基礎問題小委員会(第21回)後の石会長記者会見の模様

日時:平成14年10月17日(木)12:03 ~12:38

石会長

今日の基礎問題小委員会は、大分議論が煮詰まってきました、21回目になりますが、大体の内容をご報告します。

1つのメインのテーマは、我々研究開発減税、投資減税の基本的枠組みというのをまとめまして、一応今日ご承認いただいたので、会長談話として、基礎小の責任で出したい、あるいは会長の責任で出したいと思っています。これは午後の諮問会議に持っていきたいと思いますし、それから明日の総会でもご披露したいと考えております。

最初に、概略をご説明いたします。

我々としても1月から議論を始めておりまして、経済活性化といったときに法人税、これしかないと思っておりましたので、当然のこと、税率の点と政策減税の点と2つ合わせて議論はしてまいりました。6月に例の小泉5項目が出ましたよね。あのときにはっきり研究開発と投資減税というふうに項目が限られてきましたが、その後も税調の基礎問題小委員会の中では、効果を上げるという意味においてどちらが有効かということを慎重に検討した方がいいじゃないかという意見、それから政策減税ということについては、租特を増やすので、元来の税調の議論とはそぐわないんじゃないかという意味では反対もございました。ただ、だんだん絞られてきた中では、やはり法人税率を下げて減税しても過剰債務の返済に回る、過去5年間で9%下げても設備投資が出てこない等々、この際、方向を転換して、重点的に研究開発とか設備投資をやった方が効果があるんじゃないかという判断に基づきましてこのペーパーがまとまったわけであります。

表書きには、計画的に企業が投資に対応するためには早くやった方がいいという意味において今日まとめたという形で、あと付言事項等々については従来の主張を変えておりません。

中は、研究開発と設備投資と2つに分けて議論がございますし、6月の段階でまとめました基本方針の内容もちょっと紹介したいなという感じでございます。

研究開発というのは、外部性があるという意味において、制度的に減税で支援する、そういう性格になじむものであるというのが基本的認識でありまして、新たに研究開発税制といったようなことを設けたいと思っています。基本的には、アメリカがやっております方法が念頭にあって、増額ではなくて、総額方式で税額控除をやっていこうということであります。と同時にアメリカは研究開発支出のウエートが高い企業にとってはインセンティブとなる割増の税額控除率を使いますので、そんな点も考えているということであります。

3ページ目に具体的な内容から[1]から[4]まで分かれておりますのでご覧いただきたいと思いますが、幾つかポイントがあろうかと思いますが、今申し上げた売上高に占める研究開発支出が多い分には、税額控除率を高くする、数%上乗せするか、アメリカは3段階のようでございますが、それをどうするかはこれから決定します。

それから、研究開発というのはあらゆる分野で行われますから、特に分野は限定いたしません。海外への委託研究等々で海外へ研究開発支出という形で流れるものについても対象にしようと考えておりますし、産学官の連携あるいは経営基盤の弱い中小(企業)というものが研究開発に乗り出すときには、やはりインセンティブを与えるような配慮があっていいだろうということです。

基本的には、期間的な部分においてはパーマネントの措置にしたいと思っていますが、上乗せ部分で政策効果を高めるといったような観点から、何か追加的なものをやるときには、一定の期限、時限でやりたいと。これはまだ具体的な設計はいたしておりませんが、そういうことを考えています。いずれにしても基幹部分は、研究開発という非常に重要なポイント、時間もかかりますから、パーマネントにやる予定であります。

設備投資税制は、ここにも書いてございますが、一般的な投資促進税制、これは税率で考えているわけですが、この限界があったので方向を転換したというふうにお取りください。

2つありまして、IT投資減税という形で、これは短期の有効利用をつける意味において、かなり効果があると考えております。そこで、これはある意味では期限を区切って、重点的な政策投資、税制という形で使いたいと思っていますが、私個人的には、期限が来た後、再度再考して、もう1回というか、そういうことは十分あり得ると思っています。この場合はITでございまして、対象・利用者は限定しないと。それから、税額控除か特別償却かこれは選択でいいじゃないかと。特別償却をあえて入れたのは、赤字法人にも使ってもらえるという配慮があります。これはある意味では欠損繰越の制度を使えば、赤字でもプラスになるわけでありますから、そういう視点で法人税率の引き下げよりはいいというふうに考えております。

研究開発は、当然のことながら機械設備も入るわけでありまして、この場合には4ページにも書いてございますが、特別償却という制度等々を絡ませて支援体制を組みたいというふうに考えております。

当然のこと、政策減税でありますから、租税特別措置という形で新しく入り込むことになりますので、既存の租特、これは幾つもあるんですよね、税額控除、あるいは特別償却がありますので、その統廃合は本格的に考えたいと考えています。これについては、事務局にも強くハッパをかけているというわけです。

これが第1のテーマで、あと残った個別のテーマにつきましては、消費税外形課税、そして固定資産税、この3つにつきまして、残った時間で議論いたしました。大分煮詰まってきておりまして、2回目になったものもありますので、どちらかといいますと、資料請求にあったものに答えるという形で全般的な議論というよりは部分的に、まだ疑問が残っているところについて議論するという形で議論いたしました。

「基礎小21-1」という消費税関係で目新しい資料、あるいはそれを用いて政策的にどうするかという点につきましては、幾つかあるんですが、例えばこの間出しました資料で、2ページ目に例の本則適用者の仕入率とみなし仕入率、簡易課税を使う人のグラフが、言うなれば5種類の簡易課税の利用者が出ておりますが、この内訳を、つまりみなし仕入率以上でどのぐらい使っているか、つまり5%を境にして、5%以上、5%未満、みなし仕入率未満の簡易課税業者がどのぐらいの仕入率かという実態を計算いたしまして、これが6ページあたりに出ておりますので、後でご覧いただけたらと思います。

政策の議論に結びつく議論としましては、過去の簡易課税制度の適用割合が落っこちているという資料、8ページが申告者ベース、9ページが課税標準ベースで出ておりますが、平成5年度から4カ年とってきますと、どの業種につきましても確実に落ちております。これは、簡易課税制度がなじんできて、必ずしもこれによらないで、自前の言うなれば計算をして、本則で払うと。それは仕入率のスタンダードなものに絡んでくるかと思いますが、そういう現象がありまして、これを受けて簡易課税制度というものを、議論としては、そろそろ全部なくしてもいいじゃないかという議論もございましたし、一挙に来年度からというふうに全廃は難しかろうから、少し経過措置があってもいいじゃないかという議論がありますが、こういうふうになびいてきたということを言うならば、今日の税調でもございましたけれども、これをなくす方向の議論が今後強いと思います。来年度一挙にいくか、少しかけてやるかという点は幾つか議論があろうかと思います。消費税はそういうことであります。

外形は、今日、総務省の方からお出しいただいたのは、外形につきましては、日商以下、中小企業団体の方から幾つか論点が出ておりまして、俗に言われます黒字法人でも70何%、丸めて8割が増税になるということに対してどういうふうな議論をするかということをこの間もご説明しました。再度、総務省の方で幾つか精査いたしまして、といって、すぐさま折り合いのつくような数字が出ているわけではございませんが、1つの例としては「基礎小21-2」9ページに、赤字法人の平均税額負担が 161万円という結果が中小企業関係の4団体から出ておりますけれども、言うなれば、これは1万数千ある個別の企業に計算させたわけでございますが、そのアンケート結果の分布がここに書いてございますように、法人数の割合がかなり高い方に行っていて、法人数の割合で小さい方の割合が少ないということになっています。したがって、とかくバイアスとしては黒字法人の方でも、こっちはサンプル数が多いのですから、負担が多くなるような仕組みになると。

そこで、現実の欠損法人の分布から見ると、ここに書いてあるように、黒字法人になる大きな方の企業の実際の分布は違うだろうという形で、分布を変えれば53万円になるということで、161万円がやや過大に出ているんじゃないかというふうな資料の、新しい関係がございました。

新しい点の資料が幾つか出た上で、議論は何といっても、今極めて政治的にもいろいろ問題があるところでありますが、やはり税調というのは長期的な面から制度設計をしているところでありますから、確かに景気の面を考慮して来年度云々の議論はあり得ましょう。それから、黒字幅が、黒字法人でも増税になるとか、赤字法人がどのぐらいになるとか、いろいろな議論があるのは事実でありますが、そういう議論はさておき、やっぱりなぜ必要かとそれから将来、黒字になったとき、景気がよくなったときにどういう、外形を含めた法人事業税の納付の仕方がいいか、そういう議論をしなきゃいけないんじゃないかという形で大分議論を交わしましたけれども、そんな結論になったと思います。

固定資産税は、来年度、評価替えがあるということを受けて、より慎重にという形で、「基礎小21-3」に書いてございますが、土地の問題、家屋の問題、償却の問題につきまして議論をもう一度整理していただきました。最近の傾向は、土地値下がりを踏まえまして、実は家屋の方からの固定資産税収が多いんですよね。これは1ページ目に書いてありますが、最近顕著、初めてでしょうね。そういうことも踏まえまして、家屋の評価のあり方について再建築評価法でいいかどうかというふうな議論もございました。

この資料で、来年度、評価替えについて新しく出るというのは、既に制度的にはできているんですが、本格的に実施をという意味で、最後のページにございます納税者に対する開示、固定資産評価額を柔軟に開示する制度を15年度から実施したいという問題提起があり、それについては高く評価する委員があったということだけ申しつけておきます。つまり、自分のところの評価だけわかってもしようがないので、隣近所、あるいはその地区一帯の、俗に言われます第三者の評価額について情報を得るということは、ある意味では売買をするときに非常に参考になる、あるいは税負担感を判断するときに参考になるという意味において、意味があることではないかと。そういう意味で、来年度の評価替えにつきましては、従来どおり基本的にやっていくと。ただ、地価の下落に対して、それをどのぐらい下げていく要因になるか、これは4ページ目に出ております、地価が下落して税負担をどうするかという理論的なバリアですね、要するに地価が下落しているのになぜ税負担が上がるかというところが固定資産税の一番評判の悪いところですが、この部分も大分減ってきたというのがこの図の言いたいことだろうと思います。

そういうわけで、最初の研究開発云々の議論、その後の3つの個別の税につきましては以上でございますが、どちらかといいますと、前段の研究開発云々の分野にいろいろご意見をいただきました。

さて、あとのスケジュールでございますが、明日総会をやります。そこで過去4回やりました基礎問題小委員会の概略をご説明し、かつ今日午後に提出するであろう研究開発・設備投資減税の内容についてご報告して、いろいろご意見をいただく予定であります。明日、2時間半ほどを考えております。

それから来週の22日火曜日は若者集会が5時からありますので、1時間繰り上げまして、1時から3時半まで、2時半を予定いたしまして、残った「相続税・贈与税」、あるいは「国際課税」、「酒税・たばこ税・エネルギー等の個別消費税」、そして「資料情報等の納税整備の環境等」、残ったものをここですべて整理して、一括審議をしたいと考えております。

そして29日火曜日に総会を予定しております。これは午後でございますがそれ以降、15年度税制改正の起草に入りたいと思っています。多分、数回でまとまるというふうに考えておりますが、まだいつ最終的な結果をまとめた来年度税制改革についてでき上がるかわかりませんが、11月中旬を考えております。

概略は以上であります。

記者

まず研究開発のところなんですが、多分具体的な控除率とか、そういう数字の決めの話は別だとは思うんですが、例えば経産省なんかの要望では、総額の10%控除みたいなものが出ていまして、大体その辺が軸になるかと思うんですが、その辺のご見解をお願いします。

石会長

経産省はITの投資額で10%税額控除、 5,000億円を持ってきている、要望ベースですね。要望ベースで言うとそういうことだろうし、研究開発もそのぐらい、まだ具体的に税額控除率等々を決めておりませんが、要望のベースで積み上げていきますと、6,000億円と 5,000億円ぐらいになって、一応超えるベースになるというぐらいのところまでは感覚として、要望ベースとして。ただ、要望ベースがそのまますぐ実現するという保証ではございませんけれども、数字の大まかなめどとして、そんなことがあるということだけ報告しておきます。

記者

今回、研究開発投資減税についてだけ、談話という格好で出されていますけれども、例えば政府・与党合意でも相続・贈与なんかも前倒しというお話がありましたし、その辺についても談話を予定されているんでしょうか。

石会長

ひとえに今日、私、諮問会議に行かなきゃいけないし、最後の段階で、要するにこれは一番重要な減税項目ですよね。減税項目で、規模等々にも絡む話でございますから、一応税調としてこれまで議論し、かつある程度合意に達したところはまとめてと思っています。そして、生前贈与も非常に重要なトピックスでありますが、あれは減税規模云々というよりは、どちらかというと制度の仕組みいかんの問題で、かつ中長期的に見て資産が世代間で動くなんていう話でございますから、今日まとめたものとはちょっとニュアンスが違うんです。そういう意味で、現在規模云々等々の議論が今非常に重要視されております。それから、中身の問題も重要視されますので、とりあえずまとめる範囲で会長談話をまとめたと。緊急にまた、相続税とかほかの項目で何かやらなければいけないことがあればやりたいと思っています。

記者

政府でやっている緊急対応戦略との絡みでいいますと、土地税制の見直しといいますか、軽減といいますか、それに期待が集まっているかと思うんですが、これについて、今日は固定(資産税)のお話が中心だったようですけれども、政府税調の方としては、ご検討の予定というのはあるんでしょうか?

石会長

あとの時間的な余裕云々でありますけれども、おっしゃるのは、恐らく登録免許税とか不動産取得税、今日も一部、不動産取得税について議論も出ましたけれども、固定(資産税)は来年度に評価替えがあるという、そういう要望があって出てきて、土地税制一般として出てきてはいないです。そういう意味で、今言った減税云々の議論となると、土地の流動的なところの税制に関連がありますから、あと2回になってしまっているのかな、できれば固めたいし、最後の段階で何らかの形で書くということになろうかと思います。

記者

会長のご見解として、デフレ対策という話の中で、土地税制が今また出てきていることについて、何か効果のある仕組み方などについてお考えはありますでしょうか。

石会長

僕は基本的に、土地税制をバブル崩壊前に戻せというのは、戻っていると思っていますから、これ以上やるんだと、またかなり踏み込んだことをやらなきゃいけないんだけれども、僕は基本的には税で動かないと思っているんですよ、土地の取引云々が活性化し、しかし、この間から言っていますように、景気対策とかデフレからの脱却というのは、ある程度心理的な要素もあるし、気合の問題もありますから、そういう意味で、増減税一体化の処理の中で、減税が研究開発、設備投資だけでは、今言った規模の問題があるかもしれませんし、もう1つ、ほかの面に対する波及効果もなかろうかという意味で、そういう意味で土地税制については、いろいろな要望も出ておりますから、審議して、その方向を見定めるということは必要だと思っています。税制をやっている者というのは、比較的やれやれドンドンの方じゃないから余り効果がないだろうと大体思っていますけれども、周りの状況からそういうことに対して要望が強ければ、それは議論をする価値もあろうかと思っています。

記者

細かいことで恐縮ですが、研究開発減税のことでお伺いしますけれども、対象範囲はいろいろあると思うんですよね。人件費とか機械設備とかいろいろあると思うんですけれども、今の増加試験研究税制の対象範囲とは何か変わってくることはあるんでしょうか。

石会長

いや、基本的に私の頭の中では、試験研究費イコールこの場合の研究開発ただ、設備投資減税にまた研究開発用の設備等々の特償を考えていますから基本的には今の試験研究費でやっております範囲、内容、人件費もあるだろうし、ソフト開発もあるだろうし、研究支援もあるだろうし、どちらかというとそういうイメージで考えています。

記者

確認ですけれども、研究開発用の償却資産がありますよね。ここのペーパーだと、設備投資税制のところの中で「研究開発を設備投資の面からも支援する」と書いてありますけれども、今までの制度だと、償却資産についても増加試験研究ベースの中でやっていたと思うんですけれども、今回の新しい制度の中でどういう扱いになるんですか。

石会長

試験研究費の中身、私も頭の中に二通り、ハードとソフト面の分かれがありますけれども、今回、研究開発という面においては、どちらかというとソフト面の、いろいろな人件費も含め、ソフト開発も含め、それから今、佐藤さんが言われたように償却資産云々については、試験研究費に入っていたけれども、今度は設備投資減税でやるというような理解ですよね。何か補足があれば、特償も入ると。特償の対象にもするということを新しく入れたわけです。だから、ある意味では試験研究費が二分化されて、このスキームでは2つに分かれてきて、従来より対象は恐らく限定もしないし、従来も対象は限定されていないんだよな、試験研究費は。

事務局

そうです。

石会長

それを分けて、研究開発減税はつくられるんだということですね。

記者

そうしますと、設備投資税制の方だとデフレを克服するということもあって、国内投資を促進するためということで、国内投資に限定するということになるかと思います。

石会長

なります。

記者

一方で、研究開発減税の方では、あまり国内・海外問わずという理解でよろしいんですか。

石会長

よろしいです。今日、かなり議論が出ました。そこで、例えばある企業がどこか外国の某大学に委託研究を出すというのも結構だろうし、研究開発というイメージは自然科学系ですが、ファンドを提供したり、研究所をつくったりしますね、そういうのも入るだろうという話もあり、まだ細かい点は決めておりませんからわかりませんが、そういう海外で使うものまで当然含めます。

それから、今日1つ出た議論としては、法人税引き下げというのは極めてシンプルでわかりやすいけれども、研究開発投資というのはなかなか、どこまでやっていいかわからない点があるから、具体的にこれがいい、あれが悪いというのがわかるようなガイドラインみたいなものが必要じゃないかという議論もありまして、今申し上げた、例えば外国に文系の方で研究所をつくってどうかねと。これは研究開発かねという話も、ただのビジネスモールということもあるからね。それはあるので、その辺を少し、最後の段階ではかなり、区分するときはいろいろ問題も出てくると思いますから、なるべく広く利用してもらいたいと考えています。

記者

そうしますと、研究開発の償却資産については、設備投資税制の中に入りましたと。となりますと、研究開発の償却資産については、国内に限定して適用するというふうな理解でよろしいんでしょうか。

石会長

そうなるでしょうね。ただ、外国に建物とか研究所とかハードの面を出すと、減価償却が起きますよね。それはある意味で償却の対象ですから、外国であっても使ってもいいんじゃないでしょうかね。

記者

研究開発投資減税をやる際に、租特を思い切って見直すのが前提だと。会長のお考えでは、これもまた年末等々の関係があるんでしょうけれども、どこをなくしたいと思っていらっしゃるんでしょうか。

石会長

これは今、事務局に調査というか、検討をお願いしているわけですが、ご存じのように、今、76項目あるんだよね。その中にも既に税額控除というくくり、特別償却というくくり、各々かなりの項目があります。そこで当然のこと、この研究開発税制なり、設備投資でやるとオーバーラップしてくる面もあって、それは恐らく両方、ダブルで使わせないようにするんでしょうけれども、私のイメージはダブルで使わせないとするなら、古い方を廃止した方がいいと思います。ただ、それについていろいろ、一個一個について既得権益を主張する業界もいるし、いろいろな人もいるから難しいとは言っていますが、我々、政策減税の方だけどんどん広げていいと思っていませんから古い方はそれなりに、スクラップ・アンド・ビルドで切ってもらおうと思いますので、量の問題でいくか、項目の問題でいくかわからないけれども、76項目の中でかなりのものは、僕は切ってもらいたいと思っていますが、これは今ハッパをかけているところです。具体的には、暮れまでのいろいろな折衝過程で決まるのかもしれませんけれども、それにしても、同じような項目がずらずら並んでいて、新しく屋上屋的に乗っけるのはいかがなものかと思っていますので、これは今後、かなりウォッチをしたいと思っています。

記者

投資減税なんですけれども、ITというくくりを立てることによって、ITに絡まないところの投資というのは、カバーはできない、ないしは研究開発に絡まないところはカバーできないということになるわけですよね。

石会長

はい。4ページの(2)に書いてあるのは、どちらかと言いますと、研究開発という対象にくくる中での機械とか設備の特徴ですから、ここに絡むであろう重点4分野、バイオ、IT、だから今おっしゃっているのはバイオ、環境、ナノテクという重点4分野の残る3つ、これが今言った研究開発用の機械設備投資に入る項目がITの分野と少し差が出てくるんじゃないかということでしょう。

記者

そういうふうなときと、もう1つはITじゃないところ、IT投資の恩恵を受けにくい業種というのが幾つかあるかと思うんですが……。

石会長

あるんだけれども、ロットがないんですね。ナノテクとかバイオというのは、ITほど、恐らく設備投資という形で支援を送るほど大きな規模はないんですよね。その問題もあって、今回ITだけ特にピックアップしたという事情がございます。これはやっていって、僕は環境なんて結構あるんじゃないかと思っているんですけれども、そういうところで別途、重点4項目の中で、IT投資減税的なものがあるのではあれば検討する必要はあるかもしれませんが、第一次の案としてはこういう形でまとめてみました。

記者

そうすると、幅広い設備投資のITに絡まない、割と単純な機械だとか何とかというところの投資減税については、既存の租特は残すということなんですか。

石会長

ええ。したがって、この設備投資に関しては、範囲はかなり重点的にやろうというアイデアなんですよ。つまり、一般的に設備投資といっても、税率を減税してやったり等々しても、どうしても借金返しているじゃないかというおそれもあって、国家として戦略的に使うところに重点的にやりたいということが設備投資減税のアイデアですから、当然そこで絞り込むと。ただ、研究開発については、より高い、より広い範囲で自由にやってもらうと、こういう2つに分けているというふうにご理解ください。

(以上)