基礎問題小委員会(第30回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年5月20日(火)16:06~16:33
〇石会長
それでは、今、基礎問題小委員会終わりました。30回目になりますが、この報告と、その前に行いました社会保障審議会の委員5名、こっちも5名出しまして行った議論の整理を行いたいと思っています。
今日、社会保障審議会のほうは、貝塚会長以下、阿藤さん、翁さん、京極さん、渡辺俊介さんの5名、われわれは、上野代理と島田、竹内、田近と、年金なり社会保障に関心のある委員に集まってもらいまして意見を交換いたしました。1時間半以上やりましたかね、非常に有意義な意見交換会だと思いました。社会保障をどうしようかと。まして、この少子高齢化の中で、一体サステイナビリティ、持続可能な社会保障制度はどうしたらできるかという点につきまして共通の基盤があるものですから、そこにつきまして幾つか議論を展開しました。
2~3、興味のある切り口をご紹介しますが、やっぱり20世紀型の社会保障制度ではなかろうと。21世紀型というのがあるんじゃないかと。これはどういうことかといいますと、もう世の中は随分変わったわけですよね。就業構造も変わりましたし、家族の形態も変わりま
したし、それから、家庭における亭主と女房の力関係じゃないな、(笑)まあ、変わっているところもあるでしょう。いろいろ変わっている中でですね、年金にしても税制にしても変わらざるを得ないだろうと。そして、根っこにあるのは要するに高齢者も、あるいは若年者もみんな世代間の平準化も含めて公平さを保ちながら負担するしかないじゃないかと。まあ、言うなれば負担がどれぐらいできるかによって、このサステイナビリティという、特に年金をメインに置いた社会保障制度が維持されるだろうと、こういう発想ですよね。
それから、やはり年金であえて言うならば、1階、2階、3階の役割分担というのがあるだろうと。この間私、カナダについてご説明しましたように、あそこはまことに明確に決まっているわけですよね。ところが、日本は何か基礎年金の3分の1、2分の1問題もあるように、保険の割合がどう、税の割合がどうあたりで、必ずしもその辺の基本的制度もしっかりしていない。それに加えて、3階建ての例の税制適格私的年金みたいなところを、今後私は深めていかなければいけないと思いつつも、まだその辺の基本設計ができていない。それは、ある意味で1階建て、2階建てがしっかりしていないからだと思いまして、この辺はしっかり役割分担が必要であるという認識を持ちました。
それから、賦課方式でやっている場合に、年金期待権というのをどのぐらい保障するかという問題についても議論がありまして、「権利化」というのはちょっと難しいのではないかと。つまり、賦課方式というのは、ある意味で人口構成とか景気とか、あるいは経済成長等々が全部絡んでの将来設計と絡んでくるわけですから、それはまだある意味で不確定事項が多すぎるわけでね、それをもって固定化した権限なり期待権というのはどこまで対応できるかという点についての問題提起もございました。
そういうわけで、どういう形で今後年金等々をやっていくかにつきまして、やはり大きな哲学的にフレームワークが必要だということだと思います。基本にあったのはそういうこと。それから、高齢者に過度にある意味で給付がシフトして、ワーキングクラスに負担のほうが
いっている点もどう直すか。それからもう一つは、やっぱり少子高齢化とはいいつつ、高齢化のほうに関心が移っておると。対少子化という点について何か政府としてできないかという形の議論がございました。
それで、例の基礎年金の2分の1、3分の1問題についても、当然お互いの状況を説明いたしました。しかし、この法律の…これ法律なんですね、国庫負担金を2分の1にすると。国庫負担の割合を2分の1にすると書いた率のその前提として、要するに給付水準、拠出水準を幅広く検討するとか安定財源を得てなんていうただし書きがあって、これをめぐって幾つかの解釈がございます。そういう意味で、当然のこと、今日はこれについて今の段階で、いつどうしようかという議論はできませんでした。意見も分かれおります。ただし、この社保審は、社会保障制度全般を見直すということを今やっておりまして、6月の末には中間報告を出したいと言っておりました。われわれも中期答申という形で、少子高齢化を念頭に税制というものについての整理をしているわけであります。ともに、われわれは税制で、課税ベースを広くする中で、いうなれば所得控除を見直すと。これについては、社保審の委員も十分理解を示しておりますし、それから、将来の制度設計、社会保障制度全般につきまして、われわれもそれなりに年金制度等々につきまして意見を持っておりますので、それを突き合わせたところ、そんな大きな食い違いはないということであります。
あえてもう一つ付け加えるならば、高齢者の定義自体がこれからどうなるか。特に、医療に関しては75歳以上が後期高齢者でありまして、本当の高齢社会というのは、高齢者の定義を変えて、その辺からスタートしなきゃいけないかという問題意識があったわけであります。いずれにしましても、今日、極めて有意義な意見交換ができたので、次回の意見交換会等は会長2人に任されまして、皆さん、非常に意義を認めておりますので、いずれ内容が固まり、それなりの成果が期待できた時には開催したいと考えています。
それから、今日の本論であります。今日で基礎問題小委員会は一応終わりにいたしまして、そこで主な論点を整理してというのが、今日1枚紙で、中身がついていませんが…。というのも、この中身が基本的な考え方、少子高齢化云々の中に幾つか項目がついておりますが、それはまだ文章になっておりませんで、書き込もうという文章のタイトルみたいなもんであります。が、一応会議終了後返却という形で全部回収いたしましたので、まだ皆さんにお示しするだけの議論が決着状態になっておりません。いずれにいたしましても27日かな、総会が開かれまして、そこで今日の議論も報告し、今日使われましたような資料も公開いたしたいと考えておりますので、その段階では明らかになると思います。
そこで、今日はですね、この主な論点の6つの項目につきまして、どういうことを考え、どういう議論があったかということを口頭で粗々のご議論を紹介いたしたいと思っています。基本的な考え方は、われわれが昨年の6月にやりました基本方針ですね、あるべき税制の構築に向けた基本方針と、それから、昨年の11月ぐらいにやりました年度改正に向けての議論、それを踏まえてのこの4月からの平成15年度の税制改正、これの絡みにおいて中期答申をどうしようかという基本的なスタンスの整理をしたいと考えております。言うなれば、今度は、昨年6月のあるべき税制論に乗っけて、少子高齢化という切り口を特に浮き立たせて、各租税項目についての重要な論点を書き込みたいと、このようなスタンスでおります。その中で、恐らく今後この財政状況、あるいは少子高齢化というのは自動的にいろいろな形の社会保障給付が増える仕掛けになっていますから、その中の国民負担増は避けられないという認識のもとに10年、15年先の税制改革を考えたいと、このように考えています。
さて、そこで少子高齢化と税制でありますが、税の項目としては、ここに書いてございますように個人所得課税、それから消費税、それから法人課税、それから相続・贈与と、4つの税を特に取り上げる予定であります。その各々につきましては、毎回基礎問題小委員会の議論を紹介しておりますので、あえてここで申し上げることもないと思いますが、基本的な言葉で1つ、2つ紹介いたしますと…あっ、その前にこの4つの税を総括という意味の総論を付けたいと思っています。これは、先ほど申し上げたように、世代間で広く負担を分かち合おうというような話とか、それから、将来にわたって安心の確保という意味で、年金制度とか医療制度を中心として社会保障制度を完備したいと、こういうことですね。
少子高齢化と一口に言っても、具体的イメージとして、非常に沈滞したといいますか、元気がないようなイメージを与えがちでありますが、やはり活力あるようなそういう少子高齢化というものを作りたいと思っています。具体的には、ワーキンググループの若い世代に負
担が重くなるというのではなくて、やはり今、元気で、経済的にも恵まれた高齢者がいるわけですから、こういう人が支え合うといったような、そういう意味から活力あるという、そういうものを引き出したいと考えております。
それに当たっても、現行の所得税の体系というのは非常に歪みが大き過ぎる。そして、個人の活動の選択を阻害しているといったようなこともあります。そういう意味で、課税ベースを拡大する中で過去の様々な個人所得税に込められた社会保障的な役割を是正しつつ、そこは直していきたい。本当に必要なのは、やはり私どもは歳出でやるしかないんではないかと、このような考えを持っております。さはさりながら、個人所得税というのは、所得再分配機能を持っているんですよね。この機能をどこまで重視するか。と同時に税の空洞化等々があって、税源調整機能も衰えていますので、それとの絡みで今後どうするかという議論ができてくると思います。
それから、やはり年金課税の取り扱い方が、恐らくこの個人所得課税では一番重要になってくると思いますが、言うなれば、拠出、給付、両段階で実質的に非課税になっている税制をぜひ直したいと思っていますし、それから、高齢者でかなり所得格差がついております。この高齢者の中での低所得者とそれから高所得者、これをどういうふうに考えるか難しいところですが、高齢者の方についてはそれなりの負担をということもあり得るかもしれない。その一環として公的年金等控除の見直しもあるでしょう。その見直しの中で、低所得者の人の標準モデルでもらっているようなところまで食い込むかどうか難しいと思います。が、まだその下げ幅によってはうまくできるような余地もあろうと思いますので、その辺を考えてみたいと思います。それから、所得課税の世界でやっぱり個人住民税の均等割、所得割というのはもう一段上げてもいいんじゃないかという議論も当然あるわけでありまして、この辺の配慮もしたい。
それから、消費税については、先般来お伝えしていますように、一応この4月以降の平成15年度税制改正で、消費者のほうの不満を解消すべく 3,000万円を1,000万円にするといったような免税点の適用上限の引き下げ、あるいは簡易課税制度を5,000万円にするといったような見直し、あるいは総額表示にしたとか、それなりに制度の見直しをして透明感を増したと思っています。問題は、今日も議論が大分出ましたけれども、今後、基幹税としての消費税をどれだけ国民の方の理解を得るべく努力をしますけれども、これを育て上げていくかと。役割を一層高めていくかということについて、一つの具体的なスタンスを出したいと考えています。その段階で、昨年の対話集会でいろいろ議論がありました消費税に対するアレルギーですね、若い世代はアレルギーが大分なくなりつつあるんじゃないかということも書いてもいいんじゃないかという議論もございました。そういう意味で、この辺をどういうふうにこれから書き込むかということ。それから、福祉目的化、目的税にしろという特会まで入れての話は今のわれわれの守備範囲ではございませんが、目的化と書くか一般財源化と書くかはこれから詰めていく中で議論したいと考えています。ただ、少子高齢化という流れの中で、かつもう既に福祉目的化と言っておりますので、そこを直すのはちょっと難しいかなとは思いつつも、もう一段議論を深めたいと考えています。それから、当然のこと、将来の見込みとして2けたになればインボイス、あるいは複数税率ということは避けて通れないだろうということは考えております。
法人税につきましては、これは直接に少子高齢化とひっかけて議論するのは難しいんですが、活力あるという意味において、少子高齢社会の企業活動とどう関連付けるかということにおいては重要な論点ですよね。われわれとしては、一応設備投資、あるいは研究開発投資、この4月から減税いたしました。それを受けて今後法人税率引き下げということが早晩議論になるかと思いますが、これは各国の比較を見なきゃいけないということと、それから、国際競争力の確保というのは極めて大きな論点でありますので、基幹税としての役割は次第に落ちていく。もう既にないのかもしれませんが、そういう論点は一応明確にしたほうがいいんじゃないかという議論も多かったように思います。
それから、NPO法人、言うなれば公益法人の問題とか不良債権処理の税制問題とかというのをどう書き込むかでありますが、中長期の視点から言いますと、不良債権の問題がいつまでも、10年、15年続いても困るので、この辺の問題は法人税で書くかその他という項目で書くか、この辺はこれから少し仕分けをしようと思っています。
それから、相続・贈与につきましては、生前贈与、これは相続税、贈与税を一体化して、既に1月に遡って行っておりまして、これはこれなりにわれわれの答申の成果だと思っていますが、ただ残っているのは、課税ベースの拡大という点が残っているんですね。税率の引き下げはもうしました。そこで、課税ベースの拡大ということは、結局基礎控除の引下げということなんですが、老後の扶養というのがかなり社会保障の充実によって制度化され、社会化されていますから、この社会全体で老後を面倒見るという形で生まれた資産ですね。これはまあ、相続時にある程度社会に還元してもらってもいいんじゃないかという視点、これを出したいと思います。そういう意味では、相続税の対象者を少し拡げたいと思っておりますので、これは基礎控除の見直し等々ができればと思っていますが、その辺の視点は強調したいと、そういう狙いですね。
それから、国と地方のほうは、やはり三位一体論等の具体的な議論があって、ただ、ご存じのように三位一体の中身が、どれを最初に出すかということでモメております。現に、地方分権改革推進会議をはじめ様々なところが今、論点を絞り込んで議論しておりますが、何か議論が非常に拡散ぎみだし、政治的にも非常に難しい状況。その中でわれわれがどこまでできるかということについては、今は静観するほうがいいんじゃないかというような話もこれありですね。ただ、前回の答申ではたしか国庫補助支出負担金や地方交付税の見直しが一つスタートではないかという書き方をしていると思います。ただ、増税がなければ税源移譲できないというところまでの議論ではない、三位一体論の大きな仕組みの中でこの議論は展開したいと考えています。
それから、課税自主権でございますが、これはまさにある意味ではわれわれ一番進めたいところでありまして、地方は自己責任を持って、自主・自立で地方自治のためにいろいろな汗をかくのが課税自主権でありますから、まあ現行制度でもかなりのことができるだろうと。さらに、これが活用しやすくなるような、そういうことをやりたいと思っていますので、これももうちょっと書き込みたいと思っています。
それから、金融・証券の問題は、この金曜日に金融小委員会をやりますので、その議論で整理をしてもらってから、この土壌に乗っけたいと考えています。
環境問題への対応は、既にこの間ご説明いたしましたように、やはり外界の状況、京都議定書が発効するか、ロシアがどうするかという議論もあって、どこまでわれわれが先導的な役割を果たせるか分かりませんが、ただ、この問題は今後消えてなくなるといったような、そんな瑣末な、マイナーなものではありませんので、やはりしっかりした対応の仕方が必要だろうということで、これは十分に議論し、項目を立てて書く予定でありますが、税調としてやっぱり一つの関心事は、環境税的なものというのは、税制本来の機能から言うとやや異質なんですね、この間も何度も説明しましたように。税は本来は財源調達機能ですが、環境税的発想というのは、汚染がなくなればなくなるほど、あるいは地球温暖化が是正されればされるほど税収が減るというような税の仕組みでありますから、これは一体税の本来の役割とするとどう位置付けるかなどというそもそも論から事は起こしたいと思っています。したがって、あとは特定財源とするか目的財源とするかとか、既存のエネルギー諸税との関連でどうするか。まだまだ議論は尽きないのでありますが、その辺も一応整理をしたいと思っています。ただ、既存のエネルギー課税との関係、これはある意味で国と地方の三位一体論と同じように政治問題化しておりますので、われわれとして、その中にどの程度首を突っ込めるかということについては、今回の中期答申ではそれほど大きなことはできないというふうに個人的には考えています。
「その他」がありますが、ここでさっき申し上げた不良債権と税制みたいなことを書くべきなのかなという感じを持っております。つまり、中長期的な視点で10年、15年先を見据えたのがメインでありますが、さはさりながら、直近の問題でとりあえず税調はどう考えているかということで議論が無視できないパーツもありますから、そういうところではこのその他を活用するのが手かなと思っています。
さて、後の予定でありますが、金融小をこの金曜日にやって、総会を27日にやり、一応総会でこれまでの議論を全部整理したいと思っています。そこで起草会合を立ち上げるという形で、やはり基礎問題小委員会の人をメンバーに入れるということです。起草会合と基礎問題小委員会、このメンバーは同じというふうに考えておりまして、一応6月に入りましてから2回ほど起草会合をやりまして、総会にまた移して議論をしつつ、まとまった段階でというか、いつ公表するかはまだ決めておりませんが、6月の中旬以降公表したいと、こういう段取りでおります。というわけで、今日は資料を全部返却してもらいましたのでお手元に渡すのはこの1枚紙でありますが、大体内容はご理解いただけたと思っています。以上です。
〇記者
今日の社会保障審議会との意見交換で、控除の見直しなんかには理解を得たというご説明がありましたけれども、社会保障審議会からの、こういう点をやってほしいという注文とか、あるいは批判的な意見みたいなものは出たんでしょうか。
〇石会長
そうですね、つまり社会保障制度審議会から見て、税調がやっていることはちょっと問題ありといった指摘はありませんでした。お互いに、われわれも向こうの給付、あるいは制度自体の見直しですね、そういうのを含めていろいろ意見をただしたりなんかしましたけど、特に注文を付けたわけじゃなくて、向こうから特に注文がついたわけでもなくて、そういう意味ではお互いのやっていることに理解を深め合ったというのが今日の一つの収穫ではなかったかと思います。
〇記者
具体論で、遺族年金への課税、これについては何か意見はありましたか。
〇石会長
遺族年金に関する資料をお配りしておりますので、これは今日、事務局からご説明いただきました。ただ、これは資料は資料としてお出しいただいて、最後のほうに幾つかイメージ図が書いてございますが、これについては、まだ今の段階では遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに非課税でございますが、これについて先ほど申し上げた老齢年金の課税問題とも絡めて議論しなきゃいけないと思っています。ただ、これを今日取り上げて云々の議論はしていません。この資料の説明を受けただけです。
〇記者
社保審との意見交換会ですけれど、年金控除の見直しで理解を示されたということは、具体的にどういう言いぶりだったんでしょうか。全面的な賛意なのか、まあいたし方ないと、向こうが、貝塚さん以下の…。
〇石会長
要するに、向こうとわれわれの共通の意識は、世代間の負担も受益も平準化する方向…、世代が違って、年齢によってすべからく受益・負担の関係が今みたいにゆがんでいるのはよろしくないという意味で、やっぱり高齢者もそれなりの負担があっていいではないかという形で、その負担の一つが年金、遺族等控除見直しということはありますよね。全般まではとてもいかないと思いますけど、見直しがある。それから、まだ議論しておりませんが、いわゆる現行の年金給付、これを高齢者、特に高齢の高所得者について少し見直してもいいんじゃないかという議論も多分あるでしょう。そういうものの一環として税のほうでやることについては大いに認め得るロジックであると、あるいは政策、戦略であるということで一致したという意味で、ある意味では全面的に支持を得たと思っています。
〇記者
税調側から特に社保審の方に要望とか注意というのは。
〇石会長
社保審は、ご存じのように非常にアンブレラ方式で、本体があって、その下に何か小委員会が7つか8つぶら下がっているんですよね。介護だ、年金だ、医療だ等々。その中で一体何をまとめようとしているのかということがまだもうひとつ分からないんですが、少子高齢化というものを前提にした時の社会保障全体の青写真を描きたいと、こう言っていますので、もうちょっと向こうの議論が煮詰まった段階で、議論はできるかなと思っています。
それから、やっぱり基礎年金あたりの議論というのは、まあ、双方の解釈の違いとか、それについて議論があったんですが、そこについては合意に達しなかったことがありますが、それについていずれ時期が来れば何か議論が出てくるのかなと思っています。
〇記者
解釈の違いというのは?
〇石会長
解釈の違いというのは、結局これ法律になっているんですね。それで、その国庫負担を2分の1にするという結論部分だけ読むか、それとも安定財源を確保してとか、給付、拠出のバランスを考えとかという前提条件があるわけですね。そこでまさに解釈が分かれるわけでありまして、やにわに2分の1負担への引き上げありきと考えるか、それとも、それについて何も具体的な手段もない、戦略もなくてできるかねという議論もあったりして、これは総体的にこれから議論していかなきゃできないんではないでしょうかね。
〇記者
今の部分は、税調と社会保障審議会で意見が分かれたということですか。
〇石会長
まあ、個人で意見が分かれているだけでしょうね。それは皆さん、10人集まれば、10人意見が分かれるんじゃないですか、この辺は。だから、どっち側がどうでどっちがこうだというよりは、個々の…5人、5人出ましたけどね、その個人のほうで議論が分かれているとい
うべきではないでしょうか。
〇記者
中期答申の公表時期6月中旬以降と、これは総理への答申時期ということでよろしいですか。
〇石会長
公表したら、その足で通常は総理に持っていっています。だから、ある意味では今度は総理の日程とも絡むんだな。総理の日程が固まって、その1時間前とか1時間半前に総会でご承認をいただいたということですから、総理の日程が非常に重要な要素になってくる可能性はあります。
(以上)