第7回総会・第5回基礎問題小委員会合同会議 議事録

平成15年12月12日開催

石会長

どうもお忙しいところ、度重なる招集で恐縮でございます。今日は、第7回目の総会と第5回目の基礎問題小委員会を合同で行うことにいたしました。いよいよ核心部に、三位一体改革と税源移譲の問題に入ってきましたので、さまざまな角度からご議論いただくためには、さまざまなご意見をお持ちの方にお集まりいただくほうがいいと考えたからであります。

今日は2つ大きな問題がございまして、1つは、三位一体の税源移譲の前提になります補助金の削減額等々の話が定まったようなので、これを主計局のほうから一応資料を提出してもらってご説明いただくことにします。

その後、基礎問題小委員会でやりました議論の言うなれば主要な論点が整理された、「これまでの審議状況」とございますから、これをもとにいたしまして、今日、ある方向をぜひ打ち出したいと考えてます。

その前に、お手元の下のほうに、今日ご出席いただけない方から書面でご意見が回っていると思います。ちょっとご紹介しておきますが、やはりみんなお忙しいのですべて出るというわけにいかないのだと思いますが、佐竹さんと地方六団体のほうから出ておりますのが、個人住民税、地方消費税やってくれというその緊急アピール等が出ております。

それから神野さんから大論文が出ておりまして、これは大いに勉強に値すると思いますので、お時間を見つけて、過去からの話、随分出てますから、参考になると思いますので、彼流のいろいろ美学に富んだ文章でありますので、ぜひ読んでいただきたいと。

それから千速さんの委員限りという意見書も出ておりますが、これはご当人のご希望によりまして、今日、記者会見のときに配らないという意味で委員限りでございますので、その点、ご承知おきいただけたらと思います。

それから最後に、林さん、今日やはり大学の都合でお見えにならないようでございますが、ここにもいろいろの点から整理されておりますが、林さんのほうは一貫して地方消費税の移譲に対してそれなりのご自分のご意見を述べられておりまして、言うなれば、地方消費税ということについて、ここでも議論が分かれておりますが、これをすべきであるというほうのご意見がどうなるかということは、これを見ればおわかりいただけるかと思います。そういう意味で、これは後ほど、あるいはこの会議の合間でもよろしゅうございますから、ぱらぱらめくっていただけたらと思います。

それでは、最初の議題に入りたいと思います。主計局のほうから、宮内さんと中川さん、お二人お越しでございますので、よろしくお願いいたします。

中川主計企画官

主計企画官の中川でございます。よろしくお願いいたします。補助金を担当しております。

それでは、お手元の「資料」と書かれておる4枚紙で説明させていただきます。小泉総理から、16年度におきまして1兆円の廃止・縮減等の補助金改革を目指すというご指示が出まして、それ以来この1カ月ほど、事務的にも、あるいはこの10日間ほどは、財務大臣、総務大臣を中心とする閣僚折衝という形での閣僚級の調整、そして今週に入りましてからは官邸での、官房長官を中心とする調整が進められました結果、1兆円を目指した補助金改革について、先ほど石先生のほうからは数字が固まりましたというご報告だったような気がしましたけれども、骨格ですね。1兆円の中の大きな骨格となる改革が固まってきたということでございます。

無論、まだ予算編成作業は続いておるところでございまして、財務省原案内示、あるいは政府案の閣議決定までまだ調整が続くということでございまして、まだ個々の補助金が幾らの額に16年度はなって、したがって、この1兆円の改革がきちっと達成できているかどうかに関しては、まだ現時点では確たることが申し上げられないという状況であることはご理解をいただきたいと思います。

したがいまして、今日はまだ細かく計数のことをご説明できる状況ではないということでございますけれども、大きな骨格が、お手元の資料にありますように、今日付で、政府・与党という形で文書が作成されまして、この文書により、与党の税調のほうでも今日から税源移譲についての16年度税制改正に関する議論が本格化してきておるという状況でございます。

まず、1ページ目の1.のところは16年度の補助金の改革の骨格のことが書いてございます。具体的には、1枚おめくりいただきまして、(別紙1)とございます。この1兆円のフレームワークがどういうことになっているかということを多少、数字があまり入ってなくてわかりにくい資料で申しわけございませんけれども、Iと書いてあるところが「基本方針2003」及び概算要求基準など、これまでの既定方針に基づくいろいろな削減の取り組み。具体的には、概算要求基準であれば、奨励的補助金の5%削減ないしは公共投資関係費の3%の削減などの削減目標を実施すること。あるいは、「基本方針2003」のいわゆる改革工程の中であります重点項目につきまして、16年度に取り組むべきとされておる課題を実施していくことにより達成される廃止・縮減等の改革、これらを合わせますと4,500億円から4,600億円ぐらいの改革が達成されるのではないかということがまず前提となっております。

そして、II「『1兆円』を目指した更なる取り組み」ということでございまして、先ほど言いました総理のご指示が出て以来、11月の下旬であったと思いますけれども、ここに書いてあります8府省に対しまして、地方の意見も聞きながら、具体的には知事会、市町村会などから出ております提言の中で、廃止すべきですとか、改革すべきとされた補助金などを中心に改革をさらに進めていくということで、それぞれの府省にさらに取り組むべき改革の金額を明示して、さらなる取り組みをお願いした状況でございます。

この表の「取組み状況」というところに書いてある数字は、現時点で各府省から回答を得ていると。これだけの改革は今年度にしますということで、いわばお約束をいただいている金額ということになっております。

したがいまして、このI.とII.を合わせますと、おおむね1兆円の補助金改革が実現するのではないかというめどがついてきたかというのが現状であるということでございます。先ほど言いましたように、具体的にどれだけの改革になるのかということは、予算編成過程が終わってみないとわからないということでございます。

その中で、この閣僚級の折衝などをやる中でなかなか意見調整がつかなかったことの一つが、文部科学省のところの※印に書いてございますけれども、義務教育費国庫負担金に係る退職手当・児童手当の取り扱いでございます。約2,300億円分ございますが、ここの注にありますように、この2,300億円分は重点項目の改革ということでございますので、この表でいけば、I.のほうに分類されていたものでございます。

それからあと、厚生労働省のほうからは、生活保護の国庫負担率の4分の3から3分の2への引下げというものが提案されましたし、また、それをめぐって児童保護費等負担金、特に公立保育所運営費の負担金を16年度において一般財源化すべきであるという提案もございまして、こういう意見をめぐってなかなか困難な調整が一昨日まで続いておったという状況でございます。

これら3つの点につきましては、お手元の資料の4枚目でございますけれども、最終的に官邸での調整を経まして、「文部科学省関係」「厚生労働省関係」という形の文章がまとめられまして、先ほど言いました、児童手当、退職手当等については、上の2つ目の〇でございますけれども、今後その額が大きく変動することが見込まれることから、税源移譲予定交付金を設け、税源移譲までの各年度の退職手当の支給に必要な額を確保し、地方の財政運営に支障が生じないよう暫定的に財源措置を講ずるという形で解決がとられたところでございます。

つまり、16年度からこの2,300億円の部分につきましては、補助金、負担金としては廃止しまして、別途、地方財政上の財源措置を講ずるということになっております。

また、これは暫定措置でございますけれども、いつまでにさらに本格的な見直しをするかということにつきましては、最後の行に書いてありますように、国庫負担金全額の一般財源化の検討等も踏まえ判断するということになっております。

また、3つ目の〇のところで、負担金の一部にあります学校事務職員に係る負担金の取り扱いについては、やはり同じく負担金全額の一般財源化について所要の検討を行う中で結論を得るということで、いわば新たな課題も明記されておるという状況でございます。

また、「厚生労働省関係」のところにありますように、結果的には、最終的には16年度からは公立保育所に係る児童保護費等負担金を一般財源化するということになってございます。約1,700億円弱の負担金が一般財源化されるということでございます。

また生活保護につきましては、結局、16年度ではなくて、17年度に実施すると。それまでの間、この文章の中にありますように、自治体の自主性、独自性を生かし、民間の力も活用した自立・就労支援の推進、事務執行体制の整備、給付のあり方、国と地方の役割・費用負担等について、地方団体関係者と協議しつつ検討を行い、その結果を17年度に実施するということで、今後の課題として明記されたという形で、大きな16年度の補助金改革の骨格がそろったというところでございます。

そして、こういう補助金改革の姿があらかた決まってきたところを受けまして、もう一度1枚目の紙に戻りますが、2.でございますけれども、「平成16年度税制改正において、4,249億円の地方への税源移譲を行う」ということで、(別紙2)のほうを見ていただきますと、内訳が出ておりますけれども、15年度の補助金改革で、これは具体的には義務教の共済長期給付負担金の一般財源化が行われたものが、これまで15年度においては暫定的な財源補てん措置が行われていたわけでございますけれども、その中で国の負担とされた額、2,051億円が今度は16年度で税源移譲される。

また16年度の補助金改革の中で、地方にこの改革の後も事業が残るとされたものについて、さらに効率化を図った上で所要額をこれまで算定させていただいたところ、2,200億円弱ということで、合計4,249億円の税源移譲を16年度において実施するという方針でございます。

ちなみに、また16年度では、税源移譲ではありませんけれども、暫定的な財源措置が、先ほど見ていただいた文章の中にありましたとおり、義務教負担金の退職手当、児童手当についてとられますことから、ここの部分も将来の税源移譲対象と整理できるところでございまして、16年度には、その所要額の全額、10分の10を財源措置をとることになっておりますが、その額は2,309億円。この分も、将来の税源移譲対象の分を含めますと、6,558億円の税源ないしは財源が地方へ移譲されるという形になっているということでございます。

この4,249億円部分の税源移譲につきまして、冒頭申し上げましたとおり、本日から、党税調のほうでも審議が進んでおるという状況でございます。

以上、簡単でございますけれども、私からの説明とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

石会長

どうもありがとうございました。数字が固まったということで丁寧なご説明がございましたが、この(別紙2)に、4,249億円とか2,309億円とか、端数の数字が出てますよね。これはまだ動き得る余地もあろうという意味で、完全に固まってないとおっしゃっているわけですね。

中川主計企画官

いや、ここは、補助金として廃止すると、ないしは一般財源化するというようなことが決まりますと、この15年度の当該補助金の金額がはっきりしているわけですから、その補助金額をベースに、一本一本の補助金につきまして、いわゆる「骨太2003」の中に示されておるように、義務的経費であれば、効率化を働かせて、その全所要額を出した上、全額を、その他のものにつきましてはおおむね8割を目途に税源移譲するといった方針に従って、一つ一つの改革される補助金について税源移譲額を計算しますと、その合計として、結局こういう端数のある数字が積み上がるということでございます。

石会長

だから、僕の質問は、これは固まってない数字として受け取るべきですねとお聞きしたのに対して、まだいろいろ積み上げ計算の結果が出たので、暫定的な数字と理解すべきなのですね。

中川主計企画官

いや、現時点でこれはもう確定している数字でございます。

石会長

お聞きになってわかるように、いろいろその解釈が分かれているようです。よろしいです。どうぞ、ご質問なりご意見。

どうぞ遠藤さん。

遠藤特別委員

1つは中川さんにお聞きしたいのと、それからもう一つは宮内さんにお聞きしたいのですが、この4ページの「文部科学省関係」の中で、一番上の〇の中に、平成18年度末までに一般財源化について所要の検討を行うとありますが、これは国の予算上は19年度に実現するという意味ですか。

中川主計企画官

そういうことと理解しております。といいますか、18年度末までに所要の検討を行うわけですから、仮に17年度中に結論が出て、それが18年度予算に反映されるということもあり得るとは思います。

遠藤特別委員

そうすると、もしそうでなければ19年度ということですか。

中川主計企画官

頭の体操みたいな話だと思いますけれども、ぎりぎり、結論が平成19年の3月31日に出れば、当然ながら19年度予算には盛り込まれないと思いますので、さらに後ということもあり得ると思いますけれども。

遠藤特別委員

そうすると、その税源移譲の問題も19年の3月31日まで影響をこうむることがあり得るということですね。

中川主計企画官

そうですね。骨太の方針では、改革と展望の期間中においておおむね4兆円の廃止・縮減等の改革を行うとされておるところですから、それを前提といたしますと、18年度までにおおむね4兆円の改革を行うということになるかと理解はしております。

遠藤特別委員

我々はそう理解しているのだけれども、そうすると、これは骨太方針の中の削減対象、移譲対象には入らないという意味ですか。だけど、一般財源化だから、やはり税源移譲の中に入るべきなのですね。それは年度をはっきりしておいてもらわないと、石会長が困ってしまいますから。

石会長

それもさりながら、ちょっとお二人、やりとりされている中身を、多分皆さんは理解してないと。えらくテクニカルな話だから。遠藤さん、もう一回集約して。今の、どこに問題があって、どこを今聞いていて、どういう返事が出ているのか。

遠藤特別委員

骨太方針では18年度までに4兆円と書いてありますから、18年度の予算編成の時期までには4兆円がなされて、それについての税源移譲をどうするかということを税調で審議するのだろうと思っていたのですけれども、18年度末に決まるものがあって、相当大きな金額だとすれば、その部分については19年度の予算に反映してしまうので、1年ずれてしまうのではないかということを1つ聞いて……。

石会長

なんか頭の体操をおっしゃったけれども、そういうこともあり得べしということをおっしゃったのね。中川さんは。

中川主計企画官

はい。実はここに見ていただいてます文章はまさしく骨太の文章がそのままコピーされておるものでございまして、字面だけ見れば、すでに骨太の中にそういう可能性を含めたものが入っておるとしか読めないわけですけれども、一方で、私が申し上げましたのは、おおむね4兆円の改革は18年度末までに行うことになっておるということでございます。

石会長

そういうお答えだし、ちょっと遠藤さんもまだ腑に落ちないところがあるかもしれませんが、これにいつまでもかかわっていられないから、18年中に終わるという前提にしましょう。もう一つどうぞ。

遠藤特別委員

もう一つは、宮内さんにお聞きしたいのは、要するに、税源移譲の具体的なものがどういうことになるかというのはこれからここで皆さんのご意見が出るわけですが、どういうものになったにしろ、そこには交付税というものが絡んでくると思うのですよね。そうすると、仮にこの4,200億円の税源移譲をするとすれば、ものによっては約3割近い交付税というものが影響を受けるわけですね。そうすると、財政計画上はその部分が財源不足額に上乗せになってしまうということになるので、あなたがこの間言っていた財源不足額を大きくするのはおかしいと、縮めるべきだという議論からすると、当然、その部分については交付税率を直していただけるというように思いますが、そういうように理解していいですか。

宮内主計官

そういうふうには考えておりません。

遠藤特別委員

別に交渉しているわけではないからそれで答えはいいのですけれども(笑)、それは私は少しおかしいと思いますよ。

宮内主計官

特別な財源措置は行われませんが、通常の地財対策によって地方団体に所要の財源が確保されるということになると思います。

遠藤特別委員

今の発言は非常に大きいのですよ。仮に4兆円の税源移譲をして、4兆円の補助金をなくして、3兆円の仮に税源移譲を実現したとすると、その3割、約1兆円の財源不足が地方財政上自動的に生じてしまうということを今から言っているわけですから、こんな大きな金額をやるというのは、それはやはりちょっとおかしいのではないですか。これは私の意見ですから、答えは要りません。

石会長

というように交付税が絡んでくるということは、皆さん、薄々おわかりと思いますが、これはいずれまたここで本格的に議論しなければいけないと思ってます。ほかにございますか。どうぞ、井戸委員。

井戸委員

私、この1兆円のフレーム自体についてまずお尋ねしたいと思っているのですよ。なぜかといいますと、改革工程による重点項目の改革で、その部分を含めてますというのはまだわかるのですが、予算のフレーム自体で、奨励的補助金は5%削減、公共事業費については3%削減というのは何も4兆円の枠の中で議論した話ではなくて、つまり、16年度予算でいえば11兆円の枠の中で議論した話ではなくて、予算フレーム全体の中で前提としてそのような予算編成をしましょうと決めた話なのに、いつの間にこれが前提になってきたのですか。まだ幾つかありますから、それをまずお伺いしたいということが1つ。

それから第2番目に、今の石会長のご質問とも絡むのですが、税源移譲の対象とすべき補助金と、それから税源移譲の対象とすべきでない補助金とをどういう基準で区分されたのでしょうか。その基準が全然わからないから、このフレームそれ自体の信憑性が我々理解できないのですよ。私だけかもしれないけれども。それが2番目。

それから3番目。そのことについて関連して言いますと、例えば国土交通省の2,210億円程度の河川改修費補助だとか地方道改修費補助だとか、いろいろ挙がってますが、こういう事業は、事業量を減らせばそれで済むのだからやらなくていいのですという前提で、移譲対象、財源措置対象から外しているのだとすると、全く間違っていると。

だって、ここに書いているような河川改修とか地方道改修とか下水道事業とか、やっていかなければいけない事業、目白押しなのを四苦八苦しながら予算編成しているのが我々の立場なのに、国はこれを、1兆円削減だからカットしますから、あとはやらなくていいですと本当に国がそのように、地方団体、この分やるなというようなことでも言っていただかないと、何らかの財源措置がなされない限り、これは我々としてはものすごく予算編成上困ってしまう事態に陥ってしまうということが第3番目です。

それから4番目に、積み上がってきたとおっしゃいましたので、4,249億円積み上がってきたということならば、繰り返すようですけれども、その基準を明確にしていただかないといけないのではないか。

石会長

すみません。今日、これは本論ではないのですよ、この税調でやる議論の。まず準備的な条件をお尋ねしてということですが、やはり当事者、いろいろお考えがあり、わんわんありましたけれども、必要最小限度のご返事をして質問に答えて、あとは私は即我々の主たる使命であります税源移譲に移らなければいけませんから、ただ、いろいろご不満も出てますから、全部解消するのは難しいとしても、やや解消する程度ぐらいの話をちょっとしてください。

中川主計企画官

最大限の努力をさせていただきます。

まず、奨励補助金5%及び公共の3%カットですけれども、この4兆円の取り組みを決めておる補助負担金等整理合理化方針、いわゆる「骨太」の中に含まれている整理合理化方針の中では、奨励的補助金についても原則として廃止するという基本方針が出ております。さらに、奨励的補助金の改革については、数量的目標まで決めて実施するということもその整理合理化方針に書かれているところでございまして、それに向けた取り組みでございますので、当然ながら、奨励的補助金などの取り組みはおおむね4兆円の枠組みに含められると考えておりますし、それから重点項目では公共事業の分野も挙げられているわけでございまして、それにのっとって公共投資の関係費の見直しをしておるということでございます。

それから2番目の、移譲対象となるのかそうでないのかということにつきましては、骨太の中で、補助金改革をやった後、事務事業が引き続き、主として地方において行われるものであるのかどうかという基準が示されておりまして、今般、総務省とも調整の上、そういう考えに従って区分をしたということになっております。

3番目の公共事業の取り扱いでございますけれども、まず第1に、国としましては、「改革と展望」の中で、公共投資をバブル期以前に戻すということで、国・地方を通じて公共投資の事業量の見直しをするということになっておりますので、補助金の世界での公共事業の世界が減ったからといって、その財源を地方に渡して、地方のほうで事業量を増やしてくださいということにはならないだろうと思います。国・地方を通じて公共事業のスリム化というものを求めるというのが、今、国の政策方針であろうと思います。

また、公共投資関連経費につきましては、実際の財源は公債でございまして、税源ではないということも一つの要素かと思います。また、地単事業の乖離の話は、この前もここでもご紹介あったと思いますが、そういう地方の地単事業の財源事情を考えますと、国の補助金がなくなったからといって地方に財源を渡すということにはつながらないのではないかと現時点では整理をしております。

4番目、積み上げでございますけれども、これは細かく説明し出したら切りがないわけですけれども、補助金改革といいますのは、一本一本の補助金の事務事業の見直しをするということが第一原則でございまして、税源移譲額につきましても、一本一本の補助金の事務事業の見直され方、そして見直した後で、先ほど言いましたように、事務事業が引き続き地方において行われるべきものかどうかということを一つ一つについて見ておるわけでございまして、その結論としての数字が、ここにありますように、4,249億円になっているということでございます。

石会長

まだいろいろご不満残ろうかと思いますが、我々の時間をあまり、これに費やすと言うと怒られますけれども、時間を使うわけにいきませんので、後ほどまたいずれ機会を見つけたいと思いますが、これにてこの問題を打ち切らせていただきます。お二人、どうもお忙しいところありがとうございました。いよいよ我々として我々の問題に取り組むことにいたしましょう。

(宮内主計官、中川主計企画官退席)

石会長

そこで、第2のというか、今日の主要な議題は、今のようなご説明、ちょっとまだ固まってないという前提ではございますが、大体おおよその規模が出てきた段階で、税源移譲というのを具体的にどうしようかという議論をこれからするわけでありまして、一応、基礎問題小委員会で2回にわたりまして議論いたしました結果を「これまでの審議状況」という形でまとめてございます。

そこで、これを大急ぎで読んでいただきまして、若干私が解説を加えて、今日の議論をいただきたいと考えております。申しわけありませんが、ちょっと事務局、お読みいただけますか。

(事務局:「これまでの審議状況(三位一体の改革)」朗読)

これまでの審議状況(三位一体の改革)

【基本的視点】

― 地方の自己責任原則、自己決定原則に基づき、地域住民の受益と負担の関係を明確化するとともに、地方自治体が自ら徴税努力を行い、これにより住民が支出に対して厳しく監視することが地方分権、地方自治の本旨である。三位一体の改革の内容について検討する際には、こういった改革の目的に沿って考えることが必要。

― 三位一体の改革にあたっては、税源移譲のみならず、地方自治体の行政のあり方やパフォーマンスをも含めて議論すべきであり、拙速に話を煮詰めることは適当でない。

― 国と地方の事務配分や税源配分を国、都道府県、市町村で横割型に整理しようという発想で議論がなされようとしているのであれば、基幹税を国、都道府県、市町村が共有しようというようなイメージで捉えることはおかしいのではないか。その場合、税収の配分ではなくて、課税ベースや税率を自主的にコントロールできる税は何かということを長期的には考えるべき。

― 税源移譲については、国税・地方税・社会保障負担の3つをどのように組み合わせるかといった国民負担全体の方向性を念頭において議論を進めることが必要。

― 厳しい財政状況の下、国・地方ともに中期的には増税が避けられない中で税収中立の税源移譲を行っても意味がないのではないか。増収を図る中で税源移譲を行うべき。

― 税源移譲に当たっては、申告納税、源泉徴収の円滑な実施を確保するため、徴収面から見た場合の実行可能性という観点も踏まえるべき。

― 税源移譲に当たっては、住民に身近な市町村にウェイトを置いて行うべき。

― 中長期的にあるべき地方税の姿について税調としてメッセージを発するべきであり、細切れに税源移譲を行うことは良い結果をもたらさない。

― 現実問題として来年度何をするかという問題と、来年以降腰を据えて何を議論するかという問題を仕分けして考えるべき。

― 短時間のうちに根本的な問題を議論して結論を得ることは無理であり、今、基幹税に手を付けてしまうと将来に禍根を残すことになる。

【個別税目について】

― 地方自治の基本的な税源は課税自主権や応益性の観点から、個人住民税と固定資産税を基本とすべき。

― 税源移譲は、住民税か消費税で行うことが考えられるが、地域住民のコスト意識を高める観点からは、税源移譲は住民税を増やす方向で行うのが望ましい。

― 個人住民税の充実を基本に税源移譲を行うのが理想的だが、細切れに移譲していくのではなく、あるべき個人所得税体系や国・地方のあり方について本格的な検討を行った上で移譲を実現すべき。

― 消費税から地方消費税へ移譲することについては、地方消費税の税率は地方公共団体が自主的に決められないという問題。また、消費税は社会保障に結びついた財源であるが、地方においては福祉に関する支出についてコスト意識を自治体が持つようなしくみになっていないことから、安易に地方消費税への移譲を行うことは適当でない。

― 地方消費税の機能は地方交付税と実質的に同じであり、住民の自治意識につながらないことから、地方分権の観点から好ましい地方税とはいえない。付加価値税については、所得型の付加価値税である事業税を地方が、消費型の付加価値税である消費税を国がというように分けるのが適当である。

― 国の消費税については、社会保障財源等の問題があり、税源移譲の議論だけで簡単に決めてしまうべきではない。

― 地方税体系は、地域社会のメンバーシップを持つ者が納める個人住民税と、地域社会で様々な事業や取引をして、その地域社会からサービスを受けている者が負担する地方消費税を軸として、国と地方の役割分担に応じ配分すべき。

― 福祉・教育等により地方財政が膨張していく中で、その基礎的な部分を地方消費税で賄うことが必要であり、全ての地方税について税率の自主決定権が及ばなくても構わなく、課税の自主性は住民税の税率を自由に決定することによって自治体間の差をつけられれば良い。

― 現在の税体系は、これまでの望ましい国税と地方税のあり方についての議論の結果であり、基幹税といえば、消費税か所得税であり、1兆円の国庫補助金カットに対し、基幹税として移譲可能なものはどちらなのかを検討し、それを答申に盛り込むべき。

― 具体的な移譲税目については、移譲額の程度に応じて議論すべき。

― 税源移譲は所得税で行うことが理想的であるが、来年移譲すべき税目は、現実的にはたばこ税以外に無い。

― 今後、たばこ税がどの程度の税収になるかと考えた場合、たばこ税を地方財政の基幹税と位置付けるのは非常に難しい。また、たばこ税は喫煙者のみが負担する税であり、負担分任という地方税の原則から見て望ましいかどうか疑問。

― 今年度に関しては現実論としてたばこ税の移譲しかないと思うが、後でもう一度長期の税源配分のあり方を検討することとし、たばこ税の移譲は時限措置としてはどうか。

― たばこ税は基幹税に入っておらず、これを移譲するかどうかは政治の世界で決めればいいのであって、税制調査会の議論としては、むしろ三位一体改革の意義について筋論を展開し、その中で税源移譲の考え方を示せばいいのではないか。

石会長

ありがとうございます。2回にわたる基礎問題小委員会ではほとんどの委員の方からご意見をいただきまして、議事録を全部起こしまして、ダブっているものは除き、主要な論点をすべて整理いただいたという形において、基礎問題小委員会のご出席の方々、ご自分たちのご意見がどこかに反映されているとお考えいただいていると思います。

そこで、基本的な問題で問題になったこと、個別税目で問題になったこと、お読みいただければわかりますが、ちょっと先取りして申し上げますが、月曜日には小泉首相に来年度税制改正という形で答申を持っていきたい、そういう期限が決まっておりまして、今日と月曜日で税調としての意見を集約したいと考えておりますので、どういう点でご議論いただいたらいいかという点を、私の座長としての務めというか、希望としてちょっと申し上げておきたいのですが、基本的な論点では幾つか書いてございます。

一番の問題は1ページ目から2ページ目に書かれていることでありまして、要するに、中長期的な税源移譲ということについては、どういう税をするかというのは若干の齟齬はあるかもしれませんが、一応中長期的には移すべきであると。これはもうはっきりしておりますので、ここはあまり争点がないと思いますが、問題は、現実問題として16年度にやるべきこととそれ以降にやるべきことを分けて議論するのかどうかですね。おそらくそれによって税源移譲として選ばれる候補も違ってくるということもございまして、その辺の仕分けをしてやるのか、それとも、中長期である姿を描いて、それの第一歩として16年度を考えるか、これが今日ぜひご議論いただきたい点であります。

それから個別税目につきましては、住民税、地方消費税、たばこ税、3つが出ております。そこで、おのおのの利害得失が全部出ておりますので、これはどこに重点を置いてお考えになるかは個々人の考え次第だと思いますが、これをどういう形で税源移譲の中に盛り込むかという議論をこれからしていただかなければいけません。それは第1点の中長期的な視点でやって、前倒しであるものをやっていくのか、それとも、中長期と16年度を分けて、税目も分けていくのか、おそらくこの辺が争点だろうと思っております。

それでは、まだ1時間半近くございますので、この2つにつきまして自由にご議論いただいて、できれば月曜日には、要するに三位一体論としての税源移譲ということにつきまして文章を作って提示いたしまして、起草会合でご議論いただくという作業をした後で、また総会でご承認いただいて答申に持っていかないといけないという作業がございますから、この週末にかけて、私自身も書きますが、その方向性を今日の議論の最後にある程度固めておいていただかないと書きようがないということもございますので、いろいろ個々のお立場あろうかと思いますが、国民の負託を受けたこの税調として、個々のお考えを中心にしてお出しいただきたいと、このように考えております。

それでは、どなたでも結構でございますから、基本的な視点の問題と個別税制についても、これは両方絡まっておりますから、これを自由にご議論いただけたらと思います。

どうぞ。

井戸委員

先ほどもご質問申し上げた意味は、1兆円の補助金削減と、それから税源移譲との関係ですね。それで、あまり明快な答えをもらったとは思ってないのですが、それはともかくとして、ここにあります4,249億円、プラスマイナス幾らかあると思いますが、おおむね5,000億円前後ぐらいを前提に議論を進めるということでよろしいのでしょうか。

石会長

ええ、そういうことです。それでよろしゅうございますね。今の井戸さんのご指摘、非常に重要でありまして、基礎問題小委員会のときには決まってなかったのです。額が。ただ、1兆円ではなかろうと。しかし、2,000~3,000億円ではなかろうと。イメージとしては、5,000~6,000億円のイメージでこの議論をしておりましたから、今日、主計局の説明、大体5,000億円前後、5,000億円以下ということですかね。4,000~5,000億円という、そういうものを前提にした形で税源移譲何がいいかと、時期はどうだと、こういう議論として共通の認識を持っていただきたいと思います。

じゃ井戸さん、言い出したついででございますから、どうぞご発言ください。皆さん、今日はどんどん個別に言ってもらわないとけりがつきませんから。

井戸委員

私は1兆円のもともと補助金の削減が4,000~5,000億円になってしまうというのが全然理解できませんけれども……

石会長

これは税調の責任ではありませんから、さておいて。

井戸委員

それはさておきまして、今後の4兆円の補助金削減と税源移譲ということとのかかわり合いをよくにらみながら、やはり税源移譲の議論をまず大前提として進めていただく必要があるのではないかというのが1つです。

さて、じゃ初年度としての16年度、具体的にどうしていくのか、金額がいささか小さいではないかという議論もあるのかもしれませんが、私はやはり、特に地方の側からいたしますと、骨太の方針で基幹税ということが明確に方針として出されたということもございますので、ぜひ基幹税を税源移譲の対象にしていただきたいというのが私の主張でもありますし、地方側のお願いでもあります。

ただ、基幹税というのはそんなにそもそもいじれるのだろうか。技術的な問題もあると思うのですね。例えば所得、税率ブラケットをいじったり、税率をいじったり、住民税なんかもいじれるのかということはあるのかもしれませんが、それは1つ、つなぎの対策だということを明瞭に打ち出せれば、例えば1%、所得税率を住民税のほうに移譲して、所得税のほうの額は所得税で調整する。定率減税、定額減税みたいのを今までやってますので、あれの仕掛けなんかでも活用すれば十分技術的にはできないわけではないのではないかと思いますし。

それから地方消費税について申しますと、今4:1、4%、1%なのでありますが、たばこ消費税も、実を言いますと配分の割合を変えているということだけでありますので、消費税の税率をそんなに安易にいじるのかねという、そういう議論はもちろんありますが、やれないわけではない。そういう意味で申し上げているので、そういう意味で、今回の1兆円が4,000~5,000億円の税源移譲にしかならないのかねというような意味での、地方の側のある意味での落胆を、恒久税を移すというような形で、4兆円のシナリオに対してはきちっとやっていくのだという方向性をぜひ政府としてこの際示していただくことが…。

石会長

税調としてですね。

井戸委員

失礼しました。税調として示していただくことが非常に大事なのではないかと思いますので、とりあえず総論的に申し上げさせていただきます。

石会長

どうぞ。

遠藤特別委員

今の井戸さんの議論とちょっと関連しますが、4,200億円というのは基幹税と言うと消費税か所得税になるのですけれども、方法論はあるかどうかということを前提として聞いておきたいのですが。

石会長

方法論というのは、今言った所得税、消費税の中でということですか。別な税でということ。たばこ税って出てますよね、ここで。

遠藤特別委員

たばこ税は金額ですから、どうにもできると思うのですけれども、消費税で例えばやるといったら、そのぐらいのことはこうすればできるとか、それから所得税と住民税とのあれもこうすればできるとか、そういう具体的な問題が、額が小さいから、できるのかどうかという技術的な問題をちょっと明らかにしておいてもらいたい。

石会長

それはやる気になったらどんなことでもできるのでしょうけれども、ただ、本来の筋を大いに曲げて基幹税を小刻みに何やら移していくというパッチワーク的なことをやるかどうかという好みの問題ですよ。おそらく総務省も主税局も、それはやるでしょう。知恵を絞れば。遠藤さんだって昔やっていたのではないの、そういうことは。違う?

遠藤特別委員

ただ、金額が小さいから、そう簡単にできるのかという……。

石会長

そうそう、おっしゃるとおりですよ。その問題はあると思いますよ。どうぞ、上野さん。

遠藤特別委員

ちょっと待ってください。それはできるという前提でいいのですね。

石会長

いいのではないですか。何らかの形で、非常に変な格好になるかもしらんけれども、技術的には全く不可能ではないということではないですかね、それは。

どうぞ。

上野特別委員

私はその点は非常に大事だと思いましてね。だから、やれるというのはどういうやり方でやれるのか、パッチワーク的なものでしかできないのか、本格的にやろうと思えばこの段階でこれぐらいの税額でもできるのか、そこはやはり知りたいですね。

石会長

そうでしょう。僕はパッチワーク的だと思ってますけれども、事務局、佐藤さんと株丹さんのほうで何か、今のようなご質問について、事務当局としてのお考え、ございますか。

株丹都道府県税課長

税目の中で言えば、たばこ税については過去も、財源対策的なという感じでございますけれども、本数当たりの金額を動かすということで十分対応可能。それから地方消費税については、今の4:1というものをどういう形で分けるかということにより対応可能。

石会長

だから、3.5:1.5みたいな話でしょう。

株丹都道府県税課長

はい。それから個人住民税、これは所得税との関係がございますけれども、例えば個人住民税のほうで、今の税率が5%、10%、13%とございますけれども、額がある程度小さいということでございますが、5%のところに対して1%程度を上積みするとして所得税との関係で、税額控除というような方法をとることによって、いろいろな方法があり得ると思いますけれども、これについても技術的なものとしては十分に対応可能と考えてございます。

石会長

佐藤さん、何かありますか。どうぞ。

佐藤調査課長

今ご指摘ありました点は、紙の上ではそういうことは可能でしょうが、税制というのは生きたものですので、例えばそれがフィージビリティがどうであるかとか、あるいは15年度の中期答申でいただいたさまざまなご指摘とか、そういうものとの全体としての中で評価するということは必要であると思いますが、技術的には絶対不可能ということはないと思いますが、全体としてどういうものが望ましいかということとの整合性をどう確保するかという点が重要だと思っています。

石会長

今、両省から代表選手が出てご説明いただきましたが、そういうことであります。

じゃ中里さん、尾崎さん、どうぞ。

中里特別委員

金額の問題はいかようにでもなりますし、それからとったお金を分けるということであればそれは何とかなるだろうと思いますが、ただ、地方自治ですから、徴収を一元化して、みんなでとって分けようという共同税みたいなものであればよろしいのですけれども、地方税ですから、徴収は自分で行うべきなのではないでしょうか。つまり、自分で徴収しない税金を自分によこせというのがどこまで通るのか。もちろん、苦しい台所ですから全面的に否定するつもりはないのですけれども、すべて地方消費税のようになってしまえば、そういうのって地方分権なのでしょうかね。非常に危惧を覚えるのですが。原理・原則、書生論で申しわけないのですけれども。

石会長

ということは住民税でやったほうがいいということですね。書生論もいいけれども、具体的……どうぞ。

井戸委員

もともと地方消費税の創設の経緯から見ましても、どういうとり方をするかというのはいろいろな議論があったのですが、我々が主張してましたのは、自分でとるぞということを言っていたのですよ。そういうふうな税制度でも仕組めるわけですから。しかし、納税者の利便だとか、今のような少額――少額と言ったら語弊があるかもしれませんが、5%の中の1%というような地方消費税の存在ということを前提にしたときに、徴収まで自前でやるというのはいかがだろうかということで、こういう形に決着したという経過もありますし、私どもは基本的に、地方自治の立場から言って、徴税権ということを考えたら、徴収まで自前できちっとしていくというのが原則だと考えております。

中里特別委員

そういうおっしゃり方もできるだろうと思いますけれども、現実の地方団体の徴収の能力というのでしょうか、体制ですね。個人的な能力は皆さんおありになると思いますが、徴収体制が、とてものこと、複雑な執行に対応できるだけの人数もいませんでしょうし、トレーニングも、例えば県の間接税といえば自動車税しかやってないわけですし、市町村で固定資産税以外に自前で執行できると本気でお考えであるとすれば、それはすごいことだと思いますが、どうなのでしょうか。

井戸委員

あまり論議をするつもりはありませんけれども、実際問題として、我々、地方の側からは、消費税を作るときに、例えば娯楽施設利用税だとか、料理飲食等消費税だとか、そういう自前の税金を消費税という形に統合してきた経緯があるわけですね。そういう経緯の中で、ご心配のような具体の徴収の機会が薄れてきているということは事実です。しかし、一方で、単独にいろいろ、当該自治体だけでやるのではなくて、これだけITも発達している時代でありますから幾らでも連携等は、やっていける体制を組むか組まないかと、そういう問題だと思います。量の問題だと思いますので、ご理解をぜひいただきたいと思います。質の問題ではなくて。

石会長

確認しておきますけれども、地方消費税は事業者から兵庫県で集めたら、すぐ兵庫県で全部落ちつくわけではないですよね。清算をしなければいけませんね。そういうことを踏まえておっしゃっているわけですね。

井戸委員

はい。

石会長

わかりました。

じゃ尾崎さん。

尾崎特別委員

地方消費税の沿革の話なんか言い始めますといろいろあれですけれども、実際、地方税法を読みますと、個別に地方団体が地方消費税を自分で徴収できるような法律の書き方になっているのですよね。しかし、できないで現在のようなことになっているというのが本当だろうと思うのですね、やはり。それで、地方消費税というのはやはり税収の移譲でありまして、税源の移譲ではないわけですよ。骨太の中に基幹税と書いてあるとおっしゃるのですが、全部、繰り返し繰り返し税源移譲と書いてあるわけですよ。

ですから、本当に今の地方消費税が税源の移譲、住民と地方団体との間のその両者の対面があって、それで税の徴収が行われているという、例えば住民税のような、そういう性格のものでない。ただ単に収入を移していると。確かに調整はしますよ。だけど、これは配分ですから、これは税の世界よりか、むしろ予算の世界なのですよ。配分というのは。そこでやっているわけですよね。だから、それは普通の税と違って、ほとんど地方交付税と同じものだと。やり方は配分のやり方が違うだけということだと思うのですね。

その税収移譲的なものは、交付税だって今度、三位一体ではむしろ減らしていく方向にあるわけですから、税収移譲的なものはむしろ減らす。税源を渡して、そこで地方分権の問題を本当に考えると。先ほど中里先生おっしゃったような、まさにそこに来るわけですね。そういう地方分権の目的に沿うように、大正時代から言っているではないかという大論文が出てますけれども、本当にそういう昔から言っている、どうしてもやりたい目的に沿うように、物事をこの税調で組み立てていかなくてはいけないと思うのですよ。

そのためには、時間がないです。月曜日までとおっしゃって、今から大議論を幾らやったって、出ないと思います。そうしたら、月曜日までに何ができるかといいますと、おそらく四千数百億円を公債でつないで、そして後でちゃんと税の議論をしてからきちんとそこはするからと言うか、あるいはたばこ税のように、わりあい簡単にできる、前にやった例もあるというようなものをとりあえず移譲しておいて。ただの配分ではないですよ、たばこ税というのは。たばこ税というのは、地方にいくものは消費者に小売で売る段階で課税になってます。それから国に渡しているたばこ税というのは製造所から出るときに課税になっている。違うのですよ。だから、そういう意味で、地方の消費者と密着している部分と、国全体の部分とあるわけですから、そこでとりあえず税源で移譲するということにこたえるかと、そういうことではないかと思います。

石会長

今日は全員の方にご発言いただきたいと思いますから、お考えを固めてください。どうぞ、岩崎さん。

岩崎専門委員

私も、今尾崎さんがおっしゃったことに賛成ですね。これは皆様、地方サイドと言うと語弊があるかもしれませんけれども、今日と月曜日、2日でしょう。それで財務原案の内示が20日か21日ぐらいですか。その間に、つまり、基幹税だとかその辺に果たして手をつけられるのか。先ほども話が出ましたように、交付税の見直しというのは不可欠ですよね。それについての議論もまさにできませんよね。これはやはりとにかく、16年度とそれ以降をはっきり分けて議論せざるを、物理的にもいかないのではないかと思うのですね。

16年度で、今出ているたばこ税にしろ、地方は、つまり、税収がたばこ税、どんどん少なくなるからみたいな心配もあるでしょうけれども、であれば、つなぎとして時限的にそれをやっておけばいい話で、基本的な議論というのは16年度以降にやったほうが、これは本当に現実的ではないかと。それをやらないと、ただ混乱していくのみだと考えております。

石会長

一つの意見だと思います。どうぞ、遠藤さん。

遠藤特別委員

私はちょっと意見が違うのですが、やはり税調として、さっき聞きましたら方法論があるというわけですから、金額は仮に4,000億円であろうとも、三位一体なのですから、三位一体というのは、やはり税源移譲というのは重要な柱になっているわけで、しかも、さっき井戸さんが言ったように、基幹税というのは一つのキーの言葉になっているわけでありますから、きちっと国民にも、それからこの場合は特に市町村だと思いますけれども、市町村にも、税調としてきちっとした議論をしてやりますよという、三位一体の中で基幹税の移譲というものをきちっと書くべきだと思います。

それからもう一つ、今たばこ税の話が出てますが、私も随分地方財政やってきましたけれども、たばこ税というのは財源対策のことが多いのですよ。三位一体というのは財源対策ではなくて、やはり税源移譲ですから、もしたばこ税を頭の中に置かれるのであったら、文章の中では財源対策をしておいて後からやるとかいうように書くべきですけれども、私が先に言ったように、方法論があるのであれば、基幹税をきちっと書くべきと思います。

石会長

じゃ田近さん。

田近委員

税源移譲、そして基幹税を書き込むべきかどうかという議論に集中しているのですけれども、基本的な視点でぜひ書くべきものだと私が思うのは、今やっている税源移譲の議論というのは、本来その地方にあるべきものは何かというのが背後にあるとしても、現実の現在の財政状況で行っている議論なのだということをまず第1点、書くべきだと思います。

現在の財政事情は何か。具体的にいくと、マクロはどうなのだと。そうすると、中央政府で一般会計で80兆円使って40兆円の税金しかない。残りの40兆円は借金できているわけですよね。そういうときに補助金をカットしたらば、その部分は100%税源移譲しろと言うけれども、考えてみたら、半分は借金しているわけですよね。借金も半分背負っていくような形にならざるを得ないわけで、つまり、ここで共有しなければいけないのは、そうした厳しい状況の中で財政が運営されているわけで、仮に4,000億円移譲すると言ったって、さっき尾崎さんがおっしゃいましたけれども、この部分は借金を増やしてファイナンスするかもしれないというわけで、その点はきちんと明記すべきだと。

それから交付税についても、これを前提にして我々やっているわけで、その問題も触れざるを得ない。税源移譲で損するところも得するところも市町村は実際出てきて、それに対して交付税を通じて安易に補てんすべきではないし、それから税の分割基準というのも、そういうものをなし崩し的に解決するためにやるべきではない。最終的には水平的調整が要るのかもしれない。

それから補助金についても、何が何でも捨ててしまうというわけではなくて、まずはその縛りを解くこと、そして交付金化できるものは交付金化していく。つまり私が言いたいのは、ここで基幹税に入る前にやらなければならない議論はいっぱいあると。それを飛ばして、岩崎さん等は時間的なことをおっしゃいましたけれども、私は、時間もさることながら、議論の構築として、それを飛ばしてこの段階で基幹税を地方税がいいのか所得税がいいのかなんていう議論はまだ入るべきでもない、議論すべき段階でもないと思います。

石会長

ほかにいかがでしょうか。

じゃ村上さん。

村上委員

この前も申したことと同じ趣旨ですが、今度の三位一体論というのはやはり、地方分権、それからその三位一体という方法を通じて行政のスリム化とか効率化とか、そういうことを実現していくというところに意味があると思うのですね。政府税調の場合、やはりそれを踏まえて、その税源移譲の問題もとらえていかなければいけないと。

税源移譲ということになる場合には、ずっと閣議決定の経緯もあるし、税調答申の経緯もありますから、所得税とか消費税とか、そういうものを全く外して議論することはできないわけですから、それはきちっとそういうものを踏まえてやっていくと。その中に交付税の問題とか、いろんなスリム化の問題を織り交ぜて議論していく必要があるということだと思うのですね。

さはさりながら、16年度、あと1週間かそこいらで何かできるかというと、消費税は大変な議論になってますけれども、例えば議論の少ない所得税についても、課税最低限がまるで違いますよね。国税は325万円ですか。それから地方税のほうは、住民税のほうは270万円ぐらい。そうすると、例えば非常に底辺のところの人たちの、税金を所得税で納めてない人たちの問題、それは住民税にいくとあげてしまうと、とられてしまうと、増税ではないかという話にもなりますわね。そういう技術的な問題を解決しようとすると、それではそれを還付するのかとか、それから源泉徴収、それから年末調整、そんなことをいろいろ考えると、所得税を、4,200億をいじるために今所得税をどうすべきかという議論はここでなかなか難しい。実際問題として完璧な答えは出せないのではないかなという気がしますね。

そうなれば、それはたばこ税がやりやすいのであればたばこ税でしのぐと。しかし、たばこ税をやったからもういいという話ではなくて、これは16年度から18年度にかけて4兆円をやろうとしているわけですから、たばこ税だけやったからといって、それで足りるわけではないでしょうから、いずれにしても基幹税の問題も出てくるわけで、それは来年に入ってからじっくり議論をしてやればいいのではないかなと。

だから、政府税調としては基本的な立場をまずやはりきちっと書かなければいけないし、いきなり初めにたばこ税ありきということでは私はないと思いますから、しかし、現実問題としてはたばこ税しかないのかなとは思いますし、それは別に、たばこ税だって今までの経験が十分あるわけですから、それは可能なことだと思いますから、その辺はちょっと位置づけをきちっとしておいたほうがいいかなと思います。

石会長

ありがとうございます。

水野さん。

水野委員

今日と来週1回ですね。時間的に見て非常に難しいと思いますが、小泉首相の諮問の中に、平成16年度についても基幹税という言葉が入っているので、これが難しいわけですけれども、やはり今からできることといったら、こういう基幹税を、近い将来こういう方向でと、そのぐらいのことが示せたら精いっぱいではないかと私は思うのです。そうなるとやはり、現実に動かすお金というのはたばこ税というものに頼らざるを得ないかなと考えております。

それから、いざ基幹税ということになった場合には、前回も申し上げましたが、やはり所得税から住民税へということが基本的に、それ以外にちょっと私としては考えられないのですが、あと、神野さんと、それから関西学院の林先生ですね。どちらのペーパーを見てもびっくりしたのですが、消費税が地方に簡単に移譲できるようなことが書いてあるのですが、これは先ほど尾崎先生がちょっとおっしゃいましたけれども、実際にワーキンググループを作ったときに困ったのは、税収の帰属と消費している場所が食い違うではないかと。本来ですと、これはヨーロッパのEU諸国と同じように、付加価値税、これは消費型の付加価値税ですから、それぞれのところにクリアリングハウスがないとできないものなのですね。それでしようがないので、裏の駆け引きはわかりませんけれども、今この消費税の形を先行きも崩さないで行うにはどうしたらいいかというと、国税に地方が徴収を委託するという制度になったのですね。

これを本当に地方がやりますと言って、消費税、それぞれの地方がやるとなると、まずぶつかるのが県と県の間。ここを調整しないと非常にアンバランスが生ずるということなのですね。そういう理論的な検討の結果でき上がったのが、さっきからご意見出てますけれども、単に財源と見たときの消費税が一部、地方に配分されると、そういう仕組みになってしまっているわけですので、これをそのままの形で移譲する、例えば25%になっているのを50%にすれば話は簡単ですけれども、資料の一番最初にあります地方の自己責任原則、自己決定原則、これから見ると何の意味もない税制になってしまうわけですね。

で、繰り返しですけれども、技術的に見ても、地方でとるのは、小売でやればできますけれども、多段階になっている消費税についてはまず不可能であると私は思います。

石会長

ありがとうございました。どうぞ、ご遠慮なくどんどん。2回目でも結構ですから。

尾崎さん。

尾崎特別委員

井戸委員にちょっと質問なのですけれども、地方税法の3条に、地方団体が税の賦課徴収をするには当該地方団体の条例によらねばならないと書いてありますね。そうすると、今の地方消費税――今の地方消費税ですよ。現実に行われている。それの賦課徴収について条例で何か書いてあるのですか。おそらく国がほとんど全部やってしまっていて、地方としてはいただくだけで関与してないと思うのです。条例にどう書くのかなと思うのですが、それを教えていただきたい。

それから基幹税というのは、骨太に書いてあるのは、「基幹税を基本として」と、「基本」と必ずついているわけですから、基本の議論はちゃんとやらなくてはいけませんので……。

石会長

「基幹税の充実を図り」ですよ、骨太は。「基幹税の充実を図り」と書いてあって、我々、修文したでしょう。つまり、増やしてという意味でしょう。

尾崎特別委員

「基幹税を基本として」とかと書いてありませんか。

石会長

いや、それは「充実」なのですよ。言葉が。違いましたか。

事務局、どうぞ。

佐藤調査課長

「基幹税の充実を基本として」と、こう書いてあります。

尾崎特別委員

だから、要するに基幹税だけの話ではないのですよね。それを基本としてですから、別段、たばこ税の話はいかんという話でもないし、たばこ税以外の税で、もっと適当なものがあればそれを議論すればいいだろうと思うのですね。

石会長

ただ、井戸さんより、事務局が何か資料を持っているのではないですか。井戸さんでもよろしいですけれども、頭に入っていると思いますけれども。

井戸さんに質問ですから、じゃ井戸さん、どうぞ。

井戸委員

現実にうちの県税条例でどう書いているかというのに確信があるわけではありませんし、今材料を持ってませんが、ただ、徴収に全く触れてないことはないので、これは国の徴収の根拠を、地方税法の規定に基づいて徴収するというような根拠を書かせていただいていると思っています。ですから、何ら徴収について触れてないということはないと考えております。

尾崎特別委員

国が徴収をしているわけですね。

井戸委員

委託をしているわけですよね。ですから、その委託の根拠の規定を条例の中に書かせていただいていると。

石会長

何か株丹さん、その情報ありましたら。

株丹都道府県税課長

今の地方消費税につきましては、国内の分と国外からの分、分けて書いてございます。国外からの分につきましては、これは恒久的に、具体的には税関でございますけれども、消費税とあわせて徴収関係は全部やるのだと。それに対しまして国内の分につきましては、本来は地方がとるということを前提といたしまして、しかしながら、「当分の間」というのが法律に書いてございますけれども、税務署に委託をして納めていただくと。したがって、具体の事務のほうは当分の間は地方の分をあわせて国がやっていただくということになってございます。

それから一般的に税のほうの条例でございますけれども、できるだけ煩瑣をいとわずに、税法と重複することも含めて条例のほうに書いていただいて、それで納税者の方について、地方税の体系がわかるような、具体的にはもちろん課税標準とか税率とか、こういうものは不可欠ということでございますけれども、書かせていただいているということでございます。

申しわけございません。兵庫県の具体は、私も、申しわけないですが。

石会長

じゃ宮島さん。

宮島特別委員

今日ペーパーが出ている神野さんにしても林さんにしても、我々とみんな同僚ですので、研究者として彼らが考えていることはそれなりに私もよくわかります。ただ、おそらく、お二人にしても、非常に短期間に、我々がこう考えている分権にふさわしいような税源と、それは例えば税率を地方公共団体がみずから決定できる、あるいは課税標準も決定できる、あるいは徴収行政もみずからの事務として担うというような形で、所得課税なり、あるいは消費課税なりを再編成して本格的なものにしていくということになれば、そんな簡単に短期間にできない、あるいは議論をかなり積み重ねなければいけないということはおそらく承知されていると思うのですね。

例えば住民税で言いますと、私たちは前々から、今の前年課税制度は何とかしてもらえないだろうかと。前の年の所得税の申告を終わって、それをもとにして12カ月に割り振るというのは大変サラリーマンにとっては、最初の年はないのだけれども、定年になってから突然かかってくる、こういうのは非常に不公平なり不満の源泉でもありますから、こういうものを直せないだろうかということも無論ございますし、それから比例税率部分だけを持っていって、累進部分をというような北欧型のものも構成するのはそんな簡単ではないと思いますね。

それから地方消費税にしましても、我々、本来ならば、実は今のような仕組みではなくて、例えばリチャード・バローとか、東大では持田君なんかは前から言っている、ディファーラブル型と言って、国税調査をできれば国内の消費まである程度延期して、そこで実際の地方が徴収できるような仕組みを考えたらどうかという本格的議論はあるのですね。

ですから、あまり急いで16年度にそういうことに踏み込んだものをやろうとすると、ある意味で大変暫定的な性格、まさに財源保障的なものにならざるを得ない、あるいはその仕組みも恒久性を持たないというようなものになりかねないということは、かえって将来、地方公共団体なり地方にとっては禍根を残すことにならないかという点もございまして、そういう意味で言えば、このとおり、諮問どおりでございますから、私はやはり、所得課税か消費課税を本格的な地方財源として移譲していくことの議論は必要ですし、これを18年度までに税調はとにかく約束を果たすと。ただ、あまり過渡的な形で出すということについてはあまり好ましくないのだと。したがって、そこは暫定的につなぎ的な発想にならざるを得ないのだということは、我々研究者サイドから言うとそういうふうに思いますので。

石会長

どうもありがとうございました。

上野さん。

上野特別委員

大体今までの大方の方の意見に同じだと思うのですけれども、私もやはり、月曜までの短い時間に基本的な将来の方向づけをしてしまうような結論を出すというのは非常に難しいのではないのかなと。最初に私が質問したのに対する答えができるということですけれども、私の関心から言えば、それが本格的に長い将来を見据えたような結論としてできるということではどうもなさそうだなと。やはり、会長の言ではないですが、パッチワーク的なものになるのではないのかなという印象を持ちまして、そうであれば、やはりこの問題はもう少しじっくり考えて結論を出したほうがいいだろうと。

ただ、それにしても、従来からの経緯はあるわけですから、基幹税の充実を基本としてか、そこら辺の充実と基本の関係の言葉使いはともかくとしまして、やはりそういう今までの経緯を踏まえた表現なり将来の方向づけをするということは必要ではないのかなと思います。

それから、今の宮島さんのご意見にございましたが、18年という言葉がちらっと出たかと思うのですが、その基本的な考え方の結論を出すこと、そのタイムリミットですね。これが18年なのか、1年ぐらい、来年のある時期ぐらいまでというふうにするのか、これはやはり税調が結論を出すときに明確にすべきではないかと思いますね。

石会長

わかりました。まだご発言いただいてない方、どうぞ。

じゃ井上さん、どうぞ。

井上委員

私、企業家なわけですけれども、企業から見ると、もう地方は完全に倒産していると。国自身も倒産だと。40兆しか入らないものを何で80兆使っているのかと。使えているのが今不思議なわけですよね。それを1週間やそこらで基幹税からどうのこうのと今決めるというのはまず不可能ではないのか。ですから、パッチワーク、今もお話が出た、それでおさめるのが一番いい方法ではないのか。もっともっとやはり根本的に、この税調としては使途から何か考えていかなければいけないのではないのか。税金を集めるだけの問題か、やはり使途まである程度注文をつけていくべきではないのかなと思うわけですよね。

地方で今いろいろな、人件費にしても、大変に高い。いろいろな事業をやっていることも非常に高いのではないか。学校給食や何かにしてもしかりだと思うのですけれども、民間に出せば半分以下にできるじゃないという話や何かも随分出ているわけですよね。幾らでもそういう固定費的なものを安くできるわけではないかと。そうすると、そこまである程度注文をつけてはいけないのかどうなのか。これは私、この税調の性格かわかりませんけれども、何かだらだら、今までは集めればいいと、足りないから集めるのだというのはどうも基本的に狂っているのではないかなと思うわけですが、そういう点まで踏み込んでいろいろと時間をかけてやはりやっていくべきではないのかと。それが本当の三位一体の改革ではないのかと思うのですが。

石会長

ありがとうございました。どうぞ、宮島さん。

宮島特別委員

私も、その意味はわかりますが、あまり根本的にとか、抜本的に時間をかけてというのは、これは先送りの論理に受けとめられることがあるから、私はやはり、皆さん言うように、税調としては、来年までに基幹税の議論をきちんと済ませて、これに間に合わせると。そこはやはりきちんとやらないと、単なる先送りととられるのは非常に心外だと思います。

石会長

わかりました。ちょっと辻山さんが手挙げたのじゃないかな。よろしいですか。

辻山特別委員

いいです。発言ありますので。

石会長

今の関連だったら、田近さん、先にどうぞ。

田近委員

もちろん先送りというのは望ましくないし、だけど、やはり税源移譲のときには交付税の問題を税調でも触れざるを得ない。つまり、お金は配ります。しかし、どう配られるかは知りませんというわけでは済まない。だから、仮にシュミレーションして基幹税を配ったと。そのときには、各都道府県、市町村等配られて、そしてそれを最終的に交付税でどう調整するかという姿まで税調で見て議論すべきだと思います。

石会長

ありがとうございました。

じゃ辻山さん、どうぞ。

辻山特別委員

すでにもう議論が出尽くしているというか……。

石会長

いや、まだ盛りですよ。

辻山特別委員

一応短期的なこととそれ以降のことを分けるということですけれども、それ以降のことについて、個人的に考えておりますのは、税目についてはできれば複数の税目、消費、所得、資産というのが移譲されるべきだろうということと、それからもう一つは、先ほど税源移譲という話が出ていましたけれども、もちろんそれもそうなのですけれども、その中に税収移譲というのですか、そういうものもあっていいのかなということを、あまり言葉にとらわれる必要もないという。要するに使い道がきちっと現場密着型の使い道ができるようなものが地方に移されればいいというような印象を持っております。

石会長

直近のほうはどういうお考えですか。平成16年については。今長い目ではおっしゃるとおりだと思いますが。

辻山特別委員

16年についてはもう方法が限られているといいますか、先ほど出ましたたばこ税であるとかそういうことで、実務的に現実的な方策をとらざるを得ないのかなと。

石会長

わかりました。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

飯塚さん。

飯塚専門委員

結論的には、16年度単年度の改革と中長期的な展望は分けざるを得ないと私も思いますが、メディアにかかわっている立場からしますと、今世論も、あるいは自治体からも非常に厳しい目が向けられていて、仮にたばこ税だけでお茶を濁したということになれば、これはぼろくそに書かれますね。それで自治体からも総スカンを食う可能性がある。

私は、減税がないというのはもう仕方ないにしても、どんなに厳しくても、税制には税制の活力もあると思うのですね。だから、何か税制としてここは一歩踏み出したというものが、心理的な影響を与えるようなものがあるとすれば、どうしてもそれはやらなければいかん。それはやはり基幹税に今回さわるかさわらんかだと思います。

あと3日間しかないと。しかし、その3日間でもいいから、所得税にしろ、消費税にしろ、やるとしたらこういう方法があるかということをぎりぎりまで詰めてもらいたいのですね。結果的にやはり無理だと言うならば、その議論の中身をある程度公開する。こういう理由でやはり無理でしたと。その次の年からしっかりやりますと。だから、中長期的には基幹税の充実と、税源移譲も基幹税を中心にやるということを決意表明すれば、私はそれでいいと思うのですね。

しかし、単年度に関しては、今基幹税にさわるかさわらんかというのは、ちょっとシンボリックな存在になってきているような気がしますので、これを今日とか明日とかいう段階で矛をおさめずに、やれるかやれないかをぎりぎりに事務当局はちょっと詰めていただきたいと……。

石会長

いや、事務当局は別に関係ないのですよ。我々が詰めなければいけないから。明日、あさって招集しますか、それじゃ。土日。そういう議論ですよ。今のおっしゃっているのは。僕は非常に無理だと思いますよ、現実的に。だから将来……

飯塚専門委員

私、現実的なことはわからない。

石会長

いや、将来、基幹税やるというのは、皆さん、異論はないのですよ。問題は平成16年で、基幹税にさわるか、もうとても議論の時間がないから、つなぎでやるかというのでたばこ税が出ている。そのチョイスなのですが、飯塚さんのお話はどっちかいうと、基幹税の中身をどうするか議論したほうがいいだろうというお考えですね。できる範囲で。ただ、時間的にかなり難しいような。わかりました。そういうご意見がありますね。どうぞ、太田さん。

太田専門委員

中長期的と言うのか、中期的と言うのかわかりませんけれども、個人的にはと言うか、住民税と所得税の調整ということにならざるを得ないと思っています。ただ、すぐに今できるかというと、これは大変難しい話でありますし、変に小さく小さくいじくると、それはもう実際に実務をやっている人たちは大変で、そんなことを毎年毎年やられたのではという話、負担が増えると思いますので、それは来年度というのは大変難しいと思います。小さくいじくって来年の税収を何とかというのは難しいと思います。

それから、三位一体論とちょっと外れるかもしれませんけれども、地方自治体、自分たちがおやりになっている行政に自信がおありになるのなら、国からの財源移譲、税源移譲ということもともかく、独自の増税ということをお考えになるべきではなかろうかと。もし自分たちがおやりになっている行政に自信がおありになるなら。というふうに思います。

執行面での混乱を避けるために、先ほど辻山先生から、税源とか財源とか税収とかいうことにこだわるべきではないというお話がありましたけれども、私も、とりあえず来年何もやらないわけにいかないので、それに合った、最も簡単そうなものでやっておかざるを得ないなと。ただ、方向として基幹税と言うのかどうかわかりませんけれども、そういう方向はきちんと来年やるのですと。ただ時間切れでこういうことにならざるを得ないのですということははっきり書いておくべきだろうと思います。

石会長

できそうなものって何ですか。来年はできそうなものでやれとおっしゃったけれども。

太田専門委員

たばこ税のことを言っております。

石会長

わかりました。ほかにいかがでしょうか。

上月さん、どうぞ。

上月委員

税のそれこそ徴収というか、その現場にいる者からしますと、毎年小刻みに税制が変わり、それを徴収しないといけないというと、今、消費税のちょっと限度額が下がったり、そんなことだけでも本当に現場は大変なので、そういうことが毎年起こってくるとすればこれは非常に大変なことになりますので、やはり根本的に基本的なことはきっちりと議論していただいて、変えるときにはしっかりと変えていただきたいと思います。

石会長

わかりました。どうぞ、吉岡さん。

吉岡委員

大変専門的な議論をおっしゃっているので、的が外れているかとも思いますけれども、基本的にはやはり中長期的にきちっとしたものを決めていくというのが税調の役割だと思っております。ただ、月曜日までに結論を出すという限定された期間を考えると、中長期的にきちっとしたものを出すのにしては時間がなさ過ぎるという、そういうことで、基本的にはやるべきだけれども時間がないからという、そこのところは書き込んでいただいた上で、とりあえずはたばこ税という、そういうことを書かざるを得ないだろうなあと、話を伺っていて聞きました。

ただ、じゃ基幹税にするのか、あるいは消費税をどうするのだという問題になりますと、これは国民の中でもいろいろな意見があります。ただ、中央集権から地方分権へという考え方については、賛同する人たちも非常に多いと思います。ただ、その場合には、やはり国民、住民が選べるのかという、そういう問題があります。アメリカ等でも、州によって消費税の税率が違うとか、そういうことがありますけれども、じゃ選び方としてどうするかというと、買うものによって州を変えて買う。さっきも県域をまたいでというお話がありましたけれども、そういうことがあります。

ただ、基幹税になったときには、そういう選択が非常に難しくなってくるかと思いますけれども、その場合に、住民にどれだけ選択権があるのか、それから負担と給付の関係で言うと、地方の自治体が、あるいは地方政府がどれだけ住民に保障することができるのか、そういうことを十分に議論しないと、やはり納税者の納得は得にくいのではないか、そのように考えております。

石会長

ありがとうございました。

じゃ遠藤さん、どうぞ。

遠藤特別委員

今、たばこ税の話が大分出ているのですけれども、たばこ税というのは税源移譲になるのですか。暫定的に金額だけをすると、そういう感じですかね。

石会長

いや、それはこれからお決めいただくことなので、遠藤さんのご意見をおっしゃってください。

遠藤特別委員

私は、さっきから言っているように、たばこ税というのをもしやるのでしたら、それはもう財源措置でしかないので、中長期的に基幹税の議論をした中で消滅させてもとに戻せばいいと思うのです。

石会長

そうすると、時限措置か、租特か、何かそういう形でつないでおいて、あと本格的な基幹税へ移すというお話ですね。

遠藤特別委員

ええ。ただ、僕の基本は、そういうことを税調で書くべきではないと。

石会長

そうですか。何で?

遠藤特別委員

というのは、要するに、財源措置的な問題を時間がないからと書くというのは、やはり国民に対する、あるいは市町村に対して、三位一体というのを期待している人たちに対するメッセージとして税調としては弱いのではないかと。

石会長

でも、しようがないという意見もないですか。つまり、時間切れでね。

遠藤特別委員

しようがないという意見があるから、それで言っているわけです。たばこ税というのは、やはりたばこを飲んでいる人しか出してないわけですよね。

石会長

でも、ゴルフ利用税なんてゴルフしている人しか出さないでしょう。

遠藤特別委員

いやいや、それはそうですけれども、今税源移譲の話ですからね。しかも受益と負担との関係から何がいいかという議論をしているときに、一部の人しか払ってない税金を税源移譲の対象にして、「基幹税の充実を基本として」という中のメインテーマで初年度それを出していくというのは税調としては問題があるのではないかということを言いたいわけです。

石会長

わかります。どうぞ、秋山さん。

秋山委員

まず、月曜日に向けてということなのですけれども、最初に総理のほうから税源移譲についても税調で検討しろというお話が出たタイミングから考えて、もともと非常に厳しいスケジュールでいただいた課題であると。ただ、例えばこういったことは、会社でトップからそういう話が出たら、それは徹夜してでも抜本的なベストの案を出せということだと思いますので、まずはそれに向けて我々が議論を尽くしたということがまず絶対必要であると思います。

ただ、実際問題、基幹税の問題、技術的にも歴史的にも非常に複雑であると、大変な仕事になるというのは私も理解しておりますので、そういった中で、じゃ16年度に向けて何が言えるのか、何を言うべきなのかということを考えたときには、1つは、もちろん言葉としては税源移譲を考えろということではあるのですけれども、それはどういう意味かというと、要するに三位一体の改革を前に進めると。進めるために税調として提案できることはしろというふうに読みかえがもしできるというのであれば、例えば、私はたばこ税については16年度の実施は賛成でございます。

理由は、少なくとも抜本的ではないかもしれないけれども、やらないよりは、ほかの案よりは前に進むだろうという意味で、技術的な問題はあるかもしれないけれども、賛成であるという言い方をしたいなと。

それからあと中期的な方向性については、これはあくまでもベストな案だとは思っていないので、少なくともこういった部分を変えていきたいと思っている、あるいはこういった部分は問題であるというようなことを答申の中にぜひ盛り込んでいただいて、我々の姿勢をお伝えしたいなと思います。

石会長

ほかにいかがでしょうか。

井上さん、どうぞ。

井上委員

私はたばこ税の税源移譲というのは悪いことではないのではないかと思うのですけどね。たばこ税、この間上げたのはたった1円しか上げなかった。2円が出て、1円に値切られたということのようですけれども、私はとんでもないと思うのですよ。たばこ税はもっと上げるべきだと。要するに、500万人から気管支炎を患って、その医療費はすごいかかっている。ガンだってそうでしょう。これはもうWHOで第一級に認定されているものではないですか。そういう点から考えたって、こんなものを移譲して、それでどんどんと上げるところは上げたらいいのではないですか。いけませんか。

石会長

地方が余計たばこで汚染されますよ。わかりました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、井戸さん。

井戸委員

私は非常につらい立場に置かれてまして、実を申しますと、飯塚さんからおっしゃいましたように、三位一体改革は補助金の廃止と税源の移譲と交付税の見直し、全部一緒にやろうということで三位一体なものですから、そのときに基幹税に全く手が届かないことで三位一体と言えるのかどうかというのが一番の焦点だろうと思うのですね。

皆さんのご意見もそこのところに悩みながら、中長期的な方向づけはしておきながら、来年度はなかなか手が届かんぞということをおっしゃっておられるのですが、これは遠藤さんの主張とも近いのでありますけれども、たばこ税に決め打ちをする理由をよほど明確にしておかないといけない。酒税で何でだめなのだとか、つまり、要はつなぎですから、つなぎだとすると、国税のつなぎ対策としてどんな税金がつなぎ対策としてふさわしいのだということもよく吟味したぞと。それでその上で、やはりたばこ税だったらたばこ税がつなぎとして望ましいということに税調としても結論づけたのだというような論理を整理しておいていただかないといけないのではないかというのは1つ思います。

それともう一つは、やはり基幹税で税源移譲するのは基本なのだと。その基本的な姿勢を明確にしておいていただかないと、地方の側は何だと。もともと絶対量もおかしいなと思っている上に、財源措置も何か逃げてしまっているというような印象を本当に受け取りかねないのではないか。そうすると、税調に期待しているという面で、そういう意味で私は悩んでいますと申し上げたところなのです。ぜひ会長、ご理解いただきたいと思います。

石会長

私も悩んでますよ。皆さん悩むでしょう。

田近さん、どうぞ。

田近委員

一部繰り返しですけれども、今の審議のキーワードは、今日の審議状況、三位一体の改革ということで、今、井戸知事からもおっしゃったようなことで、ただ、やはり税源移譲ということで頭に血が上り過ぎているわけで、本質的には地方の財源を強化して自主性を高める、地方が努力して税を集めるというのは、単に税を集めるだけではなくて、自分たちの経済を大きくする。人に来てもらう、工場に来てもらう、そして経済を大きくしていく、そういうメカニズムを作っていくことだと。

そのときに、最終的には税源移譲ということで基幹的な税に触れることになる、触れるべきだし触れるのですけれども、ただ、国がチェックを切る前に、それがどう配られるかということの交付税の議論をここでしないことには、やはり税源移譲から僕は議論することはできない。到底、それだと国民も納得できないと思います。

したがって、キーワードとしては三位一体の改革、そして税源移譲を伴うときには、背後で交付税を改革して地方に規律を持たせるというステップが必要だと思います。

石会長

わかりました。当然のことながら、交付税の重要性を訴えざるを得ないと思ってますし、書き方の問題ですね。だんだん書きっぷりとか重点の置き方とかいうような点にまで話が来ましたので、やや収束ぎみな議論になりつつあるかなと思いますが、さらにこの辺で、まだあと25分ありますから、今日珍しく激論のわりには時間の消費がまだ十分でないかもしらん、どうぞ、2回目、3回目でも結構ですから、ご発言いただいて……。どうぞ、尾崎さん。

尾崎特別委員

キーワードはやはり、三位一体の前に地方分権というのが要るのではないでしょうかね。三位一体から始めると数字合わせになりがちなのですよ。だから、やはり地方分権、地方の自主、自立、自己責任、そういうことから始めないといけないと思います。それで三位一体にいくと。

石会長

どうぞ、中里さん。

中里特別委員

税源というのは税収を上げる能力ということですよね。ですから、地方団体には税収を上げる能力、ポテンシャルというのは、地方税法上、今それなりに与えられていると。つまり、税率を上げれば済むところがあるわけですよね。ここで言う税源移譲というのは、国を減らして地方を増やすというふうに、政治的にはそうでしょうけれども、でも、理屈から言うならば、均等割を上げてもいいし、それから所得割を上げてもよろしいでしょうし、そういう、今持っている能力をお使いになることも十分にはっきりさせておかなければ、国のほうだけ減らすというのも地方分権のためにまずよろしくない。

つまり、地方が税収を上げるためには国から税収を奪わなければいけない、道連れにしなければいけないという地方分権ではちょっとどうかなという気がいたしまして、地方税法の範囲内で税収を上げるように条例改正なり、そういうことは可能なわけですから、これも書生論ですが、それも一定程度考えるという上でのたばこ税なり何なりの移譲でなければ意味がないのではないかと。地方分権にならない。つまり、国からもらうだけだということになってしまうのではないかという気がします。

石会長

井戸さん、どうぞ。

井戸委員

どういう意図でおっしゃられたのか、私、分明ではありませんが、所得割の例えばウェイトを高めていくというのは、所得課税の配分の中で地方の所得割、所得課税の配分を高めていくということにつながりますので、そういうことも含めて税源移譲だと議論されているのだと思うのですね。ですけれども、今のような状況の中で所得課税を増税をして、それで地方のウェイトを高めるというような状況をすぐに作り出せるかといったら、なかなかそれは難しいから、だから全体のパイを一定にしておきながら、どう配分を変えながら財源措置をしていこうかいうのがこの三位一体の議論だと思うのです。

それで、4兆円に対する、4兆円の補助金縮減、そしてそれに対する財源措置、それと交付税措置との関係を三位一体でやっていこうという、そういうフレームの中の議論と、それから本来的に国・地方の役割分担とそれを踏まえた税配分をどうしていくかという議論と、これは全く無関係だとは言いませんけれども、基本的に論理の立て方が私は異なるのではないかなと。そのことはぜひご理解いただいておきたいなと思います。

もともと税源配分の議論というのは国のあり方が問われる議論。ですからこそ、税調で存分に議論していかなければいけない問題だと思うのですね。今回の4兆円の話というのは、4兆円なんかでは我々はいいなんて言ってないわけで、これは地方分権改革の手始めでしょうと。だけど、手始めの中でどういう形でその手始めを埋めていきましょうかというのを議論していただきたいというのがきっと総理の依頼だろうと思いますのでね。そういう意味で、抜本論と、それから4兆円に関連する議論とはおのずと差があるのだということは前提になった議論ではないかなと、私はそう理解しております。

石会長

どうぞ、遠藤さん。

遠藤特別委員

今の中里さんのお話でちょっと疑問が起こったのですが、この4,249億円というのは補助金のカットの100%の額ですか。8割の部分も入れてという意味でしょうかね。

石会長

我々はこれが税源移譲の額そのものだと思ってましたが、何かそれは8掛けでいいのですか。

遠藤特別委員

いや、だから、100%措置する、税源移譲するものと8割税源移譲するものと、補助金の性質によって変えますよということになってましたね。ですから、補助金の減額と税源移譲の額とはすき間があるのではないかと私は思ってます。

石会長

でも、遠藤さん、4,000億まで出てきて、それが8掛けになろうが100%になろうが、大した問題ではないのではないですか、今や。ここで議論するときは。

何か今の件について。どうぞ。

稲岡企画官

直接の担当ではございませんが、まず1兆円の補助金の廃止、縮減等を行う。その中で引き続き地方が実施するもの事業について、完全に義務的なもの、あるいはそうでないもの、そういった仕分けをして、それぞれ100%なり80%なりという、どのようにしたかは具体的には承知しておりませんが、計算をして、その結果として、この数字があるのではないかと思っております。

石会長

だから我々としては、これはまさに税源移譲の額だと理解すべきということですね。どうぞ、遠藤さん、何かあれば。

遠藤特別委員

議論のための議論ですけれども、さっき中里さんのおっしゃったような、たばこ税だと、要するに補助金を減らした額と税源移譲の額とにすき間があれば、たばこ税では地方団体が税率を設定することはできないわけですから、その差額の部分は税源としてはいかないわけですよ。したがって、そこのところは地方財政計画上は財源不足のほうに入ってしまって、地方財政対策で処理されてしまうということになるわけですから、たばこ税だから地方の自主性が発揮できるのだということにはならないということはやはり注意しておかなければいけないと。

石会長

まあいろいろありますね。ぼつぼつ皆さんのご議論も出たようですが、まだこの際特に強調したいという点をお持ちの方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。

どうぞ。

遠藤特別委員

今日は議論は全然出なかったのですけれども、前回に私申し上げたのですけれども、この4,200億の中で、県分と市町村分とがあるのですけれども、私はぜひ、そういう補助金の削減対象額以上に、やはり中身としては市町村税への税源移譲というものを重く見ていただきたいということは税調として議論してもいいのではないかと思います。

石会長

わかりました。宮島さん、どうぞ。

宮島特別委員

当面の16年度の話と、あと17、18ぐらいの中期的といいますか、見たときに、この後残っているのは義務教育国庫負担金の話と生活保護の問題が検討課題になってますよね。要するに、こういうものの補助金の整理の仕方によってどういう意思決定上の自由度が、例えばその地方で高まり、財源は、国の事務として残った場合、国が何をするのか。この辺、必ずしも私は十分に承知してないので、ですから、その先まで見て、井戸さんがおっしゃったように、もっと先があるかもしれないけれども、当面そこのところで、だから、それは税源なのか、場合によっては税収なのかというのは、聞いていて必ずしもよくわからない。何でもかんでも、まさに課税自主権の延長のような形で考える自主財源、独立財源なのが、それはみんな欲しいとおっしゃるのはわかるけれども、ただ本当は何か。まさに財源手当的なものも一部あり得るという話がさっきありましたけれども、そういうところで、ちょっとこの補助金の制度、それによって地方の……。

石会長

ただ、それを今の前提で言うのは難しい。

宮島特別委員

お聞きするつもりはありませんので。

井戸委員

私どもも、兵庫県自体でも、税源移譲を前提にしながら、補助金がどれだけ整理できるか、全部の補助金について洗いました。我々は、例えば生活保護費は移譲対象にしなかったのです。それはなぜかといいますと、憲法25条との関係で、国の役割というのをどういう形で保障していくのかというのを考えたときに、生活保護費負担金というのは国の役割の本当のコアの部分だろうと。だから移譲とか廃止・縮減をするような対象にそもそもならないのではないかと、こう思っていたものが飛び出てきたので、我々としてはびっくりして大騒ぎをしたという実態があります。

我々としては、かなり裁量性のある補助金はもちろん当然だと。ですから、奨励補助金はある意味で対象にするのは当然だと。それから、例えば義務教育費国庫負担金みたいなものについては、例えば高等学校というのはもうほとんど、93%から95%、高校に行ってます。ということは全入とほとんど同じです。それでいながら、金額、財源措置的に言うと、それは地方の自主財源でやりなさいという運営になってます。となると、必ず義務教育費国庫負担という形で国で財源措置しなくてはならないのだろうか、こういう問題点を提起して、それで議論になっているわけです。

石会長

よろしゅうございますか。よろしゅうございますかと言うのは、そろそろまとめなければいけない時間ではないかと思いますが。

じゃどうぞ。

尾崎特別委員

税源と税収の話ですけれども、税源移譲というのは国にとっては減税で、地方にとっては増税なのですね。だから、地方が増税しないような税源移譲というのは非常におかしいわけですね。だから、増税し得る自由度を地方に与えるというのもある意味では税源移譲だと思うのですね。それで、ただ、例えば地方消費税のことを何回も申し上げて恐縮ですけれども、地方消費税を地方に移しても、全体の5%としての消費者の負担は変わらないわけですね。ですから、増税してないわけですよ。住民に対して。そういうのが収入の移転なのですよね。そうではなくて、住民税の税率を上げると、所得税を下げるというときは住民に対して増税するわけです、地方は。だから税源の移譲なので、そこに地方分権の意義があるわけですね。

だから、やはり税源の移譲と収入の移転、例えば地方交付税なんかは収入の移転であるわけですから、そういうものは補助金も収入のいわば移転であるわけですから、そういうものはできるだけなくしていくという分権の、そこが一番中心、コアだということなのです。

石会長

ありがとうございました。

今日はさまざまなご意見をいただきました。全く百八十度、あっち分かれて東から西へ行くというようなことを恐れてましたが、かなり最後のほうには歩み寄りも見られたかなあという印象を持っておりますので、次の2点、ちょっと私、座長として提言させていただきます。

1つは、税調として何をやるべきかということを今ちょっと我々なりに再確認しておく必要があると思いますね。今マスコミがいろいろな形で報道してくれてますから、それなりにインプットされた面もあるかもしれませんが、税調で何も議論してないことが多々出回っているのですね。例えば住民税の、何か知らないけれども、5%、10%、13%を1本にしてということを我々は本格的に議論もしておりませんから、それをやるためにはかなり時間もとるでしょう。

そういう意味で、あと、そう言っては悪いけれども、外側のほうでいろんな議論起きてますよね。自民党税調であったり、全国知事会であったり、市町村会であったり、等々ありますが、これに耳を傾けて自分たちの意見をまとめるのはそれなりの意義があるかと思いますが、最後に決めるのは税調の委員の方々のご意見なのですよ。そういう意味で、今日以降は国民の代表としてご自分の立場をちょっと切り離してご議論賜るということが政府税調の大きな役割ではないかと思いますので、外が言っているからこの案は通らないとか、外が強い意見を言っているからこれを入れるべきだとかいうのは僕は本末転倒の議論だと思いますから、税調は税調としてしっかり筋を立てて、とりわけ重要なのは、僕は税の理屈というのに立脚した議論の展開だと思いますね。

言うなれば、政治的な決着というのは政治家がやればいいのでありまして、我々、政治的な決着をめどにした形で、何かフィージビリティの高いものをやる等々という議論は極力避けたいと思います。といって奇想天外なことを言ってもしようがありませんから、地道に足元をしっかりさせつつも、やはり税調らしい議論ということを世に問うだけの議論を、私は今日してきたし、こういう形で小泉さんにはお答えできるのかなという感じを今日持ちました。

それからあと、これは重要なので、第2点なのですが、月曜日に起草会合を9時から10時まで開いて、そこでまず最初の文章を検討することにいたします。つきましては、私もそうですが、土日、やはり文章を書かなければいけないのですよ。文章を書くときにはある程度今日の総会の決定に従って書かざるを得ないですよね。ということは、ある程度の方向性について皆さんに共通の理解を持ってもらう必要があるのですよ。そうしませんと、とてもではないけれども、起草会合に出せるだけの文章は出ない。

おそらく起草会合に出たときの段階の文章は、税調として基本的にこういくよという腹が固まった文章でないと、そこでしっちゃかめっちゃか、ああじゃないこうじゃないと言われても、何ぶんにもその夕刻に小泉さんのところに持っていこうというわけで、具体的に時間を申し上げますと、9時から10時まで起草をやって、その中でいろいろ出てくるでしょうから、修文の時間をとって、11時半から12時半までこの総会を開きたいと思っているのですよ。そこで、昼食をはさんで、また総会でいろいろご意見を賜るから、修文をしつつ、最終的には1時半から2時半までの間の最終的な総会で皆さんの合意をいただきたいと、こういう段取りでありますので、今日の段階で月曜日に何するかという方向を出していただかないと、無手勝流では我々としてもどうしようもない。

これができないかというと、私は皆さんのご議論を聞いていて、かなり共通点はあると。まだ細部詰めなければいけないものは総会に諮らせていただきたいとは思っておりますが、そういう意味で、以下申し上げるような基本的なストーリーと申しますか、基本的な方針でいいかどうかというのを最終的にご確認いただきたい。

1つは、中長期的に三位一体で議論しているのですから、基幹税が重要であって、その基幹税は所得税から住民税、それから地方消費税重視という点については、そこに少しウェイトをつけるかどうかはさておき、2つを出すということについては皆さんご異論がないと思いますね。その点は。一番の議論は、平成16年度の、皆さんおっしゃるつなぎというのが具体的なイメージとして少しというか、かなり議論が分かれたかもしれません。つなぎは、お聞きしてますと2通りある。1つはたばこ税、もう一つは、基幹税が決まれば、その基幹税の第一歩として、もう平成16年からスタートすべきであると。例えば住民税でやるのだったら、1%分を所得税から住民税に移すなんていうことを来年度からやるべきではないかというご議論がございました。

ここは我々として非常に判断の苦しむところでありますが、ここでどっちかとらなければいけないということになりますと、というのは、私は絶対にと言っていいぐらいに両論併記したくないのですよ。税調はこれまで国民に対するメッセージを1本に絞ろうという形でストレートにものを申してきましたから、ここのところで2つ書いてもあまり意味がない。ましてや、小泉さんは政府税調で決めろと言われているわけですから、両論併記というのは決めたことになりませんから、それはやはりはっきりしたい。

そこで一つのポイントは、随分多くの方から議論が出たと思いますが、時間がない。そして本格的な基幹税として移すときの制度的な仕組み、これは税調として私はまだ議論してないと思いますよ。どっちでやるにしてもですね。だから、その時間がない中で、つなぎとして第一歩を踏み出すというのは難しいと。例えば、おそらく今、地方消費税よりは所得税から住民税のほうが私は有力だと思ってますが、しかし、譲り方と、譲った後の所得税と住民税のでき上がり、これはまだ一回も我々議論してませんからね。したがって、例えばさっき言ったように、10%にフラット化、住民税をしてしまうとか、所得税のどこの部分を移すとか、これはこれから本格的に議論しないといけない。

それとの絡みにおいて、おそらく地域の偏在が見え見えに起こるはずだから、田近さんが何度もおっしゃったような意味での地方交付税の新しい役割というのはいろいろな意味で出てくるでしょう。そういうことも踏まえて実は税調は議論して、その制度設計をしなければいけない。僕はこれは早急にやるべきだと思ってますので、そういう意味では、年明けからでもこの問題に税調としては取り組むべきだと思っております。

そこで、月曜までにその制度設計を僕はできないと今つくづくと思っております。そういう意味では、ご不満が多々あろうかとは思いますが、たばこ税でやるということを書くにしても、書き方が重要だというのは井戸さんのおっしゃったとおりでありまして、なぜたばこ税に至ったか、なぜたばこ税をつなぎとして使うかという説得的な議論をやはり書かなければいかんでしょうね。展開しなければいけないでしょうね。そういう形で税調の持ち味をうまく生かせるような格好で文章を書けというならば、それなりの努力はしてみたいと、このように思っております。

まとめれば、あくまでも三位一体の基本は基幹税でやると。基幹税は2つだと。所得税と消費税。これは将来、具体的に制度設計も踏まえて、税調は年明けから議論を開始すると。さはさりながら、あまりにも時間的な制約もあるし、小泉さんの申し出たのが遅過ぎると文句言ってもいいのだけれども、まあそれはさておき、つなぎという意味では、今回、時限的な措置も含めて、これは書くか書かないかはこれからですが、それは月曜日に議論していただきます。

たばこ税でやらざるを得ないではないかというところで話はうまく、皆さん、決をとるというほどでもないと思いますので、ご賛同いただければそういう格好でひとつ文章を作って、月曜に2度ぐらい、あるいは3度ぐらい機会がございますから、そこでお諮りして文章を考えたいと思いますが、いかがでしょうか。

田近委員

賛成ですけれども、最初の、三位一体、それは基幹税、基幹税は所得税か消費税の移転だというのが少し狭め過ぎというか、既存にある税ですよね。特に固定資産税とか、見直しとかそういう、だから議論も必要なのではないか。

石会長

三位一体には固定資産税等々の話もあるかもしれないけれども、基幹税でやれという議論が入っているときにはあまりほか入れないほうがいいです。よろしゅうございますか。

じゃちょっとご不満もあろうかと思いますが、あと文章のほうでそれは調整させていただくという形にしていきたいと思います。

それでは、ちょうど時間にもなりましたので、また月曜日は、起草の方は何度も出てくるとか、総会の方も2度出なければいけないということでありますので、ご苦労をお願いするかもしれませんが、よろしくお願いいたしたいと思います。

今のような線は、概略、あまり荒々しくなく、マイルドに、一応今日、今から記者会見しなければいけませんので、伝えておきたいと思っております。

何か、よろしゅうございますか。じゃどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。