基礎問題小委員会(第25回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成15年4月1日(火)16:39~17:07
〇石会長
25回目になりますが、基礎問題小委員会が終わりましたので、ご報告いたします。
議題は当初2つ、少子高齢化と税制、それから地球温暖化問題の現状と課題について、おのおのスピーカーから意見を聞くという話でありましたが、急遽、ご承知のように税調で不良債権処理の問題も議論してもらうという与党PTとの関連で財務大臣からの話もございましたので、3つ目の議題としてそれをつけ加えました。急に議題も増えたので、30数分遅延したというのが現状でございます。
まず少子高齢化と税制に関しましては、金子先生と神野先生、お2人から、両氏は委員でいらっしゃいますが、ご説明を受けました。お手元に資料が行っていると思いますが、金子先生は従来のご主張を整理されたわけで、中長期的な視点からは、やはり所得控除を見直していかなければいけないと。基本的には、このレジュメに書いてございますが、人的な控除、つまり基礎控除、扶養控除、配偶者控除の3つはしっかりして、それプラス標準控除というものを作ったらどうか。その標準控除の中にいろいろある雑多な控除、例えば雑損控除とか医療費控除とか、あるいは保険奨励控除等々、まとめて入れて簡素化を図るというのがいいのではないかというご主張でありました。
いずれにいたしましても、基幹税としての所得税の機能を回復しないと、この空洞化のままではどうしようもないだろうというのが根っこにあるお考えであります。
地方税の所得税については、比例税率が財源確保の面からもよいのではないかというご議論でございました。
これに関しましては、基本的にはこの方向だろうという考えを持っている委員が多かったので、それほど対立を生むような議論ではなかった。ただ、所得税の基幹税回復と併せて、消費税もやはり今後上げざるを得ないのではないかということにつきまして、賛同する意見が多かったということです。
あるいは、地方税は比例税だけでは問題で、やはり所得再分配機能を持たせてみて、累進税も残すべきではないかというご意見もあったということはつけ加えておきます。
それから、神野さんの方の話は、かなりおもしろい議論がございまして、資料もついていると思いますが、国際比較を交えて、日本の国民負担のあり方論に関して幾つかおもしろいファクトを示してくれました。政府というのは結局、大きいか、真ん中か、小さいかという形、別の言葉で言えば、最低限政府が責任を持つという自助努力型のアメリカとか、最大限政府介入型で、言うならば高福祉をつくっていくという方法型、それに加えて、真ん中に市場原理で落ち込んでいたところを政府が補完するという格好でいこうという意味で、自ずから国民負担率が決まってくる、これはよく出る国民負担率の話で、日本が左にあって、その隣にアメリカとあって、右の方にスウェーデンがあって、真ん中にフランスとかドイツがあると、こういう図ですよね。ここにもございますけれどもね。
神野さんは、どちらかというと彼は大きな方の政府の志向をかねて言われておりまして、言うなれば共同体、特に家族の機能が落ちてきている以上は、やはり政府が面倒を見ざるを得ない。そうい意味では、増税型の高齢化社会ということが要請されるのではないかということです。
今の負担のあり方を見ると、既に社会保障負担がその他に比べると大きくなっている。これは、ある意味ではドイツとかフランスに似てきているわけで、今後、租税の負担を高める必要があるだろうと。そういう意味では、仮に消費税を値上げしたときに、それを福祉財源にするということはどうも今の国民負担のあり方からいっておかしいのではないか。言うなれば、社会保障は保険料で十分取っているんだから。消費税も、税制本来の空洞化なら空洞化を補完する意味のものに使うべきであって、そういう意味では福祉目的税単体というのは問題ありということをおっしゃっておりまして、これについては、大方の方がそうだろうと。
やはり問題は、個人所得税の個人所得課税のウエートが非常に低いんです。あのフランスより低いんです。フランスというのは、ご存じのように間接税の国でありますから、当然所得税のウエートは低いわけですが、それより低いという意味において、日本の場合は、今後は個人所得課税というものを引き上げていかなければいけないのではないか。それに関してさまざまな控除、この見直しはやはりどうしても必要だということと、彼がもう1つ強調していたのは、純資産税というのを北欧では持っている、つまり資産のばらつきが高齢社会になるとどうしても大きくなると。それを税で議論するならば、純資産課税みたいなものが既にスウェーデンもあるので、そういう点のことを見逃せないのではないかという形のことをおっしゃっておられました。
いずれにいたしましても、保険料でやるか、あるいは税でやるかということに関しましては、税で、税というのは強制性があり、無償性があり、収入性があるという3つの条件を前提にいたしますが、そこからやるのが筋ではないかというところが彼の議論の中核にあったようであります。
これに関しまして、いろいろ議論もございましたし、基本的には元来、税調は目的税的なところで、かなり否定的な見解も多かったので、これにつきましては、すんなりと議論は、理解を深めるという形で行われ、相互に対立した議論というのは少なかったと思われます。
それから地球温暖化の方、これは森嶌先生においでいただきました。森嶌先生はご存じのように中央環境審議会の会長で、その立場から中環審のさまざまな当面する問題についてご説明いただきまして、1枚紙(基礎小25-4)と横長(基礎小25-5)の「地球温暖化問題と京都議定書」という形の資料をお出しいただきまして、これについてご説明いただきました。
ここに書いてあるとおりでございますが、要は京都議定書が発効される条件として幾つかあるんです。それを実はロシアが参加しないとクリアされないという大きな問題があり、ロシアが本当に参加するかねということを受けての議論もございました。
いずれにいたしましても、仮に京都議定書が発効しますと、日本は2008年から2012年の間のCO2 の温暖化ガスですね、温室効果ガスを6%に削減しなければいけない、これは今後どうするかという問題。2002年3月に大綱ができたわけですが、地球温暖化対策推進大綱というものができていますから、これに沿ってこれからどうしていこうかということの一般的な議論がございました。
これに対しては、いろいろ議論があったんですが、ロシアが仮に参加しないとなると、この京都議定書は発効いたしませんから、何も事を急いで環境税の議論に飛び込む、税の議論に飛び込むということはなかろうということです。と同時に、中環審でも税ありきという議論ではないと。地球温暖化対策税を置いて、何でもかんでも税を入れつつ、つまり環境税ですね、これを導入してこの地球温暖化に立ち向かおうという話ではないと。これについては、税調もそのとおりの態度をとっておりますから、主張は一致しますが、それに対して、いろいろなことをやっていった結果、税をすべて封じ込めるというふうな段取りでいくなら、後でだんだん難しい問題が出てくるから、いっそ税を始めからやらないで、その代替策を見つける方がいいのではないかという、そういうご意見もあったりしました。森嶌先生はそれに対して、とりあえず税制の活用というのはさまざまある経済的手法の中の1つであって、その中で考えていると。ある省庁から今後、税がなくても、この京都議定書の目標は達成できるなんていう資料が出てくるかもしれない。そのときに、では税をどう扱ったらいいかという問題、幾つか対立しているわけです。
そういう意味で、我々としては、税というのは当然見据えますが、地球温暖化対策の全体像の中で税をどう仕組むかということをこれから考えなければいけない。ご存じのようにステップ・バイ・ステップ・プロセスというのがあって、第2段階が始まるのが2005年ですよね。2005年あたりにどういう有効な手だてができるかというのが議論ではないかというあたりが今日の結論でありました。
森嶌先生は、技術というものでかなりCO2 排出を阻止できるのではないかと、その辺に大きな期待がかけられるというもので、むやみに税に飛びつくことはなかろうというご判断でございました。
それに対して、我々も基本的にはその方向で議論しておりますので、税以外の排出権取引も含め、あるいはchargeかlevyかといったような税以外の何か負担を課するという形の議論というのが今後あり得るんだろうと思いますが、その議論はこれから詰めていきたいと考えております。
最後、30分ほど時間をとりまして、不良債権処理の問題を議論いたしてまいりました。これも随分いろいろな角度から議論が出ましたが、資料はございますね。基礎小25-6というものがございますか、1ページ目に金融庁から出ました要望書が出てきておりまして、これがある意味ではこの間、与党のプロジェクトチームで出されました政府税調でも議論させろという具体的な項目ですよね。
そこで、最初が企業会計上の貸倒償却及び貸倒引当金の全額損金算入を認めろという話ですね。これは無税償却の幅を広げろということにも結びついてきますが、それから15年に欠損金の繰戻しを延長しろと。それから、欠損金の将来への繰越しを10年に延長しろと。これを計算いたしますと、ざっと9兆 5,000億円かかるという問題提起でありました。
これについていろいろ、ここについております資料をすべからく説明を受けまして、あと1つ興味があるのは9ページ、つまり無税償却と有税償却、この関係がどうなっているかというのはこの図でわかるんですが、今やっております有税償却というのは、例の繰延税金資産の繰り越しでありまして、税効果会計の中で位置づけられているものですよね。これに対して、仮に無税償却の範囲を広げて、と言っても、今、赤字法人が大半でありますから、赤字法人を前提とすると、有税償却の世界とは変わらない。つまり、5年、結局これは欠損繰り越しができますが、その結果、繰延税金資産が残り、そのうち40%が戻ってくると、こういう格好の世界になるわけであります。
黒字法人になれば、これはキャッシュフローの増加につながるという意味では世界が変わってきます。ただ問題は、赤字が延々に続くと考えるか、あるところで黒字化するかということによって、有税償却、無税償却の世界が変わりますが、目下のように、赤字法人ということを前提にいたしますと、この無税償却という世界において、新しい何かが出てくるかということはかなり難しい。ただ、ご存じのように企業会計と税務会計は違います。それから、無税償却の対象とする定義、範囲、これもやりようによっては幾つか解釈ができるかもしれないというふうなことがあって、一概に今の9ページの図だけでは仕切れない問題があるので、背後の状況等もこれから議論をしていきたいと考えております。
ただ、冒頭の発言で、要するに公的資金導入ということを片方に置いて、もう片方で税の活用によって、言うなれば公的資金を導入したときの経営陣の責任等々を問うという世界とは別に、税というものを使って補助金、公的資金導入と変わらないですけれども、15年も繰戻せという世界に持ってくればですね。それはちょっといかがなものかと。
いずれにしても、非常にこれはある意味では常識外、非常識な話であると。ただ、今問われているのは、常識の線ではなくて、非常識なことをやれという世界においてこれが出てきたわけでありますから、この議論をしなくてはいけないとは思いますが、我々としては、やはり課税の公平というものを何よりも考える。特に金融機関だけが不良債権を抱えているわけではなくて、一般の事業法人、あるいは商社等々も含めて不良債権を抱えているわけですから、課税の公平から言ったら、金融機関だけ15年も繰戻しなんて到底できないだろうと。何分にも41兆円しか国の一般会計税収がないので、それで9兆 5,000億円を使うような話というのはいかにも非常識ではないかというような議論もございました。
要するに、これから我々としては、今申し上げた主要な論点整理をしたり、さまざまな企業会計の方の方式も変わってくるでしょう。つまり、金融審議会で、あるいは金融庁でさまざまな議論があって、それなりの内容を深めたような中間報告みたいなものが6月ぐらいですか、出てくるかもしれない。税だけ突出して、この問題はいじくれないだろうというのが我々の一致した意見であります。ただ、企業会計、税務会計の間の食い違い等々を直すような方向で、これからいろいろ議論が起こるだろうと。その中で、税として何が考えられるかということを議論しなければいけないだろうという意味において、これから、俗に言われる「勉強」をしつつ、何か不良債権処理に資するような、課税の原理原則とはそれほど乖離しないで出来るものがあれば探し出したいというのが我々の基本的な方向と言えば方向です。
そこで、後の予定でありますが、来週4月8日、それから4月18日、ともに基礎小を考えております。次回は国と地方の関係で、課税自主権の問題、それから18日はまだ具体的な問題をまだちょっと決まっていませんが、これまでのいろいろな議論を整理したいと考えています。それを受けて、4月22日に総会を開き、これまでの議論の整理をしたいと考えておりますし、金融小委員会、4月15日から立ち上げたいと考えております。これは例の金融所得の一元化であるとか、あるいは金融税制そのものについてであるとか、あるいは納番の問題を含めまして、金融小委員会で練ってもらおうと、このように考えております。
以上です。
〇記者
不良債権の絡みですが、いろいろな問題点とか、これから勉強しつつというふうなおっしゃり方をしたんですけれども、ある程度の区切りというか、結論めいたものを出すような構想でいるのかどうか。
〇石会長
いずれにいたしましても、6月から7月にかけて中期答申を我々書かなければいけませんし、そのころに先ほど申し上げた金融庁関係の具体的な、もう少し会計上のさまざまな構造上の問題を整理したものが出てくると思っておりますので、いずれ6月ぐらいにとは、ある我々の考えは整理できればと思っていますが、ただ、これでもって何かすごく具体的に提言ができるかなどとは、まだ考えてはいないんです。一応のメドという形で、2カ月から3カ月ぐらい議論をしてみたいと思っています。
〇記者
温暖化の関係なんですけれども、お話にもあった中央環境審の議論が進んでいて、一応2005年に導入を予定している温暖化対策税という形の、今具体案づくり的なものに着手しておりますけれども、さっきのお話を聞いていると、必ずしもそれとリンクするような感じは受けなかったんですけれども、これとの関係を含めて、今後、これもスケジュール感とかあったら教えてください。
〇石会長
今日の中環審の会長、森嶌先生も05年に是が非でも環境税を入れるという、税ありきの議論はしないと。そこで、問題はさまざまな対応策がある。それから、そもそも京都議定書というものが批准されるかどうかもわからない。仮に、ロシアの問題があって批准されることがなければ、もっと先に延びるだろう。ただ、10年、20年先には、やはり地球温暖化というのはもっと悪化して、本格的に何か手を打たなければならないところに追い込まれるだろうと。そういう意味で、この経済的手法、税を中心とした経済手法という問題は避けて通れないから、着々と手は打ちたい。その中の税であるという位置づけですね。それから、議論がいろいろ分かれていて、税なんかなくたって京都議定書のターゲットは達成できるという議論、これが多々あるので、この辺、非常に議論が分かれて難しい。我々税調としては、やはり税制というのは一番の担当任務でありますから、そういう外界のいろいろな議論を整理する。2005年、2006年の第2ステップに入ったところあたりが1つのメドで、論点を整理すると考えています。それはすぐにどこにといったような、はっきりしたターゲットには、早急には結びつかないですよね、やはり。
〇記者
さっきの不良債権処理の関係なんですけれども、要するに金融庁の要望からですと大きく3つあるわけですよね。
〇石会長
ありますね。
〇記者
税調の方としては、6月ぐらいに考え方の整理ができればということだと思うんですけれども、この3つそれぞれ、おしなべて、すべてを対象として検討するということになるという理解でよろしいんですか。
〇石会長
直観的には、我々は難しかろうと考えています。特に、繰り戻し、繰り越しというものは我々の考えている、例えば1年凍結を解除するとか、あるいは5年を範囲にするとかというふうな話、これはあり得ても、15年まで繰り戻すというのは、先ほど申し上げたように、ある意味では非常識な要求であり、それだけの要求があったんだと思いますが、ただ、先ほど申し上げたように、無税償却のさまざまなところの解釈の問題とか、実施上のいろいろ、まだ工夫の余地があるじゃないかというあたりについては、議論の余地はあると考えています。これは、これからいろいろ情報も出し、実務家の話も聞き、少し前向きな議論ができるかなと思っています。
〇記者
今のことに重ねてなんですけれども、例えば繰戻し還付、すべての産業について1年、凍結されているわけですけれども、これだけを解除するとかというふうな部分は……。
〇石会長
あり得るけれども、現実に今要求されているのはそんな話じゃないんだよね。1年ぐらい戻したって、戻ってくる企業はほとんどないでしょう。今、金融機関以外に儲かっているところはあって、それがたまたま欠損を出していない、前年度に納めたものが戻ってくるということはあるかもしれませんが、金融機関だけを念頭に置いたら、これはやっても、とは思いますけれども。ただ、凍結したところを戻すとか、帳簿の保存義務等々のこともございますけれども、繰越しの方ですか、これについて少し税制を検討する等々はあり得るだろうと思います。ただ、これは赤字というのを前提に議論していますけれども、やはり黒字化する企業も当然あるわけですから、これは繰戻しにしても、繰越しにしても、それなりに、全然ゼロ回答ということでもないと思いますよ、事態が変わればね。そういうことを念頭に置けば、プラスに転ずるような税制の活用というのはあり得ると思います。
〇記者
公益法人のときとかもそうだったんですけれども、ポンと税の方に玉が投げられたわけですが、あのときは向こうの議論がよくわからないまま進んでいたところもあって、この不良債権税制で言うと、金融庁なり金融監督行政の方で、どの辺についてクリアしてもらえればもっと税としては考えやすい……。
〇石会長
やはり企業会計の世界と税の世界というのは、ちょっと齟齬しているんです、いろいろな解釈等々を通じて。したがって、例えば償却という言葉1つとっても、違っている面もあるから、まず企業会計の方でどういう対応をしてくるかということをベースにして、税務会計との間の食い違いをどういう形で論理的に詰められるとか、恐らく金融庁はそこの議論を金融審議会等々でやっていくんだと思いますよ、税効果会計の存続なり、短縮なり、いろいろ含めて。そういう土台ができると、税の世界でも議論しやすいなと思います。ポンと15年やるとか何とか言われても、ちょっと困るんだな、そういう意味では。
〇記者
確認なんですけれども、繰戻し期間15年の延長というのは非常識な要求とおっしゃったのは、具体的に何を指して非常識だと。
〇石会長
2つあると思います。1つは財源問題でしょう。さっき言ったように、41兆円しかないのに、9兆円ぐらいここから出せということは、逆に言って、これを指示した人は何を考えているのかと逆に質問をしたい。
もう1つは、この資料の最後の方に国際比較があります。12ページですね。さまざまな制度を持っておりますし、繰戻期間を、繰戻しはアメリカ以外の特殊な例を除けば、ほかの国は大体1年か2年ですが、繰越しについては20年とか無期限というのがありますが、すべて立証責任が納税者にある国なんです。納税者が自分で繰戻しを20年、無期限でも、帳簿をちゃんと整理してやってくれればいい話ですが、日本の場合、フランスの場合は立証責任は課税庁なんです。となると、当然のこと、何年間帳簿保存しろとか、そういうことを義務づけないと、実際問題として税務行政は対応できませんよね。15年前の税だって、証拠があるかどうかわからないわけ。本当に戻すだけの具体的な立証ができるか、できないか、こういう問題もありますから、非常識というのはそういう意味で、税源の問題と国際的な比較においての問題ですね。その2つから言っているわけであります。特に僕なんかは、やはり前段の財源問題、それからもう1つはやはり課税の公平だね。金融機関だけ、とてもできないでしょうと。ほかのところまで含めたら、もっともっと歳出の面での影響が大きくなりますからね。
〇記者
15年はあり得ないけれども、7年とかそういう……。
〇石会長
7年やっても戻ってこないですよ、金融機関は。バブル期の、15年やらないと戻ってこないでしょう、金融機関は。全く、だから7年とか何か、ほかの企業はあるかもしれない。ただ、なぜ15年かと言ったら、まさにバブルの頂上期に納めた金を戻したいというだけの話ですから、ちゃんと狙いはあるんですよ、そこは。だから、7年、6年にしても、今の話とはかみ合わないでしょうと思います。
〇記者
公平性の観点からいって、金融機関だけを対象にした不良債権税制、不良債権処理の優遇措置を行う可能性はあり得るわけですか。
〇石会長
いや、だから課税の公平だけ考えたらあり得ないですよ、金融機関だけを特に優遇してやるということは。課税の公平云々を無視して、今の非常識な世界で非常識なことをやれという世界で15年、プラス金融機関だけなんて議論が成立すれば、恐らく金融庁はそういう形で出してきたのかもしれないけれども、税調としては、その球は受け取れないということでしょうね、それは。そう思いませんか。
〇記者
先ほど会長がおっしゃった一部議論の余地があるとおっしゃったのは。
〇石会長
無税償却の範囲です。そういうことで、具体的に例えば私的整理に入ったところがどうだとか、いろいろ貸し倒れとか倒産とかというのも、いろいろな解釈があるんですね。これを少し勉強してみたいと思っています。
(以上)