第19回基礎問題小委員会 議事録

平成14年10月1日開催

委員

それでは、時間になりました。19回目になりますが、基礎問題小委員会、開催いたします。どうもご多用中のところご参集いただきまして、ありがとうございました。

進め方につきましては、今日3つ項目が並んでおります議事予定、お手元にいっていると思いますが、消費税、外形、土地、これをおのおの、時間的には3等分ずつしながらこれから議論を始めたいと考えております。

最初に、消費税の免税点制度など、「など」という意味には、免税点以外に簡易課税制度の話も基本的に廃止の方向ということが一応書かれておりますので、その議論をしたいと考えております。これまでの資料が再整理されているほかに、若干新しい側面の資料も今日ご披露いただけるかと思いますから、十分にこれからご議論いただきたいと思います。

では、事務局、よろしくお願いします。

事務局

お手元の「基礎小19-1」という資料に沿ってご説明させていただきます。

資料の中身、目次にありますように、今までご説明させていただいた資料が大半でございますので、新しい資料を中心に、ポイントを絞って説明させていただきたいと思います。

最初のほうの基本方針、あるいは、その後、対話集会のアンケートの結果、それから9月の中間整理、これまでの推移、それから免税点制度の適用状況等を飛ばしていただきまして、8ページに、表題「所得税・法人税における申告義務等」という資料がございます。これは6月の基本方針で免税点制度につきまして、「個人事業者と法人の相対的な事務処理能力の差異も念頭におきつつ」というふうにされておりまして、これを踏まえた資料でございます。所得税・法人税の世界で、個人あるいは法人にどのような申告義務等が課されているかをまとめてございます。

まず最初に、「確定申告書の提出義務」というところで個人と法人、比較していただきたいのですけれども、個人の場合には年税額がある場合のみ、所得税の確定申告書の提出義務があると。一方、法人につきましては、原則としてでございますけれども、納付税額の有無にかかわらず、内国法人に提出義務があると。ここに大きな違いがございまして、その下に「申告書への添付書類」というのがございます。個人事業者、所得税の確定申告に当たっては、青色申告書であれば、B/S・P/L、それから所得金額の計算に関する明細書等の添付が必要になります。白色申告書であれば、それよりも簡単な、総収入及び必要経費の内容を記載した書類等がございます。一方、法人のほうは損益金の処分表、B/SP/L、それから資本積立金額の増減に関する明細書と法人税法に定められておりまして、ここでも法人の場合には、確定申告をすべての法人が提出し、すべての法人がこの添付書類を用意する必要があるということでございます。

3つ目の「記帳義務」でございますけれども、ここは個人事業者の青色申告者と青色申告法人には仕訳帳及び総勘定元帳ということで差はございません。ただし、青色申告者以外の者につきましては、個人については一定の所得金額を超える者において記帳義務が課されているのに対しまして、法人の場合には、青色申告以外の法人であっても、すべて簡易な方法で記帳するということが定められているところでございます。

ここから、法人につきましては、赤字であれ黒字であれ、確定申告提出義務があり、それに際してB/S・P/Lなどを整備する必要があると。そのためにも記帳義務が定められているということかと思います。

なお、商法の世界では、(注)にありますように、個人、法人を問わず、商人には商業帳簿の作成・保存義務が課されているところでございます。

ただ、法人については、この帳簿の不記載及び不実記載について罰則が定められているということでございます。ここが個人、法人の事務処理能力の差異に関する資料でございます。

次に、9ページは飛ばしていただきまして、10ページでございますけれども、以前から事業者免税点制度の水準につきまして、諸外国との比較という場合に、フランス、ドイツ、イギリスという主要国との比較の資料をお示ししてきたところでございます。今回、それ以外のEU加盟国の免税点制度はどうなっているかというのを調べてみましたので、これを資料にまとめたところでございます。

見てみますと、ないというところもございますし、相当に低いところもある。いずれにせよ、日本の免税点の水準というのは相当に高い水準であるということがこの資料よりおわかりいただけるのではないかと思います。

以上が免税点制度に関する資料でございます。

次に11ページより簡易課税制度でございますけれども、11ページを飛ばしていただきまして12ページ。これは前回ご説明させていただいた資料でございますけれども、「簡易課税制度と『益税』の関係」ということで、簡易課税の場合のみなし仕入率と実際の仕入率で、みなし仕入率が実態を上回って乖離している場合にはいわゆる益税が発生すると。

ただし、(注)にありますように、みなし仕入率が実態を下回っていれば、益税とパラレルに考えれば損税は発生することになるわけでございますけれども、この場合、事業者の多くは簡易課税を選択せず、本則による申告を行っているものと考えられると。6月の基本方針にも記述されておりますように、簡易課税の場合、事業者の多くは損得計算をして簡易か本則かを選択しているのではないかということを前回ご説明させていただいたところでございます。

これについて、次の13ページにあるような一定の調査を実施しましたので、これをご報告させていただきたいと思います。この調査の眼目は、「概要」にもございますように、本則課税を適用されている者と、それから簡易課税を適用されている者の課税仕入率、課税売上高分の課税仕入高の仕入率を比較したものでございます。

本則課税適用者については国税庁の申告事績を利用しております。ただし、比較するわけでございますから、簡易課税適用の可能性がある売上2億円以下の事績を使っております。簡易課税適用者については、簡易課税適用者の中からサンプル抽出して、決算書に基づいて課税仕入率を計算しております。これは、(注)にありますように、簡易課税を適用する場合には申告事績からは、みなし仕入税額で申告しているために実際の仕入額を把握することができませんので、決算書から課税仕入額を試算する必要があるわけでございます。

調査の対象者でございますけれども、本則課税の場合には、国税庁の課税事績による売上2億円以下の事業者66万9,000社、これは全数でございまして、すべての売り上げ2億円以下の課税事業者について対象としているところでございます。簡易課税適用者でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、サンプル調査ということで4,438者抽出しております。これにつきましては、サンプル調査の数が少ないのではないかと。今日ご出席の副大臣からもご指摘いただいたところですけれども、全国まんべんなく抽出した者を対象としているわけでございます。

この課税仕入率の試算に当たっては、(2)でございますけれども、決算書の必要経費から課税仕入に該当しない額を控除いたしまして課税仕入高を把握する。なお、課税仕入と非課税仕入が混在する費目等につきましては、一定の仮定を置いて試算したところでございます。

これを業種ごとに比較したものが3.の「調査結果」でございますけれども、これをわかりやすく図示したものを14ページに掲げさせていただいております。第1種から5種まで、それぞれみなし仕入率90%、80%、70%、60%、50%と5種あるわけでございますけれども、第2種がある程度わかりやすいかと思いますので第2種をもとに説明させていただきますと、第2種、小売業でございますけれども、みなし仕入率、80%ございます。これに対して本則適用者の仕入率は85.6%。一方で簡易課税適用者は75.4%。

最初に説明いたしましたように、本則適用者の場合にはみなし仕入率より高い数字になっておりまして、他方で簡易課税適用者はみなし仕入率より低いという、ある程度きれいな結果が出ているのかなと思います。

これは3種、4種、5種、いずれについても、みなし仕入率をはさんで、本則適用者の仕入率が高く、簡易課税適用者の仕入率が低いという調査結果になりました。第1種については、本則適用者の平均仕入率とみなし仕入率、大体拮抗する水準になっておりますけれども、いずれにせよ、簡易課税適用者の仕入率は低いという結果になったわけでございます。

この14ページはその4,438者の個人、法人の合計でございますけれども、次のページで、個人に限って見ればどうか、あるいは法人に限って見ればどうかということを調査してみましたので、ご覧いただきたいと思います。

15ページは個人に限って1,670者について同様の表をつくってみたわけでございますけれども、これについても、先ほどの全体と同じような傾向になっております。第1種から第5種とも本則適用者の仕入率が高く、簡易課税適用者の仕入率は低いという結果が出ております。

16ページの法人についてもほぼ同様の結果が出ておりまして、この調査を見る限りにおいて、個人、法人の別はなく、簡易課税適用者の仕入率は低くて、本則課税適用者の仕入率は高いという結果がうかがわれるのではないか。そういう意味で、この調査結果を見る限りにおいては、簡易課税を適用するに当たって損得計算しているのではないかとうかがわれる結果となっているわけでございます。

次のページは、これも前回説明させていただきました簡易課税制度の諸外国の状況でございます。

18ページ以下は申告納付制度について資料を用意させていただきますけれども、時間の都合上、説明は省略させていただきます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。新しい側面からの調査もしていただきました。

ちょっと時間をとりまして、消費税全般につきまして、今出された資料についてのご質問でも結構ですし、いろいろご意見を賜りたいと思います。どうぞ、どなたでも結構ですから。

委員

今の仕入率の、こんなに事細かによく調べたなと思いますが、でき上がりは、調べなくてもそう言うだろうなと思ったのが証明されたというのは、やはり偉いなとは思いますけれども、ただ、札幌のスーパーの払い戻しなんかを見てますと、あの払い戻しで最初払った消費税はどうなるのだろうかとか(笑)、そういうことを考えていると、細々、世の中、そのためによくなるのかどうかなど考えますと、結局やはり、随分時間もたったし、先々、消費税率を上げなければならないという合意も一般的には成立しつつある中で、この免税業者とか簡易税制というのは、どこかで線を引いてというのではなくて、原則なしにしてしまうのがいいのではないかと僕は思います。

ただ、さっき言ったスーパーの話みたいに、じゃ現実的にどう運用するかとうのは現場で考えるしかないわけでありまして、そこまで制度として介入する必要はないのではないだろうかと思います。ですから、適用状況という、色が染まっているところですけれども、この前の基本方針でも、六十何%から相当部分下げるというと、39%に持っていくしかないわけですが、53%では相当にならないということで、結論は出たような話ですが、もっと言って、どうせならばやめてしまうというのがいいのではないかと私は思います。

委員

個人も含めてですね。

委員

個人も含めて。

委員

まず、今説明のあったサンプル調査についてですけれども、その数字の出し方について質問させていただきたいのですけれども、本則適用者は全数、それから簡易適用者はサンプルと。これは仕入れの割合ですけれども、各会社の仕入れの割合を平均したのか、全部の売上高を足し合わせて、そこから平均的な仕入率を出したのか、まずそれはどちらなのですか。

委員

技術的な点ですが、わかりますか。まとめてやったのか、個別にやって積み上げたのか。

もしかあれでしたら、後ほど、わかってからで結構ですが。

委員

次の質問に関係していて、我々の仕事というか、重要なのは、この結果をどう読むかということですけれども、明らかに簡易課税業者でみなし仕入率が実際自分が高い人たちは本則を適用していると。そして、みなし仕入率は簡易課税を適用している人にとっては高いと。したがって、まだみなし仕入率は高くて調整する余地がある、あるいは全廃すべきだと、そういうのが議論ですけれども、最初の質問と関係しているのですけれども、平均だけ一本出して、各業種でどうだこうだというのではなくて、せっかくですから、本則適用者の仕入割合のばらつきといいますか、分布も見せてくれるといいと。

つまり、第1種ですと90%がみなし仕入率で、本則適用者の仕入割合がどういう形で分布しているのか、それがあるともっとよくわかってくると思います。だから最初に質問させていただいたのですけれども、それが言いたかった。

それからあと、この図自身から見ればやはり当然で、簡易課税に適用できる人たちも自分の財布をしっかり考えてやっているというのは、それは当然のことが出てきたかなと思います。

委員

前段の、何かありますか、事務局。

事務局

まず最初の質問でございますけれども、これは各会社ではなくて、サンプル調査の仕入率の出し方でございますけれども、各項目足し合わせて計算して出しております。

それから、今委員が後段でおっしゃいました本則課税適用者の仕入率を平均ではなくて分布というお話でございますが、実はこれは国税庁の申告事績ですが、これについては平均した数字のみございまして、これを使っているところでございます。

委員

データを少し下って借りてくれば計算は簡単だよね。だから、平均ではわからない姿がばらつきというところで求められるかわからない。もしか時間があり、かつ、やるエネルギーがあればやっていただくとおもしろいかもしれない。

委員

簡易課税のほうはサンプルですから、これはやろうと思えばすぐできます。

委員

これは要望ですね。

事務局

どんな方法ができるか、いろいろ考えながらやってみたいと思います。

委員

ちょっと遅れて来て、説明途中から伺ったので、言っていることに間違いがあれば訂正をお願いしたいのですが、14ページと15ページあたりがこの資料のハイライトだという印象を受けるのですがね。1つ気になるのは、いわゆるみなし仕入率というものを細分化し実態にあわせてきたということをこれまでしきりに強調してきた。ところが、この資料を見ると、かなり乖離があるという、全くこれまでと違う言い方になっている。事務局の方の調査でそういう新たな事実が判明したと言えばそれまでかもしれないけれども、これまでさんざん繰り返し、みなし仕入率の設定はかなり実態を反映していると言ってきたこの言い方はどうやって訂正するのかという問題が1つある。

それから資料プロパーのことで、委員もちらっとおっしゃっていたわけですが、本則適用と簡易課税適用とどのぐらいの比率があるのですか。何かそういう資料ありますか。この資料で。つまり、サービス業でいえば、本則適用は85.2%だと、簡易課税は40.1%だと。したがって、簡易課税を使っている人は10ポイントぐらいもうけている、こういうことをおっしゃりたいのだろうけれども、それはそれとして、例えば業者が1万あると、本則適用はどのぐらいなのか、簡易課税適用者というのはどのぐらいなのか。そこら辺は、調査の過程で明らかになると思いますが、どうなってますか。

委員

今わかりますか。

事務局

まず、2つあったうちの1つ目の仕入率の話でございます。ここで、仕入率について、今、委員のご指摘は、みなし仕入率と簡易課税適用者の仕入率が乖離しているではないかということかと思いますけれども、実は仕入率の計算に当たっては、例えば第2種小売業の仕入率が80%が適正かどうかということを見るに当たっては、この小売業という業種全体について仕入率を試算して当てはめたわけでございますけれども、今ちょっと手元に数字ございませんが、本則適用者が85.6%、それから簡易課税適用者が75.4%、これは加重平均する必要がございますけれども、平均すれば、大体80%近くの水準になるのではないか。

唯一、そういう意味でいいますと、全体の、14ページの資料で申し上げますと、第1種については、これは本則も89.4%、それから簡易も81.7%と。これを計算すると、多分90%より下だから、この90%というのは少し高いのではないかというご議論はあろうかと思いますけれども、これも実は、第1種の卸売業といいましても、特にサンプル調査は、13ページの説明でもありますように、小売業、卸売業が主たる業種になっているものだけを抽出したわけでございますけれども、本則課税の場合には、卸売業とほかの業種を兼業している者がございまして、したがって低くなっているようなことであろうかと思います。

したがいまして、第1点目について申し上げたいことは、みなし仕入率の決定に当たっては、簡易課税適用者の仕入率の比較ではなくて、業種全体の仕入率と比較して決めるべきものであるということでございます。

委員

後段のほうは数がわからないかということです。

事務局

2点目につきましては、全体の数はございますけれども、ちょっとこれも今手元にありませんので、次回にその数の話をご報告させていただきたいと思います。

委員

委員みたいな見方もできる。僕なんぞは、この第5種を除いて、まあ結構近いわという見方をしていたのですよ。

委員

だから、「近いわ」はいいのですよ。だけど、第5種というのがかなり開きがあるという感じはするわけでね。要するに、今の事務局の説明、全然わからないですよ、はっきりいって。もっと簡単に、そんな細かく考えないで、もっとすっきり言ってもらったほうがこっちはわかりやすいのだけれども。

つまり、この問題は、いわゆる中小企業特例の圧縮というか、あるいは実勢どおりという基本方向は本則適用者にはあまり関係ないのですよ。問題は、この簡易課税適用者、簡易課税を使っている人たちに影響がある。したがって、全体の中で、あるいは業種的に影響を受ける業者、事業者というのはどのぐらいあるのかは、これからの議論をしていく上でやはり知っておいたほうがいいということです。

このサンプル調査をやったのだから、当然それはすぐ出てくるわけですよ。業者数というのは。そんな難しい話ではないので。つまり、どうせサンプル調査をやるのなら、そこまでちゃんと分析してもらいたいということです。

委員

そういう注文がついたということをテイクノートしておいていただければ。ほかにいかがでしょう。

これはそもそも、90%、80%、70%を決めたときにこんな計算をして決めたのですか。それとも腰だめ的にやったのですかね。昔の話だからわからないかもしれないけれども。

事務局

この5分類を決めたときには、本則課税、簡易適用合わせてサンプル調査して、その業種の仕入率が幾らになるかという計算をして、大体平均的な水準に決めさせていただいております。

委員

そうすると、それ以来、第5種も大きく変わったということですな。多分。第5種、これだけ食い違ってますからね。まあ過去の話はいいとして、そういうことがされたということ。

委員

私もよくわからないのですが、この前も同じような質問をした箇所ですけれども、サービス業というのはどういうものが入っているかというと、サービス業というのはかなり定義が難しい。しかも、実際の業態がどういう仕事をしているかによって全く違うものが雑多にあるわけですよね。その中で仕入率が低いというのは、本当に低いのか、それとも、課税上、そういうものは仕入とは言えないと、否認される場合が結構あると思うのですね。

例えば営業費のようなものがどっちへ入っているかということになると、実際は相当、そういうものにコストをかけているのに税務上は認められないというケースがたくさんある。それがもし否認されて、簡易課税のみなし仕入率が高過ぎるというので下げられたら全くやっていけなくなる企業がたくさん出ると、そういう問題があるのではないですかということをこの前聞いたわけですけれども、第5種のこれを見ますと、やはりそういうことがあるのかなと思いますから、ここをごりごりやって締めつけていくようなことをするのがいいのかどうか。消費税に対する国民の信認とかそういう観点ですれば、もう少しそこは大らかに考えておかないと、また別の問題が起きてくるのではないかなという気がします。ちょっとそれは意見ですけれども。

委員

でも、これは本則適用、85.2%仕入れですから、随分高いのですよね。

委員

ですから、賢い人と、それから両方ですね。それから、そういうやっていけないところとがあるのではないか。

事務局

第5種の本則課税適用者の仕入率が高いことについて、今何人かの委員の方からご指摘いただきましたので、この点についてちょっとご説明させていただきたいと思います。

実は13ページのほうを見ていただきたいのですけれども、「調査結果概要」のところに、第5種というのはどういう業種かということで、サービス業、運輸・通信業、不動産業というのがございます。ここで問題になるのは不動産業でございまして、この中ほど、2.の「調査について」の[2]の(注)にありますように、実はこのサンプル調査においては主たる業種の売り上げが75%以上のものを対象にしております。これは、兼業の場合には仕入率を加重平均するわけでございますので、兼業による影響を排除するためにこうしているわけですが、不動産業については、まずサンプル調査の場合では、不動産業という中に不動産売買業、不動産賃貸、管理・仲介業等ございまして、売買業というのは、この分類でいえば卸売業とか小売業と同じ、仕入率が高い業種でございます。サンプル調査については、この影響を排除するために、明らかに不動産売買を行っているものについては不動産業から除外して計算して、これが44.3%という数字になるわけでございますけれども、本則適用の場合には、先ほど申し上げましたように、申告事績そのまま使っておりますので、この中に不動産売買業、本来、仕入率が高い者が相当程度含まれているのではないかと思われます。

したがって、本則適用の場合には93.6%と、不動産売買業者の場合には、仮に当期において建物の仕入れを行ったりしてますと、仕入れのほうが大きくなって、100%以上の仕入れという状況にもなるわけですから、そういうのを排除、本則適用者の調査においてはそのような者を排除できなかったものですから、少し高い数字になっているという事情があって、第5種全体として高めの数字が出ているということでございます。

委員

ほかの論点、何かございませんか。要するに申告のところとか、あるいは免税点、よろしゅうございますか。

委員

免税点のお話と、この簡易課税を並べた場合に、簡易課税を廃止した場合に、免税点を下げていくと、これ全部が全部実際の金額で計算することになるのかどうかということですけれども、仮に売上高1,000万以下は免税とした場合に、間の1,000万から3,000万までの業者、これも簡易課税がなくなって、一般の普通の計算をするようになると。売り上げの税額から仕入れの税額を引きますと。

こういうことになったときに、さて、これらの業者というのはどこまでちゃんと帳簿をそろえているのだろうかと。法人税なり所得税なりで青色申告で出している記帳と合ってくればよろしいのですけれども、そうでない場合、ただでも、仕入否認という、仕入の金額だけ多く見積もって出してくるのでそれを否認するとか、そういうことが起きるわけですが、今度同じように実額でやろうとしますと、仕入れのほうは大きくて売り上げのほうが低く見積もってという形が出てくると思うのです。これは執行の問題ですけれども、そういうものを考えたときに、じゃどうやって推計しますかというときに、簡易課税が出てきたりすると、何か随分おかしいことになるなというような気がしまして、簡単にいうと、わかりませんが、免税点を超えてなおかつ、これでいうと3,000万ぐらいでしょうか、その間の対応というのは、ここに何かかなりいろいろな操作といいますか、もともと帳簿もしっかりしてないとか、そういう問題で執行上困難を生ずるということはあり得ないでしょうか。もしそうだとすると、この簡易課税というのは本当に全部なくなるのか、あるいは、どうせ怪しいから推計という形で簡易課税をここだけは残すのか、方針としてはいかがなものでしょうか。

委員

まだ考えてないと思いますが、何かあればどうぞ。

事務局

そこはまさにご議論いただきたい点の一つだろうと思います。免税事業者の水準を1,000万にするのかどうかはともかくとして、従来、免税事業者が課税事業者に変わった場合に、課税事業者として申告するに当たって、いきなり本則適用をストレートに直ちに適用するべきなのか、あるいは、そこに何がしかの激変緩和的な簡易課税というものをそのものに対して引き続き存置しておくようなこともあり得るのかどうか。そこは執行の問題ももちろんあろうかと思いますけれども、その辺の配慮をどこまでどういう考えでやる必要があるのかないのかという点はひとつご議論いただくべき点ではないかと思います。

中間整理では簡易課税は原則廃止という、基本的に廃止するのだという骨太の考えを出していただいているわけですが、その基本的という、あとは意味合いの問題をどこまでどうとらえるかという問題だと思います。

委員

副大臣はその辺お詳しいかもしれませんが、何かアイデアありますか。

事務局

これは従来からいろいろな問題が起こっておることで、先ほど説明のときに、サンプルの数も含めて、どうも国会の中の議論もそういう論議もあったわけで、もっと実態的な資料を整えて議論していただいたらどうかということを申し上げたのですが、やはりこれは、さっきも委員の方からおっしゃったように、原則課税であればこんなこと考える必要がないわけですけれども、導入のときにこういうような特例を設けて、この特例は極めて政策的な観点ですから、これをどのようなことで今後考えていけばいいのかということを、実態的な調査も含めて今やっているわけですけれども、ここはもう委員の先生方のいろいろなご意見をお伺いいたしたいと思っております。

委員

わかりました。

委員

消費税に対する国民の信頼感をいかにして得るかというのがやはりポイントだと思うのです。そういう意味で、現行の消費税制度、不透明感をやはり排除するということを最優先的に考える必要があると思うわけですね。いずれにしても、免税点にしろ、簡易課税にしろ、益税が発生する余地はあるわけでありまして、事業者の6割強が免税事業者というのはどう見てもおかしいわけですね。だから、少なくともこれは半減しないといかんだろうと思うわけです。3,000万円の免税点、これは国際比較でもちょっと異常に高い。こういうのをそのままほうっておくわけにはいかないと思います。個人事業者と法人がありますから、その場合どうするか。一律にやめてしまうという説もありますが、やはり法人と個人事業者で違うわけですね。事務処理能力が違うわけでありまして、法人はそういう能力はあるから、法人の場合は完全に廃止してもいいと思いますが、個人事業者については、その事務負担能力を考えると1,000万円ぐらいが妥当かなと私は思います。

それと、激変緩和として免税事業者が課税業者になった場合に、簡易課税制度を残すかどうかでありますが、このサンプル調査によりますと、いろいろ損得計算してやっているということはやはり読めるわけですね。ここはやはりもっとすっきりさせたほうがいいと思います。あまりあいまいな形にしておくのはいかがなものか。やはりすっきりさせたほうがいいと私は思います。

委員

次にいってよろしいですか。じゃ最後にどうぞ。

委員

免税点の場合に、現在、課税事業者が225万者、免税業者が367万者ですね。それで1,000万以下が230万者で、1,000万以下の免税点を残すとすれば、百何十万だか増えるのですが、執行体制はどの程度違うものですか。要するに件数で5割増しですよね。

委員

ご質問は、執行体制、対応できるかということですか。

委員

そういうことです。

事務局

執行体制の問題、この場で、必ずこうこうという話までできるかどうかという問題ありますけれども、今現行は、税務署においては、例えば法人についていえば、すべての申告を受け取っているわけでございますので、これが5割増しになったら執行がついていかないというものではないのではないかという気がいたしております。

委員

ちょっとそれは専門家に聞いて、少しまた資料が出てくれば、お考えがあれば、いずれまたお聞かせいただきたいと思いますね。

それでは次に外形へいきましょうか。第2のテーマであります。それでは、事務局、ご説明ください。

事務局

それでは、「基礎小19-2」という資料をお開きいただきたいと思います。

1ページ、2ページは今までいただきました答申等の抜粋でございます。3ページが「税についての対話集会」におけますアンケートの結果でございまして、8割強の方が外形標準課税について肯定的な返事をいただいたところでございます。

4ページは、前回、そもそも外形は何で導入するのかということでございました。今まで言ってきましたように、4つの理由がございますということで、事業規模に応じて薄く広く公平にという点、2点目としまして、受益に応じた負担、それから3点目としまして、安定的な行政サービスの提供、4点目といたしまして、努力した企業が報われる税制ということで導入を図りたいというものでございます。

5ページは、法人事業税の性格ということで、応益課税であると。したがって、課税標準につきましても、事業活動の規模に応じたものが求められるということでございます。

6ページは「法人事業税の改革の背景」ということでございますが、省略させていただきまして、7ページ、「法人事業税収の推移」ということでございます。平成元年から平成の初めに6兆円を超える税収があったわけでございますが、最近は4兆円を割るという状況になっておるところでございます。

なお、前回申し上げましたとおり、私ども、この改革を行うに当たりまして、平成元年から10年までの税収の平均をとっておるわけでございますけれども、これをこのまま単純に平均したのではございませんで、税率も変わったりしております。また物価も変わったりしておりますので、それらを勘案しました上で、平均税収ということを申しているところでございます。

それから8ページでございます。前回もご議論いただきまして、地方公共団体、特に都道府県から企業がどういった行政サービスを享受しているのかというご質問がございました。行政サービスをそれぞれ法人向け、個人向けということで峻別することはできませんで、やはり企業活動というもの、さまざまな行政上の制度、資源等を総合的、一体的に利用しておるということで、それは個人向け、法人向けということではなかなか切り分けることはできないと思いますが、都道府県の提供しているサービス、商工費、民生費、衛生費、教育費、土木費、そのほかにも防災対策ですとか警察費といったようなことで、企業活動にも非常に関係するのではないかということで挙げさせていただいたものでございます。

それから9ページは、現行の制度と、あと旧自治省案、総務省案の違いを模式的にあらわしております。旧自治省案、総務省案とも外形標準を2分の1ずつ入れるということでございます。その外形標準として、旧自治省案は付加価値額、総務省案は付加価値のほかに資本割を入れたということでございます。

10ページはそういうことでできました旧自治省案。11ページ、12ページは総務省案でございます。

それから13ページに「総務省案の課税標準」ということで書かせていただいておりますが、まず付加価値額でございます。これは収益配分額に単年度損益をプラスマイナスするということでございます。

そこに※印でございますが、単年度損益といいますのは、欠損金の繰越控除を行わなかったものとした場合における法人事業税の所得ということでございまして、その結果、欠損金が生じた場合には収益配分額からその分を控除するということにしておるものでございます。

それから資本割でございます。資本割の課税標準は資本等の金額ということで、具体的には、括弧にございますとおり、資本の金額または出資金額と資本積立金額、具体的には株式払込剰余金等でございますが、それの合計額ということでございます。

これが基本でございますが、特例を1つ考えさせていただきたいということでございまして、持株会社については特例を置かせていただきたいということでございます。持株会社というもの、これは株式を通じたほかの会社の支配を主な事業目的としておるということでございまして、同程度の事業規模の法人より資本が過大になる傾向にあるのではないかというご指摘がございます。

それで、こういった持株会社には特例を講じることにさせていただきたいと思いますが、まず持株会社とは何かということでございますけれども、括弧にございますとおり、総資産に占める子会社株式の割合が高い法人、今50%超というのを考えておりますが、そういう法人についてはということで、こうした持株会社につきましては、総資産に占めます子会社株式の割合相当分を資本等の金額から割り落とすというふうにさせていただきたいということでございます。

つまり、資本等の金額×、分母に総資産、分子に子会社株式というものを、その分を資本等の金額から控除するということにさせていただきたいと考えております。

続きまして14ページは付加価値の中立性、15ページは段階的導入ということでございます。

続いて16ページでございます。各資本金段階別に事業税負担がどのように動くかということで、そのイメージということで示させていただいたものでございます。前回もお示ししたものでございますが、いろいろな法人企業統計年報等から一定の仮定を置いて税額を計算したものでございます。

例えば1,000万円未満の場合、平均をとりますと、資本の金額が360万、売り上げが8,400万、従業者数が7人という平均値が出てまいりましたので、これに基づきまして、欠損法人の場合ですと、今までゼロだったもの、それが4万8,000円になるだろうと。簡易税額ということで4万8,000円でございます。

一方で利益法人の場合は、今まで事業税30万円を払っていたものが約20万円になると。つまり所得に係る分が半分になりますので、15万円になると。15万円に4万8,000円、約5万円を足して約20万円という形でやっております。

なお、かぎ括弧の中は法人税、法人税割、それから事業税の合計が180万ということでございます。こういったやり方でやっていきますと、欠損法人の平均税負担、1,000万から5,000万の場合はゼロが37万円、5,000万から1億の場合は、ゼロだったのが177万円程度、1億から10億が550万といった形で出てくるわけですが、利益法人の場合は、右端にございますとおり、減税になるという結果が出ております。

なお、17ページを次にお開きいただきたいと思います。ここは「法人事業税負担の現状」ということでございますが、先般の総会でも、黒字法人でも増税となる法人がかなりあるというご指摘があったわけでございますが、それは、結局、黒字といっても、その黒字幅がわずかであるということからそういう結果になるのではないのかということをお示しするための資料でございます。

まず、[1]にございますとおり、全法人の約7割が欠損法人であるということでございます。したがって、利益法人は約3割、32.2%あるわけですが、どのぐらい所得を上げているのかということで、この利益法人の内訳を見てみますと、利益法人の62.4%、左下に四角で囲ってございますが、62.4%は所得400万円以下である。それから400万円から800万というのは11.2%、全体の3.6%ということでございますが、要するに所得が低い。特に400万のところの平均税額を見てみますと、約5万円ということでございます。したがいまして、赤字は当然、個々の企業で見ると増税になるわけでございますが、黒字の中でも所得が低いところ、そういった会社、それがかなりの部分を占めるわけですが、そういうところはやはり増税になることもあり得るということでございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

まとめがぴちっと効いていると思いますが、じゃこれをベースにいたしまして、外形、どういうふうに持っていくかという話、ご意見を伺いたいと思います。どうぞ。

委員

私は、外形標準課税の考え方は前々から賛成ですし、いい形で導入できればいいと思っているのですけれども、今最後にご説明いただいたところがわりと重要だなと思っているのですが、16ページの「平均的な法人の事業税負担のイメージ」、こういうことであれば、本来の趣旨ですよね。つまり、広く薄くみんなで負担しようということでいいのですけれども、ただ、委員の先生方よくご存じと思いますが、特に中小企業団体とか、たくさんいろいろなデータが出ていて、その中では個別企業の実名の入ったデータもたくさん出ていて、かなりのところは、黒字法人でも赤字になるというデータが出回っているわけですね。これはやはりきちっと整理しておいたほうがいいのではないか。

だから、今のご説明、17ページは、こういうふうに説明できるのかもしれませんけれども、必ずしもこうではないですね。やはり国民的な議論なので、本来、黒字法人は負担が軽くなると。で、恐縮だけれども、赤字でも大きなオペレーションやっているところはそれなりの社会的負担をしてもらわなければいかんというのが筋ですから、黒字法人で、個別にたくさん出ているようなデータ、私も見ているので、ここはどういう理由でそういうことになるのか、もうちょっと詰めたほうがいい。あるいは、中小企業団体なんかでそれこそ100万件もメンバーシップがあって、そういうところで1万何千件のデータでやりましたというので、サンプリングとして1万何千件も出てくれば、これは大変な信頼度の高いデータのはずですけれども、17ページの説明でもそこのところがちょっと、まだこれで説得し切れたとは言えないと思うのですね。だから、制度設計上まだ工夫の余地があるのかどうなのか、そこだけちょっと、次回以降で結構ですので、ひとつお願いします。

委員

事務局に頑張ってもらうというメッセージですな。よろしく。

委員

今、委員のおっしゃったことに同感なのですよ。というのは、どうも商工会議所あたりの調査によると、黒字企業でも8割以上が負担増になってしまうと。これが事実とすれば、広く薄くという制度改正の趣旨と若干そぐわないところが出てくる。厚く広くになってしまうということなのです。

問題は、どうしてこれだけの違いが出てきてしまうのかということなのです。私としては、そこら辺がはっきりしない限り、どうもこの議論の前提に欠けているということで、はっきりいって、判断しがたい、しにくい状況に我々は立たされていると思うわけであります。負担増なのか、いやいやニュートラルなのか、あるいは若干の負担増だけれども薄く広くという趣旨は一応かなえるのか、そこら辺のことをまずはっきりさせてもらいたい。

そこで1つ、具体的に伺うのですが、0.66%、事業活動価値に対する税率ですね。あるいは資本割に対する0.48%という税率はどのぐらいの税収を想定してこういう税率を逆算したのか、ちょっとそこら辺お聞かせいただきたいのですが。

事務局

前回も申し上げたかと思いますけれども、平成元年から10年までの平均をとりまして、収入金課税の分なんかを除きますと、この数字はまだ11年度ベースでの数字になっておるわけですけれども、3.9兆円。その3.9兆円の半分は所得でいく。残りの半分、1.95兆ということでございますが、これについて外形標準でいただくということで設計しておるところでございます。

委員

ということは、要するに3.9兆円を確保するために、この0.66%とか0.48%とかいう数字が出てきたということでよろしいのですか。

事務局

その3.9兆円の半分の1.95兆の部分ですね。それをターゲットということで計算しております。

委員

そういう説明を前提に考えますと、この7ページのグラフで明らかなように、平成元年から平成10年までの事業税収というのは、私の計算するところだと5.2兆円になる。5.2兆円から電気・ガスとか保険とか、いわゆる収入金額ベースの業種を除くとそれが3.9兆円になると、こういうことですか。

事務局

先ほども申し上げましたが、まず税率が10年、11年と変わってきたりしております。そういったことで、税率を今の9.6%というものに置きかえたりしまして、そうした上で平均をとりましたところ、10年間の平均は4.4兆円ということになっております。そのうち5,000億が収入金課税法人ですので、それを除いた3.9兆円、その3.9兆円のうちの半分を外形でいただきたいということでございます。

委員

よろしゅうございますか。

委員

いや、よくない(笑)。これは非常に重要なのですよ。というのは、いろいろ要因が、つまり商工会議所あたり、つまり納税者側のデータと皆さん方のお示しになっているデータと、そのギャップ。その結果として、黒字法人でも8割以上が税負担になると。その原因の究明にとってちょっと大事な話なので伺いたいけれども、4.4兆円になって、そのうち、いわゆる収入金ベースが5,000億円ですか。ということは、要するに平成12年度の3.9兆円、このうちでやはり5,000億円ぐらい収入金ベースの税収があると、こういうことですか。

事務局

例えば12年の3.9兆円の中にはそういうことでございます。収入金課税法人の分も含めて3.9兆円ということです。

委員

ですから、そうするとこれは自動的に、少なくとも5,000億円の負担増になると、こういうふうに理解してよろしいのですか。あるいは4.4兆円をベースにすると、さらにこの負担増の規模が膨らむと、こういう理解でよろしいですか。

事務局

先程、4.4兆円と申し上げました。そのうち5,000億円とって3.9兆円。しかしながら、その3.9兆円のうちの所得の部分は最近縮んできているわけです。縮んでくるわけですので、4.4兆円にそのままなるわけではございません。したがって、5,000億円の負担増があるのかというと、それはそうではないということになると思います。

委員

私ばかり発言していてもほかの方に失礼なので、もう一問でやめますけれども、つまり、所得ベースで落っこちてしまったのはしようがないと。要するに右側の事業価値とか資本割、これは従来どおりの過去の平均をベースにきっちりいただくと、こういうことになるわけですな。

事務局

そういうことでございます。したがって、平均の取り方等については、私ども、バブル期もあるけれども、その反動で落っこってきたときもあると。そういうようなもの全体ひっくるめたものをターゲットということで考えさせていただければと思っておるわけでございます。

委員

議論の中身が大分深まったと思います。じゃ委員、どうぞ。

委員

私の疑問というか関心は今までの議論の一部ですが、経済界の反対が非常に高まっているわけですけれども、これはもっぱら、黒字法人でも税負担が重くなるというところに非常に力点が置かれて反対が高いと思います。当然、中には得するというか、税負担が軽くなるところもあるわけですが、そういうところは世の常として黙っているために、非常に反対運動が高まっているのではないかと思いますが、それに対して総務省の、これまで出たのですが、いま一つ説得力がないのですね。

それはどうしてかというと、非常に感覚的ですけれども、税収の高いレベルの10年間をとって、それをベースにこういう案が出てきた一方、反対する企業のほうは、今の非常にカスカスの利益の中で比較するものだから、そうすると外形分の負担がかかってきて、どうも現在より重くなるというような意見が大勢だと思うのです。

これは非常に短期的な話ではなくて非常に中長期の問題の税の改革ですから、言うなればなかなか具体的には難しいかと思うのですが、将来こういうふうに利益が厚くなった場合は、本来はこれよりもこうなるのだというような何か具体的な反論ができれば、それは一つの、抽象的でありますけれども、反論になるのかなという気がします。

ただ、今の状況でいくと非常に反対意見が強くて、この導入はどうかなあという気もしますので、もう少し個別具体的な反論の材料が欲しいという、非常に私の漠然とした感覚で申しわけありませんが、それが意見です。

委員

総務省は経済界と真っ向から向き合ってこの辺の議論をしているのですか。

事務局

私どももいろいろ経済団体とお話しさせていただいておりますし、大臣もそれぞれの団体と議論させていただいておるところでございます。

委員

双方、融和は見られてないで、まだ対立状態ですか。

事務局

残念ながら、なかなかお互いの隔たりが埋まってないというのが事実かと思います。

委員

私は感覚的、体験的にちょっと申し上げます。

私いろいろな企業の人と会うときに、昨日までのことでもあるのですが、連結納税を選択するかしないかということと、外形標準やったらおたくはどうなるかと。みんな企業側それぞれ、総務省案をベースに計算しているわけです。委員は、減税になるところは黙っているから増税になるところだけ声がでかいとおっしゃいましたが、いろいろな人と話していると、へえ、ここの企業が増税になるのと思うところは結構あります。ですから、果たして税収中立になるのかなあという感覚的な疑問を持ちます。

そこで、委員等もおっしゃったとおりだと思いますが、議論のベースが同一でなくて、勝手に自分で都合のいい議論のベースをつくってミスマッチしているので、ぜひ共通のファクトを出していただいてフェアに議論しないと、感情論と感情論が行き交うと、そういう感じがします。予想外に、予想以上にといいますか、黒字法人でも、おいおい、おれのところも増税だよという声が随分あることをご紹介しておきます。

委員

ありがとうございました。どうぞ。

委員

今のご意見、大変賛成ですね。というのは、ここ、非常に詰めのときに来たものですから、各方面、非常に真剣で、実名入りの企業のデータも、数千社のデータも出ているわけですよね。それは1つは、サンプリングが偏っているのではないかという議論があります。ただ、これは1万とか2万とかいうオーダーでサンプリングしているときに、余程システマティックに偏っていれば別ですけれども、ちょっと、そう簡単には言えない。それから実名で数千社出てますので、そういう議論がたくさん出ているときに、まさに会長おっしゃったように、膝つき合わせてやっているのかということは、今おっしゃったように、データベースはやはり率直に、共通の基盤ですから、議論して、それはさっき委員が言われたように、例えば、今一番不況ですから、確かに利益は全然出てない。だから、そこで資本割をかけられると赤字になるということはあるかもしれません。

だけど、そこの分布の形なんかは通り一遍の議論で済む話ではないのですよ。これはやはり本格的な議論をしなければならないので、ここは、先生、ひとつしっかり見ていただいて、共通のデータベースで、真剣に分布だとか、それからさっき委員がおっしゃったように、シミュレーションですね。利益がもうちょっと高くなったらどうなるのか。それは単なるシミュレーションですから、実際出てくるデータはそうでないかもしれませんけれども、ある程度の予測にはなるだろうし、そういうことをきちっとやった上で、こういう理由でこんなデータになるのだということなら国民もついていけるけれども、そこをひとつよろしくお願いしたいと思います。

委員

今まで出ている議論に基本的には賛成ですけれども、今の総務省のご説明を聞いていると、税収中立というスローガンと実際に出てきている税の案がどうもあまり矛盾しているように聞こえる。だから、そこをきちんと整合化した上で、まず、まさにデータできちんと出していただかないと、本来賛成してくれる人も反対に回ってしまうのではないかと非常に心配するのですね。

とりわけ、例えば大企業が反対に回ると、例えば3ページの対話集会のアンケートもありますけれども、赤字の零細法人などには特例を設けてもいいという案が結構あるので、例えば零細法人とか中小企業法人はもう政治的にこれにはかけないなんていうことになったり、あるいはそもそもこの案自体全部つぶれてしまうとか、そういうことになると非常に困るので、法人全体にとにかく網をかけてこの税を入れるのだと。これが税調としての一番の大方針であって、これはもう政治折衝を含めて見通した上で、とにかく投網をかけるのですと、そういう税を入れたいのですということで、そのためには、枝葉末節のところは、あるいはある種のメンツは、申し訳ないけれども、少し切っていただいて、あきらめていただいて、きちんと、何が一番最大の目標なのかということを踏まえて行動していただければと思います。

委員

ぼつぼつ先にいきたいのですが、どうぞ、委員、最後に。

委員

ちょっと質問なのですれども、13ページ、「総務省案の課税標準」のところです。またちょっとほじくるような感じになって申しわけありませんけれども、付加価値割のところ、報酬給与額ですね。これは人件費の多い企業に対して、やはり非常に大企業が多いと思うのですね。外資系企業なんかは、この辺に注目しますと逃げ出してしまうというおそれがありはしないか。それから純支払利子とありますけれども、これは利子・配当を一体化した金融商品なんかありますが、その辺一体どうするのだという疑問もあります。

それから、これは皆さんのご意見とも関連するのですが、中小企業に対していろいろな特例措置を設けるということになりますと、結果的に大企業にしわ寄せされてしまう。これはやはり大企業として飲めないと思うのですね。これは相当問題が大きいのではないかと思うわけです。

それから、この案自体、非常に複雑になってますね。非常に複雑化していて、こういう仕組みがさらに地方税体系の中に盛り込まれる。地方税体系の中での法人関係の税、いっぱいあるわけですね。その中にさらにこういう複雑な仕組みが入れられて、全体としてこれは一体どうするのだと。整理する考え方があるのかどうかですね。

以上、質問です。

委員

最後の質問、ちょっとお答えください。今後の成り行きの問題というか、行方の問題。

事務局

まず、賃金課税とかいろいろと複雑になってくるのではないかということですが、これにつきましては、法人税の申告書なり貸借対照表等々、そういった財務諸表など、法人税の申告に用いるようなものの範囲内でできるだけ簡易に把握できるようにと考えておるところでございます。

それから大企業にしわ寄せというご議論もございましたけれども、今私どもが考えておりますのは、大の負担を中小のほうに片寄せするというようなことは考えておりませんで、従来、大からいただいていた分は引き続きまた同額を大からいただくと、中小からいただいていた分、それと同額を中小からいただくといったことでやっておりますので、大から中小へのしわ寄せということは起こらないようにしておるつもりでございます。そういうことで、特に税額の算定等につきましてはできるだけ既存の資料等でできるようにということで考えているところでございます。

委員

大から中にいかないということ、うまくいきますか。中小は圧倒的に赤字が多いのでしょう。

事務局

はい。先ほど3.9兆円というお話をしましたけれども、これは10年平均なわけですけれども、そのうち、大と中小それぞれ分けまして、その上でそれの半分ずつをいただくということで設計しておるところでございます。

委員

すみません。なんか余計な時間で。もともとは、この資料の9ページにありますように、旧自治省案では、付加価値額というのは、大法人で税収幾ら、それを割り返すと1.6%、それから中小1.0%と、こうしたわけですね。これは非常にわかりやすかったのです。ところが、雇用に対する影響という話が多くなったものですから、総務省案は資本割というのを入れたのですね。資本割を入れて、大法人、中小法人を分けなくても大体同じようになってしまったということで、ちょっとこういう経緯はあるのです。だから若干あいまいになったと。

委員

いずれにしても、いろいろきょうはご注文がついた点ありますし、日商、経済界との論争もあるようでありますから、もう少しここの委員の方にも納得していただくだけの資料が必要かと思いますので。

委員

私に対する反論だったのかどうかわかりませんが、私が申し上げたのは、大企業から中小企業にしわ寄せがいかないようにということではむしろなくて、全く逆であって、こういういろんな問題が起きてくると、政治的に、そもそもこの案がつぶれてしまう可能性もあるし、そうでなくても、中小企業だけ抜け落ちるような、大企業だけの課税にするようなことになりかねないと。そういう変なことにはならないようにしてくださいということが申し上げたかったことです。

委員

じゃちょっとまた大きなかたまりの問題が残っておりますので、次にいかせていただきます。次は土地税制関係でございまして、地方税のほうの固定資産税と、それから国税の土地税制、幾つかございます。それでは、事務局からご説明ください。よろしく。

事務局

それでは、「基礎小19-3」、表題のほうは「地方資産課税等説明資料」でございます。後で国税のほうから土地税制全般に関する情報もあるようでございますので、地方税のほうは税目ごとにご説明させていただきたいと思います。

1ページ目は基本方針、2ページ目は「土地税制の推移」ということになってございまして、3ページ目から固定資産税の関係でございますが、時間の関係もございますので、基本的に新たな資料を中心にしてご説明をさせていただきたいと思います。

それでは、何ページか飛んでいただきまして、9ページをお開きいただきたいと思います。これは都道府県庁の所在地におきまして、地価公示の価格と固定資産税の評価額を比較させていただいたものでございます。厳密にいいますと、この両者それぞれ目的が違っておりますので、完全に1:1で対応しているというわけではございませんけれども、概ねの傾向はご覧いただけると思っております。

下のほうに基準年度とございますけれども、固定資産税は、3年に1度、評価替えをいたします。そのタイミングで、左側のほうに県庁所在都市の地価公示の最高価格の平均、右側のほうには同じく全国の県庁所在地の基準宅地、つまり、路線価の最高価格の平均を示させていただいております。

両者の関係は、ご覧いただきますように、平成6年度にいわゆる7割評価を実施して以降、70%ないしそれに近い水準で推移してきてございます。それ以前につきましては、63年度でも37.7%ということで、低い評価割合であったということでございます。最近は、地価公示価格の下落にあわせて固定資産の評価額も落ち込んできてございます。

15年度のところは、これから作業をいたしますので数字を入れてございません。点線で表示させていただいております。

次に10ページでございますけれども、こちらのほうに7割評価の根拠となります法律、評価基準などを掲げてございます。土地基本法の第16条で公的土地評価の均衡化、適正化が要請されてございますし、地方税法の中で評価の基準等の制定を総務大臣が定めるということになっております。3つ目の評価基準のところに、地価公示価格等の7割を目途といたしまして土地の評価をいたすということを定めてございます。

次に11ページでございます。これまでも固定資産税の課税の現在の仕組み、ご説明したことがあると思いますけれども、若干形を変えてございます。現在の考え方でございますが、一番上の枠でかたどった部分にございますが、前年度課税標準額、これが課税いたします年の、当該年度の評価額のどの水準、これを負担水準と呼んでおりますけれども、その状況に応じまして当該年度の課税標準額が決まるということになってございます。

右側のほうに四角い図を掲げさせていただいておりますけれども、例えば上のほうでいきますと、左側に刻みがございますが、これが負担水準というものでございます。負担水準の高いところの土地につきましては、100%から70%に仮にある場合には、課税標準額については70%のところまで下げる。60%から70%のところにある土地については前の年のままの課税標準にする。その下の白い部分、負担水準があまり高くないというところにつきましては、前の年の課税標準額に数字を掛けまして、負担調整率と書いてある部分がそれでございますが、徐々に税負担を上げていこうとしておるわけでございます。

なお、右側のほうに土地の分布の状態を数字を入れております。最近の状況としては、この負担水準の70%以上の税負担を下げる部分ですとか、その下の据え置きの部分に多くの土地が分布しております。大都市を括弧の中に入れておりますけれども、大都市は特に下がる、あるいは据え置きの部分が非常に多い。1割弱の土地しか、税負担が上がるという土地はない、こういうことになってございます。

それから左側のほうに縦に矢印といいますか線を引っ張ってございますが、左側のほうに出しておりますのが地価公示の価格、これを100%といたしますと、固定資産税の評価額が70%ということになりまして、これを7割評価と呼んでございます。実際の課税の上限につきましては49%ということになってございますが、7割の評価にさらに負担水準のところでの70%を掛けた数字ということでございますので、7割評価に対応していえば、49%課税上限と、こういう感じであろうかと思います。

12ページでございます。これも今までご覧いただいているものをちょっとアレンジしたものでございますが、宅地の課税につきましては、代表的なものとして商業地のものをいつも例にしてございますが、それ以外に、小規模の住宅用地、あるいは一般住宅用地というものそれぞれございまして、これらについては6分の1、あるいは3分の1ということで課税標準の特例を入れております。相当程度低い税負担になっているという状況でございます。負担調整についてはそれぞれ行ってございます。

続きまして14ページをご覧いただきたいと思います。これはこれまでもご覧いただいたかと思いますけれども、先ほど申し上げましたような負担の水準の土地の分布のこともございまして、現在は税負担が増加する土地というのは非常に少なくなってきてございます。地価が下落するのにほぼ対応して税収が減収するという感じになってございまして、一番下のほうに全国計というのを出してございますけれども、11年度から12年度のところでの増減率、ここで全国で▲が立ってございます。さらに13年度でも▲が立っておるという状況で、14年度につきましても同じような動向になるということでございます。ちょっと数字は出してございませんけれども。その上のところ、大都市のものを個別に挙げさせていただいておりますが、大都市では地価の下落に対応しての下落というものが顕著になってございまして、大都市計では、平成8年度以降、一貫して減収という状況でございます。

続きまして17ページをご覧いただきたいと思います。基本方針の抜粋を挙げさせていただいてございますけれども、基本方針でも整理いただいてございますように、負担の均衡化・適正化という問題、固定資産税の土地の場合、抱えておるわけでございます。真ん中のほうに「均衡化には30年以上かかる」と丸で書いてございますけれども、負担水準、非常に低い土地、仮に負担水準が8%の土地だと仮定いたしまして、地価が基本的には動かないという状況を考えますと、いわゆる均衡化をするには36年ぐらいかかるということに計算上なります。そのことをとらえて、負担水準の均衡化には30年以上かかると書かせていただいておりますけれども、この時間が非常に長期間にわたるという問題があるわけでございまして、税負担の公平という観点で非常に問題があるということで、ここにアンダーラインを引かせていただいているように、「負担の均衡化・適正化をさらに一層促進する措置を採る必要がある」と考えているところでございます。

あと、20ページから何枚か特別土地保有税の資料を出させていただいておりますが、特別土地保有税につきましては、バブル期に課税強化をした部分、22ページにもちょっと書いてございますけれども、基本的に廃止をさせていただいておりまして、現在は最終的に利用されない土地への課税をするというものになっておりますし、また、23ページにありますように、税収もピーク時の4分の1程度ということになってございます。

詳しい説明は省略させていただきたいと思いますが、固定資産税、特別土地保有税の関係は以上でございます。

事務局

それでは、25ページから不動産取得税につきましてご説明させていただきたいと思います。

25ページにございますとおり、税率、一般的には4%でございますが、住宅と住宅用地については3%ということでございまして、住宅・住宅用地の特例ということでその次の欄にございますが、まず上物で、建物でございます住宅につきましては、新築住宅につきまして1,200万円を控除して計算するということ。それから住宅用地につきましては、150万円または床面積の2倍の面積、200平米限度ですが、これに相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を掛けて、その分を減額するということにしております。

また土地の関係ですが、その下の欄、住宅用地・商業地等の特例ということで、これは課税標準としての価格を評価額の2分の1に圧縮しているということでございます。式にございますとおり、固定資産税の評価額を2分の1にしまして、そこに税率を掛けるということでございます。

26ページは住宅・住宅用地の特例を絵で書かせていただいたものでございます。都市部においては、実質、両方とも非課税になるということでございます。

簡単ですが、以上でございます。

事務局

それでは、「基礎小19-4」という資料、お手元にございますが、この関係で、国税の土地税制をご説明させていただきます。

2枚おめくりいただきまして、6月の基本方針が出てまいります。6月の基本方針の段階で、政府税調として2つのことを整理いただいておりまして、1つは、土地税制につきましては、バブル期に課税強化された分はすでに廃止され、それ以前の水準に戻っておるということでございます。それから2つ目といたしましては、土地税制については土地政策の見直しとあわせ、地価の推移、土地の譲渡益に対する課税ベースが大きく侵食されている現状も踏まえて検討すべきであると。この2点をご答申いただいているところでございます。

2ページ目、3ページ目、その後、土地税制をめぐる状況ということでございますが、6月の与党3党首合意、あるいはその次の3ページ目にございますが、「骨太2002」におきまして、主として土地流通課税につきまして、都市再生等土地の有効利用に資する観点からの検討ということがうたわれているところでございます。

それから4ページ目以下、6月の基本方針以降に土地の関係で新たな情報として出てまいりますが、11ページまで2点、ご紹介申し上げたいと思います。

1点目は土地白書の関係でございますが、まず4ページ、これは昨年からでございますけれども、土地所有と土地の賃借、借地というものについての認識が大分変わってきていて、従来の所有意欲から少し変化が見られている。昨年からその辺のバランスが逆転しているというような資料でございます。

それから5ページ目以下は、同じ土地白書でございますが、地価形成の個別化ということで、利用価値に応じた価格形成がなされている。

6ページ目、これは例でございますけれども、東京、大阪の特定エリア、海外ブランド店の集積があるような土地につきましては、例えば、このグラフにもございますような、銀座、丸の内、青山、表参道、こういうところでは下げ止まりや上昇という傾向が見られるということでございます。

それから7ページ、8ページ目、今いろいろご議論ある都市再生の関係でございますけれども、例えば市街地の再開発、それから交通基盤整備というような都市再生の具体例がある地域につきましては、下げ止まりとか上昇というような傾向もあるという指摘でございます。

9ページ目、10ページ目、11ページ目は、毎年7月時点で出ております都道府県地価調査の結果でございます。ここでも同じく地価の個別化というようなことが指摘されているということでございます。10ページ目、11ページ目は全体の傾向でございまして、今までとあまり変わりございません。11年連続の、全体としては低下傾向が続いているということでございます。

12ページ目以降、土地税制の本体の関係の資料でございます。12ページ、これが先ほど6月の基本方針でもご確認をいただきました、バブル前、バブル期、そして現在に至る土地税制の推移を示しているものでございます。ご覧いただけますように、譲渡益課税、すでにバブル前に戻っておりますし、例えば法人税ですと、その追加課税というものが、従来あったものも含めて停止あるいは廃止になっておるということでございます。登録免許税につきましては、売買による土地の所有権移転登記の税率は5%でございますけれども、課税標準の特例3分の1ということで軽減が図られている。あるいは地価税につきましては、バブル期にご承知のように創設いたしましたが、今はすでに平成10年から課税停止になっているという推移でございます。バブル前の水準にすでに戻っておるということでございます。

13ページ目以降、すでにご覧いただいている資料が多いかと思いますけれども、13ページ目が個人、法人を通じた土地譲渡益課税全体の概要でございます。一番下のところに特別控除の関係も詳しい資料で出てございます。ここら辺も、先ほどご覧いただきました政府税調の問題意識としてはご提示いただいているということでございます。

14ページは個人の関係の税率の推移、それから15ページ目でございますけれども、先ほどご指摘のございました土地譲渡所得の課税ベースの関係でございます。12年の数字でございますが、譲渡価額18.1兆円の中で譲渡益が9.2兆円、さらに特別控除等が差し引かれまして、課税所得は3.5兆円。そして(参考)の1、2のところにございますが、申告納税額が6,382億円程度でございますので、9.2兆円の譲渡益で割り戻しますと、6.9ポイントぐらいの負担率にとどまっていると。こういうことが問題意識の前提にあるわけでございます。

16ページ目は、同じく法人の税制の推移でございます。

17ページ目、登録免許税の関係でございます。3.の課税標準のところで、特に土地の登記の関係につきましては、固定資産税評価額を基準にしておりまして、先ほどご覧いただきましたような評価額に対して課税標準の特例というのも今設けているということでございます。

18ページ目でございますが、この登録免許税の税収、全体で今8,000億円ぐらいの税収ということになっておりまして、その中で土地の関係が、ごらんいただきますように、5,847億円、その中で不動産の価額に比例しておりますものが4,314億円というような数字でございます。

19ページ目でございますが、土地に係る登録免許税の負担調整措置の具体的な中身ということでございます。先ほど申し上げましたように、売買による土地の所有権移転登記の登録免許税につきましては、平成6年の固定資産税の評価替えにおきまして、先ほどの7割水準ということで評価の引上げが行われておりますので、それにあわせまして、平成6年度以降、特例措置ということで、課税標準の調整をやっているわけでございます。

現在は、その課税標準の特例が3分の1ということで、単純にこの計算をいたしますと、売買による土地の所有権移転登記に係ります表向きの税率は5%ございますけれども、今大体1%ぐらいの負担になっているということでございます。これが14年度で期限切れになりますので、これを15年どうするかということで、15年度改正の課題になってくるかと認識いたしております。

20ページは、三大都市圏・商業地のモデルによりまして、11年度に仮に公示地価1億円の土地を売買した場合の負担。これは地価が下がってまいりますので、その地価の下落と、今申し上げました課税標準の特例というものを勘案した場合に、登録免許税がこれだけ負担が低下しておるということをモデル計算したものでございます。

それから21ページ目でございますが、今のは公示地価ベースのモデル計算でございましたが、21ページ目はマクロ的にSNAベースの民有地(宅地)の資産額をベースにいたしまして、バブル前からの、少し長いトレンドでの登録免許税の負担を見たものでございます。ご覧いただけますように、バブル期前に比べましても、大体4分の3程度の負担割合に低下しておるということが見てとっていただけるかと思います。

それから22、23ページ目でございます。特に23ページ目でございますけれども、土地関係の流通税負担の国際比較ということで、先ほど地方税の方でも出てまいりました。必ずしも日本の水準が高いわけでもない。アメリカやイギリスでもそれなりのご負担というものが、地方税を含めますと、土地の売買においては流通税としてあるということでございます。

それから最後、24ページ目でございますが、都市再生ということで今ご議論があるわけでございます。登録免許税の軽減措置というのは今30ぐらいあるわけでございますが、その中で、昨年度も都市再生につきましてはこのような特例を設けております。

この種の案件、比較的ご利用いただくのに時間かかる場合が多いのでございますけれども、本特例の場合、今、4月からの実施によりまして61件ぐらいのご利用がすでにあると承知しております。15年度におきましても、都市再生に資する措置、いろいろ各省から要望も出てきておりますが、これにつきましてもまた、よいものがあれば対応していきたいということで考えているところでございます。

最後のページは14年度の答申ということで、ご説明は省略させていただきます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

今お三方から、地方税、あるいは国税につきましての税制関係をご説明いただきました。土地税制もおそらく、年度末にかけ、来年度にかけ、改正の一つの候補に挙がってくると思いますので、慎重なご議論をいただきたいと思います。どうぞ。今日はまだ30分近く時間がございますから、土地で少し議論いたしましょう。――何もございませんか。

どうぞ。

委員

固定資産税ですが、これまでもちらちら申し上げていたのですが、今度の資料でも大部分が土地に費やされている。しかし、これは税収を見ると、土地、家屋、償却資産とあって、家屋、あるいは償却資産もかなりのウェイトを持っている。つまり、家屋、償却資産に対する議論がこれまでも少し少なかったのではないか。とりわけ昨今のような経済情勢ですと、土地もさることながら上物ということで、あるいは償却資産ということで、これに対する税負担というのは関心を呼んでいるわけであります。

あまり細かいことは、資料もあまりないので言えないですが、1点だけ伺うとすれば、上物について、この資料にもありますが、基本的には家屋の評価というのが再建築費というのをベースにしている。これを基軸にした評価方法がこれまでどおりでいいのかどうか。ここに何らかの市場的な判断、つまり、収益還元なり売買事例なり市場の判断というものを入れる必要はないのかどうかということをかねがね思っているわけであります。

そこで総務省に質問したいのですが、この収益還元、あるいは売買事例、こういう市場の評価を上物に反映させるということは現行制度ではどのようになっているかどうか、これが質問です。

事務局

家屋ということでお答えさせていただければと思いますが、固定資産税は土地と家屋と償却資産ということで大別されてございます。お手元の資料の中で、18ページ、19ページに家屋の評価の考え方を出させていただいております。家屋の評価は、ほかの資産の評価もそうでございますけれども、固定資産の評価基準の中で考え方を定めてございまして、それに従って市町村のほうが評価をするという形になってございます。

18ページのほうに非常に簡単に書いてございますけれども、新築分の家屋を例にとって挙げさせていただきますと、ここに再建築費評点数という言い方を出してございますけれども、再建築費、あるいは再建築価額というものを基準として評価する方法を採用してございます。これは評価するものと同一の家屋を評価時点において新築するとしたら、幾ら建築費がかかるのかということをもとにして評価額を決めてございます。

その後、土地と同じでございますけれども、3年に1度の評価替をいたします。その際には、下のほう、在来分の家屋と書いてございますけれども、これは再建築費評点補正率というのを入れてございますけれども、これは基本的には資材費が上がるというようなもの。したがいまして、関係する部分のインフレ率といいましょうか、そういうものをカウントするということで、もしも資材費などが高くなっていれば再建築費は上昇する。その後、年数がたっておりますとそれだけ価値が下がるはずでございますので、損耗の状況による減点補正率等と書いてございますけれども、年数が経ることに対応して下げるということになってございます。

具体的には19ページのほうに2つの例を出してございますけれども、最近の評価替をいたしますと、どちらかといいますと、上のほうに書いてございます評価額が下がるというケースが非常に多くなってございます。これでいきますと、一たん、点線のところ、これが再建築をしたらということでございまして、年数が経た分を下げるということにしてございます。

ただ、従来ですと、下のほうにその例がございますけれども、理論的には真ん中の折れ線グラフのようになりますけれども、もともと出した価格、これを上回っている場合は前の年の価格のままで税負担をお願いするということをやってございましたので、税負担が動かないという形になってございます。

すみません。長くなってしまいましたが、ご質問のポイントは、それ以外のやり方、取得価額なり賃料なんかの収益を基準にするなりと、こういうことであろうかと思いますけれども、例えば取得価額の場合ですと、家屋を取得する際、個別的な事情によって非常に差がある。また実際の把握なども難しいという問題。賃料の場合、これも同じような問題としまして、種々の事情によって甚だしい格差がある。これまた全体的に把握が難しい。こういうようなことがあるということで、従来から家屋につきましては、再建築費、再建築価格というのが構成要素として基本的であり、比較的公式化も簡単だということで、全国的にこの方式でやっているという状況でございます。

委員

委員長、固定資産税はまた議論する機会はありますね。

委員

いや、それは長い目で見れば当然、15年改正等々も出てくるでしょうけれども、年度改正にかけてそう時間がないと思いますから、何かあればおっしゃってください。

委員

要するに、今の説明についてさらに申し上げたいのですが、私の言っているのは、上物というのは一般的な人が住んでいる住居というよりも、むしろ商業施設、あるいは工場ということを一応念頭に置いているわけであります。特にこういうご時世になりますと、工場なり商業施設というものが不良債権化し、他に売買されたり担保処分されたり、つまり市場価値を喪失する。土地の場合は更地にすればまた再利用できるわけでありますが、上物は一回壊す、あるいは大幅な修繕をするということが必要になってくるわけであります。

つまり、場合によっては、むしろ解体費用のほうが高いということで、無価値になるということも上物には往々にしてある。特にこういうご時世は。そういう時代の変化みたいなものも対応した上物評価というものが現に行われているのかどうか。行われてないとすれば、今の市場の実勢からいっても、もうそういう考え方を導入すべきであると。全面的にというわけではないけれども、少なくとも不良債権処理に当たったような、市場価値を喪失したような物件に関しては、今みたいな、またつくった場合は、同じものをつくった場合幾らになりますよという、そういう評価方法が時代に適合しているのかどうか。そろそろ考え方を根本から変えて、単なる上物評価というものも追求することが必要ではないかと思います。

委員

今の問題、かなり重要な問題なのですね。というのは、課税標準としての評価額と、それから市場価値の問題とありまして、これは住宅でも実は同じ問題があるのです。住宅について言うと、多分こういう形で再建築費評点制、どういう方程式でやっているのか知りませんけれども、とにかくあるのですね。市場価値では、日本では大体、旧建設省時代に原価表というのを不動産屋さんに配っていたのですけれども、木造の家の場合、20年たつと価値がないと、非木造耐火建築、25年で価値がないという階段状の表を配って一つの目安にしていたのですね。ですから、市場価値はそれにある意味では連動するのですよね。最近はさすがにそういうばかなことをやめてますけれども、そういうことがある。ところが、税のほうは依然としてこの方式なものですから、市場価値で売ろうとすると無価値になっているのに、相続、その他では評価されてしまうのですね。その問題は工場や産業施設に限らない。ここは非常に大きな矛盾なので、どういうふうに考えるかということが1つあります。

それからもう一つ、これは質問で伺いたいのだけれども、品質確保法というのが2年前にできて、新築住宅については性能評価をしましょうということになったのですね。今度はなるべく既存住宅についてもやろうということで、これは目視でやりますけれども、先進国の中では性能評価、日本はものすごくおくれてます。中古の住宅が流通しない大きな理由の一つは性能評価してないからなのですね。性能評価するということは、しかし逆にいうと、価値はできるだけ認めようということですね。住宅が20年たってゼロになるというのは実はとんでもない国なので、本当は長期にもつ、評価されるというのが望ましいのですけれども、そこも制度的にはものすごく大きな矛盾だと思うのですね。

ですから、この点は、品質確保法の性能評価の問題と再建築費評点数というのはどういうふうに関連するのか。税の計算のときのこのもとになる数値というのは、両面から見てほとんど意味がないのではないかという感じが実はしているのですけどね。

委員

今お二人のことについてすぐお答えできないかもしれませんが、何かあれば。

事務局

まず上物の関係ということで家屋の方だけお答え申し上げたのですけれども、償却資産につきましてはちょっと資料を出してございませんけれども、簡単に口頭で申し上げますと、償却資産につきましては、取得価額、これをスタートとさせていただきまして、あと年数に応じまして毎年額を減少させていくと。これを評価のベースにしてございます。ご指摘ありましたことの中でいきますと、資産としては持っていても何も使用しないのだと、今後とも使用しないのだということであれば、償却資産の場合には基本的には課税しないという取り扱いをしてございますけれども、ただ、例えば大きく減少させる、減価させるという対応については必ずしもとっておらないと申し上げてよろしいと思います。

それから2点目の家屋の評価の関係でございますけれども、現状は、つくられました家屋につきまして、職員がまいりまして、内装等も含めて現状を見させていただいて、どのようなものから成り立っているかということについて点数化をしていって評価をするということになってございます。

品質確保法との関係につきましては、ちょっとお時間ちょうだいしたいと思いますが、必ずしもそのことを念頭に置いた評点数ということではないかとは思います。

委員

基本的には再建築費法を今後使いつつ改良を加えたいということで、委員のおっしゃったように、不良債権化したような建物が何とかいうのは急にはなかなか難しいでしょうね。わかりました。

委員

今のお話を伺って、これからの土地課税の制度設計というか、それが非常に大きく気になるところですけれども、確かに上物について取得価額等々を参考にするというのは考えられない話ではないと思いますが、そもそも住宅の取得価額というのがディベロッパーの経営状態によってかなり大きく変化している等々があって、エリア価値とか、いわゆる固定資産税のベースになる考え方とそれぞれの資産にかかわるところは別個に対処できないものかと。

つまり、これからの住宅というのはなるべく性能長く長寿命化し、耐久性を高くするということになりますと、やはり個人個人がリフォームしたり何かどんどん資産をつぎ込んでいかなければいけない必要がある。それはある面で努力の結果であって、その結果、固定資産税が上がってしまうということになりますと、本来ストック化したいものが、税をとるほうからすると都合のいい論理に曲げられて解釈されてしまうと、かえって投資したものが税のほうにプラスに転化してしまうというのは、これが逆に資産化を狭めてしまうのは問題があるのではないか。

本来、固定資産税というのは広く薄くで、前にヨーロッパへ行ったときに言われたのですが、追い出し税はだめだと。つまり、高くなればそこの地域の人がみんな高い固定資産税を払わされるというのはとんでもない話だと。だから、収益性というのは本来経営能力に依存して高まってくるものであって、土地そのものから還元されるものは非常に少ないわけなので、そこは制度設計上2つにしなければいけないのではないかと。それを一緒にして3割評価でやっていけば、これからどうしたって固定資産税が高いというような方向が出てきてしまうのではないかというのがやや心配なので、ちょっとその議論だけしておきたいと思います。

委員

ご意見ですね。つまり、建物、土地、償却資産、3種に分けて別々にかけているというのは珍しい資産税でしょう、日本の場合は。それを今後長い目で見てどうするかという議論が多分残るのでしょうね。

委員

資産課税は、所得、消費とともに大きな柱でございますから、国も地方も大事にしていただきたいと思います。固定資産税についていえば、均等割と固定資産税は地方税の根幹であるべきだと思います。そういう意味におきましては、適時、評価額にあわせて適正な課税水準を維持していく必要がある。

先ほどのお話で、17ページの表ですと、36年かかるということでございまして、非常に慎重に対処しているのは結構だと思いますが、それだけにかえって地価の動向との傾向が逆になったりする。だから、現時点では、今地価が下がっているのに固定資産税が上がるとか言われるのですけれども、これはまさに丁寧に慎重に調整措置を講じていることの親切心の逆をとられて非難されているのはまことにもったいない話で、本来であれば、随時どんどん調整してきているべきだったと思いますけれども、そうはいっても、やはりいろんなご配慮もあると思いますが、しかし、なるべく早く調整をして、調整を適正に早く進めていただければと思うわけでございます。その点は、先ほどお話のありました3分の1、6分の1課税も含めてご検討いただければと思うわけでございます。

国税についていえば、先ほどご説明ありました譲渡取得課税、個人、法人を通じまして、ほとんどバブル以前の状態に戻っている。これはこれで結構なことだと思うわけでございます。そうしますと、それでは土地税制としてどこへいくかというと、例えば登録免許税を思い切って軽減するとか、極端な議論は、廃止するとか、そういう話がある。しかし、現在の地価の動向、これはまたいつどうなるともわかりません。そういう地価の動向等を慎重に見極めるということが必要。

それから消費税が今後どうなる、消費税が基本的にまだ検討の段階に来てないというか、検討の段階になかなか持ち込めないという状態のもとでは、そうした流通税をどうするという基本的な課題はまだまだ将来の問題として検討すべきではないか。そういう意味におきましては、国税におきましても、登録免許税その他、資産課税は大切に、大事にしていく必要があるのではないか。

そういった意味で、先ほどご説明ございました個別のいろいろな負担の軽減、あるいは特例措置について、いいものがあれば対応していくということでございましたので、そのとおりで、個別に慎重に対応していく。基本的な性格論、基本的な方法、方向論については、抜本的な税体系全体の中での検討の段階にまで委ねるべきではないか、こんなふうに思います。

委員

ありがとうございました。じゃどうぞ。

委員

前回申し上げたことと同じですが、土地税制が仕組まれたころというのは絶対的に右上がり時代で、土地不足時代の発想で、その土地に稼得力があるということでかけられた税金で、その発想そのものが今変わっているのではないかというのを前回申し上げたので、これを再度強調したいのですよね。

例えばトヨタなんかが将来は、奥田さんが、日本は少子化でだめだからアメリカに本社を移してもいいようなことを言ったり、象徴的なのは、ホンダは今度、アコードの新車なんていうのはまず北米で発表して、日本はもう2~3カ月おくれなのですよね。日本市場を相手にしなくなる、そういう時代になってきて、それでまだ土地不足だという発想にとらわれて、しかも均衡化するのは30年もかかるという、私はもう生きてないからどうでもいい話だけれども(笑)、そういう悠長な、何だか追いかけっこみたいなことを言っていて、これが現実に合うのだろうかということです。

要は、私が言いたいのは、稼得力以上に、今現状は税金かけ過ぎではないかと。特に、今私が住んでいる中央区なんかでも、商店街とか渋谷とか言ってますが、固定資産税の訴訟を出してますけれども、おそらくこれからは地方のほうが深刻になるのではないかと、私自身はそういう実感がしてます。おそらく、東京なんかはまだ人が集まってくるけれども、地方のほうがやはり空洞化して、ITバブルがはじけて、次にどんな産業出てくるかわからないけれども、そういうことになると、全国的に、むしろ東京のほうが有利になって、地方が不利になってしまうのではないかという気がしているのですね。

だから、土地税制というのはこの際抜本的に見直す必要があると。例えば取得税なんていうのは、私は浅学非才でよくわからないのですが、シャウプのころは臨時的な措置だということで取り入れられたという話も聞いたことがあるので、そういうことも勘案して、全体的にこの際やはり見直したらどうかねと。不測の事態で上がってくれればみんな大喜びなのだけれども、おそらくこういうことは万が一にも、日本企業がみんな工場をまた日本へ戻してくるとか、そういうことはまずあり得ないだろうし、まず少子化があるだろうし、せいぜい残して研究拠点だとか開発拠点だろうと。そういうふうに感じております。

委員

国際比較の評価、幾つか出されて、日本は特段重くないよということを踏まえても、あえてもうちょっと下げたほうがいいというご意見ですね。○今会長がおっしゃった最後の点に関しての質問でもあるのですが、3つほど言いたいのですが、まず最初は流通税ですが、国税のほうの資料の22ページに諸外国との比較があって、これは明らかに国税と地方税と両方合わせた図であって、それを日本の場合について比較しているのですが、日本の場合は国税、地方税両方の合計なのですねというのをちょっとお聞きしたい。

事務局

両方合計でございます。

委員

わかりました。その上で個人的な意見ですけれども、あまり流通税ということをかける経済学的な、あるいは経済理論的な理由というものは私にはよくわからないので、単に国際的に理由があるからということではなくて、もう少しきちんと、どういう理由があってこれをかける必要があるとご当局の方々はお考えになっているのかということをもう少しきちんとご説明していただきたい。

国税、地方税両方合わせれば、不動産関係だけで1兆円を超える額があるわけで、これだけのものが土地の売買、不動産売買をするときにドラッグとしてかかってくるというのは、これはやはり今の日本のような状況にとっては非常に大きな問題ではなかろうかというのが1点です。

それから2番目は、これは逆にものすごく小さい話になると思いますけれども、特別土地保有税というのがあって、これは500億円ぐらいの税金ですが、これを今、未利用地についてだけかけているというわけですね。土地の未利用地にかけるというのは、バブルのころには何となくみんなの雰囲気に合っていたからそれをやったのだと思いますが、これも理論的に考えると、土地利用に関して中立性を失わせる税金であるわけですね。

例えば非常に大きな大規模開発をしたいと。そこで、今更地を一部つくったのだけれども、まだ買えそうな土地があるから、その土地が買えてからもっと大規模に再開発をしたいというときに、更地が残ってしまうと、それに税金がかかってくるわけですね。そういうときに、しようがないから物を建てましょうかということになりかねない。そういう変なインセンティブを与えるような税金であって、しかも土地税制にとっては複雑性が増す税金ですね。何でこういう種類の税金があるのかというのが私にはちょっとよくわからない。

それから3番目に、これは固定資産税ですが、上物に関しては私は先ほどから出てきた議論に基本的に賛成ですが、土地に関しては、幾つか大きな理由がありますが、一つの大きな理由としては、土地に関連する、あるいは住環境に関連する公共投資というものがいろんなところで行われていて、道路開発であるとか、照明であるとか、いろんなことが行われますが、それに伴って地価が当然影響を受けるわけで、それのいわば公共投資のベネフィットを受けた地主たちが支払う税金という面があって、そういう外部効果を回収する税としては非常にいい税だということが知られているので、これに関して私はそんなに下げろ下げろという議論は要らないのではないかというのが個人的な意見です。

委員

時間が来ているのですが、あとご意見は……。では手短にお願いします。

委員

短いのも難しいですが、土地税制もいろいろな説明を受けて、今こうなってますああなってますというのはわかるのですけれども、その結果どうなったという、どういう影響があったのかというのがちょっとなさ過ぎる。別に税金すべてに政策的な意図がなくても構わないのですけれども、例えば、今だったら、土地流動性を促進したいということがあるわけですから、そのために、印紙税、登録免許税を下げれば実際に動くのかという、そういう証明、過去にそういうことがあったのか。そうならばしようがないなという話になりますけれども、全然それがわからない。

あるいは固定資産税にしても、按配して激変緩和措置を繰り返してきたけれども、その結果、土地というのはどういうふうになったのか。動いたのか動かないのか。税収は確保したけれども、世の中と何の関係もないという、そういう説明をずっと受けたような気がして、なんかすっきりくっきりしたのがないと思うのですけれども、土地税制50年間やってきて、こういうことをやった結果こういうことになったというのを多少なりともわかるような資料をいただければ、ものを考えていく上でありがたいなあと思うものですから、お願いします。

委員

大変難しい宿題でしょう。ただ、今みたいなご要望が出ましたので、国税、地方税について何かもう一段努力して、データができればお願いしたいと思います。

委員

手短にやります。資産課税、特に土地とか家屋とかについて、3点ありますが、1つは、皆さんのご議論、大体共通のところが多いと思いますけれども、流通課税というのはやはりもう徹底的に見直すときが来ている。これは動いたらとりやすいということだっただろうと思うのですけれども、そういう時代ではないと思うのですね。固定資産税は本来国民の資産を使っているわけですから、そういう意味で払うというのは当然だと思いますが、この点についてはもっと早い調整が不可欠。

最後に生前贈与。これは、人口動態から見て、相続税まで待っていると、受け取る子供が70歳前後になっているというのではやはり資産が全然動きませんから、生前贈与というのは思い切って軽減すべきだと、そんなふうに思います。

委員

土地税制のあり方というのはどういうふうに考えるのかという基本的な観点としては、やはり資産課税のあり方としてとらえている。その中に流通税であるとか、保有税であるとか、そういうものがいろんな形態で成り立っている。ですから、これが高いか安いかという議論を税調でやってしまいますと、それじゃ安いほうがいいに決まっていると。そのときに、それの補てんをじゃどこに求めるのかということも当然求められますから、それはあまり国際比較等で高いか安いかということだけではなくて、やはり税収の財源の確保という観点からも、どれが一番無理がなく合理的にとらえているかと考える、そういう議論が必要だと思います。

委員

予定した時間が来ました。最後に僕の個人的質問ですけれども、15年の固定資産税の評価替えの議論というのはいつかここでやるのですか。それとも、今までと大体同じにやるからまあいいやというふうな形ですか。

事務局

特に具体的なプランは持ってございませんでしたが。

委員

委員がおっしゃった固定の議論は、来年度以降また新しく税調で議論が展開しますね。いろんな問題が出てきますから。その中で、3年ごとに出てくる話だからという形で、あまりここで議論……

事務局

いや、そこはご指摘ございましたら何らかの形でお答えは、できる範囲でございますが、努力させていただきたいと思います。

委員

それでは、次回以降の予定を報告してきょう散会いたしたいと思いますが、次回は11日金曜日、2時から予定しております。テーマは相続税、贈与税、今問題になりましたけれども、生前贈与を含めて。それから研究開発・設備投資と税制の関係、それから金融・証券税制、3つをテーマにいたしたいと思いますが、いずれも大物でありますので2時間で多分済まないと思いますから、2時間半ほど、3時間と言わないだけいいと思ってください、4時半ごろまでやりたいと思ってますので、あらかじめ予定を組んでください。

それから総会をそろそろやる時期になりましたので、18日金曜日、総会をいたしまして、過去3回やりました小委員会の議論をまとめて総会でまたご議論いただくという段取りをしております。次々回は、つまり11日の後は、22日火曜日、これを今日程調整中でございますが、行おうと思います。だから、小委員会は11日、22日です。時間は2時~4時と考えております。それから時間未定ですが、18日に総会を考えておりますが、できれば午前、午後に基礎小と総会ということも考えておりますので、何ぶんにもスケジュールが込み合ってきました。今月中に何かある方向を出しつつ、11月の中ごろにはある種のまとめをしたいと思ってますので、言うなれば、きょう10月1日でございますが、10月はどうも正念場になってきましたので、総会、基礎小いろいろあると思いますので、あらかじめご留意をいただきたいと思っております。

何かこの日程につきましてご質問ございますか。

委員

先ほど委員長のほうから、固定資産税、これでおしまいというような……

委員

来年度税制改正に関してはね。予定の中ではね。

委員

いやいやそれは、いろいろ問題があるテーマなのでここで決める必要はないと思いますが、今だけでは足りないと思いますよ。

委員

わかりました。それでは、まだそういう議論を尽くしてないところはまた適宜突っ込んでやりたいと思います。よろしゅうございますか。

じゃどうも今日は長時間ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。