第22回基礎問題小委員会 議事録

平成14年10月22日開催

委員

時間になりましたので、22回目になりますが、基礎問題小委員会を開催いたします。

今日は、5時から「若者集会」がありますので、1時間繰り上げました。御不自由をかけたかと思います。それから、今日も2時間半という長丁場でありますので、あらかじめ御留意いただきたいと思います。問題がいっぱいあって次から次へとテーマが出てきますので、事務局のほうも手際よく御説明いただいて、我々もポイントを決めて質疑をすることにいたしたいと思います。

今日で、ほぼ15年度税制改革の主要な議題は終わります。そこで、できたら最後に15分か20分、時間を余分にとりまして、フリーディスカッション、つまり、これまでの言い残した部分もあろうと思われますし、何か言いたいということも改めて気になるかもしれませんので、それを言っていただく時間を設けたいと思います。それも、うまく時間が残ったらの話でありますので、その前までの時間を効率的に使いたいと思います。

冒頭、御紹介することは、ここに「非営利法人課税WG名簿(案)」というのがあろうかと思います。これは、18日の総会にお諮りいたしまして、正確には、非営利法人課税ワーキンググループを立ち上げようということで、こういうメンバーでやりたいということを、今日、御承認いただきたいと思います。

ただ、この委員の中のお2人は全く新しく任命するという形で、手続きがあって、まだ正式になっておりませんので、「委員限」ということにいたします。

「公益法人制度等大綱」というのが来年3月に出るようであります。そうなりますと、寄附金の話、NPOの話、中間法人の話、さまざまな形で税制が問題になります。そこで、このワーキングで、短期間でありますが、本格的に議論を詰めてもらおう、こういう趣旨でございます。

後ほど御質問があればお答えするとして、もう一つ併せて、17日に経済財政諮問会議がありました。そこで「税制改革の全体像」というのが紹介されましたので、これと、18日に開会されました臨時国会における総理の所信表明のうちの主要な部分、税制改革に関する点を、事務局からごく簡単に御説明いただき、質疑をしたいと思います。

では、事務局、お願いします。

事務局

まず一つ、「税制改革の全体像」、この2枚紙でございます。これは先日の総会でも御紹介いたしました。

2でございますが、「総合的な政策対応-現下の経済金融を踏まえ、『総合的な対応策』を策定し」ということで、これは月末に向けて、現在、内閣府を中心に策定を急いでいる対応策でございます。

その中の「税制面では」ということで、「先行減税を1兆円を超える出来る限りの規模とする必要がある」。今後の検討でございますが、あくまで「財政規律を堅持しつつ今後のマクロ経済動向等を踏まえ決定する」ということで、「(2)改革の方向」の第1パラグラフでは、法人に関連して、第2パラグラフでは、その他、相続・贈与、土地税制、金融・証券税制、こういうことが書いてございます。

「また」ということで、いわゆる増収項目でございますが、消費税、個人所得課税の諸控除の問題が書いてあるわけでございます。

この17日の翌18日でございますが、「第155 回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説」、この冊子をご覧いただきたいと思います。

1枚おめくりいただきますと、「はじめに」ということでございますが、もう1枚おめくりいただきまして、中身の一番最初に「日本経済の再生」ということで演説が始まっております。この最初の2行だけ読みますと、「今直面する最重点の課題は、厳しさを増す環境の中にある日本経済の再生です。経済の活力を取り戻すため、これからの半年間で改革を加速することとし、早急に、総合的な対応策を取りまとめます」。これが、先ほどちょっと申しました、今月末を目処に取りまとめを急いでいる総合的な対応策でございます。

以下、各項目について触れられておりますが、傍線部分、これが税制改革についての基本的考え方を総理が述べられた部分でございます。あえて読み上げを省きますが、今まで総理がおっしゃっておられたこと、すなわち1行目、「『あるべき税制』の構築に向けた抜本的な改革」なのだということ。第二に、「現下の経済情勢を踏まえ、1兆円を超える、出来る限りの規模を目指した減税を先行させる」。第三に、「多年度税収中立」。その下、「全体を一括の法律案として次期通常国会に提出すべく検討を進めます」、このように基本的考え方を述べておられます。

簡単でございますが、以上です。

委員

ありがとうございました。

ワーキンググループの立ち上げといまの事務局の御説明について、何か御質問ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。今日は先に議題が山積みでありますから、では、先に行かせていただきます。

それでは、これから個別の税目別に具体的に事務局から御説明をいただきつつ、それについて自由に討議をするという形で、四つほどあるのかな、それを繰り返したいと思います。言うまでもなく、9月の下旬から今日まで議論を重ねてきましたが、今日は最終的な審議になると思いますので、前のほうに戻ってくださっても結構でございますから、十分に審議を尽くしたいと思います。

では、最初は相続税と贈与税。これは、どちらかといいますと生前贈与一体化のほうに議論が集中しておりましたが、実は本体のほうで、相続税も贈与税も--特に相続税ですが、最高税率引下げ、あるいは課税最低限見直しということがずっと話題になっておりますので、それをどうするか、過去の話も整理しつつ論点を整理していただきたいと思います。

では、事務局、お願いします。

事務局

それでは、お手元の「基礎小22-1相続税・贈与税関係説明資料」に基づきまして、御説明させていただきます。

相続税の本体につきましては、すでに6月の基本方針におきまして、基礎控除見直しなど課税ベースの拡大、最高税率引下げといった方向をすでにお示しいただいているところでございます。本日は、今後の答申の取りまとめに向けまして、これまでの御議論の方向を御確認いただきますとともに、特に新たな御意見があれば頂戴いたしたいというふうに思っております。

なお、前回、一体化の御議論の際も申し上げたところでございますけれども、前回御説明した一体化の贈与段階での贈与税での控除税率、その最終的な水準も、この相続税の基礎控除税率と関連して今後決まってくるということを申し添えたいと思います。

そこで、1枚おめくりいただきまして、目次もめくっていただきまして、1ページ目でございます。いつもの相続税の基本的仕組みの絵でございますけれども、この絵の左の一番上をご覧いただきますと、課税ベースのところで、小規模宅地等について課税価格の減額特例がある。それから、死亡保険金、死亡退職金について一定額が非課税とされる。それから、ちょっと進んでいただきますと、課税最低限というところがあって、5,000万円プラス1,000万円掛ける法定相続人数の基礎控除というのがある。ここら辺が課税ベースとして御議論いただく部分でございます。

それからさらに進んでいただきますと、下の右のほうにいきまして、超過累進税率ということで10%から70%までの相続税の税率がある。ここが税率の議論ということでございます。

1枚めくっていただきまして、贈与税の関係でございます。すでに御承知の絵でございますけれども、真ん中の税率のところ、いまの相続税率と比べても累進のきつい税率となっている。ここは、一体化をしない現行の暦年課税の贈与税の税率ということでございますが、ここを御確認いただきたいと思います。

それから、3ページにまいりまして、相続税の課税状況の推移でございます。ここはちょっとじっくり見ていただきたいと思いますが、まず、一番下の行を横にずっと見ていただきますと、12年度、直近で申しますと、死亡者数が100万人弱、課税件数、これは被相続人の数でございますけれども、これが5万人弱、課税割合といたしましては、これを割り込んで5.0%。いま、亡くなった方100人の5人が課税になっている、こういう姿でございます。平均の法定相続人数は3.55人。それから一つ右に飛ばしていただきますと、被相続人1人当たりの課税価格、これは、いま2億5,000万円ぐらい、こういう数字でございます。さらに二つ飛ばしていただきますと、一番右でございますが、相続税が課税対象になっている方の平均負担率、これがいま12.3%という水準でございます。

いまご覧いただきました課税割合、それから一番右の平均負担率、それぞれ、ちょっと上のほうに移動して見ていただきますと、先ほどの5.0%、例えばバブルの時期、平成3年、昭和62年、6.8%とか7.9%という数字がございます。ここら辺との関係で、どう考えるか。

それから、一番右の平均負担率でございますけれども、いまは12.3%でございますが、これも上のほうに上がって見ていただきますと、平成元年から平成3年ぐらいまで、20%を超えているような平均負担率があったということでございます。

4ページ目、相続税の課税価格階級別の課税状況でございます。件数と納付税額の累積割合というところをご覧いただきますと、先ほど、今平均で2億5,000万円ぐらいというところで申し上げました。平均価格に近い3億円ぐらいのところをとりますと、累積割合で8割ぐらいの方が3億円以下のところにおられる。他方、納付税額で言いますと、18.6%というのが3億円以下でございますから、3億円超の方が8割を納付していただいている。上のほう、金持ちに集中している税金であることは見ていただけるかと思います。

それから、5ページ目でございます。贈与税の課税状況でございますが、一番下のところ、13年分、件数としましては40万件弱ぐらいでございます。それから一つ右に飛んでいただきまして、財産価額の平均、350万円余というところが平均的な贈与の財産価額ということでございます。

6ページ目、贈与税の課税階級別の状況でございますが、説明は省略させていただきます。

そこで、7ページ目、8ページ目にかけまして、6月の「基本方針」で相続税・贈与税の本体について言っていただいていることの復習をいたしたいと思います。ちょっと読ませていただきますと、線を引いているところでございますけれども、「経済のストック化の進展」「社会保障の充実」「高齢化の進展」等の状況を踏まえて、「従来よりも広い範囲に適切な税負担を求める必要がある。その際、負担の適正化の観点から最高税率については引き下げる一方、累進は現行程度の水準を維持することが適当である」、こういう御答申をいただいているわけでございます。

1ページめくっていただきまして、8ページ目、具体的な改革の方向にも触れていただいておりまして、まず「[1]課税ベース」のところでございます。線の引いてあるところでございますけれども、「基礎控除については、『基本的考え方』及び地価の下落等を踏まえ、『広く薄く』の観点から引下げの方向で検討すべきである」という御指摘。

それから、「[2]税率構造」のところでございますが、「最高税率については、個人所得課税の最高税率50%の較差が大きく、諸外国の例に比しても相当高いことに鑑み、引き下げることが適当である。累進構造については、『基本的考え方』や、最高税率の引下げで高資産家の税負担は相当程度軽減され得ること等を勘案し、現行程度の累進を維持すべきである。税率の刻み数に関しては、相続税は臨時・偶発的に発生するものであるため、遺産額により税負担を大きく変動させるのは適当でなく、遺産額に応じたある程度滑らかな負担の変化を確保することが望ましい」、このような御指摘をいただいているところでございます。

1枚めくっていただきまして、9ページでございますが、基礎控除についての資料でございます。ここにご覧いただきますように、基礎控除につきましては、バブルの地価高騰に伴いまして3度にわたり基礎控除の引上げを行ってまいりました。その後、地価は平成3年度以降継続的に下がっているところでございまして、下の四角の中に、過去の改正時点の地価の下落幅というのをいろいろな時点をとって並べてみております。直近の平成6年度改正から、全国・全用途平均で例えば3割弱、三大都市圏の住宅地あるいは商業地では、直近の改正の平成6年から現在に至るまで、さらに大きな下落幅になっているということでございます。

そういう意味からいたしますと、地価下落に伴う負担調整という観点からは、基礎控除の水準について一定の見直しの余地はあるのではないかという御議論があるのではないかと思っております。

もちろん相続財産は土地だけではございませんが、10ページを見ていただきますと、相続財産のウエート、土地についてはなお6割強を占めているという数字をご覧いただけるかと思います。ここら辺をどう考えるかということではないかと思います。

それから、課税ベースの二つ目、三つ目でございますけれども、死亡保険金あるいは死亡退職金、それから、事業承継にかかる諸々の特例につきましては、先ほどご覧いただきました6月の「基本方針」でも触れられておりますけれども、特に12年の「中期答申」においてやや詳しく触れられております。

中段のところでございますけれども、「イ.非課税財産」というところでございます。「例えば、死亡保険金・死亡退職金は、働き手を失った遺族らの生活保障としての性格からそれぞれ一定額が非課税とされています。この非課税とされる額は、累次にわたって引き上げられてきた結果、現行では、各々500万円に法定相続人数を乗じた額となっています。これら死亡保険金・死亡退職金については、公的な社会保障制度が充実してきていることなどを踏まえ、資産選択への中立などの課税の中立性」、ここは、例えば老後の蓄えとしてほかにもいろいろな金融商品があるかと考えられますが、これと、保険、退職金とのバランスということかと思われます。あるいは、「税制の簡素化などの観点に留意しつつ、そのあり方を見直していくべきとの意見があります」。

それから、ロのところで「小規模宅地等」でございます。ここも、先ほどご覧いただきました基礎控除と同様、バブル期の地価高騰に伴いまして、小規模の事業用あるいは居住用の宅地について特例が拡大されてまいりました。

下の2行でございますけれども、他方では、「円滑な事業承継が事業者の経営意欲を高め、中小企業の活性化につながるとの意見がある。反面、事業承継に配慮することは、親の財産などに依存せずに自ら起業する者と事業を承継する者との機会の均等を欠き、ひいては、次世代の経営能力のいかんを問わず事業資産の移転を促進することで資源配分の効率性を損なうことになるとの意見もあります」、こういう両論が書かれております。

そのあと、「ただ、いずれにしても」とございまして、「小規模であっても宅地を過度に優遇すれば、相続税の有する富の再分配機能を大きく損なうこととなりかねない」という御指摘、それから3行飛んでいただきますと、3行目の後ろからですが、「長期にわたる地価の低下を踏まえて、その縮減を図るべきではないかとの意見」等々が御指摘をいただいているところでございます。

この事業承継につきましては、さらに14年度改正で、後ほどご覧いただきますが、取引相場のない株式、あるいは山林につきましても新たな課税価格の特例が加わっておりまして、これらについてもどう考えるかという問題があろうかと思っております。

なお、今回の一体化措置が実施されますと、相続がいわば突然やってくるのと違いまして、生前贈与によって、事業資産についても次世代に計画的に一体化措置を利用して移転できるということがございます。したがいまして、この一体化が事業承継に資する制度であるということも、今後、この制度を考えていく上では留意していく点ではないかということも考えております。

13ページ以下は、今文章でご覧いただいたもののそれぞれの資料でございます。13ページは、死亡保険金にかかる相続税の非課税制度の概要でございまして、14ページは、死亡退職金にかかる相続税の非課税制度の概要でございます。15ページ、それぞれの経緯ということで、過去歴史がございまして拡大されてきた経緯があるということでございます。

それから16ページは、昨年14年度改正で、取引相場のない株式、山林についても特例が加わりまして、今、事業承継関係で大きく三つの特例があることを示しているところでございます。これらは選択適用ということになっております。

17ページは、今文章でご覧いただきました小規模宅地等の課税の特例、これも、58年度から始まりまして、地価の高騰とともに拡大してきた歴史がご覧いただけるかと思います。

18ページは、大きな2番目の論点でございますが、税率について「12年度中期答申」の記述でございます。先ほどの「基本方針」と基本的には同じことを書いていただいております。

19ページでございますが、相続税と贈与税の税率表をつけさせていただきました。左の相続税の税率についてでございますけれども、先ほど8ページでご覧いただきましたように、6月の「基本方針」では、最高税率の引下げ、現行程度の累進の維持、あるいは、税率の刻み数についてある程度滑らかな負担の変化を確保する、といった方向を示していただいているところでございます。これを踏まえてどうするかということがあるかと思います。

右の贈与税でございます。ここは、生前贈与による相続税の回避を防止するという観点から、従来、相続税率よりきつい累進度を張ってまいりました。この点は、暦年課税について言えば今後とも変わらないと思っておりますが、他方、相続税の最高税率が引き下げられてまいりますと、少なくとも贈与税の最高税率についてはバランスをとる必要があるのではないかということも考えられます。

20ページ目でございますけれども、最近における相続税・贈与税の税率構造の推移をお示ししている絵でございます。贈与税につきましては、6年度に見直しが見送られているところでもございまして、相続税に比べてやや刻み数が多くなっております。このあたりも簡素化の余地があるのかどうかという御議論があるかと思います。

それから21ページ、22ページ、これは相続税の各国比較。相続税につきましては各国により課税方式等も異なりますので、正確な比較が難しいところでございますけれども、配偶者と子供3人のケースということで、一つモデル試算をしたものでございます。

左の縦に線が入っておりますのは、先ほど、法定相続人数がいま大体3.55人、平均課税価格は2.5億円と申し上げました。それに近いところでこういうモデル試算をしているわけでございますが、先ほどごらんいただきましたように、下の階級が相続税を払っておられる中でも8割が集中しているということでございます。この3億円あたりの水準で見てまいりますと、ドイツ、アメリカよりは高い負担となっておりますけれども、イギリス、フランスよりは低い。先進国の中で真ん中ぐらいの水準かなということが見てとっていただけるかと思います。

22ページでございます。すでに一部ご覧いただいております諸外国との比較の一覧表でございます。最高税率、下から2段目のところでございますが、ご覧のような水準にございまして、これらの国際比較も踏まえてどう考えるかということがあろうかと思います。

23ページでございますけれども、先ほど相続財産の内訳を見ていただきました。贈与財産についても内訳の資料をつけております。先ほど10ページで見ていただきました相続財産の内訳に比べますと、現金・預貯金のウエートが土地と同じ4割程度ということで、現在の贈与税のもとでの贈与財産としては、やや高いウエートを占めているということでございます。

最後に、24ページでございます。これは先日、一体化の御議論の際にお求めのあった、諸外国が相続税算出時に贈与段階の贈与財産の評価をどうしているかという資料でございます。ここでご覧いただきますと、これまで比較の対象として主として議論していただいております、アメリカ、ドイツ、フランスにおきましては、相続時において贈与財産の再評価は特にしていないというのが結果でございました。これは、私ども先日御説明申し上げましたように、資産移転税としての性格でございますとか、あるいは実務上の制約というようなことがございまして、どこの国もそういうことはやっていないというようでございます。

唯一イギリスがやや特殊でございますけれども、イギリスはご承知のように、贈与税が原則非課税のもとで、相続が発生した場合に限って、それ以前7年以内の贈与財産を遺産と合わせて課税するという、やや特殊な仕組みをとっています。そのもとで、下のところにございますように、特に贈与財産の価値が相続時に下落した場合に限って調整をする仕組みがあるというようなことでございました。調査結果でございますが、御報告を申し上げます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

それでは、いまご説明いただきました、相続・贈与税、二つに関しまして、20~30分、時間をとりまして、これまでのことも踏まえつつ、御議論いただきたいと思います。

どうぞ。

委員

ちょっと2点、質問させていただきたいのですが、第1点は、ひところ、相続税が非常に重くて、それが追い出し税になるために、京都の町並みが保てないとか、あるいは東京で言えば、田園調布の邸宅が二、三代目になるともう住めないとか、そういうことをだいぶ言われました。最近、地価が下落してはいるのですが、依然として追い出し税になっているという説もあるんですね。だから、その実態はどうなっているのかということです。

第2点は、相続税の納税者は100人に5人ということですが、アメリカの例では100人に2人ですか、日本よりも少ないわけですね。これは、執行面に問題があるからなのか、執行面に問題があるとすれば、なぜ執行面がうまくいっていないのか、その点を御説明願えますか。

事務局

まず、追い出し税になっているかという御質問でございます。ここは、個々の事情によってさまざまあると思いますけれども、「基礎小22-2参考資料」の18ページ、19ページに、従来からの一つのモデルケースとして、商業地、住宅地--例えば外神田3丁目とか、成城6丁目とかで、定点で継続的にどういう負担になっているかという試算をしているものがございまして、これを御参考につけてございます。これを見ていただきますと、先ほどの基礎控除の引上げに加えまして地価の下落というのもございますので、かなり御負担は下がってきているのではないかということはご覧いただけるかと思います。

それから、二つ目のアメリカの話でございますけれども、先ほど、説明資料の21ページ、22ページでご覧いただきましたように、アメリカは、日本に比べるとやや基礎控除の水準が高くなっております。執行の面はまた、いろいろ御議論があるのだと思いますけれども、それを除きましても、制度的にも基礎控除は、アメリカのほうが日本に比べますとかなり高いものですから、そこで、裾野やや狭いということはあろうかと思います。

他方、課税件数ということで言いますと、例えばドイツとかフランスは、日本よりもずっと高い2ケタの課税割合ということもございます。ここは、各国の相続税の比較というのはなかなか難しゅうございますけれども、各国の社会通念といいますか、それぞれの社会のあり方を反映して、相続税あるいは遺産税というものがあるのかなというふうに考えております。

委員

いま、アメリカが100人で2人で、日本が100人で5人で、ドイツが100人で何人とかおっしゃったけれども、そのデータはあるの?

事務局

私の手元に、ドイツが2001年で12.5%、フランスは25.8%という数字がございます。

委員

それは日本の5%に当たる数字ですか。

事務局

日本の5%に当たるものでございます。

委員

25.8、すごいじゃない。

事務局

21ページの資料でご覧いただきましても、フランスは課税最低限は相当低うございますので。

委員

そうだね。はい、わかりました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

相続・贈与税は補完税なので、やはり一体化すべきでないかと私は思います。それで、最高税率を下げて金持ち優遇だと言う人もいるけれども、別にそれほどの減税額にもならないし、公平・中立・簡素の「簡素」のほうで、税率の刻みも一緒にしてやったほうが、一体化というのが簡素の原則にかなうのではないか、そう思います。

委員

税率も課税最低限も両方下げろとおっしゃっているわけね。

委員

そうです。

委員

ほかにいかがでしょうか。これまでずいぶん議論してきましたけれども、この際、総点検で。

どうぞ。

委員

相続税の問題ですけれども、いま、フランスが課税最低限が低いというお話があったのですけれども、同じ相続財産の中でも、無形資産的な価値、例えば文化資産的価値とか、そういうものがある場合は特例があるわけです。つまり、持っていることによるメンテナンスコストが非常にかかる。しかし、それを国が召し上げることによって、そのあとボロボロになってしまうというケースが結構あって、美術館になったけれども、誰も遺族が面倒を見なくなってしまったがゆえに非常に価値が落ちてしまうというようなことがある。必ずしも物納的にというか、お金の面はいいんですけれども、モノが国に移動することによるメリットというのは、はっきり言うとあまりないというふうに考えられると、そこにどういう選択肢を入れられるのか。

もちろん、金持ち優遇はだめだという考え方もあるでしょう、平等がいいという考え方もあるとは思いますけれども、もう一つの考え方としては、メンテナンスとか、森林など、あるいは、一部公開地にして住民に対して開放するとか、そういう選択肢を設けることによって、ばらばらにならないような前向きの選択肢もつくれないものかというのは、ちょっと引っかかるんですね。いつもそういう話が出ると、そういう問題がある。それが、国に対するすごい不信感になるんですよね、国が召上げをしているということが。国の暴挙であるというような考え方が広がって、フランスにおいても相当評判の悪いシステムになっているわけで、フランスがこうなっているから日本は低いと、そういう判断はちょっと甘い。

委員

フランスは文化財保護とか何かでは、相続税なんかを絡ませてるの?

委員

通常例外はないんですね。通常例外はないので、結果的にはどんどん、召し上げというか、国に没収されているわけです。ただし、それを公開にするとか、何らかの義務づけが発生している場合には、そこに遺族がいてもいいというケースもなきにしもあらず。ただ、緩いとは言えないですけれども。いま、日本も文化財はどんどん減っていますので、そういうやり方がなきにしもあらず、例外的措置として。

委員

僕は、税調会長になって一番言われるのはそこなんですよ。例えば、家元の能楽師の高価な「面」だとか、お茶の道具とか、衣裳とか、それが散逸して困るではないか、何かしてくれということと、それからやはり美術品ですね。文化財保護の視点から相続税をという議論は、委員がおっしゃってましたね。

事務局のほうで何か問題意識ございますか。

事務局

従来からそういう御議論はあって、今やれていることとしては、例えば、公益法人に寄附をすれば非課税になるとか、物納の順位において、登録されている美術品は第一順位で引取りをしますとか、相続税としてやれるところはやっているということでございますけれども、そこから先になりますと、実際に美術品を預けておって、他人に売り払ったら、そこはちゃんと課税債権が確保できるのかとか、では、具体的にその所有権を管理する手だてがあるのかとか、税のシステムとしての議論になりますと、なかなかそこの出口がないというところが実際のところでございます。

事務局

今日の新聞にもちょっと出ていたので。あれがどういうふうになっているのか知りませんが、かねてから委員などからよく言われ、また、文化庁から言われていますのは、イギリスの大英博物館にある制度だそうでございますが、いわゆる公共財にしてしまうということで、所有権は残したまま、「一代飛ばし」といいますか……。

親が美術品に熱心であっても、子供がそうとは限らないものですから、相続の段階で海外へ散逸するのを防ぐために、重要美術品のようなものについては、公共財というか、公開財にするために、イギリスの場合ですと、大英博物館で陳列するに値する重要文化財に関しては、大英博物館に公開することを前提にして一代相続税を飛ばす。そのかわり、次の子供がもはや要らないといえば、これはもう買い上げるか、売るかしかないという形で、公共財にすることによって課税をしない、それで散逸を防ぐというようなことがイギリスではなされているようです。

いま文化庁のほうは、たしか重要美術品のようなものは登録制度になっているので、登録美術品について、公開を前提で、相続税をかけないで一代飛ばしてくれないか、そのかわり所有権はその一代は一切主張できない。所有権は残してはいるけれども、明らかにそこは大英博物館なり、日本の場合ですと東京国立博物館のようなところで所蔵しておく、陳列しておくというようなことで処理できないか、という要望が出ていると思います。

委員

某法人みたいに自分で美術館を使ってやってしまう場合がありますよね。あれ、一種の相続税逃れでしょう。あれといまの大英博物館はどういう関係になりますか。

事務局

某美術館の場合は、基本的には先ほど事務局が申したように、財団法人なりに寄附してしまいますので、むしろそこに財産が集中・管理されることになるわけです。

ところが、残念ながら、そういう美術館はつくれないけれども、何点も持っている人がいて、それが散逸される。個別の財団に寄附しないで個人でお持ちのやつがあって、それが重要美術品であっても、内々、海外の趣味家のところへ裏で売られていくというのが、いま、非常に増えているというふうに聞いています。

財団の場合には、実は売れないんですね。財団自体が運営困難になって、競売して、解散するという場合には、財団の財産は国に帰属することになりますから、国にいわば召し上げられることになる。そういうことでございます。

委員

税であまり明るい話がないから、こういう話をすると、少しいいかもしれないと思っているんですけどね。

どうぞ。

委員

イギリスとアメリカはそうですよね。スミソニアン博物館。「一代限り」というのはどういう意味があるのですか。

事務局

要するに、所有権を手放すなら今でも寄附はできるわけです。しかし、所有権は自分の家に家宝伝来として残っているので、自分は使わないけれども、次の子供が欲しがる。そういうような場合には、そこの時点では返してくれと。一代、自分の代は、お子さんが美術品には関心がない--親父は関心があったけれども、私は関心がないと。それなら公共財で預けっ放しにしてしまう、そういうようなことを言っているようでございます。

委員

返すときは相続税を払うのね。

事務局

いえ、返すときというのは基本的にないので、その親父が死んだときには次のお子さんへの相続税がかかるわけです。そこではかかるということです。そのときには、またいやだと言えば、イギリスの場合には、たしかそのまままた飛ばすというのがあると思いますけれども。

委員

どうぞ。

委員

大筋としては、2年前の「中期答申」、この間の基本方針で結構ではないかと思います。最高税率も下げて、おそらく頭の中には50%というのを置いていいのだろうと思います。それから課税最低限も、現在の地価の動向から見て、これを下げていくという基本方向はそれでよろしいかと思うのですが、その後、新しい……まあ、昔からあったことですけれども、「一体化」構想というのが出てきている。それとの関係をどう考えるか。

一つは、基礎控除を下げるときに、定額控除でいくのか、1人当たり1,000万円という頭割りでいくのか。頭割のほうは、1,000万円、一体化構想との関連では、置いといてもいいのではないか。そこは技術的な問題ですけれども、そんな気がいたします。

それから小規模宅地の評価減、これは、最初始まったときは3割、4割だったのが、8割というのはやや異常でございますし、ここにもありますように、地価の動向等から見て、これはだんだん縮減・廃止していっていいのだろうと思いますけれども、現実にはなかなかそうはいかない。これと一体化等の精算制度とどういうふうな関係で位置づけるのか。この一体化構想の中でやるときも小規模宅地特例が適用になるのか。できれば一体化構想の中で、事実上それがあまり利用する意味がないような、あるいは、一体化のときには小規模宅地には特例を適用しないという考え方もあるのか。若干技術的ですけれども、こういう機会に、極端な小規模宅地の特例は少しずつ縮減・整理できれば、すっきりするのかなと思います。

委員

ありがとうございました。

委員

最近、税調で生前贈与の話ばかりやってきて、いまおっしゃったみたいに、本体の相続税についての議論というのはほとんどやってこなかったんですよね。いま改めて、ことし6月に我々が出した「基本方針」の要約が7ページにあるけれども、いま10月ですけれど、4カ月たってみて若干変わったのは、生前贈与のことが絡まってきたということだけであって、基本的には、このときのコンセプトを大幅修正するような必要性はないように思うんですよね。

僕はあのときにもたしか発言した記憶があるのは、なぜ従来よりも広い範囲に適切な税負担を求めるのかという理屈づけで、7ページに三つ書いてある。それぞれ、もっともだと思うけれども、僕は、2番目のことが一番重要ではありませんかということを言った記憶があるんです。「社会保障の充実によって、老後の扶養における公的な負担の割合が高まっていることから、相続時に残された個人資産については、その一部を社会に還元する必要があると考える」というのは、例えば数年前にはこんな議論はあまりなかったように思うのです。今日はある委員がお見えにならないけれども、その委員あたりからは、100%税金を取ってしまえという話なんだね。これもまた極端で、とてもこんなもの通る話ではないと思うけれども、しかし、ここに書いてあることはきわめて妥当な、新しいコンセプトを入れたのではないかと思っているんです。かなり立派なことが書いてあるなと思って、いま、聞いていたんですよ。

あとは、そういう基本的な姿勢に基づいてやれば、最高税率がどうだとか、地価の下落を考えた上でのいろいろな措置というのは、技術論がいろいろあると思うけれども、当然のことながら、それをちゃんとやってもらえばいいです。だから、修正する必要はほとんどないと思います。

委員

どうぞ。

委員

さっきの美術品というか、貴重品の話ですけれども、実際10ページの相続財産を見ると、そういうのはどこに入るのですか。「その他」--その他だとすると、ごくわずかですよね。こんなごくわずかしかないというのは、そもそもさみしい話であるという感じはするのですが、イギリスの場合は「ナショナルトラスト」というのがあって、あそこにドンッと預けてしまいますよね。それ自体は、お城とか、風景というか、すべてを守りなさいという発想のもとで、その持ち主というのは端っこのほうに間借りして住んでますよね。それで間に合わないときは、宅地の隅のほうにゴルフ場を一つ作って、その収入で税金を払うと。

レベルが全然違うという気がしますので、むしろそういう美術品とか何とか、これしかないのだとしたら、特定して課税しないというふうにすれば、それを契機に日本にそういうのがいっぱい集まる、世界じゅうから買うのではないか。この国に残っていればいいわけですから、そのぐらいのことを……。税金の話ではなくて、トータル日本の文化財をどうするかということで、主税局で考えてもしようがない話で、文化庁なり何なりに、「ちゃんとしたことを考えろ」というのを、どこかにこちらから言ってもいいような気はすごくするんですけど、この際。

委員

つまり、そこで手が挙がらないなら、こっちで引き取って議論するということですよね。

どうぞ。

委員

先ほど事務局が御説明になりましたように、各国の社会的な背景の違いが相続税に反映されているわけです。わが国を見ますと、やはり富の不労所得が多いので、やはりこれは再分配すべきであると。非常に厳しいですよね。日本では、相続税に対して一般に厳しい見方をしているのですけれども……。

委員

厳しいというのはどっちですか。

委員

重くして取っちゃえと。

委員

重くしているという意味ね。

委員

ただ、相続税問題は性格的に難しい税だと思いますし、その役割は縮小したほうがいいのではないかという意見もあるわけです。これは、生存権、財産権をどう考えるかという問題があると思いますし、そういう意見もあるということを踏まえて、諸外国の動きはフォローしておく必要があると思います。

その上に立っての意見ですけれども、最高税率、これは相続税、贈与税ともに個人所得税の最高税率並みにそろえる必要があると思いますし、基礎控除のところで負担調整するのであれば、累進構造のところでは下にもやはり配慮する必要があるだろうと思います。

それから特例措置ですが、死亡保険金・死亡退職金の非課税措置。これは、ちょっと理屈上合わないのではないのかなというふうに思います。死亡保険金について言えば、ほかの金融商品との間のバランス、これだけどうして非課税なのかという議論は当然出てくると思いますし、死亡退職金も、どういう人がこういうのに当てはまっているのか。この特例措置はちょっとやり過ぎではないのかというふうに思います。これは是正を検討してしかるべきだろうと。

以上です。

委員

事務局、特例が出てきた背景、わかる? なぜ死亡保険金と死亡退職金がえらく甘く見られているのか。わからなければ、あとで調べて教えて。

事務局

やはり社会政策的なといいますか、先ほど「説明資料」の11ページでも、「イ.非課税財産」のところに、「例えば、死亡保険金・死亡退職金は」というところに出ておりますけれども、「働き手を失った遺族らの生活保障としての性格」というのが最初の出発点だったのだろうと思います。

ただ、だいぶ時代も変わってきております。これだけ貯蓄過剰の中、そして、銀行預金と生命保険というものは金融商品としてどうだろうかという御議論がある中で、この非課税措置をどう考えるかというのが今の時点での御議論ではないかと思います。

委員

見直しの方向ということですかね、ここに書いてあるのは。

どうぞ。

委員

やや少数意見になるのかもしれないですが、相続税の場合、この間の「基本方針」では、「広く薄くの観点から」とか、個人所得課税の最高税率との比較とか、そういうことが出されているわけです。「広く薄く」、あるいは最近のキャッチフレーズである「働いた人が報われる税制」というようなことはしばしば言われるわけですが、広く薄くとか、働いた人が報われるとかいうのは、ある意味では個人の働くインセンティブとかそういう種類の問題であって、結果の平等とか、インセンティブとか、そういうところにかかわる話だと思うんですね。

それに対して相続税というのはもう少し違う種類の話であって、同じ平等とか、均等とかいっても、機会の均衡という部分にかかわる話で、所得税との格差をそれほど考えなくてもいいのではないか。それから、機会の均等のためには、親がお金持ちであるがために--そういう不平等な機会をとらえて、子供が非常に大きな財産をもらうというようなことはやはり是正すべきであって、それは「広く薄く」という観点とは違うのではないかと思います。

そういう意味で言うと、私はかなり少数意見なのかもしれませんが、基本方針で書かれたこととは逆に、むしろ最高税率については無理に下げる必要はないのではないかと思いますし、とりわけ強調しておきたいのは、事業承継税制というようなものが私には基本的によくわからない。事業というのは個人のものではないのであって、特に法人化したものは社会のものであろう。それを相続でもって、しかもそれを優遇するというのは、どういうロジックに立っているのか、私にはよくわからない。とりわけ、先ほども出ましたけれども、小規模宅地の8割という過度の優遇措置というのはやめたほうがいいのではないかと思います。

委員

いや、今の御意見は潜在的にあるんだと思いますよ。要するに"広く厚く"なんだな、税率下げないで。

時間がないので、あと2人でよろしいですね。

委員

手短に言いますけれども、私の意見は今の委員と少し違って、多数意見ということになるのかもしれません。簡単に意見だけ言いますと、相続税の最高税率は7割ということになっていますけれども、一生懸命働いて頑張って、そして20億ですか、きわめて成功者中の成功者だと思うのですが、そういう人は一つの企業家のシンボルであるように思います。そういう人が結果的に残した財産、あるいはそれは子供のためであるかもしれない、家族のためであるかもしれない。それを国が最後に相当分取り上げてしまうというのは、国のあり方の姿としてよろしくないのではないかと思いますので、これは引き下げることに賛成。

それからもう一つ、今指摘された事業承継。これは、地方に行きまして何人かの意見を聞いた限りでは、私の知っているところでもそういうのはありますけれども、例えば、中小企業、零細企業の株。同族経営でやっており市場に出したくない、出すと、非常に業績がよろしいので乗っ取られてしまう。したがって、どうしても家族、あるいは子供たちで継承して、コアの部分は守っていきたいという場合に、業績のいい企業ほど評価が高く、だけど売れないわけだから、実際もらうだけでも、例えば1株1,000円に評価されるとかいうことで高い相続税を払わなければいけない。だけど、そのお金がない、どうしようと大騒ぎになる。場合によっては、事業ができなくなるというようなこともある。

結局、企業は社会的存在とはいっても、現実的には家族的存在というか、個人的存在のほうが非常に多いわけで、それを維持することはきわめて重要だし、それから、「中期答申」に書いてあるように、これが新規参入を妨げるというのはちょっと分野が違うのではないか。これによって新規参入が妨げられるかどうかとはまた別の意見ではないかと思いますので、これはこれでいいのではないか。あるいは、もう少し優遇してもいいのではないか。

それから、もう1点だけ。死亡保険金等については、これもイメージで申し訳ないが、死んだときのお金までさらに課税というのは苛斂誅求という感じがして、いかがなものか。非課税というと限度があるわけですから、これはこの程度でよろしいのではないかと思います。

以上、3点です。

委員

相次いで二つ極端な意見が出まして、大いに参考になります。歳のせいかな、これは。

どうぞ。

委員

6月の議論の一つの観点は、5%しか課税されていないということであったと思うのです。そういう意味で、「広く薄く」という基本的な考え方でずっと議論をされていると思うのですけれども、この辺で、5%がどのくらいになるのかというのを事務当局で出していただけるかどうか。そうでないと、ちょっとイメージがわかないんですね。

委員

我々で決めればいいんですよ、別に事務局に頼まないで。どのくらいをお考えですか。

委員

アタ勘で10とか8とかいってもなんですからね。やはり幾つかの……。

委員

課税最低限を下げる場合でしょう。

委員

ええ。当然、5~10%の間くらいかと思いますけれども、その辺のところで幾つかの、こうやればこうというシミュレーションがあれば、出していただけるとありがたいと思います。

委員

すぐ用意はないですよね。いずれお作りいただいてお出しいただくことにしようか。事務局は何か今の話にある? 例えば、基礎控除5,000万円を4,000万円に下げると何%増えるかなんて、すぐ出てこないでしょう。

事務局

ちょっと計算を要しますので、いずれにしてもまた。

委員

何かのときにお示しください。よろしくお願いします。

事務局

はい。場を改めまして。

委員

では、次、行きましょう。

次のテーマは、法人税の非営利法人課税と中小企業関連税制、それから、国際課税であります。

各々、事務局に御説明いただくことにしましょう。

事務局

それでは、お手元の資料「基礎小22-3」に基づきまして、御説明させていただきます。

目次をおめくりいただきまして、法人税に関しましては、前回までの御議論で、研究開発減税あるいは投資減税につきまして御議論をちょうだいいたしました。そこで今回の大半の課題は済んでおりますが、残る課題ということで御紹介させていただきます。

1ページ、2ページに、「あるべき税制の構築に向けた基本方針」を改めて載せてございます。その1ページ目のイ、ロ、ハを見ていただきますと、同族会社の留保金課税、パートナーシップ等の多様な事業体に対する課税の問題、ロで、公益法人課税の問題、ハで、寄附金税制、認定NPO法人制度等の問題といったことが挙げられております。

1枚おめくりいただきまして、2ページは、補論の中で御記述いただいたことでございますが、多様な事業体の課税の問題が(1)、(2)が中小法人等の問題といったことで、問題点として指摘をいただいております。

3ページをお開きいただきますと、「公益法人制度の抜本改革に向けた取組みについて」ということで、先ほど会長から御紹介いただきましたけれども、ことしの3月に閣議決定が行われました。アンダーラインのところを見ていただきますと、「公益法人制度について、関連制度を含め抜本的かつ体系的な見直しを行う」ということで、「内閣官房を中心とした推進体制を整備し、平成14年度中を目途に『公益法人制度等改革大綱』を策定し、改革の基本的枠組み、スケジュール等を明らかにする。また、平成17年度末までを目途に、これを実施するための法制上の措置を講ずる」といったことが閣議決定をされてございます。これに基づきまして、ワーキンググループの設置をお決めいただいたところでございます。

4ページをお開きいただきますと、その公益法人制度そのものについては、現在、内閣官房のほうで議論を進めておりまして、ここにございますとおり、明治29年の民法制定以来100年、抜本的見直しはなかったということで、(3)(4)の下のほうに向けて基本的な見直しをしたいという問題意識でございます。

5ページをお開きいただきますと、この辺の制度につきましては、現在、税法上も公益法人、NPO、中間法人といったそれぞれの法人体系を前提に、下の二つにございますが、課税対象、法人税率といったことを決めてございます。この前提となる公益法人、NPO、中間法人といった制度につきまして抜本的見直しが行われるのに伴いまして、当然、税法の観点からも抜本的見直しが必要になるということでございます。

6ページでございます。寄附金税制につきましても、ここにございますとおり、右のほうに「特定公益増進法人に対する寄附金」、「認定NPO法人に対する寄附金」といった形で、現在の法人制度にのっかった形で寄附金制度を仕組んでございますが、この辺も当然見直しの対象となってくるわけでございます。

7ページ、その認定NPO法人につきましての現行制度の概要でございます。この点につきましては、現在、施行が行われているところでございまして、いわば情報公開とか、パブリックサポートテストといった観点から認定NPO法人の要件を決めてございますが、この辺につきましては、今年度税制改正の中でも当然議論が出てまいる問題ではないかと思っております。

8ページ以降は、中小企業関係の税制措置ということで、活力ある中小企業を育成するという観点からことしも議論がなされるものと思っております。ここにございますが、現在ある措置を8ページ、9ページと列挙いたしております。

10ページをお開きいただきますと、先日お決めいただきました「税制調査会会長談話」におきましても、アンダーラインのところでございますが、研究開発税制につきまして、「経営基盤の弱い中小企業の研究開発活動を支援する観点から、一定の配慮を行う」といった方向性をお示しいただいております。

11ページ以下、前回、ある委員からも御指摘がございましたが、同族会社の留保金制度の概要をつけてございます。下のほうにございますが、制度の趣旨といたしましては、「間接的に配当支出の誘因としての機能を果たしつつ、法人形態と個人形態による税負担の差を調整しようとするもの」ということで、12ページにございますが、中小・ベンチャー企業を支援する観点から不適用の制度が1、2で、中小法人に対する留保金課税の軽減といった制度がついてございます。

13ページに、昨年度の答申でお触れいただいたことを参考のためにつけてございます。

以上でございます。

委員

では、よろしく。

事務局

国際課税に関しましては、今回の基礎小のシリーズで取り上げていただくのは初めてでございますが、これまでの御審議の中で委員の方から御指摘いただいた事項、それから、常日ごろから我々も国際課税に関しまして、課題かなと認識しております事項について、幾つか資料をもとに説明させていただきまして、御議論賜ればと思うわけでございます。

それでは、「基礎小22-4」という資料でお願いします。

1ページ目に、国際課税の現状と課題に関する基本的な認識を示してございます。この一番左側、「国際課税制度の趣旨」というところで3点ございます。国際的二重課税の排除、国家間の課税権の配分、税務当局間の国際協力という3つの趣旨のもとに、これらの趣旨を実現するためにその下に、「制度の枠組み」でございますけれども、国内法上、外国法人課税制度、外国税額控除制度等の国内法が用意されており、国際課税ルールとしては、二国間の租税条約等が整備されているということでございます。

真ん中の「国際課税を取り巻く環境」というところで、3点ほど。経済活動の一層の国際化、情報化の進展、有害な税の引下げ競争に対する懸念の高まりというような環境の変化を受けまして、今後とも、我々がどのように国際課税制度全体を見直していくかというところが不断の課題だと思っているわけでございます。

2ページ目をおめくりいただきまして、いま、国際課税制度の趣旨の一番目として「国際的二重課税の排除」という話を申し上げましたが、その説明資料でございます。国際的二重課税の排除ということで、上のほうは、居住者・内国法人の場合にはどういう課税が行われるかという図でございます。この場合には、[1]の国内源泉所得に加えまして、[2]の国外源泉所得、これを加えましたところで日本の法人税等が課税されるということでございます。

この[2]の国外源泉所得に関しましては、外国でも通常は課税が行われるというところで、その部分に二重課税が生ずることになってございますので、それを排除するために二つございます。一つは、わが国の税法上、外国税額控除ということで税額控除を与える。もう一つは、外国税額控除には枠がございますので、可能な限り租税条約を結ぶことによって、お互いに源泉地国での課税をなるべく軽減していくということで、結果的に二重課税が起こらないように手当てするということでございます。

それからその下、非居住者・外国法人の場合にはどうかということですが、いまの逆の話でございまして、この場合には、[3]の国内源泉所得に対してわが国が課税を行うということでございます。ところが、外国法人でございますので、所在地国におきまして、[4]の国外源泉所得を[3]に加えた全世界所得全体に関して所在地国で課税が行われるということになります。したがいまして、この場合に二重課税の排除はどう行われるかということですが、今度は逆に外国における外国税額控除の適用、及びわが国における租税条約による課税権の軽減によって、結果的に二重課税の排除を図る、こういう趣旨でございます。

3ページ目でございますが、国際課税制度の趣旨の第2点目、国家間の課税権の配分と申し上げましたが、より具体的に申し上げますと、租税回避行動に対するわが国の課税権をどう確保していくかということかと思います。

これは図が二つございまして、上のほうは、外国から日本に対していろいろな形で投資活動が行われます。例えば株や債券投資がございますし、あるいは、支店形態、子会社形態によるいろいろな形での直接投資もございます。こういう場合には、わがほうの課税権を確保するためには、その右の真ん中の下のほうに三つほど掲げてございますが、支店あるいはポートフォリオ投資に対しては外国法人課税制度ということで、わが国に源泉のある国内所得に対して課税をするという制度がありますし、子会社形態等による場合には、移転価格税制、あるいは過少資本税制といった国内税制の仕組みが整備されているところでございます。

次は、逆に下のほうで、今度はアウトバウンド、日本から外国に対していろいろな形態での投資が行われます。上の場合には、外資系企業に対する課税でありますが、今回の場合には本邦企業に対する課税ということになりまして、ここに二つほどございます。一つは、特定外国子会社合算課税制度、これは一般にはタックスヘイブン税制と言われているものでございます。実際にはタックスヘイブンよりもかなり広いカバレッジを有しておりますので、我々はこれをタックスヘイブン税制とは呼んでございませんで、特定外国子会社合算課税制度と呼んでおりますが、それと、本邦企業に対する移転価格税制というのもございます。こうした国内法の仕組みによって、それぞれ課税権の確保を図っているということでございます。

4ページ目でございますが、以上の前提で、制度ごとに--これは必ずしも平成15年度の税制改正だけではないのですが、今後、幾つかの課題があると認識しているところをリストアップさせていただきました。

(1)の外国税額控除制度に関しましては、これには限度枠がございます。わが国は一括限度額方式と申しまして、国内所得金額に当期のわが国における法人実効税率をかけたものが限度になっているわけでございますが、例えばアメリカなどは九つぐらいの種類に分けまして、所得種類ごとに限度額を管理しています。あるいはイギリスに行きますと、もっと厳しくて、取引ごとに限度額を管理しているということで、わがほうの一括限度額方式、これは簡便の方式でございますけれども、諸外国に比べて果たして適正であるかどうか。簡潔な制度をとったことによって、適正規模以上の法人税額がわが国において控除されていないだろうかという問題意識でございます。

二つ目に、みなし外国税額控除について。これは、税調のある委員から御指摘があったところで、あとで詳しく説明申し上げます。

(2)の移転価格税制に関しましては、これは、独立企業間価格という、関連者でなかりせばどういう価格設定が行われているかという価格をもって、申告調整なり課税処分を行うという制度でございますけれども、その算定方式、あるいは、そのためには資料情報の入手が不可欠でございます。そういうことに関して、制度と執行の両面で何か改善の余地はないだろうかという問題意識でございます。

5ページ目に行っていただきまして、(3)の外国子会社合算税制、いわゆるタックスヘイブン税制でございますが、これは1978年に導入された制度でございます。累次の見直しは行っておりますが、さらに適用対象が適正かどうか、あるいは、ある程度きっちりした事業をやっている場合には、適用除外ということで本税制の対象にはならないのですが、その除外の規定が実態に合っているかどうか等、幾つかの課題があるというふうに思っております。

4番目に、租税条約に基づきまして税務当局間の情報交換の強化が求められておりまして、これに対して国内法をきちっと整備しなくてはいけないという課題がございます。これは、後ほどもう少し詳しく申し上げます。

いまの4ページ目、5ページ目は居住者課税の課題ですが、6ページ目は非居住者課税の話でございます。例えば支店について、子会社のように独立した主体としてとらえて課税すべきか。グローバル・トレーディングのような形態の取引をどう課税すべきか。それから、非居住者に関して国内源泉所得の範囲の見直し、いまの範囲が適正かどうか。さらに、信託とかパートナーシップと言われております、外国の多様な事業体をどのようにとらえるべきかという点がございます。

今日は時間も限られておりますので、このうち3点に絞って御説明申し上げたいと思います。

そのうちの第1点目、次の7ページですが、「みなし外国税額控除」の話でございます。タックス・スペアリング・クレジットと呼ばれております。これに関しては、大変恐縮ですが、8ページに、大体どんな制度かという簡単なポンチ絵がございます。

一番左を見ていただきますと、日本の企業がA国において支店を有する場合ということですが、そういうケースを図で示したものです。例えばA国で支店が50稼得した。税率を40%だと仮定しますと、A国において20の税が課される。日本においては、先ほど申し上げましたように、これを合算して全世界所得課税をしますので、全世界所得100に対して、例えば40%の税率がかかるのだけれども、通常の場合であれば、A国において納付した20が控除されますので、結果的には40マイナス20で、日本に対する納付税額は20になるという図でございます。

ところが、真ん中に行っていただきまして、仮にA国で、日本からの直接投資等を促進するために特別措置により免税措置を講じたとします。そうしますと、A国で支店の所得が50あったにもかかわらず、A国での外国税額はゼロになります。それをそのまま今の外国税額控除のシステムにもっていきますと、結果的に日本において納付しなくてはいけない税額、これは、1の場合には20引かれておりましたけれども、2の場合には引く税額がございませんので、逆に増えてしまって、日本の納付税額は40になってしまう。外国からしますと、結果的に特別措置によって日本からの投資促進をしようと思ったのに、その効果が阻害されてしまう結果になるということでございます。

したがいまして、これをどう解決するのかというのが3でございます。通常は条約によって、開発途上国の場合に限定されるわけでございますけれども、特別措置により免税にされた例えば20なら20、これを外国に納付したものとみなして日本の納付法人税額から控除するというふうなことを行っております。これをみなし外国税額控除制度と言っているわけでございます。

これに関しましては、一種の租税特別措置でございますし、アメリカ以外の先進国も供与しているということで、特に開発途上国の強い要望があった場合にこういう措置をとっているわけでございますが、幾つか問題点があると思います。

一つは、租特ですから当たり前かもしれませんけれども、投資に対する中立性が阻害されるということがございます。それから、結果的にはどうしても課税の真空地帯を生むことになります。それと、これは、進出してから所得を稼得して、外国で通常であれば納付すべき税額が出てはじめて効く制度でございます。例えば外国に進出しましても、当初数年間はなかなか所得はあがらないということが常態だとしますと、必ずしもこういう制度が外国に対する直接投資の促進効果としてすぐれた制度だろうか、という御議論もあろうかと思います。

こういう問題点を踏まえまして、次の9ページを見ていただきたいのですが、いま、わが国が条約上、このタックス・スペアリング・クレジット、みなし外国税額控除を供与している例が19例あります。このうち13番目のブルガリアの条約以降--ブルガリアの条約は1991年に署名されたわけですが、それ以降は、サンセット条項、必ず期限を定めておりまして、この期限が来たら自動的にこの部分が消滅するような手だてをとっております。具体的にはブルガリアが2001年にすでに切れておりますし、シンガポールも2000年に切れております。来年2003年には、18番目にあります韓国との条約にあるスペアリングの適用が終了するということでございます。

最近の条約はこういうことでございますし、それから、仮に今条約がない国から新しい条約締結の申込みがあった場合、その条約締結の要望の趣旨にタックス・スペアリングが入っていた場合には、基本的には我々はその条約締結の申入れは受け付けないというスタンスをとってございます。

さらに、1番から12番まではサンセット条項がない条約でございますけれども、これら既存の条約に関しましても、条約改定の機会をとらえて、ぜひ今後とも、基本的にはみなし外国税額控除に関しては縮減の方向で対応してまいりたいと思っているわけでございます。

10ページ目ですが、これは国税庁からいただいた資料で、委員から、数字が欲しいという御要望があったものです。「注」にございますように、資本金が300億円以上の法人というサンプル調査でございますが、業種別に掲げてございます。時期は平成11年2月期から平成12年1月期、すべての外国税額の控除税額の合計が3,820億円ということでございますが、そのうち、みなし外国法人税額は280億円ということになってございます。いま申し上げたとおり、時間の経過とともに、いろいろな条約の適用が終了していますので、基本的にはこの数字は今後縮小する方向にあると言って差し支えないかと思います。

11ページに、実は平成8年度の法人課税小委で、一番下の行、「一層の見直し・縮減の努力を継続すべきもの」というふうな御指摘もいただいているところでございます。

以上が、スペアリング・クレジットに関する問題でございます。

次に12ページに行きまして、執行当局の情報アクセスの確保ということで、ここに四つ書いてございますが、一番上の「外国税務当局との条約に基づく情報交換」、それから、二つ目に考えてございます「関連者間取引に係る資料情報」というところで2点ほど御説明申し上げたいと思います。

恐縮ですが、13ページをお開きいただきますと、租税条約に基づく情報交換ということで、国外においては、国際法上の制約から、質問検査権を国外において直接行使することは困難であります。したがいまして、通常は、租税条約に情報の交換規定を置く、当局がその条約に基づいて情報交換を行うということでその必要性を担保しているわけでございます。

ところが、「今後の課題」のところにございますように、実はわが国の現行法上、わが国の租税当局に、条約に基づいて情報交換をするために情報を収集する権限は設けられておらないわけでございます。逆に言いますと、あくまで自国上の課税の利益がある場合にのみ質問検査権が許されているというところでございます。

その下に3点ほど問題が書かれております。一番上のポツは、そういう必要性が高まっているということなのですが、二つ目のポツに、あくまでも情報交換は相互主義の結果でございますので、わが方の国内法の制約によってこちらが情報を出せないと、逆にこちらも必要な情報をいただけないという場面が実際に生じているわけでございます。

3番目に書いてございますのは、世界的に自国の課税利益がなくても、お互いに課税当局同士情報交換を行っていこうよと。これは、タックスヘイブンの問題等もございまして、ある意味では世界的な潮流になってございますので、わが国も早急に国内法を改正する必要があろうと思っているわけでございます。

具体的な国内法改正の方向が、14ページ、次のページにございますけれども、4点ほどございます。1にございますように、基本的には自国の課税利益の有無にかかわらず行使し得る新たな質問検査権を設けたい。2でございますが、新たな質問検査権は、課税のための情報交換が条約上義務付けられている場合に限り行使し得るものとする。3でございますが、実効的な情報交換により実現される公益と国民に課せられる受忍義務とのバランスにはよく配慮しよう。新たな質問検査権の範囲は合理的な範囲に限定する必要があろうかな、ということでございます。最後に4でございますが、新たな質問検査権の行使を実効あるものにするためには、その運用の適正を確保するために、何らかの罰則規定が要るのかなと、こういう方向で国内法の改正を検討いたしたいと思っているわけでございます。

次の15ページは、6月の「基本方針」にも今申し上げた情報に基づく情報交換の有用性を御指摘いただいていることを、再掲載していただきました。

最後に、外国当局との情報交換と同時に、納税者の有する情報へのアクセスの重要性、特に移転価格全体の枠組みの中で、国外関連者との取引に関する情報アクセスの重要性ということで、16ページをお開きいただきたいと思います。移転価格税制と申しますのは、一番上を見ていただきますと、日本にA社がございまして、海外にA社の子会社、現地法人があって、商品を輸出しているという場合でございます。

一番下にございますように、関連会社でなければ独立企業間価格、公正妥当な価格は60であろうと仮定いたします。その状況において関連者取引ということで、真ん中にございますように、移転価格50で輸出したということになりますと、60と50の差額の10の所得が日本から海外へ移転するわけです。したがいまして移転価格税制のもとでは、その10は、独立企業間価格であったら当然日本に帰属すべき所得であろうということで、10の増額処分を行う。同様に海外においては、相互協議によって、10の減額処分を行うことによって調整を図るというのが移転価格税制の基本的な枠組みでございます。

17ページをお開きいただきたいのですが、そうしますと、独立企業間価格等の設定が本税制のキーになるわけでございます。そのためには、国内の法人の手元に必要な取引関連資料が整っていることが非常に大事なことですが、各税法によって求められる、課税に必要な取引関連資料は整理・保存することは義務づけられておりますけれども、現実に移転価格税制の場面では、課税に必要な取引関係資料の保存が十分でない場合があるという話が一つございます。

それに加えまして、特に移転価格税制の場合には、法人税法上の質問検査権に加えまして、国外関連者--例えばこの表でいきますと、海外の子会社、あるいは親会社ですが、国外関連者が有する書類、帳簿、またはこれらの写しを提示・提出を求めることができる、こうされております。ところが、これはあくまでも海外の会社の話なものですから、特に罰則規定もございませんし、そういう資料の作成・保存義務もないということで、コンプライアンス規定が、例えばアメリカに比べて必ずしも十分なものではないというふうな認識を持っております。

さらに18ページ、これも同じような話でございますけれども、内国法人が海外の投資ファンドに出資、投資、あるいは、海外事業体に出資したりする場合にも、内国法人に行きましても、投資ファンドの目論見書もないし、海外事業体の設立・出資関係書類、財務諸表等もなかなか保存していただけないということもございます。こういう事実をとらえまして、制度、執行の両面から何らかの検討が必要ではないかというのが、最後の問題意識でございます。

以上、3点ほど申し上げました。

委員

ありがとうございました。

それでは、いまの二つのテーマにつきまして、どうぞ御自由に御質問なり御意見をください。

委員

質問を2点ほどお願いします。

最後に御説明いただいた、国際課税の「みなし外国税額控除の仕組み」の方法についてです。単純な質問ですけれども、税額が決まっている場合、日本における全世界所得を100とする場合に、すでにA国での稼得所得が50と考えられているわけだから、売上としては100と立ててもいいけれども、なぜ課税を50としないのか。課税対象として50とすれば、それぞれの国の課税対象額がはっきりとしていて、いいのではないか。

つまり、これからの国際課税としては、ローカルに稼得したものはローカルにかけるというのが原則であれば、本社のある企業の営業規模に対して全体にもう一回かけ直すこと自体が、私としては疑問です。課税に関しては、そもそも、ばらばらにしておけばいいではないか。もちろん、企業のアニュアル・レポート上は全部立ち上げなければいけないですけれども、課税までも、それを一括して課税するということがちょっと疑問に思うのです。

委員

やると、税の空洞化が起きるんですよ。

委員

そうなんですかね。どっちがはっきりするか、ということですよね。操作すると、逆に税の空洞化が起こるのではないかというふうにちょっと見えるんですけれども。

もう一つは、情報交換制度です。これは、金融庁でも海外の金融機関の信用リスクなど、あるいは不良債権の額をチェックするために、そこそここういうふうなことをやっていると思うんですけど、税だけがやっていないというふうに考えたらいいのでしょうか。そこの二つです。

事務局

1点目でございますけれども、いま委員がおっしゃったように、二重課税を排除するためには、ここで申し上げました外国税額控除制度の仕組みと、もう一つは、国外所得免除方式と申しまして、国外で稼得した取得に関してはそもそも課税対象にしないという考え方があるわけでございます。これは、それぞれメリット、デメリットあるのでございますけれども、一般的に言われておりますのは、外国税額控除制度のほうは、日本から海外へ投資するための意思決定と国内に投資するための意思決定、この二つの間の中立性を保つ制度だと言われております。それに対しまして国外所得免除方式のほうは、逆に国外から日本なら日本に来る投資の中立性を保つ、経済的にはそういう効果がある制度だということだと思います。

国によっていろいろな制度があるのですけれども、日本の場合には、依然として、世界一の資本輸出大国であることを考えますと、国外所得免除方式にして、むしろ海外から日本への資本流入を促進するというような政策的な要請は、まだないのかなという気はしております。ただ、システムとしては両方存在するという点、委員のおっしゃるとおりでございます。

もう一つは、国外所得免除方式にいたしますと、海外で、軽課税国と申しますか、税率が軽い場合にはそこに投資がどうしても集中してしまう弊害があるということでございまして、先ほど申し上げたように、いま税の引下げ競争に対しては、非常にハームフル(有害)であるという議論がありまして、そういうOECD等の議論からしますと、国外所得免除方式というのはデメリットも大きいのかなという気はしてございます。

二番目の点に関しましては、金融庁も一生懸命やっているということなのですけれども、わが方も、例えば先ほど申し上げました、国内に課税利益がある場合に関しては、きっちと国内法上、各税法に質問検査権が整備されています。今のお話は、そうではなくて、国内の課税利益はないけれども、海外から情報提供の要請があった場合でございます。これは逆に、そういう情報提供の要請に応じませんと、わが方が海外の情報をとりたいときにとれないという間接的なデメリットがあるというところで、そこのところをきっちり整備していただけたら、ということでございます。

委員

どうぞ。

委員

単純な質問です。9ページに「みなし外国税額控除を供与する国」とあって、一覧があります。この中に中国もあるわけですけれども、中国に対しては、今日本は非常に企業進出が盛んで、日本側から見ると空洞化など言われておりますが、この税に関する条約が、さらに日本から中国への企業進出を促進する役割を果たしていると考えていいわけですか。

事務局

みなし外国税額控除制度が、どの程度実際に海外投資の促進に有効であるかというのは、なかなか実証的に検証が難しいのだろうと思います。特に中国に関しましては、これはよく言われることなのですが、日本の企業が進出して現地で所得を稼得します。それは、配当なり利子の形で日本に送金しようと思っても、なかなか送金させてもらえないという実態がどうもあるようでございます。それが事実だといたしますと、このみなし外国税額控除制度というのは、そういう利益の送金に対して、例えば間接税額控除という形でベネフィットを与える制度になってございますので、我々が想像しているよりは、中国に対してこれが効いているのかなという疑問は、私、個人的には持っております。

ただ、いずれにしましても、空洞化の話という大きな話になりますと、みなしがあるから中国に行くのだということではもちろんないわけでございます。結果的にこれが後押ししているのかと言われれば、そういう面は否定できませんけれども、逆にこれをやめたら中国に対する資本流入が止むのか、ということでも必ずしもないのだろうなと思っております。

委員

ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

委員

非営利法人というかそちらの話なのですが、普通法人の7割が赤字で、非営利法人をやっているわけで、公益法人というのをわざわざ設けて、あるいは、協同組合というのを特別視して税金をまけてやるというのは、このごろ成り立たないのではないか。なおかつ、企業というのも最近は社会的責任を問われるわけでして、カネさえ儲けていればいいというのは存続を許されなくなるわけです。とりあえず、公益法人の22%、協同組合の22%が30%になるのは当然の流れではないかなと思うのが一つと、公益法人も、さっき言った文化財を残せというのとちょっと矛盾するから、そこは調整しなければいけないとは思うんですけど、収益事業による所得だけではなくて、あらゆる所得にかけるというのが流れではないかと思います。

委員

はい、どうぞ。

委員

来年度税制改正で中小企業税制が相当大きな問題になると思うのですけれども、その場合、またもや租特なんです。必ず租特が出てくる。日本経済の再生という観点は重要でありますから、それに沿ってなにがしかのことはやらざるを得ないのでしょうね。その場合、産業の体力強化、活性化に役立つものに限定する必要があると思います。いずれにしてもこれは臨時的・例外的措置でありますから、整理・統合の努力はやはり続けなければいけない。その辺、きちんと釘を刺す必要があると思います。

それから、同族会社の留保金課税制度、これも毎年のように廃止要求が出てくるわけです。これは、活性化という観点から、非常に有望な中小企業については思い切って見直しをしてもいいと思うのです、緩和とか凍結とか。ただし、非上場の大企業がいっぱいあるわけです、同族会社の中に。こういう大企業についても、同時に留保金課税を見直すという必要は全くないだろうというふうに思います。

それから、国際課税について一点質問があるのですが、これは事実関係を教えていただきたいのです。オランダがタックス・ヘイブン化しているという話を聞くわけですね。税法とは別に何かネゴによって税率が決まっているという、先進国にあるまじき話を聞いたのですが、これに対してOECDとして何らかの対応をしているのでしょうか、していないのでしょうか。その辺、わかったら教えていただきたいと思います。

事務局

オランダの場合には、ネゴによるかどうかは別にしまして、いずれにしても例えば国外の法人からの配当を免税にしているとかいう話がございますので、タックス・プランニング上、オランダをはさんで"ダッチ・サンドイッチ"という形でよく使われる国でございます。こういうことに関しましては、特にOECDでオランダを名指しにした議論はないのですけれども、オランダに限らず、有害な税制をOECDの加盟国が持っている場合には、その有害な税制を除去していきましょうという話がございます。実は来月もOECDでその関係の会議があるのでございますけれども、オランダに限らず加盟国の有害税制を排除していこうという議論を、OECDは積極的にやっております。

委員

公益法人課税の一つとしまして、例の医療法人の社会保険収入の問題がまだ地方税に残っておりますので、その関連も考えて御議論いただけたらと、こういうふうに思います。

それから、ちょっとさかのぼって恐縮ですけれども、相続税や何か、いわゆる土地税制なんかバブル以前に戻せ、バブル以前に戻せというのが時の声みたいなことになっています。相続税の基礎控除や何かもバブル前に一回戻して、それからどうするんだと、こういうようなことが議論の出発点ではないかと思います。

なるほど。新しい視点ですね。

ほかに、よろしゅうございますか。どうぞ。

委員

みなし外国税額控除はアメリカでは一切認めておりませんし、ヨーロッパの国々は、みなし外国税額控除を置いていることは多いのですが、これは、旧植民地に対する利権を確保するための手段として置いているということで、日本のように、発展途上国相手であれば常にみなし外国税額控除を置くという太っ腹な国は、世界中を見てもないのではないかという気がいたします。韓国相手にとか、ついこの間まではシンガポールにみなし外国税額控除を認めているというようなことは、非常に変わっているという感じがいたしますから、どんどん整理していくというのが……。

いろいろ事情はあると思いますが、最貧国とかを相手にするときはわかりませんけれども、一定の規模になった国に対して、こういうものを広く認めていくことはちょっと考えものではないかと思います。これは、外国の発展のために日本で税金をまけるということですから、非常に太っ腹な租税特別措置なんですけれども、日本にとってどこまでプラスがあるのかということは、この財政事情の中で考えなければいけないのではないかと思います。

資料情報制度というのでしょうか、租税条約に基づいて外国から税務情報の提供を求められた場合に、日本の質問検査権というのは、私が調べた限りでは非常に弱い。アメリカが最強で、フランスがその次くらいに強くて、ドイツも結構強い、イギリスもかなり強くして、メジャーな先進国ですと、日本はスイス並みの質問検査権の弱さでございます。まあ、質問検査権が強ければいいというものではないと思いますけれども、相手から求められたときに情報をとれる手段が用意されていないというのも、これは非常に変わった制度だと思いますので、できれば、外国から外国の税金に関する情報を求められた場合には、日本の税金に関する情報とみなして情報をとる制度を仕組むということは、国際的にはむしろ……国際的といってもすべての国は知りませんけれども、先進国水準として考えれば、それは当然のことではないかと思います。したがって、質問検査権をそういう意味で拡大していただきたいというふうに思うわけです。

あと、日本では質問検査権という呼び方をしていますけれども、アメリカでは、これは訳語の問題ですが、「資料提出命令」という感じでございまして、相手から持ってこいと。こちらから出かけていって探し出すのと、向こうから持ってこさせるのと、どちらが楽かといったら、持ってこさせるほうが楽ですから、そういう情報をもっと出せと。向こうに、外国語だったら日本語に訳して出せとか、本社の分も含めてどうしろとか、国際取引に関してはさまざまなテクニックを使ってさまざまな逃れ方が可能ですし、それをお仕事にしていらっしゃる方もいらっしゃいますし、お仕事にしていらっしゃる方のやっていることを、僕のように研究して飯を食っている人間もいるわけですから(笑)、そこを甘く考えてはいけないわけで、持ってこさせるという方式を拡大していくのと、それから質問検査権、出かけていって調べるという両方、二本立てで整理していっていただかないと、なかなか厳しいのではないかというふうに思います。

委員

ぼつぼつ次に行ってよろしゅうございますか。

その前に事務局、委員から出た問題で、同族会社の留保金課税の問題をどう考えるか、それから、中小の租特の整理とか何とかいう質問が出て、説明しただけでは欲求不満でしょうから、何か説明をしてください。

事務局

先ほどの資料で8ページ、9ページ、現行の中小企業向けの主な税制措置を列挙されてございまして、おっしゃるとおり租税特別措置がたくさんあるわけでございます。委員の御指摘もいただきましたように、整理・統合というのを前向きに検討していく必要があると私どもも思っております。

それから、同族会社の留保金制度につきましては毎年御議論いただいておりますけれども、昨今の経済情勢、あるいは企業、特に中小企業の内部留保をどうやって高めていくかという観点から、ことしは見直しの議論が出てまいると思っております。委員からもいただきましたが、そうした議論を踏まえた議論をしていきたいと思っております。

委員

ぼつぼつタイミングだということですか。

それでは、次に、個別消費税のほうに行きましょうか。

残りましたテーマは、酒、たばこ、エネルギー関係諸税と、公示を含めた資料情報制度の話でございます。

それでは、事務局から、まず最初に個別消費税の御説明をください。

事務局

では、恐縮でございますが、「基礎小22-6」という資料、お手元にあるかと思いますが、お開きいただけますでしょうか。

目次を抜かしまして、まず酒税の話でございます。最初、1ページ目に「基本方針」の一部が抜いてございます。酒とたばこと合わせてその総論でございますけれども、「今後とも、酒類、たばこの生産・消費の動向等を勘案しつつ、適切な税負担水準の確保に努めていく必要がある」という御指摘をいただいているところでございまして、特に酒につきましては、現行、酒類の区分が10種類あるわけでございますが、これについての簡素化、それと同時に「酒類間の税負担格差を縮小する方向で見直していく」ということがうたわれているわけでございます。

2ページ目はその区分と税率の関係でございますが、これをスキップいたしまして、3ページ目でございます。いまほど申し上げましたように、大きな分類といたしまして、現行酒税法では10酒類の区分がございます。その下にさらに細分化された品目が11品目ぶら下がっているわけでございまして、その定義が右のほうに書いてあるわけでございますが、これは大変複雑でございます。

これを簡素化していくという話でございまして、4ページ目、これも前からご覧になっていただいている資料でございます。各国の動向を見ますと、かなり様々ではございますが、大まかに言いまして、酒の区分といたしましては、蒸留酒のたぐい、スピリッツ類でございますね。それからビール、ワイン、あと中間製品を入れているという、そんな大くくりな感じになっているのが見てとれるかと思います。

この諸外国のようなところに一足飛びに行けるかといいますと、5ページ目でございます。この表自体、まだ精査の必要がある表でございますけれども、わが国の分類制度は若干のハンディを負っておりまして、これを見ていただきますと、各々の国で事情は違っておりますがヨーロッパ諸国につきましては、概しまして酒税を課している税法の規定と、分類等を規定しております酒造法、あるいは酒販法、あるいは表示法と言ってもいいのかと思いますが、これとは別ものになっている。わが国の場合は、本来税率を定め、税負担をお願いしております税法の中でこの区分をやっているという制約がございまして、なかなか一足飛びに行けないハンディがあるということを御理解いただきたいと思います。

その次、6ページ目、7ページ目でございます。これも、よく御説明してまいったところでございますけれども、ビールと発泡酒の関係でございます。まとめましたのが、8ページ目、これをちょっとご覧いただけますでしょうか。発泡酒の数量、上の黒い網かけの部分でございますが、これがどんどん増えてくるということでございまして、ビール、発泡酒合わせた数量に対する割合が、最後のところ、ほぼ4割まで達しているということでございます。

ここにつきましても、税調の中で議論がございました。発泡酒というのは、イノベーションということで消費数量を伸ばしている、これは考えるべきではないかという議論もごさいました。他方、ビールと発泡酒を足しました合計の数量でございますが、これはピタッと安定的な量を示しているということでございまして、ある意味で、安いものに置きかわっただけという見方もできるわけでございます。この辺、どう評価するかというところは議論が分かれるところかと思います。

9ページ目、10ページ目でございます。これは税制の話とは直接関係しない話でございますが、酒の小売免許でございます。これは順次規制緩和を進めてきておりまして、距離基準の廃止、人口基準についても緩和する--最終的には来年の9月でございますが、人口基準が廃止されるということで、そのあとの免許制度をどうしていくのかという話と、かたがた、未成年者の飲酒防止といったような社会的な要請、これが高まっていることを踏まえまして、国税庁の審議官の懇談会でございますけれども、「酒類販売業等に関する懇談会」というのが開かれまして、この9月に取りまとめというのがなされております。社会的要請等に応えるための種々の提言をいただいているわけでございますが、これにつきましては、今、国税庁を中心といたしまして、どのように対応していくかということを検討中でございます。その中には法律事項もございますということで、これも税制改正ということでは関連してくる可能性ありということで、御紹介させていただいています。

それから、その次のポーションでございますが、たばこ税でございます。たばこ税につきましては、「あるべき税制の基本方針」でございますが、11ページ目、「小売価格に占める税負担割合の状況、消費動向、諸外国の動向、財政状況などを総合的を勘案し、今後、税率引上げの是非を検討していく」という御指摘をいただいているところでございます。

1ページめくっていただきまして、一言でたばこ税と言っておりますが、これは、それぞれ国、道府県、市町村という課税主体で負担をお願いしているところでございます。一番右の端のところ、国・地方を合わせまして2兆2,000億円ほどの御負担をお願いしているわけでございますが、そのうち半分、1兆1,000億円が都道府県、市町村合わせた地方の分、あと1兆1,000億円は、所属の会計が違いますが、国のほうでお願いしているということでございます。

その次、13ページ目は、箱単位で見た負担の状況でございますので、抜かさせていただきます。

たばこ税の負担でございますが、14ページ目、歴史的に見ますと、平成元年、消費税が導入された年でございますが、このときが、消費税、たばこ税合わせまして、全体として価格に対して約6割ぐらいの負担でございました。その後、順次低下してきたということもございまして、平成10年でございますが、たばこ特別税というのが創設されました。これによりましてほぼ6割の線に戻っておりまして、その後、御存じのようにデフレ傾向、価格は安定的に推移しているということがございまして、概ね6割で推移しているというのが歴史でございます。

1枚めくっていただきまして、15ページ目、歴史から立ち返りまして、国際的にみたらどうかというものでございます。右のほうに、先進5カ国につきまして、たばこの価格、1箱当たりどれくらいかというのが示してあるわけでございます。これを見ていただきますとわかりますように、日本は決してたばこは高くない。負担としても高くない水準になっていることが見てとれるかと思います。

実は、先進5カ国といいながら棒が一つ多くなっておりますが、アメリカにつきましては従来からニューヨーク市をお示ししているわけでございます。ニューヨーク市のほうでこの7月から、市の税でございますけれども、もともと1箱8セントから1ドル50セントまで上げるということをやりまして、ニューヨークは州レベルの課税を見ましても全米で一番高いということでございますので、比較のためにヒューストン市を隣りに出しております。ちなみにヒューストン市のございますテキサス州は、注の5の一番後ろに書いてございますが、全米50州の中で25番目の州のたばこ税の高さということでピックアップしております。これを見ていただきましても、500円を超える水準でございます。

ちなみにニューヨーク市の市のたばこ税の上げによりまして、最初入れた7月でございますが、販売数量は半減近くまでいった。これに対しまして、税収のほうでございますが、5倍まで伸びたということがあるそうでございます。恐縮ですが、これは報道でございまして、未確認でございます。

それから、これもまた報道でございますけれども、販売数量が半減したということでございますが、かなり郊外に買いに出た、あるいは、アメリカのことでございますので、インターネット通販を使ったというのもございます。果ては、どうも南部あたりの安いところから買ってきて、密輸入でもないのですが、密売をしていると。その密売をしているのが中近東のテロ組織だということで摘発された、というようなことがありますので、御紹介させていただきます。

16ページでございますが、これも諸外国の動向でございます。この5年ほどを見たものでございますけれども、たばこの負担については負担増をお願いする傾向にあるということでございます。

17ページ目でございますが、紙巻きたばこの販売数量でございます。ここのところ、やや減りぎみに推移している。これは少子化等の影響があるのと、喫煙率の問題があるのかと思われますが、そういう状況にあるということでございます。

18ページでございますが、財務大臣の諮問機関でございます、財政制度等審議会のたばこ事業等分科会のたばこ事業部会というところから、「喫煙と健康の問題等に関する中間報告」というのがこの10月に出されております。そこの基本的な考え方のところでございますが、1、2、3とポイントだけ申し上げますと、基本的に、たばこは合法的な個人の嗜好品である。他方、喫煙が特定の疾病に対するリスクである。3といたしまして、最終的には一般的にたばこの消費削減ないし禁止を求めるべきものでない、ということが指摘されておりますので、御紹介いたします。

駆け足で恐縮ですが、エネルギー関係諸税、油、自動車関係等でございます。

これも「基本方針」でございますが、まず、道路特定財源の話でございます。ここにつきましては結論といたしましては、「一般財源化を含め、そのあり方の見直しを行うべき」ということ。特に道路特定財源を含みますエネルギー関係諸税につきましては、「わが国の自動車に係る税負担全体が国際的にみても高くない水準にあり、自動車の社会的コスト、環境の保全という観点に鑑みれば、その税負担水準を引き下げることは適当ではない」という御指摘をいただいております。

あと、これはもう少し大きな話でございますが、「3.環境問題への対応」というところで、いわゆる環境税の問題と申し上げてよいのかと思いますが、「環境問題に対する税制面での対応については、国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力を得て、今後、積極的に検討を進めていく」ということがうたわれているわけでございます。

ちなみに次のページでございますが、閣議決定されました「骨太方針2002」におきましても、これらエネルギー関係諸税につきまして環境改善効果を十分配慮するということがうたわれております。

次の21ページ、22ページ、23ページは、特定財源等の概要でございますので、抜かさせていただきまして、本年の問題といたしまして、道路特定財源をめぐる動き、やや特殊というか、特別な年になっておりまして、24ページ目でございますが、もともと揮発油税、ガソリン税でございますが、これは昭和24年度に一般財源として創設されているわけでございます。29年度以降、累次の道路整備の長期計画に合わせまして、歳出面で特定財源という使われ方をされてきているわけでございます。

次の25ページでございます。このところ大体5年単位で改定をしているわけでございますが、揮発油税、地方道路税、自動車重量税等につきましては、道路整備の必要性から暫定税率ということで、概ね倍の税率をお願いしているということでございます。これにつきましては、本年度、第12次の道路整備5カ年計画が切れるということで、ここに合わせて、暫定税率そのものも一たん本則税率、半分のものに戻ってしまうということがあるわけでございます。

道路特定財源の見直しにつきまして、26ページ目、これは、財務大臣が10月11日の諮問会議に提出した資料でございます。こういった状況も踏まえまして、これは大臣の御持論というところもごさいますが、納税者に納得して重い負担をお願いするというような使途の多様化に努めて、道路を含め歳出を重点化していこうということがうたわれているわけでございます。

次の27ページ目は、本年度予算の状況でございますので、抜かさせていただきます。

28ページ目、29ページ目でございますが、これも、わが国の自動車関係諸税、ガソリン税につきましては、諸外国に比べて重くはないということの資料でございます。

30ページ目は、諸外国が、環境配慮もありまして、このところガソリンに対する負担を増加させているという説明でございます。

もう一つ、これは大変申し訳ないことでございますけれども、今の段階でここまででお許しいただきたいという話でございます。実は経済産業省のほうで、エネルギー関係の石油税財源をもとにします特別会計等について見直しをしたいという話がございました。事務方のほうも内々は検討してきたようでございますが、ここにございます、8月末の経済財政諮問会議におきまして、経済産業大臣がかなり気合を入れられたということがございました。これに対して経済財政政策担当大臣、あるいは小泉総理も、わりあい歓迎するような御発言があったということで、いま、急いで準備をしている段階でございます。実は、まだ我々のほうにもきちんとした制度改正要望、税制改正要望が届いていない状態でございます。

ということでございますので、今の段階ではこの程度の御紹介でございますが、そこにございます経済産業大臣の御発言、ポイントは二つでございます。一つは、エネルギー関係予算につきまして、「環境に配慮した歳入財源のあり方の確立が必要だ」ということで、特に石炭、これについてはいまのところ課税されておりませんが、これに対して課税をするということ。それからもう一つ、歳出面におきましては、特別会計に地球環境対策を取り込むということでございますが、地球環境対策に歳出面をシフトされるということで、必要であれば、これについては環境省とも共管するということがうたわれているわけでございます。

次の32ページは、そのときに提出された資料ということで、説明は省略させていただきます。

33ページは「地球温暖化対策推進大綱」ということでございます。これを抜かしまして、先ほどの話とも関係してくるわけでございますが、環境税につきましての政府全体としての位置づけでございます。京都議定書でございますが、2008年から削減義務がかかってくるということでございまして、そこに向けての準備段階、2段階に分けまして、第1ステップ、第2ステップと。第2ステップは2005年からということでございますが、第1ステップの段階では、税について見ますと、いまある税制等についてグリーン化していくということでございまして、本格的な意味での環境税につきましては、第1ステップも状況を見まして、第2ステップに向けての課題ということで位置づけられているという御紹介でございます。

以上でございます。

委員

では、地方税関係、お願いします。

事務局

「基礎小22-7」で、地方税の関係だけ若干補足させていただきます。

「地方税関係資料」の1ページですが、これは特定財源の概要でして、先ほどの資料に地方税はございましたが、譲与税がなかったものですから、ここに四つの譲与税を書かせていただいております。

2ページは、道路事業費に占める特財の状況というのが国とだいぶ違いますので、書かせていただきました。上の表で見ますと、14年度で、事業費に占めるいわゆる特定財源の比率が、国費の場合には96.7%となりますが、地方費ですと32.7%という比率で、まだまだ特定財源が足りないという状況でございます。

それから、よく地方団体の方がおっしゃいますが、下の「参考2」にありますように、道路改良の率も国道89.2%に比べまして、まだ52.7%と、半分ぐらいが改良されていないということでございます。

3ページは、以前出した表ですが、地方団体の環境保全対策ということで、環境基本条例をはじめいろいろなことをやっておりまして、実際の対策経費も相当な額にのぼるというのが下の棒グラフでございます。

4ページは、環境に対する地方団体の施策の位置づけということで、環境基本法では36条で、「国の施策に準じた施策及びその他のその地方団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を行う」ということになっております。下の温暖化法は省略いたします。

最後に、5ページは、先ほど事務局から紹介がありました、中環審の税制専門委員会の中間報告の中の地方税関係部分を挙げております。下のほうの線を見ていただきますと、先ほど第2ステップ以降の税制という話がありましたが、その使途につきまして、「国と地方団体の関係に十分配慮して検討すべきである」というようなことが書かれております。

以上でございます。

委員

それでは、最後のトピックスですが、納税環境整備について議論をしましょう。

それでは、事務局、お願いします。

事務局

お手元の最後の資料でございますが、「基礎小22-8」をお開きいただきたいと思います。

公示制度等の納税環境整備について、簡単に御説明を申し上げます。

お開きいただいて1ページでございますが、公示制度につきましては、6月の「基本方針」で、納税者の信頼確保に向けた基盤整備の項目の一環としまして、見直しの方向を示していただいております。公示制度、昭和25年にシャウプ勧告に基づいて導入されたわけですけれども、そこにございますように、近年、各種の勧誘など、本来の目的以外に利用されており、あるいは、犯罪やいやがらせの誘発等の問題があるといったことから、プライバシー保護の観点を中心としまして、廃止をする方向で検討してはどうかという問題提起が財務副大臣からございまして、当調査会でもそのような評価をいただいたと考えております。

また、御議論の過程で、税務執行当局であります国税庁からも、適正課税の確保の観点から、公示制度の存在意義を必ずしも積極的に評価する意見は示されておりませんで、その廃止に対して特段の反対はしないということだったと思っております。

一方で、アンダーラインをつけてございます下のほうにございますように、「基本方針」におきましては、この公示制度の存廃につきまして、「制度変更により、国民一般から見て申告納税制度の信頼度が低下することは好ましくない」。また、「高額納税者が社会的に評価されることの重要性」といったことも踏まえまして、「この公示制度に代わる制度を含め、今日的視点から検討する必要がある」というまとめ方をしていただいております。

2ページをご覧いただきますと、公示制度、ちょっとおさらいになりますが、所得税の場合には、税額で1,000万円超の納税者につきまして、氏名、住所、所得税の額を公示するというものでございます。類似の制度が法人税、相続税・贈与税についてもあるということでございますが、3ページにお進みいただいて、58年から税額基準の公示に変わっておりまして、57年までは44万人ほど、納税者の約7%近くが公示をされておったわけですが、現在1.1%、それでも8万人ぐらいの方が公示対象になっているということでございます。

4ページに進んでいただいて、このような公示制度がある国は日本とフランスでございまして、アメリカ、イギリス、ドイツにはございませんが、アメリカ、イギリスには、その下から2番目にございますように、第三者通報制度ということで、情報を持ってきた人に報奨金を払うといった制度がございます。

6ページにお進みいただきまして、ポンチ絵をつけてございます。仮に公示制度を廃止するといたしました場合、納税環境整備のための代替措置ということになりますけれども、このポンチ絵、やや図式的に概念整理をしてございますが、今日的視点ということで、両側に「電子化・情報化」という視点、それから「国際化」という視点を書かせていただいております。課税の公平・適正化を図るための基盤となる仕組みといたしまして、三つ、両側と下に箱をつけてございます。

まず、納税コストの抑制、各種手続きの効率化という視点からは、源泉徴収、年末調整、あるいは申告納付の手続き、納税者番号といったことが関係してこようかと思います。右のほうの、納税過程における法令の遵守を通じた適正・公平な課税の実現といった観点で見ますと、記帳義務、帳簿保存の仕組み、立証責任、先ほど国際課税のところでも出てまりましたが、質問や調査の仕組み、それから、公示といった制度もあろうかと思います。さらに、資料情報制度を拡充するという観点からは、納税者番号、資料情報、あるいは、公示といったことが絡んでこようかと思います。

この公示制度を仮に廃止しました場合、これに代わり得る仕組みとしてどういったものを考えていけばいいかというのが、今後の検討課題であろうかと思っております。

このような観点で、11ページにお進みいただいて、「主要国における税務行政を支える諸制度の比較」というのを、ごく粗くではありますが、鳥瞰していただくために一表を作ってございます。

特に、日本とアメリカを見ていただきますと、好対照になっております。納税者番号は日本はありませんが、アメリカにはございます。資料情報の点では、アメリカは網羅的な法定資料制度はございますが、日本は比較的源泉分離課税が行われているといったこともありまして、必ずしも調書の関係はアメリカほどではない。公示制度は、あり、なしで、逆。第三者通報制度は、なし、あり、こうなっております。立証責任も、課税庁側にある日本に対して、アメリカは納税者側にある。それから脱税の除斥期間を見ていただきますと、日本は7年でございますが、アメリカは無制限と。理屈の上で、課税方式、税額の確定方式は日本もアメリカも申告納税制度をとっておりますが、アメリカは網羅的な資料情報をもとにこういった納税環境になっている。日本は、利子、配当、給与、源泉徴収の仕組みを多用していることもございまして、アメリカとは好対照な納税環境にあるということでございます。

日本の納税者の納税意識というか、税に対する意識の現状を踏まえる必要がございますけれども、企業活動の国際化等を考えますと、納税環境面での国際的な整合性をどう図っていくかといった点も今後の大きな課題かと思っております。公示制度を廃止するという議論とともに、こういった点も御議論いただけるとありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

委員

ありがとうございました。残った時間は30分ほどですが、できたらフリーディスカッションもしたいと思っています。

どうぞ、いまの個別消費税の世界と納税環境整備につきまして、御意見を賜りたいと思います。

委員

公示制度についてでございますけれども、これ、プライバシーの観点ということで、特に相続税につきましては、例えばお金持ちで御老人の御夫婦がいらっしゃって、御主人がお亡くなりになって奥様が茫然自失のところに、いきなり、「だいぶ払ったそうですね、寄附金ください」といらっしゃるということで、非常に気の毒な例があったりします。一つの時代の役割を果たしたのでしょうけれども、だんだん別の制度にこの趣旨を活かして変えていくという事務局の御説明ですが、これは非常にいい方向ではないかというふうに思います。

それから、消費税、相続税・贈与税については、プライバシーをだんだん保護していくということが必要だと思います。

ただ、法人税についてどうかといいますと、日本の企業会計は、余計なことはあれですが、粉飾等の問題がいろいろある可能性もないわけではないですから、むしろ、「あそこはどのくらい納めているのか」という、もう一つ別の、企業財務内容の開示制度の一環としての何かというのがあっても……。個人のプライバシーと話は違いますから、事業上の話ですから、法人税についてはあってもいいような気はします。

先ほどの11ページの「税務行政の比較」のところが非常にポイントでございまして、公示制度だけを取り上げてどうこうということではなくて、行政執行で情報を集めて、それがきちっと整理されてという、そういう方向の中で位置づけを考えるわけでしょうから、この公示制度について、プライバシー保護の観点からだんだん後退させていくということであれば、その趣旨、それが果たしてきた一定の役割を、別のところで強化していくというのは当然のことだろう思います。私は、この網羅的な法定資料制度というのが、国際課税も含めて税務執行のポイント中のポイントではないかと思っております。限定的な法定資料制度ですと、どうしても問題があるのではないかというふうに思っています。

以上です。

委員

ほかにいかがでしょうか。

委員

この公示制度、流れとしてはわからないことはないのですけれども、そうは言っても、芸能人のベスト何とかとか、スポーツ選手のベストテンとか、そういうのは世の中の楽しみになっているわけで、そういう特別な人というのは別扱いしてもいいような気がしますのと(笑)、あと、たくさん払った人を褒めてやると。たくさん払うことはいいことであるというのは無視すべきでない評価なので、ものすごくたくさんの人はまた別ではないかという気もしますね。何十億も払ってウンでもスンでもないというのも、さみしいのではないかという感じがします。

あと、エネルギー関係税で思うのですが、先ほど、京都議定書のステップ1、ステップ2とありましたけれども、あれはもうすでに崩壊しているわけです。というのは、原子力発電所の失敗で、もうできませんので。13基つくるのを前提にこのステップ1、2というのがあるわけですから、そっちができないことになってしまった以上、そういうふうに決まっているから、そのとおりで税制ものんびりやっていればいいという状況ではなくなったのではないか。

選択肢としては、京都議定書はもうできませんよと手を挙げてしまうか、最後まで頑張ってみるかという選択にもうすでになったわけです。やはり環境税というのをちゃんと設計して、環境税によって多少なりとも近づいていく努力をやっていくのが義務ではないかという感じが非常にしていますので、うやむやにしないでエネルギーと環境税をちゃんと考えたいなというふうに思います。

委員

公示制度については、前に申し上げたように、これはこれでいまのままでよろしいのではないかと思います。つまり、ちゃんと納税しているんだよということを、ほかの人に認知してもらうということ。何も褒美は出ないけれども、褒めるという意味でですね。前に他の委員がおっしゃったように、表彰状かメダルの一つもやったらということは、それはそれで私も賛成です。

それから、たばこですけれども、先ほどニューヨークの例を挙げたように、税率をいじる。いじるというのは、たぶん上げるということだと思いますが、これは一体どういう理由で上げるかということに関しては非常に考えなければいけない。健康のためということについては私も前にちょっと疑問を申し上げたように、一方で国策会社としての「日本たばこ」があって、一方で吸うなと言うのは、これはおかしい。それから、上げて税収が減ってはいけないし、もう一つは、上げた場合、先ほどのニューヨークだと、たばこ産地などの安い州に行って買ってくる例があるように、日本でも、国際空港、成田などに行くと無税で売っているわけです。行くときに買えるわけでありまして、これがルートとなり、犯罪というわけではないですけれども、妙なことになる。旅行者が買ってきて安く売るという、そういう問題も考えなければいけない。慎重にしなければいけないと思います。ただ、私は、全体の財政が苦しいからみんなと一緒に上げる--みんなというのはその他の増税策ですが--ということであれば、これはやむを得ないかなと思っております。

それから1点、前にもちょっとだけ触れましたが、車の税金については、どこかに絵がありまして、日本は国際的に見て安いと「基本方針」か何かにも書いてありますけれども、資料「基礎小22-6」の28ページの絵を見ますと、日本の自動車関係諸税は高いということになると思います。というのは、ほかの国は付加価値税というのが何にでもかかる。自動車に限らないものにもかかっているものが、のっかっているということ。それによって非常に高い。

もう一つ、ただ持っているだけではなく、走るわけですから、日本の場合は、事実上の税金である高速道路、有料道路代がかさむ。そうすると、自動車を持っていることに伴う税金というのは非常に高い。国際的に見て決して安くないというふうに言えるので、この資料はちょっとごまかしっぽいなという気がいたします。とりあえずそれだけです。

委員

では、どうぞ。

委員

今度の予算編成で、道路特定財源の暫定税率を本則税率に戻せと相当大きな問題になると思うのですが、これは、「基本方針」の線で私はいいだろうと思います。暫定税率は国際的に見ても高くありませんし、環境の問題もありますから、引き下げる必要はない。現行税率を維持するということをはっきり言ったほうがいいと思います。

それから、経産省のエネルギー特別会計、これは結局特定財源なんですよね。ですから、特定財源として存続するべきなのかどうかというのが第一の問題だと思います。負担者は限定されていますけれども、これは大きな問題だと思います。これをどうするのか、経産省自体の案がまだはっきりしていないそうですけれども、はっきりすれば、税制の立場から、それが本当に適当なのかどうか精査する必要はある。エネルギーの消費抑制につながるのかどうか、その辺はきちっと押さえていく必要があると思います。

いずれにしましてもこれは環境税とは違うわけであります。違うということは経産省も言っているようですけれども、本来のCO2排出を減らすための炭素税とは違うんでしょうね。その辺ははっきりさせておく必要はあるだろうと思います。

それから発泡酒、これまたぐずぐずやっているわけですけれども、もうビールと同一税率にすると。いつかどうかは別としまして、ちゃんと時限を切ってそれまでに税率を同一にすることでケリをつけたほうがよい。よいというか、ケリをつけるべきであると思います。

以上です。

委員

時限はどの程度の長さでつけますか。

委員

まあ、1、2年か……。

委員

1、2年。はい。

どうぞ。

委員

まずエネルギー関係の税ですけれども、エネルギー税というのは歴史的には自動車の混雑税という側面があって、混雑を解消するためにそれを道路に使うというのが、ある種の経済的ロジックを持っていたことは事実です。最近はむしろ問題として、地球環境に対する外部不経済という側面が非常に大きく出てきていて、自動車の道路の建設に関しては、事実上、作り過ぎというぐらいに作っている面もあるわけです。

そういう意味で、きちんとそこら辺のロジックを踏まえた上で、エネルギー税を混雑税として取って、それを道路特定財源として使うという世界から、むしろ環境税として取って、少なくとも道路特定財源ではない、それにする必要はないのだと。場合によっては、地球環境に道路の特定財源を一部含んでもいいと思うのですが、理想としては一般財源化するべきだろうと思います。そういうことをきちんと主張して考えれば、今年度末に、例えば暫定税率を下げるなんて馬鹿なことはすべきではないというのは当然出てくるべき結論だと思いますので、そういう論理をはっきり言うべきではないかというのが1点です。

もう1点は、先ほど別の委員がおっしゃった京都メカニズムの話ですが、原子力の話とか現状とかを考えると、対90年比6%というのを2008年ぐらいから実現するのは、非常に難しくなったということは確かだと思うんですね。そういう意味で、では何をしたらいいのかということですが、私は三つぐらいのことをきちんと考えるべきではないかと思います。

1点目は、経済的インセンティブとしての温暖化対策税をできるだけ早く立ち上げるということを考えるべきです。ステップ1、ステップ2というのをゆっくりやる、来年度になってからというような話ではなくて、今年度のうちからできる限りでも手をつけるべきではないかと思います。そういう意味では経産省の提言も、ネガティブにばかり考える必要はないのではないか。

2点目は、税制を考えるときに、税のとりわけ温暖化対策としての効果というのは、平均税率が効果を持つのではなくて、限界税率が効果を持つのだということをもっときちんと考えるべきではないかと思うのです。あとで述べます取引可能排出権というのも、とりわけグランドファーザー方式という形で、ある程度の部分までは排出権は企業側の自己負担がなくてもいいという仕組みは典型ですけれども、要するに排出を増やしたときに税金がかかる、あるいは、排出を削減したときに税金が浮くというところが大事であって、それを、排出をする額全額に課税してしまうと、非常に大きな負担が企業にかかることになる。これがあるがために日本では産業界の反対が非常に強いわけですね。

そうではなくて、例えば限界的なところ、削減したところだけは高い税率がかかるけれども、それよりかなり低くなってくると、事実上、課税しなくてもいいというような仕組みをうまくつくれば、企業側、産業界の負担は少なくて済むはずで、しかも、削減の効果というのは同じだけの効果があるはずだというふうに思います。そういう意味では取引可能排出権みたいなものを、これは国内でですけれども、考えることがいいのではないかと思います。

それから、京都で約束したことが日本の国全体としてできないのではないかという可能性に関して、3点目として、国際的な意味での取引可能排出権を、とりわけロシアから買ってくるという形での対応があり得るわけです。いままでは、ロシアが売る相手としてはアメリカと日本を考えていたわけですが、アメリカはもう買わなくなってしまったので、日本が唯一の買手である。そういう意味で、価格がどうなるかというのは相対で決まりますから、いろいろな問題はあるかもしれませんが、少なくとも前よりも安い価格で買えるはずだと。

そういう国際排出権取引に関して日本はもう少しきちんと考えるべきだし、そのための財源措置ですね。そんなに多額ではないはずだというのが私の理解で、2,000~3,000億円もいかないのではないかと思うのです。そこら辺はもっときちんと計算すべきだと思いますが、国際排出権を買ってくることに関する準備も含めて、そのための財源措置も含めて、エネルギー税というものをもう一度見直していくべきではないかと思います。すみません、ちょっと長くなりました。

委員

では、どうぞ。すみません、時間がないので手短にお願いします。

委員

酒、たばこについては、関係者であるということから忸怩たるものがあるということでございますが、私が、関係者で忸怩たるものがあると申し上げる意味は、いままで私は、酒は5回、たばこは6回にわたってその負担引上げに関係してきたことがあります。その都度お願いしたのは、所得、物価水準が上昇しているときには、こういう従量税、定額税的なものは見直す必要があるということで理解を得るようにしてきたわけですが、現時点では、所得水準も下がり物価水準も下がる。そうすると、これは逆ではないか。いまは反対の方向に考えなければいけない環境かもしれない。そういうときに、どういうふうに考えて納税者に今までの説明と整合性を持って説明をするのかなということで、忸怩たるものがある、そういうのが第1点。

2点目としては、5回も6回も上げてきて、個別的な消費課税に依存するのは限界がある、だから一般的な消費課税をお願いしようということで消費税をお願いした。そのときに、従来からの個別消費税課税は、その程度の水準は、消費税をかけたときにはむしろそれは調整する必要があるということで、全体の消費課税水準を上げるときには、酒、たばこをその相当分下げたわけでございます。そういった意味においては、一般的な消費課税水準との議論の中で議論をしますよということを63年のときにはお願いして、今度は納税者に納得をお願いしたということからすると、この酒、たばこという嗜好品課税だけについて議論できる環境にあるのか、一般的な消費課税の分を含めて議論できる環境にあるのかどうか、そこらの点が忸怩たるものがあるということでございます。

もう一つ、忸怩たるということとも関連しますが、石油税でございます。これは昭和53年にできたのですが、このときも非常にたくさんの議論があり、税制調査会でもずいぶん議論が紛糾して、いまでも答申を見てみますと、かなり長大な文章になっています。とにかくガソリン税的な特殊なものしか課税になっていないので、石油に幅広く薄く課税をしようと、お願いをしようという結論を税制調査会でいただいた。それを法案化しまして、閣議に出し、国会に出したわけですが、そのときに税制改正要綱として、「石油対策に充てるために石油税を創設する」ということで閣議決定をお願いしたわけでございます。

そういう点におきまして、今回の経産省のお考えはそこらをどういうふうに整理されようとされるのか。もちろん、もう20数年前の話でどんどん時代は変わるわけでございますから、そこにこだわる必要はないわけですけれども、税制で一回システムをつくった以上、そこをどういうふうに理論的に整理して世の中に御説明するのか、あるいは、経産省だけなのか、環境省とも一緒になってやっていただくのか。そこらは先ほどのお話ですと、議論は必ずしも煮詰められていないということのようでございますので、石油税創設のときの経緯等も踏まえて、思想的に納税者にも納得のいくような説明を論理づけていただければありがたいと思うわけでございます。

委員

どうぞ。

委員

まず嗜好品の話ですけど、ここは政府税調だから、税調らしい理屈の立て方というのが僕はあると思うんですよね。財制審は財制審で別のことを考えればいいので。どういうことかというと、税制上の問題からすれば、発泡酒と既存のビールの問題を何とかするというのは、ここに書いてあるように、税制の中立とか--これをお経のように言ってるんだから--公平性の確保という観点からすれば、もう長年にわたって議論してきたわけで、実は、そのつどブロックされてきた経過があるんだけどね。いずれにしても、「酒類間の負担格差を縮小する方向で見直していく」というふうに我々は書いたわけだ。いいですか。これをないがしろにした議論というのは税調らしくないんですよ。

2番目にたばこのことがあるわけだ。これは、「今後、税率の引上げの是非を検討していく」と書いてある。いま、まさに是非の議論に入りかかっているわけですよ、我々は。前の発泡酒の話は、「見直すべき方向」というのははっきりしていると思う。こっちは是非論なんだね。

しかしまあ、そういうことをいえば、財政物資だから、財源が足らないから少しいただこうかという話が大ざっぱに言ってあって、それに健康論が加味されるという雰囲気になっているんだけど、税調としては、この二つのことについてほとんどセットで議論されますからね。どっちかだけという議論にならないように、やるなら堂々と二つの議論をやりましょうよと。どう政党が出るかわからないけど、自民党が。だけど、議論の立て方としては、そういう議論をやったほうが公平だと思う。少なくとも税調らしい。

2番目は、通産省の例の石油課税の話。他の委員もいろいろなことをおっしゃったけど、これは、さっきの説明にあるように、まだ具体案が来ていないわけだ。新聞情報だけなんですよ。これ、ほんとにそのとおりなんだ。財務省に来てないんだから、向こうから責任のある人が。来ればまたここで説明できると思うけど、アバウトな話しかないんです、今日の話はね。

これね、他の委員が言ったみたいに環境税一般論で、今度の経産が考えている石炭課税論と特会財源確保論と違うんですよ。違うことをどう説明できるのか。特会だったら、「どういう目的に金を使うの?」ということがまずあって、金が足りないから増やすという論があってしかるべきなんですね。そこのところ、どういうロジックで来るのかよくわからない。

これは近々、経産から主税局長、その他について説明があるという話だから、それを聞いた上で、先々の環境税一般論、その話とこの話がどういうふうにかみ合うのか、かみ合わないのか、歳出のどこに重点を置くつもりなのか。堂々たる議論なのかどうか、とかね。それを全部ここで精査すべきなんですよね。ただ時間的に言えば、今度の総会ぐらいしかないんじゃないですか、この話は。だから、かなり急いで話を……。

委員

石油特会の話ですか。

委員

ええ。

委員

ある程度難しいでしょう。

委員

今のところね。だけど、そういう問題があって、一般的な環境税論とは違うという話なんだということだけ確認しておく必要があると思ったね。

3番目は、公示制度。副大臣提案の話で、ここに副大臣がいらっしゃるから。あのときもいろんな面白い話があって、私は今流行のプライバシー論だけで割り切るのはどうかと思うけれども、最近は、プライバシー論だけ出せば何でもまかり通ることになっているわけだ。今総務省がやっている……何か大騒ぎになったことがありますよね。あれもそうだし、納税者番号制度だって、プライバシー論が欠けて無能だという議論はいまでも全部あるわけだ。

だけど、納税者番号におけるプライバシー論というのは、我々納税者と税務当局、この間にプライバシーがあっては具合い悪いんだよ。この間だけは。ただ、税務職員がこれをどこかに流用したりしたら大問題。それはだめだけどね。だけど、そういう関係のプライバシー論は確保しようといっても難しいんですよ。納税者番号を言うならば、それを乗り越えなければいけない。

ただ、副大臣が言い出したここのプライバシー論は、たしかにいろんな見方があって簡単じゃないことはわかっているけど、まあ、混ぜ返しの議論はやらないつもりだけど、一度これは仕切り直しでやり直したらどうかという気がするんですよ。やっぱり名前が出ると、悪質な連中から何から、いろいろアプローチをする材料になることは間違いないんだから、この話は。

さっき、るる事務当局は説明したけれども、廃止したあと、廃止しっ放しでいいかどうかということについては、もうちょっと議論があってもいいかなという気がするんですよ。今内部告発全盛時代で、原子力もそうだったし、大体全部そうなっているわけだ。内部告発は社会正義にかなうということになっている面があって、そういう面からすれば、税金だって、法人から何から内部告発をどんどんやらせればいいじゃないかという議論もあるかもしれないけど、それはそう簡単な話じゃないですよね。と、僕は思うんだ。この話あんまりやりたくないけれども。そういうことになるので、それに代わるものは何だという議論になるとそう簡単にいかないと思います。ただ、原則論は、この公示制度はもう役割は終わったと思いますね。

以上です。

委員

ちょうどメンションされましたので、どうぞ、副大臣。

事務局

私のほうからも提案させていただいたのですが、あの折に申し上げたように、一つは、プライバシーの保護ということと、努力した人が報われる社会ということが必要だろうと思うのです。私は政治家になる前に公認会計士と税理士をやっておりましたから、皆さん方よりそういう立場の方をきわめてよく知っているわけでありまして、例えば居住地を変えられるとか、要らないコストは払わなければいかんわけですね。そういう人たちの立場に立った場合に、わが国の経済にかなりの貢献をされて、多額の納税をされた、どうして私がそのようなコストを払わなければいけないのか、この苦労をしなければいけないのか、と。当然の話なんですね。そういうのをそばで見ていて、あれは面白い、面白いと言うことが、果たしてそれでいいのかどうかというところは根本的なところなんですね。

各国の状況を見ますと、アメリカ、イギリス、ドイツではこういうことをやっておりませんし、このような観点で、いわゆるシャウプ税制、これは本法ですから、なかなか改正は難しいと思うのです。従来からこの議論があったわけで、まさに抜本的な議論を行う場合には--以前にもこの公示制度についての議論があったと聞いておりますけれども--先ほど他の委員のおっしゃったことと、私、全く違和感がないのですが、そういう観点で、自らがそういう立場になった場合にどう思われるのかということを、自分の立場で考えていただきたいと思う次第であります。

委員

どうぞ。

委員

2点ありまして、1点目は、経済産業大臣がおっしゃっている環境特別会計みたいなものの扱いと旧来の特別会計。使途の限定の仕方について一つ懸念を持っておりまして、一般財源というのは非常に聞こえがいいけれども、結局のところ、補助金財政というものにくっついていくことになりますと、また同じことが繰り返されるということ。

2点目ですけれども、総理は、これからの環境社会といいますか、環境産業の育成という観点から、ゴミとかそういう問題に言及しておられる。今回、私もいろいろヨーロッパの状況なんかも調べてきて、日本の税制で最も足りないのは、いわゆる環境税という環境の排出を抑制する税金が一つと、もう一つは、利用者負担、汚染者負担を税金の中でどのくらいきちっと認めるか。世界の潮流は、ゴミとか水とかは税金を使わない。利用者負担でフルコスト。全部やるという考え方に移行しているわけです。

しかも、それも地方税とか国税という議論ではなくて、きちっとした広域地域課税と、地域の住民負担を合わせたような新しい税制の形が、かなり本格的にでき上がっているし、ヨハネスブルクでもその問題がかなり出てきている。これができると、ただ国や地方自治体が使える財源が広がるのではなくて、まさに民間の企業が、その財源を使って新しい環境投資を拡大していくことができるというプラスの循環があるわけです。だから、これを単なる税という問題にしないで、もう一つ、環境投資のほうにどうやって最適化した形で振り向けるかと、ここを……去年も言っていたんですけれども、なかなか前に進まないので(笑)、ぜひお願いします。

委員

時間になりましたので、終わりにしたいのですが、いま、個別消費税の世界と、公示を含めて納税環境の問題、両方出ました。大体の流れはわかりましたけれども、ある委員が最後にまとめてくれたように、税だけではなくてチャージの世界まで入れた形で環境を考えましょうというのは、いずれやらなければいけないと思っています。

経産省のほうは、僕も内々個人的に説明を受けたのですが、CO2を算定の基準に一部入れるという意味において環境税らしいことは言っているけれども、あれはある意味では、特別会計を改組して自分なりの財源を確保したいと、そういう狙いがはっきりしてきたので、そこら辺はこれからいろいろ聞いて議論いたしましょう。

今日で一応すべからく来年度税制改正の主要な論点は整理いたしました。あとの段取りをちょっと御説明して、散会にしたいと思います。

10月29日、総会を2時から4時まで開催の予定でございます。来週の火曜日です。これまでの小委員会の概略を御説明して、総括的に論点を整理したいと考えています。

総会でその報告が終わったあとに、起草のほうに入りたいと思います。起草は、前回と同じように、この基礎問題小委員会のメンバーの方になっていただこうという意味において、自動的に振りかわると覚悟してください。現時点では2回と考えておりまして、11月1日の金曜日、それから11月13日の水曜日、いずれも午後であります。2時からと考えますが、2時間で終わらない場合があるかもしれませんから、5時ぐらいになるかもしれません。お忙しいところをすみませんが、その点は予定に入れておいていただきたいと思います。

これが概略でございまして、そのまとまった段階でまた総会を開き、最終的にまとめて11月中旬に公表したいと考えております。

それで、本日は5時から、他の三委員と、私で、「税についての若者集会」をやってこようと思いますが、この内容につきましては、またいずれ御報告をいたしたいと思います。面白い意見が出ることを期待いたしております。財務大臣も御出席いただけるようでありますので、今日はいろいろな議論が出ようかと思っています。

よろしゅうございますか。

ちょうど時間になりました。では、長時間、どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。