第4回基礎問題小委員会 議事録
平成15年12月5日開催
〇委員
それでは、時間になりました。第4回目の基礎問題小委員会を開催いたしたいと思います。
今日は、例の11月21日に総理から出されました、三位一体論に従っての税源移譲の話、本格的な議論をしたいと思いますが、財務省と総務省の担当の方々から、税源移譲に関する基礎的なデータを提供していただきたいと思っています。そこで、前半60分ほど両省のご説明をいただいて、残り60分で、内容に立ち入った議論をお互いにしたいと考えております。
ただ、今日、ある方向を明確に打ち出すというのはまだ時間が早いと思いますし、外枠のほうがまだ決まっていない。つまり補助金の論点がまだ整理されていませんから、無理と思いますが、可能性としてある、あるいは理論的にこう考えるといったあたりが主な意見の展開の仕方かと思っています。
それでは、両省の方に、あえて言うまでもないことですが、一般的なご説明は不要であります。時間もございませんから、国税・地方税の一般的な中をるる言っていただくということは必要ありませんので、国税としては税源移譲の出し手、それから地方税としては受け手ですよね。そういう視点から、そこに絞って、どういうところに論点があり、どういうところに問題があるか、過去の経緯はどうであって、どういうことが考えられるかというあたりを時間を守りつつお願いしたいと思います。
最初、事務局、おふたりでやられるわけね。では、よろしくお願いします。
〇事務局
それでは、横長の資料「基礎小4-1」というのをお開きいただけませんでしょうか。目次をざっとご覧いただきまして、税源を移譲する側からの各税目の課題について、簡単にお話ししたいと思います。
まず総論のところで、地方税、国税に求められる役割、性格に関する主な見解というのをご覧いただきたいと思います。それから、個人所得課税、目次の2枚目にいっていただきまして、法人課税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税等について、移譲する側からの課題をご説明したいと思います。最後に、主な国税の人口1人当たりの税額をご覧いただいた上で、国際比較を若干試みた資料をご説明いたします。
目次の次の「総論」をお開きいただきたいのですが、1ページ、国税の内訳が並んでございます。所得課税、資産課税、消費課税ということで、ご承知のような3つの課税ベースに対して幾つかの課税が行われているわけでございます。2ページ目が参考ということで、同じものを地方税でつくってみましたが、地方税にも所得課税、資産課税、消費課税、各種の税目がございます。国税と違いまして固定資産税のウエートが高いということであろうかと思いますが、日本の場合には、国と地方で課税ベースを明確に分け合うのではなくて、同じ課税ベースに重畳的に課税を行っているということであろうかと思います。
3ページでございますが、国税・地方税に求められる役割・性格ということで、そのあとに幾つか並べてございます教科書や学説からとってみました。国税のほうでは、所得再分配機能、経済自動安定化機能、全国的・国際的な視点からの一律の対応、金融課税、国際課税等と書いてございます。財政には、資源配分、所得再分配、経済安定化という3つの仕事があるとよく言われますけれども、このうち所得再分配機能や経済の安定化機能というのは一国の経済・社会を考えて行われるということで、税制に求められるこうした機能は国税で果たすべきものかなというふうに考えております。
さらに、国際的な視点ということで、資産課税とか法人課税は、よく、足の速い移動性の高い課税ベースと言われますが、こういったものに対する課税は、ボーダーを管理する国で行うほうが妥当なのではないかという視点でございます。
一方で、地方税でございますが、普遍性、安定性、分任性、応益性、自主性と5つの性格を掲げてございます。普遍性というのは、地域によって税収の偏在が少ないこと。安定性は、景気変動等に対し安定的であること。分任性は、広く地域住民等が負担をすること。応益性は受益と負担の関係が明確であること。自主性は、地域が自ら課税標準や税率等の決定ができること。こういった性格が地方税には求められるということではないかと思います。
4ページにお進みいただきまして、これが、今の三位一体改革の議論のベースとなっております6月の閣議決定、いわゆる「骨太2003」でございます。この中でも地方税の望ましい性格について記述をした部分がございまして、5ページをお開きいただきますと、下のほうでございますが、アンダーラインを付してございます。三位一体の取組によって、「地方への税源配分の割合を高める。その際、応益性や負担分任性という地方税の性格を踏まえ、自主的な課税が行いやすいという点にも配意し、基幹税の充実を基本に、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築する」ということで、応益性、負担分任性、偏在性、安定性といった言葉がこの「骨太の方針」の中にも出てくるということでございます。
6ページからは、幾つかの教科書からこうした議論を拾ってみました。7ページをお開きいただいて、シャウプ勧告でございます。アンダーラインのところをざっと追っていただけるとありがたいのですが、一つは、都道府県と市町村は独立の税目を持つべきであるということが書いてございまして、8ページに4つの基本的原則が書いてございます。1番目が「税制は簡単でなければならない」、2番目が「課税標準は特定の地域に明白に割り当てうるもので、高度の行政技術上の問題を包含してはならない」、3番目が「国と都道府県と市町村との間には税源の分離があるべきである」、4番目が「地方選挙民の必要と要求に応じて税率を上下する権限をもたねばならない」といったものでございます。
9ページが、金子先生の「租税法」という教科書でございますが、そこにも「(1)自主財源の充実」ということが書いてございます。附加税中心主義ではなくて、独立税をもつことが好ましい、といったことが書いてございます。
(2)で、「税収が十分でかつ安定性と伸張性に富み、しかも地域的普遍性に富んだ租税」が地方団体の自主財源としては望ましいといったことが書かれております。
11ページに進んでいただきまして、これは井堀先生の「財政」という教科書でございます。そこでも「受益者負担の原則」ということが書かれてございまして、「地方政府の役割が地方公共財の供給にあるとすれば、地方税として望ましい負担メカニズムは、原則として受益者負担であろう」ということが書いてあります。「地方税の基本は均等割の人頭税か、あるいは便益の程度に対応する比例税であろう。累進的な税体系は所得再分配を目的としているから、地方税にはなじまない」といった記述がございます。
12ページにお進みいただきますと、こういった観点から固定資産税や住民税、それから、13ページには消費税と書いてございます。これは消費課税という意味だろうと思いますが、いずれも比例的な課税が実現できるので望ましいといったような記述になっておろうかと思います。
14ページが、神野先生の教科書の「財政学」でございます。ここでも地方税原則ということで、応益原則、安定性原則、地域的普遍性原則、負担分任原則、自主性原則というようなことが書いてございます。アンダーラインが引いてございませんが、3つ目のパラグラフの冒頭に、「地方政府はボーダー(国境)を管理しない入退自由なオープン・システムの政府だとすると、地方税は税源の移動性の少ない租税のほうがよいことになる」という記述を見つけることができます。
15ページに、「安定性と普遍性」という観点、それから16ページでは、「自主性の原則」といったことについて記述がございまして、こういった最近の教科書などを踏まえますと、先ほどご覧いただいた3ページの地方税の性格ということで5つくらい挙げられるのかなというのが、私どものこれからの税源移譲を考えるに当たっての基本的なベースではなかろうか、こう思っております。
各税目についてご覧いただきますが、17ページ、まず所得税でございます。17ページ、18ページに、所得税と地方の個人住民税の比較を簡単にしてございます。ざっと見ていただきますと、3つ目の納税者数、所得税が4,736万人であるのに対しまして、個人住民税は所得割で5,081万人、均等割を含むと5,476万人ということで、諸控除の大きさ等の差から個人住民税のほうが課税ベースが広くなっているということであろうかと思います。
課税方式、所得税は申告納税方式でございますが、住民税のほうは賦課課税方式。一番下の課税標準をご覧いただきますと、所得税は現年所得課税ということでその年の所得に課税が行われますが、個人住民税の所得割は前の年の所得に課税が行われるという違いがございます。
18ページに進んでいただいて、主な所得控除、基礎、配偶、扶養の3控除は、所得税が38万円であるのに対し個人住民税は33万円。この結果、次の課税最低限が325万円と270万円ということで、個人住民税のほうが課税最低限が低くなってございます。
税率もいずれも累進税率でございます。所得税は4段階、個人住民税は3段階。ただ、個人住民税のほうには均等割があるということでございます。その下の税額控除をご覧いただきますと、住宅ローン減税の控除ですとか、政党に対する寄付金の税額控除、あるいは一番下にエンジェル税制とありますが、こうした政策的な控除措置は所得税では講じてございますが、個人住民税にはないということでございまして、こういった点は両者の税の性格の違いを反映しているのだろうと思いますけれども、この結果、住民税のほうが課税ベースが広くなっておりまして、所得の低い人は、所得税は払わないけれども、住民税は負担しているといったことになっております。
こういった違いを前提に考えますと、所得税から住民税への税源移譲というのは、自主性ですとか、そういった観点から一つの税源移譲の対象税目として考えられ得るのだろうと思いますけれども、所得税と税率が違いますので、所得税を減税し住民税を増税するという形での移譲は、納税者によっては意図せざる負担の変動を生じる面がございます。
さらに幾つか先を見ていただきますが、19ページ以降、バックデータになっておりまして、飛ばしていただいて、27ページでございます。所得税と個人住民税の賦課徴収の流れを図示してございますが、所得税は、申告納税ということで3月15日までに確定申告をしていただきます。これに対しまして個人住民税は賦課課税でございまして、税務署に提出された申告書の写しが地方課税当局に回付されまして、そこで賦課決定が行われる。所得税を納めないけれども、住民税の納税義務になる方は、右のほうにございますように、申告書を作成して、地方の課税当局に出すことになっておりまして、所得税を減税し住民税を増税するといった税源移譲をいたします場合には、こうした申告手続き、税務署から地方課税当局へのつなぎ、あるいは、源泉徴収義務者のところでいろいろな事務手続きが発生するといった税務執行上の問題が派生する面がございます。
30ページにお進みいただきまして、法人課税でございます。法人税、それから、地方の法人課税でございます法人住民税と事業税、それぞれ概要を書いてございます。申告法人数が若干ずつ違っておりますが、これは、住民税には均等割があるということでございます。課税方式はいずれも申告納税方式でございます。
次のページをご覧いただきますと、課税標準というところで、基本的には法人の所得に対して課税をするわけでございますが、法人住民税の場合には法人税割と均等割というのがございます。ここの均等割があるというのが地方税独特のものであろうかと思いますが、法人税割は法人税の税額が課税標準になっているということで、一種、法人税の賦課課税的な性格を帯びているというふうに考えております。法人税についての賦課徴収の流れは32ページにございますので、これはお見おきいただければと思います。
34ページにお進みいただきまして、消費税でございます。消費税の概要が34ページに書いてございますが、ポイントは、国の消費税は税率が4%と決められておりまして、地方消費税と合わせた税率が5%でございます。ただ、地方消費税は消費税の納付税額の25%と決まっておりまして、4%の税率で国の消費税額が計算された後に、その税額に25%を掛けて地方消費税が計算されるという仕組みでございます。
35ページをご覧いただきますと、消費税の申告・納付の欄がございます。ここに「注」で「地方消費税は消費税に併せて申告・納付」と書いてございます。国の消費税と地方消費税は一体として仕組まれておりまして、事業者サイドの経理処理も両者は一体で行われているということでございます。
さらに、地方消費税の申告・納付をはじめとする賦課徴収手続きは国が一元的に行っているのが現状でございまして、その辺のところを図解したのが37ページの図でございますので、簡単にご覧いただきたいと思います。左側に消費税、右側に地方消費税と計算のつながりを図解してございますけれども、まず国の消費税を4%で計算いたしまして、その25%が地方消費税ということで計算いたします。あわせて企業は、本店所在地の税務署に申告・納付を国の消費税、地方消費税をまとめて行うということでございます。この納付された消費税は一旦国税収納金整理資金に入りまして、このうち国の消費税は一般会計に入りますが、地方消費税については、「払込」というのが右の欄にありますが、申告・納付をした税務署のある都道府県に国から払込が行われるということでございます。
この払込が行われた地方消費税につきましては清算という手続きがございまして、その左側にございますように、全国の地方消費税のトータルを消費統計で6/8、人口で1/8、従業者数で1/8、これで按分して割り戻しまして、47都道府県間で清算されるということでございます。清算されてこの基準で配分をされた各県の消費税については、その半分が交付金として県下の市町村に、人口で半分、従業者数で半分で割り振られる、そういうことになってございます。
したがいまして、申告・納付の段階では、都道府県間でかなり税の収納状況に偏在がございますが、清算とか交付といった財政手続きでもって偏在性が軽減されているという仕組みの税ではないかと私どもは理解してございます。
消費税と地方消費税の関係がどうしてこういう仕組みになっているのかというのが、次の38ページからでございます。ご承知のように消費税は多段階累積型の付加価値税という仕組みをとっておりまして、38ページの絵にございますように、生産、製造、卸、小売、各段階で売上にかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を控除することで課税の累積を排除いたしまして、その結果、最終的に消費者が負担する税額が流通段階の各プロセスにおいて、事業者によって分けて納税をされるという仕組みでございます。下のほうに黒く網かけが書いてございますが、こういった仕入れ控除の仕組みを各段階でとることによりまして、消費者の負担額、例えば国の分で4,000円、地方消費税で1,000円ですが、それが各段階でABCD、イロハニという形で分けて納税されまして、累積排除が行われているのがわかろうかと思います。
この仕組みのもとで、具体的に企業がどういう計算をしているかというのが次の39ページでございます。ややこしい表で恐縮でございますが、例えば東京都に本店がございまして、全国に支店を持っている、仕入先も全国にあるという企業が、消費税、地方消費税をどう計算しているか。事業所の本店におきまして、全国の支店の売上、全国の支店の仕入れを合計して消費税を計算するということでございます。出てきた国の消費税額に25/100を掛けて、地方消費税の納付税額を計算いたしまして、両税を一括して、例えば東京であれば麹町税務署に申告・納付をいたします。このうち地方消費税分が東京都に渡されまして、これが47都道府県間で消費に関連した先ほどの基準により清算が行われるという仕組みでございます。
このように多段階累積排除型の付加価値税という仕組みをとっております関係上、全国一律の制度と税率でなければ、現行のこのような消費税の仕組みは機能しないという面を持ってございまして、なかなか課税自主権を発揮して各地方団体が独自に税率を設定するわけにはいかない、という制約のある仕組みであることをご理解いただけるとありがたいと思います。
さらに、40ページでございます。消費税につきましては、今申し上げた1%分が地方消費税であるのに加えまして、国の4%分の29.5%は地方交付税として地方へ渡されております。その結果、一番右にございますように、実質的には地方が43.6%をとり、国が56.4%をとっているということでございます。さらに、この国分の56.4%につきましては福祉目的化ということで使途が決められております。42ページをご覧いただきますと、15年度予算でこの56.4%分が6.7兆円ございますけれども、これは基礎年金、老人医療、介護の国庫負担に充てるということで、対象の経費が10.4兆円ございまして、対象経費に国分の消費税が足りないという意味でスキマが3.8兆円ございます。
この対象経費と消費税との将来の関係を厚労省が推計したのが43ページでございます。2005年、2010年、2025年ということで、対象の経費が12兆円、15兆円、31兆円と増えてまいります。これに対して消費税のほうはほぼ民間の消費支出の伸びで増えていきますので、7.1兆円、7.8兆円、10.6兆円ということで、スキマが4.9兆円、7.2兆円、20.5兆円というふうにだんだん開いていくわけでございます。今後の少子・高齢化社会を考える上での重要な税として消費税が議論されている中で、現時点で、国分と地方分のシェアをこれ以上地方にお渡しする、それについてのご議論はぜひいただきたいというふうに考えております。
47ページからは、個別消費税について簡単に触れたいと思います。まず酒税でございます。47ページをご覧いただきますと、酒税の概要ということで書いてございますが、現在、酒税は国税のみでございまして、課税主体は国。課税段階が製造場からの移出、輸入品が保税地域からの引取りと書いてございまして、庫出し段階での課税でございますので、県別に見ますと、製造場のあるところに税源が著しく偏在しているのが現在の酒税の現状でございます。
特に50ページをご覧いただきますと、国産の酒税の課税状況で、酒税の収入が1兆6,226億円ございますが、このうちの3/4がビール・発泡酒でございます。ビール・発泡酒の製造場の数を見たのが下の箱でございまして、305 場と書いてございます。このうち注3をご覧いただきますと、特に大手5社、キリン、サッポロ、アサヒ、サントリー、沖縄のオリオンビールでございますが、大手5社分の製造場で25の都道府県に45場分布をしているということでございまして、それを日本地図にしたのが51ページでございます。
大手のビール工場45場がこんなふうに分布をしてございまして、例えば茨城県には大きなビール工場が3場ございますので、酒税が茨城県あたりに偏在している姿があとから見ていただけると思います。
こうした庫出し段階の課税ですと、非常に偏在性が高いわけでございますので、仮に地方に酒税をお譲りするということになりますと、庫出し段階ではそのままお渡しできませんので、課税段階を小売段階まで下げてはどうかという議論があろうかと思います。その観点から見ていただくと、52ページですが、現在、酒類の製造場の数、卸売、小売と書いてございます。小売の販売場数が18万ございまして、卸売1万5,000場のうち、注1に小売もできる場数が1万3,300くらいあると。製造場は小売もできますので、こういったものを全部足して、小売段階の課税ということになりますと、納税義務者が20万場くらいに膨らむことになりますので、税務執行コストですとか、納税者の負担ということを考えたときに、庫出し段階で今機能しております酒税を地方にお譲りするというのは、現実問題としてはなかなか難しいかなというふうに考えます。
次が、たばこ税でございます。53ページをご覧いただきまして、ややこしい1枚になっていて恐縮ですが、現在、たばこに対する税は、上の箱の下のほうをご覧いただきますと、税収合計で2兆3,150億円と書いてございます。国と地方で半分ずつ分け合ってございまして、地方のたばこ税が、そこにございますように、千本当たり3,946 円。それから、「国のたばこ税等」と書いてございますが、これは、たばこ特別税を含めまして3,946 円になってございます。国分のたばこ税、たばこ特別税820円分、これは注の2にございますが、国鉄・国有林野の累積債務の返済の財源として国債整理基金特別会計に直入するものとして、平成10年から施行してございます。それ以外の3,126 円分が国のたばこ税として一般会計に入ってございますが、このうち、注の4でございますが、25%は地方交付税として地方に配分しているというものでございます。地方のほうは都道府県と市町村で分け合っておられるということでございます。
また、下のほうに、課税段階を書いてございます。国のたばこ税は、国産品のたばこの場合には、製造場から移出する製造たばこを課税するということで庫出し課税でございます。JTの工場から出荷をするときに課税するというものでございます。
これに対しまして地方のたばこ税は、小売販売業者に売り渡しをする製造たばこに課税をするということで、その下に詳しく書いてございますが、製造たばこを小売販売業者に売渡しする製造者が納税義務者となり、小売販売業者の営業所所在の道府県・市町村に納税をするということで、たばこの小売屋さんがある都道府県や市町村に地方のたばこ消費税は入るということでございます。
この納税義務はほとんどJT1社で行っているのが現状でございまして、国のたばこ税は庫出し段階でございますので、非常に偏在性が高うございますが、地方のたばこ税は小売屋さんの所在地に入るという意味では偏在性が少ないということが言えようかと思います。さらに、JT1社ということで、JT1社で納税を行っていただいているという面もございます。
55ページからは、揮発油税、地方道路税等の特定財源税目について、その概要を書いてございます。55ページ、56ページを見ながらと思いますが、揮発油税については国の道路財源ということになってございまして、道路整備財源等の特例に関する法律によりまして、15年度以降5年間は、道路整備財源として充てることが法定をされてございます。この揮発油税について、例えば税源移譲の議論をすることになりますと、こういった道路の5カ年計画との関係の整理が必要になるという問題がございます。
さらに57ページをご覧いただきますと、この揮発油税も製造場からの移出、庫出し課税でございます。製油所のある地域に税収が偏在するという面がございまして、59ページをご覧いただきますと、全国33カ所の製油所の分布状況をつけてございます。庫出し課税のままですと、偏在性がきわめて強いということが言えようかと思います。さらに、全国の給油所数ということで、ガソリンスタンドの数が約5万3,000カ所と書いてございます。小売段階課税ということになりますと、この5万3,000カ所が納税義務者となるということでございます。酒税と事情が似ていると思います。
以上を踏まえまして、60ページでございますが、主な国税の人口1人当たりの都道府県別の税収額を棒グラフにしてみました。これは偏在性を見ていただく資料でございまして、一番右の酒税、先ほど申し上げましたように庫出し課税でございますので、ビール工場がある県に偏在しているということで、福島県、茨城県、それから、大分は場合によっては焼酎やお酒の工場が多いのかもしれませんが、そこに偏在が見られます。消費税、法人税につきましては、本店のある東京都にかなり偏在してございまして、法人税で東京都が指数にして465、消費税が358 ということでございます。
この消費税の偏在状況は、先ほど申し上げた清算前のものでございまして、後ほど地方税関係資料でご説明があろうかと思いますが、清算後であればこの偏在がかなり緩和されるということが見ていただけると思います。
それから所得税につきましても、東京都にかなりの程度偏在しているということでございます。
国内の話は以上でございます。
〇事務局
続きまして、国際比較のご説明を申し上げたいと思います。ここでは、主要国におきます国税・地方税の姿、課税の考え方、あるいは、その特徴というものを、一定の情報の中で整理いたしましたので、ご説明いたします。
61ページを開けていただきたいと思います。まず、全体の鳥瞰ということでございまして、租税負担率、国と地方合わせたものということでございます。ここに掲げました日本を含む6つの国を比較いたしますと、スウェーデン54.4%から始まりまして、ここに掲げたような数字の状況で、日本は一番低い状況にトータルではなっているということでございます。
次のページ、62ページでございます。これは、国と地方に分けて棒グラフで記したものでございます。国の租税負担率だけをご覧いただきたいということですが、例えばイギリスは39.4%ということで、非常に高い。それから、フランス、スウェーデンという数字がございまして、日本は12.0%ということになってございます。イギリスの場合は、特に地方とのバランスが、圧倒的に国にあるというのも特徴的でございます。
アメリカとドイツでございますけれども、ご案内のとおり、連邦制をとった国でございまして、州の税負担分が相当程度あるということで、棒グラフを3本にさせていただいております。州そのものの位置づけにつきましては、それぞれ独自の憲法を持つことから、日本と比べる場合には、それは国相当と見るということであれば、例えばアメリカにおきましては、連邦分が16.6%、州分が6.7%となってございますので、合わせれば23%相当。ドイツでは、連邦が15.9%、州が11.5%、合わせて27%相当。こういうふうな数字のイメージで比較することも一つの方法であろうと思います。
それから、地方自治体、地方政府という部分で見ていただきますと、スウェーデンの22.3%というのが高うございまして、日本は、続きまして8.9%、それからフランス、アメリカ等々という形のレベルになっているという事実関係でございます。
次のページ、63ページでございます。ここでは、これから国と地方の関係を考えます場合の、地方のいわば統治形態、課税権の考え方などを考える場合の基本になる部分でございますので、整理させていただきました。ご案内のとおり、日本は、県、市町村という二層制でございます。イギリスは、イングランドをはじめ4地域それぞれ特色がございますが、ここではイングランドで整理をいたしますと、単一国家ということですが、例えば大都市圏ではメトロポリタン・ディストリクトということで一層制になっている部分と、カウンティとディストリクトという二層制になっている部分と、混在しているという姿がございます。
フランスでございますが、三層制ということで、州、県、市町村でございます。この州は、1982年の地方の改革という中で、日本の言葉でいえば道州制に当たるようなものなのでしょうか、そういうものとして新しく地方自治体化したものでございますが、州は日本の県に相当するものだろうと思います。ちなみに、市町村という一番末端の部分、3万7,000ほどの非常に数が多いというのが特徴でございまして、一つ一つの規模はかなり小さいということでございます。
それから、スウェーデンでございます。スウェーデンは、県と市町村ということで二層制になってございまして、日本に非常に近い姿かなと思います。県と市町村の関係におきましては、それぞれの行政サービスにつきまして機能的な分担関係を持っているというふうに承知しております。
右側でございますけれども、ドイツ、アメリカと掲げてございます。この2つは、今まで申し上げました単一制の国ではございませんで、連邦制という形をとっておりますので、ちょっと形が違います。ドイツでは三層制、州、郡、市町村という形になっておりますけれども、ドイツの場合は歴史的経緯で、州が中心として発展してきまして、その過程で連邦という形に組み込まれていったという流れがございまして、ドイツの憲法に当たる基本法においては、州が基本的な国家の権利の行使権を持つ形になってございますので、この議論を見るときには、この州は、日本でいえば国に相当するというような頭の整理かなと思っております。
税の関係で申し上げますと、連邦と州がどういう関係かということが重要になってまいります。ここは、あとでもう少し詳しくご説明いたしますけれども、協調的な連邦主義ということで、ある種のコンフリクトがありながらも協調するという仕組みになっております。
アメリカでございます。連邦制でございます。多層構造ということで、州がございまして、下に地方政府ということで、さまざまな形、カウンティ等々がございます。この地方政府が重要な公共サービスの実施主体になっていると承知しております。これもまさに歴史的経緯でございますけれども、連邦憲法制定の過程で、州が連邦に対して一定の権限を限定的に授権するという形で発展してきた制度でございますので、そういう意味におきまして、州というのは日本の国に相当するような位置づけと考えていいのではないだろうかと思います。
以上を前提にいたしまして、少し税に入っていきたいと思います。
次のページ、64ページでございます。このページと次のページ、国と地方におきます税収の構成比を鳥瞰していただこうという意図でございます。このページは、主要国における国・連邦レベルに加え、連邦制国家におきますアメリカ、ドイツの州ということで書いたものでございます。見ていただきますと、それぞれ円グラフのシェアの割合は違いますけれども、それぞれに個人所得課税、法人、所得、消費、資産という課税ベース間で何らかの形での課税がなされている姿が読み取れます。
65ページでございますが、これにつきましては、まさに地方における姿でございます。かなり特色がございますのでご覧いただきたいと思います。まず、一番上のところでございますが、資産課税中心型と整理をいたしました。アメリカの場合は資産課税ということで、あとで申し上げますが、固定資産税のような財産税が7割強ございます。イギリスでは、100%資産税、カウンシル・タックスという居住用資産に対する課税ということでございますが、これのみの形になってございます。フランスでは、資産課税。これも職業税とかいろいろ名前はございますが、そうしたものがこの数字では8割くらいあるということで、基本的には、応益原則というようなもの、物税的なものと俗に呼ばれるような概念を、ここで具体化しているということかなと思います。
次の(2)でございますけれども、個人所得課税中心型ということでまとめましたが、ドイツにおきましては個人所得課税というのがございます。これはあとで申し上げますが、ドイツでは共有税という制度がございまして、その部分が地方に配分されていて、6割強のウエートがあるということでございます。
スウェーデンにつきましては、100%個人所得課税ということで、日本で言います住民税の所得割のようなものでございます。いずれも応益原則ということだろうと思います。
次のページ、66ページでございます。税目の鳥瞰でございます。時間がございませんので、さっと流しますが、個人所得課税の欄でございます。アメリカ、イギリス、横に見ていただきたいと思います。アメリカにおきましては、所得税ということで連邦、州、地方、各レベルでの独自課税が行われています。
ドイツでございます。これも連邦制でございますが、共有税という形でございます。連邦と州で共有いたしまして、その税収を連邦、州、市町村に配分をする形になっているものでございます。
それ以外のイギリス、フランス、スウェーデンにつきましては、国税という形になってございますが、スウェーデンにつきましては国税と地方税のいわば組み合わせ型になってございます。恐縮でございますが、1枚めくっていただきまして、67ページ、今の個人所得課税のイメージをポンチ絵にしたものでございますが、スウェーデンのところをご覧いただきたいと思います。スウェーデンのところは三段重ねになってございまして、市、県、国となってございます。課税自主権がそれぞれの地方団体にございまして、これはストックホルムの例が書かれています。ストックホルムの場合、市では18.08%、市を含む県段階では11.62%、上乗せで国が20%と25%の累進課税という形になっています。所得再分配という点でいきますと、全国レベルということでございますので、国税が上乗せになってございますが、下の県と市につきましては応益課税ということで、フラット税率で課税になっているわけです。
それから、注の2を見ていただきますと、「また、歳出に応じて、毎年税率が変更される」ということでございます。スウェーデンにおきましては均衡予算主義というものがごさいますので、赤字が出た場合の収支じり調整というものを、一定の期間に税率において解消することが義務づけられているものと承知しております。
恐縮ですが、戻っていただきまして、66ページ。法人所得課税。ここは個人所得課税と同じような形で、基本的には、アメリカは個人所得課税と同じ、ドイツは共有税、イギリス、フランス、スウェーデンにつきましては国税で仕組まれております。
それから、消費課税のところ、一般消費税でございます。アメリカでございます。これは、州段階等々でいわゆる小売売上税ということで、一番下の川下段階における単段階課税ということでございます。地域ごとに異なる税率設定ができるということで、州におきまして課税自主権が発揮され、ばらつきが出ているということでございます。
ドイツは、同じく付加価値税につきましては共有税ということでございます。共有税は、所得、法人、付加価値税、この3本あるということでございます。
そのほか、イギリス、フランス、スウェーデンにつきましては、それぞれ付加価値税ということで国税でございます。多段階型の消費地課税主義ということで、その性質上、地方税として構成できないということで国税だろうと思いますが、そういう姿になっております。
飛ばしまして、資産課税のところでございます。2つに見ていただきます。相続税系統の話。これは、所得再分配のことがございますので、国税として構成されている。それ以外の財産税、固定資産税的な世界につきましては、おおむね地方税的、応益性ということに着目いたしまして地方税で仕組まれているということで、特にイギリスの場合は、地方税につきましてはカウンシル・タックスのみということになっています。
以上でここは終わりまして、次、ずっと飛ばしまして、71ページでございます。若干重複いたしますが、最後、課税権の関係だけをまとめたものでございます。アメリカは連邦制でございまして、州におきましては州税は州法で決めるということで、独自課税という形になっておりまして、個人所得税、小売売上税という単段階の税が主になってございます。州ごとの税率設定権は認められておりますので、税率がまちまちになっているということでございます。
それから地方政府、例えばカウンティなどの州の下の段階のものでございますが、課税権は州より委譲されているということで、資産課税中心の財産税がございます。ここで、税率につきましてもそれぞれのところで決定ができるということでございますが、特にこの地方政府におきましては、警察、教育、消防などのサービスを実施する主体ということで、応益原則が言われるわけでございまして、俗にエデュケーショナル・タックスなどという言葉が言われる部分に当たるところでございます。
イギリスでございます。これは、単一国家ということで、国で課税権が決められる、カウンシル税が唯一の地方税と申し上げたところでございます。税率設定権は地方において行われるということでございます。地方の一般会計は均衡予算が義務づけられているということでございますので、収支じりにつきましては、カウンシル税の税率で調整する形になるわけでございます。
ドイツにおきましては、連邦と州の間の競合というのがございますが、協調的連邦主義という姿をとっておりまして、最終的には、課税に関する立法は事実上連邦が行うという形になっております。いずれにしても共有税ということで、州と連邦が共有する税が出る背景になる考え方でございます。所得、法人、付加価値税というものが共有税として構成されております。したがいまして、税率設定権等々につきましては州に独自課税権はない、共有ということでございます。市町村につきましては、それぞれご覧いただきたいと思います。
フランスでございます。フランスは、国が法律で地方税を決めるということでございまして、資産課税を中心に4つ挙げてございます。税率設定権につきましてはそれぞれ自治体において決められますけれども、括弧書きにあるような一定の制限は加えられているということでございます。
最後に、スウェーデンでございます。法定外税は可能でございますが、現在ございませんで、一つございますのは個人所得税ということで、先ほど見ていただいたものが行われているということでございます。徴収は国でございます。ただ、人口が少のうございまして、納税義務者は600万程度でございますので、東京都並みということがあろうと思います。税率設定権につきましては、それぞれの地方に委ねられておりまして、応益原則等々が実現されているということでございます。
最後の72ページは、そのことで自治体間の税率格差がどうあるかということで、上のボックスは日本の姿、下は外国の姿ということで見ていただければと思います。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは地方税のほう、税源移譲の受け手という視点を強調されまして、ご提出の資料をご説明ください。
では、事務局、お願いします。
〇事務局
トータルで3時までが本来だと思いますが、今、大変詳細にご説明いただきましたので、私どもはできるだけ短めにしてやらせていただきたいと思います。
地方税の関係の資料、4分冊にさせていただいておりますが、そのうち「基礎小4-2」から順次ご説明させていただきたいと思います。できるだけ絞ってご説明させていただきます。
2ページをご覧いただきたいと思います。国税と地方税の税収のウエート、割合をご覧いただければと思います。先ほどご説明がありましたように、固定資産税を除いた地方の基幹税、いずれも、国税の基幹税と基本的に税源などを共有している部分が多うございます。所得税が31%、それに対して個人住民税25%、法人税は20%に対して18%、消費税の場合は地方消費税のほうが7.5%と小さいので、吹き出しで書いてございますけれども、こういう状況でございます。
4ページをご覧いただきたいと存じます。これまでもご説明させていただいたかと思いますけれども、税は公共サービスを行うための原資でございます。国と地方の仕事・役割の分担、分量のようなものを歳出・支出ベースでご覧いただきたいということで、白い部分が国、網かけの部分が地方でございます。防衛費、年金関係以外、非常に多くの部分を地方が最終的にやっている。右上に書いてございますが、国4、地方6以上という割合でございます。
次のページ、先ほど国際比較の問題があったわけでございますが、仕事の量の関係はあまりなかったのかなということで、一般政府支出、社会保障基金を除いてございます。ちょっとデータが古くて申し訳ないのですが、GDP比で国際比較をしようと。ちょっと図が見にくいところもございますけれども、凡例の下に日本がございまして、地方のほうは12.9%、国のほうは3.3%ということで、地方財政のウエートは80%くらいという状況でございます。ちなみに、先ほどとの比較でいきますと、地方のウエートが大変高いのはドイツ、カナダ。ご議論ありましたように、州という存在をどう見るかというのがありますが、仕事のウエートの分析では、※印が書いてございますが、州の部分を入れて量を見ている、こういうところに並ぶのが日本の地方の状況です。ちなみに、手元にデータがきちっとはございませんけれども、州と地方自治体合わせたところでの税収で見ると、国と地方の税収は、ドイツもカナダも半々くらいであったかと思います。
次のページでございます。これは、今の税の割合と仕事のウエートをご覧いただこうという趣旨で、いつもよく申し上げております国税6に対して地方が4、それから歳出のベースでいきますと、逆に4対6という形になるということでございます。
7ページ、基幹税ということが今回の税源移譲の一つのキーワードという格好でございます。そこで、これまで政府税調での答申の中から、地方税での基幹税、基幹税目についてまとめたものを抜き出しをさせていただきました。固定資産税の場合が非常に地方税らしいということがあるわけですけれども、安定的あるいは普遍的という言葉--安定的というのが伸び率の変動が少ない、普遍的というのは偏在性の少ない、こういうことでございますけれども、そういう観点からいたしますと、地方の基幹税の中で個人住民税、地方消費税というもの、固定資産税と並んで取り上げられるということでございます。ちなみに地方消費税はここで、「福祉・教育など幅広い行政需要を賄う税として重要な役割を果たしており、今後その役割がますます重要なものになっていく」というコメントがございます。
以下、個別の税目については、先ほどとご議論が重なりますので省略していきたいと思いますが、9ページに、個人住民税の沿革を、これも政府税調での書きぶりをそのまま受けて書かせていただいております。シャウプ勧告で近代的な個人住民税になったということですが、3段落目のところ、昭和37年でございますけれども、「地方に安定的かつ普遍的な税源を付与して歳入構成を是正し、地方財政の自主性及び健全性を高める」ということで、所得税の一部を道府県民税に移譲する、あわせてたばこ消費税の税率の引上げ、逆に、入場譲与税の廃止、こういうことがあったわけでございます。
それから法人関係は、ちょっと時間の関係もございますので、申し訳ございません、飛ばさせていただきたいと思います。16ページ、地方消費税のところ。これも先ほどのご説明と重なってしまうわけですが、この中で課税方式のところ、譲渡割と貨物割という、あまり耳慣れない言葉がございます。譲渡割のほうは国内での消費活動に対するものでございまして、ほとんどがこの譲渡割になるわけでございますけれども、「当分の間」という言い方を課税方式の中に入れてございます。これは、地方消費税創設の際に、できるだけ納税者の方のご負担等も勘案して、当分の間は国に徴収を委託しようということで、法律の条文がこのようになっているということでございます。
課税標準、税率等は、先ほどのご説明のとおりでございますけれども、「その他」のところで清算ということがございます。きちんとした形で最終整理をするという意味合いの言葉ですけれども、地方消費税創設の際に、税収の帰属地と、消費税でございますので、消費地の整合問題があったわけです。その不一致をどうするかということに関しまして、清算制度というものを設けることによりまして、具体的には、消費に関連した基準でもって、一旦都道府県の中に納められる地方消費税について清算をする、こういうことをやることによりまして、消費課税という税の性格をきちんとさせるということで作られたものでございます。指標がございますけれども、これは財政調整のための制度等ではもちろんないわけでございます。
それから、地方消費税の沿革、ごく簡単に次のページに載ってございます。平成6年の税制改革の際に、「地方分権の推進、地域福祉の充実等のため」ということで、税率全体としても3%から5%に上がるということであったわけでございます。ただ今のようなためのものであることを強調いたしまして、地方消費税も含めた形での消費税率5%が成り立ったというふうに承知してございます。
それから、固定資産税などの説明も省略いたします。21ページでございます。1枚の図にいろいろな税目を入れてしまっております。ちょっと見にくいかと思いますけれども、先ほども国税のところでございました、一番左側が地方税収全体、これを人口1人当たりで見たら県単位でどうなるだろうか、ということでございます。全国を100とした場合、一番大きなところ、東京都の区域ですが、175 ということで、主たる要因といいましょうか、法人二税が、人口1人当たりのところでの偏在性という点では最も高いわけでございます。地方消費税の場合は消費税と違いまして、清算後でしか見る意味がないというふうに思ってございますが、ちなみに、全国で展開している企業の場合、地方消費税--これは消費税も当然でございますけれども、全国での活動の結果の消費税につきましては、本店所在の税務署、例えば京橋とか日本橋とか、そこで一括して納めるということでございますので、清算をしないと、本店所在のところが非常に大きな形になるということでございます。
それから、22ページにつきましては、もう一つの地方税で大事なこととしての安定性をご覧いただければということで、対前年度の伸び率を出したものでございます。本来であれば、より詳しい説明が必要だろうと思います。といいますのは、法人二税の場合、落ち込んでいるように見えているところの中には、減税の効果が入っているところ、個人住民税もそうでございますけれども、そういうものもあるのですが、安定的である税目かどうかという点で、何が安定的かというのは一応ご覧いただけるのではないかということでございます。
次に、「基礎小4-3」の資料でございます。「地方税制の経緯」ということで、シャウプ勧告以来の主だったところを抜いたのですが、これもできれば飛ばさせていただきたいと思います。8ページのところ、これが、シャウプ勧告後かなり抜本的に改正をした昭和29年度の概要でございます。シャウプ勧告がベーシックなものを作ったあと、現行の地方税といたしましてはこれが原型になっていると思っております。考え方としては、これ以外のところもそうでございますけれども、地方税、財政も含めて、どうやって仕事を賄うだけの財源を確保するかという歴史ではなかったかと思います。そういう点で、必ずしもシャウプ勧告にないような形のものもかつて課税していたということで、例えば、不動産取得税なども創設したりということがございます。
それから、36年の税調の答申がその次のページにございます。このときの税調の答申、まさに今回、非常に参考になるのではないかという気もするわけでございますけれども、9ページの(1)、「国、都道府県、市町村間の税源配分の問題」。税の総量の問題、それから、地方税として望ましいと考えられる諸要件から見た税体系の性格についてということで、地方税の関係については一番下のところ、先ほども地方税の性格論がございましたけれども、どういうものが地方税として適合しているのかという観点からの検討も加えた。
その次のページ、10ページにまいりまして、アンダーラインが引いてございますが、「税源配分の問題に関しては、地方財政の自主性、健全性を高めることを目標として改正を行なう必要がある」という考え方に立ちまして、「地方団体に安定的、普遍的な税源を付与して、歳入構成を是正するための改正を行うことが必要であるという結論に達した」ということで、先ほどちょっと紹介申し上げましたけれども、所得税の一部を道府県民税の所得割に移譲する、そして、住民税のあり方に即して累進税率を改めて、比例税率--完全なフラットではございません--にすることを言ってございます。
こういうことによりまして、「地方団体間の税源帰属の適正化を図るよう、所要の措置を講ずる」ということで、法人関係のところで分割基準がございます。その関係の改正のことも示唆をするという内容になりまして、これが具体的に細かくは11ページ、あるいは12ページ以降に、所得税とどう負担を調整するのかということ、あるいは13ページにまいりますと、アンダーラインを引いてございますけれども、税額を控除することによりまして、改正に伴う個人の方の負担の変動を抑えることが図られたわけでございます。
その後も、16ページなどには、かなり大胆に地方税収が歳入の50%になる形での税源移譲案というようなものも検討されたという経緯がございます。当時のお金で2,800億円の案もあったわけでございますが、この辺は実現はならなかったということでございます。
18ページ以下、消費税関係のことを、最近の恒久的減税に伴うたばこ税の税率を改正したというようなことを書いてございます。
ちょっと18ページをご覧いただきますと、消費税導入に伴いまして、これまで地方税として安定的であった税収をあげられる電気税、ガス税、あるいは都道府県の税金も相当改正されて、1兆円くらいそういうものがなくなったといいますか、形が変わったというようなことも挙げてございます。
それから「基礎小4-4」は、これまでの政府税調の答申、そのほか、閣議決定などいろいろ挙げてございます。地方税体系として何が一番大事なのかということで、税源の偏在性が少ないこと、税収の安定性を備えていること、ということなのですが、全部省略させていただきたいと思います。アンダーラインを引いているところが大事かなというつもりでございます。
最後でございます。「基礎小4-5 税源移譲に係る地方団体からの提言」ということで、今、地方団体のほうから具体的な税源移譲について、こうやっていただきたいということでいろいろご要望がございます。また、それを受けて、政府側からも1兆円の補助金の削減、その際の税源移譲について、知事会等の要望を踏まえて、しっかりこの改革を進めていけという総理の指示があったと、そういう金融・経済財政政策担当大臣のご発言もあるようでございます。
具体の中身は、ここはあれでございますけれども、いずれの団体もほぼ、廃止すべき補助金、額も非常に多うございます。具体性も相当程度ございます。その全額が税源移譲としてほしいというのではなくて、ある程度削減を前提として税源移譲の額を出している。さらに、基幹税目を中心として、例えば1ページでありましたら、所得税から個人住民税へということで10%程度の比例税率化、消費税から地方消費税へという場合は1%相当額をということで、かなり具体性を持った期待感を込めたご要望といいますか、ご提言がございます。
そういう中には例えば3ページのように、地方消費税につきまして、税率、1%刻みではなくて、1.5%ということを出されているところもございます。幸か不幸か、今の地方消費税の体系でいきますと、税率の国と地方とのウエート、かなり自由に変えられるということが、こういうご要望、0.5%刻みとかの裏にはあるのかなと。
最後に、6ページに飛んでいただきたいと思います。これは具体性を持ったご提言ということで、細かい字でいろいろ、どういう補助金がということになってございますけれども、その中で、指定都市、あるいは全国市長会のところの「参考」、すぐには廃止できない、あるいは、当面存続するというものの中に、生活保護費の負担金、児童扶養手当の負担金が挙がっておりまして、やめてほしいというものではないほうの議論が、今、補助金のほうで行われてしまっていることが、一つ、議論を輻輳化させている理由ではなかろうかと思います。
時間がかかりまして、申し訳ございません。
以上です。
〇委員
ありがとうございました。
今日は、基本的なデータを全部出していただこうと思いまして、時間をとりましたが、それでも10分超過いたしました。事務局のご協力によりまして、心配されたほど超過しておりませんが、あと50分ほど、今日のこの資料をベースにした議論をしたいと思います。
いずれにいたしましても政府税調は、総理大臣の指示によって、ある具体的な税目を決めて税源移譲の具体性をある程度出さなければいけないという使命を負っておりますので、どういうものがこれに該当するか、国税で今6種類の税が出てまいりましたが、そういうことを踏まえまして、具体的にご検討いただけたらと思っています。今日、どれにしようというように決めるわけにはいきませんが、広く、さまざまな観点からご議論いただきたいと思います。どうぞ、時間もございませんから。
〇委員
わがままばかり申し上げますが、私、ちょっと時間がございませんので、最初にお話しさせていただいて……。
〇委員
お話といっても、短くしてよ。皆さん発言したいのだから。
〇委員
はい。できれば、この問題について私はライフワークとして取り組んでおりますので、ペーパーを出させていただければと思います。感想だけちょっと述べさせていただきますと、まず、こういう問題をやるときにはビジョンをちゃんと描いておいてやったほうがいい。ただ、私どもは現実からどうしても出発せざるを得ませんので、大きなビジョンで合意が得られるということは考えられませんけれども、しかし、大まかな方向性だけ、少なくとも国税、地方税、社会保障負担、この3つをどういうふうに組み合わせるかという体系的な行き着くべき先みたいなものを、漠然とでもいいから念頭に置きながら議論を進めておくことが重要ではないかと思います。
それから、私のような者の教科書を引いていただきました。これは、伝統的に展開されてきた地方税原則を整理しているところでございまして、最近では地方自治体が、伝統的なサービス、警察とか消防だけではなくて、福祉とか、医療とか、教育という対人社会サービスが増加しております。そうしたときのあり方をまず考えておく必要があるだろうと思います。
それから租税原則というのは、少なくとも全部の租税にこの原則を満たさなければいけないという話ではなくて、税体系を組むときの原則でございますので、ある場合には一つの税目で--例えば負担分任というのはある税目で適用していればよくて、自主性なども全体にかからなければならないという話ではないということだろうと思います。
どういう税金を地方税として踏み込むかということですが、私は、アリージャンスルール、つまり、その地域社会のメンバーシップを持っている人々が納めるような税金--個人住民税みたいな税金ですね--を軸にしながら、しかし、それだけではだめで、さまざまな事業や取引をしてその地域社会から公共サービスを受ける人々にも負担してもらうということからいけば、地方消費税、つまり付加価値税というのは多段階で取引をかけられますので、応益原則に最も適しているんですね。これは、ゲルハルト・コルムの応益原則の説明にありますように、もともと応益原則で課税される税金というのは、地方での市場取引を地方政府が保護するための対価として支払われている税金でございます。私の考えでは、そうした2つの税金、地方消費税と住民税を、それぞれの国と地方の役割分担に合わせて配分していくことを原則にしてやるべきではないかと思います。詳しくはペーパーで述べさせていただきます。
〇委員
はい。また機会を見て持論を展開していただきましょう。
どうぞ、ほかに。
〇委員
私も途中で退席させていただきますので、先にお話しさせていただきます。
今、詳しいご説明をいただいたのですけれども、徴収面から見た場合の実行可能性という観点ですが、現実にそれが動くのかどうかという点について、これはデータは難しいと思いますが、お教えいただければと思います。閣議決定では基幹税を動かすようにというお話ですけれども、基幹税としては、所得税、法人税、消費税とあります。例えば所得税を見ますと、この資料集にも入っておりましたが、ほぼ16兆円の所得税の収入のうち13兆円が源泉課税で、3兆円が申告所得税によるものである。ほぼ8割は源泉課税によっていて、この残りの3兆円を申告納税をしている事業所得者から取り立てると。これが非常に大変な作業で、ですから国税庁では、所得税なら所得税というものに張りついた職員が10年、20年とずっと担当しまして、時に税務大学校で研修を受けて、もう一回また現場に戻る、これを繰り返してきているわけですね。
住民税はどうかといいますと、そうやってでき上がった申告書類、それから源泉徴収の支払調書をコピーしてきて、これを机の上で計算して課税通知書を送るわけですが、これをそのまま動かすと、一体地方自治体にはどういう税金を徴収する組織が存在するのだろうか。今現在ですと、税務事務所で3年くらいのロテーションで回っているわけですので、とても3兆円の申告納税のこれは期待できないのではないか。
そういう形で税収が漏れていくというようなことになりますと、非常に不信感を買うことになってしまう。3兆円の申告所得税、これも、これだけ取れているから源泉徴収が動くわけですので、申告所得税が任意税のような形になってしまうと、源泉徴収だってどこまで本当に使用者が協力するかわからなくなるわけですね。
ですから、税源移譲に当たって、行政の実行可能性という観点からも十分に検討して、どれが可能なのか。理想的なものがなければセカンドベストとか、そういう観点を踏まえて検討していただきたいと思います。
以上です。
〇委員
ありがとうございました。一歩踏み込んだご発言だと思いますが、いずれまた、この種の議論をしなければいけないと思います。
どうぞ。
〇委員
僕はきわめて具体的に考えたいんです。総理の指示が9月ころに出ていれば、税調ではもっと本格的な議論ができたかもしれない。しかし、3週間前に突然として出たんですね。すべての予定が狂ったわけだ、関係省庁全部。その中で暫定的に答えを出さなければいけないとするならば、来年度はどうするんですか、それから後のことはもうちょっと腰を据えた議論をやるんですか、ということについて仕分けするのが最初だと思っているんですよ。基本は、どうせあと1回か2回、総会をやっておしまいになるというのだから、ろくな議論をやらないで終わってしまうわけですね、わがほうの税調は。それならば、せめて基本的な方向づけだけでも内外に明らかにする必要があると思うんですね。
一つは、この前も申し上げたけれども、所得税を移管するのが一番理想的だと。今さら四の五の言ったって始まらないんだから。腹据えてやるしかないんだから、やればいいんですよ、いいことだから。ただ、やるならバッサリと、基本的なことを全部踏まえた上でやるべきなのであって、ちょろちょろ、ちょろちょろ部分的なことをやるということは禍根を残すだけだと。そんな議論しかできない、こんな短い時間に。現実問題として。党もここもできるはずないと僕は思ってますからね。来年、時間ができたらば、個人所得税体系というのはこうあるべきなのではないか、新しい行政のもとに地方はこう、国はこう、ということをゆっくりやればいいんですよ。来年の今ごろ答申すればその話は済むと思うんですね。
残ったのは、来年度どうするかという話ですよ、現実的には。国庫補助金の整理について、霞が関は明治以来、太政官布告以来の中央官庁対地方官庁の戦争ですからね。これ、「上下・主従」の関係と言うんです、財源を中央が握って地方に金をくれてやるというやり方は。これを直したいのはやまやまだし、その方向であることは間違いないと思う。正論だと思うんですね。
ただ、それをやると、今度、中央官庁のほうは仕事がなくなっちゃうわけだ。ある課は、この補助金がなくなったら仕事なし。皆さんクビにはできないからね。極端な話ですよ。だから、既得権益を守るというので抵抗するのは当たり前で、今ゴタゴタやっているのは当たり前のことが起こっているだけですよ、僕から言わせれば。ただ、ちょっと見苦しいんじゃないかという感想もあるんですね。当たり前だと思うけれども、見苦しい。当税調はもっとすっきりした議論をやりたいんですよね。議論は対立しても構わないから。それだったら来年やるのが、どう考えたって……。ちょっと議論が早く出すぎたんだよね。この話は変ないちゃもんがつきすぎていると思うけれども、早く結論を出してはいけないですね。だけども、やはりたばこの税金について考えるしか現実的には手はないと思うのです。
あと一つ、基幹税の話で言えば、所得税のことについては今申し上げたけれども、問題は、今の知事会の要請その他を全部分析してみれば、明らかに消費税の話ですよね。さっきの説明によれば、税の性格からいって簡単にいかないという説明もあった。しかし、それを乗り越えられたとしても、現実には消費税にみんな注目してるんですよ、年金のことから何から。これはそれを先取りする話だ、0.5 よこせというわけだから。そんなに簡単にやっていいのか。これに対するニーズは山ほどあるわけで、みんなそんなこと知ってるわけだから。総合勘案もやらないで、いきなりとにかく先着順で受けつけましょうかというのでは、いささか筋道が違うと思うんですね。僕は、基本的には来年ゆっくりやる、今はたばこ税しかないと思いますね。
〇委員
非常に議論促進型のご発言がありましたけれども、それに呼応する形でどんどんどうぞ。
〇委員
結果的には今の委員の意見に近いのですけれども、やはり私も、今限られた時間で何をここで議論するのか、それが一番重要だと思います。あまりにも大きな問題に対して具体的に何をするのか。税調としては、今何をするかということに関してどういう認識を持つのかということで、それぞれの人がそれぞれなりにお話しになるのでしょうけれども、その点で言えば、国の財政で80兆円お金を使って40兆円しか入ってこないと。今日、私がお話を伺った限りで印象深かったのは、個人の所得税でも、何ページと申しませんけれども、国が13.8%、地方が8.2%と、その差がどんどん縮まってきているわけですよね。それから、法人税も国が9.1%、地方が足し合わせると5.9%。消費課税も半分近くが地方にいっている。だからその辺の大きなところを、国の財政がこれだけ厳しい中で今やるのか、ということはできない。
ここでやるべきことは、補助金カットとの見合いで税源移譲をする。そして、その税源移譲するときに、尻拭いが安易に交付税にいくことであってはいけないわけで、きちんと地方の責任と徴税努力を担保する形で税源移譲するべきだと。では何ができるのかといえば、何税ということは、今ここで具体的に先ほどの委員ほど歯切れよく言えませんけれども、考えつく税としては、先ほど挙がった税とか、幾つかを具体的に移譲する。そのシミュレーション結果……。
〇委員
歯切れが悪いねえ(笑)。若いのだから、年寄りにあれすることないよ。
〇委員
また次に。
〇委員
わかりました。
どうぞ。
〇委員
私は、今までの税制改正がいわゆる租税の一般原則に基づいて行われていたのが、ようやく、地方税のあるべき姿、あるいは中長期的に地方税はこうあるべきだということが議論できたという意味で、今回、すばらしい出来事だったと思っているんですね。その中で、たしかに時間がありませんけれども、細切れに、平成16年度がこれくらいの金額だからこういう税源移譲で、というようなことでやるのは非常にまずい結果をもたらすことになるだろうと思っております。そういう意味では、少なくとも地方税のあるべき姿としてこういうものが望ましいのではないかといったようなことは、これはやはりメッセージとして、いくら時間がなくても発するべきだと思っております。
そういう中で、地方税原則を幾つかご説明いただいたわけでありますけれども、私は、日本の税制というのは非常にうまくバランスがとれていて、対立するような租税原則を複数の税目の中でうまくバランスをとりながら満たしている、そういう具合に考えています。そういう意味では、消費課税、資産課税、所得課税、これはすべて排除すべきではないだろうと思っております。特に今の日本の消費税が、小売売上税というのがあれば別ですけれども、小売売上税というようなことになってきますと、租税そのものの構造的に非常に脆弱なところもある。脱税等の問題もありますね。そうすると、付加価値税である消費税が消費課税としては強固なものであって、それが最終的に小売売上額とか人口とかで清算されているからこそ負担分任という原則をうまく満たしているのではないかと思うのです。
今後、国の財政もさることながら、地方財政も福祉、教育等々で膨張していく要因というのは多いわけです。そういう中で、いわゆる基礎的な部分を何で賄うのかということを考えたときに、負担分任を実現できる、消費税で基礎的な部分を賄うというのは非常にリーズナブルではないか。その場合に、消費税は税率を自由に設定できないではないかという議論があるわけですけれども、私自身はすべての税目に税率の自主決定権が及ばなくても構わないと思っています。つまり、基礎的な部分は消費税で賄って、それに住民税の税率を自由に決定することによって、自治体間の差をつけるということがあっても全く構わないという具合に考えていきますと、私は、たばこ税というのが果たして地方税にふさわしいものであるのかどうかというのはちょっと疑問なんですね。清算をするという意味では消費税と同じなわけです。つまり、小売の営業所のあるところで再配分をするということですから、そういう意味では消費税と同じではないか。
しかも、今後、たばこ税が果たしてどの程度の税収になるのかということを考えたときに、地方財政の基幹税としてたばこ税を位置づけるというのは非常に難しいと考えますし、負担分任、広く負担をするということを考えたときに、たばこ税という、喫煙者のみが税を負担することが地方税の原則から見て望ましいのかというと、やはり疑問だという具合に思います。したがいまして、将来的に禍根を残さないような平成16年度の税源移譲を考えていかなければならないのではないか、という感想でございます。
〇委員
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
〇委員
今、ご説明を伺っていて、要するに地方の支出の割合が最も高い国が日本だということですね。というと、非常に妙な話で、ある意味では地方分権は日本が一番進んでいるのかということですね、地方がそれだけ仕事をやっているということですから。
ところが、そうではなくて、地方分権が大切な国家の政策となっているのは一体何かといいますと、実際上、地方がそれだけの仕事をやっているのに、国から移転されてくるお金でやっているというところが問題だ、こういうことで地方分権の議論をしているわけです。なぜそれが問題なのかというと、基本的には、住民が自分で負担をするということがはっきりして、自治体が課税を行って、それによって住民が支出に対して監視をする目が厳しくなっていく、それこそ自治だということだと思うのです。仕事の量から言えば、すでに地方分権は非常に進んでいるのに、なぜこんなことを言っているかというと、そういう理想的な住民の手による自治をやろうとしているわけです。この目的に合う税を選んで移譲しなくてはいけないというのが基本だと思います。
地方自治体というのは何かといいますと、基本的にはその地域とそこの住民ですよね。地域に着目して課税されているのが土地を中心とする固定資産税であるし、住民に着目して課税されているのが住民税になるわけです。この税が一番基本的な税であって、そこを中心に考えていかなくてはいけない。好ましくない税というのは何かというと、要するに国からもらってくる、国から移転されてくるお金、それを税と呼ぼうと、交付金と呼ぼうと、補助金と呼ぼうと、それが住民の自治意識に対して妨げになっている。地方政府は住民のほうを見ないで中央政府のほうに向かって、ください、くださいと陳情をする。それがよくないという話なのですから、そこを考え直さなくてはいけないと思うんですね。
地方消費税というのは、再分配をしていますから、結果的には偏在は少ないということはおっしゃるとおりだと思いますが、その再分配を行った結果についてまで、住民も、それから地方団体もほとんど何も関与していないのです。交付税と全く同じなのです。消費税の29.5%を交付税としていただいている。それと同じように国の消費税の25%をいただいて、それを再分配している。分配の仕方が違うだけなんですね。その分配に、地方団体が本当に関与して丁々発止とやっているかというと、そうではない。その基準はみんな国が決めたもので、地方団体は一回もどこにも集まらないで、国のほうで分配してくれる。それをもらって、それを県がまた市町村に分配する。これ、機能として交付税とどこが違うのですか。
だから、三位一体の議論という中に交付税が入っていて、交付税のようにただもらってくるというのはやはり好ましくない。必要なのはわかりますよ。私、交付税は絶対必要だと思いますけれども、必ずしも好ましくない。それと同じように考えたら、消費税というのは、地方分権、地方自治という点から言ったら、今の地方消費税は好ましい税ではないと思います。では、地方自治体が自分で課税できる消費税といったらどういうものがあるかというと、それは限られたものしかないわけですね。
先ほど、付加価値税のようなものは地方に配分するのに良い税だというお話がありましたけれども、そういう意味ではだんだん付加価値税の方向に向かっているのは事業税があるわけです。私は、所得型の付加価値税である事業税を地方が、消費型の付加価値税である消費税を国が、というように分けるのがいいと思う。消費税というものは国全体でないとうまく徴収できない税ですし、所得型の付加価値税である事業税は外形標準という形で地方団体が賦課徴収できるわけですから、そういう形で分けるのが望ましいと思います。
今、地方分権、地方自治の問題を考え直そう、改革だとおっしゃっておられるときに、ただ税収だけの話になってしまっているところが三位一体の問題点ではないか。改革の目的に沿ってよく考える、ということが必要ではないかというふうに思います。当面の問題として、今、どのくらい移譲が必要なのか、それを税源移譲でやらなくてはいけないということであれば、便宜性という点から言ったら、先ほどの委員がおっしゃったように、たばこ税くらいしか思いつかないような気もいたしますが、それが本当に望ましいのかどうかというのは議論の余地があるだろうと思います。
〇委員
ありがとうございました。
〇委員
先ほどの委員がおっしゃったように、突然に来たわけですよね。私も今回初めて税調に参加させてもらっているので、これまでの議論の流れというのはよくはわかりませんが、突然来て、根本的な問題というか、それを、この短時間で議論して結論を出すなんてことははなから無理だろうな、こういうふうに思っております。特に自民党の税調のほうは先に走っているわけでしょう。修羅場と化しているというか、そういう中で根本的な議論はまずなされないであろうということですよね。つまり、最初にこの税調が始まったときに、抜本的な改革の議論は来年からにしましょうよという話でした。だから、基幹税というんですか、柱となる税制にここで手をつけてしまうと、逆に、将来に禍根を残すことになりはしないかという気持ちが強いのです。
〇委員
ありがとうございました。方法論ですね。
では、どうぞ。
〇委員
最終的にこの話が4兆円までいくのかどうかというのは、誰もわからないから、確認しようがないと思うのですけれども、いくというふうに見て考えるのか、ひょっとして途中で人が代わってやめになってしまうかというふうに思うかで、だいぶ違うかとは思うのです。相変わらず財務省と総務省の貧乏人の財源の奪い合いから、どうやって抜け出すことができるかなとちょっと考えていたのですが、採用はされないかもしれませんけれども、個人住民税の人的控除をやめてしまうというのは財源の移動になるのではないかなとふと思ったのですが、扶養控除33万円を10万円くらいにするということをすれば、1兆円ぐらい出てくるのではないだろうか。そうすれば、両方まるくおさまる。住民が地元のためにお金を払うということになるわけですから、基幹税目の十分な移譲ではないかというふうにものを考えられないだろうかと思うのですが、どうでしょうか。
〇委員
それは、移譲というよりは地方で増税ですな。まあ、それも一つの方法だと思います。
〇委員
そういうふうに言うとそうですけれども(笑)。本来、国税として取れるべき財源を、涙をのんでそっちに持っていってもいいというふうに見れば、移譲と言えるのではないでしょうか。
〇委員
委員の中ではコンシステントなんですね。ご意見を伺っておきます。
どうぞ。
〇委員
税調の議論としては、今の時点で、国庫負担金の削減についての議論がまだ別のところで行われていて、何も結論が出ていない状況ですよね。ですから、何を幾ら移譲すればいいのかというのはわかっていない時点で、消費税か、たばこ税かという議論をしてもしようがないわけで、政府税調の議論としては、過去の議論を踏まえて、三位一体の意味というか、それに沿って筋論を展開しておく。どちらかといえば、たばこ税か何とかかというのは政治の世界の話で、幾ら移譲する必要があるということが決まってから政治的に判断する筋合いのもので、極端に言えば、たばこ税というのは政府税調の答申にも、閣議決定のどこにも基幹税の中に入ってないですよね。それをポッと出してこれがいいですというと、変な形になってしまう。要するに、今までの政府税調の議論との整合性が全く途絶えてしまうおそれがありますから、そこはちょっと気をつけたほうがいいのではないか。むしろ三位一体論の意義、その進め方、その中での税源移譲というとらえ方を書いていけば、それでいいのではないかという気がします。
〇委員
ありがとうございます。
〇委員
私も、先ほどの委員の発言、もっともだと思うのですけれども、そもそも税源移譲自体があまり説得力がないのではないかと思うんですね。地方もそうですけれども、国の財政赤字が非常に厳しいときに、国税を減税して地方に移せば、その時点では税収中立ですけれども、いずれ中期的には増税は避けられないわけです。プライマリーバランスの黒字化を2010年代初頭に本気でやるとすれば、所得税ないし消費税の引上げは避けて通れない課題なので。そうしますと、一旦減税したものをまた増税するのかという話になってくるわけですね。そうであるならば、最初から税収を増やす方向で移譲というか、住民税なり地方の税源をきちんと……。要するに課税ベースにはそろっているわけですから、税率を上げる形で対応したほうがすっきりするのではないかと思います。これが第1点です。
ただ、そうはいっても、税収中立のもとで財源移譲しなければいけない、という制約のもとで議論するとすればどうするかというのは次の問題として出てくると思うのですけれども、その場合は、先ほどから出ていますように、短期間にこれだというのを出すのは具体的には難しいので、結論はそう簡単に出ないと思うのですが、私も、基本的には住民税を中心にして、あとは固定資産税と消費課税、この3つで行くべきだろうと思います。もちろん固定資産税は税源移譲の対象になりませんから、税源移譲という点で考えるとすれば、住民税と消費税でいくのだろうと思いますけれども、筋からいけば、住民税のところを増やす方向が、よりそれぞれの地域の人たちにとってのコスト意識を高めるためには必要だと思います。
それにしても、交付税のスリム化等の、ほかのところが同時に改革がされていないと、単に所得税を住民税に移しただけでは、あまりコスト意識の強化にはつながりませんので、それほど望ましい効果は出てこないのではないか。つまり納税者から見れば、国税で払っても地方税で払ってもトータルの税収が同じであれば問題はあまり関係ないわけで、それによって地域の行政の効率化を進めるインセンティブがどの程度働くかというのが重要ですから、そのためには交付税の改革とセットでないと難しいのだと思います。
〇委員
ありがとうございました。
どうぞ。
〇委員
感想めいた話で申し訳ないのですが、この三位一体の議論というのは、住民ベース、つまり地方自治の基本である住民自身の間からの盛り上がりの乏しいこと著しい、というふうに感じています。騒いでいるのは市長さんたち、それから、それに関連するお役人さんたちだけで、言ってみればしらけ切っているという話だろうと思います。地方自治体も、いろいろなことを言うのに少し引け目を感じているというところがある、自信がないのだろうと思っています。住民の目というのは、さっきから応益性という話が出てきていますけれども、市町村にそんなに俺たち役に立ってもらっているのかなという感じが、率直に言って、大変広い住民たちの共通する意識の根底にあるのだろうと思います。実際、いろいろなことをやっていただいていることは事実でありますけれども、5時の時報を待ち構えるようにサッと帰っていく人たちの姿を日常的に見ているわけですから、そんなこともあって三位一体の議論が住民ベースでは盛り上がらない。
そういう税源移譲というだけの話ではなくて、基本的に地方自治体の行政の仕組みだとか、パフォーマンスだとか、そういうことも含めての議論というのは当然必要になってくると思いますで、今年度に早急にこの話をさっと煮詰めてしまうというようには、なかなかいかないだろうなというふうに思います。
〇委員
どうぞ。
〇委員
先ほどからいろいろなことをいろいろな方がおっしゃっていますけれども、重要な論点の一つが、地方自治の基本的な税源のあり方というのは何なのかということを、きちんと議論しないでこういうことになるというのは非常にまずいのではないかと思います。それをきちんと考える必要はあるだろうというのが1点目です。たぶん会長は、では、おまえは基本的な税源のあり方はどう思っているのかということも聞きたいと思うので、簡単に申します。
一度別のところでも述べましたけれども、私自身も、課税自主権とか応益性とか考えて、所得税の部分、固定資産税の部分、これをやはり基本にすべきだろうと思います。もちろん福祉とかそういうことがありますから、消費税もあるとは思うのですけれども、税率を決めるのは難しいというのが一つと、地方が福祉の支出をする限りで、それに対応する税源として消費税を考えるというのが考えられると思うのですが、もしそうだとすると、福祉の支出に関してコスト意識をきちんと自治体が持つような仕組みにしない限り、安易に消費税を移譲するというのは私はあまり賛成できない。
そういうことを考えるともう一つ重要な論点があって、それは、基本的な税源のあり方に加えて、地方自治体にどういう形でコスト意識をつけてもらうかということをきちんと考えない限り、税源移譲の話だけをするというのはまずいのではないか。そういう意味で言うと、三位一体の議論というわけですから、交付金の話と、とりわけ交付税の話、これをきちんと議論する必要があるだろうし、それに加えて、言われていないけれども、地方債の話というものも考えて四位一体であるべき必要があるだろう。たぶんそれに加えて、本来で言えば、他の委員の方々が言うみたいに、増税の話も含めて五位一体くらいできちんと考えることが必要なのではないかというふうに思います。
そういう意味で、本来パッケージとして議論する必要がある。皆さんおっしゃっていることに私は賛成で、しかし、根源論に関して言う限りは、現実論としてはやはりたばこ税くらいしかないことは事実だろうと。しかし、たばこ税を移譲したとして、長期の話をきちんとしないで、安易な1年限りの話というか、解決をするということにはあまり意味がないのではないか。例えばたばこ税の税源移譲に関しては、1年とか3年とか時限にする。その上で長期に何をするのかということを、ほかの審議会、経済財政諮問会議とか、そういうところとも一緒に、基本的な税源のあり方と五位一体とをパッケージとしてきちんと議論をした上で、もう一遍長期の話としては考え直す、というふうにやることはできないのかというふうに思います。
〇委員
具体的なご提案、ありがとうございました。
〇委員
私も、今までのご発言とあまりその趣旨は違いません。先ほどシャウプ勧告の紹介がありましたように、シャウプのときには、一つは事務配分を横割り型にすると。つまり、同じ事務を国と都道府県と市町村が分け合うのではなくて、この事務は都道府県、この事務は国、この事務は市町村と、それに対応して税源も、市町村税は固定資産税、都道府県は付加価値税で、国は所得税と法人税、こういうような事務配分と税源配分をいわば横割り型で考えて、それを地方自治にふさわしい地方財政の姿というイメージでとらえていたと思うのです。
ところが、その基幹税をそれぞれの自治体が共有する、事務もそれぞれ、よく言えば協調主義というか、コーポラティズムというか、そういう状況になっている。今議論されているのは、極端なケースを考えれば、いわば事務配分ですから、税源の横割りタイプにもう一度戻そうという発想で議論がまともにされているならば、それは分権というイメージに合うんですね。ところが、今回は基幹税を移譲しろということになりますと、この発想はいわば有力な税を国、都道府県、市町村が共有しようというイメージでとらえてしまいますと、どうもそれはピンとこないという面があること。
もう一つは、今進んでいる補助金の整理が、今言った横割り型の整理の仕方をしようとしているのか、それとも、補助率ですとかそういう面を通じて、配分を少し変えるというようなイメージでされているのか。そこがもし仮に横割り型に変えていくための補助金の整理だというならば、税源というのも横割り型の配分を当然考えるべきだと思うし、そうなれば、いわば税収の配分ではなくて、課税ベースとか税率とか、行政そのものもそれぞれ自主的にコントロールできる税は何か、ということを長期的には考えざるを得ないだろうと思っています。
ですから、3年間という形でどうやっていくかという話と、16年度に何をやるか。16年度はどうしたって議論が不足するから、これは当分こうならざるを得ないということはあるかもしれないけれども、3年間を見極めて、その方向性は少し考えた上で税源移譲の考え方というものを考えるべきだと思っております。
〇委員
ありがとうございました。具体的によくわかりました。
どうぞ。
〇委員
先ほどの委員が、突然こんな金額が出てきてというふうにおっしゃっていたけれども、それはそうだなと思います。ただ、出版社で原稿を頼むときに、今月もう締切り間近なときに、「先生、原稿書いてください」、こういうふうに来ると、「来月だったら間に合う」、こう言うんですね。そうするとそれが約束なんですね。今月は無理だとわかっていて注文してくるわけです。それで来月やると。これはそういう話だと思うんですね。1兆円やれというね。来月、原稿を頼むと、再来月と言うんですよ、これはね。締切り間際に頼んでくるずるいやつがいるんですよ。そうすると、来月確約になりますからね。それとちょっと似てるなと思いますよ。
だから、1兆円だと言ってしまうと、ここで慌てて1兆円を用意するために、はっきり言ってごみみたいな話がいっぱい出てくるわけですよね。パズルみたいに組み合わせていろんなことをやって、やっぱりこれはくだらないなということになってくるわけです。ですから、先ほどから出ているようなお話で、基本的には地方における自己責任原理みたいなものをきちんと出していく方向でやっていかないと、いわゆるひも付きの補助金を廃止して、地方が自由に使途を選択できる、そういう交付金を地方に回していくことは基本でしょうけれども、それはそれとして、地方の行財政改革を促すようなあり方というか、そういうものをどうするかということで、どういう税金がいいのかという話になってくる。そういうことと、地方の自己責任というか、住民が地方政府を監視できる、そういう税のあり方ですよね。そういうことをきちんとここで方向性を出すということではないですか。
〇委員
ありがとうございました。
どうぞ。
〇委員
時間がなくても、総理大臣が会長に、税調としてきちんと検討して出してくれと言っているわけですから、時間がないからそんなのは検討できません、たばこ税です、という議論は税調としてはできにくいのではないか。そういう答申を持っていって、会長が総理大臣の前で叱られたりするとみんなの責任になってしまうわけです。したがって、きちんとやればいいので、時間が足りないなら毎日やったらいいではないかと私は思います。
それから、今までの議論を聞いていると、国と地方の税として何がいいかということを根本的に議論すべきだと言っておられますけれども、私は初めて入ってきたからよくわからないのですが、そういう議論はたくさんなされて、そして現在の国税と地方税の体系はできているのではないかと思うのです。そういう観点から基幹税と言っているわけですから、これは消費税と所得税に決まっているだろうと思います。たばこ税ではないと思います。したがって、消費税と所得税というものが、今度の場合は1兆円と言ってますけれども、税源移譲の額が1兆円になるとは限らないわけでありますから、7,000億になるか8,000億になるかというのはわからないわけですね。そういう中で、基幹税として移譲することが可能なのはどちらなのかという検討をして、それをきちんと書けばいいのではないかと思います。
その場合にもう一つお願いしたいのは、私も財政屋なものですから、いつも考えるのですけれども、地方には都道府県と市町村とがあります。おそらく補助金のカットについても、県分が幾らで市町村分が幾ら、そのうち税源譲与をすべきものは幾ら幾らというように整理されると思いますが、今の地方分権とか、主として都市ですけれども、基礎的自治体を中心に、住民に身近なところで行政をやるというのが一番国民の幸せに結びつくということから考えれば、補助金の県分、市町村分の割合にかかわらず、市町村分の税にウエートを置いて譲与すべきだということも書いていただきたいと思います。
もう一つは、これは誰に聞いたらいいのかわからないのですが、税源移譲すると交付税の額が減ってしまうんですよ。その部分は誰が面倒を見てくれるのかというのは、どなたに聞けばいいのでしょうか。
〇委員
交付税課のほうですか、あるいは……委員が答えるの? どうぞ。
〇委員
答えというか、違う角度から同じことを言おうと思っていたのです。いろいろ議論として、国に余力はない、それから、国から地方への歳出カットの見合いとして税源移譲を行うべきだ、そういうことは合意があったと思うのですけれども、今まさに委員のおっしゃったところを違う方向から言おうと思っておりました。というのは、ここの場で、地方にとって本質的に良い税、悪い税という議論をやるべきか、と。非常に大きな問題ですけれども、やる以上は、先ほどから出ている三位一体との兼ね合いというのを具体的に書き込まなければいけない。
問題はこうだと思うのですけれども、仮にすべての地方自治体が交付団体、交付税をもらっているというときに、補助金をカットされる。補助金カットされた部分は、基準財政需要にのっかっていって地方財政計画の歳出が膨らむわけです。そうすると何が起きるかというと、地方は税源を多少もらった。しかし、天井である歳出総額というのは、補助金分が増えてくるわけですから、何が変わったかというと、地方がなにがしかの税源をもらって、残りは交付税をもらう、誰も損しないという仕組みですよね。
委員の質問は、私の理解する限り、ところが、東京がそこに出てきたらどうするのか。東京は不交付団体だから、東京がもらった部分は漏れてしまうではないか。漏れた部分があるから、東京に漏れた部分を足さなければいけないという仕組みですよね。だから私が言いたいのは、「その議論をここでするんですか」と。我々としては、国に余力がない、やれる範囲でやるんだ、そして、良い税、悪い税を議論するならば、やはり交付税の根幹まで戻らなければできない。そうでなければ地方の徴税努力というのは出てこないはずですから、私としては先ほど申し上げたように、ここでまさに幾つか応答があったのですけれども、地方消費税が良いか悪いかという議論はあまりにもトゥーマッチだと思います。
〇委員
ちょうど時間になって、記者レクも約束している時間がございます。まだご発言があろうかと思いますけれども、できたらこれでおしまいにしたいのですが、これで終わるわけではなくて、今後、まだこの議論は続けたいと思っております。
現段階において、今日、ある方向がある程度出てきたと思っております。16年度だけに限ってやる、あるいは中長期的な見通しまで含めてやる、この辺はこれからの議論かと思いますが、いずれにしても、たばこ税ならたばこ税と具体的に出ましたけれども、これで終わりというわけではないことは明々白々でありますし、議論として税調らしくやらなければいけないのは、三位一体論の中で税源移譲が言われているわけでありますから、その理屈づけもおそらく必要でしょう。それから、所得税、消費税、たばこ税について、おのおのご意見がございました。それから、税源移譲ということがそもそも必要かね、という議論もあったわけです。そういう意味で、今日は議論をあらかたご紹介するという形で、どこがどうだということを言うつもりはございませんが、ただ、次回以降は、まさにある委員が言われたように、首相から出てきた質問に答えるべく少し内容を固めていかなければいけないかと思っています。
ただ、それには、補助金の削減額がわからないと実に議論がしにくいんですね。その状況はおそらく来週前半では決まらないだろうという見通しなのです。そこで、次回いつやるかということで苦慮しておりますが、一応念頭には来週の金曜日、12日であります。2~4時を考えておりますが、火曜日の段階で、これができるかできないかというのはひとえに外枠のほうの絡みがきいてきておりますので、現段階において、事務局サイドと私のほうに開催の日程はお任せいただきたい。少なくとも12日にはやります。これは、はっきり取っておいていただけたらと思っております。
そういうわけで、今日さまざまなご議論をいただきまして、私自身の気持ちでは、ある程度の目安というか、方向感が出たなあという気がいたしておりますので、これを、今後、どういう形で皆さんに共有してもらうかという点を少し議事進行の中に取り入れていただきたいと思います。
この際、ぜひとも発言をという方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
それでは、そういう形でとり行わさせていただきます。また何か変更がありましたら、すぐさまご連絡いたしまして、ご参集いただきたい、このように考えています。
どうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。