基礎問題小委員会(第29回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年5月16日(金)16:24~16:55
〇石会長
今日は、随分時間が超過しました。それだけ話題というか検討すべき課題が多かったということでございますが。29回目になりますが、基礎問題小委員会、終わりましたので、内容をご報告したいと思います。
来週、次回から論点整理に入りたいと思いますので、今日はこれまでやりました主要な税、個人所得課税、消費税、法人課税…法人課税の中には不良債権問題も含めておりますが、それを中核に据えまして、その前に、前回積み残しました環境問題の対応について、言うなれば環境税云々の話ですが、その議論を前段におきまして、4つほど大きなテーマで。かつまた、資料請求や何かあったもの含めて議論いたしましたので、遅くなりました。主要な点だけご説明をいたします。
お手元に「環境問題への対応」という形で、これまで様々な中環審を含めてやっておりますことにつきましての整理がございますが、われわれとしても、この問題は中期答申でしっかり書き込まなけりゃいけない。どのようなスタンスかということなんですが、実はあまりにも外界の不確定事項が多過ぎるとわれわれは判断しております。例えば、京都議定書の発効というのも、ロシアが参加するか参加しないかでガラっと変わります。それから、例のマイナス6%削減の条件が、これは恐らく、当時はそれなりに乗り気で、政府的にのったと思いますが、ご存じのようにアメリカがもう腰が引けているというか、参加しないと言っています。それでは環境政策の失敗という、そういうとらえ方をされ得る中で、われわれがどれだけのことをできるかということにつきましては、慎重に対応すべきだという意見が大勢を占めました。ただし、この問題はですね、いずれ地球温暖化という問題は当然消えてなくならない問題でありますから、そういう意味で、少し先を見つつ、広い範囲で議論すべきだろうと。例えば、経済的手法というような中で、排出権売買の問題も当然入ってまいります。そういう、単に環境税というもののみではなくてですね、他の手段も組み合わせつつ今後どうしたらいいか。仮に排出権を使うならば、それは端的に言えばロシアあたりから排出権の権利を買ってくるわけですから、金がかかるわけですね。そういう意味で、その財源をどうするかという問題は多分残るでしょう。それから、仮に環境税を入れた場合の使途というものをどうするかというわけで、地方の環境税も含めて、かなりある方向についてやらなきゃいかんということが出てきたものですから、それにつきまして、中期答申ではかなり書き込みたいとは考えております。
それから、個人所得課税、これは今日一番新しい資料として皆さんに関心を呼んでいただけると思いますが、「少子高齢化と税制」という形でやっている時に、やはり高齢者の資産状況、あるいは年金がどれだけ生活を支えているかという状況、これを年齢階層別等々で見ていかなきゃいかんという問題意識から、高齢者の実態調査という意味でかなり資料を用意してもらいました。幾つか分かったことは、前からある程度は見当はついておりますが、高齢者の中の所得格差というのは非常に大きいんですね。かつ、65歳以上の高齢者の所得でも資産でも、やはりバラツキが大きいと同時に低所得階層にかなり大きなかたまりがある。そして、高齢者のほうに行きますから、恐らく若年層よりは、私は平均値は高くてもバラツキは大きいと見ております。そういう意味で、今後、所得控除の見直しとか等々をやる時、あるいは高齢者に対して従来通りのような保険の給付でいいかどうか、これはこれから大きな問題であろうと思っています。
そういう意味で、われわれの問題意識は、課税ベースの拡大、所得控除の見直しという中で、今、年金所得というものに対峙をしておりますから、ある部分だけとらえられますとすぐ年金課税強化、強化になりますが、実は、もっともっときめの細かいことを考えております。それは、やはり高齢者いじめというだけの1点になってはいけないんでありまして、そういう意味で、例えば、どこの範囲まで公的年金等控除を削減していいか等々というのは、例えば12ページあたりに年額ベースで見た保険年金額と課税最低限というのがございますが、これを見ますと、消費支出の額が大体289万円ぐらい、高齢者の方は使っているという、そういう消費状況の中で、大体200万円を超える本人の基礎年金と報酬比例分、プラス奥さんのほうの基礎年金分を合わせますと、大体基礎的な消費のところまで年金でカバーされておる。かつ、課税最低限は夫のほうと妻のほうと両方あるわけでありますから、このままであれば、十分に基礎消費分を担うだけの年金給付をタックスネットに入れてないわけですよね。そういう意味で、ここの中の幾つかある公的年金等控除の一番大きなかたまりでありますが、そういうものを少し低所得者層、あるいは高齢者が一番頼りにしています年金にダメージを与えないような格好で何とかならないかということはあり得ると思っています。
それから、所得控除ではなくて、税額控除のほうがいいのではないかと。ご存じのように、税額控除は高・中・低の所得水準に関係なく、あるかたまりで控除できますので、そういう意味では低所得者層により良くなるだろうと、高額所得者よりですね。そういう配慮もあるし、それから、前回カナダの事例でお話ししましたように、ある所得水準を超えるとクローバックシステムというのがあって、年金給付が削減されます。日本でも在職老齢年金がありますよね。たしか37万円超がバッサリなくなるんでしょうか、ああいうような、他の所得もあって豊かな人、豊かな高齢者、これに従来通りの公的年金を払うべきかどうかというのも議論の分かれ目であろうと考えております。言うなれば、退職後の生活状況をどうするかという観点から、様々な入り組んだ年金、プラス年金以外の所得を合わせた形で老後の生活がそうダメージがないような形で税制として見直すべきだという点で意見が一致しているわけです。
そういう意味では、課税の原則というのはやっぱりあります。あくまで年金というのは給与所得の先送りした部分でありますから、タックスフリーというわけにいかない。そういう意味で、諸外国の例を見ても明らかなごとく、入り口の拠出段階では控除、出てきたところで、給付の段階で課税するといったあたりが課税の原則ではないかという判断をわれわれはしております。したがって、高齢で低所得者の人達をどういうふうな形で擁護するかという問題が大きな問題だろうと思います。それから、カナダで、アメリカで例の税制を使って私的年金をどうするかという問題ですね。日本で言うと、企業型と個人型がありますが、そういうものも、今日それほど議論がこの点に時間の関係で集中しませんでしたが、私の個人的問題意識としては、その3階建てのあたりで、税制を活用した形の私的年金の拡充が恐らく公的年金の不足分を補う、有力な方向になるんじゃないかと考えております。これが年金関係の話です。
それから、次が消費税。これはご存じのように、今年の4月から消費税の構造的な改革が行われます。免税点制度の適用上限の3,000万円が 1,000万円になる。あるいは、簡易課税制度が5,000万円になるとか、あるいは表示方法が変わるとか、そういう形で消費者の信頼を回復するという視点から、私は消費税の改革は一番先端を切っているのではないかと、このように考えています。これは、昨年の6月に出しました基本方針の中に書いてあった話ですが、それを乗り越えて、今年6月に出すという中期答申に何を書き込むかということも大分議論はいたしました。恐らくポイントは2つあるんだと思いますが、1つは、福祉目的化、あるいは福祉目的税といったような福祉とのリンケージの書き方としてどうするかと。これは全く切り離して、一般財源だという声がないことはないんですが、今日のご議論では、今でも福祉目的化ということをやって、予算総則で書き込んでいるわけですね。これは資料を見ていただくと分かりますが、わずかではありますが、ドイツでも年金に入れると、そういう項目が財政調整法で入っております。そういう形の、納税者の方に対して、これは主としてどこに使うかという、そういう視点から特別会計にまで入れた本格的な目的税ではなくても、それなりの説明が必要であるということについては意見が一致しました。つまり、今ある揮発油税等々、道路特会のようなはっきりした特会を介したようなリンケージではなくて、もっと別の、異なるレベルの議論ができるんじゃないかということであります。
そういう意味で、もう一つの問題は税率のほうでありますが、小泉首相が在任中は上げないと言明をしております。そこについて、これから皆さんで知恵を絞ってどう書き込むかということなんですが、これはまだ今日は結論は出ておりませんが、中期答申は3年、ただ、われわれの射程距離は、あるべき税制の姿としては10年、15年先を見ておりますので、その辺の絡みで税率の書き方として何か、あるべき税制とのリンケージで書けるかなとは思っておりますが…。はっきり言って、年初来の経済界とか何かの方々のご意見もあったし、それから、若い方々の消費税に対するアレルギーといった問題が非常にないというようなことも踏まえ、この議論というのは、ある意味で今後の少子高齢化社会の中でどうしても必要な財源であるという認識を持っておりますので、その辺をどういうふうに書き込むかということは、これから知恵を絞りたいと思っています。
それから、法人税につきましては一通りおさらいをし、そして議論としては、法人税率引き下げという声も外であるけれども、ただ、本当に税率を引き下げて経済活性化につながるかねという疑問、あるいは、その際財源をどうするのかねと、その辺がなくて議論するのは非常に無責任じゃないかという議論がかたやございました。そういう意味で、法人税につきましても、研究開発投資の減税を4月以降の新しい年度で税制改正やっているわけですから、これも、この点につきましては、どっちかをとるかという議論の中で片方をとったわけですから、もう一つのほうの法人税率引き下げをすぐやるという議論にはなかなかなりにくいという議論であります。
それから、不良債権はですね、例の金融庁から要望が出てきました3点セットがございます。それについて再度復習もし、少しバックグラウンドのデータを整理いたしましたが、大体今日出てきた意見は、15年間の繰り戻し、これは論外であろうということですが、無税償却の範囲、特に破たん懸念先等々の範囲をどうするかというような議論、これは実施の段階で幾つか考え得る範囲ではないか。それから、5年の繰越し期間、これを10年にしようという声もありますが、5年でいいという人もいますし、あるいは帳簿の保存期間を含めて7年ぐらいまでできるんじゃないかと。さはさりながら、何のためにやるかというそもそもの性格付けの議論も必要ではないかという議論がございまして、これは、書き方としては、やっぱり様々な金融庁の動き、あるいは業界の動き等々も踏まえましてありますので、われわれとしては、この点につきましては税だけでできる問題ではない。不良債権の問題ですね…ということもありますので、そこは慎重に書いてみたいとは考えております。
そういうわけで、今日、一通り主要な税につきましては、大体の方向を再度ですね、新しい資料もございましたけど、前の資料も含めつつ総整理いたしましたので、次回以降、主要な項目に従って意見を整理したものを用意しまして、そこで具体的に論点を絞りつつ、今後のほうの話に持っていきたいと考えております。
次回以降の予定でありますが、この20日に、来週の火曜日に2時から4時まで基礎問題小委員会をやりまして、今言ったような論点の整理を始め、起草会合につなげたいと思っております。それから、27日には総会をやりたいと考えておりまして、そこでこれまでの意見を集約しつつ、海外調査の報告等を議論の中に入れて、総会でまた議論を喚起しながら、ある方向に議論を持っていきたいと考えています。来週の火曜日の基礎問題小委員会の前に、社会保障審議会の委員の方有志とわれわれの有志が集まりまして、お互いの審議状況を具体的に議論したい。社保審はこの会合の前に向こうで、例の税制との関係も議論してくるようでありますので、それをベースにして幾つか議論ができようかと思っています。
それから、23日に財政制度等審議会が社会保障の審議をすると言っておりまして、私も税調の状況を説明してくれと、呼ばれております。呼ばれる前に、私も財政審の委員でございますので参加する義務もありますし、特にこの社会保障の問題を歳出面でやるか、それとも税制面でやるか、これは大きな問題なんですね。制度改正ということになるとどうしても給付の見直しという方向、給付カットというふうに話は、財政面に行きますよね。われわれは、課税ベースを拡大と言っているわけで、所得控除の見直しを言っていますが、当然、課税のほうは厳しくなります。これを同時にやった時にどうなのかという議論も当然ございます。最終的には、両方向でやらなきゃいけないんでしょうけれども、それを時期的にどうするかという問題。ただ、あらかじめもう妥協というか、調整を考えてどっちをどうしようかという議論は本末転倒でありますので、とりあえずある時期までは各々のパート、パートで給付の見直しの議論、あるいは課税の見直しの議論があっていいと思います。そういう意味で、両方固めつつ、かつ両方の状況を詰めつつですね、この議論を少し詰めていきたいと考えております。
ちょっと長くなりましたが、話題が多かったので説明も長くなりました。以上です。
〇記者
まず高齢者の関係ですけれども、いろいろ議論が出ていますが、1つ、遺族年金ですね、この辺にも課税をしていくのか。要するに、強化ではなくて課税という意味でしていくのかという議論、この前から出ておりますけれども、それについては今日は何か出ていますか。
〇石会長
今日は、それについて資料請求がございまして、今日の個人所得課税を見ていただくと、高齢者一般の形で年金の支払い等々も書いてありますから、遺族になった方々の現状把握の何か実態調査をするような資料はないかということがあって、それを少しベースにして、再度議論をしなきゃいけないと。つまり、十把一絡げで、高齢者だから年金課税強化であるとか、在職老齢年金をどうしようかとか、遺族年金をどうしようかという、一挙にいっちゃうことについて、やはり細部の検討は不可欠だという問題意識になっておりますので、それを踏まえて議論をしたいと思っていますが、横並びで、この間たしかその検討もしているということになると、もう既定の事実は課税強化になっていますから、もうちょっとそれは慎重に、中身を洗って議論したいと思っています。いろいろケース・バイ・ケースの議論ができると思っていますから。
〇記者
消費税の関係ですが、6月の公表の時には、先ほど出ていた税率の問題ですけれども、ある程度具体的な数字を出したいというふうなお考えととってよろしいんでしょうか。
〇石会長
具体的というのは、例えば、今5%だから、それが何%なのかという意味ですね、ちょっと私はね、小泉さんの…いわゆる諮問をしている側のお考えもあるだろうし、前回は、2桁になったら軽減税率も必要だというような書き方でね、何となくそのニュアンスを出したつもりですが、いずれにいたしましても、下げるという議論ではありませんから、上げ幅の問題と時期の問題ですよね。それを中期答申のカバーする3年間、あるいはあるべき税の姿から言えば、もうちょっと前広な書き方はできると思いますが、何か前の6月の段階ではもう少し踏み込んだ形のものができないかなとは考えています。
それから、ご存じのように、免税点が3,000万円から 1,000万円に免税点が落ちた結果、従来課税をしていない方もかなり入り込んでくる。それが2年後ぐらいから始まるので、個人と法人は違いますから、その影響も恐らく税率の引き上げに絡んでくるという見方をしておりますので、やにわに、今からそういう影響を抜きにして、ドカっという議論は望ましくないと思っていますので…。いずれ、そういうことがあるにしても数年先とは思っておりますが、今の段階で踏み切った形の、クリアカットな税率を書くというのは難しかろうと考えていますが、何か分かるような書き方にしたいと思っています、方向をね。
〇記者
先ほどの説明で個人的な見解とおっしゃった確定拠出年金の関係、3階建ての部分だと思うんですが、これは具体的に税調の中でいつ、どのような形で議論をしていきたいとお考えでしょうか。
〇石会長
具体的な設計について、ちょっとまだ事務局とも相談していませんから分かりませんが、ただ、海外調査をした成果ということから言えばね、私はカナダ、アメリカの年金を調べてきて一つの成果はそこだと思っていますが、何か今度は株価対策にも幅を広げるとか何とかという議論になっていましたよね。そういうことで、問題意識は皆さんお持ちだろうと思うし、それから、1階建て、2階建てで不十分な部分を3階建てで補うという考え方は、ある意味では、日本でも既に一部導入されている。ただ、この制度自体が本格的に機能しているかどうか。これはまだまだ分からないわけでありまして、僕は、これは検討課題だと思っています。引き続き。そういう意味で、1階、2階を補完する意味で重要な視点であるということは言えるんじゃないかと思います。まして、1,400兆ある個人金融資産を、税を入り口でかけないで、出てきたところでかけるという一種のタックス・ディファーラル、租税の遅延ですね、こういうものを使って私的年金の幅を広げていくということは、老後の、あるいは退職後の生活の支えになる制度としては考え得るものだと思っていますし、カナダはこれをかなりうまくやっていると思っています。ただ、これはある意味では、預金のない人はできないんだよね。そういう意味で、ある高額所得者以上の人が便益を得るかもしれませんが、これはこれでひとつ、3階建ての話ですから…。1階建て、2階建てあたりでは、低所得者層、中所得者層の面倒を見るという棲み分けがあっていいと思っていますので、考えてみたいと思います。
〇記者
「考えてみたいと思います」ということですけど、この間の市場活性化対策の中では、本年度中に検討という書き方で…。
〇石会長
入ってますね。あのねえ、いずれどんな議論しても、具体的に案が出ても秋以降の話で、具体的にはその実施は来年度でしょう。今年度検討ですからね。そういう意味で、中期答申の中に具体的にこうこうというのは時間切れだと思いますけれども、それ以降のつなぎを付けるという意味で、議論を活性化したいとは思っています。
〇記者
消費税に関連して2つお伺いしますが、1点目は、先ほど目的税化、特別会計のような形にはしないけども、使途をある程度分かるようにするというやり方が、具体的に何を目指しているのかということですね。それからあと、上げ幅とか時期の問題で、今、会長のほうから具体的な、カッチリしたものを示すのは数年先というお話がありましたけれども、これは、数年間はそういう上げ幅は税調としては、逆に解釈すると示さないという理解でいいんでしょうか。
〇石会長
前段は、消費税のほうの14ページをご覧下さい。ここに、日本、フランス、ドイツ、イギリスの概要を書いてございまして、現行、予算総則では消費税は基礎年金、老人医療、介護に使う等々の書き込みがあります。それと同じように、財政調整法という形でドイツもあるんですね。具体的なイメージはこういうことだとお考えいただきたいと思います。というのは、道路特会と揮発油税の関係のように、厳格な意味での目的税化というのは、消費税は基幹税でありますから難しかろうとわれわれ考えております。そういう意味で、具体的なイヤマークというか、目的税化は難しいけれど、今あるような目的化というのはあり得るし、これ結構私もいいかげんかと思ったら、その前の13ページで、一応こういうものに使うと、予算総則で書き込んであって、それなりの制度的なリンケージはなっているなという感じがいたしております。
それから、税率の引き上げ云々の書き込みでございますが、あくまでこれは将来とか、こういう時期の決め方しかないし、あとどのぐらいの上げ幅かというのも、やはりそこは具体的に7だ、8だ、10だ、15だ、20だというのは、恐らく今の状態において書けないと思います。それをわれわれが先頭を切って書く時期があるのかどうか分かりませんけれども、ここは少し知恵の絞り方とは思いつつも、3年後にどうするというのは、はっきりしたことはちょっとわれわれは越権行為でもありますし、諮問者のお考えもあるだろうしということで、ここは前回の6月に書き込んだことにプラスアルファぐらいが精一杯かと考えています。煮え切りませんなあ。
〇記者
その煮え切らないというところなんですけれどもね、消費税…、社保審の有志の方と議論したり財政審で議論したりするということですけれども、やっぱりそこの消費税のところがネックになっているということで、議論はなかなか本質のところに突っ込めないというような印象をお持ちでしょうか。
〇石会長
税調の委員の中にはそれはお持ちで、ちょっと不安を覚えられた方はいると思いますよ、それは。まあ、蓋をされちゃったという意味でね。ただ、われわれ10年とか先のタイムスパンを見れば、いつまでもこの問題は蓋されっぱなしでもないだろうし、ちゃんと触れないわけにもいかないだろうという問題意識も片や持っていますから、そこはこれからの事態の推移を見ながら、と思いますけどね。何せあれほどはっきり言明されてしまうと…。かつ、経済界が年初来幾つか言っている問題提起も、今のところそのままになっておりますから、あれを冷やさないようにしたらいいんじゃないかというご意見も述べられた方もいますように、それなりにつなぎは必要かなとは思っています。
〇記者
今と同じ件ですが、段階的に毎年1%ずつとか、そういう考え方もありますね、消費税のところですね。そこら辺のことについても中期のところで若干いれるということは…。
〇石会長
いや、段階的にということは、1回上げて、2回上げて、3回上げるというような話でしょう。それはどこまで上げるかという議論はありますけどね。まあ、一挙に上げるのか段階を追って上げるのかというのはその時の経済情勢だし、それから、その他の税、法人税とか所得税との兼ね合いもあるでしょうしね、これはちょっと今の段階で決め打ちにはできないでしょうねえ。だから、将来1回上げて、それでずっと行くのかね、韓国みたいにね。韓国なんて、20何年前に入れて、10%を堅持していますからね。そういう国もあるし、絶えず上げている国もあるし…絶えずというか、上げてまた下げた国もあるし、それは分からないですね。だけど、段階的に云々というのは、恐らく2けたになるなどという想定をした時の上げ方、幅の議論というのは将来的にあるのかもしれませんけどね。それはまあ、今の段階でまだシミュレーションするのは早かろうと思っています。
将来的には欧州の先進国並みになると、もう既に、ある種の仮定法でありますが、昨年の6月に書き込んでありますから、その辺の方向の議論の時にお考えいただいていいと思います。(石会長 注:質問の内容を取り違えていました。毎年1%づつ引上げるようなやり方は、税務執行面の問題もあり、賛成しかねます。)
〇記者
不良債権処理で、税のほうだけの問題ではないだろうというお話が先ほどありましたが、ということは逆に言うと、税も含めて他の分野と調整を図りながら、総合的に何かやっていくのであれば、税もお付き合いする面もあるだろうと、そういう意味ですか。
〇石会長
不良債権問題というのは、公的資金の導入も含めて、様々、多岐にわたってますよね。それで、われわれとしては、金融庁から3点セットの問題提起をされておりまして、それをベースに今のところ議論しているということでありますので、これから恐らく…。内閣のほう、金融庁のほう、それぞれの業界のほう、いろいろな議論がまだ生煮えのまま来ておりまして、そういう段階で税だけ走り出して、これだこれだということはできないだろうと思うし、それから、税がそれだけ有力な手段かねということについては、われわれかねがね疑問に思っているわけですよ。したがって、これは政治的な問題かもしれませんが、同時並行的に、まさに資本投入ですね、公的資金投入、ああいう問題も背後に置きつつ、また竹中大臣が言っています金融再生プログラムの中にある厳密な査定等々の問題なども絡みつつ、税制もその一角として議論するということだと思っています。そういう意味で、われわれ単独で税だけの議論をしても、この問題は解決の方向に資さないと考えていますので、環境税と同じですね。やはり外界の状況の中で税の位置付けを慎重に考えたいと。今のところは、それが言えることだろうと思っています。決して税に対して配慮をしませんが、税だけ突出して議論はしにくいし、やるべきではないと考えています。よろしゅうございますか。
(以上)