議論をやらなければならんのかと思うのですよね。根本は、今の総理が、自分が総理大臣やっている限りは、9月から先、彼の任期が延びても、消費税上げないと言っているのだね。これが最大の我々の議論に対する外枠、枠組みなのですよ。いいですか。ほかの人が出ても、今の総理でさえ、自分が総理の間には消費税上げないなんて言っているぐらいだったら、次にだれが出てきたって、いや、私はやりますなんていうことを言うわけないね。現実論です、これは。
それならば、しようがない、所得税のことについて、かねてから、我々税調、何年かにわたって議論もし、空洞化の問題を憂え、基幹税制としての姿をもう一度取り戻すためにはどういうことが必要かということを言ってきて、定性的な議論としては、去年、税制のあるべき姿の中にいろいろ書いてあるわけですね。全部。消費税に話を持っていくのが政治的に、全くではないけれどもほとんど不可能だとするならば、しようがない、所得税を幾らかいじってみるかという話にならざるを得ない。幸か不幸かね。
これはいろいろな観点があると思うけれども、前々から所得税の中に問題ありということはずうっと議論して、それは一応答申に書いてあるわけだ。我々は。みんなの合意として。それが今度の卒業論文の中では、定性的に書いてきたことについて何がしかの具体的な案を書かなければ、去年の段階で一歩も進まないことになる。我々は。そうしたら、しようがない、いろいろな問題あるけれども、わかっているけれども、それに突っ込んだ議論やってみようかと。やらなければ中期答申にならないと思うのですね。
それで、今、委員がいろいろ個別具体的なことについて議論されたし、ほかの先生方もおっしゃっていたけれども、それがいろいろ議論があって、考えてみれば、どれやったって、高齢者をいじくろうが、扶養の問題をいじくろうが、給与所得控除をいじくろうが、至るところから反撃が出ることは目に見えている。一々気にしていたら全然一歩も進まない。すくんだ状態になること間違いないですね。
だけど、それでもなおかつ所得税の姿を、この機会だから、総理が全然やるつもりがなかったら、しようがないこともあるけれども、かねて懸案の問題については何がしかの筋の通った意見を税調としてまとめてみたいというのが会長の意向なら、それはそれでいいのですよ。それしか道がないから。そういう腹決めた上で、腹くくった上で、個別具体論を言わなければ、その大枠のことを除外して、個別のことについてああだこうだ言ったって始まらないのだ、この話は。と思うのですよ。荒っぽく言えばね。
今日は具体的なことは何人かおっしゃったし、委員のおっしゃっていることは随分筋の通ったことをおっしゃったと思っているので、それはそれで、私自身はそれをなぞっていいのだ。だけれども、とにかく、かねて所得税についていた問題を我々は知っているわけだから、この機会に勇気を持って個別具体論に踏み込む。で、何がしかのことを書くということをやらなければ、税調は責任を果たしたことにならないと思います。
〇委員
要するに、委員は我々に覚悟を要求しているわけね。税調として腹をくくってやれと、こういうことだよね。腰砕けではいかんと。いや、まさにおっしゃるとおり、所得税の控除を見直せば、あらゆる利害関係、とりわけ少子高齢化がテーマですから、老齢者のほうからの批判は目に見えてきますから、それについてはそれなりの腹を決めておけということでしょうね。
〇委員
税調委員は恨まれるのですよ。
〇委員
そうですよ。それはしようがないですよ。消費税でやったって恨まれるのだから。
〇委員
昔はよかったです。税調はね。減税さえやっていればよかった。そんな時代ではないのだからね。
〇委員
我々は変なときに任命されたと、こういうことですよ(笑)。
どうぞほかに。
〇委員
基本的に皆さんの、かなりの方おっしゃったことに賛成ですけれども、本当は1つは、日本の所得税というのはちょっとよくわからなくなっているといいますかね。包括所得税という哲学でいきながら、実はいろいろな意味で、資産性所得なんかは分離比例だとか、事実上、二元的所得ないしは支出税に近い形になっていて、本来はどっちをしたほうがいいのですかということをどこかで議論したほうがいいのだと思います。
私自身は本当は支出税的な考え方がいいのかなとは思ってますけれども、そこまでの議論は今回できないと思うのですけれども、むしろ多分問題なのは、今委員がおっしゃったように、消費税を上げないという形で、むしろ政治的に枠をはめて、その上で税制に関して我々は何を考えるべきかということが問題だと思うのです。
なぜかといえば、所得税自体が極めて中身がなくなっているといいますか、最初に指摘がありましたけれども、収入も半減しているし、いろいろな意味で、控除のあり方とか、いろいろなことがおかしくなっている。とりわけもう一つの問題として財政が非常に悪化していて、プライマリー・バランスを回復するということを求められている。その上で、そういうことを考えると、単に消費税上げただけではだめで、もう一つの基幹税としての所得税についてもきちんと考え直すということが必要なのだろうと思うのですね。
それを考えるときに、じゃどこに一つの根っこを置くかというときに、私は、やはり考えるべきものは老人世代の負担の問題だと思うのですね。これは税だけではなくて社会保障としての問題でもあると思うのですけれども、やはり、若い世代から見れば、今の高齢世代といいますか、老人世代の方々は、率直にいってかなりいい思いをしているのではないかという恨みを、あるいは羨望を何か持っているように思います。
厚労省がいろいろな試算をしていますけれども、いずれ、今のままいけば社会保障の仕組みというのは、給付を減らして負担を増やすということをどこかでしない限りはうまくいかない。幾ら税でいったって、今度は税のほうで同じことが起こる。
そういうことを考えると、世代的に考えれば、今の若い世代というのは大きな負担をどうしても持たざるを得ない。そうだとすると、今まであまり負担をしてこなかったし給付も多かった高齢者の方々に負担をしていただくという方向が大事だと思うのですね。
問題の一つは、じゃ今の高齢者の方々に簡単に負担をしてもらえるように、例えば社会保障の仕組みを変えられるかというと実はそう簡単ではない。今どなたかおっしゃいましたけれども、一遍約束したものですから、給付水準をパッと変えるということは非常に難しいわけですね。今計画されていることも、今の老齢者でなくて、これから高齢になられる方々の給付を下げるという方向で議論されているわけで、そういうことでいうと、いわば一遍約束した給付を下げるというのは非常に難しいし、何遍もそれをやり続けるということは非常に難しいわけで、それをしかし実質的にやれる一つのやり方としては、公的年金給付からの控除とか、老年者控除とか、そういうところを引き下げて、所得税はその方々に負担していただくという形で実質的な負担を増やすというやり方があるのですね。それが非常におかしな仕組みだったら別ですけれども、それはそれなりにかなりの人が納得できそうなやり方だったもので、まずはそこから手をつけてみるということが私はいいのではないかと思います。
〇委員
あとこちら、お二人だけ手が挙がってますが、どうぞ。
〇委員
所得課税の問題は、国税と地方税の配分、所得税と住民税の配分をどうするかという問題があると思うのですが、それは別として、所得税のほうにもいろいろ議論がありますけれども、住民税のほうは、住民と直接顔を合わせているわけですよ。ですから、収入の性格による給与所得控除だとかなんかは別で、人的控除についていえば、基礎控除1つだけ、あるいは配偶者控除をそれに加える程度で、あとはもう地方団体に、税額控除をやらすのか、歳出でやらすのか、任せるべきではないかと。今みたいに細かい国税のいろいろな控除でなくて、少し、1万円下げたとか2万円下げたなんていうよりは、発想としてはそういうようなこと。
これはかつてオプション課税のときには一時はやっていたのですね。それで、当時は地域格差がどうのこうのということで言われたのですが、そろそろ割り切って、そういうように本当に基礎控除なりにして、ほかは全部地方団体に任すと。税でやろうが歳出でやろうが。そういう考え方で、少なくとも中期答申はいっていいのではないかと思います。
〇委員
大賛成ですね。国税の所得税の説明だとすぐ、住民税と同じような説明を聞いて、大体、数量だけ違うけれども、似た説明なのだよね。毎回。委員が言ってくださると非常にパンチがありますねえ。
どうぞ。
〇委員
皆さんおっしゃったように、年金課税ですけれども、結局、税の限界だと委員がおっしゃった、そのとおりなのですけれども、結局、サービスのほうで、別々に議論していると、この前私も総会で申し上げたのだけれども、特養老人ホームへ入るのに1人15万かかる。そうすると、夫婦2人で30万円かかって、今の年金では間に合わないと。そういう話はどうしてくれるのかという話はやはり切実な問題で出てくるだろうと思うのですね。
だから結局、税でやるかサービス、税金はそこまで面倒見切れないなら、サービスというので拡充する。今度出てくる中小企業白書では、中小企業の中で介護サービスというのは非常に増えているといういい傾向なのですけれども、やはりそういうところを活性化させて、それで良質なサービスをさせるというその両面がないと、これはいわゆる二百何万円だかのをいじめても限界があると思うのです。
ただし、先ほど委員がおっしゃったとおり、〇〇商事なんていうのは企業年金で月50万もらっている人がいて、それでのうのうとやっている、そういうところは課税していいと思うのですけれどもね。だから、税の理屈からいえば確かにおかしな話なのだけれども、細かいところでいじめるというのはあまりよくないということが第1点です。
それから所得税ですが、結局日本は、私、学者ではないのでわからないのだけれども、包括所得税が労働所得税に変質して、それで源泉徴収で、とりやすいから給与所得控除というのをだんだん上げてきている。そのほうが会社が便利で徴収しやいという面もあったのでしょう。だから、控除を整理するならば、この際みんな課税申告してね。そのほうがサラリーマンが痛税感というのがわかって、いろいろな、アメリカで起こったガンジャピスではないけれども、「納税者の反乱」というのが起きてくるのではないかと。確定申告というのは、今日のテーマかどうかわからないけれども、やらせるということがやはり条件ではないかと思うのです。
〇委員
これも古くて新しい問題でありますので、いずれ話題にはなると思います。ぼつぼつ次のテーマに移りたいのですが、この際、所得税でという方、よろしゅうございますか。
いずれにいたしましても、総理が消費税にふたをしてしまったから、消極的に所得税見直しに取り組んでいるという気は僕はさらさらないのですよ。両方あっていいのですよ。消費税はいずれ上げる、あるいは直近で上げてくれるにしても、所得税はこのまま放置しておいていいというわけないですから、これはたまたま外因の要求でクローズアップされてますが、やはり所得税の姿を本来にしましょうというのは税調が高く掲げていい旗ではないかと思ってますので、もちろん消費税との関係もございますが、そこはそこで我々自信を持って歩むべきだと思います。
それでは、次の残ったテーマで、資産課税関係で、相続・贈与の最近の状況を踏まえて資料説明をいただきましょう。
では、事務局、お願いします。
〇事務局
それでは、基礎小27-2の資料でご説明させていただきます。
目次をめくっていただきまして、1ページ目でございます。相続税・贈与税につきましては、本税調でも、昨年、精力的なご審議をいただきまして、高齢化とも関連して、すでに15年度にかなり大きな改正をいただいております。そこで、やや復習から入りますけれども、その際の基本的な考え方というところで、1ページ目、昨年6月の「基本方針」、線を引いたところをご覧いただきたいと思います。
ここで触れられていただいておりますのは、相続課税を取り巻く環境として3つの大きな変化があるということでございます。1つ目が、経済のストック化の進展に伴って、今後、相続による資産移転の増加が見込まれるということ。それから2番目としましては、社会保障の充実により老後扶養における公的な負担の役割が高まっているという中で、相続時に残された個人資産については、その一部を社会へ還元する必要があるというような考え方もあるのではないかということ。それから3番目でございますが、高齢化の進展により、相続による財産取得が相続人のライフサイクルのより後半にシフトしていくという中で状況に変化があるのではないかと、こういう指摘でございます。
それを踏まえて、総論としては、従来より広い範囲に適切な税負担を求める必要があるというご提言をすでに昨年の6月にいただいているわけでございます。
そこで、昨年の改正でございますけれども、その下のところに、線を引いてございませんが、特に今の3番目の資産の移転時期のシフトの視点を踏まえまして、いわゆる相続税・贈与税の一体化という点についてのご提言がされたところでございます。
それからページ1枚めくっていただきますと、その次のページにかけまして、今申し上げました3つの視点すべて踏まえまして、負担の適正化の観点から、課税ベース、あるいは税率構造を見直すというようなご提言をいただいたところでございます。
3ページ目、4ページ目に進んでいただきますと、昨年11月の年度答申でございますけれども、この一体化の相続時精算課税としての具体化を中心といたしまして、同様のご提言をいただきまして、それを踏まえて15年度改正が実現したということでございます。
5ページにお進みいただきまして、5ページ目から7ページ目にかけまして、昨年、この答申を受けまして、15年度改正として実現した内容を簡単に掲げさせていただいております。すでにご案内のところでございますけれども、5ページ目が相続時精算課税制度として実現した内容、ご覧のとおりでございます。
これは先日法案が成立いたしまして、1月からの贈与に遡及をして適用ということになっております。具体的な届け出・申告は来年の2月以降ということになってまいりますけれども、法案成立前後、大変大きな反響がございまして、私どもの係にも毎日20件、30件問い合わせが来ているということでございまして、かなりご活用いただけるのではないかという手ごたえを感じているところでございます。
6ページ目は、同じく15年度改正の中身といたしまして、最高税率の50%への引下げ、あるいは税率構造の簡素化ということで、このような改正内容になってございます。
7ページ目でございますが、今の15年度改正全体を相続税・贈与税の税率・控除という形でまとめた資料でございます。従来との違いといたしましては、ご案内のところでございますが、真ん中に65歳以上の親から20歳以上の子に対して、選択制でいわゆる相続時精算課税というものを新しく創設いたしましたので、贈与税が2本になっておると、ご覧のようになっているということでございます。
他方、相続税の左下のところでございますけれども、基礎控除については改正がございませんでした。先ほど、課税ベースについても15年度答申の中ではご指摘いただいたわけでございますけれども、ここについては残された課題ということでございます。
それから8ページ目以下で、今後の相続税・贈与税のあり方についてということで、少し資料をつけさせていただいております。なお、高齢化との関係を考えますと、先日の委員のご発表にもございましたけれども、先ほど1ページ目でご覧いただきました復習になりますが、2番目の視点、いわゆる老後扶養の社会化との関係というのが1つ重要な視点ではないかと思います。
8ページ目、これも以前ご覧いただいている資料でございますが、有識者会議の報告というところで、ここにもそのような視点が触れられております。
9ページ目、高齢者関係給付費、これもご案内の数字でございますけれども、絶対額、社会保障給付に占める割合とも高齢者関係は増えている。これもご案内のところでございます。
それから、今回資料化は特にしてございませんけれども、いわゆる家庭内扶養から公的扶養への流れということについてはさまざまなデータがあると承知しております。こういうことを踏まえてどう考えるかということでございます。
それから10ページ以下、これは高齢者の資産の平均的なウェイトというものが増しているということをご覧いただく資料として若干、数枚資料をつけさせていただいております。
10ページ目が世帯主の年齢階級別1世帯当たりの資産残高でございます。ご覧のような数字になっております。
それから11ページ目から13ページ目にかけまして、平成13年度の国民生活白書におきまして、この辺、少しまとまった記述がございますので、それをご紹介させていただいております。ちょっとご覧いただきますと、ここの記述でございますが、貯蓄から負債を引きました金融資産残高、これが世帯主60代以上の高齢世帯で50代以下に比べて高くなっておって、相対的に多くの金融資産を保有していると。しかもこれが、10年前、5年前に比べて増加傾向にあるということでございます。後ほど、次のページでご覧いただきますと、そういう姿になっておると。
それからその次のパラグラフでございますけれども、高齢者では持家世帯が多く、大体、高齢夫婦世帯で88%。その持家世帯では、金融資産の少ない高齢者夫婦世帯におきましても、実物資産は3,000万円近く保有している。
結論といたしまして、高齢世帯は金融資産を多く保有しており、金融資産が少ない世帯でも実物資産はある程度保有していると見られると、こういう分析でございます。
12ページに同じくその資料をつけてございますが、これは少しおわかりいただきやすい資料かと思います。これをご覧いただきますと、右のほう、70以上、あるいは60~69歳のところは年を追ってネットの金融資産が増加してきている。他方、左のほう、30未満、あるいは30~39歳のところをご覧いただきますと、逆に若年世代のほうは、近年、ネットの金融資産が減少してきているという姿でございます。
13ページ、これは先ほどの記述のとおりでございますが、金融資産が少ない高齢者夫婦であっても、持家世帯、3,000万円近くの実物資産を大体保有しているということを示すデータでございます。
そこで、14ページ以下、相続税関係、課税ベース、各論にわたる資料ということでございますけれども、14ページ、15ページは最近における相続税の主な改正、ご案内のところでございます。バブル時の地価高騰などを受けまして、すでに3回改正が行われておりまして、基礎控除、かなり大きく引上げがなされてまいりました。今回、4回目の改正ということになるわけでございます。
中段から下のところでございますけれども、ずっと横に眺めていただきますと、基礎控除はこれだけ上がってきておって、今回は据え置きになっている。それから下2段のところでございますけれども、課税割合、それから下の負担割合は課税になっている方の平均負担割合でございますけれども、現在、この改正を経まして、平成12年では課税割合が5%、あるいは課税になっている方の平均負担割合も12.3%というところまで下がってきている。このあたりを、今後、基礎控除のあり方としてどう考えるかということが一つの問題かと思っております。
それから16ページ、これもすでに昨年の「基本方針」等でもご指摘いただいたところでありますが、高齢化との関係ということになってまいりますと、死亡保険金、あるいは死亡退職金、現在、500万×法定相続人数の非課税限度というのがございますが、これも経緯としては、働き手を失った遺族の生活保障との観点から設けられてきているところでございますけれども、公的な社会保障の充実、あるいは高齢化で相続人自体も年齢が上がってきているというような事情もある中でどう考えていくかということが問題意識としてあろうかと思います。
17ページ、18ページはすでにご案内の課税状況のデータ等でございますが、18ページ、特に相続税収の絶対額、あるいは国税収入に対する割合ということで、基礎データとしてつけさせていただきました。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
大きな改革をした後ですので、新しい問題の提起というよりは、ちょっと過去のおさらいをしていただいたということです。しかし、これから相続税・贈与税をめぐる資産課税、重要な問題ですので、今日、何か新しいご提案、あるいはご意見があれば伺っておきたいと思います。この資料についての質問でも結構です。
どうぞ。
〇委員
前に65歳以上の貯蓄が平均2,700万円と僕は記憶して、ここでたしか説明してもらったことがあったのですけれども、今回のこの10ページの資料との関係がよくわからないのだけれども。そのときは実物資産という話はなかったのですけれども、貯蓄が2,700万円というのはたしかここで聞いた記憶がありまして、前にもその資料をいただいたことがありましたけれども、どういうことなのでしょうかね。
〇事務局
昨年どういう資料をお示ししているかの、つぶさに、今手元にございませんけれども、10ページの資料をご覧いただきましても、大体金融資産が、60歳以上、あるいは70歳以上で2,000万円台。
前回ご説明した資料がございまして、これは貯蓄動向調査に基づきまして、世帯主が65歳以上の世帯の平均貯蓄額が2,739万円という資料を先日ご説明しております。今回、若干ベースが違いますのは、全国消費実態調査ということで、統計がちょっと違っておりますが、傾向といたしましては、ここでもご覧いただけますように、金融資産については2,000万台の数字、それから実物資産のほうは4,000万台、5,000万台の数字、こんな数字でございます。
〇委員
それはだから、どう違うの? よくわからない。貯蓄動向調査とこれとは。
〇委員
だから、データのソースが違うわけですね。
〇事務局
実は消費実態調査を今回選びましたのは、実物資産も含めた調査というのがこの消費実態調査でしかとれないということで、今回この数字をお示しさせていただいたところでございます。
〇委員
消費実態調査のほうがはるかにサンプルが大きいのですよ。毎年ではないですけどね。5年おきぐらいにやってくれるので。我々はどちらかというとこっちをとってますけれども、貯蓄動向調査は毎年やるから、えらくサンプルが少ないのですよね。ちょっとそのサンプルの差だと思います。あるいは、大きな流れはそれほど違ってないと思いますが。
〇委員
これは貯金が2,000万円以上あって、実物が5,000あって、7,000でしょう。これってどういうふうに説明するものなのですかね。日本の国って非常にわかりにくいのですけれどもね。
〇委員
つまり、お金持ちの年寄りがいるよというふうに見るのか、それとも、平均値だから、一部お金持ちがいると全部引き上げてしまう。貧しい人は働くよと言うのか、これはいろいろ難しいところでしょうね。委員なんかはどう?
〇委員
こんな平均値のある国なんてないでしょう、だって。
〇委員
ほかの国の年代別資産保有というのは出してもらったことありましたっけ。ないね、まだ。
〇委員
これはさっきの年金の控除の問題が絡んでくると思うのですけどね。こういう数字を見せられると相貌卑しいけれども、実際そうだと思うのですよ、僕は。
〇委員
何かあれば……。
〇事務局
若干整理して申しますと、今申し上げたように、データが違うということとデータベースのサンプル数ですね、この違いなんかもございます。いずれにしましても、この幾つかの資料、お互いに関連する部分もあればそうでない部分もありますので、ちょっと分析させていただきます。
今の5,000万、2,000万超、これはグロスの数字。すなわち、負債を、借金を引く前の数字であると。これは白抜きで負債が書いてございますので。
〇委員
負債、もっと少ないですよ。住宅ローンは払い終わっているでしょう。
〇事務局
はい。
〇委員
これはいろいろ我々も問題意識ございます。
どうぞ。
〇委員
議論をちょっと混乱させてしまうかもしれませんけれども、相続税、贈与税については、私、課税強化すべきだと思います。今後、会長もおっしゃっているように、現在はともかくとしても、いずれ消費税を上げていくといいますか、消費課税を増やしていくということを考えていけば、資産課税の増加を抜きにしては完結できないと思うからです。
かつ、もともと個人単位で、包括所得概念で考えれば、所得税で課税してしまっていいわけですよね。それを相続税という別扱いにしているということは、相続が家族内の資産移転で、家族というか、課税単位を非常に広くとってみると、経済力の増加が行われていないから多分別課税しているのだと思います。その点ですでに優遇されているということだと思うのですね。
そういった考え方に立たなくても、おそらく相続税、贈与税に関しては3つぐらい課税の根拠があって、1つは、巨大な富の集中を排除すること、もう一つは、1世代に1回課税をして精算していくという、1世帯に1回の課税ということですね。それからもう一つはウィンドホールといいますか、偶発的な利益に課税するという3つの考え方、根拠があるのではないかと思いますが、いずれを考えても、少し課税ベースで妥協し過ぎ。
今回、基礎控除の問題だけですけれども、法定相続分課税方式そのものも見直してもいい時期に来ているのではないか。これは高度成長期の真っ只中で、農民層が多かった時代に農地相続その他の問題が出てきた話ですよね。だから、そういう根本的な課税方式、つまり、事実上、相続税をエステイトタックス化しているものは見直しておいてもいいのではないかということです。
それから配偶者に対する異常なまでの妥協は、これは巨大な富の集中というような根拠からいえば全く根拠ないと思いますし、もしも仮にこれは1世代に1回の課税で導入されているのだということであると、これも1世代に1回の課税ということだと遺産税化してしまうわけですよね。いやしくも国税で設定して、人税として応能的に負担を求めるというのであれば、さまざまなところで行われている妥協的な控除、今例えば配偶者に対する妥協とかいうのは、今ちょっとここに載っかってませんけれども、検討してもいいのではないかと思います。
〇委員
その妥協の具体例を少し出してもらって議論ということはあり得ると思います。
どうぞ。
〇委員
先ほどの総理のお話ですけれども、ご自分では上げない上げないとおっしゃっているのは、これは1つはいいことではないか。と申しますのは、やはりまだ歳出サイドについていろいろな切れる余地があるかもしれない。それからまた税制についても見直す余地があるかもしれない。総理が上げないと言って、そうは言ったって、上げないともうもちませんよという機運が出てくれば、わりあい自然に引上げができる。それを計算しておられるのかなあという気がするわけでございまして、総理はとことんまで上げないと言ってもらっていても、それでいいのではないかと思うわけでございます。
しかし、税制としては、基幹税ですから、ほかの税と合わせて検討する必要がある。しかし、その基幹税の消費税以外のものを見ると、所得税は、さっきご説明いただきましたように、半分になっている。法人税も、平成初めごろに比べると6割ぐらいになっていると思うわけでございます。その中で消費税は、税率の引上げがあったこともありますけれども、今や10兆円を超えて、ほかの基幹税と並んできているわけですから、まずはやはり、そういった意味でも、所得税、それから法人税を今後どう考えるかというのは難しい問題ですけれども、考えなければいけないと思うわけでございます。
そういった中で、今後将来、消費税、当然拡充されていくべきだとすれば、今委員からお話しがありましたように、当然資産課税も強化していかないとむしろ論理が合わないのではないか。稼得段階で課税する所得税、これは適正なものにしていく。それとともに消費課税も、基幹税として考えるのであれば、その稼得した中から消費する分については5%の課税ができる。しかし、たまってしまったものは精算されない、消費課税が負担されないわけですから、そういった意味においては、資産課税、相続税の面でそれに配慮、対処するというのが一つの方向ではないかと思うわけでございます。
その相続税でも、先ほど拝見した数字ですと、やはり平成の2~3年に比べると半分以下になっていると。17ページですと、もう4割ぐらいになっているわけでございます。
それからもう一つ、10ページの表で、70歳の人で、先ほどからご議論があります金融資産2,000万、実物5,000万なら7,000万あるのだけれども、一方、基礎控除は5,000万プラス、相続人1人1,000万だとすると、これはほとんどかすかすな課税になるのかなと思いますけれども、課税件数割合は平均5%であると。そこのところがうまく結びつかないのでございまして、これだけの資産保有なら半分ぐらいの人が本当は納税者になるのかなというのですが、それが必ずしも数値になってこない。これは評価の問題があるのかもしれませんし、小規模宅地で8割軽減しているというそのあたりに問題があるのかもしれませんが、基本的には基礎控除の問題になる。
そういった意味では、5%が50%というのは問題だといたしましても、負担割合が、先ほどありましたのですと、相続税額の1人当たりは12%ぐらいになってますということですから、現在の消費税よりは倍以上になっているわけですけれども、そこらをすぐにあわせるということでなくてもいいと思いますけれども、基礎控除の問題、それからいろんな特別な控除の問題、これをひっくるめて、将来の消費課税の充実を視野に置いた資産課税の方向といったものを考えていっていいのではないかと思うわけでございます。
〇委員
何か逆の方向で強化しないほうがいいよというようなご議論も、税調から外に出ると強いのですよ。すごく強いのです。私に個人的にいろいろ言ってくる人いますけどね。僕は、伝統的に税調は資産課税強化、これはいいと思いますけどね。何かそれに対してご異論なり別な視点のご提案があればお聞きしておいたほうがいいかと思いますが、それはちょっと言いにくいかもしれない。
どうぞ。
〇委員
会長が希望している話かどうかよくわからないのですが、資産課税を本当に強化すべきかどうかというのは、私はさっき支出税と言いましたから、必ずしもよくわかりませんが、ただ、いずれにしても、相続税も含めて、捕捉の問題とかさまざまなことを考えると、納税環境といいますか、とりわけ納税者番号とか、そういうことをきちんと考えることが必要だと思います。そういう意味で、せっかく相続税の議論をされるのでしたら、答申にもそこを少し強くおっしゃっていただければと思います。
〇委員
おっしゃる意味は、フローの段階で必ずしも捕捉できない環境があるから、資産課税の段階でということもあるけれども、フローの段階でもしっかり課税のことを考えろと、こういうご趣旨ですね。
よろしゅうございますか。ぼつぼつ時間になってきて……
どうぞ。
〇委員
質問ですけれども、よく100人に5人と言われるのですが、都市部ではどのぐらいかというデータはあるのでしょうか。
〇委員
都市部は、東京都は12~13人払ってますよ。何かありますか。地方へ行くと、相続税払ってないところがいっぱいあるのではないですか。
〇委員
後でも結構です。
〇委員
いずれまたお出しいただけますか。地区別。何かすぐ出るならば。
〇事務局
じゃちょっと手元で調べておりますので、後ほど。
〇委員
この10ページの表の見方で、金融資産の、生命保険なんかが入っているわけですよね。貯蓄としてね。ですけれども、これは中身的にはかなり怪しいわけですよね。貯蓄と言えるかどうか。こういうものを除いて、あるいは投資信託でも投資信託の時価評価がなされているのかどうかもわからないし、ゴルフの会員権だってそうですよね。買った値段の5分の1ぐらいになっているわけでしょう。実際はね。そういうのをもうちょっと細かく調べる方法はないのですか。調べてあるのかもしれませんけれども。ちょっと調子がよ過ぎるような気がするのです。金融資産がね。
〇委員
これは消費実態調査の貯蓄の定義ですから、定義を我々流に変えるということは、これは項目が出てますからできますよ。できると思いますが、ただ、実物資産の定義は注の4に書いてあるような形で今やってますからね。ただ、いろいろバリエーションがいくことは可能かと思います。
どうぞ。
〇委員
関連して1つだけお聞きしたいのですが、この図ですけれども、ソースに全国消費実態調査の1989年から99年までの10年間分、つまり、バブルの当時のものも含めて作成していると。これはどういう意味なのかちょっとよくわからないのですが、それを教えていただけますでしょうか。
〇委員
これは3カ年分をどうされたの? 平均してしまったの? そんなことはないでしょう。あるいは10年間隔置いてやればいいのだよね。わかりますか、今。
〇事務局
ちょっと整理をいたしまして、またご説明したいと思います。
〇委員
今、委員が言ったとおり、これは3カ年分平均しては意味ないよ。
どうぞ。
〇委員
ついでに、どの層が一番多いというのは、全体の平均ではなくてというのが欲しいと思います。
〇委員
ばらつきですか。
〇委員
はい。
〇委員
そういうようなご意見も出ました。つまり、平均でやるといろいろバイアスが出てくるから。
〇事務局
すみません。恐縮でございますが、ミスプリがございまして、10ページの資料は、一番直近の1999年の数字でございました。3年の平均をとっているわけではございません。失礼いたしました。
それから先ほどの地域別の課税割合の内訳でございますけれども、手元でちょっと数字で、例えば東京国税局管内ですと7.4%、少し高くなっております。あるいは東京都ですと8.3%という数字になっております。他方、少ないところで申しますと、例えば熊本国税局のところで1.9%という数字がございます。手元にちょっと局単位の、国税局単位の数字を把握しておりますけれども、例えば熊本ですと1.9、熊本国税局の管内でございますが、東京国税局の管内ですと7.4%という数字が出ております。
〇委員
それから委員が出した、平均でなくて、ばらつきというか、最高値とか最低値、例えば70歳以上で資産を持っている、これはゼロの人が一番最低だと思うけれども、その辺のもう少しディテールな数字があれば、平均に惑わされないという議論ができるかもしれない。ちょっと考えてみてください。
〇事務局
ちょっと検討いたします。ただ、資料の制約がございますので、どこまでできるか。
〇委員
それと、8ページの下から5行目の9,260万円、これは平成6年を使っているのだよなあ。平成6年は94年か。99年のやつを使ったほうがいいよね。だから平成11年のやつを。
〇事務局
これは平成12年の報告でございまして、そのところでこれが直近の数字だったのだと思います。これは5年ごとに大きな調査をしていると聞いておりますので、そのときの直近の。下の部分はその附属でくっついてきておりますので、そこは数字としては、それ以外のところの数字が直近の数字ということでご理解いただければと思います。
〇委員
さあ、ぼつぼつ12時になりましておなかもすいてきました。終わりましょうか。
じゃ後の予定を簡単に申し上げますが、来週火曜日、午後2時から4時半まで総会を開いて、これまで基礎小でやりましたことをいろいろご報告して、総会ベースでまたご議論いただこうかと思ってます。それから、連休はさみますので、連休後、5月13日に基礎問題小委員会やりまして、このときには厚生労働省から社会保障の現状、課題等々についてご説明をいただこうかと思ってます。
それから5月16日、20日ぐらいに相次いでこの基礎小も開きたいと思ってますが、いずれにしましても、火、金という中で少し我々としては開催したいと思ってます。この連休、北米と北欧に海外視察に出る予定でございますので、それは帰り次第まとめて、またここでご報告して、我々としては何を学ぶかという点についてまたご議論を賜りたいと思います。
じゃどうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。