第3回基礎問題小委員会 議事録
平成15年11月27日開催
〇委員
お一人を除いて出席予定の方は皆さんおいででございますから、第3回目になりますが、基礎問題小委員会、開催をいたします。
かねてよりご報告していますように、急に基礎問題小委員会を再開することになりまして、三位一体論の中で税源移譲の問題を議論したいということでございますので、今日は直接この問題を担当しております総務省自治財政局、それから財務省主計局から、各々の立場を代表いたしまして、資料を出してもらい、それをめぐって議論したいと考えています。
お手元に分厚い資料がいっぱいありますが、各々1時間ずつ使いまして、ご説明をいただいたあと議論して、まず地方のほうからこの問題についてどう考えているか、そのあと国からどう考えているか、我々の頭の整理には非常に役に立つのではないかと思いますので、そういうことを今日やらせていただきたいと思います。
それでは、ご紹介いたします。財政課長と調整課長、お二人おいでいただいています。よろしくお願いいたします。30分ほどの時間しかございませんが、資料をご説明いただきたいと思います。
〇事務局
財政課長です。最初に、私のほうから地方財政の現状を簡単に触れさせていただきましたあと、三位一体の改革についての我々の基本的な考え方をご説明し、その後、補助金問題について、調整課長のほうから補足説明をさせていただきたいと思っております。
資料はお開きいただきまして2ページでございます。まず地方財政の現状でございますけれども、平成11年度以来、10兆円を超えるような規模の財源不足に見舞われておりまして、平成15年度で申し上げますと、通常収支の不足が13兆4,400億円、恒久的な減税の実施に伴う減収額が3兆2,400億円、さらに15年度の税制改正におきます先行減税に伴う減収額が6,800億円程度、こういう17兆円を超えるような大幅な財源不足となってございます。景気の後退による税収の減と歳出の増、さらには景気対策のための恒久的な減税というものが重なりまして、巨額の財源不足が生じているわけでございます。
これらがバブル経済崩壊後に膨れてまいりまして、資料の3ページをちょっとおあけいただきますと棒グラフがございますけれども、バブル経済崩壊後の経済対策、平成4年の秋から始まったわけでございますけれども、この辺を境に地方の借入金の残高が累増してまいっておりまして、一番右側、平成15年度の末で199兆円という残高になる見込みでございます。
その内訳といたしましては、交付税特別会計におきます借入金の地方負担分のもの、さらには公営企業債の残高で普通会計で負担すべきもの、現実に地方公共団体の普通会計で抱えております地方債の残高、それぞれ表示してありますような額になってございますけれども、上の四角囲みに書いてございますように、この借入金の増のうち、地方財源不足に伴いまして、制度的にそれを穴埋めするために地方債の発行をしていただいている減税補てん債でありますとか、財源対策債でありますとか、減収補てん債、さらには13年度から交付税の身代わりの赤字地方財として制度化されました臨時財政対策債、交付税特会の借入金という特例的な借入金が70兆円ということで、増加額の5割強を占めているわけでございます。
さらに、4ページをお開きいただきますと、国と地方の税財政の関係は、よくご承知のとおり、基幹税をまず国税と地方税で分け合ったあとに、交付税にリンクをさせまして、最終的な国と地方の財源配分をやってきたわけでございますけれども、4ページの下のほうに書いてありますケース[1]ということで、昭和40年代までと言ってよろしいかと思いますけれども、国のほうも国税をもって地方へ補助金を支出して仕事をやっていくということができた時代におきましては、このような財源配分によりまして補助金の地方負担分、いわゆる裏負担と言っておりますけれども、こういうものも地方税なり国税にリンクした法定率分の交付税できちんと賄える仕組みになっていたわけでございますけれども、一番下のケース[2]にございますように、国も地方も財源不足ということで、国のほうが赤字国債なりを発行いたしまして、地方への補助金を支出して仕事をするというようなことになってまいりますと、右側にあります地方財政のほうにおきましても、裏負担の財源が当然ないわけでございまして、国の赤字国債にかわりますものとして、地方の穴があいた財源につきましては、交付税特会の借入金など、特例的な措置によりまして賄っていかざるを得ない。こういう関係にあるわけでございます。
5ページをお開きいただきますと、その関係が年次を追って見てまいりますと大体パラレルに、赤字国債の発行額が増えてまいりますと、地方財源不足も増えてまいる。その大宗を地方交付税の増額特例措置で賄ってきたという図でございます。
次に6ページでございますけれども、このような状況にありますので、私どもといたしましても、できるだけ歳入の確保を図りますとともに、歳出を削減、切り詰めていきまして、この財源不足額を縮めたいということで、毎年度努力をいたしておりまして、年末の地方財政対策のときに、財務省ともいろいろご議論しながら、地方の標準的な歳出規模を決めてまいるわけでございますけれども、平成15年度の今年の地方財政計画の歳入歳出一覧を見ていただきますと、下のほうの歳出でございますけれども、ほとんどの項目においてマイナス、三角が立っている状況になってございまして、歳出水準の厳しい見直しを続けているところでございます。
しかしながら、15年度におきましては、ご存じのように、上のほうの地方税のところを見ていただきますと、2兆円の減収という事態に見舞われまして、当然、国税のほうも減収ということでございまして、交付税の原資も減ってくるという厳しい状況の中で、地方財源の確保対策については大変苦慮いたしたところでございます。
7ページをお開きいただきますと、15年度の地方財政計画の歳出の見直し項目でございますけれども、歳出全体の規模を見てまいりましても、国の予算が0.7%の微増という中で、地方財政計画につきましては、全体を-1.5%ということで、2年連続して前年比マイナスという結果になっております。一般歳出ベースで見てまいりましても、国のほうが0.1%のやはり微増でございますけれども、地方のほうは-2%、これは4年連続しての対前年度マイナスということで歳出を抑制しているわけでございます。
中身といたしましては、詳しくは申し上げませんけれども、下のほうに、職員数の削減、1万人の純減。この中には内訳といたしまして、警察官等の増員を要する部分もございましたけれども、そういうものを飲み込みまして1万人の純減ということを達成いたしておりますし、一般行政経費についても、福祉関係の経費、合併関係の経費、等々ございますけれども、トータルとしてはマイナスにいたしております。
さらに、投資的経費の単独の事業につきましても、18年度までの4年間に3兆円程度縮減するということにいたしまして、-5.5%という率に設定をしております。
次に、8ページ以降で三位一体改革についてご説明をするわけでございますけれども、まず、地方分権の推進という観点から、この三位一体の改革がどうして必要かということについて、ご説明をしたいと思っております。
9ページをあけていただきますと、ご承知のとおり、地方分権改革というものが平成5年の衆参両院の国会決議、そして平成7年の地方分権推進法の成立、分権推進委員会の発足、さらには5次にわたります勧告、そしてそれを受けました政府におきます2回にわたる地方分権推進計画の閣議決定、そういったものの中で、法律事項として国と地方の関係のあり方を改革するということで、各省の法律を含めまして、大変な数の法律を分権一括法として改正をするということで国会に提出をされまして、平成11年7月に分権一括法が成立し、翌12年の4月から施行されております。
これをもって第1次分権改革と称しているわけでございますが、この法律の審議に際しまして、10ページにありますように、国会におきまして、事務事業の見直し、あるいは国と地方の関係、関与のあり方については、例えば一番大きなものとしては機関委任事務の廃止という制度改革が行われたわけでございますけれども、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源のあり方の問題については、手が触れられなかったということで、衆議院で附則修正を受けまして、こういった事柄について、政府は「必要な措置を講ずるものとする」という条文が追加をされたわけでございますし、11ページにおきまして、参議院の特別委員会におきましては、そういう附則修正を踏まえて、さらに地方税財源の充実確保策の検討につきましては、地方における歳出規模と税収との乖離を縮小する観点から、税体系のあり方について、「抜本的な検討を行うこと」という附帯決議をいただいたところでございます。
さらに12ページでは、分権推進委員会の任期を終えるに当たりまして、最終報告というものが出されておりますけれども、その中で「第2次分権改革の始動に向けて」ということで、地方税財源充実確保の方策について、様々な検討がされ、最終的な報告がなされている。その中で残された分権改革の課題として、この地方税財源の充実確保策ということが取り上げられているわけでございます。
13ページは、よくご覧になっていただいている資料でございますけれども、その根底にありますものは、真ん中からちょっと下でございますけれども、国民へのサービス、これは国と地方の歳出純計で、重複を省きまして最終支出をどちらがやっているかというものを分別いたしますと、全体で153兆円のサービスを、最終支出ベースで国が37%、地方が63%受け持ってやっているわけでございます。それに対しまして、一番上の租税の総額85.5兆円、これは13年度の決算ベースでございますけれども、国税として58%強、地方税として42%弱のものをとっている。この乖離ということを先ほど国会の附帯決議の中でも指摘をされているわけでございますけれども、埋めているのが国から地方への財源の移転ということで、交付税等の一般財源で移転するものと、国庫支出金として特定財源で移転をするものによって、ギャップを埋めているわけでございまして、できるだけ地方の歳入の自由度を高める、そのことによって、歳出におきましても、受益と負担の関係を感じられるようにしていくというような観点から、この三位一体の改革に取り組むべきであると考えているわけでございます。
14ページ、政府の基本方針の2002でございますけれども、こういう基本方針が2002年に立てられまして、今年の春に基本方針の2003、これは16ページ以下につけてございますけれども、ちょっと長うございますので、15ページに要約したものがございますから、これで簡単にご説明させていただきます。
国庫補助負担金につきまして、概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革を行いまして、その廃止した国庫補助負担金の対象事業の中で、引き続き地方が主体となって実施する必要があるものについて、税源移譲を行う。税源移譲は基幹税の充実を基本に行う。その場合の税源移譲の額につきまして、義務的な事業については全額、その他は8割程度を目安として精査をしながら移譲していく。こういうことが閣議決定されたわけでございまして、同時に交付税の改革もするということで、交付税の財源保障機能全般を見直し、縮小する。その具体的な内容につきましては、地方財政計画の歳出を徹底的に見直しまして、交付税総額を抑制していくということと、交付税の算定方法を、特定の政策を誘導したりするようなものを見直しまして、中立的な、税を補完する一般財源としての性格にふさわしい算定方法に見直していく。
これらの三位一体の改革を進めていくことによりまして、不交付団体の人口割合を大幅に高めていくということが定められたわけでございます。
本文のほうは時間の関係上省略をさせていただきまして、25ページをお開きいただきますと、先ほどのものが閣議決定された三位一体の改革の方針でございますけれども、先般、18日に経済財政諮問会議で集中審議がございまして、私どもの総務大臣のほうから提出をされましたこの基本的な方向性というペーパーについて、若干補足して説明をさせていただきたいと思っております。ただいまご説明いたしました閣議決定に沿って改革を進めるに当たって、総務省としてどういうところに力点なり重点を置いて考えるべきかということでございます。
まず、三位一体改革を進めるに当たっての基本的な考え方でございますけれども、先ほどもご説明いたしましたように、地方分権の推進という観点から、国の関与を縮小いたしまして、歳入・歳出両面での地方の自由度を高める。そのことによって、地方の創意工夫を生かして、地方が元気になるような改革を実現していく。ひいてはこのことが国・地方を通じた効率的な政府の実現にも資すると考えているわけでございます。
国庫補助負担金の改革におきましては、4兆円の改革というふうに言われておりますけれども、税源移譲につながる廃止・縮減というものを中心に据えた改革を行うべきであると考えております。
3点目の税源移譲を含む税源配分の見直しにつきましては、国庫補助負担金の廃止・縮減に対応して、基幹税による税源移譲を実現すべきである。特に私どもといたしましては、住民税、地方消費税というものを重視しているわけでございます。
交付税の改革につきましては、すべての国民に基本的な行政サービスを提供するという制度の基本、これは財源保障と財源調整を一体のものとして実施しているという基本でございますけれども、これを踏まえながら次のような改革を推進するということで、中身につきましては、重複いたしますので、詳しくはご説明いたしませんけれども、財源保障機能の見直し・縮小と申しますのは、財源保障の水準を見直していくということで、地方財政計画の歳出の徹底した見直し、それによります交付税総額の抑制ということでございますし、税を補完する一般財源としての性格にふさわしい算定方法に見直しを図っていくということでございます。
そのことにつきまして、若干26ページ以下に、交付税の改革につきましての取組み状況をつけてございますけれども、すでに13年度以降、交付税の改革につきましては、こういった考え方に従いまして、前倒し的にといいますか、改革をしてきております。
その一番大きな点は、これまで財源不足が通常収支で生じました場合には、交付税特別会計で借入れをして、これを交付税として地方団体に配分をするというようなやり方を長年続けてきたわけでございますけれども、13年度にその考え方を変更いたしまして、通常収支の財源不足のうちどうしても足らない部分につきましては、国と地方で折半をいたしまして、地方が負担すべき部分については、地方公共団体が発行いたします赤字地方債で財源不足を穴埋めする。もう半分につきましては、国の一般会計から交付税特別会計に加算をしていただく。こういう考え方で、国と地方の責任分担を明確にしながら補てん措置を講ずることにいたしまして、13年度から15年度に3ヵ年かけまして、この制度改革をやってまいりましたので、順次臨時財政対策債という赤字地方債が増えてまいりまして、13年度の当初は1兆4,000億円でございましたけれども、15年度には5兆8,000億円を超えるような規模になっております。そのことと反比例してと申しますか、一番左側の地方交付税の総額につきましては、毎年度、1兆4,000億円でありますとか、8,000億円でありますとかというオーダーで減ってまいりまして、増減率にいたしましても、-6.6%、-4.0%、-7.5%というような形で減ってきているわけでございます。
ただ、交付税につきましては、ただ減らせるというものではございませんで、地方が必要とする歳出で、それを国が標準的な歳出と認めるものに対して、必要な財源を確保するという地方財政計画の中で交付税の総額を確保してまいりますので、まず地方財政計画の中の歳出を合理的な理由によって削減をしていくという作業をしなければなりません。この地方財政計画の歳出を、右から2番目の欄にありますように、抑制をしてきているわけでございまして、この増減率も13年度0.4%、14年度-1.9%、15年度-1.5%と、国の一般会計予算と比べていただいても、かなり抑制基調が強くなっていると考えてございます。
28ページでございますけど、こういった取組みをすでにやっている上に、三位一体の改革で、来年度から3ヵ年間の歳出をさらに見直していくということでございます。この四角で囲ってありますところの()、先ほど来ご説明しておりますような地方財政計画計上人員の4万人純減でありますとか、投資的経費を平成2、3年度の水準に抑制をしていくとか、一般行政経費は現在の水準以下に抑制するというようなことを閣議決定しているわけでございまして、これは将来の地方財政計画の歳出の内容を拘束するものでございますので、これまでこういった手法はとったことがなかったわけでございますけれども、かなり踏み込んだ改革の姿勢を閣議決定で示しているものと理解をしております。
29ページ以下は、その歳出抑制の具体的な数字でございますので、詳しくご説明いたしませんけれども、公務員の数について若干補足して申し上げれば、純減でございますので、国家公務員のほうは1%定員削減をかけた上で、必要なものを増員するという形で、数字が-0.4とか-0.3という形になっておりますけれども、地方公務員につきましては、-1%を計画上は有無を言わさず純減させていくということをやってきておりますし、18年度まで続けてやっていくということでございます。
それから、30ページの投資的経費につきましても、かなりのマイナスでこれまでも減らしてきておりますが、18年度の着地点として、これは平成2年度、3年度の平均的な投資単独の水準、いわゆるバブル経済崩壊後に、景気対策として地方単独事業を追加した前の水準に戻していくということで、その水準が12兆7,600億円でございますので、ここまで18年度減らし込んでいくということを、すでに閣議決定をしているわけでございます。
最後に、地方交付税の財源保障機能について、いろいろな場面でご議論がされておりますので、私どもの考え方を31ページから3枚にわたりましてつけさせていただいております。
我が国の仕事のやり方が、ご承知のとおり、内政の大部分について、国が制度を企画立案し、特に法律などによりまして基準を作りまして、地方に一定のサービス内容を義務づける、あるいは水準の確保を要請しているということが多いわけでございます。一方では、地方団体は様々な条件に置かれております。山のてっぺんから海岸線まで非常に距離が短い、あるいは島国であるということで、そういった地理的な条件に伴いまして、企業立地などの状況が違いますし、産業構造も違いまして、経済力の格差が生じてしまう。そのことによって、税収格差、財政力格差が生じている。そのような中で、基本的な行政サービスについては、全国一律に実施することを求められている。こういう中で財源調整と財源保障を一体としてやる交付税制度というものが必要欠くべからざるものとなっているわけでございます。
近年、財源保障機能を廃止したらどうかというようなご議論をいただいておりますけれども、仮に財源保障機能を廃止をいたしまして、地財計画の策定を通じまして、必要な交付税総額を確保するという仕組みをやめましたり、あるいは人口1人当たりの一般財源の均衡化だけをやったり、あるいは人口・面積に単純に比例して財源を配分する、あるいは財源の乏しい地域も含めて、課税自主権によって地域の歳出を賄うような制度にしたらどうかというようなご議論もあるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような事情を考えますと、なかなか難しいと思っております。
32ページにその数字が実例として書かれてございます。例えば小中学校の教職員の数、これは国の標準法というものの中で標準が決められているわけでございますけれども、過疎地に行けば学校の数が多くなる、小規模校が多くなるということで、先生の数が多くなるわけでございます。したがって、人口に比例して教育費を計算するということになりますと、北海道のような面積広大なところでは、人口比例で計算いたしますと、230億円ほどの財源が不足してしまうというようなことになってまいります。介護保険にいたしましても、これは65歳以上の方が主にサービスを受ける制度でございますので、人口比例だけで計算をいたしますと、やはり過疎・高齢地域では財源の不足が生ずる。こういうようなことになっているわけでございます。
33ページは、小規模な県、あるいは標準的な県、少し大きな県につきまして、現在の実際の決算でございますけれども、決算に充当された一般財源がどういうふうに賄われているか、地方税と交付税の割合というものを表示したものでございまして、一番小さいような県におきましては、地方税では市町村への税関係の交付金、それから過去の借金返し以上には仕事が現実にはできなくなってしまうというような地方税の構造になっておりまして、それを一般財源として補う交付税というものによって、仕事をやっとやっている。こういうような状況かと思っております。
私の説明は以上にさせていただきまして、補助金について、調整課長のほうから説明させていただきます。
〇委員
では、お願いします。時間がちょっと押していますから、10分か、それ以下でやっていただけますか。
〇事務局
調整課長でございます。三位一体改革の中で、国庫補助負担金の改革につきまして、ご説明申し上げます。
まず、資料35ページでございますけれども、平成18年までに「骨太2003」では4兆円の国庫補助負担金の廃止・縮減等の改革を行うとなっております。その対象となる地方向けの補助金でございますが、全体で20兆4,000億円ほど、平成15年度の予算ベースでございます。これを幅広く対象にして、この中から4兆円を廃止・縮減していこうという考え方でございます。
内訳として、社会保障関係で11兆1,000億円ございます。それから、文教・科学振興3兆2,000億円、公共事業関係5兆1,000億円となっておりまして、吹き出しで「うち重点項目」ということを書いてございます。これは今年6月の「骨太2003」の中で、整理合理化方針というものを決めておりますが、その中で重点的に進めるべきものとして取り上げられた国庫補助負担金でございます。
その中で、例えば児童保護費の中の保育所運営費負担金4,200億円、社会福祉施設等の施設設備費の関係、あるいは文教の関係で申し上げますと、義務教育費国庫負担金、公立養護と合わせまして約2兆8,000億円程度ございます。それから、公共事業関係の中では、5兆1,000億円となっておりますが、重点項目の中では、このうちの市町村事業について原則廃止・縮減ということになっておりますので、この内数ということになってこようかと思います。
重点項目を足しますと、全体で8兆6,000億円になるわけでございますけれども、このうち税源移譲等も考えた場合には、公共事業関係を除きますと、3兆4,000億円程度、4兆円にはまだ届かないという形になっております。
もとより、この重点項目のみに絞って4兆円の廃止・縮減を行うということではなくて、あくまでも全体20兆4,000億円を対象として4兆円の補助金改革を行おうということでございます。
私ども総務省として、この国庫補助負担金の改革についてどのように考えておるかということが36ページ以下でございます。これは先般、11月18日の経済財政諮問会議で総務大臣が提出した資料でございますけれども、まず国庫補助負担金の改革の基本的な考え方、三位一体改革について、地方団体の期待は大変高まってきております。後ほどご説明しますが、具体化に向けた提言が出されております。まず基本としては、そうした地方の声を十分に踏まえて、改革が実感できるような成果を上げていくことが必要であろうということでございます。
それから、2点目として、国庫補助負担金の改革、これも廃止・縮減のほかに交付金化などもございますけれども、やはり廃止・縮減が中心となるべきではないかと考えております。
そして、3点目として、国庫補助負担金を廃止したあと、引き続き地方が主体となって事務をやっていく必要があるものについては、やはり基幹税の充実を基本に税源移譲すべきであるということであります。
個々の補助金の見直しの考え方ということで、まず、義務教育費国庫負担金2兆8,000億円、これについては、私どもとして全額の一般財源化を図るべきということを考えております。
また、次の37ページでございますが、今、平成16年度の中の議論で、退職手当等のみを一般財源化してはどうかという議論も出ておりますが、私どもとして、このような措置は地方の自由度の拡大につながりませんし、退職手当は今後急増することが見込まれる経費でもありますから、これは単なる地方への負担転嫁ではないかということで、認められないという立場をとっておるところでございます。
そのほか、次の「〇」は重点項目に掲げられたものについて、真に必要な分野に限定するようにということ、あるいは公共投資関係の負担金についても、根幹的な事業などに限定することが必要であると考えておりますし、維持管理に係る直轄事業負担金については、段階的な縮減を図っていくべきである。維持管理に係る直轄事業負担金は、言ってみれば地方団体が知らないうちに請求書が送られてくるようなものでございますので、これは段階的に縮減していくべきだということであります。
その次の「〇」は、いわゆる地方団体の事務に同化・定着しているようなものについては、これはもう補助金、負担金、交付金という形で出すのはやめて、一般財源化すべきであるということであります。
それから、奨励的補助金についても、数値目標を立てて、確実に削減していくべきだという考え方を総務大臣のほうから表明しております。
ちなみに、地方団体の提言の主なものを38ページ以降まとめております。国庫補助負担金の部分についてだけご説明申し上げます。
まず、全国知事会、これは県に入ってきます分について、その全国の額を検討対象にしております。それが11兆2,000億円ほどございまして、そのうち廃止・縮減すべきものが8兆9,000億円であります。そのうち16年度優先的に廃止すべきものとして、2兆円を挙げております。主な廃止すべき国庫補助負担金、そこに掲げておりますが、その中には教育・文化の関係で義務教育の関係の負担金も入っております。
それから、指定都市のほうは、18兆円を対象にいたしまして、約8兆円の廃止・縮減ということでございます。主なものとして、義務教育も入っておりますけれども、児童保護費等負担金ということで、保育所運営費負担金の関係も入ってきておるということでございます。
それから、全国市長会、これは15兆円のうち5兆8,000億円程度廃止すべきということであります。市町村の場合ですと、どうしても社会保障関係、医療関係とか介護関係等々の補助負担金があるものですから、なかなかその辺は今の制度を前提にすると廃止できないということで、このような数字になっておるものでございます。
大体これが地方の提言の主なものでございまして、その後、経済財政諮問会議の場で、42ページでございますけれども、18日に三位一体の議論をしたあとの竹中大臣の会見要旨でございます。小泉総理のほうから、この16年度に対しての改革でございますが、1兆円の補助金の削減・縮減を目指してやっていくという話があった。そして、税源移譲も行うという話がありました。さらに、知事会等の要望を踏まえて、しっかりとこの改革を進めていくようにという指示があったという記者会見要旨でございます。
そして、次の43ページに、21日の閣議後の閣僚懇におきます総理のご発言でございますけれども、その中で三の部分です。「このため、第一に、十六年度予算において、三位一体で改革を実現する。一兆円をめざして国庫補助負担金の廃止、縮減等を行うほか、税源移譲についても十六年度に確実に行う。交付税改革にも着手する」と、このようなご指示が出ております。
また、そのときに総務大臣のほうから、45ページ以下でございますけれども、地方の提言をご紹介しまして、46ページのほうに、各関係閣僚におかれては、これらの提言にこたえて、16年度からその成果が実感できるような格段のご努力をお願いしたいという発言をしております。
その中で、特に16年度焦点になってきておりますのは、義務教育費国庫負担制度の改革ということであります。47ページ、これは21日に総務大臣が経済財政諮問会議に提出した資料でございます。
最初の「〇」は、私どもの基本的考え方、全額の一般財源化ということ。これは地方からもそういう声が出ておりますということを言っております。仮に当面16年度の国庫負担金の改革を行う場合には、やはり地方の自由度を最大限高める、また自由度の拡大に見合って負担対象の範囲を見直す。こんな方向で改革を実施すべきということを言っております。
このような地方の自由度の拡大につながらない退職手当等の一般財源化には、反対であると明確に言っておるものでございます。
また、この部分につきまして、地方団体のほうからも出ております。48ページでございますけれども、まず義務教育費国庫負担金は、全額廃止して、それに見合う所要額を税源移譲すべきとしつつ、16年度の話といたしまして、退職手当を国庫負担対象から外すなどの措置は、地方の自由度の拡大につながらない単なる地方への負担転嫁であり、到底受け入れられないと、このような提言が出ております。
以上、国庫補助負担金の改革についてのご説明といたします。
〇委員
ありがとうございました。
今、かなり包括的な情報の提供を受けました。今日は初めてでございますから、これに対するご質問あるいはご意見等々、あるいは総務省に対するお考えをもう少し突き詰めてお聞ききしたい点がいろいろあろうと思います。今から20数分ございます。時間を割いてございます。どうぞ。
〇委員
財源のあり方ということを考えたときに、財政学の研究テーマで、それぞれの財源が財政支出にどのような影響を与えるだろうかと、そういう研究がいろいろなところでなされるわけですね。ところが、日本の場合に、どうもそれがしっくりいかない部分がある。それはどういうことかといいますと、財源が支出に影響を与えるという部分もあるわけですけれども、逆に支出が決まって財源が決まるという部分がかなりあるわけですね。つまり、法令等で義務づけが行われて、経費が決まり、それの何割かを国が負担する。そして、財源不足額は交付税で補てんする。というぐあいになりますと、財政学の研究に日本の地方財政支出というのがどうもしっくりこない部分があるわけです。このあたりが議論を非常に複雑にしていて、つまり、財源が支出を膨らませているのか、あるいは支出があって財源が決まるのかという、そこですね。つまり、地方財政支出の中で、本当に地方の裁量によって縮減ができるような部分と、できない部分があって、ここらをきちっと整理していかないと、非常にアバウトな議論になってしまう気がするわけです。
ですから、例えば地方の財政支出の中で、どの程度が法令によって義務づけられて、そして地方が減らそうと思っても減らせない、あるいは逆に地方の裁量によって増やしている、非裁量の部分と裁量の部分ですね。これが、ある程度のところでいいのですけれども、支出のうちのどの程度がそういう義務づけによるものなのかということがわかると、少し議論が進めやすくなるのではないかという気がいたします。
〇委員
補助金に限って奨励的とか法令とあります。それ以外のもっと広い範囲ですね。補助金のみではないですね。
〇委員
だと思います。ですから、国庫負担金というのは、やはり国と地方のともに利益があるようなものについては、何割を負担しましょうというように法令で書かれているわけですね。ですからもっと広い範囲だと思います。
〇委員
予定外のテーマが暮れになって総理からふってきて、バタバタしているんですよね。税調もそうだけれども、中央官庁は全部そうですよ。
いろいろな経過があって、僕は土光臨調時代から、この地方行革に携わって、2、30か所歩いたところもあるし、ずっと昔の話ですが、地方分権第一の委員会で専門委員会に入ったこともあるし、この手の議論は延々とやってきたわけだ。ある意味では、これは大蔵対自治の、今は名前は違うけど、100年戦争みたいなところがあって、それに今度は中央官庁で補助金をたくさん抱えている役所が全部これに巻き込まれたわけで、大戦争で、簡単にいかないと思っているんですよ。
ただ、どっちにしても、事態の積み重ねを見てみれば、ここで後ろ向きになってめそめそ言っても始まらない。補助金をぶった切れと言われて各役所は全部頭へ来ているけど、それは腹を決めるしかない。税源移譲についても腹を決めるしかない。
同時に、さっきるる総務省から話があったけれども、交付金制度について、弁明的な説明があったけれども、それは総務省の言い分であって、別の意見も十分にあり得るわけだね。だから、とにかく関係各省が、財務省も総務省も、それから補助金を抱えている関係官庁も、腹を決めて、とにかくこれは歴史的必然だから乗るしかないと決めるしかないと思うんですよ。僕は長々議論をやって、いつも本当にそう思っているんですよ。ただ、いかにもタイミングはあれだったけれども、そんなこと言ったってしようがない。言ってみれば総理のリーダーシップとはこういうことだから。褒めるかどうかは別の問題にして。
それで、問題は、三位一体でやることは決まっているわけだから、どれが優先項目であるなどとはあり得ないわけだから、どこかが欠けたらこの話はおしまいだ。それは当たり前のこととして、基本的に全部を考えた場合、一番基本哲学で差がこれから生じるのではないかと思われることが1つあるんです。
それはどういうことかというと、国が小さい政府になれと。主として外交とかを一生懸命やればいいのだということになっている。一般の国民生活に結びつくことは市町村、県もやれということになっている。中央政府は小さな政府になったほうがいいよと。それは我々税調もしょっちゅう言ってきたことです。地方政府は、放漫財政をやっていいとは誰も思っていないけど、多少ゆとりがあってもいいのではないかという、こちらは大きな地方政府論とは言っていないけれども、気分としてはそうだと思う。学者の議論を聞いても全部そうだと思う。それは実態に即しているかもしれない。しかし、そのダブルスタンダードというのは、本当に許されるのかどうか、今申し上げているのは税調の域を超えた話です。それもあって、中央も地方も、俺がするという大前提の覚悟がなければ、特にこれは総務省に対する要望だけど、とてもこんなものは三位一体はできっこないと思っているんです、長い目で見れば。
3番目に、三位一体だから、さっき繰り返し言ったように、どれか1つ欠けてもだめ。運動論として、特に知事会の論客がたくさんいらっしゃる。今、地方自治体はすごいからね。この人たちの議論を聞いていると、財源移譲論ナンバーワンと、みんな挙がっているんです。それは確かにそうかもしれない、運動論としてはね。しかし税調が、冷静にその議論も聞きますよ、しかし別の意見もありますね、ということを議論するのだったらば、やはり三位一体に戻るんですよ。大原則に戻るしかないんですよ。それをどこかが突出して、優先順位を、税源移譲ナンバーワン、2番目に補助金、これはセット。財政調整機能を持っているものは、まあ温存しておこうではないかというふうな議論だと、必ず破綻する。意見が一致しないから、両論併記しないとならないです。ということもあって、実にややこしい話をえらい短期日でやるのだから、大変だと思いますけど、腹を決めなければならんということが最初の結論。
もう1つは、主要財源の、基幹財源というのか、義務財源というのか、その地方移譲の問題が出ていますよね。当面、来年度どうするかというのはちょっと別にして、長い目で見れば、どうやったってそういうことになると思いますね。これは歴史的必然みたいなものだと思っているんですよ。
ただ、そのとき一番地方にやってもらっていいのは、所得税が一番いいと思いますね。いろいろな意味で考えてみて。ただ、さっき総務省の説明によれば、消費税も並べて書いてある。地方消費税という言葉がね。これは素直に、ああ、そうですか、というふうにいかない重大項目の1つ。これこそまさに税調の話ですよ。税源調達をどうやるかというのは、税調に託されている大テーマですからね。
今日は皮切りだから、それだけのことを申し上げておきます。
〇委員
今の委員の腹を決めろという問題提起は、これは議論するとして、まず最初の委員が言われた、いろいろな法令で決まっているもの、切れるもの等々の資料は、どの程度出るか、総務省のほうでお考えがあれば。
〇事務局
わが国には数百といいますか、相当な法律がございますのと、それに加えて法律に基づかない国庫補助金というものもたくさんありまして、全部を分別して詳しく計算するのはかなり不可能に近いのですけれども、よく私ども国会等で聞かれました場合に、大臣などがお答えしているのは、地方歳出の中で国の関与が非常に強いと考えられている教育でありますとか、社会福祉の分野でありますとか、あるいは公共事業の分野、これらを取り出して計算してみますと、地方歳出の大体7割がそういう分野でございますので、粗々の言い方で恐縮でございますけれども、そういうようなお答えをしたことがございます。
それから、委員のお話の中に、地方の裁量によってできる部分、あるいは地方の裁量によって歳出が増加するような部分がどうかというようなお話がありました。現実の決算はいろいろあろうかと思いますけれども、私ども今、お話の対象にさせていただいているのは、地方財政計画という国が、国がと申しますのは、私どもと財務省との間で毎年議論させていただいて決めている、国が必要と認める地方の標準的な歳出のレベル、それに対してどういう財源が必要かという議論をさせていただいておりますので、地方が決算でどう増やそうとも、国の考え方で標準的な歳出を決めていく部分がございますので、これを閣議決定し、国会に提出をして、地方交付税のレベルがそれでいいかどうかの審議資料にしていただいているわけでございますから、そういう意味では、地方の裁量によって、地方財政計画の歳出が膨れていくということはないわけでございまして、標準的な歳出として財源保障すべき部分は、国においてきちんと議論して決めてきているというふうに私どもは考えてございます。
〇委員
もし必要な資料でもあれば、またお出しください。
〇委員
私はこの三位一体の改革の話がちょっと危険な要素を含んでいると思いますのは、地方分権の理念とちょっと切り離されて、独自の運動を始めているような気がするのです。三位一体ということですべて議論が行われていて、肝心要の地方分権の理念が忘れられているというところがあると思います。
そこで、私、前々から、基本法を作って、地方分権の理念というのを法律上はっきり書いて、分権改革の一つ一つの施策がその理念に沿っているかどうかを吟味しながら行われるべきだということを主張してきたのですが、残念ながら採用にならないでいるわけなのですけれども。
この三位一体の話も、一つ一つ、特に税の問題、我々が検討する場合には、それが地方分権の理念、自主とか自立とか自己責任とか、そういうようなものから見て適当であるかどうかということをよく考える必要があると思うし、それこそ我々の責任だと思うわけです。
基幹税ということが言われます。これは基幹税だからということが、水戸黄門の印籠みたいに言われるわけですけれども、基幹税ということを言うのであれば、地方の基幹税の最も重要なものとして、例えば固定資産税があるわけですね。その固定資産税は市町村税になっている。これは世界中ほとんどそうだと思うのですけれども、なぜかといいますと、まさに地方分権といいますか、地方の財政を賄う税として最も適切なものだからなのです。基幹税だからではないのです。だから全部地方にいっているわけです。国には来ていないわけです。そういうように税の性格を見て、それが分権の理念に合うかどうかということをしっかりと見定めない限り、基幹税などということで消費税を分けるということは、私はおかしいと思います。そこのところが本当に地方に向いているのかどうかということがはっきり説明できれば、それは1つの立派な意見だと思いますけれども、基幹税というだけでは、やはりおかしいのではないかと思うわけです。
というのは、地方消費税というのは、国の消費税4%分の25%です。一方で、国の消費税の29.5%の交付税があるわけです。同じ課税ベースに対して2つあるわけです。両方からかじっている形になっているわけですね。どこが違うかというと、配分の方法だけです。地方交付税は交付税として総務省が地方財政計画を見たりして配分しているわけですし、それから、地方消費税のほうは、人口でありますとか、商業統計でありますとか、いろいろ使いまして、ガラガラポンで分け直しているという違いだけなのです。ただ、配分は税の話ではないです。配分といのはむしろ歳出の話であって、その違いだけなのです。もし地方交付税のやり方が正しいというのであれば、そのほうが望ましいというのであれば、私は地方消費税分というのは交付税に入れるべきだと思うし、地方消費税のやり方が正しいというのであれば、交付税分を地方消費税に持っていくべきだと思います。制度の簡素化という点からも、そのほうがいいと思う。
そういう点がありますから、ちょっと基幹税だということで思考停止をしてしまうのは、問題だと思います。
もう少し大きい目で見まして、年金の問題があります。年金の議論の中に消費税がかんでくるわけですね。これは国民皆年金ということを考えますと、国民全体が消費するわけですから、そこの牽連関係というのは非常に理解しやすいところがあるわけです。この年金の問題も三位一体の問題も消費税に頼る。一方、消費税の増税はしないという議論をしているというのは、実に虚しいと私は思います。
それから、もう1つ、もうちょっと大きな問題なのですが、小泉改革では、必ず「官から民へ」、それから「国から地方へ」と、こう言っておられるわけです。「官から民へ」というその「官」というのは、国も地方も入っているのだと思うのです。だから、地方の仕事の見直しというのも大前提としてあるので、国から地方にいって、地方の仕事は増えるのだというように考えてしまうのは、極めて短絡的な話であるし、総理は繰り返し繰り返し「官から民へ」と言っておられるわけなのです。それは財政の面でいえば、歳出の抑制というのがすべてに先立ってあるべきだということではないかと思います。
いろいろありますが、あまりしゃべっているといけませんので。
〇委員
そういったようなテーマを、実はここで時間をかけてやらなければいけないのです。あまり時間をかけすぎることはできませんが、根本的な問題ですから。いずれこの基礎小で抜本的な視点から議論したいと思います。
〇委員
私のは初歩的な質問なのですが、今の委員のご議論で、つまり地方分権と三位一体というのは異質のものだというようなことをおっしゃいましたか。そういうふうに聞こえたのですが。
〇委員
いいえ、私が申し上げたのは、例えば自主、自立、自己責任、地方の個性、そういうような分権の理念を忘れてしまって、比率を何対何にするとか、そのためには大きな税でやったほうがいいとか、そういう話になってしまってはいけないのではないかと。そういう話になりがちな危険を含んでいると申し上げたわけです。絶えず分権の理念に立ち返って議論をしなくてはいけないということを申し上げたわけです。
〇委員
私の理解は、地方分権をやろうとする方便、方便というのは言葉が悪いのですけど、1つの方法として三位一体というのは解決方法として妥当なのではないかと、そういうことになってきていると理解しているのです。でないと地方分権は必要だと、大事なことだと言っても、財政的に、あるいは税務的にどうやってやるかということになれば、やはり項目と数字、これを押さえていかないとできないので、それを誰がどうやって抑えるのということになれば、やはり、イッセーノセーで、さっき他の委員が言われたように、こっちが先であっちが後だと言い出したら、つかみ合いになってしまいますから、そこは三位一体という1つの解決方法として出てきたものなのではないかと。それを今やらないで、それはどうかという議論をしてしまうと……。
〇委員
いや、それをやるなということを言っているのではないんですよ。
〇委員
やり方の問題を言っているわけです。
〇委員
逆に、初めに三位一体ありきということではないと私も思いますけれども、ただ、地方分権を実現するための手法としてこれが出されていると、そういう理解をしているのですが、違いますか。
〇委員
それがうまくいっていないのではないかという危惧を述べられているわけですよね。
あと財務省が控えておりまして、時間をイーブンに使いたいのです。そこで、これに関してご発言ご希望の方いらっしゃいますか。あと5分。
〇委員
1点質問になるかと思いますけれども、交付税で、財源保障と財源調整を一体のものとして自治と書いてあるのです。一体というのは、総務省としてはどういう認識で言っているのか。半永久的に両方とも国で面倒を見ますよと、どちらも同等に扱うというのか、この一体という……。
〇委員
多分、区別できないということを言っているのでしょう。
〇事務局
現在の交付税制度は、ご存じのように、国に義務づけられました仕事でありますとか、地方が必要としている、あるいは国民が必要としていると言い換えてもいいかと思いますけれども、そういう仕事の量に応じて財政需要を計算し、地方税収を計算し、その差し引きで必要な財源を保障するという形をとっていますので、そのこと自体が一体不離のものであるという意味でございます。
〇委員
それはわかりました。私の言いたいのは、国がこれからもずっと一体としてやるとして、国は国の役割があるでしょうが、私は財源保障問題も財源調整も、地方は自らどう考えますかと、どんな手法が検討できますかということを、一旦地方にもぶつけてみる価値があると思います。それが言いたかったことです。
〇委員
今の財源保障、財政調整は、また財務省は違った考えを持っていると思いますから、そのときまた問題をお出しいただけたらと思います。
〇委員
では、財務省の話を聞いてからのほうがいいですか。財源保障機能のところですけれども。
〇委員
今、疑問を出されてもけっこうですし、財務省のときでもけっこうですよ。
〇委員
では、ちょっと今お話ししたいと思いますが、要するに総務省の論理展開というのは、今、国が一定の行政サービスなりすべて決めているからだと。それで足りない部分を保障するのだと。つまり、行政サービスというのをどういうふうに考えるかということなのですが、もうすでに一定の行政サービスは確保されているのでないか。むしろ地方では過剰になってはいないのかという基本的な疑問があるわけです。現在の制度を前提に考えるからそういうふうな考えになるわけで、これを外したらもっとスリムになるのではないか、歳出はカットできるのではないか、という感じがするわけです。
それから、最初のところで総務省が述べている、つまり人口1人当たり財源の均衡だの、面積とか、それに比例して配分するとか、課税自主権で地域の歳出を賄うという、そんなことは誰も言っていないのではないですかね。これはかなり行きすぎた議論で……。
〇委員
いや、学者で言っている人もいるんですよ。配り方も非常に複雑にやっているけど、結果を見れば、人口と面積でやっているのとほぼ似ているじゃないかという計算もずいぶん学者はやっているんです。
〇委員
一律的に人口とか面積だけでというわけにはなかなかいかないとは思いますが、かなりこれは極端な議論だなと思うわけです。あとでまた財務省の話を……。
〇委員
というご意見もあるということで、特に今のご発言に何か、ちょっと批判が出たようだけど。
〇事務局
サービス水準のお話が出ましたけれども、まさに私どももそのように思っておりまして、これは各省庁に全般にわたることでございますので、私どもだけではもちろん力不足なのでございますけれども、各省にもお願いして、できるだけ法律の規制というものを外していただいて、地方に自由度を高めていく。そのことによって要らないサービスはやめ、住民が本当に求めているサービスをできるようにしていくのが地方分権の基本的な考え方だと思いますし、そのようなことによって、二重行政、三重行政もなくなり、全体として効率的な政府組織というものができてくるのではないかと考えておりまして、歳出の見直しはぜひやっていくべきだろうと思っております。
〇委員
委員、あとの方がいいのではないですか。財務省のときのほうが。
〇委員
意見ではなくて……。
〇委員
事実の確認ですか。では最後に。
〇委員
さっき委員の言われたのは非常に重要な点なので、僕はちょっと別の意見を持っていますけれども、あとの委員会でよく取り上げていただきたいと思います。
〇委員
ちょうど半分の時間になりましたので、前段の総務省の方のご説明は終わりにしたいと思います。
財政課長、調整課長、お忙しいところすみませんでした。
(総務省自治財政局 財政課長、調整課長 退席)
(財務省主計局 主計官、主計企画官 着席)
〇委員
それでは、引き続きまして、主計官と主計企画官、お二人来ていただいておりますので、財務省のお立場というとおかしいのかもしれないけど、お考えを三位一体論についてちょっとご説明いただいて、議論をと思っています。
30分ほどしか時間がないので、うまくお二人で分けてください。よろしく。
〇事務局
それでは、ご説明させていただきます。「地方財政関係資料 財務省主計局」とある分厚い資料でございますが、これで説明をさせていただきたいと思います。まず、国と地方の財政事情について、次に地方財政計画の改革について、お話を申し上げたいと思います。
それでは、赤い紙をめくっていただきまして1ページでございますが、国と地方の財政事情でございます。両者を比較いたしますと、国のほうがずっと悪いという状況が実はあるということをお話しさせていただきたいと思います。
まず、資料の(1)プライマリーバランスでございますが、国の赤字はどんどん悪化しておりまして、平成15年度に-19.6兆円の大赤字の予定でございます。地方は+9,000億円の黒字。統計のとり方をどう地方寄りに工夫しても、地方の収支はゼロ近傍でございます。
次に、(2)資産・負債の状況でございます。国は-200兆円の大幅債務超過状態。これに対しまして、地方は統計のある都道府県と政令指定市を合わせて100兆円以上の資産超過の状態となっております。
おめくりいただきまして次のページ、(3)近年の税収の推移でございます。グラフは実線が地方、点線が国でございます。ともにバブル期に税収が伸びましたが、国税収入はその後景気の落ち込みや減税によりまして、昭和末期の1割減まで低下しております。地方税収はバブル後も高い水準にあり、安定しているということでございます。
(4)国と地方の歳出の推移ですが、白い三角の地方歳出は交付税の財源保障機能ということもございまして、国の歳出や名目成長率を上回って高い伸びとなっております。
さらにおめくりいただきまして、(5)公債依存度でございます。歳出総額に占める借金の割合のことを公債依存度といいますが、国は近年急速に悪化しておりまして、44.6%まで来ております。これに対しまして、地方も確かにちょっと増えてきてはおりますが、いまだ17.5%というところでございます。
(6)は債務残高と税収の比率でございます。債務の償還は究極的に税収によらなければならないということを念頭にこの資料をご覧いただきたいと思います。下の図はシャドウが入っているのが国、白いのが地方で、左が税収、右が長期債務残高でございます。国はこの税収で15.9倍もの長期債務を返済していかなければならないという状態でございます。仮にこれ以上税収が下がりますと、国債の信認への影響が懸念されるところでございます。地方はこの両者の比率が4.5倍にすぎないということでございます。
次のページですが、主要国の国税、地方税の比率でございます。日本ではこの比率を1対1にすべきだとの議論がありますが、グラフのとおり、1対1という国はありません。それどころか、日本の地方税比率は最高となっているわけでございます。
次に、(8)ですが、1955年には国の交付税の予算は一般歳出の予算の16.9%にすぎなかったわけですが、年々プレゼンスが増大しておりまして、今年は36.6%まで増加しております。
次のページは説明を省略いたしまして、その次の6ページ、OECD諸国における租税負担率でございます。上が国税の負担率。諸外国の中で日本は一番右側の最下位でございます。これに対して下のほう、地方税では、ベストテンに入っているということでございます。
国と地方の財政のあり方をご議論いただくに際しましては、以上のデータを踏まえた上でお考えいただければと存じます。
2枚飛ばしまして次の赤い紙の後ろ、9ページ以下で、地方財政計画の改革についてお話を申し上げたいと存じます。
まず、9ページですが、交付税には2つの機能がございます。財政調整機能という税収の地域間偏在に伴う格差を是正する機能と、もう1つ2番目は財源保障機能、つまり単に財源の均衡化を図るだけでなくて、足りない分の財源補てんまでするという2つの機能があります。
骨太の方針ですとか、あるいは財政審の建議で問題とされている財源保障機能につきましては、さらに2つの意味がありまして、以下のページでご説明しますが、第1は、2の(1)マクロ。3,200地方団体総体としての地方への財源保障。第2がミクロ。すなわち、各自治体に対する財源保障でございまして、いずれも収支差の「足らず前」を交付税で面倒を見てやるということでございます。
特にこれから説明するマクロの財源保障は、地方財政計画を通じまして、収支差補てんを行って、その中で交付税総額を決定してくるということになっておりまして、ここには実は様々問題がございます。
下の財政審建議に問題点が挙げられておりますが、第1に国への財政的依存を生じる。あるいは、「足らず前」の面倒を見られるので、モラルハザードをもたらす。さらには、地方歳出の増加と交付税の膨張を生じているということでございます。
なお、財政審の建議では、財源保障機能を将来的に廃止することが指摘され、(参考)のところ、6月の骨太方針でも、財源保障機能の縮小と交付税総額の抑制が指摘されており、今年度の予算の課題となっているところでございます。
以上のポイントとしては、マクロの総体としての地方の財源保障は、地財計画を通じて収支差補てんを行っているということでありまして、交付税もその中で総額が決まってくるということでございます。
この地財計画の概要は11ページにありますが、ややわかりづらいので、むしろ次の12ページの図にしたものをご覧いただきたいと思います。マクロ、すなわち3,200の地方公共団体総体としての地方への財源保障ということでございますが、財源保障、すなわち歳入歳出差額補てんが地財計画を通じて行われているということを表す図です。本日はこの地財計画を分析したいと思っております。財源保障機能の具体的な見直しとは、地財計画をどう改革していくかということであろうと思います。
12ページの図の左側、地財計画の歳出、上からご覧いただきたいと思いますが、上から順に投資的経費、一般行政経費というのは経常経費のことでございます。それから、給与や公債費など。一応地方の標準的な歳出を計上しているというふうに説明されております。
右の歳入には、白い部分に地方税、国庫支出金というのは国からの補助金のことです。さらに地方債などの収入がありまして、歳出に足らない分は網掛けのところ、24兆円です。この「足らず前」は国からの地方交付税等で差額が補てんされています。この差額によって地方交付税の総額も決まってくるということです。
なお、基準財政需要額によって交付税額が決まるという誤解がありますが、基準財政需要というのは、あくまでも各自治体への配分額を決めるためのものでありまして、交付税総額の決定には関係ありませんので、ご注意いただきたいと思います。
この図でもう1点ご注意いただきたいのは、この計画上、歳出に一度計上されれば、すべて見合いの歳入が何らか立って、つまり財源保障される。国の関与のない単独事業や公債費も含めて、足らない分は交付税などで補てんされる対象となるということです。
また、左側の歳出が増加すると、網掛けの差額、「足らず前」の部分も拡大していくことになります。交付税も拡大していくということです。本日の話で、これらの仕組みは極めて重要でございます。
次の13ページをご覧いただきたいのですが、右側の箱の中をご覧ください。平成6年度から10年度の平均と、11年度から15年度の平均の地財計画の歳出規模を比較いたしますと、プラス3.5兆円増加しております。同じ時期に地方交付税も3.4兆円増加しております。つまり、歳出規模の増加がほぼ全部交付税による補てん増で賄われているということでございます。
1枚飛ばしていただきまして、次の次の15ページで、地財計画あるいは財源保障機能の問題点を整理してみました。
まず、標準的な歳出を計上するということになっておりますが、標準的ということ自体がはっきりいたしませんので、いろいろなものを取り入れるようになって肥大化しがちということがございます。
次に、実態としては、地財計画は地方の歳入歳出差額補てんのシステム。つまり、交付税総額の確保システムになっている面が強いわけです。そこでは足らず米の面倒を見られるので、負担感なく行政サービスを拡大できる。結果として地方歳出が拡大してしまいます。
第3に、自治体に行革等の歳出削減努力や課税自主権の発揮といった自助努力を求める仕組みにはなっておりません。また、国の財政事情は考慮要素となっておりません。
以上の結果、地方財政は特に国の関与のない地方単独事業が増えて、交付税総額も増加し、国の一般歳出を圧迫しております。この実態については、以下のページでご覧いただきます。
なお、こうした足らず前補てんの仕組みは、昭和20年代からずっと続いてきております。今年で交付税はちょうど50年目になります。高度経済成長期には地方の発展やナショナルミニマムの達成のために大変役立った制度なのですが、果たして今日も維持することが適当なのか。むしろ非効率を生む原因となっているのではないか。
もう1つ、諸外国には日本のような形の財源保障、つまり収支尻の補てんまで国が行って、地方に自助努力を求めない例はありません。この点について、20ページでございますが、この表は上が日本で下は各国ですが、地方税率が自治体の間で何倍の差があるかについて示したものでございます。下半分の一番上、イギリスでは3.13倍、つまり地域によって税率格差が3倍以上あるということです。フランスでは税目によって1.7倍から4.65倍、ドイツは2倍前後です。アメリカは税目からして各州で違うので、図に載せることもできません。このように諸外国では地域によって地方税率に大きな差があり、つまり、行政サービスをたくさん受けようとするときは、税率も上がります。
しかし、図の上半分、日本では地方税率の差がほとんどない。特に住民と向き合う税では全くないと言ってもよいぐらいです。つまり、課税自主権というものはほとんど発揮されておりません。諸外国では、自治体の課税自主権発揮はある意味当たり前になっていますが、日本は極めて不自然です。これも膨らんだ交付税額によって、自ら努力をしなくてもよくなっている。つまり、受益・負担の関係が断ち切られていることの表れではないかと思います。
地方分権のメリットは、行政に地域住民のチェックが働いて、効率化するということだろうと思います。ところが、財源保障により多額の交付税がありますと、負担感がないために、行政の拡大に対してチェックが働かない。結果として自治体は課税自主権の発揮といった自助努力、自己責任による財政運営を怠って、歳出が肥大化し、効率化しなくなる。そういう議論があるわけでございます。交付税を量的に縮減するとともに、自治体の自助努力をいかに求めていくかが現在の課題です。
次の赤い紙の後ろの25ページ以下で、地方財政が増大してきた実態について、ごく簡単に説明させていただきます。
25ページですが、国・地方の一般歳出の比較で、グラフの下に実額の推移があります。上のグラフは59年を100として指数化したものです。国が抑え気味なのに対して、財源保障もあり、地方はずいぶん国の上をいっております。また、一番下ですが、一般歳出を比べてみますと、昭和50年代は地方は国の25%増しぐらいでしたが、最近は5割増し以上の歳出となっております。
こうした地方の伸びの最大の原因は、次のページでございまして、地方単独事業の伸びです。単独事業については、平成5年、6年、7年ごろは、国の景気対策に協力して伸びたという面もあります。しかし、それで裨益したのは地方ですし、最近では単独事業の積増しを国が求めるということはなくなっております。それなのに、平成15年度時点でなお国よりもかなり高いところに地方がいる。近年下がってきていますが、地方歳出にはまだまだ国の関与のない部分での見直しの余地が大きいと思います。
次のページは地方単独事業の投資分と国の公共事業を比較したもの。やはり地方の伸び方が大分上をいっているわけでございます。
次の28ページをご覧ください。国の一般会計における一般歳出と交付税の比率の昭和30年度から平成15年度までの推移です。上から下へ最近に近づくにつれて、黒いほう、交付税の比率が拡大しております。40年代、50年代、さらに平成の時代となって、地方がどんどん住みやすくなってきているし、ナショナルミニマムは概ね達成されたというふうにも言われてきております。しかし、地方向け歳出がますます国の財政を圧迫してきているというわけであります。
さらに、次の29ページ、左の丸いグラフをご覧ください。国の一般会計歳出のグラフです。地方交付税は社会保障に次ぐ大きな予算となっています。公共事業予算の倍以上の額です。
次に右の図ですが、この20年間の国の主要経費の伸びを測ったものです。昭和58年度を100としたときの指数ですが、地方向け歳出は238、社会保障よりもずっと上をいって、最高に伸びております。一般歳出が46%増し、公共事業が22%増にすぎないのに、交付税は138%増。財政健全化のためにも地財計画、地方歳出をさらに縮減し、交付税など地方向け歳出が国の財政構造を悪化させている状況を改善することが重要であります。
時間の関係もありまして、次の赤い紙の後ろまで飛びまして、38ページ以下でございますが、本日の本題とも言うべき地方財政計画の具体的な見直しです。当面の課題は財源保障のシステムである地財計画をどう見直していくかということになってまいります。38ページにはその地財計画をめぐる当面の対応のポイントを挙げております。
まず第1に、交付税総額の量的縮減。地財計画の歳出項目を縮減するとともに、歳入項目についても見直して、交付税総額の縮減を図る。まず何と言っても交付税の総額が多すぎる。これが減らない限り、地方が自助努力を行ったり効率化していくことは難しいのではないかと思います。
第2に、地財計画の見直しにより財源保障対象を見直して、真に財源保障すべき対象を絞るということです。
3番目は、交付税総額決定システムの質的な改革。自治体の財政運営に自助努力。これは課税自主権の発揮や行革等の歳出削減の努力のことですが、こういったものを求める形にできないかということでございます。
以上を踏まえ、次のページ以下で各項目ごとに検討してみます。次のページは地財計画各項目の内容と計数の作られ方について、ごく大ざっぱに書いたものでございます。例えば、左上の投資的経費の単独というのは、国の補助を受けずに地方がやる道路とか公園とかハコモノ建設などといったぐあいでございます。このページは適宜ご参考としていただくとして、次のインデックスのついた40ページで、それぞれの問題点をご説明いたします。
40ページの図の真ん中にある歳出と歳入は、先ほどご説明した地財計画の差額、足らず前補てんの図と同じものでございます。仕組みをおさらいしますと、左側の歳出が増えれば、網掛けの差額、足らず米も同時に増えて、交付税総額も増えます。また、何かが歳出に計上されれば、交付税など何らか見合いの歳入が財源手当てされることになります。右の歳入側についていえば、歳入を大きく見積もれば、その分だけ網掛けの差額が縮小して、交付税も減るということになります。
では、順々に各項目の問題点をご紹介いたしますが、まず、左上の投資的経費の単独について。これは自治体が独自の判断で補助金なしで実施する道路などの整備費です。この項目の問題は、実態の額が計画額を大幅に下回る乖離の状態になっている。つまり、計画額が空積みされているということでございます。その分、歳出総額が増えて、網掛けの差額分も増えて、交付税も増えるという仕掛けになっております。
次の41ページをご覧ください。平成5年以降、計画額が実態を上回っております。一番右の下のほうの数字、12年度は計画18兆円、実態12兆円で、6兆円もの乖離があります。こうして計画に空積みされた分についても、計画上財源手当てが当然なされてしまいまして、交付税が増えてしまっている。
後ろの44ページをご覧いただきたいと思います。左側、地財計画の歳出に計上を一度されますと、何らかの見合いの歳入が保障されることになる。ところが、実態は右側でございまして、投資単独という項目の執行額が非常に小さい。その結果、薄い網掛けの部分の金額が浮いてきまして、給与の増額ですとか、消費的経費など、他の経費に使い回されていると考えられます。
計画とは別のところでも、何かに使っているのだからいいではないかという方がいらっしゃいますが、それも全然違います。そもそも44ページの網掛け部分は、標準的歳出として地財計画に計上されないようなものに使われているわけなのですが、そこに使い回されているということで、当然、見直されるべきものでございます。
インデックスを付した40ページの図表にお戻りいただきたいと思います。左上の投資単独につきましては、今の話でございまして、計画額を実態に合わせて削減していくべきでございます。
次に、その下の補助事業。投資的経費にも一般行政経費にも補助事業があります。これらは国から補助金をもらって行う事業です。道路とか介護とかいろいろあります。地方財政計画には、補助金プラス補助裏、つまり地方負担分合わせた額が歳出に計上されています。これによってあらゆる補助事業について、補助裏相当分も含めて足らず前補てんの対象となっているということでございます。
補助事業には介護保険のようないわば義務的な事業もあるのですが、他方では奨励的補助ですとか公共事業の補助みたいに、自治体に事業をやるかやらないかの選択の余地があるというものもあります。そういう選択の余地のあるようなものまで補助裏分を国が財源補てんしているというのは、行き過ぎているのではないか。そのせいで地方は補助金への依存を続けて、補助金の改革が進まないということはないか。やはり財源保障の範囲を見直すべきではないか。そういうのが論点でございます。
左の3番目の箱、一般行政経費の単独事業ですが、ここにはごみ処理とか産業振興とか地方選挙の経費とか、雑多な経常的な経費がいろいろ入っております。単独事業は地財計画に計上されることで、すべて財源保障対象、すなわち交付税総額の拡大要因となっています。しかし、単独事業の実施については、地方自治体にやる、やらないの選択の余地や、やり方について工夫の余地がある。これを踏まえれば、自治体の自助努力を求めて、地方交付税が財源補てんをする範囲を絞り込むべきではないか。そういう議論がございます。
次は給与関係経費ですが、県庁あるいは役場の職員、それから、警察官や学校の先生方の給与です。5年に一度の地方公務員給与実態調査を追認する形で地財計画に計上しています。いろいろお話ししたいことがあるのですが、50ページの資料だけご説明させていただきたいと思います。
50ページですが、運転手などの職員のことを、地方では技能労務職、国では行政職二種といいます。両者を給与比較すると、平均給与で地方が13%ほど高いのに、平均年齢のほうは地方のほうが3歳も若い。ということは、おそらく同年齢では2割ぐらい地方のほうが高いわけです。こういう職員が20何万人も地方におられます。
インデックスのついた40ページにお戻りいただきたいと思いますが、この点については、実態調査をベースに地財計画に是正されずに計上されて、歳入歳出の足らず前をその分だけ増やして、交付税も増やしております。
なぜ計画計上時に高い分を是正して計上しないかというと、統計がないから是正できないというようなことを言われるわけであります。地方自治ですから、自治体のご判断で地方公務員に高い給与をお支払いになるということに、あれこれ申し上げる立場にないのかもしれませんが、高い額のままで地財計画にそのまま計上されて、財源保障の名のもとに交付税にツケが回るということは、きちんと統計をとって直さなければいけない話だと思います。
公債費等につきましてもいろいろ問題がありますが、時間の関係で省略をしたいと思います。
右側に移りまして歳入の項目です。歳入は多い額が計上されるほど網掛けの部分、差額、足らず前の部分が小さくなって、交付税も減額できます。しかし、あるべき歳入を計上するといいながら、地方税も地方債も計上額が小さくて、そのツケが交付税に回っているのではないかと思います。
まず、地方税の項目、住民税や固定資産税といった法定税目について、標準税率による見積額を計上しております。ここには超過課税を行うですとか、法定外税を設けるといった課税自主権の発揮は前提とされておりません。しかし、いわゆる財源不足額が10兆円を大きく超えている状況で、課税自主権の発揮を求めずに収支尻を地方交付税に回すという地財計画のあり方は、いかがなものかという論点があります。
時間も少ないので、地財計画の議論はこれぐらいにしまして、次の赤い紙の後ろ、59ページをお開きください。その他の交付税をめぐる諸問題をご紹介いたしたいと思います。いずれも骨太の方針でも指摘されていることです。
第1は不交付団体、つまり交付税をもらわない団体をどう増やすかという問題です。現状では97%の自治体が交付税をもらっています。そもそも交付税がどのように配分されるかというと、まず次のページをご覧ください。「ミクロの財源保障」などと呼んでおりますが、基準財政需要額と基準財政収入額という一定の算定ルールによって、各自治体ごとにはじき出された2つの数字の差額が交付税として各自治体に配分されます。基準財政需要のほうが小さければ不交付団体となります。
では、その基準財政需要はどうやって決まるか。次の61ページがこのミクロの交付税の配分と、先ほどの地財計画を通じて交付税の総額が決まることの関係を表したものでございます。多くの方はミクロ、この基準財政需要が先に決められて、各自治体への交付税の配分額が決まって、その積上げが交付税の総額になると思っているかもしれませんが、実はそれは順序が全然違います。まず左のほう、12月までに予算編成で地財計画を作って、収支不足を算定いたしまして、マクロの計数から交付税の総額を決めます。先ほど説明した話です。その後、右側、年が明けましてから半年ほどかけまして各自治体への配分額を決めるということになります。そのプロセスで配分方法としての基準財政需要額の計算の仕方、算定式を毎年細かく作り直しているということでございます。
その際、全交付団体への配分額が左側で年末に決定された交付税総額に一致するように、そういうふうに基準財政需要の算定式を作るわけです。いずれにせよ、まず総額が決まってから、後に配分方法としての基準財政需要額の算定基準を決めていく。ミクロからの積上げではなくて、マクロの総額を先に決めて、ミクロの総計を一致させるように作っているということでございます。
ということは、左端の地財計画の歳出が膨張しますと、自動的に右端の基準財政需要も肥大化する。こういう構造になっております。地財歳出の膨張は、先ほどグラフをご覧いただきましたが、次の62ページでは、これに伴って基準財政需要額の総額が肥大化しているのが見て取れます。基準財政需要はナショナルミニマムだと言いながら、GDPよりもはるかに高い伸びを示していることがわかります。
戻っていただいて、61ページの仕組みからして、交付税の不交付団体、つまり基準財政需要のほうが小さい団体が全自治体のたった3%しかない。その原因は61ページの左端、地財計画の歳出の伸びによって、その隣の交付税総額が増えて、その結果、右端の基準財政需要が肥大化して、甘くなっていることによるのです。交付税総額を削減すれば、基準財政需要も締まったものになり、不交付団体の数の増加を図れると思います。
59ページに戻っていただいて、その他の問題点ですが、2番目の問題として、交付税の配分方法について、簡素・透明化を図る。あるいは各種補正を見直すこと。この点も総務省に対して改革を求めているところです。ただし、こうした配分の仕方の話、基準財政需要算出の話というのは、いくら見直しをしても、交付税総額の増減とは直接関係がないというのは、残念なところでございます。
3番目ですが、地方税を充実させるとなりますと、地域間で財政力の格差が拡大いたします。これにどう対応するかです。当然のことながら、税収は都市部に偏在しております。73ページに図がございます。税源移譲をいたしましても、税収は、「東京問題」というような言い方をする方もいらっしゃいますが、東京に集中して、地方にはあまり生じません。税源というのは、人口や産業のことですから、ある意味当たり前のことです。このことによって生じる格差を一体どうするのか。交付税を増やして対応するというのでは、現在の国への依存、あるいはモラルハザードといった体質がますます悪くなるだけですから、それはあり得ない。では、富裕団体から資金を移転する水平的調整をするのかどうかなど、いかなる手段が講ぜられるべきか、まずは総務省においてお考えいただくべき課題だろうと思っております。
最後に、一番後ろの赤い紙の次の120ページに論点整理をしております。時間がないので、ご説明は省略させていただきますが、国と地方の関係につきましては、いろいろ論点はありますでしょうが、16年度予算編成に向けての主な論点を挙げさせていただいております。
また、別途、昨日出されました財政審の建議を付しております。いずれも今後のご議論のご参考としていただければと存じます。
以上です。続いて補助金についてです。
〇委員
主計企画官、もう時間を使い切っているんですよ。10分ぐらいでまとめてください。
〇事務局
わかりました。
補助金を担当しております主計企画官でございます。よろしくお願いします。できるだけ5分間で終わらせたいと思います。
まず、説明資料のほうでご説明させていただきますけれども、国庫、地方向けの補助金、一応、地方財政法上の用語を使いまして、国庫補助負担金というふうに呼ばれておりますけれども、まずその現状でございます。ざっといいまして、一般会計、特別会計、合計いたしますと20.4兆円。そして、都道府県と市町村が概ね半分半分ということになってございまして、その中身について見ますと、社会保障関係が11.1兆円でございます。つまり55%が社会保障関係の補助金でございます。そして、公共事業が5.1兆円、25%。文教・科振費関係が15%を占めておりまして、以上この3分野で95%の地方向け補助金を占めているという形になってございます。
やや専門的になりますけれども、地方財政法上の区分としては、国庫負担金、国庫補助金、国庫委託金というふうに3分類されまして、国庫委託金といいますのは、例えば選挙事務ように、国の事務を地方に委託しているその費用を交付するものという性格のものでございますので、現在行われています国庫補助負担金の改革の対象からは外れていると理解してございます。
15年度にこのような構造を踏まえて持っている補助金でございますけれども、15年度予算では、よく言われておりますように、5,600億円の改革を実施いたしました。義務教育費国庫負担金の共済費長期給付金の一般財源化2,200億円。それから、奨励的補助金、これは国庫補助金に該当するものでございますけれども、これをシーリング段階から-5%を目指してやっておりまして、昨年の場合ですと、7.9%の削減を達成しております。また、公共事業につきましても、シーリング段階から-3%の削減を目指しておりまして、公共事業関係の補助負担金だけでも、その中では5.6%の削減で、2,600億円の削減をしている。一部は重複しておりますけれども、これらをネットで合計しますと、5,600億円の改革を行ったというのが昨年度の姿でございます。
1枚おめくりいたしまして、真ん中にポンチ絵のようなものがついてございます。先ほど言いました補助金の半分、55%は社会保障関係、そして15%が文教、25%が公共事業という構造は、10年度と15年度を比較して見ていただいても、あまり変わっておりません。過去5年間で見ましても、公共事業は5.9から5.1兆円と削減をしてきております。また、文教の世界につきましても、削減をしてきておりますが、どうしても高齢化に伴います当然増を含みます社会保障関係、老人医療、国民健康保険、生活保護、介護保険等々、育児、保育、この分野が昨年度だけでも6,000億円以上の増加となってございまして、先ほどご説明いたしました削減額を大きく超えて増えておるのが社会保障の補助金ということになります。したがいまして、補助金全体の姿をきちんと縮減していくためには、この社会保障分野の補助金をどのように制度改革を通じてメスを入れていくかということが、最大の課題になっているということがおわかりいただけるかと思います。
16年度要求・要望の姿を載せさせていただきましたけれども、ここはお読みいただきますことといたしまして、3ページに飛びまして、今後の見直し方針でございます。よく言われておることでございますけれども、骨太のほうでは、今後18年度までにおいて、概ね4兆円程度を目途に、廃止・縮減等の改革を行うということになってございます。
一応、概ね4兆円という目標がございまして、それをどのように実現していくかということで、5ページに飛ばさせていただきますけれども、主な重点項目の改革工程ということで、これはもうご承知のとおりだと思いますけれども、こういう特別に重点項目に挙げられた補助金、あるいは事務事業につきましては、今後18年度までの改革の方針、タイミングがこの「骨太」の中に書かれておるということでございます。したがいまして、この重点項目の改革工程表に挙げられた事項を含めて、概ね4兆円の改革をしていく。したがいまして、概ね4兆円の改革をしていく際の対象の補助金は、先ほど冒頭で説明しました20.4兆円の補助金全体ということでございまして、改革工程表に挙げられているこの事項だけをすればいいということではないということは、誤解をお持ちにならないようにお願いしたいと思います。
したがいまして、16年度においても、シーリング段階から、先ほども言いました奨励的補助金につきましては、-5%以上の削減を目指す、ないしは公共投資分野については、-3%の削減を目指すということで、予算編成の過程で今、取組みをしておるところでございます。
また、文章にはさせていただいておりませんけれども、ご承知のとおり、先般、総理のほうから、地方の声を特に重視しながら、1兆円の補助金の廃止・縮減等を行うという方針が示されたところでございまして、現在、各省庁との間で残された予算編成期間の中で、その総理の指示を実現すべく、今全力で主計局としては取組みをしておるところでございます。
なお、一言だけもう1つつけ加えさせていただきますのは、6ページの資料でございますけれども、先ほど15年度の補助金改革の額が5,600億円、正確に言いますと、6ページにありますように、5,625億円ということになるわけでございますけれども、補助金を改革する場合には、補助事業を見直して、もうそのような事業は、国・地方を通じて要らなくなったものについては、補助金を廃止するとともに、事務事業自体がなくなるという廃止・縮減というものがございます。
また、補助金としては廃止をいたしましても、その事務事業は引き続き地方に残るものについては、地方の一般財源でファイナンスをしていく事業として整理する。つまり、俗に言う一般財源化という形の整理が2つ目のカテゴリーとしてございます。
また、3番目のカテゴリーとしましては、補助金の地方から見ての使い勝手をよくする、地方に自由に使える裁量性を持たしたような補助金に改革していく、一般的には交付金化を図っていくというような改革。3つのパターンがあろうかと思います。
昨年度のこの5,625億円に当てはめて考えてみますと、最初に申し上げました事務事業そのものが国・地方を通じてなくなる、事業のスリム化という形で改革をしたものが、3,281億円分ございまして、例えば公共事業関係費の見直し、あるいは奨励的補助金、これはそもそも事業をやるかどうか、地方の裁量に任されているわけでございまして、補助金としてカットすれば、地方のほうでもそういう選択がなくなる、事業がなくなるということで、奨励的補助金のカットも事務のスリム化ということになってございます。
事業存続分、つまり一般財源化を図った分としては、2,344億円ございまして、先ほど言いましたような義務教関係のものが大きいわけですけれども、ございます。
したがいまして、昨年度は5,625億円の補助金改革を行いましたけれども、引き続き事業が存続する分として、15年度の場合は、地方財政対策ということで、地方に特別に財源措置を行ったものは、このうちの半分にも満たない、2,344億円分になっておるということをご理解いただきたいと思います。したがいまして、補助金改革をやった額そのものが、今、世の中あるいは新聞の論調でも、1兆円の改革をやりましたら、1兆円の税源移譲かという論調もあるように見受けますけれども、そういう形ではない。昨年度の場合であれば、こういう姿になっておるということを、一言説明させていただきまして、私の説明を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
〇委員
ありがとうございました。膨大な資料をお二人に体よく説明していただいたと思います。
「一般財源化」という言葉遣いと「交付金化」という言葉遣いですが、一般財源化は必ず税源移譲を伴うのですか。僕はさっきの総務省側のお話と言葉遣いが食い違っているところがあるのかなと思いますが、どうですか。一般財源化というのは、イコール税源移譲ですか。
〇事務局
そこはイコールではないと思います。一般財源化という言葉の意味は、地方の一般財源、これは地方の税収あるいは交付税収ですね。国から交付税として地方に入ってくる分、こういう何に使ってもいいという一般財源をもってその事業をファイナンスするという意味でございます。
一方、補助金ですとか、あるいは交付金というのは、特に交付金の場合は、ある程度地方の裁量性が認められておりますけれども、特定の分野の事業、例えば介護事務をやるために使う交付金ですということになっておるわけでございまして、その交付金を例えば地方公務員の給与に使っていいというところまで自由なわけではないわけです。ですから、一般財源の場合ですと、何に使ってもいい、給与に使ってもいい、投資的経費に使ってもいい……。
〇委員
その用途を聞いているのではなくて、費用の、何に調達するかを聞いているんです。例えば義務教育国庫負担金、共済費長期等々、これはどっちですか。これは交付金化ではないんですか。一般財源化ですか。
〇事務局
これは一般財源化です。
〇委員
ということは、何で手当てしているのですか。
〇事務局
これは昨年度の場合は、地方財政上の措置、交付税措置などでこの財源を地方に向けています。
〇委員
交付税措置でやられることも一般財源化というのですか。
〇事務局
これまでは通常そういう形で対応してきております。
〇委員
交付金化というのは、第二交付税みたいなのを考えていることがあるでしょう。
〇事務局
例えば、民主党などが言っております一括交付金というのがございます。これは補助金なのです。一般財源化して、地方のを一般財源で賄いなさいという整理とは全然違う種類のものでございます。引き続き国から地方へ補助金という形で財源が渡されるものですけれども、一定の行政の何に使いなさいという範囲はきちんと使われている。ただし、交付金化という場合は、地方に渡し切りという形になります。渡し切りにして、地方が何に使っても裁量性が認められる。例えば、使い残しが仮に出た場合でも、それを精算しないというような扱いも交付金の場合はあり得ると思います。
〇委員
ありがとうございました。
事務局が手を挙げているから、彼の説明のあと補ってください。
〇事務局
単純にいえば、交付金化は一般財源化ではありません。
それから、一般財源化の中には、これまでは交付税に振り替えるというのが一般的でしたけど、今では税源移譲の議論としてされていると。ただ、一般財源化と言ったときには、税の場合と交付税の場合はあり得る。こういう整理です。
〇委員
両省、何かちょっと概念が違うのではないかと……。ちょっと無駄なことを申し上げたかもしれませんが、基本的な概念規定でありますので、ちょっと質問しました。
今の財務省のご説明について、どうぞ。
〇委員
先ほどの地方財政計画と地方の歳出との関係なのです。つまり、地方財政計画というのは、地方の予算をアグリゲートしたものではないのです。つまりこれは国の予算と並行して立てるものであって。その場合に、例えば地方が高い給与を出したとか、あるいは地方が単独事業でどんどん事業をしたときに、それが自動的に財源保障されるような仕組みが本当にあるのかどうかということなのです。地方財政計画というのは標準行政なので、標準行政が高すぎるとかという議論は、先ほど委員がおっしゃった、つまりこれはもう十分ではないかという話は地方財政計画のほうに出てくると思うのです。それに合わせて財源保障の額が決まってくる。だから、それを一方で地方が歳出を自由にやったときに、地方財政計画との関係で、それも財源保障されるのだという、そういう仕組みになっているのかどうかというのは、そうなのでしょうか。
〇事務局
項目によって検証の仕方が違ってくるところがあります。だから一概に言えないところがあるのですが、例えば今お話が出ました給与は、39ページに各項目の計上の仕方というのも出ております。給与の話ですと、5番目ぐらいの箱ですけれども、5年に一度の地方公務員の給与実態調査というのをやりまして、そこで実際に給与をどれだけ支払っているかというのが基本的にはここに計上されることになります。ただ、国の公務員との間で差がどれだけあるか、ラスパイレス指数というのですけど、それが例えば2%地方のほうが高いという場合には、2%割り戻して計上するという格好になっているという面があります。
ところが、そういう国と比較をして是正して計上できる分野は限られておりまして、さっき私が途中で説明いたしました技能労務職員などについては、そもそもそういう計数がないわけです。国との比較の指数というものがないわけです。ところが実態を調べてみますと、2割ぐらいは技能労務職員の給与は高いだろうと思います。その高くなっているのがそのままここへ計上されているとお考えいただいていいと思います。したがいまして、その辺のところが甘い歳出になっているのが、そのまま地財計画に乗っかって、その部分が差額、「足らず前」を増やして、地方交付税を増やす。こういう循環になっております。
それから、投資的経費の単独事業についていえば、もっとひどい状態になっておりまして、実態よりはるかに上回った数字が地財計画の歳出に乗っかっている。平成12年度あるいは13年度ですと、6兆円ぐらいの差があります。6兆円ぐらい地財計画の歳出の背丈がむしろ高くなってしまっている。それだけ差額、「足らず前」の部分、網掛けの部分、これを増やしている。その結果、全額ではありませんが、交付税が非常に高くなっている。こういう非常に大きな問題があるということがあるわけでございます。
〇委員
僕の議論は、なぜ6兆円ギャップが出たのを、毎年放っておくのですか。
〇事務局
では、なぜ41ページに12年度までの数字しか出ていないかということでございます。統計が12年度までしか出ていないというのが答えなんですね。13年度、14年度、あるいは15年度、進行中の年度の状況が、我々のほうにとってはある程度ブラインドになったまま交渉するような場面があるということが1つございます。
それから、いろいろな項目について、なぜ直してこなかったのかということ、恐らくご不満があろうかと思いますが、当方としては常に是正を求めてきたということがございます。しかし、それぞれの項目に従来からのルールみたいなものがあったり、統計がないので、さっきの話ですが、具体的な数字が作れないというような理由で変更できずに来たというところがございます。
しかし、今日、抜本的に国と地方の関係を見直そうというときに、そういうことでもいけないのではないかということで、せっかくの機会ですので、地方財政当局ともこの地財計画、あるいは財源保障機能のあり方を含めて、しっかり議論してまいりたいと考えているところでございます。
〇委員
懇切なご説明を聞きまして、私は昔、地方財政平衡交付金制度というのは、こういう感じだったのだなというのをちょっと実感したのですが、中身については、私もいろいろ言いたいことがありますけど、一切言いません。質問をいくつかさせていただきます。
財務省の主計局というのは、私は国の役所の中で一番大事な役所だと思っているのですけれども、これから日本国というのをどういう国づくりをしていくというビジョンを持って皆さんは査定をしておるのか。特に国と地方との関係というものを、どうするのが最もベストであると思っておられるのか、そのご決意を1つお聞きしたいと思います。
それから、先ほど来、交付税の問題がいろいろ出てまいりましたが、今、説明者もおっしゃったとおり、地方財政計画というのは、財務省と総務省と協議をして決めてきているわけなので、会長もおっしゃられましたけれども、何でこんな状態にしたのか。しないように頑張っていただきたいと思います。だから、責任は両方にあるのだろうと思うので、問題点があるのだったら、そこのところをきちっと詰めればいいわけで、そこは適切にやってもらいたいと思います。
それから、3番目に、主計局としては、三位一体というのは本当にやらなければいけないという固い決意で臨んでいるのかどうかという、決意をお聞きしておきたいと思います。
以上3つ。
〇委員
よろしいですか。
〇事務局
はい、お答えさせていただきます。
どういう国づくりというところまでいくとあれですが、地方分権とか地方自治とかはどういうふうにあるべきかというのは、ちょっと個人的意見になってしまいますが……。
〇委員
省の意見を。
〇事務局
省の意見ですか。地方自治とか地方分権というのは、進むべきものだろうと思います。
省の意見としてどういうものがあるかと申しますと、財審の昨日の建議というのが出ておりまして、お手元にお配りしております。冊子になったものでございます。5ページから各論、各論の筆頭に国と地方の関係というのが出ております。地方の自立のための改革に向けてということが書いてありまして、ここのくだりが我々財政審にお諮りして建議をいただいているところでございます。したがいまして、こういった方針に沿っていくということだろうと思います。
それから、昨年の11月に経済財政諮問会議に当時の財務大臣が提出資料を出しておりまして、地方の自立のための改革ということが極めて重要であるという観点から、いくつか問題提起をしている、あるいはお考えを述べておられる、そういうものがございまして、省の考えといえばそういったものがございます。改革の前提として、地方自治体が担うべき役割をしっかり見直していくこと。それから、地方行政体制の整備が必要であるということ。さらに、地方財政の健全化といったものが大きな課題として重要であるというようなことがそこには述べられているわけでございます。
受益と負担の関係が明確に意識された中で、地域住民によるチェック機能によって効率的な運営が実現すること、これがあるべき地方自治だとか、あるいは地方分権だろうと思っています。そういったものが本当にうまくできる、そういう地方自治になるか、分権になるか、それが非常に重要なことであろうと思っております。
お手元の私が説明した分厚い資料の120ページの1-1ですが、地財計画を巡る諸問題、論点整理の一番筆頭でございますが、アンダーラインを引いてあるところをちょっとご説明しますと、「受益と負担(行政サービスの増加と税の追加負担)の関係が明確に意識された中で地域住民によるチェック機能により効率的な運営が実現すること」、これが地方団体の理想的な行財政運営ではないかという考え方もここに示しておるところでございます。
ただ、私が思いますに、今は負担の面からのチェックが全然働かないで、歳出が過剰になりがちであろうと思います。負担感なく受益ができる。受益、負担関係が断ち切られている。それが交付税によってなされているのではないかと思っております。
それから、2つ目のご質問でございますが、問題点があれば、詰めて適切に直していけという点、全くおっしゃるとおりです。ぜひそういうふうにさせていただいて、努力をしていきたいと思っています。問題点を表に出して、オープンにある程度しながら議論することも大切かなと思いまして、こういったプレゼンテーションもさせていただいたところでございます。
それから、3番目ですが、三位一体というのはやらなければいけないかということ。これは繰り返し、谷垣大臣になってからも、諮問会議で当然進めていくべきものであるということは、大臣もご発言になっておられるところでございます。
〇委員
それから、1つだけお聞きしたいのは、東京一極集中是正のために主計局というのはどういう考え方を持っているわけですか。
〇事務局
この点については、三位一体を進める中で大きな問題があるぞと、先ほどご紹介しました財務大臣資料などでも、昨年来、繰り返し繰り返し私どもその点についてご説明をしてきたところでございます。あるいは問題点を指摘してきたところでございます。ところが、あまり強く我々から言いますと、ちょっと言いづらいところですが、後ろ向きではないかと言われるようなところがありまして、声がかき消されがちなところがございました。
そうはいっても、骨太方針の中にも、111ページだったと思いますが、一番上のローマ数字の()、税源移譲を含む税源配分の見直し等の地方税の充実に対して、財政力格差の調整の必要が高まるので、実態を踏まえつつ、適切な対応を図る必要があるということが、骨太方針の中で書かれるに至ったわけでございます。まずは総務省において、具体的にどういうふうにするのかということをお考えいただくべき課題ではないかと思っております。
〇委員
財務省の話を聞く前に総務省から話を聞いたんですよ。何が決定的に違うかといったら、交付税、交付金についての解釈、これからどうすべきかということに対して、ものすごい溝がある。両者の間に溝がある。それは前からある話で、だから、今回こういう事態になったので、極めて主計の人たちの言われていることが戦闘的になったということはよくわかる。その決意を生かしてもらいたい。こんなところで怒鳴ったってしようがないから。
もう1つは、僕はこれはスキャンダルだと思って聞いていたんだ。最近ちょっと新聞に出てくるから、本当かいなと思ったのだが、あなたが言った40ページの投資的経費の単独。実態の額が計画を下回る。こんなアホな話があるかと。仮にもあなた方は見ているわけだろう。こんなものは絶対来年からやめてもらいたい。相当な金額だ。新聞記者によく説明して、わからせてやればいいと思いますよ。ぼつぼつ書いているけどね、僕は初めて聞いた、この話は。今まで主計からはずいぶん聞いているけれども。
こういうことは事実は事実なんだから、これは双方の責任だと今おっしゃったでしょう。これは双方の責任です。こんなことを見過ごしてきたのは、総務省と財務省の双方の責任だ。こんなインチキというか、詐欺に近いことが公然と巨大な金額によって行われること自体おかしいと思うから、あなたの意見をよく感じて、本当にあなたの言葉の策略どおりに事をやってもらいたいんだ。どこが抵抗があるか、大変だと思うけど、それはそれでやってもらいたい。それでなければ、税財源の移譲なんていう議論はやりたくない。
〇委員
今の委員の話は、6兆円も交付税が膨らんでいるのかというように聞こえているんですよ。そうではないでしょう。
〇事務局
そうではありません。この半分ぐらいは膨らんでいるということですね。それはルールによってそういうふうになっております。
〇委員
僕は政府側ではないから説明するのはおかしいのですけども、要するに単独事業の中に地方債が入っているわけです。だから6兆円が単独事業ですき間があるというのは事実でしょう。事実ですけれども、6兆円が交付税が膨らんでいるということではなくて、地方債を除いた一般財源部分が膨らんでいるということです。だから説明の仕方が非常に誤解を招く説明の仕方をしているわけですよ。
〇委員
といった事情でありまして、皆さん、頭を冷やしてよく考えてみましょう。1つの現象でいろいろ解釈も成り立つという今日は典型的な議論でありますから、我々はこれを勉強しなければいけない。
ほかに、どうぞ。
〇委員
関連というか、要するに乖離が6兆円ということですが、つまり地財計画の歳出、これも含めて、先ほどおっしゃった現業部門、運転手とか給食の調理師とか、そういった人件費を含めて、そこのところはブラックボックスになっているのでしょうが、大ざっぱな話、責任を持たなくてけっこうですから、大体どの程度地財というのは水脹れしているのかというのは……。
〇委員
それは総務省の解釈と財務省の解釈は違いますよ。多分、水脹れしていないという解釈と、かなりしているという解釈の真ん中でしょう。
きわどい質問がございましたけど、何かご回答いただけますか。やはり測定は無理だよね。
〇委員
ブラックボックスになっているからわからないだろうけどね。
〇事務局
いくつか資料を作っております。例えば25ページをご覧いただきたいのですけれども、いろいろな測り方があると思うのです。
25ページでありますれば、国と地方の一般歳出の伸び同士を比べて見たときに、59年を100としてとると、平成15年には一般歳出では国よりも地方が高いのがこのくらいの数字であるということが見て取れます。
あるいは、さらにもっと大きく差があることが示されている資料が37ページでございます。なかなかご質問に明確に答えることができない面があるのですが、都道府県、市町村の予算総額と、それから、地方交付税及び臨財債を足し合わせたものの伸びの差を比べてみますと、実は59年から平成10年ぐらいまで同じようなペースで来ているところがあるのですが、その先、10年から15年までずいぶん差が開きまして、これが都道府県、市町村の予算の伸びとの差が8.2兆円に相当するということ。
それから、地方歳出が名目GDPとの差でどのくらい伸びているかというと、ここで見ますと18ポイントぐらい上がっています。ここが8.7兆円に相当するということ。
例えばそんな数字が1つ目安としてはあるかもしれません。ただ、これすべてが水脹れかといわれると、必ずしもそうでもないのかもしれませんが、1つの指標としてご覧いただければと思います。
〇委員
今のご質問、総務省から何かありますか。
〇事務局
正確に分析しておりませんけれども、1つは、仕事自体を地方団体にやってもらおうということで、これは近年の大きな流れになっている点があると思います。
それから、もう1つ、国と地方という観点からするならば、国の仕事というのはかなり社会保障をやっている部分が大きくて、一般政府、これはしかも一般会計だけを見たりしていますけれども、一般政府以上に社会保障基金、これはものすごい伸びをしていますから、それに見合う仕事を地方がするとすれば、仕事は膨らむなと。その際に、国のほうはかなり国債で賄っていますね。地方にそれだけ小さいところまで全部借金でやれというのはできませんから、そこのところは交付税が若干入っている。そういう面もあるので、単純に率とか額だけでやるよりも、いろいろ全体像を見ながらご議論いただいたら、建設的なお話になるのではないかと思います。
〇委員
今の話は非常に難しいのですけれども、数年前から地方に、交付税ではなくて赤字債を出させるようにしたわけですね。ですから、地方団体は自分の歳出を伸ばしてしまうと、赤字債を出さなければいけない。その赤字債は交付税で元利みられるけれども、それは自分で負担をしていかなければいけないということになっていますから、相当抑制がきいていると思うのです。
水脹れと言うけれども、実際は介護だとかそういうものをやり出してきていますから、地方団体も相当な歳出圧力はあるわけですね。それが決算になって出てきていると思うのです。実態は単独事業の部分については確かにやっていないけれども、一般行政経費のほうで決算は膨らんでいるという面だってあるわけです。だから、そこのところをどういうように見ていくかというのが、これから地方財政計画の立て方になると思うのです。これは私の感想です。
〇委員
時間が来ましたけど、この際、ぜひ発言したいという方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
今日は前哨戦にしてはかなり双方……、双方と言ってはいけないですね。議論がいろいろ出たと思います。1つの現象をめぐっての資料の解釈、いろいろございまして、我々としては非常に重要な情報を提供いただいたと思います。今後、この基礎小でこの考え方のギャップをいかにして縮めるかというところが、私は大きな争点になると思って聞いておりました。
各々お立場があろうかと思いますが、税調は税調として、国民の代表としてまさに委嘱されたわけでありますから、その視点からこの三位一体論をどう詰めて、税源移譲というのは我々の最大の任務でありますから、それが実りあるような格好で結論を持っていくという点に関しまして、これからご努力いただきたいと思います。大いに議論はすべきですし、大いにわからない点は出し合って議論を交わしましょう。そういう感想を持ちました。
あとの予定ですが、先ほども総会で申し上げましたが、来週は火曜日はお休みいたしまして、5日、金曜日、2時-4時と考えております。そのころまでに補助金の改革のほうが少しは進捗があるのかなというような感じもいたしておりますが、何かその辺はまだはっきりしない。はっきりしませんが、先ほど来申し上げておりますように、税の性格論等々、いくつか詰めなければならない議論もございますし、仮に税源移譲したようなときの、税源の都道府県間のアンバランスですね。こんな問題もあるわけです。いくつか議論もございますので、今日の議論をさらに詰めて議論を深めたいと考えております。
その後、先ほど申し上げましたが、翌々週は12月9日の火曜日、この辺あたりからは本格的に議論ができるかなとも考えておりますので、年末でお忙しいですが、この基礎小の方々のご審議によって決まるわけでありますから、ぜひ日程をやりくりしてご出席いただきたいと考えております。日程等々について、よろしゅうございますか。それでは、そういう形で進めさせていただきます。
今日は長時間どうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の総会後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。