基礎問題小委員会(第19回)後の石会長記者会見の模様
日時:平成14年10月1日(火)16:06 ~16:37
〇石会長
今日は19回目の基礎問題小委員会、3つテーマを取り上げました。
1つは消費税関係、2つ目が外形標準課税、3つ目が土地税制、平成15年度税制改正に向けて個別にテーマを絞っていこうという形で議論を始めたわけであります。
そこで、最初に基礎小19-1という消費税関係の説明資料がございますが、消費税、これは随分議論しましたから、新しい資料を出すことはだんだん難しくなってきましたが、ご説明したい資料が2つ、3つございますから、8ページ目、これは所得税・法人税における申告義務等の扱い方でございまして、ご覧いただくとわかりますように、個人事業者と法人では大分申告の手間ひまが変わっておりまして、将来的には、免税点を見直して 3,000万円を1,000万円とか 1,500万円にするとき、恐らく個人事業者が対象になる。法人はこれだけ申告義務等の手続が整っておりますのでいいんじゃないかという議論もある。そういう意味で、この申告義務の方は整理してもらいました。
それから10ページ、これは従来、免税点の比較で、イギリス、ドイツ、フランス等と大きいところだけ議論の対象にいたしましたが、EU加盟国のフィンランド以下、デンマーク等と比べてみますと、圧倒的に免税点というのは低いですね。日本の 3,000万円が非常に高いということがわかる。言うなれば、日本に次いで高いのがイギリスでありますが、それとて 1,000万円ちょぼちょぼのところであって、他は大体30万円だ、120万円等々ありまして、この辺は少し参考になったかなと思っています。
これが免税点の話でありまして、今日、大分議論をいたしましたのが14ページ、これは例の簡易課税制度の議論でございまして、課税仕入率のみなし仕入率が実際にどのような形で実際の仕入率と乖離があるかという表でございます。これは1種から5種まで、つまり卸売業からサービス業等を並べて、それぞれの業種に3つ棒がございますが、一番左端が簡易課税制度を使わないで本則を使っている人、真ん中の90、80、70、60、50となっているのが今あるみなしの法律で決められました仕入率、右の方は簡易を使っておる方の実際の仕入率と、こういうことです。これは全部、比較上、売り上げ2億円以下の業者を取り上げて議論したということであります。
後でやり方等々は前のページに出ておりますから、ご覧いただきたいですが、見るのは、例えば第2種であると、80%が実際の法律で決められて、使っていいよと言いますが、実際に85.6%あるという人は本則を使ってしまっていますから、当然のことながら、この80%というのは使わないですよね。ところが、75.4%で済んでいる人は、これは当然のこと、80%を使えば、俗に言われる益税はここから出ると、こういうことですね。この点、一番顕著なのが第5種のサービス業等であるということ、これを少しご覧いただければ、いろいろな形がわかるだろうということであります。
消費税に関しましては、これまで随分議論を重ねてきましたから、再度確認という議論でございますが、やはり不透明感を廃するためには、この免税点、あるいは簡易課税制度、これは原則なくしていいじゃないかと。
ただし、先ほど申し上げた 1,000万円未満辺りの個人あたりは残すといったような議論がやはり出てきたということであります。
1つ、技術的な議論としましては、仮に簡易課税制度を全廃して、免税点を1,000万円以下にしたときに、免税点で 3,000万円から1,000万円の間の人は、簡易課税制度もないということになりますと、すべからく、現状から本則適用になり、ちゃんと申告しなければいけない。これができるかどうかというあたり、税務行政上の問題として、今日問題提起もあり、今後ちょっと詰めてもらうことにいたしました。
外形標準課税は、基礎小19-2という資料をご覧ください。これも既に出ておりますもので、新しいことはないのでありますが、13ページ、総務省案というものをご覧いただけますか。この13ページの一番下に書いてある持株会社等のところをこれから少し詰めるべく、頭出しした案が出ております。これは、先の総会で、持株会社を実際に運用しつつある金融機関の方から出たんですが、言うなれば、持株会社というのは株の持ち合いでやっているわけだから、子会社にかかり、持株会社にかかるという資本割でやられると二重課税になるんじゃないかという話がありました。そこのところに書いてございますように、持株会社は子会社の持っておる株式の割合を勘案して、その持株会社の資本を、例えば6割持っていればそれを掛けてといったら、残り4割を対象にしようとか、そういうことを今検討中であります。そういう意味で、これを今後どういう形で実現するかということ。
16ページに総務省案のイメージで、欠損法人の平均税負担と利益法人の平均税負担というものが出されました。例えば、1,000万円未満の中小企業であれば、欠損法人、すなわち赤字があれば税負担ゼロが、最大で4万8,000円になると。10億円以上だと、ゼロが1億円以上になると。利益法人の方は、いずれも30万円が20万円なり、170万円が 130万円になるといったような図が出ました。
こういう幾つかの表を受けた後で、外形につきましては、かなり議論が活発でございましたが、いよいよ外形、これから実施の方向に入っていくわけですが、やっぱり日商を中心とした経済界から、黒字企業でも8割方増税になるんじゃないのという声があると。それに対して、最後の表をいろいろ計算していただきましたが、どうも基準を議論すべき共通の場がないんじゃないかと。そういう意味で、議論を少し詰めた方がいいではないかと。つまり、総務省案というのは、平成元年から10年までの法人事業税の平均を回復すべく、新しく外形でしようという話でありますから、過去かなり高いときのものも入っていますし、そこが恐らく根っことして違う点もあるということで、経済界の議論と総務省の議論をもうちょっと詰めないと、これからミスマッチがますます大きくなるという形で、これをしっかりやってくれという要望もございましたし、私もそういう要望をいたしました。
ある意味では、将来、利益が出たときに、この外形をした方がいいんじゃないのといったインセンティブの議論というのも当然あり得るだろうということですよね。そういう点も踏まえて、少し議論したらという提案もありました。
土地税制は、基礎小19-3と基礎小19-4という資料で、地方税に関しましては固定資産税、不動産取得税等、それから国税に関しましては、登録免許税以下幾つか説明がございました。これも既に新しいような資料はないのでありますが、3年おきにやってきております固定資産税の評価替えが来年にあるということもあり、評価のやり方等につきましていろいろ疑問もありましたし、何といっても、土地税制がバブル期の以前に戻せという議論が外側から聞こえてきますが、それについては十分戻っておるということは、我々この間の基本的な方針でも書きましたし、現に数字的にもこのあいだ示したということで、再度それを確認したということですね。
資料基礎小19-4の12ページを見ていただきますとわかりますように、法人・個人ともに、バブル期以前に行ったものは戻っておるというような数字を再度確認いたしました。
あと、登録免許税等々の税率、あるいは特例、そういうものもここに入っておりますが、新しく関心をお呼びいただけるとすると、国税の方の24ページで、登録免許税に特例を創設いたしております。これは都市再生に資するために所有権の移転、あるいは地上権等の移転登記の場合に、本則の半分にしているという特例でございますが、これが今非常に活発に使われだしているという報告がございました。
本年4月1日から8月末まで61件出てきたということですが、こういう大きな話のときに、これだけすぐ出てくるのは、それなりに注目されている制度ではないかということであります。
これが資料の説明でございますが、議論としては、幾つか重要な点が出ました。固定資産税の計算で、評価で、上物、特に建物、それから償却資産等々がどうも、特に建物は再建築費というところから積み上げて、これが新築、あるいは古い方というものでどうなるかという議論をしているわけです。今、これから建てるとすると、どれだけの金がかかって、したがって価値がどれぐらいあるかという形で議論しているわけですが、例えば工場をとっても、使用価値がない。ただ単に建てておく、言うなれば不良債権化しているような、そういった工場にしても、やっぱり建築法でやらないでは、当然価値が出てきて固定資産の対象になる。けれども少しその辺も時代の変化という形で見直したらどうかという議論がありました。土地をめぐる状況が非常に変わった以上、いろいろ考えて、見直しの方向で議論してはどうか、つまりこれはある意味では土地税制見直しの方向の議論でございますが、片や消費税というものが、将来の行方がまだはっきりしていない、そういうときに、資産課税というものは重要な税であるから、したがって、固定資産税以下、しっかり資産課税ということをやるということは重要であるという認識、これもまた逆な意味でお持ちになっている人も多かったということです。
それから、これは研究者、学者に多い議論なんですが、流通税はそもそも土地も含め、ある財・サービスの流通を妨げるものであって、本来的に税として、そう良い税ではないと。そういう意味で、そろそろ流通税というものを見直してもいいんじゃないかという議論は、これは今回に限らず、前から出ている議論でありまして、再度そういう点を主張される議論もあったし、特別土地保有税というのは未利用地に基本的にかかりますが、土地バブルがあったころの未利用地と今の未利用地では意味が違うんじゃないかと、そういう意味で少しというか、大いに視点を変えて、そういう議論をすべきではないかと。土地税制全体に関しましては、少し見直しの方向で、旧来の方向ではない要素も入れて、いろいろ議論する余地があるのではないかと、こういう議論でありました。
そういうわけで、前回以来、基礎問題小委員会では、この間、土地、所得税、法人税をはじめまして、今度は今言った消費税はじめ、外形を議論してきましたので、次回以降、残っている問題としては、相続贈与の、生前贈与を含めて、相続・贈与税のもうちょっとしっかりした基本的スキームを固める。それから、研究開発、設備投資税制を法人税の中でもう少し固める。それから、金融・証券税制が残っている。3つの柱が残っておりますので、次回、10月11日、来週の金曜日になりますが、2時間半ほどとりまして、議論をやっていきたいと思います。
3回ほど基礎問題小委員会をやりましたので、10月18日に総会を開きまして、この3回分の小委員会の報告をまとめて、総会で審議に付したいと思っています。
それ以降の基礎問題小委員会と総会の関係でございますが、現在の時点では、総会のある日にダブルヘッダーでやるか、あるいは組み合わせてやるかわかりませんが、とりあえず基礎問題小委員会をやって、かつ22日にも再度基礎問題小委員会をやりつつ、最後、固めていきたいと思います。
いずれにいたしましても、今月中にある骨子、骨格が出てきて、それをまとめつつ、10月中ごろの、言うなれば今年度税制改革のまとめになるような論点を整理したいと、このように考えております。
以上です。
〇記者
ちょうど今、先生おっしゃったところなんですけれども、10月中ごろとおっしゃいましたけれども、11月中ごろという意味ですよね。
〇石会長
ごめんなさい、11月中ごろです。10月中に議論をまとめますが、ただ、先ほど申し上げたように、18日に総会をやりますから、そこで3回の基礎問題小委員会から浮かび上がってくる重要な論点で、総会でご承認いただいて、少し早目に税調の基本的な視点を出すということがあれば、何かまとめた形で会長談話を出すこともあるかもしれませんが、いずれにしても、最終的には11月中ごろという目処で考えています。
〇記者
外形のところなんですけれども、今ご紹介いただいた平均的な法人の事業税負担のイメージで、これは前にも出ている資料でしたっけ。それとも今回初めてなんでしたっけ。
〇石会長
増減税のでしょう。最後の表ですね、16ページでしょう。
〇事務局
1度出したものでございます。
〇石会長
これまでここで説明しなかったな。今回新しく見てください。
〇記者
土地税制の見直しの方向でという議論もあったということなんですが、これはデフレ対応としての見直しという観点なんでしょうか。
〇石会長
つまり、土地取引の活性化というふうな視点、そのような議論というよりは、それに対してどのぐらい過去のいろいろやったことの効果があるかないかを検証していくなんていう議論もありました。今、例えば与党税調等々で出ているのは、どちらかというとバブル経済にまだ乗っかっている税の重さが今、土地取引を阻害しているという議論もございますよね。だから、仮に登録免許税等々の議論になる、あるいは不動産取得税で議論になるといういことは、話としては両方出てくるでしょうね。両方という意味は、1つは流通税というものがどうかというそもそも論の税制改革論議が片方に、前からあるんですね。仮に、それをベースにして議論して、少し軽減なんてことになれば、それは結果としては、効果があるかないかわからないけれども、土地の取引の活性化につながるだろうという議論とは結びつきますよね。その辺の効果については、余り期待している人は多くないのかもしれないけれども、従来の税制改革の議論とは結んできますよね。そういう意味です。
〇記者
今月中に骨子、骨格というのを出したいということなんですが、この税制改革の骨子、骨格、これはどんなイメージですか。
〇石会長
イメージは、ある意味で総論的なものは6月の基本方針で出ておりますから、どういう方向で何を考えているかということは、もうご理解いただけているし、対話集会でもそれを持って、大分対応を重ねてきたつもりでありますので、あの基本的な方向というのは、それほど手を入れる必要はない。ただ、小泉5項目が出されて、その後、先行減税をどうする等々の議論があって、また新しい局面を迎えているんですね。と同時に、平成15年度の税制改正という話もこれあり、短期的な問題を基本的な中長期の視点からまとめた基本方針の中から、そう矛盾なく整理するというふうな議論がイメージとして出てくると思います、11月の段階で。それは結果として、今議論になっております短期的なデフレ対応と絡めて、先行減税の中身、それからその後の減税財源の処理なんていう話が少し制度設計としては出てくる可能性はありますね。
〇記者
1つは消費税の方なんですけれども、免税点の見直しについては、基礎問題小委員会としては、いわゆる法人はもう全部課税で、1,000万円なり1,500万円の数字は別にして、免税点を設けるのは個人事業主と、そういう仕切りになったということですか。
〇石会長
大分その意見が強くなってきましたので、それが有力な意見でしょうね、仕切りとしては。
〇記者
外形ですけれども、総務省側から持株会社の見直し検討というものが出ましたけれども、議論の中では、実際の導入に向けて、ほかに、先ほどおっしゃっていました過去の税収平均を税収中立をもとにするとありますが、どういったところを、検討の余地があるというか、そういう話だったと思うんですけれども、何が余地だったんでしょうか。
〇石会長
基本的に経済界、特に日商だと思いましたけれども、黒字企業の8割が、やっぱり負担が高まるんじゃないかという議論と、片や我々が広く薄く赤字法人にも負担してもらって、言うなれば痛みを分かち合ってというふうな議論、これがどうもぴったりしっくりこないねという議論が大分出たんですよ。それについては、経済界と総務省で今いろいろやっていると思いますので、さらに一段とその辺の情報、あるいは共通の、共有できるような資料、データを使うとか、もうちょっとこの辺を詰めてもらいたいというのが率直な議論ですね。それにしたって、今現下の非常に赤字が多い世界での議論のみになると、将来的に何か好転して利益が出てくる企業が出てたようなときに、これは一体どういう意味を持つかなんて、そんな議論は当然ありますよね。
それから、過去10年間の税収の平均をカバーするための税収中立、こういうスキームでいいかとかの議論も当然あって、それについて幾つか注文が出たということですね。
それから、資本割のところ、これはまだ具体的な提案がなくて、二重課税を排除したいというアイデアが今日出ただけでありますので、もっと具体的に仕組まれたときに、もっと議論ができるかなと思っています。
いずれにしても、今日だけで議論が終わっていない、固定資産税の事後の評価を含めて、今出た評価を含めて、残ったものは最後の方でもう1回、再度整理したいと思っています。
〇記者
土地税制の見直しというのは、先ほど先生がおっしゃるには、議論としてはデフレ対応ということにも結びつくけれども、土地取引の活発化ということには、それは疑問を持っている人も多いですけれども、ということは、この土地税制の見直しというのは、何を目的にしてやろうということに税調ではなっているんでしょうか。
〇石会長
まだ決めておりませんが、先行減税という議論が大分騒がせていますね。先行減税の種というのは、今のところ法人税だけ考えているわけね。法人税だけというのは、自ずとロットに、規模に限界がありますね。仮に、今不良債権処理というのが本格化して、僕は当然そっちは行くべきだと思うけれども、デフレが深刻化すれば、他の手段でそれをカバーするという議論が当然出てきますね。それは財政なんでしょう。あるいは、他の金融なのかもしれない。そのときに、恐らく先行減税の規模が大きくなる、小さくなる議論はこれから出てきますよね。そのときに、今のデフレの1つの原因が土地取引の不活発等々があれば、そこで土地税制の議論も当然出てくると思いますから。と同時に、従来型の右肩上がりの世界でつくられた土地税制というものをもう1回、固定資産税等々含めて、もうちょっと見直すべき時期ではないかという意識はみんな持っているんですよ。だから、期せずして土地税制の理論的、あるいは実際的な見直しと今回の先行減税の対応あたりの絡んだ議論ができるんじゃないかという二面の問題があるということでしょうね。
〇記者
その先行減税の中身の問題で、今言われたように、法人向けの減税玉というのが結構検討されていると。片や、大臣が言われているように、個人の所得控除の見直しなんかをした場合に、個人向けに対する配慮はあるのかどうかという議論があるかどうか。
それから、その減税の規模、相当大きく積むために、例えば今でもかなり大きな額の住宅ローンの減税があるんですけれども、ああいったものまで議論の対象になるのではないかという観測もございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇石会長
住宅ローンは、多分、税調では考えないと思います。あれだけあって、900何十万円の人まで所得税を払わないという世界がいいかどうかという議論が大きいですからね。したがって、その議論であえてつけ加えるならば、法人税の世界で税率でやるか、研究開発投資でやるかは、僕は大して重要な問題ではないと思っているんですよ。何かマスコミの方はどっちがどっちなんて軍配をあげたがっているけれども、それより先行減税と言った手前は、当然のこと、先行した後に財源をどうするかという議論の方が僕は重要だと思っていますね。そういう意味で、先行と後から来る減税財源の補填が一体化したというところが僕はこれから詰めていく大きな問題だと思います。そこで小泉さんが何回も言っているように、多年度で一体化してやろうというときに、やっぱりちゃんとした制度的裏付けで税収が確保できないと、一体化の法案なんてできないでしょう。そういう意味で、自然増収とか歳出カットというのは、これは諮問会議で大分言っていますけれども、この辺あたりがこれから恐らく税調との違いであり、かつもう1つあえて言うと、2010年のプライマリーバランスの均衡化というふうな話が当然諮問会議の方の大きな考え方にもなるわけです。それを考えたら、プライマリーバランスの均衡化を考えるなら、当然、今の段階でもはっきりした後々の見通しを立てて、その中で先行減税とその組み合わせを考えるべきでしょうね。そういう意味で、そこはしっかりフレームをつくってもらいたいということは、この間、諮問会議でも申し上げたし、その辺、及び腰にならないで、かえって後をぐじゅぐじゅっとしておくよりは、プライマリーバランスの均衡を目指し、財政赤字に対してちゃんとした、言うなれば税の方で手当をするといった方が国民の方も納得がいくじゃないかという議論が多分税調ではかなり強い議論になると思います。これは対話集会を通じても、単なる赤字による減税というのは、国民の方でも大して期待していないという面もありますから、そういう議論が今後展開されてくると思います。
〇記者
土地税制なんですが、現時点で考えられ得ることとして、15年度の改正でどんなものを税目として、結果としてデフレ対応策になるのかもしれないという前提のもとで、どんなものを触るイメージがあるんでしょうか。
〇石会長
今日の資料にもちらちら出ていると思いますが、国税で言えば、ここに出ております登録免許税とか、土地税制の本体に乗っかっております譲渡益課税等については、もう十分に我々手当はしていると思っていますから、流通課税関係で何か出ないかということになると、登録免許税のところですかね。これもどのような処理をするかということで、ちょっと悩ましい問題ですけれども。
それから、地方で言えば、固定資産税が何と言っても評価替の時期だし、そのほか、不動産取得税、今日もテーマに出ましたけれども、やっぱり流通課税関係のところ、そのあたりがちらちら話題になっておりますから、何か自治体の税制改革にはめ込むときには、その辺の議論が大きく問題になってくると思います。
我々の印象では、基礎小19-4に国際比較が出ていますように、不動産税そのものでそれほど日本が高いとも思っていないんですよ。それから流通課税でも、それほどほかの国に比べてダントツに高いとは思っていませんけれども、今言ったような過去の経緯と状況が違った中で、また違った視点もあろうかという形で、一応整理してみたいと思っています。
〇記者
可能性としては、不動産取得税なり、登録免許税なりを引下げということがあり得るということですか。
〇石会長
今の段階で私としては言えませんが、例の先行減税のパッケージみたいなことと、恐らくまたそうなるとタバコをどうするとか、その組み合わせ、それから逆に言って、仮に先行減税が成り立つ背景として、将来的に財政赤字がこれだけ大きくできなくなれば、どうやって減税財源を確保するという視点から、何が引上げ可能かという議論をすると、逆算してある意味では先行減税の規模が決まってくるかもしれない。そういう組み合わせから言うと、今言った土地流通税の関係とか、財源確保の何か新しい手段がタバコを含めいろいろ出てくるか、それがこれから恐らく政治的にもかなり接点が出てくるんじゃないですかね。
我々としても、その辺の組み合わせで、僕は税調が減税規模を幾ら、例えば1兆円だ、1兆5,000億円にしろなんて決める必要はないし、決めても意味ないと思っていますけれども、そういった組み合わせいかんによって規模がどうなるなんていうことのシミュレーションはあり得ると思います。少し勉強したいと思います。
(以上)