基礎問題小委員会(第26回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年4月8日(火)16:03~16:30
〇石会長
それでは、お集まりのようなので、今日の基礎問題小委員会の概略をご説明します。
今日は2つ大きなテーマがございまして、1つが国と地方の関係で、課税自主権をめぐっての資料説明と、それについての今後の取り扱い方。2つ目が少子高齢化と税制、これは従来の延長上の話でありまして、社会保障審議会の年金部会の部会長でもある宮島さんに来ていただきまして議論いたしました。
概略申し上げますが、最初の国と地方の関係は、今ご存じのように諮問会議でもいろいろ議論があったようでありまして、塩川発言であるとか、また片山さん、竹中さんの話の行き違いといいますか、そういうようなことがあったような問題でありまして、われわれとしても、これをどういう形で今後取り扱うかと。「三位一体」というのがある種の一人歩きしたような考え方になっておりますが、その中で税源配分といったような問題をどういう形で取り扱ったらいいか、冒頭から、その中身というよりは、今後の税調の役割、税調でいかに審議すべきかという点に議論が集中し、これについて非常に活発なご議論がございました。
そこで、要約はなかなか難しいんでありますが、三位一体と俗に言われます国庫補助負担金、地方交付税交付金、そして税源移譲という、ある種の塊があって、それの中身で税の移譲だけというのはちょっと議論しにくいだろうし、税調としてもそっちの方向に矮小化されていくのはあまり好ましくないだろうと。何といっても国庫補助負担金がまずあって、それとの絡みで交付税の見直しがあって、それから税源移譲だというのは昨年の6月の閣議決定でありましたから、そういうことを踏まえれば、それほど厳格な意味での三位一体論に固執することはなくて、もっと大きな視点が必要じゃないかというのが皆さんのご意見であり、私もそう思います。したがって、税調の議論の進め方としては、恐らく三位という他に四位、五位があるというようなことをおっしゃった方もいらっしゃいますけれども、やはり国と地方の財政状況そのものを考えるならば、ある方がおっしゃっていたように、税源移譲を仮に考えるなら、国の借金をくっつけて地方に担ってもらうことになってもいいんじゃないかというお考えとか、あるいは、そもそもが国と地方は税源移譲の前に各々のレベルで歳出歳入のギャップ、あるいは受益と負担のギャップの解消に努めるべきであるというのが筋ではないかと。つまり、国税、あるいは地方税、各々の中で、今後いつになるか分かりませんが、増収ということを考えるなら、まずそこで議論すべきであると。
そこの中で、特に課税自主権の問題があり、法定外普通税、あるいは法定外目的税、それから超過課税、この辺が課税自主権の根っこにあると思いますが、これが主要な武器にならないのはロットの上で、規模の上で十分分かりますよね。ただ、これがある意味では、地方分権、あるいは三位一体議論の歴史ではないかという認識、これもまたあるんじゃないかという問題提起があり、その辺は議論しました。やはり住民税というものをもうちょっと所得割なり均等割なり含めて増収を図らないと、地方分権にそぐわない、地方分権の中での税源確保にはそぐわないんじゃないかという議論が、今日の議論としては多かったのではないかなと思っています。
それを核にして、今日は積極的な議論にはなりませんでしたが、国税のほうは恐らく消費税でしょう。そういう意味でこれから各々努力して、その後しかるべき段階で税源配分というのが国庫補助負担金、あるいは交付税の見直しを含めて、財源が余ってきた段階で議論ができるかもしれない。それから、再度権限委譲の問題が前提であるというのは皆さん強く意識されておりまして、そういう意味では、塩川大臣のご発言というのは、権限委譲なくして税源だけ配分するということは、今の地方分権の促進、推進に沿っていろいろ考えている中では好ましくないだろうという議論がございました。総務省から出されました課税自主権等々の資料は、そういうものをバックグラウンドにご説明いただいたということですね。
それから、後段の宮島さんの議論が、また資料が付いて出ておりますが、その前に事務局から、老後の不安、あるいは老後の経済状態、実態まで踏まえて議論しようということで資料(基礎小26-2)の説明をいただきましたが、これは後ほどご覧いただけたらと思います。時間の関係で、これは資料の説明だけで終わりました。
それで、後半、宮島さんに来ていただきまして、ここにレジュメ(基礎小26-3)と資料(基礎小26-4)が出ていると思いますが、少子高齢化と税制、社会保障との関連でという形でご議論をいただきました。今日は、私どもは、特に私は社会保障審議会のほうの色彩も含めてと思っていましたが、彼は税調の委員としてお話しするという形で、税制と社会保障の関係で現在問題になっていそうなところを幾つかご議論いただきました。
2~3申し上げますが、基礎年金が3分の1から2分の1ということになるのをめぐって、これからもこの問題はかなり議論されると思います。そういう意味では、税方式か保険方式かということが根っこにある問題でありますが、宮島さんは、2点、保険方式のメリットがあるだろうと。1つは、人間、歳をとりますね。加齢。歳をとっていくに従って、リスクが出てきますね、病気しやすいとか所得が少なくなるとか。このリスクを若い頃から自覚してもらう。そのメッセージは保険方式だと。これは政府がやるわけですね。それから、保険方式というのは拠出するわけですから、当然のこと、職を持って所得を稼いで、保険料を払うという意味においては、就業というのが若い頃から前提だと。そういう意味では、職に就いて働いてくれというのが保険方式の根っこにある、これまた第2のメッセージであると。そういう意味で保険方式の意味は十分あるよという形のご議論をされまして、私など、まさに同感だなと思いました。
それで、今後やっていく段階において、このレジュメの5、6、7に書いてございますが、恐らく、高齢化の中で変えるべき税制は、消費課税と所得課税と資産課税だと。これ、逆に言えば、企業課税については、今日明示的に触れられませんでしたが、明確な財源調達機能の主たる地位は下りるということのようだというふうに彼は言ったんだと思います。そういう意味では、各々の税について時間の関係もあってあまりご説明いただけませんでしたけど、議論がありましたが、特に1つ、彼の持論であり、あまり日本人が言っていない議論としては、要するに社会保障の給付において税込みと税引きがあると。特に、日本はすべて税引きで考えているんですね、社会保障給付は何でも。年金がしかるべき形になっていますが。ところが、北欧などは税込みというのがあると。そういう意味では、1つ日本でも考え得るではないかという議論をいたしまして、そうかなという感じはいつもいたしております。
それをめぐりまして幾つか議論がございましたが、公的年金等控除というのがこれからの議論の流れでありましょうが、これに極力手を付けないような形で控除見直し、例えば老年者控除等からやっていけばよく、やはり約束を守るという趣旨から言って、年金の給付を減らすのはよくないんじゃないかという視点に立つと、この公的年金等控除をなくすということについては抵抗がある方もいらっしゃいますから、そういう極力いじらないような格好の議論ができないかという議論。それから、在職老齢年金というのかありますね。職を持ちつつ、年金があった時に年金を減らされるというやつですが、これをめぐって、そもそもこれは給付だけ税金を掛けて、結局ペナルティ的に給付を払わないようにするというよりは、所得を一旦払って、あと税でやったらいいんじゃないかという議論をされておりましたし、これに対して、そもそも職があるだけでもハッピーなんだから、そのぐらいの給付でのチェックが効いてもいいじゃないかという議論があって、これは正反対でしたね。
まあ、いろいろありましても、これから高齢化と税制というのは様々な形で、給付だけではない、例えば世代内の、つまり高齢者ですね、高齢者の中だけでも非常に貧富の差がつくから、税によって所得再分配をやるというような視点が重要だしというような話が根っこにあって、それは恐らく重要な問題提起であったと思います。
最後に、税と社会保障制度というのは、要は税の中にそもそももう社会保障的な制度がいっぱい入っているわけですね。例えば特別人的控除であるとか、生命保険、年金控除等とか、あるいは老齢者の利子非課税などというような例を言うまでもなく、一種の社会保障でありますから、それとの関係で、課税ベースを広くという視点から見直しつつ、この辺をどう考えたらいいかということが重要な問題になるのではないかという指摘がございました。
以上であります。あとは、6月の中期答申を目指して、これからかなりの頻度で開くことになると思いますが、来週金曜日、午前中になりますが、基礎問題小委員会を開催しまして、また高齢化と税制の問題を考えたいと思いますし、4月15日から金融小委員会も立ち上げて、金融・所得の一元化であるとか、あるいは金融税制そのものについて検討したいと思います。また、4月22日には総会を開きまして、これまでやりました幾つかの論点を総会でご報告して、一応ご承認をいただくという格好にしたいと考えています。5月に入りましてからも、いろいろな形で週1回税調は開かれるということになろうかと思っています。以上です。
〇記者
国と地方ですけれども、三位一体に固執せずに、さらに大きな視点でというふうな、そこらあたりはそれとしまして、とりあえず、住民税の所得割、均等割をやらないと地方分権にそぐわないと言われましたけれども、要は、所得割、均等割をもうちょっと引き上げるということですね。そのあたりは、6月の中期答申にある程度入ってくるんでしょうか。
〇石会長
これからの議論ですけど、結局国と地方ともに歳出歳入のギャップが非常に開いているわけですね。これについて触れないわけにはいかない。触れれば、それをどうやって解決するかということになって、その中で各々頑張れるところは将来をにらんで、税制の構造的な歪みをなくすという意味も含めてやっていくということにならざるを得ないとは思っています。その中で、三位一体論的な議論も恐らく触れざるを得ないということになりますが、それはあくまで税源移譲を前提として国庫補助負担金がまず最初に見直されて、その後交付税の見直しもあるだろうという格好になり、権限委譲の問題もそこで出てくると思います。
〇記者
一方で、国税で消費税とおっしゃいましたが…。
〇石会長
それは、別に今日はメインのテーマではございません。地方が住民税を中心にして、まあ課税自主権を中心にして努力すれば、それに代わるものが国としてあるならば、多分消費課税の領域になるだろうという話をしたが、今日はそれはメインの話でもないし、僕が全体のストーリーの中でくっつけたというだけの話であります。ただ、宮島さんの話の時に、消費税の福祉目的税化について議論がございましたが、大体税調の基本的な、これまでの流れについては、主要な税を特別会計に突っ込んで目的税化するというきっちりした意味での目的税については問題が多いんじゃないかという形…、これもちょっと今日はあまり議論する暇がなくて、宮島さんのお考えを聞いただけです。
〇記者
三位一体に絡む税源移譲のお話は、結局その三位一体それぞれの、税調だけではなくて、政府全体の中で、諮問会議とか、そういうところで議論が進んでこないとなかなか難しいというお考えでしょうか。
〇石会長
それについては2通り考え方があって、それはまさに諮問会議もあるし、地方分権改革推進会議もあって、外側が決まらないと税調は首を突っ込むのは危険であるとはっきり主張した人もいましたが、と同時に私などが申し上げたのは、さっき言った三位一体というごくごく狭いフレームにこだわらず、国と地方の関係を目指す中ではもっと大きい視点から各々税制を議論できるんじゃないかという視点から議論したらいいんじゃないかという形で、これは全く何も物を申さないで、税調がスキップしてしまうということのリスクのほうが大きいのではないかと思いますから、何らかの形で議論に参加したいとは考えています。
〇記者
今の国と地方の関係の確認ですが、諮問会議等で若干言葉の誤解もありましたが、税源移譲を突破口にという考え方が今出ていますよね。今日の税調の考え方の整理の中では、税調はあくまでも、じゃあ、税源のどれを地方に移しましょうかという議論を最初にスタートさせて、そこから国と地方の問題に入っていくということは考えていないという理解でいいですか。
〇石会長
それでよろしいと思います。まず考えるべきことは、国・地方各々が自分の歳出歳入の大きなギャップをどう埋めるかという自主的な判断に基づいたプランを練って、その中には恐らく権限委譲の問題もあるでしょうし、いろいろなことがあるでしょう。それで、しかるべき一定の手順を踏んだ後で、条件があれば、それは税源移譲ということもあるのかもしれないと。そういう2ステップ、3ステップの議論にならざるを得ないだろうという判断ですね。
〇記者
中期答申には、そういう考え方を盛り込もうということなんでょうか。もう少し具体的に何か踏み込んでできるんですか。
〇石会長
中期答申の議論はまだ2カ月ありますからどうするか分からないけど、ただ、先ほど申し上げたように、国と地方の歳出入のギャップを埋めるということは欠かせませんから、その中で、恐らく各々のレベルの政府で努力して、それでいろいろその成果を踏まえた後で、何かそこで税源の再度見直しということはある。例えば、私などは個人的に国にふさわしい税源と地方にふさわしい税源は、おのずからあるんですね。そういうものを抜本的に提言するということもあり得ると思いますね。実は、昭和30年代に税源配分部会というのを税調に作りまして、そこで議論したことがあるんですよね。ご存じのように、資産税関係というのはあまり移動性がないから地方に適している。固定資産税は市町村ですね。ところが、国を一体化として、国全体で見るような、付加価値税的な消費税、これはやっぱり国税なんですね。それから、法人が結局どうなるかとか、所得税がどうなるかとか、いろいろございますから、その辺の議論は整理したいと考えています。
〇記者
課税自主権の拡充について、主立ってどういう意見が出たのか。
〇石会長
資料を見ていただくと分かりますように、おおむね、企業、法人関係に集中しているんですね,超過課税も含めて。超過課税と法定外普通税、法定外目的税は。そういう現状で、どうも本来の地方分権という話から言えば、やはり地域住民が汗をかいて、それに対して応えるというのが望ましいということになると、この従来の課税自主権については必ずしもうまくいっていない。企業ねらい打ち的になっているのが多いからね。そういう議論はありましたし、私もそう思います。
〇記者
今後、課税自主権の拡充をする方向でということで、税調の議論は進みそうんですか。
〇石会長
恐らく、課税自主権というのは地方税収全体の1.3%ぐらいですか。だから、ロットとしては、ある意味で限界があるんで、あれで全て主要な税をということにはいかないでしょう。中央政府が本来的なサービスをするんだったら、それは本来的な税収でやるべきであってね、あれはどっちかというと目的税に使途が限定される可能性もあって、それから規模も少ないから。ただ、さはさりながら、地方分権、あるいは今言った三位一体論的な議論をするならば、課税自主権のほうに期待をかけ、それを拡充するという方向は十分あり得るだろうと。だから、従来通りの方法で個人を少しベースにした形での一層の拡充というのはあり得るんじゃないですかね。まあ、それはある意味では地方政府のほうの努力のシンボルですよね。
〇記者
各々努力した後に税源移譲なり、補助金の話が始まりなんでしょうけれども、入っていくとした時に、先生今おっしゃいましたが、国と地方におのおの適合するもの、地方だったら資産税とかあると。それが実際に移譲という話になってきた時には、国が今持っているもので地方に行くものというのは何があるとお考えでしょうか。
〇石会長
何があるんですかねえ。僕は、個人的には個別消費税の世界があると思いますよ。たばこみたいなやつね、当然のこと。それから、もうぎりぎり行って、経済がどうなっているか分からないけれども、まあ、個人所得課税の中で何かあるのかなと思いつつも、これは国もほとんど穴空きだらけになっていますから、修正する過程においてどれだけ整形されるかにもよりますけどね。それから、累進税率なんていうのは、ある意味で国と地方を合わせて税率構造を考えるというのが筋かもしれないし、いろいろこれから議論はあると思うけど、まだこれはかなり先の話、数年先かもしれませんね。
あとは、独自にサービス関係で地方が頑張って課税する。ゴルフ場利用税であるとか、あるいは宿泊税みたいなのもあるかもしれないし、いろいろあるのかもしれないけど、それはこれからお互いに各々のレベルで知恵を出すということになるんじゃないかと思います。
〇記者
重ねてなんですが、独自課税のほうは、要するに法定外普通税、目的税のほうというのは、これまでいろいろ案が出てきていますけれども、税にそぐうとかそぐわないとか、料金制のほうがそぐうんじゃないかという議論があったりして、必ずしも何でもかんでもいいよというわけではなかったと思うんです、税調としても。それをどう整理するのかというのが1つと、もう1つ、高齢化と税制のほうで1点なんですけど、公的年金等控除とかをいじる時に、あれが高齢者の年収に対する基本的な控除だと考えると、例えば給与所得控除とか、あっちのほうの議論には波及しないのかどうか。そういう世代間の話ですが。
〇石会長
いずれも、2つあった質問に対して、今日は本格的に議論する時間もなかったし、そういう問題意識を持った発言をされた方は少ないんですが、おっしゃる課税自主権というのは、何でもかんでも自主的でやるわけではなくて、チェックがありますね。何委員会だっけ。もめた時は何かあるんですね、国地方係争処理委員会。例の横浜市の勝ち馬何とかというのは拒否されましたけど、あれが一例ですが、何でもかんでも認めるという方向でなくて、地方自治体に沿った行き方があるだろうという意味において、これは実際の事例を見つつ、われわれウォッチしているという形で、今、特段これに対して、特にこれこれが望ましい、これこれは望ましくないといったような議論は、まだ具体例がそれほど頻繁に出てきておりませんから、やるつもりはございません。出てきた段階で議論したいと思います。それから、当然のこと、今日は高齢者と税制の中で年金等々の議論が紛糾いたしましたが、当然のこと、これから少子高齢化といったら、例の給与所得控除、退職の問題、それから、いろいろある、高齢者も含め、個人の属人的に結び付いて、年齢層にかなり密着しているような控除ですね、これは議論の対象になっていく。ただ、これがどこまで本格的にどうするというところまで踏み込んだ形でできるかどうか分かりませんが、やはり給与所得控除が問題であるということは、長年、税調では問題意識を持っていますから、それは議論としてありますね。
それから、退職金の特例が、今の年功序列も含めて、労働市場のモビリティが固まった中で、あのままでいいかどうかという議論は当然残っていますから、それはこれから、一つずつ片づけていきたいと思います。
〇記者
国と地方の関係で基本的なところの確認なんですが、そもそも税源移譲の話で、総務省の片山総務大臣が、税源移譲案というのを出していますよね。住民税からとか所得税とかね。あの案について、政府税調の中で何か議論されることにならないんでしょうか。
〇石会長
一回あれは、税調で報告があったよね。例の諮問会議に出された5.5兆円だっけ。あれの中身についてはご議論をいただきました。ただ、あれについてまだ本格的な議論をする機会も場もないということと、それから、今日の議論の論調を見ていますと、あれはまず国庫支出金を削って、それで税を移して、その最後の段階として地方交付税だと。三位一体論の中で明確なる順序が付けられていますが、それに対しては税調としては、やはり一番の問題としては、国庫補助負担金であれ地方交付税であれ、そっちのほうの、政府間の財政資金の移転のほうが問題だという意識を持っていますから、片山プランそのものについてどうこうという議論まで行っていないのはそこにあるんですね。つまり、そこを議論して、それを促進する、複合モーター?になろうというところにはならないんじゃないかな。
〇記者
そうすると税調としては、三位一体と言われているものの補助金の改革と地方交付税の改革のほうを先にやるのが筋であって、税源移譲というのは、その2つの成果を見てから考えるべきものだと。
〇石会長
税源移譲というのをやる条件があるだろうということで、片山プランの問題提起については手順が少し食い違っているねという印象をかなり多くの委員はお持ちだと思います。今日の議論を聞いていてもね。私もそう思います。まず汗をかくところからかかないと、みんな納得しないよ。
〇記者
そうしますと、政府税調で国と地方のことを議論していく上で今後やることというと、先程、国・地方の歳出入ギャップを埋め合わせることがそもそも先であるとおっしゃっていたんですが、今後政府税調としては、どういう税が地方税として望ましいとか、そういうことを議論するということなんですか。
〇石会長
それもありますよ。それから、望ましい税源…つまり、各レベルに適正というか、ふさわしい税というのはありますよね。今日はそれを本格的に議論していませんが、いずれ議論になると思います。と同時に、今既存の税の中で何を頼りに各々の財政赤字のギャップを解消する努力をするかという議論は、税調にふさわしい議論になると思っています。その前提として、恐らく国と地方の間の税源の規模の大きさとか、行ったり来たりするパイプの大きさとかありますから、それはその議論はいたしますけれども、ある意味では、国庫補助負担金の見直しなんというのはわれわれの権限外なんだよね、残念ながら。それが、できたらこういうことはあり得るだろうという議論はできると思いますよ。
〇記者
その際には、出と入りのギャップを埋める主体になるのは、税源移譲なのか、それとも課税自主権の…。
〇石会長
課税自主権というか、自前でまず最初に税源確保ですね。その努力ということですよ、最初は。そういうものを踏まえた後、いろいろ条件がそろった後での税源移譲ということは議論としてはあるでしょうね。手順として。だから、そういう意味では、先ほどどこかで言いましたが、まず税源移譲ありきで、突破口にしてという考えはありませんね、ここは。少なくとも税調の皆さんの意識はそこにあると思います。
(以上)