第11回基礎問題小委員会 議事録
平成14年4月16日開催
〇委員
時間になりました。第11回基礎問題小委員会、始めたいと思います。
今日は一転、国際会議室風で、液晶でマイクオン、マイクオフなどやっていただきますので、別に日本語でいいですから、よろしく。
あと、財務省から谷口副大臣と吉田大臣政務官お見えの予定ですが、まだお見えになっていません。
それでは、今日は議事に従って簡単に対話集会の説明を私からした後で、個人所得税と資産課税、この2つを大きなテーマとして取り上げたいと思います。
そこで簡単に、5分ほど時間をいただきまして、昨日、津に行ってまいりました対話集会の模様をご報告したいと思います。
委員としては、竹内さんにお越しいただき、司会をしてもらいました。それから中里さんと松尾さん、計4人で行きました。最大の目玉は、きのう、塩川大臣みずから大阪からお越しいただきまして、そのせいもあったのでしょう、235人と今までで一番大勢の傍聴人、傍聴者の方が来られました。さらにその中で3割が女性であったということが、3割が女性で多いというのもおかしな話ですが、前回6%しかいなかったわけですから、女性の数が圧倒的に増えました。それから意見発表者6人のうち3人がまた女性であるということ、それから年代も若干若返りました。そういうことがありまして、きのうは議論も活発でありましたし、大臣に対していろいろものを言いたいという人もいまして、フロアーとのやりとりも非常に活性化したということが言えようかと思います。
お手元に資料がいっていると思いますが、ここに書いたようなことが議論になりましたが、他の場所とさして変わったところはございませんでしたが、やはりむだな予算を切れということ、租税教育をしっかりやれということ、それから源泉徴収では納税者意識ができないので確定申告をやったほうがいいのではないか、等々のいろいろなご意見がございましたし、具体的に7つ提案を申し上げたいといったようなことで、整理してきて意見を発表していただいた方もございました。
それから、きょうの日経あたりが主に取り上げてございますが、消費税、これの内容に即した議論、つまり、免税点水準が高いとか、年4回では少ないから毎月納めるようにしたらどうかとか、そういう議論がかなり活発でございましたし、配偶者控除のみならず、特別控除、これも見直す時期ではないか、それから広く薄く負担でいいではないか、等々がございました。
ただ、フロアーから出た意見で、またマスコミが報道してございますが、データを操作しているのではないかなんていうような話があるので、そういうことになりますと拍手もわいてきますし、新聞に載りやすいという格好のテーマにもなったということです。
やはりわかりますことは、私は最初30分ほど説明すると、どうしても少子高齢化、財政赤字が大変だという話を念頭に置いて、日本の租税負担が世界で低いよということを言わざるを得ないわけですよね。そうなると、だんだんうつうつとしてくるのでしょうな、聞いているほうも。将来、何か負担増を画策しているのではないかと。私が幾ら否定しても、そっちに話がいきますよね。したがって、会場も、大いにわかったと、これから真剣に議論して将来のあるべき姿を描きたいという非常に積極型と、わかっているけどおれは嫌だという素朴な反発、そういうことがどうしても出てくるという意味で、データを勝手に操作してなんていう意見も出やすい雰囲気ではありますよね。
私、夫婦子ども2人のケース以外にも、夫婦、単身者等々すべてやっているし、為替レートも、今の現実のものではなくて、言うならば購買力平価でもやっているようなことを言ったのですが、そういうところはあまり新聞には載りませんな。
それで、1枚めくっていただきますと、例のアナライザーを使った結果が出ております。津が特別ほかのところと違ったということもないですが、あえて極端な数字になっておりますのはPART2の(2)で、財政赤字が累積していて、これをどうやって解決しようかというときに、[2]の「増税により歳入を増やせばよく、歳出削減は必要ない」というのが0。これは4カ所やった中で初めて0になりました。他のところは1%か3%ぐらい賛同者もいたのですが、ここは極めてはっきりしております。それから公的サービス、次の(3)ですが、広く薄く負担するという話、83%。これも一番高いぐらいの割合でありまして、支持者はあったというふうに理解できますし、それから複雑になり過ぎるといけないから、できるだけ簡素な税がいいという(4)の[2]、これは72%。
そういう意味で、アナライザーを使って議論いたしますと、おおむねある傾向が出てきたかなあという感じがいたします。地域格差はそれほど、言うほどでもないという形でございます。あと意見発表者の要約等々は次のほうに出ておりますので、また時間を見つけてお読みいただけたらと思います。極めて建設的ないいご意見が出たと考えております。
それでは、これが簡単な報告でございまして、また何か質問ありましたら後ほどお返事いたしますが、以下、議事に入りたいと思います。
今日は個人所得課税につきまして、基礎的な人的控除、それから特に給与所得控除を中心に議論を行います。膨大な資料が出ておりますが、個々の税につきましても、皆さんのほうから積極的に、この所得控除、どう扱うかというところの方角、方向をお出しいただきたいと思っております。また、今週はもう一回お願いしなければならないのですが、金曜日、19日には年金税制をやりたいと思ってます。そういう意味で、きょうの話も少し、社会保険料控除あたり絡んできますが、それを念頭に置きご議論いただきたいと思います。
最初に事務局から順次ご説明いただきまして、ご議論を賜りたいと思います。ではお願いします。
〇事務局
お手元の資料をご説明させていただきますが、まず、お手元に「説明資料概要」という一枚のものがございます。これは今日ご説明いたします基礎小の11-1の「資料」の目次的なものでございます。前回もご説明させていただきました資料とダブりますので、説明しそびれていたもの、あるいは主だったものについてもう一度、あるいは初めてご説明させていただくような形にいたしたいと思っております。
それで、基礎小11-1に沿ってご説明させていただきますが、その前に、横紙で「税についての対話集会 会場との対話結果(抄)」というものが一枚別途、厚い資料の後ろぐらいに入っているかと思いますが、これは先ほど会長からもご紹介がございました、対話集会での会場との対話の中で、「税金の仕組みについては、個々の事情に細かな配慮をしていくと複雑化していきますが、どのように考えればよいと考えますか?」という問いがございまして、過去4回の会場での結果を見ますと、[2]の、個別の事情にあまり配慮してもキリがないから、できるだけわかりやすいほうがいいのではないかというほうに意見が集まっているということでございます。もちろん、どの個別事情に配慮するのかしないのかという点につきまして、実際に税制に落としますとなかなか割り切るというのが、これからご検討していただく必要がありますが、一応[1]、[2]の対比で見ますと[2]のほうに票が集まっているというような状況ではございます。
今日は控除についてのご議論の関係かと思いましたので、このアンケートだけ先にご説明させていただきました。
それでは、基礎小の11-1という資料をおめくりいただきながらご説明させていただきます。飛び飛びになりますので大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
初めのほうに目次がございまして、1ページから3ページぐらいまでが総括表でございますので省かせていただきまして、4ページにいかせていただきます。4ページに「人的控除額の推移」ということで、大変小さな字で恐縮でございますが、全体的な40年以降の人的控除の構成、あるいは金額の推移の表がございます。一番上のところに、いつ創設したかというのが小さな字で書いてございますが、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を除きますといろいろな変遷がございまして、右側のほうに25~26年創設ということで、障害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除というのが(税額控除)という形で創設されておりますが、この25~26年創設のものが昭和42年に(所得控除)に切りかわりまして、金額も扶養控除と同じに7万円になったという経緯がございます。
それから基礎控除、配偶者控除、扶養控除の関係につきましては、49年に24万という形で3控除の金額がそろっておりますが、それまでは基礎控除が金額が大きかったというような関係でございます。その後、大まかに申し上げますと、40年代に特別障害者控除ですとか老人扶養の割増控除というのが創設され、あるいは50年代に入りまして、老人配偶者控除ですとか、同居老親控除、あるいは寡夫控除といったものが創設されたと。60年代に入りまして、前回ご議論賜りました配偶者特別控除ですとか、あるいは特定扶養控除ができ、年少扶養控除が11年にできましたが、12年にそれが廃止されたというような経緯でございまして、主な控除に加える、あるいは一部分取り出すような形で樹木状に幾つかの控除がつけ加わってきたというような歴史にあるようでございます。
5ページにまいりまして、この人的控除と税収の関係でございますが、14年度の予算ベースで減収の見込み額をはじいたものでございます。基礎控除、一番適用人数も多うございますので、減収額ですと2兆円余りの減収になるということでございます。配偶者控除、配偶者特別控除それぞれ0.7、0.5兆円というようなボリュームでございます。扶養控除が全体で1.8兆円、内訳が、一般の扶養控除1兆円で、特定扶養、あるいは老人扶養といったものがそれぞれ0.5兆円、0.3兆円というような状態でございます。
6ページはさまざまな控除の組み合わせでございます。
7ページ以降、基礎的な人的控除に入りますが、7ページ以降、8、9、10あたりは配偶者特別控除の関係の資料でございますが、前回ご議論いただきましたのでここは省略させていただいて、11ページでございます。
配偶者控除、あるいは配偶者特別控除は、夫、妻という言葉をお許しいただくとすれば、夫のほうの税金の問題でございますけれども、パートタイムをしている妻のほうの税金の問題として、俗に103万円と言っておりますのは、この11ページにございますように、給与所得控除の最低保障額の65万円と基礎控除の38万円の合計額でございます。つまり、配偶者控除、配偶者特別控除のほうは夫のほうの税金の話でございます。このパートタイム就業者のほうは65と38ということになりますが、見ていただきますと、給与所得控除の最低保障額ということで、59年、あるいは元年のところで何万円かずつ積み増しがございまして、そのときの政治情勢なども踏まえてこのような改正が行われたという経緯がございます。80万、90万、100万とまいりまして、現在、103万という状態でございます。
12ページは「扶養控除の概要」でございます。扶養控除、先ほど総括表で見ていただきましたように、16歳~22歳までのところの特定扶養控除が平成元年につくられまして、教育費を含む種々の支出がかさむ世代に配慮するということで、16歳~22歳までの子どもを扶養するところにつきまして控除が割増しされているという状況にございます。
それから老人のところは、70歳を超えますと、同居老親加算ですとか、あるいは寝たきり老人の場合の控除の積み増しとかございまして、ご覧いただきますような控除になってございます。
以下、若干省略させていただきまして、16ページ以降は特別な人的控除の関係の資料でございます。16ページは先の「中期答申」の整理でございますが、全体といたしましては社会経済の構造変化や社会保障の整備状況に照らして検討を加えていくことが必要ということでございますが、下に(参考)とございまして、老年者控除につきましては、単に高齢であるということのみに着目した配慮をどの程度行うべきか、各種の年金や介護保険といった社会保障の整備状況、年金税制との関係などを考慮しつつ検討を行うことが必要といったようなご指摘になっております。
あるいは寡婦控除及び寡夫控除につきましては、その控除の差異を含めてそのあり方を考えていくことが必要。勤労学生控除につきましては、制度創設時の時期とは生活の事情も変わってきていることなどから、存在意義は乏しくなってきていると考えられるといったようなご指摘が(参考)では整理してございます。
17ページは「障害者控除」、18ページは「老年者控除」でございます。先週見ていただきました。
19ページは、老年者控除につきましてその適用の状況を見たものでございます。左側は老年者控除を適用されるような、しかし、給与収入がある方の給与収入階層別の分布でございます。老年者控除は所得制限の1,000万円というのがございますので、1,500万円以下のグループで階層別になってございますけれども、当然のことでございますが、1,000万円以上の適用要件の方はいらっしゃいませんが、給与収入で見ますと、1,000万円前後の方にもそれなりに適用があるという状態でございます。
それから20ページは諸外国の老年者に関連する控除の概要でございます。
21ページは年金の関係の課税の仕組みでございますが、ここは次回にもご議論いただきたいと思っております。
それから22ページにまいりまして、「寡婦(寡夫)控除」でございます。右にございますように、一般の寡婦控除は昭和26年に創設されたものですが、昭和56年に寡夫控除が創設されまして、平成元年には寡婦控除に特別加算が行われたという状況でございます。
若干適用要件が違っておりますのが左の(注)にございます。寡婦と寡夫ということで、適用要件の若干の違いについてどう考えるかという問題はあろうかと思っております。
それから23ページ、「勤労学生控除」でございます。勤労学生控除は右にございますように、昭和26年に創設されて、現在27万円の控除でございます。「勤労学生の範囲」ということで左のほうに(注)がございますが、これは所得制限が適用要件がございますので、事実上はいわば勤労学生に対する課税最低限の上乗せのような形で適用されておるようでございます。その適用人員は、私どもの統計でまいりますと6万人ぐらい。これは非納税者でございますけれども、非納税者に6万人の適用があるという統計がございます。
勤労学生の状況につきましては、戦後創設された時期と事情も変わっているということであろうかと思いますが、本日、大学の教授の先生方が多うございますので、むしろ私どもよりも実情をご存じかと思いますが、「学生生活調査」というのを文部科学省のほうからいただきましてピックアップしたものが2枚ほどございます。
24ページはアルバイトの状況の表でございます。大学の昼間部の学生の方ですが、平成12年度で見ますと、平均で見て8割ぐらいはアルバイトをしている。2割はしていない。8割の中を見ますと、46.2%は「家庭からの給付のみで修学可能」ではあるけれどもアルバイトをしているという状況のようでございます。
25ページは、そのアルバイトをしております大学生の状況でございます。国立、私立に分かれておりまして、昭和51年と平成12年度を並べておきましたが、特に、特段申し上げるほどの傾向があるかどうかわかりませんが、従事時期別割合というので見ますと、経常的に従事するという傾向が増えているような感じでございます。と申しますのは、「長期休暇中にのみ従事」というのと「授業期間中も従事」というのを比較しますと、経常的に従事する傾向が増えているような感じでございます。
それから右側の職種のほうで見ますと、家庭教師と重労働というところのウェイトが落ちておりまして、軽労働なり事務なりのウェイトが上がっているような感じでございます。
26ページ以降は給与所得控除の関係でございます。給与所得控除は別刷りで一枚、縦長の「給与所得控除(メモ)」というものを入れさせていただきました。11-1の資料のほかにございますので、大変恐縮でございますが、ちょっとお手元に出していただけますでしょうか。
給与所得控除は論点が多岐にわたっておりますので、簡単にメモさせていただきました。(給与所得控除の性格)のところでございますが、過去の税調答申では、「勤務費用の概算控除」のほか、サラリーマン特有の事情に配慮した「他の所得との負担調整」の要素があるというふうに整理されてございます。昨今の就業の雇用化、つまり、給与所得者が社会の就業形態で典型的なものになっているとか、勤労形態の多様化の中でサラリーマン特有の事情というものにも変化が起きているので、勤務費用の概算控除としての性格をより重視して検討するというのが「中期答申」での整理でございます。
以下の仕組みにつきまして、先に仕組みのポイントを申し上げますと、給与収入の増加に応じた定率の控除制度になっておりまして、収入が増えますと控除率が減るという形になっております。昭和49年の改正で、控除の限度額、上限額が廃止されまして、現在、定率で、給与が増えますとそれなりに控除額も増える形になってございます。主要国は定額もしくは控除限度額がある定率控除でございますので、そういう意味で控除額に天井がないという点が特徴でございます。
一方、最低保障額というのがございまして、これは65万円。先ほど見ていただきましたパート労働者の課税最低限ということが関係してまいります。全体の量でまいりますと、全体で給与収入の3割ぐらいの控除割合でございます。
別途、適用の関係でございますが、同族会社の経営者といった方にも、給与ですので適用があるという点が議論されてございます。
続いて特定支出控除の資料がございますので、この点もちょっとご説明させていただきますと、特定支出控除につきましては、対象費用の範囲につきまして国際比較がございますが、おおむね同じような範囲と見ることができるようでございます。特定支出控除の適用実績は非常に少のうございますが、これは給与所得控除の選択になっておりますので、所得控除の手厚さということの関係がございます。あとは年末調整、源泉徴収の関係ですとか、あるいはその場合に税務当局の申告を処理するような体制整備をどうするかといった諸々の論点が関係してまいります。
恐縮でございますが、11-1のほうに戻っていただきまして、26ページは今ご覧いただきました答申でございますので省略させていただいて、27ページ、前回見ていただいたもの、28ページが「給与所得控除の沿革」でございます。
29ページ、昭和48年までは定額控除プラス、頭打ちのある定率控除という仕組みでございましたのが、先ほど一枚紙のほうで見ていただきましたように、49年に大きな改正がございまして、控除限度額を廃止した形になっております。したがいまして、それを単純に比較いたしますと29ページのような形になっておりまして、昭和48年までは、下のほうからずっと上がってまいりまして、一定限度以上は横に頭打ちがあるという形でございます。現行は、その後何回かの改正の後に、現在65万円の最低保障額から始まりまして、逓減的ではございますが、定率に伸びていくという関係でございます。もちろんこの間の賃金水準、物価水準の変化はございますので単純には比較できませんが、給与所得控除の構造としては、48年と現行、このような変化がございます。
それから30ページは、前回、家計調査の中で勤務に関係あり得る経費としてチェックできるものが6.7%程度であると、全体としては30%ほどの給与所得控除に比べて6.7%ぐらいであるというご説明をいたしましたが、委員から、この数字自身がやや生活実感にそぐわないのではないかというご指摘がございましたので、その関係の資料を、これは別途A3の大きな紙でお手元に置いてございます。
これは家計調査の平均世帯の全体のものでございます。このうち四角で囲んだものが多少なりとも勤務に関係するだろうということで拾い上げたもので、この拾い上げましたものを全部足し上げますと、先ほどの6.7%になるという構造でございます。全世帯の平均で割っておりますので、一つ一つの項目を見ますと小さな感じがいたしますが、平均値ということでそうなるということでございますが、全体を足しますと、年間収入に対しまして支出の495万円というものを構成しておるという関係にございます。
31ページ、特定支出控除の関係でございます。現在、給与所得控除にかえて、この5つの特定支出につきましての、超えましたところでこの支出控除が可能となっております。
諸外国が32ページにございます。諸外国とも概算控除がございますが、先ほど申し上げましたように、定額制のものがございます。アメリカの欄に概算控除(定額)7,850ドルというものがございます。アメリカのケースでまいりますと、この概算控除を選択するか、下にあります実額控除を選択するかという選択制になってございます。
この概算控除につきまして若干説明をさせていただきますと、33ページの表でございます。アメリカの場合ですと、給与所得者につきまして、給与収入を主とした総所得がまずありまして、概算控除と実額控除のいずれかを選択するという形になっております。概算控除のほうが左側の、先ほど見ていただきました定額控除でございます。
右側の実額控除は勤務に直接必要とされる支出、必要とされるような旅費とか交際費とか、そういうものプラス、我が国の所得税ですと別に控除の対象になり得ます盗難とか災害、あるいは医療費といったものを加えまして、こういったもの全体の実額と左側の概算とを比較いたしまして、どちらかを選択するという構造になっております。つまり、勤務費用の実額と概算控除の比較というだけではなくて、その他の個人的支出の控除も加わりまして、全体の控除と概算控除の比較ということになってございます。その関係もございましょうか、もちろん給与所得者だけの問題ではなくて、各納税者につきましてこのような措置が可能でございます。その上で概算控除をとっているものの割合が7割ぐらいあるというようなことを聞いております。
34ページは答申でございます。
35ページは給与所得の源泉徴収の関係でございますが、源泉徴収制度につきましては、G7で見ますと、フランス以外は給与所得はまず源泉徴収はございます。その上で年末調整をするかしないかというところを見ますと、アメリカは源泉徴収だけで年末調整いたしませんが、ドイツ、イギリスは年末調整をするということでございます。年末調整の仕方が、ドイツは日本のような1年に1回でございますが、イギリスはその都度調整をするという形のようでございます。
36ページ以降、ちょっと省略させていただきまして、39ページに退職所得の課税がございますので、この点、加えさせていただきます。退職金につきましては、この39ページにございますように、収入金額から退職所得控除額を引きまして、残りを2分の1課税する、その上で分離課税をするという課税方式になってございます。退職控除額が、勤続年数20年までが40万円、20年超は70万円ということになっておりまして、仮に30年勤続ですと合計1,500万円の退職控除がございまして、その上で2分の1課税ということでございます。下にございますように、42年、50年、平成元年というあたりで控除額が拡大いたしまして、退職控除額が大きくなっているということがございます。
それから42ページは退職金制度そのものについての資料でございます。退職金制度がある企業、それが一時金のみの企業、年金と併用する企業の表でございます。退職金制度自体は大企業のほうが完備しているようでございますが、逆に年金と併用するかどうかを見ますとこれも大企業ということで、一時金のみの企業はむしろ小さな企業のほうにウェイトが多いようでございます。
43ページは省略させていただきまして、44ページ以降、その他の所得控除制度の概要でございます。この概要の表をちょっと見ていた だきまして、若干長くなりましたので、個々につきましては省略させていただきます。
とりあえず以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。それでは、引き続きお願いいたします。
〇事務局
地方税のほうですが、基礎小11-2「資料(個人住民税関係)」という資料がございます。
おめくりいただきまして1ページ、個人住民税所得割について、所得税との対比で、大まかに俯瞰していただくために整理した表をおつけいたしました。一番左の柱から順々に見ていただけば結構ですが、まず最初に、前年中の収入というものがあって、そこから必要経費などを引いて所得の金額の計算をする。この部分は所得税と同一の計算になっております。この段階で所得金額というのが出てくるわけですが、この段階で、この表の右上のほうに大きく枠で囲っておりますが、「所得割が非課税とされる者」ということで、総所得金額で生活保護水準以下の所得であればもう非課税にしましょうというのが1つ。もう一つ、均等割と共通する制度ですが、生活保護で生活扶助を受けている者について非課税にしましょうと。それから障害者、未成年者、老年者等で所得金額125万円以下の者も非課税にしましょうと。これは、住民税につきましては住所を有する者については一たん全員納税義務者としているという性質上、こういった仕組みが入っております。
もう一度柱のほうへ戻っていただいて、今度は所得控除等というのが[2]となってますが、そういうのを引き算して課税所得を計算するわけですが、ここあたりから個人住民税独自の計算が始まりまして、課税所得が計算されますと、今度は税率、この税率が所得税に比べますと緩やかな、フラットに近い3段階の構造になっております。
それで、おめくりいただいて2ページをちょっとご覧いただきますと、先ほど独自の計算が始まる部分というのが実はこの表の真ん中の[2]所得控除等というところからでございますが、ただ、所得控除等については、原則、制度としては共通していて、額が小さくしてあるという面がございます。これは表の中に個人住民税と所得税という形で数字を並べてありますので一目瞭然でございますが、このような形をとることによって、すべての世帯類型において常に住民税のほうが低所得者まで負担を求めるといいましょうか、広い範囲で負担分任を求めるという性格で、このような形になっております。
この中で1つ、寄附金控除に関しましては、額ではございませんで、対象範囲が大きく異なっておりまして、地方税の場合は極力政策的配慮を持ち込まないという、あるいは受益関係が明確であるということが必要だといったようなことから、国でありますとか、特定公益増進法人であるとか、そういったものに対しても寄附金控除は認めておりませんで、県、市町村、日赤や共同募金会の県支部ということに限定している。そういうところで性格の違いから出てまいっております。
それから[3]で税額控除もございますが、税額控除のところでも違いがございます。配当控除について控除率が違っておりましたり、あるいは定率減税においても、減税率、あるいは最大の額が違っていたりしております。
というような大まかな違いをもとにしまして、実は3ページから22ページまでは制度が基本的には同じものの中で額の違いによる資料でございますので、ここでは省略させていただきまして、ただ、1点、6ページだけごらんいただきたいのですが、6ページは各人的控除によって減収がどの程度になっているかという資料でございます。だれにでもある基礎控除で見れば1.1兆円ということで、所得税の平均税率と個人住民税の平均税率というのが大体倍半分というところでございますので、影響額としても大体半分ぐらいの、大まかに言うとそのような状況になっております。
そこで23ページまで飛んでいただきますが、所得割のほうは大体今まで申し上げたとおりですが、均等割がございます。均等割についても含めまして、住所を有する個人というのが一旦すべて納税義務者だということになっております。それからもう一つは、住所がなくても、家屋敷、事業所だけを持っている人にも均等割だけは課税される。非課税の制度としては、先ほど申し上げた所得割と共通する非課税の制度、アというところにございますが、それとイのところですが、生活扶助を受ける人、そういう生活扶助額の水準以下の方については、均等割も負担していただくのは気の毒だということで非課税の制度がございます。イの仕組みは世帯人数に応じて計算することになっております。
24ページでございますが、この資料については先週、推移を申し上げましたので省略させていただきます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
これから個々の所得控除というのを念頭に置きましてご議論いただきたいと思いますが、一括した「説明資料概要」という横紙のものがございますから、これを眺めながら、ぜひお願いしたいことは、委員に前々回ぐらい、個々の所得控除の性格なり、もう役目が終わったではないか、あるいはまあまあいいじゃないかというようなご議論をいただきました。我々、6月の中間報告を目指して、この所得控除の見直しというのはビッグイシューでございまして、したがって、やはり個別に議論をいただかないと議論しにくい。そういう意味で、きょうはその他の所得控除あたりの細々したところは全部時間の関係で省いていただきましたけれども、こういうところも目を触れて、医療費控除がどうだとか、生損保控除もございますので、ご議論いただきたいと思います。
あと、土地税制がきょうのもう一つ大きなテーマであって、ここで30分ぐらい、この所得控除に使いたいと思いますが、1つお願いは、一回の発言で手短に、僕の右の側にも左の側にも候補者がいますので、十分に気をつけてお願いいたします。
委員からやりますか。
〇委員
いやいや、最初は遠慮しておきます(笑)。
〇委員
いや、いいですよ。どうぞ、どなたでも、時間倹約の意味でおっしゃってください。
〇委員
それでは、最初にちょっと意見、感想を言わせていただきますが、先ほど事務局がご説明いただきましたが、私も前から思っていた、非常にいい資料が出たのですが、33ページに「アメリカの給与所得者の課税所得計算フローチャート」というのを出していただいております。この委員会でも、企業所得について実額控除でやったらどうだろうというご意見が非常に強くなって、そのかわり概算のほうを随分圧縮するという話ですね。他方で、所得控除を減らして簡素化するという問題がありますが、これが両方一緒になりますと、さてサラリーマンの実額控除は何であるかというと、ちょうどこの33ページにありますようなことがアメリカ合衆国でも議論されていて、今まで所得控除として類型化されていたものが今度、例えば給与所得者の実額控除の中の経費になるかどうかと。医療費だとかヒューマンキャピタルに関係したもの、それから災害損失、働くための生活の基盤である住宅に関係したものとかいったような、そういう形でいろいろ細かい議論が出てまいりますので、今の日本はちょうど類型化ということと概算ということで対応しておりますが、これが取っ払われますと、全部実額1本になるとこういう、アメリカ合衆国のように、今度は何が入るだろうということで、今までの所得控除、必要経費のその区別がだんだんいろいろなものが入り込んでくるということで、これ、大変おもしろく拝見いたしました。
〇委員
賛成ということですね。
〇委員
賛成です。
〇委員
ほかにいかがですか。
〇委員
前にも申し上げたかと思います。控除につきましては、1つは配偶者。配偶者は、ある意味では、ご主人のほうで配偶者控除と配偶者特別控除がある。一方、配偶者個人自身については、やはり38万円の基礎控除、103万円まで働いても基礎控除と給与所得控除で引かれるというわけですから、結局奥さんは3つ控除があるということで、そもそもシャウプ勧告では、奥さんの部分は合算だったのが合算課税の廃止のときに一緒に外してしまったものですからこんなことになって、ご主人は1つ、38万円ですが、配偶者は3つあるというふうにも仕組まれているわけですから、ここはもう個人課税で徹底して、とにかく50万でも100万でも、1人、人的控除は1つと。ただ、未成年者の部分はその親権者が使ってもいいではないかというぐらいに簡素化したらいかがかということでございます。
それからもう一つは給与所得控除で、今もお話しございました、この実額的、概算経費控除的に持っていった場合に、先ほどの資料ですと6%ぐらいですけれども、このA3の資料でも、1つありますのは、交際費というのが15万円ありますが、これはこの中に入っていないとか、いろいろまだ検討の余地はあるのではないかと思います。
昭和61年の中期答申のときは、この今の給与所得控除を半分にして特定支出控除を導入したらということだったのですが、結局、執行の問題等々あって、結論として出てきた改正は、給与所得控除をそのままにして特定支出にしたものですから7件しかないという、先ほどの資料でございますけれども、1つは、所得の性質から来る、対する配慮というものは、これだけもうほとんどがサラリーマン化している、税法上不利だというのにみんながサラリーマン化しているということは、その担税力は違わないと見ていいのではないか。そういう意味では、もう所得の性質に対する配慮はやめて概算控除的に持っていく。そしてそれを概算控除と実額とで選択制に持っていく。
そのときに問題は交際費だと思いますね。職場でのおつき合いの費用。この資料ですと15万円ですけれども、どの程度までは認めていくか。そうすれば1割ぐらいあるのではないかなと思いますが、これはなお検討を要する点だと思いますが、骨組みとしてはそんなことでどうかなと思います。
〇委員
委員、選択だということならばアメリカ型ですね。交際費のところは別にしますけれどもね。
〇委員
アメリカのは、経費プラス、ほかのあれが入ってますので、あれをどうするかですが。
〇委員
どうぞ。
〇委員
今の両委員の意見に賛成でございます。33ページのアメリカの資料、大変参考になりましたけれども、要するに、特定支出控除が7件しかないというのは制度的な欠陥だと思います。それで、僕はサラリーマンではないので、タクシー乗るにも一々領収書もらったりしているのですけれども、普通のサラリーマンでもタックスペイヤー意識が出てくるということと、それから経営者感覚というか、個人の自覚みたい、個人の自己責任でどういうふうに生きているかというふうなことを考えていくと、こういう実額控除みたいなアメリカ型でないとだめだと思うのですね。だから僕は、この特定支出控除7件というのは、前から問題になったところですけれども、ここは何とかしたいですね。してほしいですね。
〇委員
ありがとうございます。
〇委員
基本的なことだけ申し上げたいと思いますけれども、4ページの「人的控除の推移」、非常に包括的な図で大変参考になるのですが、これを見てもわかりますように、これまでいろいろな配慮で控除をたくさんつけてきているのですね。しかし、国民の生活のあり方、ライフスタイル、家族構成、そういうものが非常に変わってきて、これから本当に考えなければいけないのは、税にここまでいろいろなものをくっつけることがいいことかどうなのかですね。ですから、所得税ですから控除というのはできるだけ整理をして、本当に必要な、基礎控除というのは私はそれなりの意味があると思うのですけれども、配偶者控除を初めとして本当に1度ここで抜本的に議論していただきたいなと。そして簡素にしてしまう。
それでは例えば老人とか家族のニーズとかいうのはどう考えるのかということですけれども、これは社会保障の支出、政策支援、あるいは住宅とか教育とか、それぞれポジティブなものがあるわけですから、そういうものを充実させる形で、税をあまり複雑にしないということで、課税最低限も下げていく。薄く広くみんなで負担する。こういう根本を一度やるために、この控除は非常に重要な議論なので、先生、ひとつお願いしたいのですが、徹底的に議論して、本当にこれ必要なのかねというのを総ざらいしていただきたい、そういうふうに思います。
〇委員
なんかきょうはえらく短くお話しされてますけれども、ちょっと具体的にご関心のある項目で、これは見直せとか減らせとか、もうそろそろいいではないかというのがありましたら2つ3つ。
〇委員
この4ページの表で言えば、老人の問題、寡婦控除、勤労学生控除を初めとして、この辺はやはりちょっともう整理する時が来ている。それから、ちょっと大変ですけれども、委員もおっしゃられましたが、配偶者控除というのは本当は個人で1本にして、そして、むしろ基礎控除で整理してしまうというぐらいのほうがすっきりしていいのではないかと思います。
〇委員
賛成ですね。どうぞ。
〇委員
結論から先に言うと、特別配偶者控除というのはやはりやめたほうがいいと思います。それから配偶者控除ですが、これも、時代の趨勢からすると扶養控除にしたらどうかなという感じがしているのですがね。
あと給与所得控除の話ですが、源泉徴収、先ほど説明あったのですが、年末調整ぐらい自分でやるという方法。我々も人事課頼んでやっているのですが、大体、今考えると保険料ぐらいなのですね。保険料の調整ぐらいなので、このぐらいからやっていけば、納税者、一遍に確定申告までいかなくても、そういう作業ぐらいはサラリーマンにもできるのではないかなという気がしております。
あともう一つ、2分2乗の話ですけれども、例のアメリカでは共同申告と両方あれだというのですが、日本でも、これから女性の社会進出という話が出てきたのだからやはりそういうことも考える必要があるのではないかなという気がしております。
〇委員
検討の余地があるということですね。
〇委員
ええ。
〇委員
どうぞ。
〇委員
この前委員が言われたことを僕なりに解釈すると、今ここにいろんな諸控除全部並んでいるのだけれども、これは本当に見事な社会政策的配慮のクリスマスツリーになっているのですよね。この状況は我々税調が今まで追求してきた偉大な成果で、あまり基本的に手を広げるべからずという立場をとるか、今委員が言われたけれども、いかにも細かいことをその都度その都度、政治的要請その他があってやってきて、またやってくる理由もあったのですよ。だけど、ここまで来ると、社会的な現実とのギャップというのは、全部が全部そうだと思いませんよ、だけども随分広がっているところがあるのではないかと思うのですよ。
第一に、給与所得控除の話ですが、私はもうサラリーマン終わってしまったからこんなこと言うのはちょっと問題があるかもしれないと思うけれども、さっき委員が言われたみたいに、勤労費用の概算控除と他の所得との負担調整、これらの話だけれども、2つの要素でこういうふうに大きなのをつくったよというふうに書いてありますよね。そうなのでしょう、議論の経過を見れば。だけど、ほとんどオールサラリーマンに近い状態からすれば、後者のほうの他の所得との負担の調整というのはウェイトが下がっていると思うのですよ。どちらがどういう比重なのかということはだれもわかりませんからね、こんなことは。ただ、かつて昔、半々ぐらいだというふうに税調答申で書いたことがあって、ここにも資料がちょっと入っているけれども、大ざっぱに言えばそんなものかもしれないと思うのですね。
それで、残った一番でかいのはサラリーマンの勤務費用の概算ということだと思いますが、これは数字がこんなにあるけれども、実感からすると、今の超デフレ下ということをちょっと別にしても、物価水準というのは、ネクタイから、交際費もちょっとあったけれども、これだって随分下がってますよ。安いの、幾らもあるのだから。含めて、背広からいろいろぐたぐた並んでいるけれども、随分物価水準下がったのですよね。
ということは、何を言いたいかというと、勤務費用の概算をどういう項目でやるかということにもよるけれども、これは随分、我々がかつて想定したのに比べれば低くなっているに違いないのだ。生活実感からすれば。
ということを含めて全体のところを言えば、結局、僕は、給与所得控除については勤務費用ということを重点的にものを考えていくのと、やはり申告制にしたほうがいいのだと。納税者意識が涵養されるとか、いろんな理屈があるからね。確かにそれはそうかもしれない。僕は十数年間やってますからね、そんなことは。だから、それはそれで両方わかるので、これはむしろ選択制にして数年間やってみて、それでみんなが、いや、書くのはえらいものだということをわかるに違いないのです。で、もとに戻るのか、いやいや、そうじゃない。やはり、やった結果、納税意識が立派になって結構になったというふうになるのかわからないけれども、やってみる値打ちはありますよ、数年間でも。という気がするのです。
それから女房の話は、僕はもう老人夫妻だけの話だからあれだけれども、確かにこんなに手厚いことやる必要ないかもしれない。ただ、後の老年者の控除、その他を全部考えてみると、それぞれ既得権益ですからね。今、既得権益を攻めるぐらい難しいのは世の中にないのですね。それが難しいだろうことはいろんな公聴会やってみてよくわかるけれども、しかし、税調としては、今度出すのなら、難しいことはわかっているけれども、推移としてはこういうことになりますよということを言って、あとは政治家がどう判断するかだから、ということを言うのだったらば、こういうところにもあえて手をつけたほうがいいのではないかという気がする。
最後に退職金の話ね。私も三十数年間勤めて安い退職金をもらったけれども、これは長期のものを優遇するというのはよくわかるのですよ。今までそうだったし、アメリカだって立派な会社というのは今だって終身雇用やっているのだから。ただ変化があることは、間違いなくあるのですね、これは。そうすると、過渡期の現象として、これから5~6年で退職する人も含めて、その人たちの期待を裏切っては具合悪いから、だけども、徐々に変えていくぐらいのことをやったって別段そんな大した話にならないだろうという気がしているのです。
まあそんなところです。
〇委員
ありがとうございました。
ではどうぞ。きょうは随分手が挙がりますなあ。一わたりしますか。
〇委員
申告してみて一番助かるのが学生に対する63万というやつですね。あれがガバッと来てすごく助かるのですけれども、助かると思いつつ、こんなにもらっていいのかなあと思いますね。あれはやはり。ということで、この人的控除は整理合理化する方向にいくのが当然だと思いますし、それから給与所得控除も概算控除的、アメリカの選択制、こういう方向にいくほうがいいと思います。
委員が言いそうなことを先に言ってしまうと、勤労学生控除というのは、額も少ないし置いておいてもいいような気がするのですけれど も。血も涙も少しは残しておかなければいけないということで。
それはもちろん、今言ったとおり、各種控除、整理縮小すべきですが、それをやるとものすごい増税になりますよね。やはりそういうのをやる以上は、今の経済情勢からいえば税率の引下げというのとセットにしないと、とてももたないという気はします。だから、税率の下げということを覚悟するかどうかですね。それなしで、控除だけ削減と言ってもとても聞く耳は持たれないと思うし、景気に対してもあまりいい影響を与えないと、逆にかなり悪い影響を与えると思います。
〇委員
増税とおっしゃいましたけれども、配偶者特別控除38万円ですから、あれ一発吹っ飛ばすと3万8,000円の増税になりますよね。10%の人が大半だから。そのぐらいの覚悟をして議論しないと。2つ飛ばそうと言ったら7万6,000円ですから、これは大変なインパクトがある。しかし、そのぐらいのことを我々は覚悟して議論すべきかもしれないと思いますがね。
では、どうぞ。
〇委員
給与所得の実額ですが、これをやると、税金払うために生活しているわけでないから、日々控除のために領収書集めして一生終わるというのもどうかなという気がしますので(笑)、そこら辺は、おおような、何だかわからない給与所得控除というのは日本的な文化を保つのにいいかなというのは片方考えるのですが、逆に実額控除にして、それを景気対策に使うことはできるなという気はします。だからそれだけの、政策的に、要するに連休でホテルに行ったのも控除してやるよといえば消費拡大になるという、そういう考え方をとらないとこの実額控除というのは意味ないと思います。
あとは、全部それぞれなるほどなというから控除ができているのだと思いますが、「特別」とついたやつはとりあえずなくす。何でもいいから、「特別」ついたのをなくす。そうすれば、これは特別だったのだから、今や特別じゃなくなったと。
〇委員
「特定」ですね。
〇委員
配偶者特別とかの「特」とついたやつ(笑)。一つの基準を示したのです(笑)。あと住宅ローンというのはつくったばかりでどうかと思いますが、やはりあれはおかしいのですから、何年か継続するというのは決まっているとはいえ、やはりちょっとやめたほうがいいのではないかというのは言ってもいいのではないかと思います。
あとは、生命保険、損害保険、これはここだけやるというのは変ですから、やはりこれもやめるべきではないかと思います。あと医療費控除というのも、僕は医療費が何ゆえに控除されるか全くわからないのですが、医療費控除もやめるべきではないかと思います。
〇委員
ありがとうございました。
どうぞ。
〇委員
一般的に言いまして、働いている人の4人に1人は税金払ってないということがやはり大問題だと思うのですね。そのためにやはり課税ベースを拡大する必要がある。そうすると、当然諸控除を見直さなければいけないわけでありまして、その控除、人的控除にはいろんなのがありますね。しかも、一たんできてしまうと切ることはまずないですよね。一たん設けられると、それはもう既得権益化しているということで、そういうのはやはりこの際見直す必要があると思うのですね。寡婦控除とか、先ほど出ました勤労学生控除、こういうのはやはり今の時代には合わないと思うのですね。男女平等、機会均等という観点から見ると、寡婦控除というのは一番おかしいですね。こういうのは整理すべきである。さらに特定扶養親族控除なんていうのも、内容が一体適切なのかどうかですね。やはり疑問があると思います。そういうのをこの際、新設されることがあっても、削減されないとおかしいので、これはやはりもう時代に合わなくなったら廃止するという原則ははっきり掲げたほうがいいと思うのです。
ただ、実際問題として最大のねらいどころはやはり配偶者控除、配偶者特別控除、それから給与所得控除だと思うのです。これは当然そうだと思うのです。配偶者控除、配偶者特別控除、これも個人を課税単位とする前提からするとどうなのか。やはり縮減ないし廃止とするのが当然だと思うのですが、1つ問題なのは専業主婦の立場、これは当然残せというのでしょうね。おそらくね。だから、そういうところをどうするのか、うまく説得できるのかどうかですね。そこがうまく説得できればいいですが、相当反論は覚悟しなければいけないだろうと思うわけです。
〇委員
専業主婦の場合は扶養控除入れたらいいのではないですか。そのぐらい納得してくれるのではないですか。
〇委員
納得してもらえばいいですが。それで給与所得控除のほうは、これは先ほど言ったように、アメリカ型に移行するのが私はいいと思うのです。同族会社、経営者などもこの恩恵を受けているというのはやはりどう見てもおかしいですね。その際、確定申告が増えるということになると思いますが、それに対する税務当局の対応、これも非常に難しい問題が出てきますね。この辺は、そういうことになったら、やはりそういう体制を整えるということでいかざるを得ないでしょう。
それから住民税、地方税のほうですけれども、地方税に最もふさわしいのはやはり固定資産税とこの住民税均等割だと思います。そういう視点から言いますと、住民税均等割のところはやはりもっと重視していい。均等割の納税義務を負う夫と生計を一にする妻が非課税というのはやはりおかしいと思うのですね。これは当然妻も納税義務を負うというふうに変えたほうがいいと私は思います。
〇委員
どうぞ。
〇委員
人的控除に関しては、皆さんのご意見、基本的に賛成で、特に配偶者控除等についても、男女共同参画とかそういうことも考えれば、廃止を含めて検討すべきだと思うのですね。
申し上げたいのは、所得控除のとりわけ給与所得控除に関してでありまして、私自身は、皆さんがおっしゃっているようなアメリカ型にするとか、いろんなことに反対ではないですけれども、1つだけやはり気をつけていただきたいのは、給与所得に関しては捕捉の問題がある。トーゴーサンとかクロヨンとか、これは委員のご研究、私自身もやったことがありますが、そういうことが事実としてあるわけで、自営業とか農業に関しては捕捉率は極めて低い。それに対する一つの補完措置として給与所得控除というものがあるということも事実であって、その給与所得を仮に非常に厳しく廃止に近い方向でやってしまうと、給与所得者から非常に大きな反論が出てくる可能性があって、とりわけ自営業者に対する例えば青色申告控除であるとか、農業に関してはもっと抜本的にきちんと捕捉を変えるというようなことができない限り、これに手をつけることはひょっとしたらば我々がやろうとしている税制改革全体の足をすくうことにもなりかねないので、そこはちょっと気をつけていただきたい。私としては、こうしろということは特にないのですけれども、ちょっとここは気をつけて考えていただきたいなということだけを申し上げておきたいと思います。
〇委員
これまでの方々は、皆さんのご意見に基本的に賛成ですとおっしゃってましたけれども、私はこれまでの皆さんのご意見に基本的に反対なのであります(笑)。これまでその理由は述べてきたので、改めて繰り返すのも時間のむだだと思いますが、やはり所得税という税金がどういう税金だということから考えないと、この控除の問題というものを議論する出発点としてちょっとあやふやになるのではないか。
つまり、個人に対して課税する、個人の所得に対して課税するという意味であるならば、何がしかの生計費的な保証というのも与えるべきであるというところから控除というものができているのではないかと思います。昔みたいに金持ちの税金だったらそれはいいわけでありますが、所得税というものが大衆課税化した段階で、やはり家族の構成というものに配慮せざるを得ない、あるいはその人の生活実態というものを斟酌せざるを得ないというところが控除の本来の意味であるとするならば、その意味をここで拒否する理由は、今この時代、あまりないのではないか。
例えば年収500万円の人がいると、20代の独身者で年収500万円という人と、奥さんと子どもさん2~3人いて年収500万という人と、やはりそれはおのずと課税の仕方も違ってくるであろうと。そこに私は控除というものの積極的な意味を認めるものなのであります。
先ほどからやり玉に挙がっている配偶者控除、配偶者特別控除がありますが、これも前言ったように、配偶者特別控除制度そのものは、パート云々の問題もありますし、低所得者層で奥さんが働かなければ生計が維持できないというような家庭に配慮するとすれば、この制度そのものをすっぱりやめてしまうというのはいかがなものか。ただし、この適用が1,000万円以下という水準は高過ぎる。500万円ぐらいに下げてもいいのではないか。同じようなことは老年者控除にも言えるわけでありまして、これも1,000万円というのは高過ぎる。500万円ぐらいに対象を狭めていいのではないか。ぐらいの修正はあってもいいのではないかなと思います。
勤労学生控除はもう要らないよと、今どき働いている学生はいないのだなんて言いますけれども、むしろ、ここに学校の先生方、大学の先生方もいらっしゃるけれども、結構学生のアルバイトというのは今やっているわけなのでありまして、親のすねかじるばかりではなくて、自分で働いて何がしか学費の足しにしようというならば、それは社会的に奨励することがどこがおかしいのかという感じがいたします。
それから給与所得控除ですが、この問題をあまり税理論的に言うと、確かにここで議論されているようなことになってしまうわけでありまして、給与所得控除が実際の実額に比べてちょっと高いのではないか、甘過ぎるのではないかということは確かにそのとおりであると思いますが、ここはいろいろな要因があって、自営業者とのバランスとか、あるいは税率が累進的であるということの調整に使っているとか、そこら辺も含めてちょっと考えなければいかんかなあと思います。
源泉徴収、年末調整、あるいは確定申告の話が出てきているわけでありますが、1点だけ申し上げたいのは、確定申告をすべきだと、納税者意識を高めるべきだと、あるいは政治的なマインドを高めるべきだということで、確定申告というものがあたかも結構なもののように言われている。それはいろいろな考えがあるでしょうけれども、これと人的控除、いわゆる諸控除との関係なのであります。
実は控除というものは、私、1つ機能を認めるとすれば、申告の誘引になる。確定申告する場合に何がしか、これをやるとおまけしてくれるというから人間は確定申告をするわけでありまして、進んで金を払いたいという人はあまりいないわけなのであります。一方で確定申告やれやれと言っておいて、一方で人的控除、諸控除やめろやめろというのは話の矛盾ではないか。私は確定申告というものと控除のインセンティブという機能と一体で考えないと、この議論は混乱すると思います。
〇委員
委員、ちょっと1点質問しますが、この11-1の4ページに一覧表が出てますよね。これは現行のあらゆる所得控除が載ってます。委員はこれ全部今のまま、いろいろ意味があるからいいではないかというところまでおっしゃるのですか。それとも、どこかは少し整理してもいいというくらいでおっしゃるのですか。その辺の程度はどうですか。
〇委員
私は全部残していいと。内容的には先ほどの……
それはちょっと制約はあるけれども、種類としては残してもいいということですね。わかりました。
ではどうぞ。
〇委員
今の委員のお話とも関連しますけれども、私は諸控除を時代にあわせて見直していくということは、各委員がおっしゃられるとおり、そのとおりで、額、水準も含めて包括的にこの際議論したらいいということだと思います。
委員のおっしゃったこととの関連で言えば、諸控除の見直しというものが、家族の属性であるとか、あるいは所得水準であるとか、そういう家計それぞれ固有の性格に対してこれまでと違った負担を求めていくということは事実で、その帰結が新しい社会構造にとって望ましいかどうかという分析をきちんとつけながら世に問うということが私は重要なのだろうと。そのことなしにはやはり、委員が先ほどおっしゃったとおり、給与所得者と非給与所得者の関係はどうなるのだということをきちんと、これは事務局にお願いすることになるのかもわかりませんけれども、それはやはりやる必要があるということだろうと思います。それが第1点です。
それから第2点は、実額控除と概算控除、スタンダード・ディダクションとアイテマイズド・ディダクションというのはアメリカで選択制になっているわけですけれども、私は、この時代の要請としてこれは選択制にして、それはもちろん水準、実額控除の側でどのような経費というものを認めるかによっていろいろな利害得失が出てくるだろうと思いますが、これはオプションとして、納税者意識の高揚にとっても非常に重要な点なので導入をすると。
その際に問題は、この33ページのところにも書いてありますとおり、実は我が国で控除という形で認められてきたものがこの実額控除の中に入ってくるという問題があるわけです。どの程度この実額控除の中に経費としてこれを入れるかということは、例えば住宅ローンで言えば、今の住宅ローンなのか、それともここでアメリカの例、住宅ローン利子、こういうものを入れるのか。さらには、委員、私なども関心を持っております寄附金税制をどういうぐあいに扱うのか。こういうものがセットになってくるわけですし、生損保控除の問題もこれにセットになってくる。ということは、これを単独で議論するということは実はできないわけで、総合的にこれをどういう形で矛盾なく提案するかということは、これは先ほどのフェーバーを実額的な形で入れるほうが筋だろうという委員のお話にもつながってくるわけで、その点で、ここはやはり支出の特定化をどのように具体化して議論するかということだろうと思います。
それから3番目の点は、諸控除をわりと大胆に皆さん、廃止したり、あるいは存続というご議論があるのですけれども、租税理論の観点からこれを一体どういうぐあいに考えるかということをもう一度基本に立ち返って整理しておくということが重要なのだろうと思います。例えば配偶者控除というときに、いわば帰属所得の課税の考え方をどういうぐあいにとるかということが社会参加との関係の中で問われる問題でありますので、事務局にこれをお願いしたいのですけれども、それぞれによって立つ論理的な理屈の整理ですね。ぜひ一度委員にお渡ししていただいて、ここら辺のところも、我々がなぜそうしたかということの理屈も我々が出していくということが責務だろうと思いますので、ぜひその点もご検討いただきたいと思います。
〇委員
ぼつぼつ次の制度にいきたいけれども、何人これに関して……。4人。じゃ手短にお願いします。
〇委員
これはすっきりした控除にしなければいけないので、そのためには、基本的な考え方を確立していなければいけないだろう。そういう前提からいきますと、まず第一に、基礎控除、あるいは実額控除、これはやはり実際にかかった経費の問題ですから、むしろ実額控除1本に絞ってしまって、活躍するについて実際に使用したものを申告して控除してもらうというのが一番すっきりした形になるのではなかろうか。そうすると大変手間がかかるという話も出るかもしれませんけれども、確定申告すればそういう手間はもともとかかるわけですから、むしろそれぐらいの手間かかるぐらいであっても、本人に、たとえ源泉徴収の場合であっても、きちんと実額について申告させる、そのことが納税者意識をサラリーマンに植えつける効果を生むだろうと。それが第一です。
そういう基本の考え方に立って医療費控除等ですけれども、これはやはりその性質から言って本人の身体の維持なわけですから、言ってみれば実額経費に値するものとして、これは控除を認めていいだろうと。
それから3番目に扶養ですけれども、子どもを育てる、あるいは自分が見ざるを得ない親を扶養する等、これはやはり社会的に必要なことですので、この部分は控除を認めていいだろう。奥さんについては、働ける状態である以上は認める必要はないだろう。個人、本人が選択して扶養されている状態になっているということであれば扶養控除は認める必要はないだろうと思います。
それからもう一つ、今のは実際の経費という考え方からですけれども、4番目に寄附金。今、先生もおっしゃったけれども。これは税に類する支出、社会、公共のための支出ですので、そういう意味で、片方納めれば片方は免除するという考え方を貫くのがいいのではなかろうかと思います。
〇委員
社会保険料控除について一言も議論なかったので、補足したい。
額的にいっても、きょうの資料だと、給与所得の控除額が62兆円、社会保険料控除の控除額が18兆円近い。非常に大きな規模ですけれども、例えば国民健康保険は国民健康保険税でとっているのもあります。ここで、社会保険料はこれからどんどん大きくなっていくわけで、これを全額個人所得の課税ベースから引くべきかどうかという議論は議論としてしておくべきだろうと思います。
〇委員
ありがとうございました。
ではどうぞ。
〇委員
給与所得ですけれども、私は慎重論です。最初に申し上げましたように、納税者背番号とか、そこいらを入れてやらなければちょっと抵抗が大き過ぎるし、事業所得の経費率どの程度か知らんですが、私ども、申告する雑所得でも3割だったらば大体オーケーみたいですよね。そこいらを比較して、給与所得控除が高過ぎるのかどうかというふうな危惧を持っております。
それから特定扶養控除ですけれども、大学生は自分で金を稼ぐので、何で親のすねかじりみたいな国辱的な控除があるのかというのは不思議に思います。必要ならばこれは歳出なり奨学金貸付金制度で賄うべきもので、親の税金をどうこうする話ではないのではないかと思います。
それから老年者控除は、おそらく忘れたのでしょうけれども、老人扶養者控除は70歳から、老年者控除は65歳ですよね。何で65と70、区別あるのか、少なくとも老年者控除は70歳でもいいのではないか。ただ、この問題は社会保険診療保険料の問題だとか年金の問題に絡むわけですが、これは単純な話、まずは65歳というのは直していいのではないかと思います。
〇委員
もうたくさんの方がしゃべったので、私の言うことはあらかた出尽くしたのですけれども、1つだけ、私のアプローチはこの給与所得控除についてですね。どうも議論は給与所得控除を実額にするか概算にするかと、それから申告納税制度とがセットになっているようですけれども、私はまず第一、控除以前に、申告納税制度というのは全員やる必要があると思います。
聞くところによると、所得税というのは会社が払うからこれは間接税で、消費税は直接とられるから、これは直接税だと思っている人がいるという話を聞いたことがあります。ですから、納税意識の点からも、あるいは本来、自立というか、自主、自分の責任という点からもこうする。それは概算控除でもできるわけで、概算控除だろうと、とにかく申告する。これはアメリカなんかもそういう制度のようですけれども、それであらかじめ多めに源泉徴収しておいて、それによって返すという形ができると思います。
それからもう1点だけ。私も、この人的控除、どれを残してどれが要らないのか、それぞれ存在するものは理由があるはずですから簡単には言えないと思いますけれども、要するに、例えば今後の社会、何がポリシーであるかという点から考え、それから家族の形成、子どもが少なくなっているという、家族をもっと育てるといいますか、そういう点から何が必要かという一つのポイントを立てることが必要ではないかと思います。
最後にもう1点だけ、前にちょっとだけ触れましたけれども、退職金の長期勤務を優遇するようなそれは要らないと思います。
〇委員
ありがとうございました。
委員で最後にします。
〇委員
幾つかお話を伺っていて、配偶者控除の話ですけれども、これからの方向性として、今幾つか出ましてちょっと気になることは、既得権益というものが実際に金額としてどういうことかといいますと、今、先生の話によりますと、3.8万円浮くという部分が既得権益だというこの出発点で考えた場合に、これをどういうふうに調整するのかというときに、税率を下げるという議論と、それから人的控除ではなくて、サラリーマンのいわゆる基礎控除にするという場合と、それから扶養控除にするという3つの選択肢があるのですけれども、つまり2つに分ける、19万円とか、それを基礎控除にするということは、38万円の基礎控除が高くなるということなので、これを振り分けるということは国際的にリーズナブルかどうか。これに給与所得控除がまた乗っかってくるわけなので、この考え方が果たしていいかどうかというのはちょっと私としては疑問かなと。
それで、そもそも配偶者控除というのは家事労働と関係があるのかないのかということになりますと、基礎控除にするということはその論理を完全に廃止してしまう。つまり、家事をやるということについての労働は、家事というものに限られるものではないということであれば、夫がやろうと奥さんがやろうと関係ないので、基礎控除という考え方もあるかもしれないけれども、それをわざわざ基礎控除に入れるかどうかというのはちょっと論理的にはっきりしないということで、概念上の問題ですけれども、これはきちっと調べていただけないか。
それから扶養控除にするというのもおかしい。奥さんの分が扶養控除というのは、どういう組み立て方があるのかというのがどうしてもわからないので、これはちょっと疑問です。
〇委員
ありがとうございました。まだご議論あると思いますが……
〇委員
1つだけ質問があって、アメリカの実額控除の中にボランティア活動に要した時間コストなんかが入っているのかどうか、それをちょっと調べておいていただきたいのですけれども。
〇委員
今わかりますか。
〇事務局
アメリカの制度につきまして、先ほど、私、説明が不十分でございましたので、もう一度32ページをちょっとごらんいただけますでしょうか。先生のほうからご解説もございましたので、それで補われているわけではございますけれども、32ページの説明を、私、飛ばしておりましたので、申しわけございません。
32ページのアメリカの概算控除、上のほうに概算控除(定額)というのがございます。下半分がいわゆる実額控除というものですが、その中身の項目は、下にございますように、転勤費用ですとか職務上の旅費、あるいは雇用主、会社のほうで要求して出すような研修、図書ですとか衣服のたぐいというふうに限定されておりまして、当然のことながら、生活上の支出みたいなものが実額で引かれるわけではもともとないということでございます。特定の費用について経費というふうに近接しているもののみ特定して、実額で控除できるという制度でございます。
私が申し上げたかったことは、その上でアメリカは、33ページにございますように、そういった支出とそれ以外の個人的支出を加えました支出をとりまして概算控除と、しかも定額の概算控除と比較しておるということでございます。
日本の場合は給与の給与所得控除と特定支出控除の比較で、さらに個人的支出については別途所得控除をするしないという問題になっておりますが、アメリカのほうはそこは一緒に概算控除と比べているということでございます。かつ、概算控除の水準は夫婦共同申告で100万円でございますので、日本の給与所得控除の高さ、あるいは個人的支出について控除が別途存在するということとアメリカの水準との差はかなり大きなものがあるのではないかとは思います。その上で、どういうところまでこの実額で認めるかどうかという政策的なご議論が先ほど提起されたのかなあと思っております。
それから、アメリカのように、年末調整を行わないで申告者が全員税務署に申告するという制度になりますと、もともと源泉徴収を少し高めにして還付するようにするという工夫の問題ですとか、もともと日本ですとわずかな、わずかと言いましても、1,000万、2,000万おりますが、そういう申告の方がおよそ5,000万人レベルになりますので、年末調整した上で確定申告の道が広がるという話と年末調整をやめるという話は税務執行上は全く質量ともに大きな違いでございますので、その辺はまた議論を深めていただくときにご議論をちょうだいしたいと思います。
したがいまして、今のご質問ですが、今のこの概算控除にかわります実額控除につきましては、ここに今32ページでご説明したものが特定されておるということでございます。
〇委員
委員のご質問の、給付等々が入っているかどうか、お答えが入ってないけれども、何か調べて次回でもご報告いただけますか。ではお願いします。
あと、4時まで35分しかないので、残りの土地税制(国税)、地方税、両方やるのは甚だ難しかろうと思ってます。そこで、次回に年金課税と資産課税の国税ももう一回やるチャンスがありますので、とりあえず地方の土地税制、資産税をまず最初にご説明いただいて、議論を見て、その推移で、うまくいけば国税にいきますが、だめだったら、きょうは地方の土地税制だけで終わりたいと思ってます。
では、お願いします。
〇事務局
それでは、お手元の「地方資産課税等説明資料」、右肩に基礎小11-4とございます資料をごらんいただきたいと思います。できるだけ簡単にご説明したいと思います。
1ページは固定資産税、それから右側のほうに都市計画事業に充当するための都市計画税、それぞれの概要を簡単に出してございま す。
2ページをお開きいただきたいと思いますが、こちらのほうでは市町村税収全体の中での各税目の構成割合を出してございまして、固定資産税、左側の網をかけている部分でございますが、全部の市町村で45%、あと大都市、都市、町村ということで規模別に出してございますけれども、いずれも最も構成比の高い基幹税目になってございます。
続いて3ページでございます。これは税収と市町村の歳出、スケール、右側と左側でちょっと使い分けてございますが、ご覧いただきたいというものでございます。最近の傾向として、折れ線グラフのところが市町村の歳出で、これが増加しているわけでございますが、それに対してグレーの棒グラフ、市町村税収が追いついていない。黒のところが固定資産税収でございまして、全体の中では固定資産税収が市町村税収を下支えしているというような状況かと思います。
もう少し詳しく最近の状況を見ていただこうというのが4ページでございます。固定資産税収の中で、棒グラフでは土地、家屋、償却資産を分けて出してございますが、全体の税収としては、上の折れ線でご覧いただきますように、比較的安定的に推移していると言ってよろしいかと思います。12年度のところが前の年に比べて少なくなってございまして、これは固定資産税ができて初めて前の年よりも税収が下がったというところでございます。固定資産税は3年に1度評価替えをいたすわけでございますが、最近の傾向として、土地は地価の下落も反映してございますし、家屋につきまして評価替えをすると税収が落ちるというようなことがございまして、こういう結果になったところでございます。
5ページをご覧いただきたいと存じます。詳しい説明は省略させていただきたいと思いますが、特に土地、宅地の評価、それから課税につきましての経緯を文字でまとめさせていただいております。大きくは、最近ですと3段階、3期に分かれると思っておりまして、平成5年までのグループと、6年度に、上のほうに評価の[1]と書いてございますが、こちらのほうでいわゆる7割評価を導入いたしました。公的土地評価の均衡化、適正化をしなければいけないと。さらに9年度以降は、課税のところをごらんいただきたいと思いますが、負担水準を均衡化する措置、これを形を変えて導入させていただいております。そういう意味で、最近は3つの時期に分かれると思ってございます。
それを図で対応させようとしておりますのが6ページのほうでございます。これは全国の商業地、宅地の中でも事業用に使っている土地について、地価と評価額、土地の値段そのもの、それから税収に反映される課税標準額、これの推移を経年でごらんいただこうというもので、58年を100とした場合の地価が上のほうの山のようになっている部分でございます。平成3年をピークにして、それ以降は下落してきている。
それに対しまして平成5年度までの評価額と課税標準額は●と▲の折れ線でございますけれども、比較的低い水準で抑えられてきている。また、これは平均で出してございますが、実際には相当評価水準には格差がございました。それを踏まえて6年度に、先ほど申し上げました地価公示の7割の水準での評価を導入いたしまして、結果として評価額だけが大きく上がったと。その後、7、8と横にずれておりますのは、評価替え以降は3年間基本的に同じだという制度ですのでそうなってございます。
一方、▲の部分、これが実際の税収と大体見合う部分でございます。課税標準額ですが、こちらのほうは評価額が大きく伸びてもそれほど伸ばさない、抑制しておりますので、そういうラインになってございます。
それから9年度、評価替えをして、●のほうでございますが、評価額が落ちてございますのと、さらにそれ以降は、毎年地価が下落している地域については下落修正措置もとっておりますので、●の部分が毎年落ちてくるような形になってございます。
7ページをご覧いただきたいと思います。これは個別個別の土地でどういうふうに税額を計算するかというイメージでございまして、もともと固定資産税、資産の価格に応じて課税いたしますから、左側の評価額と課税標準額というのは大きく違わないわけでございますが、課税標準の特例がある。特に今は宅地につきまして負担調整措置というのが入ってございますので、評価額と課税標準額は違ってございます。それをご覧いただくという趣旨の図でございます。
この負担調整措置につきまして詳しく出してございますのが8ページでございます。左側のほうが商業地、右側のほうが住宅の、特に小規模なものを示してございますが、商業地のほうを主としてご覧いただきたいと思いますが、これの全体的な考え方は(基本的なスキーム)ということで上のほうに枠で囲ってございます。前の年度の課税標準額が実際に課税いたします年の評価額。土地の値段のどのあたり、どの水準にあるのかということに応じまして具体的な課税標準額が決まる仕組みをとってございます。商業地等の左側の棒の一番上のところに100%という数字を書いてございますけれども、そこの枠の中に書いてございますように、地価公示価格の7割というものを今固定資産税の評価額100%のところでとってございます。それに対してそれぞれの土地についての課税標準額というのは、先ほどごらんいただきましたように、非常に大きく評価額が伸びておりますので、そこまでいってございません。両者の関係を計算いたしましたものを負担水準と呼んでございます。ここの棒の意味合いは、負担水準の高いところの土地、例えば100%~70%までにいるところの土地は課税標準額を70%まで下げましょうというものでございます。60~70というのは基本的に前の年のままの課税標準額にするということで据え置きということを書いてございます。
それから下のほう、それぞれのところで前の年度の課税標準額に数字を掛けてございまして、〇のところ、負担調整率と書いてございますが、負担水準の低いほうの土地については税負担をなだらかに上げていこうということで掛ける数字が違ってきておるということでございます。
9ページのほうに、今の商業地のものをもう少し簡略化したとご覧いただけるかどうかわかりませんが、左側のほうに13年度で、14年度には地価が下落しているという前提に立ちまして、14年度でどういうふうにそれぞれの土地、ここでは左側のほうにA、B、C、Dという土地を挙げておりますが、課税標準額が移るのか、変わるのかということを出してございます。全体的に負担水準の高いほうの土地、左側のほうでいうとAとかBとかいうのは地価が下落するに従って課税標準額が落ちる、税額が落ちる。Dのようなところ、つまり地価が下がりましても実は税額が上がるような土地があるわけでございますが、これはあくまでも負担水準の低い、評価に対してそれほど税負担になっていないところに限られるということをご覧いただきたいという図でございます。
今のような状況につきまして、本税制調査会の中期答申でのご指摘の部分を10ページ及び11ページに書いてございまして、負担水準にばらつきがあるということで、これを是正しなければいけない。11ページのほうでは、15年に評価替えがございますが、それも踏まえまして適切に対応する必要があるということをご指摘いただいております。
12ページは直近の14年度で、ここも同様の趣旨でございます。
もう少し状況をご覧いただきたいと思いますが、13ページのほうには、全国の都道府県別で今のような負担水準がどんなふうな数字になっているのかをご覧いただこうというもので、平均値でご覧いただきますと、図の右のほうにありますように、60%近いところまで今きてございますが、都道府県単位で見ますと相当にばらつきがある。東京なり大阪なりというところは平均以上でございますが、かなり低い県もあるという状況でございます。
14ページはこれまでの推移でございますから飛ばしまして、15ページをご覧いただきたいと思います。先ほど負担調整のところでご覧いただきましたものと同じものを左側のほうに商業地等の宅地ということで出させていただいておりまして、それに対応する形で右側のほうにいろんな数字を入れてございます。これは納税義務者の数で、大体負担水準はどのあたりにどの程度の方がおられるかというものをご覧いただこうという趣旨で、数字2段書きになってございますが、上のほうが全国、括弧の中が大都市、政令指定都市とか東京23区の部分でございます。網をかけておりますところは税の課税標準額のほうが下がるか据え置かれるかというところでございまして、これをご覧いただきますと、全国で半分ぐらい、大都市ですと8割近い納税義務者の方が、税負担が上がることはない、こういう状況にあるわけでございます。
次に16ページ、同様の資料でございますけれども、こちらのほうにつきましては課税標準額のベースで同じような計算をいたしてございます。課税をする市町村にとりましては、課税標準額が税収の動向に非常に影響があるわけでございまして、これも網掛けの部分、合計を右のほうに出してございますが、全体で7割以上、大都市では9割の部分は税額が下がるか、そのままという実態にございます。
同じようなことを別な形で17ページ、あるいは18ページにも出してございます。同様な資料ですので18ページのほうだけご覧いただきたいと思いますが、こちらのほうには、上のほうが全国で、下のほうに大都市で負担調整措置の分布状況を年度を追いまして掲げさせていただいております。下の大都市のほうをご覧いただきますと、課税標準額自体がだんだん下がってきておりまして、さらにその中で引上げになるところ、白い部分が減ってきて据え置きなり引下げの部分が増えてきていると、こういうことをごらんいただけるかと思います。
それから19ページでございますが、これは大都市の部分だけ抜き出しをしまして、平成8年度以降、各年度ごとの推移を見ております。▲は前の年よりも減っているパーセンテージでございますので、12年、13年とすべての大都市で固定資産税収は減ってきているという状況でございます。
他の国との比較、20ページのほうに出させていただいております。国民所得、あるいは税収総額に対する割合の比較でございます。日本は、ドイツを除きましては高い負担にはなっておらないという数字になってございます。
ちょっと市町村税の関係を先にご説明させていただきたいと思います。26ページをご覧いただきたいと思います。こちらのほうで特別土地保有税でございます。特別土地保有税は概要を26ページに書いてございますが、取得後10年間の土地の所有に対しての課税、あるいは取得に対して課税するという税でございますが、真ん中あたりにありますように、免税点がございまして、かなり広い面積の土地についてだけ課税されるということになってございます。
27ページでございますが、これはいろいろ利用されている場合には課税されないということになってございまして、未利用の土地について課税されるのですが、さらに下のほうに徴収猶予制度というものを出してございます。何らかの形で利用いたします確実な計画があるなどの場合には、形式的には課税いたしますが、徴収を猶予して、計画が達成されれば納税義務が免除されるということで、有効利用促進の税制という形になってございます。
28ページでございますが、これまでの変遷をとってございます。右側に<バブルに係る対応>ということで幾つか出してございますが、平成10年度に改正いたしまして課税強化をした部分は現在は廃止をすでにされておるというところでございます。
最後、29ページはこれまでの税収の推移を出してございまして、ピーク時の大体4分の1程度の税収でございます。
〇事務局
では続きまして、不動産取得税についてご説明させていただきたいと思います。お手元の資料、21ページでございますが、まず納税義務者は不動産の取得者。課税標準につきましては、固定資産課税台帳に登録された固定資産税の評価額ということでございます。税率は標準税率4%。ただし、住宅、住宅用地については3%ということでございます。その他いろいろ特例等につきましてはまた後ほどあれしますので、飛ばさせていただきたいと思います。
22ページ、「不動産取得税の課税根拠」でございますが、ちなみに、下のほうにございますが、最高裁の判決におきましても、不動産取得税はいわゆる流通税であって、不動産の移転の事実自体に着目して課せられるものであり、そして利益に着目して課せられるものではないというのがございます。
23ページ、いろいろな特例があるわけでございますが、24ページをご覧いただきたいと思います。住宅・住宅用地の特例ということでございます。真ん中に(東京都の平均的な一戸建住宅及びその用地の例)でございますが、平均的には床面積104m2、土地が128m2ということになっております。まず住宅、上ものにつきましては1,200万円控除されるということになっております。これは評価額、平均的には909万円ということでございますので、実質非課税になる。土地についても床面積の2倍まで、200m2限度でございますが、ここまでは税金かからないということになっております。この場合ですと土地の面積128m2でございますので、これも実質非課税ということになっておるところでございます。
25ページは「土地に係る不動産取得税の負担調整措置の概要」でございます。不動産取得税、これは固定資産税評価額に、これは14年12月31日までの措置でございますが、課税標準の特例ということで、これをさらに半分、2分の1にしております。そして税率につきましては住宅用地は3%ということで、4%よりも1%低くしておるということでございます。この結果、一番下にございますけれども、負担割合ということでご覧いただきますと、住宅用地の場合は1.05%、その他の土地でも1.4%という率になっているところでございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
それでは、残った時間を今ご説明いただきました地方の資産課税関係につきましてご議論いただきたいと思います。どうぞ。
〇委員
少し大局的な話をしてしまって恐縮ですけれども、先生の税調は将来の長期の問題を考えていくと思うのですけれども、土地課税の問題というのはメガトレンドが全部逆になっているものですから、今も調整をずっとなさってきた大変なバンソウコウを張る苦労の歴史ですけれども、もともとこれは根底が違ってしまうのですね。
つまり、これまではずうっとキャピタルゲインがあったから、だから、その土地に価値があったのですね。ですから、それを手に入れ、売れば必ずゲインがあるから、そこに向けて特別土地保有税もかかったし、あったわけですけれども、これからは土地が多分、部分的には上がるところもあるかもしれませんが、大局的にはずうっと下がっていくと考えますと、キャピタルゲインがないですから、キャピタルゲインがないところでベースの土地の価格に税がかかっているというのはマイナス資産みたいなのですね。しかも固定資産税もあり、相続すれば相続税もあり、ゲインがないのですから、結局ババ引いてしまったような格好になるので、地方自治体は今、土地開発公社で土地を入手していろんなことをやろうと思っていたのができなくて、売るとものすごい赤になりますね。というような問題、個人も地方自治体も企業もみんな抱えて、このままではうまくないのですね。
ですから、これまでの土地税制というのは、おそらく高度成長でキャピタルゲインが期待できるという大前提の上でつくられていると思うのですけれども、長期で考えますと、土地を活用してどうやってそこから、キャピタルゲインでない、使用価値のリターンを生むか。それをどう促進するか。ただ、そこにまた税かけると意欲が抑制されるので、これは微妙なところですけれども、しかし、土地の活用からリターンを生む以外にないのですね。キャピタルゲインという考え方はないのだという大前提で税制を組み直しませんと、地方自治体なんか、次々と破綻するおそれがあるだろうと思うのですね。
というような、ちょっと大局観を申し上げたいと思います。
〇委員
ということは、保有のメリットがなくなってきたから、保有税あたりはちょっと見直したらいいかというようなインプリケーションですか。
〇委員
見直さざるを得ないでしょうね。
〇委員
ほかにどうぞ。
〇委員
委員が極めて大局的なお話をされたのですが、私は極めて小さな話をちょっとさせていただきたい。というのは、固定資産税の納付回数と、それに違反したというか、そのとおりにならなかった場合の延納利子の問題なのです。
といいますのは、私はこの前、金払うものは一遍に払ったほうがいいという考え方なので、確定申告するときに市役所に行って固定資産税を払ったら、延納利子を払えと言われまして、年度を越したならばそれはしようがないのだろうけれども、年度内にともかくまとめて払うと。しかし、決められた期日、決められた回数どおり払ってないからそれは延納だというのはどうも解せなかった。ちょっとここら辺を説明してくれませんか(笑)。
〇事務局
今の地方税法では、固定資産税につきましては、全体的な税額が大きいということもございまして、年4回に分けてお支払いをいただくということになってございます。基本的なパターン、何月にというのは税法に書いてございますが、東京都のように、独自に条例でもって月を変えているところもございます。いずれにしても年4回が基本でございます。ただ、税額的にあまり大きくない場合については1回でお願いするということもございますが、基本的に納税者の側に立ったという考え方で分けてお願いするということで、ただ、実際の課税自体はそれぞれでいわば発生をいたします。そういうことがございます。それぞれの回数ごとにですね。例えば4月に幾らお願いをするということであれば、4月の段階でその金額、全体の4分の1だと思いますが、のお支払いをお願いするという格好になっているということでございます。
〇委員
こういう細かい問題で残り少ない時間を使うのはいかがかと思うのですが、私は十数万ですよ。これを1回で払うという人は結構いるわけで、しかも固定資産税というのは何かのついでに、市役所に行ったついでに払うとか、確定申告、所得税と一緒にじゃ一遍に払おうとか。何も7月と5月と11月と1月にきっちり払うという人ばかりではない。だから、この延納利子の問題は少し検討していただけませんか。
〇委員
今のは、事務局、拒否しても結構ですが、検討の余地があるなら、委員も納税者でしょうから、1つそういうご要望があるので。委員は4月、5月ときちっと払わないで、年度末にまとめて払いたいというときに4月分の延納払えと言われたわけね。
〇委員
4回分払えと。
〇委員
何で4回……そうか、面倒くさいから。じゃ最初の4月にまとめて4回分払ったらよかったのではないですか。
〇委員
いやいや、そんな払いたくないものは最後に払いますよ(笑)。
〇委員
まあそういう話でしょうな。何かあるならどうぞ。
〇事務局
今お話ありましたように、あらかじめ、例えば前もってお支払いいただければ、各団体によっては前払いでお支払い願う部分はやや差っ引くような制度をとっているところもございますが、後ろのほうにというのはちょっと制度がございませんので。でも、4回に分けるのは、納税者側にとって1回でお願いすると負担が大き過ぎるからということで分けさせていただいているということだと思います。
〇委員
そういうお答えが来るともう一言言いたくなる。つまり、早めにまとめて払った人は安くなります。これはわかるのですよ。どんな商売だって早く支払ったら、その分は値引きしますよと。しかし、それを超えたらペナルティとるというやり方はあまりないのではないか。わかります? 要するに早く払えば安くなるのだというのはわかりますよ。しかし、遅く払うからペナルティ払うというのは、それは対照的な話ではないのではないかと思うのですがね。
〇事務局
非常にご立腹のようでございますから、またよくお話を聞きたいと思いますけれども、基本は4回に分けて払っていただくと。その4回に分けて払っていただくのを前倒しにするから、その分若干差っ引く制度があるのであって、それをずうっと後ろにいきますと、市町村の立場からいえば、4回に分けて財政資金がその都度入ってくるのがずっと来ないわけでありますから、そこは全体の中で若干の延納利子をお願いすることがあるということでありまして、貴重な時間ですので、後でよくお話をお聞きしたいと思います。
〇委員
委員の先ほどのお話、非常に重要だと思うのですね。現在、まだ土地基本法というのは生きていると思うのですね。平成元年でしたか、土地というのは公共財で、これは有効に使わなければいかん。そこから利益を得た場合にはそれを吸収するようにしなければいかんとか、いろんな条文があったと思います。ですから、現在の土地税制、あの後で地価税ができましたが、今停止中ですけれども、土地についての国としての基本的な考え方はまだあの土地基本法の中で集約されて、あれで生きている。あれによって土地というものについての観念が統一されていると見るのか、そこはもう変わってきていると見るのか。今は非常に変動期だからそこは何ともいいようがないのか。そこは、一応土地基本法があり、それによって動いている現状はなかなか動かしがたいが、さてそのままでいいのか。そこは1回、税制調査会もそうですし、どこでそこらを整理していただけるか。まだ流動的であると言うならすべて現状を続けるほかないのかなと思いますが、そこらをどこがどういうふうにして検討し、意思をまとめてくれるのか、関心を持っているところです。
〇委員
税調としても、そういう声を外に出してどこかで議論してもらう、あるいは税調自体でそこを議論するというような、そういうご提案ですね。わかりました。
じゃどうぞ。
〇委員
このペーパーの下のほうに何カ所か、税負担の公平性、同じ評価の土地で同じ税負担を実現する必要がありと書いてあって、それは確かにそうだと思うけれども、13ページの「商業地等の宅地に係る負担水準の状況」を見ると、東京、神奈川、大阪がかなり高くて、福井だとか鳥取、徳島、沖縄も入ってくるのはある意味でわかるけれども、この格差はものすごく大きいですよね。
これは何も固定資産税だけが市町村税のすべてではないわけで、ほかの税金との絡みのある話なのですが、とりあえずこれだけに限定して言うならば、これは大都会の水準を下げて、こういうふうな非常に低い水準のところを上げて、10年ぐらいたったらば大体同じだなあというふうに持っていくつもりなのかね。所得水準が全く違うのだから、これはとても無理なのだと。政治の現実から見たってこんなこと提起できる市町村長はいないわけだからというふうに考えるのか、一体総務省は今こういうテーマを出して何を考えているのか。何年ぐらいたったら、どこでどういうふうに調整しようと思っているのか。
〇事務局
今、現時点では、ご指摘がありましたような、何年たったらという具体的な目標は残念ながらございません。先ほどご覧いただきましたように、商業地ですと60%から70%のところを据え置きということにしてございますので、その辺に収斂させていくというのが、今の制度を引き続きやっていった場合にはそういうふうになります。ただ、もともと7割評価をしてから相当年数がたってございますので、いつまでもこういう状況が長く続くというのは好ましくないと思っておりまして、基本的には今の制度、その負担調整をしながら、できるだけ早く一定の幅の中におさめていきたいということでございます。
なお、大都市がほかのところと比べまして非常に負担水準が高くなって見えてございますけれども、これは1つは地価が急激に下落したということがございまして、結果として負担水準という数字でやりますと、分母となるところの評価額が大きく下がったということがあって、相対的に上がってきたというところもございます。
〇委員
では、あと手挙がっている4人に限らせていただきます。どうぞ。
〇委員
先ほどからのお二人の委員のラインで私も大変シンプルな疑問があるのですけれども、土地を持っている、資産を持っているということだけに着目して課税するというのであれば、金融資産、株を含めて、これを持っている人についてもバランスよく課税しなければ理屈は通らないだろうと思うのですね。そうせずに、特に土地に着目して、それを持っていることに課税するとなれば、今、委員がおっしゃったように、公共財、それを大幅に勝手にして売るのは勝手だからその分持ちなさいという理屈になるのですが、どっちなのか、その辺をすっきり整理していかないといろんな細かい問題は解決できないのかなと思います。
〇委員
固定資産税は安過ぎると思うので、上げればいいと思います。それで、年金課税というのは僕も必要だと思うのですが、かなり年金課税が難しいとすれば、この年金課税の代用にかなりなるというふうにも思いますので、それは理屈として成立するのかどうか別にして、固定資産税を上げるということは非常にいいことだと思います。
〇委員
特別土地保有税というのはもうやめていいと思うのですけれども、実はやめると不動産屋が困るのですね。留保分というのを払わなければいけなくなるから。この間不動産協会が来て、こんなおかしい税は即刻やめなければいけないと。いいよと。税調でやめろと発言するけど、ためている分全部払えと言ったら嫌だと言ってましたのでね。この留保分というやつは、本来払うべきのを払ってない、要するに滞納と同じですから、これは仮にやめるのなら全額きっちりとらなければいけないと思います。
それからもう一つ……
〇委員
留保分というのをちょっと説明してよ。どういうこと?
〇委員
留保分というのは、ちゃんとした正しい用途に使うからとるのを待っていてねというので、5,000億ぐらいあるのですよ。未徴収になっているというか。だから、既に課税はされているのだけれども、将来ちゃんとした用途に使うから、ちゃんとした用途に使えばそれは消えるわけですよね。
〇委員
そんなのどかな大らかなことをやっているのですか。
〇委員
そうなのですよ。これは変な税ですよ。
〇委員
変な税だねえ。
〇委員
ええ。ですから、これは実は大した問題ではないのです。
それからあと都市計画税ですけれども、これは法律の書き方が「かけなければならない」というふうになっているのですよね、たしか。該当市町村は。違います? それは何税でしたっけ。
〇事務局
都市計画税自体は都市計画事業をやるために、そういう団体でかけることができると。
〇委員
「かけることができる」でしたっけ。「かけなければいけない」というのは何でしたっけ。何税だか忘れたというのは恥ずかしいのですけれども、この不動産絡みで、要するに自治体の自主性のあまりない税があるのですね。そうそう、事業所税。事業税は土地ではないか。ああいう大都市追い出し型のやつはやはりもう時代おくれですから、法文を変える方向で検討すべきだと思います。
〇委員
じゃ、委員、最後に。
〇委員
半分はコメント、半分は疑問点ですけれども、登録免許税について課税基準と課税の考え方についてちょっと確認ですけれども……
〇委員
そこはまだやってない。じゃコメントのほう。
〇委員
これに関するコメントなので。
それじゃこの次ですね。
ちょうど時間ですから、終わりましょうか。どうも失礼しました。
それでは、きょうはこれで終わりますが、次回以降のことについてご説明しますが、次回は、まことに申しわけありませんが、今週の金曜日、また2時から考えております。一応年金課税を中心に所得税と資産課税の総まとめをしたいと思いますので、きょうの土地税制の国税分もそこでちょっと説明いたします。それから次々回は5月10日金曜日、大分先になりますが、そこで社会保障及び消費税などについて、残ったものを大まかに整理したいと考えております。それから4月26日、次の週の金曜日ですが、2時から総会をやります。そこでこれまでの議論をもう一回整理したいと思いますので、ぜひこの基礎小で言い忘れたこと等々につきまして、再度ご発言の機会もありますから、ぜひご出席ください。
どうもきょうはありがとうございました。以上で終わりにしたいと思います。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。