第16回基礎問題小委員会 議事録
平成14年8月27日開催
〇委員
それでは、時間になりましたので、第16回目になりますが、基礎問題小委員会を、開催いたしたいと思います。
前回やったのは1カ月前ぐらいですかね。そういう意味ではお久しぶりという言葉が該当するかもしれません。夏もあっという間に過ぎまして、これから秋の陣、よろしくお願いをいたします。
すでにご案内しておりますような議事予定に従って進めてまいりたいと思いますが、まず最初に、審議に入る前に、財務省と総務省で人事異動がございましたので、局長から各々ちょっとご紹介いただけますか。
〇事務局
前回の総会でご紹介をさせていただきましたけれども、事務局に異動がございまして、最初の基礎問題小委員会でございますので、改めてご紹介をさせていただきたいと存じます。
審議官をしておりました木村が東京国税局長に就任しまして、その後任に石井審議官、それから石井審議官の後任に、総合政策課長をしておりました加藤がそれぞれ就任をいたしました。それから税制一課長をしておりました川北が総合政策課長に就任し、その後任に、税制二課長をしておりました古谷が就任をいたしました。それから税制二課長には、税制三課長をしておりました道盛が就任し、税制三課長に、調査課長をしておりました稲垣が就任いたしました。それから調査課長の後任には、国際局の為替市場課長をしておりました永長が就任いたしました。それから国際租税課長をしておりました杉江が国税庁の個人課税課長に就任し、その後任に、国際局の地域協力課長をしておりました浅川が就任いたしました。今ちょっと海外出張中でございます。
いずれも、前任者同様、よろしくお願いしたいと存じます。
〇委員
大異動だったのですね、こうお伺いすると。
では総務省、どうぞ。
〇事務局
それでは、総務省のほうも若干の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
8月2日付で、市町村税課長でございました三宅が異動いたしまして、総務省の総合通信基盤局電気通信事業部高度通信網振興課長というのになりまして、後任に、情報通信政策局の情報通信政策課長から吉崎正弘がまいりましたので、よろしくお願いいたします。
それから、前の税務企画官でございました宮地が和歌山県の総務部長に転出いたしまして、後任に官房の秘書課の補佐から境がまいりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、早速今日の審議に入りたいと思いますが、最初に、報告事項を1~2ご報告いただきたいと思います。経済財政運営をめぐる最近の動きといたしまして、8月2日に諮問会議のほうから「15年度予算の全体像」というのと、それから8月6日に、同じく諮問会議において総理から税制に関するいろいろな発言がございましたので、事務局のほうからちょっとご報告いただきます。よろしく。
〇事務局
諮問会議におきますご議論の状況をご報告申し上げます。
6月25日になりますが、諮問会議において議論されていました骨太第2弾、「基本方針2002」というのが閣議決定をされまして、その後7月に入りましてからは、諮問会議としては、この骨太第2弾の推進ということを議題とされておられます。
具体的には、7月17日には今後の検討の進め方等について議論されまして、同月26日には、予算編成のスタートに当たって、マクロ経済との整合性を踏まえつつ、諮問会議において、いわゆる全体像、予算の全体像を議論しようということになりました。
その後、今会長ご指摘になりました8月2日でございますが、竹中大臣から示された文書が、その場でご議論の上、諮問会議として了承されました。これが机上にご配付申し上げております「15年度予算の全体像」というものでございます。
この全体像の趣旨は、このまえがきに書いてございますが、その中で2.を見ていただきますと、「15年度予算の目標」ということで、経済を活性化すること、「質の高い小さな政府」を目指し財政健全化をさらに進めることという目標を立てられた上で、税についてもその次の段で触れておられまして、「持続的な経済活性化・民間需要の拡大に寄与する減税を行うことが必要不可欠である」と、このようにされておられます。
次のページには歳出、いわゆる予算の全体の姿、これは「実質的に前年度14年度の47.5兆円を下回る」云々という記述がございます。
次のページに歳入、すなわち税のお話が書いてございます。「基本方針2002」を踏まえということで、「経済活性化を目指した本格的な税制改革の検討を進める」と。「その中で」ということで、[1]法人、[2]相続・贈与、[3]金融所得課税、[4]土地の有効利用に向けた土地関連流通税、こういう項目についての減税の提言をされておられます。
その次のパラグラフ、「減税に際しては」ということで、「多年度での税収中立の下で、一体的な税制改革の一環としての増収等を活用することとし、マクロ経済との関係を踏まえながら、その規模、期間、内容などについて早急に検討を進め結論を得る」、このようにされておられます。
今ご説明しました全体像についてのご論議を踏まえつつ、8月6日になりますが、15年度予算のシーリング、概算要求基準についての論議が行われました。この日の議論の締めくくりとして小泉総理からご発言がございまして、15年度予算編成、それから税制改革についての基本的な考え方が示されたわけでございます。それがその次に配付しております「小泉内閣総理大臣の発言(8月6日)」というところでございます。
全体、ちょっと長うございますので、時間の関係上、アンダーラインを付しているところ、これが税制そのものについて触れられているところでございますが、かいつまんでポイントを申し上げますと、1つには、シャウプ以来の税制改革により、経済活性化に資する「あるべき税制」を構築すると。これが基本的な考え方であるとされた上で、1兆円を超える規模の先行減税、単年度でなく多年度税収中立、さらに税制改革全体をいわば税制改革法とも呼び得る一括の法律案にまとめる、このように言っておられます。
下のほうの下線のところでございますが、15年度に税制改革を行うということで、臨時国会では行いませんと。ただ、15年1月に遡って適用させることはあり得るということが触れられております。
以上が今までの諮問会議のご議論の状況でございますが、ちなみに、8月末の概算要求の期限を控えまして、諮問会議におかれましては、あす28日から3日間、制度・政策改革の集中審議ということで、関係各大臣がそれぞれの省の制度・政策の改革方針についての、いわゆる大臣イニシアティブと呼んでおりますが、これを表明し、集中的な審議を行う予定となっております。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。ご質問もあろうかと思いますが、後で質問の時間を設けますので、そのときにまとめて、ご発言のときにこの諮問会議関係でもご質問いただきたいと思います。
それでは、次の議題、「税についての対話集会」、この状況をご説明し、かつ、まとめたものがございますから、事務局から後ほどご説明をいただきます。
6月14日に我々の「基本方針」を出しましたね。あれを説明方々、第2ラウンドという形で5カ所回るという予定を立てました。まだ那覇は残っておりますが、秋田、金沢、広島、長崎と4カ所回ってまいりました。これは明らかに、第1ラウンドの何もない状況で白紙のまま皆さんのご意見を伺うというスタイルではなくて、今回出しましたあるべき姿の基本的な方針をまとめたものを一応説明して、それを受けてという形でありますから、当然反応も違うだろうし、出てくるいろいろな帰結も違うと思って行ってまいりましたが、私は、感想をちょっと言わせていただきますと、何分にも消費税率アップもはっきり銘打ちましたし、所得税見直し、益税の問題等々、10年、15年先のあるべき姿といえど、一応税制改革の中での増税という点に力点を置いたわけですね。
当然大きな反発があって、後でご紹介しますように、この案を支持できるかできないかというところでは、2~3割の人が支持してくれればいいと実は内々覚悟して行ったのですが、そうではなくて、7割ぐらいの人が、これでいきましょうという支持をしてくれた。これをどういうふうに我々は解釈し、今後の議論にどう役立てるかということはいろいろ議論があろうかと思います。この小委員会の方からも常時3人ずつご出席いただいております。後からぜひその内容につきましてもご検討いただけたらと思っております。
結論めいたことを言うなら、私の印象では、筋の通った税負担増なら将来やむを得ないと。筋が通ったという意味は、税を払っても、それなりにちゃんと使途明確で無駄使いされてない、それから老後の不安をなくすような形で社会制度がきっちりと整備されるならという条件つきではありますが、何でもかんでも減税だけやってくれというムードではないと。そういう意味では随分世の中も変わってきたのかなあという印象を受けております。
小泉5項目に従って、小泉5項目という名前は出しませんでしたが、あの5項目についてどういう方向で進めたらいいかという情報は全部集めてまいりました。後ほどご説明いただきますが、ほぼ我々が方向を示したことについては、大勢の意見としてはご支持いただいているという方向が出ておりまして、したがって、トータルで見た支持も、個別におりていっても同じように支持してくれているわけでありますから、少なくも200人ぐらい各会場にあらわれた方々はそれなりに我々の意を汲んでくれたというような感じがいたしております。
当然のこと、反対意見も各会場でございました。徹底的に反対した方もいらっしゃいました。しかし、全体としては、赤字の問題、少子・高齢化の問題、それを前提にいたしますと、今後、税制改革も当然我々の考える方向で議論しなければいけないかなあというところぐらいまでは歩み寄ってくれたとは思ってます。つまり、はなから、もう議論の対象にもならんというような状況ではなかったということで、私は個人的な感想としては非常によかったのかなあと思っております。これも一緒にご参加いただきました委員の方、あるいは事務局の方のご苦労があっていろいろうまく設営ができたことだろうと思ってます。
事務局からご説明いただく前に、副大臣にも、たしか広島と大阪でしたね、ご出席いただいておりますので、ちょっとご感想がありましたら。特に政治的にはこれはどういうふうなインパクトを持っているかあたりをちょっとご説明いただければと思いますが、よろしくお願いします。
〇事務局
私も大阪と広島に行かせていただきまして、当政府税制調査会でいろいろな議論をされている状況のことを広く皆さん方から意見をお伺いしたわけでございますが、率直な意見として、実はもう少し、いろいろ我々、税調で考えておることと違うことが出るのかなと思っておったのですが、まさに会長がおっしゃったようなご意見が結構多かったということでございました。
私も、野党生活も長かったものですから(笑)、必ずしも今のことに全部私の考え方のとおりにいっているとは思わないのですが、民主主義でございますから、皆さんがどういう形でご意見をお述べになり、それが、私が考えておることと若干違うのだなという印象を受けたわけでございますが、いずれにいたしましても、各委員の先生方が行っていただいて、各地で行われたこの対話集会はそれなりの効果があったと認識いたしておるところでございます。
〇委員
ありがとうございました。
じゃ事務局、資料に基づきまして概略ご説明いただけますか。
〇事務局
対話集会の第2ラウンドの今までの結果につきましてご説明を申し上げます。お手元の「『税についての対話集会』のまとめ(未定稿)」という資料をご覧いただきたいと思います。
まず1ページ目に「開催実績」ということで、第7回秋田から、第11回那覇、これはまだでございますけれども、このような形でのご出席をそれぞれいただきまして開催をいたしてございます。各会場の進め方といたしましては、あらかじめ公募で選びました意見発表者の方から3人意見を述べていただくとともに、フロアの方の意見をなるべくたくさん言っていただくということで、その時間をかなり長くとりまして、フロアから自由に発言をしていただく。その上でアンケートを記入していただくといった方式で進めさせていただきました。
以下、アンケートの結果を中心にご説明を申し上げますので、もう一枚めくっていただきまして2ページ目をごらんいただきたいと思います。
まず参加者でございますけれども、第2ラウンド、秋田から長崎まで、各会場170名程度から190名程度の参加でございますが、合計で727名のご参加をいただいてございます。第1ラウンドの6回で1,069名のご参加をいただいておりますので、これまでのところで約1,800名程度のご参加をいただいて対話集会が運営されてきてございます。もう一回那覇が残っておりますので、最終的には千九百数十名程度になろうかと思います。
また男女比につきましては、おおむね男の方が8割、女性が2割という形になってございます。
それから次は年代別ですけれども、年代別にはやはり40代、50代、60代あたりが中心に来られているという結果が出てございます。
それから一番下、職業別でございますけれども、会社員、団体職員、いわゆる勤めをされている方が半分強という形になってございます。今回初めて、金沢と長崎は土曜日に開催させていただきましたが、秋田と広島に比べると、金沢、長崎は若干、会社員、勤め人の割合が高くなってございます。土曜日に行った結果がここにあらわれているのかどうか、ちょっとそこはわかりませんけれども、結果としてはそういうふうになっておるということでございます。
1枚めくっていただきまして、アンケート、中身のご報告に入りますが、まず第1部ということで、税制一般、総論的なご質問を3問申し上げてございます。まず(1)「税金についてどのような要望がありますか?」という問いでございますが、これは[2]の「不公平をなくしてほしい」、それから[3]「簡素にしてほしい」、これがそれぞれ平均で37%、42%ということで、これは択一でマルをつけていただきましたが、公平と簡素という要望が強くなってございます。
それから(2)「税負担のあり方として、どのようなものが望ましいとお考えですか?」でございますが、これは[2]の「少子・高齢化社会の下では、今まで以上に、皆で税の負担を広く分かち合う」が平均で6割超のマルがついているということでございます。
それから(3)でございますが、「将来の税制としては、どのような税の役割を高めるべきとお考えですか?」という問いでございますけれども、これにつきましては、[3]の「消費税の役割を高めるべき」という選択肢が6割弱の選択をされておるという結果が出てございます。
1枚おめくりいただきまして、第2部ということで、これは各税目ごとに各論のある程度細かな質問を、その基本方針に基づきまして投げかけた問いになってございます。
まず個人所得課税につきましてでございますが、「人的控除の見直しについて」ということで、(1)は基礎控除、配偶者控除、扶養控除についてどのように考えるかということ。これにつきましては、「基本方針」の中で3つの選択肢を提示しまして、国民の皆様に投げかけたという形で「基本方針」が書かれてございまして、その3つの選択肢を答えといたしまして投げかけてございます。これは[1]の「現状どおり、基礎控除のほか、配偶者控除、扶養控除を残す」というのが平均で45%、[2]の「配偶者控除を廃止し、扶養控除についても児童及び老年者のみを対象とする一方、基礎控除を充実させる」が32%ということで、この2つに分かれてございます。[3]の「児童について税額控除を設け、基礎控除を充実させる」というものについては2割弱ということで、若干これは選択が少ないという結果になってございます。
それから(2)「各種の割増措置、特別な控除等による配慮について」ということで、配偶者特別控除を初めとしました各種の割増措置、特別控除の中で、廃止・縮減してもいいと思うものはどれですかという質問を投げかけてございます。これにつきましては、ご覧いただきますと、配偶者特別控除についてが平均で5割、半分の方が配偶者特別控除は廃止・縮減してもよいのではないかという選択をいたしております。
以下、特定扶養控除と勤労学生控除が30数%、老人扶養控除、それから老年者控除、寡婦(夫)控除、これが20数%の方が見直してもよいのではないかという選択をしておるという形になってございます。
1枚おめくりをいただきまして5ページでございますが、法人課税でございます。法人課税につきましては、まず(3)で「諸外国と比較して法人税の負担が重いとの議論がありますが、今後の法人税の見直しについてどうお考えですか?」という質問でございます。これにつきましては、[2]の「現在の財政状況からすれば、これ以上の負担の軽減は適当ではない」、それから[3]の「利益の出ている法人からは、もっと税負担を求めるべき」という選択肢がそれぞれ39%と24%、合わせて6割超の方が、法人税の負担のこれ以上の軽減はいかがかという選択。逆に、[1]の「他の税に負担を求めてでも、負担の軽減を図る方向で見直すべき」という方が3割強という選択となってございます。
それから(4)の「外形標準課税の導入について」どう考えるかという質問でございますが、これにつきましては、[2]の「赤字法人といえども、地方の公的なサービスを受けているので、広く薄く公平に負担を求めるために導入すべき」という選択肢が40、それから[3]の「赤字の零細法人などに特例を設け、過度の負担にならぬよう配慮すれば、導入してもよい」が43%。これ2つを合わせまして約8割強という形になってございます。一方で、導入に反対であるという[1]の意見は14%の選択となってございます。
もう一枚おめくりいただきまして6ページでございますが、消費課税でございます。これは「中小事業者に対する特例措置について」ということで、免税点、簡易課税制度の見直しについてどう考えるかという質問でございますが、これにつきましては、[1]の「消費税に対する不信感をなくすために見直しが必要」という選択を8割強の方がされてございます。
それから次の4番、資産課税でございますが、相続税・贈与税を一体化すべきという考え方についてどう考えるのかという問いでございます。これにつきましては、「生前贈与による資産移転が行いやすくなるよう、一体化すべき」という選択肢が65%の方、それから[2]の「資産家が過度に優遇されることになるので、導入すべきでない」という選択肢の方が3割弱という形になってございます。
最後に「総括」ということで、(7)でございますが、「政府税調は、今後10~20年を視野に入れた『あるべき税制』の姿として、大幅な歳出削減を前提に、皆で負担を分かち合いながら、増税もやむを得ない選択だとしています。このような考え方についてどうお考えですか?」という問いを投げかけてございます。
この問いのみにつきましては、各会場で集計をいたしまして、それぞれ終了後に石会長の記者会見の中で発表させていただいておりますけれども、平均で、「賛成」28%、「どちらかといえば賛成」が46%ということで、合わせて約4分の3の方が「どちらかといえば賛成」以上の肯定的なご意見を述べておられます。「どちらかといえば反対」「反対」という[3]、[4]の方は2割程度という形での選択となってございまして、特に秋田、金沢、広島、長崎と、日を追うに従って[1]の「賛成」が、これはグレーの要素もありますが、増えてきているという形になってございます。
それから最後でございますけれども、「本日の対話集会について」ということで、対話集会が有意義であったかどうかという質問を投げかけてございますが、これにつきましては、[1]の「非常に有意義であった」、[2]「まあ有意義であった」という方合わせまして86%ということで、対話集会の意義についてはある程度ご理解いただきまして、有意義な集会を持たせていただいたかなと考えてございます。
もう2枚めくっていただきまして、9ページ以降には「意見発表者及び一般参加者からのご意見」ということで、会場で意見を発表された方の意見の概要、それから17ページ以降に、フロアに座っておられる方がアンケートにいろいろなご意見、ご要望を書かれておりますが、その概要をまとめてございます。ご覧いただきますとわかりますように、逐一のご紹介は省略させていただきますが、さまざまなご意見が出されておるということでございます。
私からは以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。それから情報の収集として、現在まで税調にいろいろな意見が5万7,800件ぐらい来ているそうですが、大半が課税最低限引下げに反対でしょうな。消費税率引上げに反対、それから消費税の特例見直しに反対というのが5万7,000件ぐらいあって、道路特定の見直し反対というのはまた残りでありますので、あらかたどうも組織的な票であるというふうに判断されますが、そういうようなものが来ているので、あらかじめご報告をいたしておきます。
それでは、今の対話集会並びにその前にご説明いただきました事務局からの諮問会議の現状のご報告等につきまして、しばらく時間を割いて、ご質問があればお答えしたいし、ご意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇委員
今度の評価について、事務局も会長もほぼ期待していた水準の支持を得たということをおっしゃったでしょう。
〇委員
いや、期待してないほど集まったと(笑)。
〇委員
それで、僕は、その会場の数少ない人が会長の懇切丁寧な、プラス、いろいろな討議を聞いているうちにだんだん啓蒙されてきて、最後にこういうややこしい質問にも、体系的な質問にも割合と肯定的な答えを書いてくれたと思っているのですよ。ただ、これはお手盛りでも何でもなくてやったのでそれはそれで真実だと思うのだけれども、もしこの同じテーマを新聞なり放送局が全国レベルで無作為にやったら、大分違った数字が出ると思うのですね。これは当たり前なのですね。おそらく1割や2割はぶれてくるのではないかと思います。
しかし、そのことは今度の集会でのアンケートの質をおとしめるわけではなくて、正しいメッセージが伝われば、わりあいと合理的に健全に考えていただけるものだということが1つと、2番目に、ちょっとさっき事務局が言っていたけれども、政治家がこの数字をベースにものをしゃべれば、必ず党派的ないしは組織的な見解が出てくるのですよ。これは政治論だから、いつでも出る話だから、それはしようがないと。
一つの教訓は、これからまた年末に向かって、我々、いろいろな審議を続けていくし、外部でいろいろな声があるし、内部にもあるけれども、そういうときに、結局、折に触れてこの原則的な立場を、会長が、会長1人ではないけれども、会長中心だから、世間に向かって常に繰り返し繰り返しアピールしてもらっていけば、この狭い会場で得たほどの効果はないかもしれないけれども、しかし、まあその方向で幾らかでも影響力を及ぼすかもしれないということを考えてます。
〇委員
ありがとうございました。ほかに何か、特にご出席いただきました……
〇委員
私は広島だったので直接ではなかったのですが、塩川財務大臣が実額でものをおっしゃってますね。記者会見の場かどうか知りませんが、2兆だとかなんとかね。対話集会で、大臣がそういう実額で景気対策とかデフレ対策のような当面の政策についておっしゃると、対話集会の主たるテーマである中長期的なあり方論、あるべき姿の議論とかなり混乱するおそれがあるだろうと思うのですけれども、その辺はどのように理解されているのか。といっても、どなたかに聞いたかということになるのですけれども。それと、財務省の事務当局も、その大臣の発言についてどのぐらい掌握され、あるいは認識しておられるのか、その辺もちょっと聞いておきたいと思います。
〇委員
じゃ私と事務局からお答えしたらいいと思いますが、新聞に載りました2兆、1兆とか、多年度の税収中立等々は主として終わった後の記者会見で議論が出ました。というのは、正直申し上げて、9回目、10回目になると、同行の記者諸君ももう関心ないのですよ。対話集会と同じことが出てくるのですから。それで、あまり記事になるようなところも少ないという判断で、そこに塩川大臣が飛び込んできたと言っては怒られてしまうけれども、いろいろ言ってくださる方がいるから、どうしても質問がばんばん集中するわけですよ。
だから、終わった後の記者会見はすべて塩川大臣に対する、今言った2兆、1兆とか、我々の議論と関係ない話をどんどん言ったので、といってそれを阻止するわけにもいかないし、逆にいえば、対話集会がだんだん回を重ねるごとにあまりプレッシャーとかなくなってきましたから、それを補っていただく要素もあったかなと思って私は肯定的に受けとめているのですけれども。おそらく那覇も同じようなことになるかなあと思ってます。
というのは、先ほどの事務局の説明でわかるように、どこの会場へ行っても、集計結果とか、意見は大体似ているのですよ。だから、もうちょっと記事にしにくいという点で、塩川大臣のこの問題提起、必ず個人発言だと断ってられましたから、それなりにニュースにはなり得るお話でございましたからなったということで、これはこれで対話集会と一体化した一つのイベントかなと私は理解してますけれども、事務局、どうですか。
〇事務局
きょうの朝、また記者会見でいろいろ聞かれまして、実は今のご質問と似たような質問を受けたわけですが、そのまま記事が正しいかどうかわからないのですが、大臣の発言を見ますと、大臣が関西の方での講演とか、実は長崎の前に大阪で講演をしてその足で長崎会場へ行ったようで、そこで記者会見で随分その質問がどうも出たようなのですね。
「これは会長にも私申したのですが、私の一つの単純な考え方ですから、別にこれが財務省の方針であるとかなんとかいうのではありませんけれども、しかし、だれかが1つ下地を出さなければいけないんじゃということで、その下敷きのつもりで出した案なのですが、私は別に3年、5年という時限を考えて、増・減税バランスをとるという考え方を述べただけなのです」と、こんな感じなのですね。
ですから、ある意味でいえば、スティックしておられるというよりは、なんか土台の議論を出さないとわかりにくいからということでどうも言われただけで、全くの私見だということを何度も繰り返しておられるということかと思います。
〇委員
あと、片山大臣が来られたときには、例の国税、地方税の税源移譲の問題とか、例の電子商の東京の問題とか、住基番号とか、あとはまた記者会見では郵政公社の人事はどうなっているかなんていう話まで質問があってね。だから、大臣に来ていただくのは大いに結構なのですが、我々の対話集会と関係ないところへ話がいってしまうという結果もあるのですよね。これはこれでまた致し方ないかなとは思ってますけれども、そういう実態でした。
ほかに何かご意見。
〇委員
今の委員のお話とおそらく趣旨は同じだと思いますけれども、予想以上にというか、この基本方針の方向は支持されておると。そういうこともあって、それも頭に置いて、今後の審議としては、まずどうしても最初減税をやるのだと、それに引っ張られてこういうことをやるのだというのではなくて、やはり基本方針そのもの、これを中期的に目指していくのだということで、その中でいろいろ出てくると。金額の問題、期間の問題というのはその後で出てくる話として、かなり極端な場合には、例えば定率減税で金額はいかようにでもなるという面もあると思いますので、例えばこの15年度予算の中の3ページでも、やはり最初減税で、それを踏まえてという次の段落で3ページに出てきているが、それではちょっと税制調査会としてのスタンスというのは何となく寂しい面がある。
むしろ、もうこれだけのいろいろなご意見、ご支持なり何なりがあるとすれば、基本方針を正面から出していって、金額とか、そういった枠にはあまりこだわらないでいく方がいいのではないか。しかし、塩川大臣、その金額のことも一生懸命心配して言っておられるのだと思いますが、ありがたいこととは思いますけれども、スタンスとしては、そういう正面からの方向というものを少しずつ押し出していってはいかがかと、そんな感じがします。
〇委員
税調の役割と政治的な絡みのあります増・減税のいろいろな数字の査定の仕方というのは微妙に絡むのですけれども、しかし、我々税調としてはあくまで制度設計、要するにあるべき姿論にどう肉づけしていくかというあたりが最大の役目だろうと思いますから、今諮問会議もいろいろなことを言ってますし、塩川大臣も言ってますが、2兆、1兆だとか、2兆、2兆だとかどうだこうだ言ってますが、しょっちゅう変わり得る数字でありますから、我々はあまりそうコミットせんでもいいではないかと、こう思ってます。私は個人的にそれで通していくつもりでおります。
ぼつぼつよろしゅうございますか。どうぞ。
〇委員
質問というか認識というか、この3ページのアンケートの、大ざっぱにいうと、公平でわかりやすくて、幅広く分かち合えば消費税をどんどん上げていいと(笑)。どんどんかどうかは知りませんが、というふうに国民は大体思っているという認識でこれからいていいのですかね。
〇委員
いや、それはここの会場の人のご意見でありますが、はなからこれを全面的に否定されなかったというのは事実でありましょうが、どんどんいけるかどうか、これから十分にいろいろ慎重な議論をしなければいけないと思いますがね。この間集まった方はかなり税について認識のある人、それから関心のある人ですが、はなから、増税、あるいは消費税アップと言った途端に拒否反応起こしちゃう層もまだまだというか、非常に多いと思うのですよね。そういう人との対話をこれから別でやらなければいけないと思いますから、仲間がかなり増えたということはあるけれども、相変わらず、我々が説得しなければいけない人もいるわけで、そう僕は簡単に手放しで楽観はしてないのですけれども、委員は楽観的なほうですか。
〇委員
いや、民主主義の世の中ですから、みんながそう思っているということなら……
〇委員
たまたま来ている人がということですから。でも、これはある意味で我々にとっても、はなから拒否反応がなかったという意味において、ウェルカムなのでしょうね。いろいろ解釈、これからあろうかと思いますので、これから慎重に実際の場でこれを使いたいと思ってます。よろしゅうございますか。
〇委員
簡単ですが、例の出席者を見るとやはり40代、50代、60代が多くて、若者が、例えば渋谷なんかを歩いているのは、消費税、何でやっているのだかわからないというギャルがよくテレビのワイドショーに出てくる。だから、それはこの税調そのものでやるのではなくて、やはり何らかの格好で、若者というか、これから育っていく人とやはり接触していく必要があるのではないかという印象がしております。
〇委員
最後にご報告しようかと思ってましたけれども、学生を中心とした若者集会を10月22日に今企画しておりまして、今回の対話集会も、2ページに書いてますが、学生ゼロですから、これも非常に寂しいので、今度は学生のみ選抜して対話集会みたいのを持ってそれなりの反応を聞いてみたいと考えておりますので、委員の問題提起について若干お答えできるかと思ってます。ただ、渋谷を歩いているギャルまではどうも手が及びかねますので(笑)。
それでは、次に移ってよろしゅうございますか。
今後の議論、どういう形で進めていくかということと、それから今日の具体的な審議に入りたいと思います。ちょっとこれまでの経緯をまとめておきますと、我々、「基本方針」を出しました。と同時に、総理からも、例の小泉5項目も出ました。今後議論していく中で、塩川大臣から、今後の議論が透けて見えるような格好でまとめてくれというのが、8月末とか9月にやってくれというのがたしか6月14日の総会であったのですよね。それに向けて少し文書も整理していかなければいけませんし、それから対話集会を受けて、どういう格好で今後、小泉5項目を中心に来年度税制改革と絡めて議論を進めていくかということもございます。
そういう意味で、きょうと次回8月30日、火、金でございますが、今週やって、9月2日に対話集会の最後をやった翌日9月3日に、火曜日でありますが、総会をやりたいと。この総会で、俗にいわれます、塩川大臣がおっしゃった、多分透けて見えないと思うけれども、透けて見えると称される文書を少し出したいと。それを今日、次回で整理して総会に出したいという段取りでございます。
そこで、議事予定にも書いてございますように、研究開発・投資減税とか、外形とか消費税、それにさらに配偶者特別控除・特定扶養控除、相続税・贈与税、5つ項目がございます。そこで今日は、資料の作成等々から適宜ピックアップしました研究開発・投資関係、外形、そして消費税の免税点等につきまして、今から3つに分けまして議論をしていきたいと考えております。
ちょっと時間が押してきましたが、最初に、法人税の研究開発減税、投資減税につきまして、事務局の方からまずご説明いただきましょうか。
〇事務局
それでは、お手元の資料、16-1と16-2が法人関係でございますが、そのうちの16-1「説明資料(法人税関係)」という資料に基づきましてご説明をさせていただきます。
まず16-1の資料の目次の次、1ページをお開きいただきますと、そこに6月にまとめていただきました「基本方針」の法人課税の部分を取り出してございます。アンダーラインのところだけ簡単に読ませていただきますと、1ページの下のほうに、「国際的に整合性がとれ……中立的な税制であることを基本とすべきである」という考え方のもとに、2ページ目をお開きいただきますと、税率につきましては、すでに先進国並みの水準ということで、「開発途上国の水準を念頭において、これ以上の引下げを行うことは適当でない」ということで、今後の水準については、「先進国との税率のバランス等を踏まえて検討していくべきである」という記述をいただいております。
また一方、[2]のほうでございますが、「21世紀をリードする産業・技術を見据えた明確な国家戦略を前提に、総合的な政策の重点分野への集中投入が必要であるということで、その一環として税制についても、既存の租税特別措置の整理・合理化を大胆に行いながら、政策税制を研究開発分野等、真に有効な分野に重点化すべきである」というご指摘をいただいております。
それから3ページ、4ページは前にも見ていただいた資料でございます。税率が引き下がってきた歴史、3ページでございます。それから4ページ、こちらに実効税率の国際比較をしておりますが、左の方にございますとおり、我が国は従前の49.98%から、実効税率ベースでまいりますと、橋本内閣のときに約3.5%引き下がりまして、さらに小渕内閣の11年度改正で5.5%程度引き下げ、現在は40.87%ということで、このうち国税の部分、法人税の部分について言いますと27.37%ということで、諸外国に比べて遜色のない水準というふうに見ることができるかと存じます。
5ページの法人税負担率の試算は、下のほうに(出所)とございますが、日米の課税統計を用いまして、(注)の1行目にございますが、産業ごとの課税所得を分母に、それから産業ごとの実際の法人税額、外国税額控除等は控除前の数字を用いてございますが、これを分子に置きまして、産業別の負担率を試算してみたものでございます。左右それぞれ、試験研究税制等の影響も受けて若干でこぼこはございますが、日米総じて、日本のほうがやや低め、一番下の平均という数字を見ていただきますと、我が国が30.2%、米国が33%という数字になってございます。
1ページおめくりいただきまして6ページをお開きいただきますと、今の一番下で読み上げました各産業平均の数字を時系列を追って並べてございます。その前に6ページの下の方にいわゆる法人税の税率の推移を入れておりまして、アメリカが、右軸で見ていただきますと、この間ずっと法人税率は35%で変更はございません。一方、我が国につきましては、先ほど申し上げましたとおり、2回の減税を経て、現在30%ということになってございます。上の方で、実際の法人税の負担という意味での推移をとってございますが、我が国は、したがいまして、1999年、2000年の2年間で大幅に下がってきているという状況にございます。
7ページをお開きいただきますと、これは経済産業省が作成されたものでございまして、経済産業省の企業税制に関する研究会に提出した資料をそのまま使わせていただいてございます。ここの推移を見ていただきますと、我が国国内法人の設備投資等の推移でございますが、キャッシュフローという(A)、企業のキャッシュフロー自体は、1990年以降、基本的にどんどん高まってきている状況にございます。一方、設備投資額は同じような基準で、1990年代に入りまして基本的には低下傾向にございます。このキャッシュフロー(A)から設備投資(B)を引いた差額が棒グラフになってございまして、これは資金余剰額ということで使っておられますが、これが近年非常に大きくなっているということで、2000年度には約25兆円の資金余剰が発生しているという数字でございます。いわば企業の手元のキャッシュフロー自体はそれなりに潤沢にある。設備投資が減っている結果、いわば資金余剰は発生してきている。何に使っているかでございますが、有利子負債増減という折れ線グラフがございますが、2000年度で見ますと約11兆円、まさに借金の返済が進んでいるという全体的なマクロの構図を示しております。
8ページをお開きいただきますと、法人税につきまして、税率の引下げといった議論もあるわけでございますけれども、こちらでは平成12年度の申告所得の決算法人、どんなところが多いかと。目立つところでは、1位、8位にあるような自動車産業を初めとする製造業もございますし、あるいは4位、5位にございますような通信産業もございますし、また、やはり所得の比較でいきますと企業規模なども大分大きく効いてまいりますので、電力関係が2位、14位、18位、19位に見えてますが、電力関係ですとかJRの関係、あるいは消費者金融なども7位、15位などに顔を出しているという状況でございます。
こういった状況のもとに、9ページをお開きいただきますと、「基本方針」の中では戦略分野に政策を集中するというご指摘をいただいておりまして、後ほど見ていただきますが、この後に出されました骨太2002の中におきましても、幾つかの重要な国家戦略というものが指摘されておりまして、その一つが試験研究の分野でございます。
その試験研究につきましての現在の税制の仕組み、これは9ページ、これも何度かご覧いただきました資料でございますが、基本的には、右のグラフにございますとおり、最近5年間のうち多かった年3年分の平均よりも増えた分につきまして、増加額のこの15%を税額控除するという仕組みが現行の仕組み。したがいまして、増加試験研究費の税額控除という仕組みになってございます。
10ページをお開きいただきますと、一方、試験研究費につきましては、昭和60年代は大変、増加に次ぐ増加ということを続けてまいったわけでございますが、バブル崩壊後、基本的には伸びない時代に入ってきております。その間、平成11年度に税制改正を行いまして、上の方にございますが、11年度に、実はその前までは過去の試験研究費の支出額の最高額よりも増えた部分につきまして税額控除があったわけでございますが、それをいわば使いやすくする形で、3年平均ということに直した改正を1回いたしております。ただ、引き続きその後も試験研究費は横ばい程度にとどまっているという状況でございます。
11ページ、12ページで日米の研究費の伸び率と名目GDPの伸び率を比較いたしております。11ページが我が国でございますが、バブル以前、研究費の伸びも10%前後と非常に高く、また名目GDPの成長率も高かった時代から、最近ではそれが合わせて低くなってきている状況にございます。
12ページをお開きいただきますと、一方アメリカについて、これもやはり試験研究費について見ますと、平成4年から6年ごろに1回低い時期がございましたけれども、その前後、特に後の平成7年以降を見ますと非常に高い研究費総額の伸びが続いている。名目GDPの伸び率も高いという状況が続いております。
13ページ以下で、主要国の研究開発税制の比較をいたしております。我が国は一番左、先ほど申し上げました増加試験研究費の制度でございます。我が国に最も似ておりますのが一番右端のフランスでございまして、増加試験研究費の税額控除制度がやはりございます。ドイツは研究開発関連の措置は存在しません。
アメリカ、イギリスにつきまして、14ページ以降で制度の概要をお付けいたしております。アメリカの研究開発関連税制でございますが、推移がございまして、1.の(1)にございます、いわばレーガンIのときでございますが、このときに、民間の試験研究を促進するためということで、<内容>のところにございますが、直近3年平均からの増加分の一定割合を税額控除するという制度がつくられました。
その後、(2)にございますが、レーガンIIで、控除範囲が広範に過ぎるということで、その明確化などをする改正を1回経まして、2.のほうで、現行制度としては2004年までの時限措置ということで仕組まれてございます。
(1)が、その上のほうで導入されましたいわば増加分の一定割合を税額控除する、日本の形に近い形でございますが、これを1回、1989年に改正を行いまして、そこの<改正の経緯>にございますが、直近3年間の平均を引き算するという形ですと、ある期、今期の支出額を非常に増やした場合には、来期以降の税額控除に大きな影響を与えてしまうということで、企業にとって必ずしも大きなインセンティブにならないといった指摘がございまして、増加分を計算する際の基準額に固定基準を採用いたしました。固定基準というのは、<内容>の算式に書いてございますが、以前の84年から88年度の間の試験研究費の割合というのを固定して基準として採用いたしまして、これよりも多い分、この割合について多い分につきまして税額控除するという仕組みでございました。
15ページにお進みいただきますと、それを1996年に制度の追加をいたしまして、今の増加分の税額控除方式では、例えば基準年の84年から88年の間に大変多くの試験研究費を使った企業にとってはメリットが小さいといったような事情がございまして、増加分ではなく、内容にございますが、いわば根っこから、試験研究費の一定割合を税額控除する仕組みというのを導入いたしました。
そのときに、内容にございますが、試験研究費の割合が高ければ高いほど税額控除割合が高いという制度を採用し、この(1)と(2)を企業の選択制に委ねるというやり方をいたしております。
また、(3)にございますが、基礎研究費につきましては、大学や科学研究機関などに対する基礎研究の支払いにつきましては別枠を設ける形にいたしまして、一定額を控除の上、20%という非常に高い税額控除の割合を適用いたしております。これも、(1)(2)どちらかを選択した企業はさらに(3)について、この基礎研究部分についてはさらなる特例を受けることができるという仕組みにいたしております。
続きまして16ページ、17ページでは、イギリスの研究開発関連税制をつけさせていただいております。1.にございますが、イギリスでは、研究開発資産につきましては、初年度に100%の即時償却という仕組みを1962年以来導入いたしております。これに加えまして、2.にございますが、2000年以降、中小企業につきまして、まず<制度の概要>の[1]にございますが、R&D、租税負担軽減措置として、一定額以上の試験研究費を出している場合には、当該経費を150%に増額して損金算入可能という仕組みを導入いたしました。本来であれば、100%のところを50%割増をするということでございまして、イギリスの場合、あまり税額控除という方式をとっておりませんので、50%経費が増えるということは、それに実は中小企業の場合は大体20%程度が税率になりますが、20%の税率を掛けた約10%の税額控除に相当するような措置をとったということになります。また、[2]にございますが、損失を受けた企業につきましては、その分一定割合の現金給付を可能にするような仕組みを導入いたしました。
17ページをお開きいただきますと、さらに2002年、本年の4月からでございますが、同じような制度を大企業に導入いたしまして、一定額以上を支出する場合は25%の割増の損金算入という仕組みを導入いたしております。
それから18ページ以降は、骨太2002の中でもう一つ、設備投資の関係でございますが、現在、18ページにあるようなさまざまな設備投資の減税措置を導入いたしておりますが、19ページにありますとおり、設備投資につきましてはなかなか伸びがないという状況にございます。
20ページをお開きいただきますと、その背景といたしましては、ご承知のとおり、設備稼働率が最近低くなっているということがございまして、一般的な投資を促進する措置が現在有効かと申しますと、もともと設備一般としては非常に余っている状況に一方ではあるということがございます。
21ページに骨太方針2002をお示しいたしておりますが、そうした中で、こちらの考え方といたしましては、アンダーラインのところを見ていただきますと、「6つの重点課題に着目し、日本の強みを伸ばし、弱みを克服するための戦略を構築する」ための戦略がございまして、その中で、2.の(2)にございますが、まずは「技術力戦略」ということで、ナノテク、IT、バイオテクノロジー、環境を初めとする先端分野に、下にございますが、「戦略分野への選択と集中」を進めていくと。
そして22ページにございますが、試験研究税制、IT・環境投資促進税制の見直しを検討するといった考え方。あるいは(4)「産業発掘戦略」の中で、内閣官房が重点4分野につきまして戦略を策定するといった考え方が示されております。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、今のご説明につきまして、ご意見、あるいはご質問がありましたらどうぞ。これまで比較的この分野について我々議論を重ねておりませんのですが、これから、この研究開発投資、設備投資減税、大きな問題になりますので、きょうは集中的に審議しておきたいと思います。
〇委員
まず質問ですが、研究開発のところです。第1点は、9ページに増加試験研究費の仕組みが紹介されているわけです。次のページに「試験研究費支出額の推移」という表が出ているわけです。増加試験研究費、いわゆる税制における試験研究費、そして、これは総務省統計局の資料となってますが、この10ページの表に見られる試験研究費、これは同じ概念なのですか、それとも違うとすればどこら辺が違うわけですか。
〇事務局
10ページの数字、細かい、どういうものを取り上げたかというのは今ちょっと手元にございませんが、税法上の試験研究費の考え方は企業会計の考え方に基本的には則ってございます。したがいまして、企業会計の中で、いわゆる経費、あるいは償却資産の償却に該当するようなものを試験研究分野に集めたもの、これが大まかにいえば試験研究費の概念になります。
〇委員
13ページ以降、海外の事例が紹介されております。この資料の中で何度か、適格試験研究費という言葉が出てまいります。アメリカとかイギリスとかで。この適格試験研究費というのは何が適格なのですか。
〇事務局
これは各国によって考え方が違います。日本の場合ですと、例えば外国の研究機関に研究をお願いするといった場合も当然試験研究費の中に入ってくるわけでございますが、アメリカの場合は国内のものに限られるといったような形で、適格要件を絞るわけでございます。それからイギリスにおいては海外のものも認められているといったような例があります。それから、例えば外部の機関に委託するということも考えられるわけでございまして、日本の場合も委託をしても結構ですということに今なっておりますが、イギリスなどにおいては、大企業においては、そういう委託の研究費は認めないといった形で、適格要件を絞っているという例がございます。
〇委員
もっと具体的に伺いますと、つまり、現在のこの日本の制度における、これも一種の適格研究費という言い方を許されるとすれば、かなり適格という範囲が狭いという不満というか、声を聞くわけですね。つまり、対象とする試験の種類、あるいは対象とする試験の段階、いわゆる基礎研究に少し偏り過ぎている。あるいはその試験研究に従事する人の人件費、これがもっぱら試験研究に従事する者という限定がついている。あるいは極めてオリジナリティが要求される。改良とか応用とか、そういったものは比較的認められないケースがある。つまり否認されるケースがある。等々の話をよく聞くわけですが、すぐこの場で材料をお持ちでないならまた後で示していただきたいのですが、要するに、この試験研究費の問題を議論する際に1つ重要なポイントは、この試験研究費の適格性、範囲が焦点になると思うのですね。ですから、国際的にはどういうものが一応対象になっているのか。それから、どうも日本の制度においては実情がよくわからない。つまり、なかなか認められないという声は聞くのですが、どういうものが認められ、どういうものが否認されるか、国税庁あたりに聞いて、少し具体的な資料があったら後日提供していただきたいと思います。
〇事務局
今の点、ご指摘ごもっともだと思いまして、私ども、簡単に調べた資料がございますので、今ここにお付けしておりませんけれども、後日ご報告させていただきます。
ただ、概して申しますと、私ども、日本の方が広い部分は例えば対象となる主体、要するに個人等を認めているかどうか。これはアメリカともども認めておるという点で、イギリスと違って広い。それから海外との関係、さっき彼が申しましたが、海外も認めている点が、これはアメリカと違って日本の方が広い。それから委託研究費が全体的に認められている点の違い、これもどちらかというと日本が広いと思います。
逆に人件費、これは今おっしゃいましたとおり、専門的知識を持ってその業務にもっぱら従事する者という縛りが日本の場合にはかかっております一方、アメリカでは補助者みたいな者まで認められておりますから、それは逆にアメリカの方が広いというのはご指摘のとおりだと思います。
あと、商品の開発段階とかリサーチ関連がどうかとか、これは比較的、私どもと諸外国とではそんなに差異はないのではないかと基本的には認識しておりますが、別途調べたものがございますので、また後刻ご報告したいと思います。
〇委員
それは一表に整理していただいた資料みたいのを出していただきますと、我々、審議が……
〇委員
あと制度の説明、あれはアメリカとかイギリスではどのぐらいの減税というか、税額控除がね。これはどこかに出てますか。
〇事務局
すみません。数字はおつけいたしておりませんが、アメリカの研究開発減税の規模が約33億ドル、2000年度でございますから、大体4,000億円強、4,000~5,000億でございます。
〇委員
要するに、これは素朴な疑問なのですが、総務省統計局の10ページの表で、試験研究費支出額というのが10兆9,000億あると。一方で、増加試験研究費の税額控除が400億とかなんかという数字が出ているようですが、11兆試験研究費やって、400億の税額控除というのは、もちろん増加額ベースがどうのこうのという問題はあるにせよ、少し少ないなあという、素朴な感じがいたします。そういう意味でも、ちょっと国際的に数字の額をあわせてご提供いただければと思います。
じゃまた次の機会に、ございましたら。
他の方、どうでしょう。
〇委員
まず法人所得課税の実効税率のところですが、国税について見ると、確かに諸外国に比べて遜色はないと思うのですね。地方税の方は、これは法人事業税、法人住民税のところですね。諸外国に比べるとやはり高いのは事実ですよね。これを見ますと。これは、今諸外国を見ますと、法人関係はだんだん比率が下がってきてますよね。あるいはもうやってないところもあるし。スウェーデンなんか全然やってないわけですね。そういうことから見ますと、今すぐどうこうということではないと思いますが、やはり中長期的にはここのところは検討の余地は私はあると思うのですね。税率はそういうことです。
それで研究開発減税のところは、現行はやはりあまりインセンティブがないかなという感じが確かにします。そういう意味ではやはりアメリカ型、根っこからいって割合を税額控除するという方法がやはりいいのではないかと思いますね。あるいはイギリスも参考になるももしれませんけれども。
それから投資減税については、やはり一般的な設備投資よりも重点を絞るべきであると。IT関連投資に重点的に絞ったほうがいいだろうと思います。
〇委員
ありがとうございます。ほかに何かご意見……。
〇委員
少しダブるのですけれども、試験研究費についての質問です。もう少し実態というか、法人税収が11兆円ぐらいですよね。それに対して試験研究費でどのぐらい減収になっているのかと。それも重点何分野とか議論しているわけですから、重点分野、あるいは企業の規模別とか、幾つか分けて、できるだけ長い範囲で、この税制がどう利用されてきたかという議論が必要だと。それがなくてどういうふうに議論したらいいのかなというのがずっとさっきから考えていたことです。まずはその資料が欲しいと。
それから第2点は、租税特別措置で投資減税やっているわけですよね。18ページに書いてあって。中小企業に関してはすでにかなり大きな中小企業投資促進税制。それと2,000億ぐらい減収額が出ているわけで、これとの見合いというのはどうなるのかなあと。もう少し、だから、この中小企業についてはこれは維持して、そしてさらに研究開発投資は上乗せすると、中小企業はこれにさらに上乗せになるのかという点も気になります。
〇委員
研究開発投資と設備投資の関係ですよね。中小に限らず、オーバーラップしているところもあるのではないかというご意見ですが、ちょっとご説明いただけますか。
〇事務局
まず研究開発税制のほうでございますが、こちらは資産に限らず、人件費ですとか、さまざまな物件費ですとか、いわば設備に限らず、全体の経費、したがいまして、設備につきましては償却費がその対象となるようなものになります。
日本の場合ですと、先ほどもお話がございましたが、今増加分だけということになってございますので、減収規模、本年度で320億円と小さくなっております。これはたしか、以前は1,000億を超えるような規模であった。どんどん増えている時期はもっと減収規模が多い時期があったわけでございますが、現在ではその程度の減収規模になってきております。
それから今のご質問の中で研究開発の内訳ということでございますが、なかなか分野ごとの内訳というのは、まさに基礎研究からいろいろある中で難しいというのが、むしろ経済産業省などから伺った場合でもそんなふうにとらえていらっしゃるように思います。
それから租特でございますけれども、今18ページにございますとおり、中小企業関係につきましては、税額控除または特別償却の措置がございまして、したがいまして、これは中小企業の取得する機械などの設備につきましての控除措置ということでございます。
〇委員
試験研究費のことをもう一回、繰り返しになりますけれども、この場合は法人税率を下げるというのと違って、最初から政策的な減税を意図しているわけですよね。したがって、額はそういうことであれ、今後幾つかの重点分野について、効果があるかないかということがまさに問われるわけですから、データはどう調べるのか、この場で私は答えられませんけれども、業種別の利用の実態、そしてこれを制度を変えたときにどのような効果があり得るのかと。そこの辺は難しいけれども、少なくとも、だけど、戦略的な分野に対してどのぐらい効きそうなのかという議論は必要な気がします。
〇委員
そういう分析、前にやらなかった?
〇委員
やっておりません。
〇委員
やってないの。じゃやれよ、これから(笑)。
じゃどうぞ。
〇委員
この資料の5ページに「日米の業種別法人税負担率の試算」というのがあるのですね。最近、いつの新聞だか忘れて、きょう切り抜きを持ってこなかったからわからないのだけれども、内閣府の学者の名前出ていたけれども、計算したところ、日米間で実効税率においてものすごい差があるという数字が出ているのですよね。それから見ると、これは財務省の数字なのだけれども、大分違うなという気がするのですよ。
〇委員
これは財務諸表だから。
〇委員
だから、私が聞きたいのは、これはうそではないだろうと思うのだな、財務省の数字は。何人かの学者が集まって数字をつくったやつが、内閣府の数字も全くうそのことをいっているのではないのかもしれない。あれが法人税率本体を下げろという議論の論拠なのだから。我々、その必要ないと私思ってますからね。だけれども、とにかくあの数字がひとり歩きしていることも事実なのですね。だれも反論できないのですよ、目下のところ。いいですか。
〇委員
いや、反論はできるのではないですか。
〇委員
だから会長にお願いしておくけれども、あの数字の内容を、財務省だって経産省より持っているはずだから、データもあるはずなので、完璧に反論できるか批判できるか知らないけれども、あれについてはこういうふうな我々の解釈ですということを出してもらいたい。やはりデータが必要なのですよ。高速道路の公団の、委員がやっているのも同じことなのだ。データがなければ議論できない。
〇委員
そういうこと。事務局のほうも何かやっていたでしょう。簡単に。後日データ出せれば出していただくとして。
〇事務局
今ご指摘の内閣府レポートでございますが、確かに、ミクロアプローチということで、エレクトロニクス等々の5業種、ものすごく差が出ている。例えばアメリカのエレクトロニクスは税負担率は6%であると。こんな数字を出しておられるものがございました。
我々もあらかた内容についてはお聞きもし、どうも各業種、日本の上位5社、これの平均をとられましてモデル企業をつくると。それを日本の税制と例えばアメリカの税制に当てはめた場合どうなるかという計算をされてます。問題は、このモデル業種をつくっておられますものですから、例えばやたらと受取配当が多い、やたらと設備投資が多い、そういう特別な企業がたまたま当たった場合はすごく税負担が低くなる可能性はございます。
我々、先ほどご指摘の資料、あれはそういう意味ではその業態のマクロの数字、全体の数字でございます。その中で個別の企業を拾った場合にどういう当てはめ方になるのかというのは検討の余地があろうかと思います。
ただ、いずれにしましても、彼らの結論も、これは税率のせいというよりも各種税額控除等々の原因によるものであると。この差はですね。こういうことに彼らもしておられます。
いずれにしましても、我々もこの内容につきましては生のデータ、実は入手しておりません。我々なりにどういう検証ができるのか、今ご示唆あったことを受けとめまして検討したいと思っております。
〇委員
いずれ、またまとまったら。
〇委員
もう一点。今のこととちょっと違うのですけれども、研究開発減税というのは、僕は前から必要だと思っているから、基本的にはこの方向でやるべきだと思うのですよね。間もなく、8月末になれば、経産省を中心にして主要官庁から、これ、オーソライズされているわけだ、総理に。ここを先途とみんな要求出てくるのは明らかなのですね。みんな相当膨大なというか、意欲的な数字を持ってくることは明らかなのですよ。
それで、そのときに、我々は個別の要求のことについて、これはどうでこうでという議論をやるよりもっと基本的な、こういう線でものを考えたらどうだというふうなルールを決めるのがせいぜい税調のあれで、個別の査定なんていうのは、それは財務省と経産省がやり合えばいいわけだからと思うのですよね。
そこで、これは石会長にお願いするのがいいのかどうかわからんけれども、そういう試験研究費問題について膨大な要求が出てきたときに、査定官庁こっちだから、どういう基準でものを考えて整理したらいいのか。したがって、ここは結構ですよ、ここはちょっと問題ですねということの尺度が必要だと思うのですね。それはもし、僕はよくわからないので、会長の権威で出していただけばありがたいし、なければ経産省が、もう他のほうから話を聞きたい。
〇委員
事実として、いつごろ出てきて、どういう形で査定等々、我々税調はそれに直接絡みませんけどね。今委員がおっしゃったように、何か発言ができる余地があるのかないのかね。つまり、抽象的なレベルでもいいのだけれども、物差しをつくるつくらない、その議論の余地があると思いますけれども、何かその辺の情報があったら。
〇事務局
各省の税制改正要望につきましては、今、各省庁で取りまとめておられまして、8月30日までに財務省の方に提出していただくということになっておりまして、それを受けまして、私どもの方で9月に入ってから各省庁を順繰りに呼んでヒアリングをしていくという手続になります。
〇委員
じゃ9月の末ぐらいの基本問題小委員会で何かそういう情報をいただけるならそこで議論しましょう。ちょっと先を急ぎたいのだけれども、かいつまんでどうぞ。
〇委員
要するに、委員がおっしゃったことに関しての私の考え方をちょっと申し上げたかっただけなのですが、試験研究費等に関して、アメリカの例とかイギリスの例とか、そういうふうにやるよりも、何かもうちょっときちんとした抽象的な形で物事を考える枠組みを考えたほうがいいのではないかというのが私の考え方です。
基本的に2つ、ないしは3つのやり方があって、一つのやり方は、日本では中小企業のケースがそうですけれども、試験研究費全額のうちの何%かを控除してしまうという考え方があるわけですね。それから、そうではなく、もう一つは、基準額を決めておいて、その基準額を超えた部分の何%かを税額控除すると。いわば平均でやってしまうのか限界でやるのかという、そういう考え方でいいのかもしれませんが、そういう部分がある。
問題は、前者は、要するにどうせやる試験研究費についても減税するということですから、これはあまり、とりわけ今みたいな財政状況とか、そもそも試験研究費の減税というような、仕組みとしてそもそもあまり的を射ていない。インセンティブとして本当に必要なのは、本来だったらやらなかったものをこの減税をすることによってやるという仕組みが本来必要なので、そういう意味で、基準額以上ということが大事なのではないか。
問題は、じゃ基準額をどこに設けるかで、多分2つの考え方があって、1つが過去ですね。例えば去年とか、過去5年のうちの3年分とか、そういう過去から上の部分についてどうですかというやり方と、あるいはそれとは全く無関係にどこかで基準を決めてしまう。ある意味でアメリカのケースなんていうのはそれに比較的近いと思うのですね。
前者は今の日本では非常に問題があるだろうと。なぜならば、今日本では試験研究費自体が減っているのだから、過去を基準にするといろいろな問題が出てくる可能性があるというのが1点ですね。
それからもう一つが、過去を問題にするとむしろ将来に問題が起きるという可能性があって、つまり、今年の試験研究費をどのぐらいにするかということを企業が考えるときに、今年幾らにするかによって来年以降の減税額が変わるということが起こるわけですね。過去を基準にしてしまうと。つまり、来年のことを決めるときには今年が過去になってますから、そういう戦略的な発想をする可能性がある。そういう意味ではあまり望ましくないのではないか。
だから、基準はあまり歴史とは無関係に、歴史的に決まるというよりは、もう少し客観的な、アメリカなんかのケースが一つの典型ですけれども、そういう基準で決めたほうが、多分、研究開発に関するインセンティブとしてはスマートで、かつ有効なインセンティブが生まれるのではないかというのが私の印象です。
〇委員
具体的なご提案ですので、またそのとき議論させていただきたいと思います。
〇委員
法人税の実効税率の問題ですけれども、地方税部分をどう考えるかというご指摘がありました。この4ページの表の(注)2.にも書いてありますように、ここに出ているのはカリフォルニアだけの例。それで、カリフォルニアの例で40.75%、国・地方が含まれている。ところが、(注)2.に書いてあるように、カリフォルニアではなくてニューヨークをとれば、これは全体で45.95%。こういうことで、地方の法人税というのは同じ国でも違うし、基本的にはこれは国と地方との権限配分、自由配分、それと税源配分、そこいらの問題に絡んでいるので、地方税だけ云々という議論はおかしいのではないか。やはり国・地方を通じての法人負担がどうあるべきか、そういうような観点で考えるべきではないかと思います。
それからもう一つ、研究開発税制ですけれども、各省から出てくるのはバイオだとかITだとか、そういう分野を言ってくるのだと思うのですが、私は基本的に分野を区切るのはよくないのではないかと。要するにここで議論するのは基準だとかなんかということで、どの技術が今後市場で受けるかどうかとか、そういう判定はおそらく経産省自体だってわかりゃせんので、それを一々分野を限るのは私はおかしいと基本的に思います。
〇委員
そういうご意見、前からも出ておりますので、また、今日だけでもないと思いますから、議論したいと思います。
それでは、ちょっと先へ行かせていただきます。もう30分ほど超過してます。また研究開発やりますから、そのとき。では外形へ行きましょう。外形課税、事務局の説明をちょっとお願いします。
〇事務局
それでは、お手元の資料で基礎小16-3というものがございます。それをお開きいただきたいと思いますが、まず1ページをごらんいただきたいと思います。
外形標準課税の導入につきましては、平成10年4月にこの調査会におきまして地方法人課税小委員会を設置していただきまして、望ましいと考えられる外形基準や課税の仕組みについてご検討をいただきました。それらを受けまして、平成12年7月のいわゆる中期答申、それが1ページにあるわけでございますが、ここにおきましても、下のほうにございますとおり、下線を引っ張ってございますが、「すべての都道府県において幅広い業種を対象に、薄く広く負担を求める外形標準課税について、景気の状況等を踏まえつつ、早期に導入を図ることが必要」だとしていただいたところでございます。
次に2ページをお開きいただきたいと思います。今申し上げました中期答申に掲載されました望ましい外形基準というものをそこに取り出してございます。まず1つ目は事業活動価値でございます。これはいわゆる加算法による所得型付加価値ということでございまして、各事業年度における利潤、そこに給与総額、支払利子、賃借料を加えて通算したものでございます。
これにつきましては、その欄にございますとおり、「法人の人的・物的活動量を客観的かつ公平に示し、法人の事業活動規模をあらわすものとして最も理論的」としてございます。そしてまた「各生産手段の選択に関して中立的」「課税ベースが広く、安定的」、ただし「課税・納税事務の複雑化につながらないように」としているところでございます。
[2]は給与総額でございます。これは「法人の人的活動量を示す」ものである。すなわち、「給与総額は事業活動価値の7割を占めることから、簡便な基準として事業活動価値を代替」するとしていただいたところでございます。
それから[3]は物的基準と人的基準。具体的には人的活動量をあらわすものとしまして給与総額、それから物的基準といたしまして、事業所家屋床面積、事業用資産の価額等々を念頭に置いてこのような判断をしていただいたものでございます。
[4]は資本等の金額。これにつきましても、「法人の事業活動規模をある程度示す」「資本等の金額それ自体は、簡素な基準であり、課税及び納税事務の負担が少ない」といったことで、一番下にございますとおり、「所得基準による課税や他の外形基準による課税と組み合わせて用いることを基本として考えることが適当」とされたわけでございます。
なお、一番右端は売上高総利益ということで、参考として掲げられているものでございます。売上総利益、これは売上高-売上原価ということでございますが、課税ベースが広く安定的であるとか、企業会計上の位置づけが明確だということではありますが、その下にございますとおり、売上原価に区分するのか、販売費・一般管理費に区分するのかが明確でないというふうにご判断いただいたところでございます。
こうした検討を踏まえまして、3ページにございますとおり、12年11月に旧自治省案を発表したところでございます。所得基準と外形基準をそれぞれ2分の1ずつ併用する。外形基準は事業規模額、すなわち収益配分額、その内容は報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料、そこに単年度損益を加えるということでございますが、これにつきまして、一番下にございますとおり、中小企業に対する配慮といたしまして、資本金1,000万円未満の場合には、最大でも、外形部分については4万8,000円といたしました。
なお、資本金1,000万円未満の企業といいますのは、全体の企業のうち53%、約130万社でございます。
それからその下、雇用に対する配慮といたしましては、収益配分額から一定額を控除いたします雇用安定控除といったものも考えさせていただいたわけでございます。
この旧自治省案につきましては、4ページにございますとおり、政府税制調査会におきまして答申をいただいたところでございますが、[3]の上のほうにございますとおり、線を引っ張ってございますが、「全体として見れば、増税を目的とするものではなく、税収中立の考え方の下、中立性の高い課税標準により、薄く・広く・公平な課税を図ろうとするものである」とご指摘いただきまして、また[3]の下のほうの下線部分でございますが、「各方面の意見を聞きながら、景気の状況等を踏まえ、外形標準課税の早期導入を図ることが適当」としていただいたところでございます。
それからその次5ページでございます。旧自治省案につきまして、また、その後いろいろ各方面からご指摘をいただきました。そうした意見交換等を行った上で、13年11月に、そこにございますとおり、総務省案というものを発表いたしました。所得基準と外形基準の割合は1:1。これは旧自治省案と同じでございますが、その外形基準の中に、そこに付加価値割とございます。これは旧自治省案で言っております事業規模額に相当するわけですが、付加価値割に資本割というものを導入することとしたわけでございます。
資本割を導入することによりまして、報酬給与の占めます割合というのを全体の2割程度にしたということでございます。この結果、税率は大法人、中小法人とも一律となりまして、課税の仕組みを簡素化いたしましたが、資本金1,000万円未満の場合の外形の税額、最大年4万8,000円等々は旧自治省案と同じに残してございます。
6ページでございますが、「総務省案のポイント」ということでまとめさせていただきました。まず1点目「中小法人に対する配慮」ということでございますが、税収中立ということで、大法人、中小法人につきましても同じく税収中立でございます。それから4万8,000円という定額の選択をすることができるという点。
それから「雇用に対する影響」でございますが、まず雇用に対して影響があるのではないのかというご批判があるわけですが、利潤と給与総額は代替的な関係にあるということ。したがって、給与を減らしても税額は変わらない、付加価値は変わらないということでございます。
それから資本割を併用することによって、全体に占めます給与分の割合を低下させておるということでございます。
それから、今この景気の悪い時期にということで、景気動向との関連でご批判をいただきますが、その下の図表に示しましたとおり、すぐ入れるわけではないと。大法人につきましては、外形導入決まってから2年目から、しかも外形部分は4分の1にして入れていく。それを3年やりまして、その後4年目から2分の1にするといったことにしてます。中小法人につきましては、大におくれること2年で同じような形でだんだんに入れていくということにしております。
7ページでございますが、こうした総務省案に対します政府税制調査会のご意見ということで、真ん中あたりに「この総務省案は」というのがありますが、これにつきましては、「付加価値を基本としつつ、資本等の金額による課税方式を補完的に併用するものである。資本金等の金額は、中期答申において望ましい外形基準とされた4類型の1つであり、法人の事業活動の規模をある程度示すとともに、担税力を示す面も有するものである。これにより、法人事業税全体に占める報酬給与額に係る部分の割合が大幅に下がることとなった。また」云々ということで、「工夫された案となっている」としていただいたところでございます。
次に8ページでございますが、これらを通じまして、私ども、外形標準課税のねらいといたしまして、公平にということで、「薄く広くだれもが負担する税制」を構築したいということでございます。その意味するところといたしましては、事業規模に応じた税負担をしていただきたいということと、応益課税という観点からお願いしたいということでございます。
2点目として「努力した企業が報われる税制」ということでございまして、所得の部分を税率半分にする、つまり9.6%を4.8%にするということで、いわゆる実効税率も下がるわけでございます。これによって、活力ある企業の新規投資等を通じまして、日本経済の活性化等に寄与するのではないかということ。そしてまた「地方税収の安定化」といった観点から導入しようとするもです。
以下、9ページ、10ページ、中期展望での閣議決定、6月の当税調におけます「基本方針」の抜粋を掲げさせていただいております。
以上でございます。よろしくお願いします。
〇委員
ありがとうございました。対話集会でも、この外形はかなり問題になりました。一応総務省案という形で我々は一本化して議論しておりますが、いろいろ議論もまだ残っているのかもしれません。残った時間、少しこれに充てて、今後どういう形でこれを深めていくかというところで忌憚ないご意見をいただきたいと思います。
どうぞ。
〇委員
外形課税導入問題は、この税制調査会だけで申しましても昭和39年以来で、もう38年間たっているわけでございます。毎年、自治省さん、総務省さんが頑張っておられる。さらにさかのぼれば、シャウプ勧告での付加価値税、昭和25年ですから、もう52年たっている。そういう時間が経過してもなおなかなか難しいということであれば、ここはひとつ全く考え方を転回して、外形課税の導入というものですから、どうも事業税というのはやはり主体は利益課税だという色彩が残る。そうならばもう事業税の部分の利益部分は法人住民税のほうに入れて、全く新しい、事業活動税とか、新しい観点から、そういうものでいくのですといったほうが趣旨がはっきりするかなあと。
30年、40年、50年やってもなかなか前進しないというのを、これをもう一歩進めるには何かそういった思い切った発想の転換もあってもいいのかなあと。今回の総務省案でいければそれでいいと思いますけれども、そういう観点からの全く新しい見方からのあれも工夫してみる余地もあるのではないのかなあと。毎年のご努力を見ていてそういう感じもしないことはないわけでございます。
〇委員
委員の言う事業活動税の課税ベースは、そうすると具体的に何になるのですか。
〇委員
それは、今いろいろご説明ありましたあの中の、事業活動税なら一番左かもしれませんですけどね。左の事業活動価値。
〇委員
旧自治省案のこれをとりましょうと。
〇委員
あるいはフランス的な給与税というのがあるのかもしれませんけれども、これはまた雇用に真っ向からというご批判があるかもしれませんから。
〇委員
しかし、五十歩百歩ではないですか。旧自治省案とか総務省案と委員の案も。
〇委員
どうも利益分が残るものですから。
〇委員
利益分でそこを考えようということですね。
〇委員
質問ですけれども、この1,000万円未満ですね。この4万8,000円の他に、住民税とか、この企業が負担する地方税というのはどのぐらいになるものですか。それを1つ伺いたいのと、この今のご説明だと、委員のお話ではないですけれども、三十何年かかってやろうとしている税にしては非常に遠慮し過ぎた。しかも7年後ですよとか、いろいろなものがついて、そんなに悪い税制なのですかと。そんなんだったらもうやめたほうがいいのではないかということになるので、私はこれやるべきだと思っているのですけれども、あまり遠慮してしまうと、これがまた政治マターで党へいきますと、党でまた削られるとなくなってしまうのではないですか。ですから、もっときちんと、1,000万円未満であっても、法人だという以上、地方税としてどのぐらい、国税と含めてどのぐらいは負担していただかないと困るという姿勢を出さないと。
それから余分な話になりますが、これから環境問題が出てきますよね。企業のそういう社会的責任という意味で、公共に対して負担しなければいけないものというのは本当はもっと大きくないと社会成り立たないわけですよね。そのときに、1,000万円未満の方は4万8,000円でいいですよ、それも7年後でいいですよということを言っていたら、本当に税金を払ってない人が税金は高いと言っている話を認めるようなことになってしまうので、これは議論にならないわけですよね。だから、その辺をもっときちんと、毅然たる態度をとられたほうがいいのではないかと思います。
〇委員
その毅然たる態度がとれるかどうか、ちょっとそれをご説明ください。
〇事務局
まず1,000万円未満の企業が住民税ですとか固定資産税とか、他の税、どのぐらい払っているかということですが、実は固定資産税等につきましても、資本段階別にどのぐらい払っているのか。もっと言うと、法人と個人がどのぐらいずつ払っているのかというのは、統計等ございませんで、ちょっとそこら辺ご容赦いただければと思っております。
それと2点目の、4万8,000円というのが安いのではないのかというご指摘でございますけれども、これにつきましては、実は1,000万円未満の方が今までご負担いただいていた事業税、それを1,000万円未満の企業の数で割り返して出しているものでございまして、決して安いとかそういうことではございません。
〇事務局
補足しますと、黒字法人は今でも所得によって払ってますので、赤字の法人でも払わなければいけないものといいますと、小さな会社ですと、今4万8,000円というのを出してますが、その他に現行の制度の中では法人住民税の均等割がございますので、これが、一番小さい会社ですと、都道府県分が2万円、市町村5万円ですから、7万円はいただいていると。あと固定資産税その他は全く会社によって違いますので、どんなものを持っているか違うので、それはちょっと観点が違うと思いますけれども、少なくとも法人であることによって払わなければいけないのは均等割7万円。今はこれだけです。それに今度は、赤字でも4万8,000円程度お願いしたいと、こういうふうになるわけでございます。
〇委員
要するに4万8,000円というので苛酷になっているのかどうかという判断なのですよ。対話集会でも随分議論しましたけれどもね。だから、7万円払って、さらに4万8,000円上積みなのか、7万円も払って、4万8,000ぐらい払わないのではないかとか、そういう議論なので、もうちょっと具体的に、個別のあるサンプルで、実際に1,000万円未満の赤字、零細法人が何か払っているという実情を3つ4つ挙げていただくとイメージが湧きますよね。
どうぞ他に。
〇委員
法人税と同じように、資料をお願いしたいのです。何かというと、これは商工会議所の数字だと思うのだけれども、政府の答申では、増税を目指さず財政中立だと書いてあるけれども、やると増税になるという話があるのですよ。これは結構、僕はいろいろな人とつき合うけれども、枕言葉に出てくるのですよ。これを総務省はどういうふうに反論されるのかね。それのデータをしっかり示してもらいたいのだ。
〇委員
これは片山さんも大分やっていたけれども、どうぞ。
〇事務局
その点についてはまたお示しさせていただきたいと思いますが、私ども、税収中立ということでやっておりますが、それは直近と比べて、直近を基準にしてやるのか、それとも、ある程度中長期の期間の平均値をとられて、そのボリュームに対して増えた減ったということを言うのかということになってこようかと思いますが、私どもが税収として考えておりますのは、平成元年から10年までの10年間の事業税収の平均値の半分を外形でいただきたいということで設計しているわけでございます。
したがいまして、直近、例えば11年とか12年、そういったところから見ますと、その数字が我々が設計しているものに比べると多い少ないという言われ方をされているかと思いますけれども、どのぐらいの税収をいただくかということになりますと、それは直近の単年度というのではなくて、やはり中長期の期間の平均値をもって、それでご議論いただきたいなと思っているところでございます。
〇委員
ただ、日商の場合はミクロデータの積み上げをやっているわけでしょう。個別の会員会社にアンケートして、自分で計算させてみんな積み上げたら、9割ぐらいの企業は赤字でも増税だよと、こういう話になっているわけだから、トータルで過去10年まとめてどうだというマクロのところでレベニュー・ニュートラルやってもパンチないのですよ。つまり、だから日商的な議論にどう対抗するかということはやはり考えてもらわないと。
〇事務局
確かにそういう面はあるのですけれども、しかし、現在、7割赤字なわけですから、今から比べれば、個別の企業積み上げていけば、7割は何がしかの負担増になってしまうということですので、そういう面でいけば、ある程度はやむを得ないと割り切らざるを得ないのだろうと思いますね。
それから各商工会議所の方でどういう積み上げをしているかということについては若干の問題がありまして、我々の考えている付加価値というものの範囲ととらえ方はちょっと違うようです。我々の方で、政府税調でも内容について一部ご説明したことがかつてあるようでございますけれども、そういったものとはちょっと離れて、福利厚生費の取り扱いとかいろいろな面については結構範囲が違いますので、あのままは受け止めていただきたくないと思います。我々はそれについてご説明していきたいと思いますけれども、基本はやはり7割はどうしても負担が増えてしまうというところであろうかと思いますし、あと負担の薄く広くを求めようとしていくところですので、そこはちゃんとご説明していきたいと思います。
〇委員
委員がおっしゃったように、30年か、50年ぐらいやっているのですかね、その議論を蒸し返す気はないのですけれども、幾つか、既にある質問も、ある意味で国の法人税と地方の法人事業税、その関係がどうなっているのだというところに質問があると思います。
その点で1点お聞きしたいのですけれども、法人税のほうである意味で大分改革が進んできた。課税ベースも広げて連結納税も入ってきた。会社の分割とか、それに関しても商法改正まで伴う大きな改革をして、それを税でも生かしてきた。
その観点から今度の総務省案を見ると、具体的な質問ですけれども、資本割という部分が今度新しく入ってきたわけですよね。これがいわゆる会社の分割とか、あるいは持株会社とか、そういう、いろいろな形で会社が組織を変えていこうとする。そうすると、資本割の場合、持株会社に対する課税は一体どういうふうになるのか伺いたいのですけれども。
〇事務局
この資本割を入れることによって、ただいまご指摘ありましたような問題、この政府税調でもご指摘いただいたかと思います。それで、まだ成案は得てないのですけれども、こういった持株会社の関係等々につきましては、この資本割の計算、どうやって算定するか、これにつきましては特例といいますか、配慮してまいりたいという方向で今検討しているところでございます。
〇委員
方向というのは緩くしようということですか、重くしようということですか、どっち?
〇事務局
その部分は落とす方向で、緩くする方向で検討しております。
〇委員
外形をなんかこね回し過ぎという感じをすごく受けまして(笑)、長いことやっているからしようがないとは思いますけれども、それで税収も中立にするということでいくと、この外形のところだけ見ていいの悪いの言っていてもいいのですが、そうではなくて、片方で、もうかっている大きい企業の法人税はなるべく負けると。投資も負けると。配偶者特別控除をなるべくやめていくと。その中でこの外形も赤字法人から払ってもらうというのをトータルで考えると、やはり金持ちの分を減らして貧乏人からいっぱいとるぞという構図にあるわけですから、何ゆえに外形標準課税を入れなければならないかという理由がないのですよね。
前から入れることに決まっていて、なかなかやってもらえないから、中身とりかえて出しましたけれども、どうでしょうかという話になってしまっているから、地方自治というか、地方の税収を絶対安定させなければいかんと。そのためには、この税金を入れるという話でいけば、税収中立だったら、じゃ今のままでいいじゃないかという話になるわけだと思うのですよ。だから、税収も増やすというこの理屈がないと、ぐるぐる回って、弱い者いじめだけじゃないのということで、これはカットされる可能性が非常に高いのではないかという感じがすごくするものですから、外形標準を入れなければならない理由というのをもうちょっと前面に打ち出して、僕は税収中立というのは最初から反対ですけれども、どうせ入れるなら税収上がらなければ何の意味もないと思ってますので、そういう方向でちょっとやり直したほうがいいのではないか。さっきの委員の意見とまあ似ている、大賛成なのですが、そういう意味でも、7年後なんていうのは、どう見ても、来年からという話でないとつじつまも合わないのではないかと思います。
〇委員
ねらいをもう一回ピチッと、自治省側の、なぜ入れたいかという動機と、それからやや腰砕けではないかと、しっかりせいというのに対して、いやいやそうでないという反論もしてください。
〇事務局
ねらいは、先ほど課長のほうからご説明しましたけれども、8ページにありますとおり、地方分権のために税収を安定させるということもありますし、広く薄く負担していただこうと、あるいは努力した企業が報われるようにしようと、そういうようなところにねらいがあるわけです。そのときに、税収をもっと確保するようにしたほうがいいのではないかと。我々もそういうことになれば一番いいわけですけれども、そういうご批判もありますので、直近の税収ではなくて、今は非常に景気悪くて税収が落ち込んでいるわけですので、ある程度の長期のタームをとった平均税収をターゲットにしていきたいというお願いをしておるわけです。そうするとたちまち増税ではないかという反論が来るわけですけれども、我々としては、そこのところはある程度平均的な税収を目指していきたいと思っております。
それから7年後ではあまりにも先の話ではないかというご議論もあろうかと思います。我々としては、そこら辺のところを今後、明日以降、大臣と経済団体4団体と逐次また会合を重ねていきたいと思っておりますが、そういった中でどういう反応が出てきますか、絶対反対と言っている団体もある中でありますので、そういう状況を見ながら、腰砕けにならないように、きちんとした地方税制ができますように努力していきたいと思います。
〇委員
いやいや、もう腰砕けだと言っているのですよ、皆さんは(笑)。だから、その腰砕けがちゃんと立つように、例えば2分の1ではなくてフルにやっちゃえというような話もあるし、7年待たなくてもいいではないかという話があるけれども、それは、今言ったように、無理だというご判断でしょう。政治的には。
〇事務局
政治的には、今のような案についても絶対反対というところが結構多いわけでありまして、我々としては、ともかく今年がこれを導入する最後のチャンスではないかぐらいに思っているものですから、そこのところは導入ということをまず最大の眼目にしていきたいというのが率直な気持ちであります。
〇委員
何となくわかりますけれどもね(笑)。
〇委員
実態をわからずに、30年以上の議論に割り込むのは大変ピント外れになると思うのですけれども、一般市民という感覚で、この議論、非常にわかりやすいのは、行政サービスを受けておりながら一銭も払わないというのはおかしいではないかと、ここが非常によくわかるところで、だから、行政サービスが一体どれぐらい受けているのか。これはなかなか計算は難しいと思いますけれども、典型的な、あるいはモデル的な企業で行政サービス、いろいろあるでしょうけれども、これこれこんなサービスがあって、これだけ受けておるという資料があると市民にわかりやすいかなあという感じがしますね。
〇委員
前にやったことありますよね。それね。もう一回出していただいてもいいのではないかな。
〇委員
先ほどから中立の議論があるわけですが、やはり中立というのは直近に比べて負担が変動しないかどうかということが第一義だと思いますよ。過去の平均、しかもバブル期が入った平均を出して、それを安定だとか、それで中立だとかいうのは少し強弁が過ぎると思いますね。納税者の感覚からいえば、今払っているやつが全体としては増えるかどうかということが中立かどうかという判断基準になるのは当たり前のことでありまして、ちょっと事務局の今の発言は再検討いただきたいと思いますね。
それから、いわゆる受益と負担の関係というのを真っ先に挙げているわけでありますが、都道府県から多くの行政サービスを享受しているのだと。だから払えという、これは非常にわかりやすいわけでありますが、例えばこの資料で、道路、港湾等の産業基盤を整備しているという説明を用いているわけですが、道路、港湾とかいうのは今世の中で非常に評判悪いやつなわけですよ。余計な道路と余計な港湾だと。こういうものをつくっているから、さあ金払えと言われても、これは世間の感覚に合うのかどうか。ここら辺の例示というか、ここら辺も再検討いただきたい。
それからもう一つ、負担と受益の関係の明確化ということに関してですが、外形課税の議論を通じて少し議論が欠けているなあと思っているのは、要するに総務省の案で、所得部分が4.8%だとか、付加価値が0.66%、資本割が0.48%だと。つまり、これが全国一律にこういう税率を策定していいのかどうか。つまり、負担と受益というのは地域によって異なる。言ってみれば、地域ごと、都道府県ごとに取る側と払う側が、負担と受益というものはどういうものか推しはかりながら議論していくべき話であって、課税標準のところはいいとして、つまり、付加価値割とはこういうものです、資本割とはこういうものです。しかし、税率はそれぞれの都道府県単位で決めるようにするのが負担と受益の関係の明確化ということになるのではないか。応能課税だったら、払える人が払ってください、払えない人はしようがないですねということで、負担と受益の関係は少しぼやけるわけでありますが、応益課税を強調する以上、その地域ごとに税率を決めていくという発想があってもいいのではないかと思います。
もう一つは簡易課税のところですが、4万8,000円というこの部分ですが、この部分も、理屈を言わせていただけると、どうなのかな。つまり、資本金1,000万円、だから、999万円だったら4万8,000円払えばいいと。ということは、その企業、資本割だけ払って付加価値割払わなくていいと、こういうことになるわけですね。それでいいのかなと。つまり、資本金1,000万円未満だったら、資本割だけ払ってくださいと、付加価値割は要りませんよと、こういう設計になるので、そういう税金というのはあるのかなと。簡単は簡単だけれども、もう一方で別の問題が出てくると思います。
それからいわゆる導入の、ちょっと長ったらしいというか、腰が引けているというか、そういう面は確かにあるかもしれません。ただ、ともかく導入を優先するということならば、何かしらの工夫、何かしらの潤滑油が必要かなと思います。
ちょっと気が早い発言になるかもしれませんが、私はとりあえず大法人から始めたらどうだと。中小企業はしばらく置いておくという発想も、最後のほうになってくるとそういう柔軟さも求められるのかなあと。今から言うのはちょっと気が早いわけでありますが(笑)、そういう選択肢もいずれ出てくるのかなあと、そんな気もしております。
〇委員
999万円以下は付加価値払わないでいいのですか。そうではないでしょう。付加価値払うのでしょう、やはり。
〇事務局
それは込みの話ですし、それぞれの中小企業も、一応その4万8,000円を上限として、付加価値等計算した場合に2万円ぐらいしか税額出てこない場合は2万円になりますし、4万8,000円というのはあくまで上限の一つの、簡易課税を選択した場合の上限の目安なのであります。実際はそれより低い黒字企業もあるかもしれません。
それから税率は確かに自由化するというのはあるかと思いますが、これは標準税率でありますので、それはそれぞれの地方団体で超過課税することはもちろんできるわけであります。しかし、税法上標準税率を決めていきたいということでありますし、地方債の関係も、今までの許可制が改正になってきますので、そこのところは今までとは標準税率の意味合いも違ってくるという面があろうかと思います。
〇委員
すみません。あと何人ご発言のご希望ございますか。あと5分しかないのだけれども。じゃお三人で。
〇委員
どうも総務省の、例えば説明のターゲットは企業の、とりわけ法人に対して弁解をしているという感じがものすごくしていて、味方は本当はいるはずだと思うのですよ。それは多分、一番大きなのは消費者だと思うのですね。彼らに対してもうちょっときちんとわかるような形で説明しないと、外形標準ってそもそも何かと、消費者はほとんどわかっていないと思いますし、むしろそういう意味でいうと、さっきの対話集会のときにも出てきましたけれども、公平、特に公正だと思うのですけれども、とか、簡素とか、そういうことをもう少し心がけて、本当はもう少し簡素に作っておいた方がよかったと思うのですが、それはともかくとして、今からでも遅くないから、もう少し説明をしてほしいと。
とりわけ、法人が実は、これは所得の場合の捕捉の問題ともある意味で対応するのですが、節税、ものすごくできるのだと。所得に任しておいたら、ある意味では節税をやる、もっと悪いことでいえば脱税をやるというようなケースをやっている法人だって結構あるのだということも、ここまできたらはっきり、ある程度キャンペーンをされてもいいのではないかと個人的には思っているのですが、そのぐらい、もう少し消費者をターゲットにしてやっていただきたいというのが私の希望です。
〇委員
ちょっと一言だけ。今のこの外形標準課税というのは行きつ戻りつずうっと議論が続いているような気がするのですけれども、首相も腰を上げたようですし、これは一つのチャンスであり、私もこれは導入に賛成です。それで、8ページのねらいの中に「努力した企業が報われる税制」というのがあるのですが、企業の、財界というか実業界は非常に反対の声ばかりが表に出ているのですが、実際にはかなり賛成のところ、特に黒字企業なんか、賛成のところもあると思うのです。「努力した企業が報われる税制」とさらりと書いてありますが、これは一つの活性化であり、それから世の流れというのはこういうことだと。ここのところをもっと強調する必要があると思います。
それからもう一つは、今委員も言われたように、普通の人というか、一般の国民は、話を聞けば、税調の対話集会で出たように、大体もっともであると、賛成であるということなのですね。だけれども、一番のというか、ほとんどの人は実際何だかわからない。この名前が、外形標準課税というのが、これが一番よくない。できれば、もしアイデアがあるなら、この名前をもう少し何とかしたらどうかというのが私の考えというか、意見です。
〇委員
ありがとうございます。どうぞ。
〇委員
現役の連中が苦労しているのは、やはり都道府県税で一番でかいやつなわけですよ。それだけに、何とかうまく着水できるかということで、正直いって、私から見てもちょっと配慮し過ぎではないかというぐらいな点はご指摘のとおりだと思います。ただ、何としても定着していきたいということです。
これは経緯でも長いことあるのですけれども、正直いって、消費税というのは付加価値税で、これを控除型、加算型という議論を、私、現役で50年代ずうっとやっていた。そのときに、これをあまり無理したら消費税自体がおかしくなる危険性もあるというようなことで、ともかく50年代、矛をおさめちゃったという実は経緯があることもご承知願いたいと思います。
それから応益負担ということですが、これは都道府県行政とマクロの産業界との応益というものはもちろんあります。皆さんからご指摘あった例えば道路だとか何か、あるいはゴキブリ退治を環境衛生とか何かだってみんな産業行政の一環とも言えるわけです。それと同時に、大きな製鉄所が赤字のために税金を納めてない。ところがコンビニの小さなものが所得があるので納めている。これはいかにも、要するに地域の住民にとって不公平ではないかと。製鉄所とかそういうのはやはり規模に応じてある程度の負担をお願いしたい。それからコンビニや何か、今所得がどんどん上がっているとしても、そこにはあまり過重な負担を乗せない。こういう全体の話と、企業間の公平というので都道府県財源としてこの方がいいのではないかと、こういう発想でございます。
〇委員
歴史を回顧するとそういう話なのですね。
ではどうぞ、簡単に。
〇委員
先ほどもちょっと言いかけたのですが、地方税はやはり国際的な流れとしてやはり資産課税と所得課税なのですよね。だから法人に対しては、選挙権ないから、やはりあまり依存できないという流れがありますよね。だから、それの中でこの外形を導入するという、これについて総務省、もうちょっと説明する必要がありますね。そういう国際的な流れと整合性全くとれないけれどもそれでいいのかと、そういう反論もあるわけですから、それに対してやはり答える必要があると私は思います。
〇委員
ありがとうございました。大変活発なご議論いただきまして、実は消費税をやる予定でありまして、事務局に待機をいただいておりましたが、すみません。次回に回して、最初に取り上げますからお許しいただきたいと思います。
あとの予定をちょっと申し上げて今日散会にいたしたいと思いますが、今度の金曜日で基礎小を一応一まず括って、それから総会へという段取りでありまして、次回何をするかということを少しご説明しなければいけないのですが、きょうの消費税の免税点制度等の議論が残ってまして、それから配偶者特別控除、特定扶養控除、所得控除の代表的な2つについて議論しなければいけないし、それから一番の大きな問題は、相続税、贈与税の一体化のところであるスキームをこれからつくらなければいけないので、それについて事務局にお願いしてある基本的な線を、スキームをお出しいただこうということもやっております。その個別の残った3つと、それから対話集会の成果を踏まえて、結果を踏まえて、要するに塩川大臣が言っている、「透けた」と言っていたのだな、それを眺めると今後の税制改革の方向が暗示されるか示唆されるか知らんけれども、そういう文書を作るようにという宿題があって、それはどうでもいいのですけれども、せっかく対話集会をやったものですから、それを受けて今後の税制改革にどう生かそうかというやはり基本的な文書を作りたい。つまり、これまでの議論の整理をしたいと思ってまして、それを総会でご承認いただきたいと思っているものですから、次回の基礎小で、一応それを5~6ページか7~8ページか、その程度のものについてまとめたいと思ってます。核は、今何か資料がいっていると思いますが、言うなればこれは小泉5項目の順番に従ってもう一回整理したということでございます。
具体的には、6月に出しました「基本方針」でこの5項目のおのおのについてどういう記述があるかという説明をまずして、それからそれを受けて対話集会で議論したところどういう反応があり、どういう方向で支持があったのか、問題があったのかという整理をし、3番目に、これをどういうふうに直していくかという、仮に相続、贈与ぐらいで基本的なフレームができれば、それについて出すという形の3段構えの簡単なメモ的なものを作りたい。言うなれば、それが「透けて見える」格好の中間的な論点整理という形で、3日に総会でご承認いただいて世に出したいと思ってますので、その下準備を次回、個別の税目検討以外にもう一回改めて時間をとって議論をさせていただきたいと思ってます。その具体的な項目はここに書いてございます小泉5項目、それから対話集会での議論、これを大体柱にしたいと考えております。
それでは、次回は8月30日金曜日、午後2時からこの場所で開催ということになろうと思いますので、お忙しいと思いますが、ぜひご参集いただきたいと思います。よろしゅうございますか。
じゃどうも長時間ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。