第4回基礎問題小委員会 議事録

平成13年11月16日開催

委員

ただいまから、第4回基礎問題小委員会を開催します。

きょうは非常にいろいろなテーマが、各種ばらばらといっては失礼ですが、おもしろいのが4つほどございますし、最後は委員の「カジノ・ゲーミング法と税」でありますから、期待しましょう。

それでは、最初に報告事項という形で、今、経済財政諮問会議におきまして来年度予算編成方針及び中期財政計画の議論等々ございましたので、まず事務局のほうからご説明いただきましょう。よろしくお願いします。

事務局

それでは、報告させていただきます。

今お話しございましたように、財政をめぐって、今、経済財政諮問会議のほうで2つ大きな話が進行しております。進行しておりますと申し上げたのですが、これは何ぶんにも新しい話でございまして、正直申しまして、私どもも含めまして、なかなか具体的なイメージが出てこないということで、いろいろ四苦八苦されているようでございます。2つと申しましたのは14年度の予算編成の「基本方針」、それから「中期経済財政計画」ということで、新しい予算編成のシステムということで、これに基づきまして14年度の予算編成が行われるというものでございます。

「第25回経済財政諮問会議資料」という一枚紙を配らせていただいておりますが、これが会議で配られました資料で、(注2)というのが真ん中のところにございます。ここに日程が書いてございますが、「分野別検討」ということで、それぞれ医療、社会資本、地方財政につきまして、10月9日から11月2日まで検討が行われておりまして、この11月2日の際に「中期経済財政計画」の論点というざっくりしたメモも出ております。

実はここに書いてございませんが、非公開といいますか、親密な形で集中審議ということで、現下の経済情勢の分析・対応ということに対応するセッションも開かれておりまして、これが11月9日に、制度・規制改革と経済の活性化、これは特殊法人の話も含めまして行われております。それから、この後、不良債権処理とデフレ対策、それから雇用産業空洞化の問題というのが話し合われる予定でございます。ここの11月中下旬のところに、「分野別検討(社会保障制度)」とあわせまして、「『基本方針』素案の提示・検討」というのと、「『中期経済財政計画』概要の検討」というのがございまして、11月の末が目途ということでございますが、予算編成の「基本方針」、それから「中期経済財政計画」の概要というものが取りまとめられる予定だと伺っております。

「中期経済財政計画」につきましては、予算の計数等が固まったところでさらにきちんとしたものにしまして、最終的、ファイナライズされたものはおそらく1月になろうかと思いますが、ここで最終的決定を見るのではないかということでございます。私どもの税制の関係がどのように取り扱われるかというのはいまだはっきりしないところがあるわけでございますが、おそらく「改革工程表」の中に入っておりますようなことが場合によっては入るのかなと考えております。

以上でございます。

委員

まだ何もわかってないということですな、一言でいえば。きょうはちょっとメニューを小出しにされたというわけで、本当の内容に入るのはまだ先でしょうから、そのときまた情報をいただきまして議論いたしましょう。きょうはいろいろございますので、先へいかせていただきます。

では、きょうの最初のメインテーマは、バブル期以降の税制の流れ、一種のおさらいでございますが、今後の税制議論の一番の基礎になりますので、資料を幾つかそろえてもらっておりますので、ここからきょうは議論を始めたいと思います。

では、事務局、よろしくお願いいたします。

事務局

それでは、私のほうから、基礎小4-1「説明資料」と書いておりますものに基づきましてご説明させていただきます。

大変申しわけないのですが、この場は長い方が多いので、私のような者がこういうことをご説明するのはやや気が引けるのでございますけれども、比較的新しい方もおいでということで、これから、年度改正、あるいは年明けてから中期答申等に向けまして精力的なご検討をいただく前に、その流れをできれば頭の片隅に置いていただきたいということでご説明させていただきます。

めくっていただきまして、「目次」を抜かして、まず1ページ目でございますが、この間、平成に入りましてからの、税制をめぐる動きの背景となります経済状況でございます。そこに折れ線で名目・実質のGDP、それから消費者物価指数のそれぞれ伸び率が書いてあるわけでございます。真ん中あたりから平成に入ったわけでございますが、申すまでもございませんが、この間の特色といたしまして、平成はある意味ではバブルとともに明けて、そのバブル崩壊とともに歩んできているということで、総じて見ればバブル崩壊後の低迷が続いているということでございまして、これが1つ、税制の流れに大きく影響を与えているということ。

2点目といたしまして、こういう状況を背景にして、「失われた10年」という言葉があるわけでございますが、実はつぶさに見ますと、バブル崩壊後ずうっと景気停滞が続いていたわけではございませんで、例えばこの8年を見ていただきますと、実質の成長率は3.4%ということで、当時のアメリカとほぼ肩を並べて、G5諸国で見ても高いほうに属しているというようなことがございまして、それぞれ循環しているわけでございます。

ただ、ここから9年に向けまして、これは後で出てまいりますが、特別減税の終了、消費税の増税、それと社会保険負担の増等があったわけでございますが、これを背景といたしまして成長率が落ちたということで、随分、これもその後の税制の流れに影響を与えているわけでございます。

ただ、ここにつきましては、当時そういうことが言われたわけでございますが、振り返ってみますと、むしろ、この上にございます金融不安、あるいはこれと軌を一にして出てまいりましたアジアの経済危機、こういったことの影響がどうも大きかったのではないかというようなことが、振り返って昨今言われているところでございます。

特色の3点目でございますが、バブルのあたりまで見ていただきますと、実は名目と実質の成長率にかなり開きが出ております。名目のほうが高いということでございますが、消費者物価指数を見ていただいても、それなりの軽いインフレと言ってもいいでしょうか、そういった状態でございましたが、バブル崩壊後は、見ていただきますとわかりますように、名目と実質がほぼ一致したような状態で低迷が続いている。むしろ足元は名目のほうが下回ってくる。これは消費者物価を見ていただきましても出てくるわけでございますけれども、ディスインフレからデフレということでございます。私ども、税の世界は実質というよりは名目値で動いておりますので、これも税収等に大きな影響を与えているということを念頭に置いていただければと思います。

次めくっていただきまして、これが一般会計の財政事情をまとめたものでございます。私どものほうでは俗称して、この図をワニの図とよく言っておるのですが、ちょうどワニがカパッと口を広げたようになっております。この上あごの部分が歳出のラインでございまして、見ていただきますとわかりますように、パッと口をあけていますのは、高齢化の進展と、それに加えまして、やはり景気低迷への対処ということで、公共投資等が中心でございますけれども、歳出を増やしてきたということで、大きくその口をあけた形になっている。

実はこの上あごのほうに隠れて目立たないわけでございますが、下あごのほうが税収でございますが、ここも一段とあごが外れたというか、ガクガクッと下がっているわけでございます。これは1つは、先ほどから申しております経済の低迷と、それに加えまして、後から出てまいります景気対応のための税制上の措置、これが大きく影響しているわけでございます。

それで、その一番下のところに、これもよくご存じかと思いますが、「歳出に占める税収の割合」というのがございます。実は平成2年、これは税収がピーク60兆あった時代でございますが、このときは86.8%ということで、ほとんどの部分を税収でカバーすることができたわけでございますが、先ほど申し上げたような歳出・歳入の乖離から、平成13年で見ていただきますと59.3と、補正後予算でございますが、6割いきかねている、6割税収といったような状態でございます。

ちなみに、補正する前までは61.4というのが税収割合でございましたので、辛うじて6割いっていたわけでございますが、補正した結果、6割割ってしまったということでございます。

それと、実はこの図でもう一つお気をつけていただきたいのは、12年、50.7兆円ということで、平成9年以来、50兆円台を回復したわけでございますけれども、この分にはフロックの部分がございます。もちろん法人税収と企業収益がよかったというのはございますが、郵便貯金の集中満期というのがございまして、この関係の利子課税で、12年度、3兆4,000ほど、13年度2兆8,000ほど上ぶれているということで、これを除いた実力は47兆ぐらいというのが正直なところでございます。

今、経済の低迷でということを申し上げたのですが、実は、例えばピークだった平成2年と12年比べてみましても、この間、名目のGDPのほうは13%ほど伸びておりますので、本来伸びなければいけないところが、やはり税制の構造のほうが変わってきたということで、景気が回復してもなかなか税収が増えてこないという構造になっていることがうかがわれるわけでございます。

次は地方の話ですので抜かしていただきまして、4ページ目、これは国税収入につきまして、主だった基幹的な税目ごとに分けたものでございます。

それから、その次5ページ目も地方の話でございますが、後でお話あるかと思います。

6ページ目でございますが、ここで、平成に入ってから、我々の税制の世界の中で特にエポックメイキングなものを挙げているわけでございます。これも、平成元年から消費税の導入ということで、一番上の欄にございます、抜本的な税制改革が行われたわけでございます。処々の社会経済の変化を踏まえまして、高齢化に対応するために新たに基幹的な税目といたしまして、消費税が導入される。同時に、そこにございますように、所得課税の世界では、税率構造の累進緩和、課税最低限の引上げ。法人課税につきましては、2度にわたります法人税率の引下げ。それから資産課税では、相続税につきまして税率構造の累進緩和、控除の引上げ、それから利子課税の見直しとございますが、これはマル優の廃止でございまして、この部分で一部老人マル優というのがいまだに残っているというのが昨今の金融税制の話で話題になっているところでございますし、その次の株式譲渡益の原則課税化のところ、これも最近の証券税制の話につながっているということはつとにご存じのところかと思います。

実はその次の欄、土地税制改革というのがございます。これは2年の10月に土地税制のあり方につきまして中期答申をいただきまして、これを受けたものでございますが、資産課税等の欄にございますように、土地譲渡益課税の適正化、それから地価税の創設、これは4年からでございますが、行われたわけでございます。

あわせまして、この左の欄でございますが、消費課税につきましては、導入から時がたったということで改善を行っております。

申しわけございませんが、土地税制のところから下のほうを見ていただきますと、資産課税のところでございますが、相続税の減税、あるいは地価税の課税停止、土地譲渡益課税の軽減といったようなことが行われておりまして、バブルへの対応からさらにバブル崩壊への対応ということで、この飛んでおります年につきましても、負担の軽減等が順次図られてきておるわけでございます。

平成6年度税制改革以降でございますが、これは1枚めくっていただきまして7ページ目のほうにもっと細かく年を追ったものがございますので、これに沿ってご説明させていただきます。

平成6年に税制改革とございますが、これが6年の税制改革ということでございます。実施は7年から順次始まったわけでございますが、そもそも厳しい景気事情ということでございまして、減税等を行わねばならないという話がありまして、平成6年に特別減税、莫大な5.5兆というものがやられたわけでございますが、これにつきまして、財政事情を考えれば何らかの措置をとらなければいけないということで、これが宿題になった形で、平成6年に中期答申もいただきまして、そこにあります制度減税と抱き合わせといいますか、消費税率の引上げと地方消費税の創設ということで、国・地方合わせまして、もともと3%のものが5%まで引き上げられることになったわけでご ざいます。

ただし、このとき、経済の状況にかんがみまして、減税のほうにつきましては翌年平成7年から施行ということでございますが、それが先行減税と言っているものでございます。それとあわせまして特別減税が2兆、特例措置として残るということでございまして、一方、消費税の負担増の措置につきましては、平成9年からということが法律上組み込まれたわけでございます。

そこにございますように、平成8年につきましても、やはり経済状況から特別減税が続いて残ってしまったということですが、平成9年に至りまして、当初の予定どおり、消費税の引上げが行われたということでございます。

その後、先ほどの経済事情のところでも少しお話しいたしましたが、平成10年でも、景気への配慮ということで、特別減税が2回、追加するような形ではございますが、合わせまして4兆円、これは国・地方合わせた数字でございますが、行われました。

それとあわせまして、法人課税の欄でございますが、法人税制改革ということで、法人税、法人事業税等の税率の引下げが行われております。これとあわせまして、「課税ベースの適正化」と書いてあるわけでございますが、ご存じのように、90年代通しまして、グローバルな傾向といたしまして法人税改革という方向がございまして、基本的に課税ベースを拡大するとともに税率を引き下げるという方向に沿った措置でございます。

この次の年、平成11年でございますが、ここに恒久的減税というのがございまして、さらに景気低迷を続けているということで、個人・法人合わせまして、国・地方通して6兆円超の減税というのがテーマになりまして、個人所得課税で国・地方合わせて4兆1,000、中身といたしましては、最高税率を引き下げるとともに定率減税を入れます。それから、ここには書いてございませんが、一部、控除につきましても特例上乗せをするということでございます。

それから法人課税、これも国・地方合わせまして2兆5,000でございますが、ここにつきましては、本来の改革の方向からいたしますと、課税ベースの見直しとあわせるということでございますが、景気の情勢にかんがみまして、財源措置のないままに減税ということでございます。

それで最も重要なことは、この減税につきましては恒久的なということでございまして、当たり前でございますけれども、特段の措置をしないということでございますので、平成12年も13年もこれが大きくかぶさっているという姿でございます。

1枚めくっていただきまして、所得税と住民税のところでございますけれども、今申し上げたのをイメージ図にしたものでございます。基本的に、6年の改革以降でございますけれども、制度減税の分がずっと残ってまして、これは基本的に社会保障の充実とあわせまして消費課税のアップのほうで賄われているということでございますが、下にございます特別減税、あるいはこれを引き継ぎました恒久的な減税というものは、財源措置のないままにずうっと続いているということでございます。

駆け足で恐縮ですが、1枚めくっていただきまして、これがそれぞれの元年の消費税導入のときの抜本改革と平成6年の改革のときのスキームでございまして、元年の改革、これは大改革でございます。61年4月に中期答申をもらいまして、スキームといたしましては、いわゆる税制中立、レベニュー・ニュートラルというようなことをちょうだいしておったわけでございます。

結果的には、若干純減という形ではございますけれども、大きな改革という中で基幹税制としての消費税が入ったということで、しかも、基本的な財源手当てはそれでできていたという中での直接税の減税であったということでございます。

平成6年につきましては、きょうお話しいたしましたように、タイミングはずれておりますが、消費税、消費課税の増によりまして、所得減税等の改革を行ったということでございます。

以下がそれぞれの各税目ごとの姿でございますが、10ページ目は所得税でございます。そこにございますように、抜本改革前、刻みが15段階もあって、最高税率70%、これは地方と合わせますと88%までいったわけでございますが、現行は4段階、37%、地方と合わせても50%というところでございますし、課税最低限につきましても、235万が、夫婦・子供2人が380万円まで上がっているという姿でございます。

次は住民税でございますので後でご説明いただくこととして、法人税の話でございますが、12ページ目。先ほどお話しいたしましたように、順次引下げを行ってくるということで、見ていただきますと、昭和60年ごろに43.3%ということで今より高い税率だったことがございます。これは、そこにございますように、いろいろ財政再建等を目指しての結果でございましたが、これを現段階では3分の2程度、30%にまで下げているということでございます。

それからその次2枚は後にしていただきまして、この結果でございますけれども、法人所得課税でございますが、法人税、法人事業税、法人住民税合わせました実効税率は、50%近かったところから、現在40%程度にまで下がっておりまして、イギリスは低いのですが、アメリカ、ドイツ、フランス等と比べても国際的に遜色ない水準まで下がっているということでございます。

ちなみに、アメリカの数字はカリフォルニアの数字をとっておりますので40%ちょっとでございますけれども、(注)2.にございますように、ニューヨークでとりますと45%超えるようなところが実効税率になっているということでございます。

それから1枚めくっていただきまして16ページ目でございますが、付加価値税、いわゆる消費税でございますが、これを国際比較したものでございます。現在、123カ国と世界の大多数の国で付加価値税を導入されているわけでございます。これはそのうちからOECDと近くのアジア諸国を持ってきたものでございますが、これを見ていただきましても、導入と、それから6年の改革・引上げということで、全部合わせまして5%というのが日本の姿でございますが、この中で見ますと、台湾、シンガポールといったところを除きますとかなり低い部類に属するということでございます。

ちなみに(備考)4.でございますけれども、EUでございますが、EU理事会の指令に基づきまして、標準税率を15%以上、かつ、上のほうも25%以下にするという努力目標が定められているところでございます。

それから17ページ目でございますが、相続税の関係でございます。バブル、58年から3年に向けまして、商業地で見ていただきまして3倍以上に地価が高騰する、それがまた逆に100を割り込むようなところまで下がってくると、ダイナミックな動きだったわけでございます。この動きの中で負担軽減を図るということでございまして、相続税につきましては、基礎控除等の拡大を行ってまいりました。

そこに書いてございませんが、配偶者と子供3人程度の家庭を想定してみますと、抜本改革前が3,600万の基礎控除だったものが、現在、平成6年度の改正以降は9,000万まで控除されるということでございますし、その下に小規模宅地の特例というのがございますが、ここでも減額割合、それから適用されます面積について順次拡大を行ってきておるところでございます。

次の固定資産税の話はまた後でございまして、19ページ目、この結果ということでございますが、よくタックスミックスということでバランスということが言われるわけでございます。その左のほう2つあたりでございますけれども、抜本改革の前はやはり直接税の比重が非常に大きかったわけでございますが、抜本改革、それから6年の税制改革を経まして、かなり消費課税のシェアが増してきまして、バランスのとれた形になってきたわけでございます。

さらに、先ほどから申し上げておりますように、所得課税等の減税がございまして、現行見ていただきますと、妙に全体としてバランスがとれたような姿になっているということでございますが、これは申すまでもございませんが、一種の縮小均衡の中でバランスとれてしまったということでございます。

ちなみに、これは先ほどから何度も申し上げておりますが、郵便貯金の数字が実はこの法人所得税のところへ13年度入っておりますので、これを除いて考えてみますと、消費課税が31.4、個人所得課税が29.0ということで、実はここは逆転しているというのが実力ベースの姿でございます。

それからその次のページは国民負担率等の数字でございますが、◆で書いてあるところが国民負担率でございます。この図で見ていただくとわかりますように、あまり大きく変動していないわけでございますが、これをポーション分けてみますと、実は社会保障負担のほうが、これは当然の話でございますが、順次上がっているのに対しまして、租税負担のほうが順次下がっているということで、打ち消し合いまして、国民負担という概念になりますと比較的安定的に推移しているということでございますが、そのしわがどこに寄っているかといいますと財政赤字のところでございまして、財政赤字を含めました潜在的な国民負担率というのはどんどん上がる傾向にあるということでございます。

それを数値で示しましたものが21ページでございます。これはご参考までにということでございます。

22ページ目は、この結果を国際的に比較してみたものでございます。そこにございますように、日本とアメリカの国民負担率というのは、若干とれる時点が違っておりますのでこうなっておりますが、36.9%と35.8%ということでほぼ同じレベルということでございますが、これは落とし穴というかあれがございまして、1つは、アメリカは財政赤字がほとんどない世界でございますが、日本の場合、いわば隠れ国民負担といいますか、その部分が8.4%、この水面下に根をおろしているということで、実態は、これを入れて考えれば45.3%の国民負担と。

委員

すみません。少し急いでいただける?

事務局

はい。申しわけございません。

それからアメリカの場合、社会保障が小さいということで、租税負担で見ますと随分差がついているということでございます。

それと、もう一つ中身で特徴的なのが、日本の場合、個人所得課税が、アメリカは直接税中心でございますけれども、ほかの国と比べても小さいということ、それからヨーロッパ諸国と比べますと消費課税も低いということが特色でございます。

それから次、23ページ、24ページ、25ページは、それぞれG5以外の国とも比べてみたものでございますので、ここは説明は割愛させていただきます。

それで26ページでございますが、これだけいろいろ減税等の措置をやってきたわけでございますが、どれだけ効いたのかということに確たる分析は難しいわけでございますが、一つの見方といたしまして、いわゆる乗数効果というのについて見てみますと、所得税減税、それから公共投資もそうでございますが、どうも高度経済成長期に比べると効きが悪くなっているということでございます。しかも、これも当たり前の話でございますが、需要を直接に刺激しないということで、公共投資に比べても減税の効果は小さいものになっているというのがうかがえるわけでございます。

あとは、これの見方についてのそれぞれの論調でございますので、これはご参考までにということで、長くなりましたが、以上でございます。

委員

ありがとうございました。では、引き続いてお願いします。

事務局

急いでやります。

3ページへ戻っていただきたいと思います。今と同じ資料、4-1の3ページでございます。地方財政全体としても、非常に税収の落ち込み、減税等で悪くなってまして、13年度ベースで、全国ベース14.2兆の財源不足。これを、そこの棒グラフにありますように、地方債の増発と交付税の増額と書いてありますが、かなりの部分を借金してございます。地財計画89兆に対して15.9%に達する規模の財源不足となっております。

次の次のページ、5ページへいっていただきますと、税収の推移、地方税ですが、下のほう、法人2税、法人住民税と事業税、この辺が平成元年の10.8から大分落ち込んでいるということになってます。個人住民税も山を超えてます。ただ、固定資産税がある程度安定的なものですので、トータルがそれほどの大減収になっているわけではない。

次の6ページですが、各課税関係ですけれども、個人所得課税は、先ほどの中で住民税も含まれております。ただ、個人所得課税の一番下、最高税率の引下げ、65から50、こういったときには住民税のほうも15から13へというような話でございます。

法人課税のところでは、下の法人事業税、ずっと12だったのですが、11%、さらに9.6%への引下げ。

それから消費課税のところでは、消費税創設の際に、地方税としては電気税、ガス税、あるいは娯楽施設利用税、こういった個別の間接税を廃止しております。そして、真ん中の平成6年のときに、消費譲与税を廃止して地方消費税1%相当を創設していただいております。

次の7ページで、一言だけ、右の資産課税ですが、固定資産の関係で平成6年のときに地価公示の7割評価というのを導入し、平成9年、3年ごとに評価がえがございますが、このときに調整措置を導入してございます。

次の8ページのところは、この額の中には地方税も入っております。制度減税で申し上げれば3.5兆のうちの1.0兆、あるいは恒久的減税4.1兆のうちの1.1兆、この辺の数値は国税の参考資料の4-2の3ページにありますので、省略いたします。

次の9ページが抜本改正、それから6年改正ですが、ここは地方税も込みになっております。この内訳は地方税の参考資料の1ページにございますが、1点だけ申し上げますと、地方税そのものと同時に、法人税、あるいは所得税の減税になりますと、それが交付税にはね返ってくる。そのあたりを頭に置いていただければと思います。

1枚飛ばしていただきまして11ページが住民税の階段ですが、下の箱の課税最低限は低いので、国よりも小さくなってございます。

1ページ飛ばして13ページが法人税割の税率で、表面税率と実効税率。

14ページが法人事業税で、上にございますように、25年以来12%のものが、平成10年、11年のときに11%、9.6%になったということです。

最後に18ページをお願いします。固定資産税のところですが、平成5年度までは、それぞれ市町村間、あるいは個々の評価、差があったわけですが、平成6年のときに、いろいろな評価ばらばらではないかということで、地価公示額の7割評価に統一する。

ただ、その際に、真ん中にありますように、急に上がっていきますので、実際の課税標準額は急に上昇させずに、そこにありますように、例えば3倍になっても15%ずつというような形で調整している。それから住宅用については4分の1から6分の1等の緩和措置がとられております。そして3年後の平成9年度のときに、この7割評価に対して、土地がもう下がり始めておりますので、この評価額と実際の課税標準の間でもうちょっと、高過ぎるところは抑えていくというふうな形の調整を行ってございます。

以下省略いたします。

委員

ありがとうございました。

それでは、3時までまだ25~26分ございますので、その時間を使いまして、今ご説明いただきました国税、地方税のバブル期以降の改革につきましてご議論賜りたいと思いますが、すでに何度も見た数字もございますし、新たにまた韓国とかバングラデシュの国際比較なんか出てきてますし、いろいろご工夫をいただいています。

そこで、今後、我々、中期答申に向けて本格的な税制改革のシナリオを描かなければいけないので、きょうここから何を学び取るべきか、どういう印象を受けられたか等々も含めてお考えをお聞かせいただけたらと思います。質問でも結構でございます。

時間もございませんから、どんどんご発言ください。

委員

基本は、国税と地方税の関係をどうするかということをきっちり議論しなければいけないと思います。法人事業税の議論、後で出てくるようですけれども、基本的に地方は法人課税にあまり依存しない方向で改革することが必要で、それから地方分権の今後の方向を考えると、国の所得税を減らして地方の住民税を増やすという方向での改革が必要と思います。

ただ、当然、その前提として地方交付税を抜本的に改革するということが不可欠で、こういう国税と地方税を今後どうしていくかという議論を地方分権の議論の中でもやるのでしょうけれども、税としても非常に重要なマターだと思います。

委員

冒頭から大きな問題が出ましたね。どうぞ。

委員

今の説明を伺っていて、結局、バブル期以降、やはり所得税の性格というのは相当あいまいになり過ぎて、一言でいって、減税やり過ぎたなという感じが非常にしているのですよね。だから、恒久的減税というのを直すかやめるか、そういうことをやはり考えないと、諸外国、今の説明にもあったとおり、欧州に比べても負担が低いし、アメリカに比べても、租税負担率というのは非常に低いのだから、所得税をいじることがまず先決問題で、それから消費税とかのバランスとか、そういうことを考えるべきではないかということです。

委員

いじるというのはもとに戻すといういじり方ですね。

委員

そういうことです。

委員

わかりました。どうぞほかに。

委員

今ちょっと言われたように、改めてこの時期の議論を顧みて、あまり言いたくないけれども、罪の意識みたいなのがあるのね。よくぞこれだけ減税したものだと思うよね(笑)。本当はそのときには当然歳出の問題について相当のメスが加わるだろうという前提で議論したのですよ。個別の所得税だとか、それの階段を随分やわらげるようにする、その他というのは非常にいいことをやったと思うのですよね。しかし、全体として見ればこういうことになっていて、しかも決定的なのは、租税の国民負担率、あるいは社会保障含めた負担率は極めて低い。先進国の中で。

その歳入ギャップ、全部赤字で後世とどめているという状態がみんな当たり前だと思っている。国民はおそらくは、今でも、税金といえば、世論調査やっても、昔は税金が必ず重いという返事が出ていたのが、最近はもうばかばかしいから新聞社も世論調査しませんよね(笑)。出てくるのは必ず重いと出てくるのですよ。どんな答えでも大体そうなるわけだ。

しかし、考えてみれば、もうそろそろ、基幹税制における減税も、それから個別の政策税制における小さな減税ももはや全く限界に来ているのではないかというのが一般的な印象ですよね。これからどういうふうに戻していくというのが問題で、それが、今、会長言われたみたいな税収の抜本構造改革ということにつながると思いますが、一番確認すべきことは、足元の国民負担率は極めて低い。しかも、そのことを国民がほとんどご存じない。歳出のギャップはこんなでかくて、まあ総理はいろいろなことを言っているけれども、それもあまりピントしない。

という基本的なことに対する認識というのがお互いに極めて希薄だと。というのが一番ベースで、そのことがしっかりと頭に入っていれば、これからの議論の仕方も当然方向性は明らかになってくるのではないかという気がしているのですが。

委員

だからこそ、今、減税要求というのはやはり出てこないのでしょうね。2~3年前ならわんわん出てきたと思いますけどね。

委員

そうですよ。もう大きなところの減税、出てきませんよ。至るところから。組合からも出てこないし、企業からも出てこないですね。当たり前の話だと思いますね。

委員

ほかにいかがでしょうか。これで終わるというわけでないでしょうから。どうぞ。

委員

同じことですけれども、所得税の中でやはり課税最低限の引下げというのは真正面から取り組むということが必要なのだろうと思いますね。これは多分、景気が悪い、景気対策だということになれば、基礎控除からやっていくと。それから、その前は与野党の対立、関係からして、やはり基礎控除を除いて上のほうを減税するとこれは問題になるということで、多分そういうことで根っこからどんどん減税していったと思うのですけどね。そこはやはり直さないと正常な姿にはならないと思います。

委員

ありがとうございます。

新しく加わった委員の方々、何かご感想はございませんか。

委員

まず、委員がおっしゃいました地方税、これも時代の流れで、地方に、しっかり責任持って、特に住民の生活に密着するものは全部やってもらうというところでこれは充実しなければいけないので、課税権、特に消費税の課税権を各地方地方に譲ってしまうということが1つ大変大切であろうと思いますね。

それから所得税については確かにもう少し多いほうが、もともとはこれは本来公平であるべき、理論的には最も公平な税ですから、議論はいいと思うのですが、その議論をしようと思うとどうしてもクロヨン問題がひっかかってくるので、徴収面でのあの不公平を残したまま所得税上げていくというのは不公平の拡大になってしまうので、その問題をしっかりやはり解決しなければいけないかなと思います。

委員

消費税とおっしゃったのは例の付加価値税、あれも消費税ですね。

委員

そうですね。

委員

ただ、これは地方に渡すというのは難しいですよ。

委員

そうですか。

個々の地域別に、区間別に分けてしまうというのはちょっと。個別の消費税ならいいですけどね。後でご説明あると思いますが。

どうぞほかに。

委員

僕は素朴な疑問なのだけれども、消費税は何で定価の中に入ってないのかというのがよくわからないのですけれども。だって、普通、○○で買えば3割引きなのだから、5%ぐらい入っていたって全然気にしないわけですよね。本来だったら。外側に出すのはどうしてそうなってしまったのかという。これから変えれば幾らでもそこは解決するような気がするのです。素朴な疑問なのですけれども、ちょっと教えてください。

委員

では、事務局からまずもってご説明いただけますか。今のところ選択になっているはずですが。

事務局

法律上、日本は価格表示の仕方について規定がございませんが、ヨーロッパではたしか消費者保護の観点から、消費者が最終的に幾ら払わなければいかんかという金額を明示することが義務づけられているのです。これは消費税というよりは消費者保護の観点から。その中で、内訳で付加価値税を明示してもいいし、しなくてもいいということになってます。

日本は導入のときいろいろ議論がありましたけれども、最初導入するときに事業者の、消費税が消費者にきちんと転嫁できるかどうかという観点の議論がございまして、内税でトータルの中だけ表示させるというようなことについては、いろいろ転嫁がきちっとできるのかどうかというような懸念から、どっちかの方法に義務づけるということにならなかったのだと承知しております。

委員

委員は個人的には5%を別掲したほうがすっきりするか、あるいは込み込みでもわからないうちに5%入っていた値段のほうがいい、どっちですか。

委員

込み込みで入っていたほうがいいと思います。

委員

タクシーみたいにですね。内税というやつですね。

委員

はい。だから、先ほどのお答えで、それは変えればいいだけのことではないかと思うのだけれども、どうなのですか。

委員

いや、変えていいのですよ。選択、自由ですよ、今業者の。だから、まさに○○はおそらく内税で、えらいディスカウントしているけれども、それはやっているのでしょう。外に出してないだけですよ。

委員

だけど、外に出しているでしょう。

委員

出しているのもあるし出してないのもある。それは自由なのですよ、今。

委員

でも、その場合には、習慣としては外側に出てますよね。普通はみんな。どこ行っても、お金、外で。

委員

いや、とるところもあるしとってないところも、込み込みのところもあるでしょう。

委員

八百屋さんとかお豆腐屋さんは内側になっているけれども、普通の大きなところはみんな外ですよ、たしか。そういうところをきちんと僕はやったほうがいいかなと。

委員

だから、今おっしゃるのは内税に統一せいということでしょう。

委員

そうです。

委員

それは議論としてあると思いますね。どうぞ。

委員

地方税源の充実に当たっての考え方としては、税において、所得課税におきまして住民税と所得税をどうするか、やはりそこが基本になるのではないかと思います。それから法人関係税は外形課税の問題がありますが、これの帰趨をどうするのかというのが1つ。

それから全体的に、表を見ますと、社会保障負担が14.3ということは、事業者と個人のほうとすると、個人のほうはもう7.幾らぐらいの率。一方、個人所得課税なら7.2というのですね。こうなると、やはり社会保障負担と所得課税とどっちがいいのだということは非常に大きな問題で、所得課税は課税最低限が大き過ぎるので、これも是正しなければいかんですけれども、かなり、社会保険負担よりもいろいろな意味での人的な配慮というのがされておるので、今後、特に福祉財政どうするかという場合に、社会保険料と個人所得課税の問題、どちらがいいのだというような議論をしなければいかんのではないか。

委員

委員は所得税派?

委員

所得税派ですね。

委員

どうぞ。

委員

税金は基本的に少ないほうがいいと思うのですが、少なくて済んでいるのに無理して上げる必要はないとは思うのですけれども、ここまで使う金と入る金がずれてきてしまったところで、税の理屈からだけ、増やさなければいけないと言っても、増えない。これは何の問題かというと、結局、政府が弱過ぎるのか、そこのところが究極的問題だと思うのです。特に消費税率の異常な日本の低さというのは、要するに上げられないという、人気取りしかできないというあらわれであって、そこのところは当然10%ぐらいにいくのは当たり前なのに、しないだけの話。それは極めて政治だけの話だと思います。

ただ、それができない原因にもなっていると思いますが、その裏側で、この納税と受け取るサービスというものがおそらく心の中で見合ってない。これだけサービス受けているのだから、これだけ払わないとならないなという意識があまりにもなさ過ぎる。それは税調の任務なのかどうかわかりませんが、かなりその部分は税調でできるかなという気がします。

あと、税意識というか、新参が言うのも何ですが、とられるというのではなくて、基本的に参加料であるということをもう一回徹底しないと、そこら辺も増やしていけないということです。とられるという感じしか持ってないところを抜本的に直していかないとどうしようもないなという気が非常にします。

そこをもっとずっと探っていくと、何でそうなるかというと、今度のテロでも、あんなアメリカみたいなのは嫌だけれども、自分の国をつくっていく、参加しているんだよという意識がほとんどゼロであるという部分から来ているような気はしますので、結構これはなかなか深いなという感想を持ちました。

委員

納税者に対してしかと納税の意義なり責任、義務、それをちゃんと税調として説明をもっとせいというご提案ですね。

委員

そうです。かなりしつこくやっていかないと。

委員

わかりました。

委員

ご意見を伺っていると、所得税が安過ぎるという意見がかなり多いようですが、あえて私は、こんなものでいいだろうという意見を申し述べたいと思います。

最高税率50という税率構造、外国から見てもまあいいところに来ているということはわかるのですが、これをもとに戻すとか、そういうご時世ではないと。まあいい水準まで来ているなという感じはいたしますが、あえて所得税を増税する必要はないというのが私の意見です。所得税派か消費税派かと言われれば、私は従来から消費税派であります。

もう一つ、これもかねがね私が申し上げていることなのですが、国民負担率の、今の資料でいうと20ページですか、これがよく出てくるわけであります。税の負担水準、所得税の負担水準は下がっている。その分といいますか、社会保障の負担率は上がっているというこの図がよく出てくるわけでありますが、1つこの図に出てないのは、この社会保障負担の中で見えない変化がある。

というのは、例えば医療費について、サラリーマンの自己負担が1割から2割に上がったとか、あるいは厚生年金の給付のカットというのがこの間かなり行われているとか、そういった制度の変更がこの14.3%という数字には反映されてないわけでありまして、ところが、個々の人間から見ると、そういうことを全部ひっくるめて考える習性が実はあるというような感じがいたします。

そういう意味で、人々の所得、あるいは生涯生活全体を見渡した場合の安心できる資産水準みたいなものが変わっているのかなあという気がするわけであります。

もう一つ、この間の大きい変化は、年齢構成の変化ということもあるでしょうけれども、貯蓄率、あるいは貯蓄指向というのが大変高くなったと。なぜなのだろうなということをちょっと分析してみる必要があるのではないか。単に高齢化だ、将来の生活をともかく落としたくないということだけなのかなという感じがしてくるわけであります。ともかく貯蓄指向の高まり、あるいは貯蓄をすることが、ともかくそれ自体が目的になっているような傾向、これを税制でどう取り上げていくのかということをちょっと考えてみたい気がするわけであります。

これからの経済を考えてみる場合も、すでに名目成長率と実質成長率の逆転というのが起きているわけでありまして、のみならず、この逆転現象が何かあたかも当然のように、これが逆転したときは大変な騒ぎだったわけでありますが。何か知らない間にそれが当たり前みたいな感じになってきて、これは税収の面から見ると大変な大きい変化でありまして、この名・実逆転というのをどう考えたらいいのだということであります。

そういう面からいっても、物価が下がるという状況を税収でどう反映させるか、つなげていくかということから考えても、ある程度、むしろ消費税を上げる余地みたいなものはここに認められるのかどうかという素朴な問題意識をちょっと持っております。

そういう意味からいうと、所得税、確かに大胆に下げてきたことはわかるのですが、それをもとに戻すというよりも消費税を引き上げる可能性を追求するというほうが現下の、あるいは将来の状況にちょっと合っているかなというのが、私の消費税派の根拠であります。

委員

そうでしょうね。それも1つ重要だと。それから貯蓄指向型の高まりが見えたというのは、おそらく事務局にお願いすれば、貯蓄の動機づけとか、何か累年の世論調査があるでしょう。そうなのでちょっとわかれば次回ご紹介ください。

委員

平成になってからの税制、特に平成9年度以降の税制というのは本当にいろいろ問題があったとは思いますけれども、やはりその時点では経済が非常な大不況であるという観念から踏み切られたものであったわけでございます。しかし、その当時の例えば平成11年度改正、10年度改正、それぞれの答申をまた今見てみますと、こういう意見もあるで本当に大丈夫かという指摘もされてはおりますけれども、やはり当時の経済環境からして踏み切ったということだろうと思います。

しかし、今振り返ってみれば、これは単なる循環的な不況ということもありましょうけれども、構造的に社会・経済が変わってきたので、そういったものに対して冷静に基本的に対処していくという方向が必要だったのかもしれないという気がする。そこはまさに1つの非常に大きな反省の材料となるのではないか、先ほど委員からもお話しになったいろいろ複雑な感じがあると思います。

それからもう一つ、当時の税制改正、特に大幅な所得税、法人税減税、総理の強い方向、ご指示というのがあった。まさに税制調査会は総理の諮問機関ですから、総理から、これはどうだと言われれば、一生懸命検討する。しかし、総理自身がもうこうしようと言っておられるのなら、これはやはりある程度やっていかなければいかんということがある。今後そういった事態になったときにどうするのかというのが一つの反省点というか何というか、過去を振り返ってみて1つ大きなテーマだなあという気がするわけでございます。

そういった意味においては、総理が言われる前に、税制調査会として基本的に掘り下げた点を整理していって、きょう見て常に先手を打って言っていくというのは一つの方法かなという感じもするわけでございます。

委員

先手必勝ですな。

委員

それから所得、消費、資産ということの中では、所得税も低い、消費税も低いわけですが、この現時点でのデフレ的な状態の中では、金融資産的なものというのは逆に非常に価値を高めているという面もある。そういった面もあって、今後こういう社会が続くとすれば、経営資産を中心とした資産課税についてどう考えるかというのも一つの大きなテーマではないかと思われます。

委員

ありがとうございました。あと二三、この問題。どうぞ。

委員

私、出戻りなので、消費税導入のときにはいたわけですけれども、新税はいつでも悪税だと言われますけれども、忘れられないのが、NHKのテレビで消費税のことをやったときに、どこか地方の、あれは学校の先生だったと思いますが、子供が100円握りしめて行って100円のお菓子が買えなくて帰ってきたらかわいそうだみたいな話が出ていて、私はカッとして、そこでこそ納税の義務というのがあるのだと教えてもらわなきゃ困ると言ってから、しまった、言い過ぎちゃったかなあと思って帰ったら、うちにガンガン電話がかかってきて、よくぞ言ったという声が多かったのです。しかも女性から。女性がばかで消費税わからないという話があのころさんざんあったのですよ。一応女性で出ていて。でも、その後何回か飛行場なんかで男性から声をかけられて、あのときのあなたの一言でうちの女房をやっと説得できましたという人がいっぱいいたのです。幾ら僕が言ってもわかってもらえなかったのがという話があってね。

さっき、国民の納税意識みたいなものを変えなくてはというのがあって、私も絶対それは必要だから外税というのがいいだろうと思ってましたが、やはり納税意識というのは変えられないのですね。なぜかよくわからないのですけれども。

1つは、もう一方のほうの所得税が自然にとられている。だから、私、源泉徴収というのはやはり変えなければいけないのではないかと。日本国がこれだけばらまきが可能なのは、サラリーマンが自然にとられていて、それをどんどん地方にばらまかれて、タヌキのために道がつくられていてもみんな黙っているという状況があるのでこうなっているので、やはりそちらをやらなくてはいけないのではないか。

もう一つは行革だと思うのですけれども、行政改革というのが何か省庁くっつけて終わってしまったような話があって、税収が足りないのはわかるけれども、使い方をもっとちゃんと本当に考えてくださいよという説得力が多分国民に対して足りないのだろうと思います。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

短く言いますが、結論を先に言うと、どちらかというとやはり消費課税、消費税をもう少し、負担をもう少し上げるというほうに私はするべきではないかと思います。

その理由は、1つは税の不公平というか、クロヨンというか、税逃れですね。これが消費税の場合は非常に逃れにくい。そういうものが1つ。それから国民というか、一般の人の話を聞いても、消費税の将来値上げはやむを得ないなあという感じを持っている人が非常に強い。実際に政府的にどうなるかは別として、そういう点が1つ。

それから所得税については、これは前にちょっと申し上げましたように、不公平、税逃れ、脱税、これをきちんとすることが先で、納税者番号制度、名前はともかく、そういうふうにきちんとすることが先ではないかと思います。

ついでに、先ほど、国民の税に対する懸念ですか、行政サービスが十分でないのではないかと。それは私も全くそのとおりだと思いまして、払うだけの見合ったものはないような感じをみんな持っている。

そんな一つの例ですけれども、私がアメリカにいたときに感じたのは、あちらでは中学とか高校とかにテニスコートやバスケットコートやいろいろあるわけですが、それが放課後や土・日は必ず開放される。それを市民が自由に使える。日本はそういう例はあまり聞いたことがない。それから公園に行けば、キャンプ場に行けば無料でまきが用意してあるとか、そういう国民の生活を楽しむバックアップということを非常に行政がしているわけですね。そういうのがないので、税金払った上に、むしろ日本は逆に有料道路が非常に高いとか、そういうことも一つの不満の原因ではないかという気がします。

それからもう一点だけ。欧米に比べて、課税最低限が個人所得税の場合高いと言われておりますけれども、生活レベルを考えると、同じ年収300万円でも、日本の場合は非常に苦しい。ですから、これは為替レートがおかしいのかどうか知りませんけれども、簡単に比較できるものではないと思います。

委員

ちょっと議論整理しておかなければいけないのは、所得税派と消費税派が何か議論あって、片方上げて、片方と言うのだけれども、今の議論は、恒久的減税というのをやり過ぎた。これはもとに戻せと。その人は消費税上げなくてはいいとは言ってないと思いますよ。

やはりそれは恒久的減税を直しつつ消費税を上げる。ただ、委員のご意見は、そんなのしないで消費税でやれと言うから、消費税の上げ幅が違うだけですよ。おそらくそうでしょう。だから、そこの恒久的減税をどうするこうすると、消費税を絡ませるときにはそういう配慮が必要でしょうと。

じゃ最後に。

委員

すみません、2点だけ。

先ほどから納税意識が出ているのですけれども、意識変えるのはやはり相当難しくて、税は払いたくないですから、意識は変わらないので、委員がおっしゃったように、源泉徴収とか、そういう制度を変えるのが大事だと思うのですね。2003年から電子納税が始まりますので、このときにどの範囲で電子納税するか。私は思い切って広げて、サラリーマンも確定申告をするように変えていく。

今、電子政府構想の中にあまり納税というのがしっかり位置づけられてないのですが、位置づけるべきだと思います。いつでも委員がおっしゃるように、それに向けて思い切ってシンプルな税にしていくということを目指すという改革が必要だと思います。

それからもう一点。納税意識を持つためにも、払った税が何となくよくわからずに使われるというのはよくなくて、先ほど地方税のことを申し上げましたが、地方財源も連動型はやめるべきだと思うのですね。所得税、法人税、消費税の約3割が地方交付税にいく。この所得税、消費税、法人税上げれば自動的に地方交付税の額が上がるという、これも払った金額は何のためなのかわからなくなっている。それから地方消費税も国の消費税の100分の25という連動性になっている。こういうのは切り離して、地方税考えるのであれば、税源をしっかり移して、移した中から地方がそれぞれ拠出して、それを分配するという大きい改革をすべきではないかなと思います。

委員

今の地方交付税制度は見直すということね。

委員

はい。

委員

最初のテーマはこれで終わりにしたいのですが、ぜひという方、どうぞ。

委員

事実のお話だけしますと、今、委員が、電子政府の中に電子申告を位置づけられてないと言われましたが……

委員

あまり大きく入ってないと。私は非常に、一番大きい問題ではないかと思いますが。

委員

大きい問題か小さい問題であるかはそれはまた技術的なものになりますけれども、少なくともすでに試行は行われていますし、その点は認識していただきたいと思いますが。

委員

委員は責任者だったのですよね。

委員

2003年に電子納税が始まるのは知ってます。それを、せっかくの機会だから、もっと大々的にしていいのではないかということです。

委員

そこはまたそういう考え方もあると思いますけれども、ソフトをつくっていろいろやっている最中だと思いますので、それはまだ何ぶんテスト段階ですから、それができたらどんどん進むと思いますが、それが税制の制度の改革までもたらすようになるかどうかは先の問題でございましてちょっと読めませんが、少なくとも入れば、それにマッチしたソフトができれば動くようになると思います。

委員

委員、1回、その辺の状況も説明してよ。将来の展望も踏まえて。

委員

はい。

委員

では外形にいきましょう。きょうはほかにも2つ大きなテーマがありますので。それでは、外形課税、総務省のほうからご説明をいただきたいと思います。

事務局

それでは、資料でございますが、法小の4-4と4-5、この2つございますが、先に4-5の参考資料のほうで昨年来の経緯を若干簡単に説明して、4-4に移りたいと思います。

4-5の参考資料の1~2ページはシャウプ勧告等の経緯でございますので省略しまして、3ページに、外形の一番のベースにある考え方ですが、「法人事業税の性格等」ということで、行政サービスの対価的な応益課税であるということが記されております。そういうことで、※印にありますように、法人税の所得上は損金、つまりコストとして扱われているということで、こういうことであると、所得の大きさではなくて、外形基準で課税すべきでないかということが一番根っこにあるわけでございます。

ちょっと飛びまして5ページでございますが、そういう性格でありながら、今の制度は原則として所得にかけておりますので、ここに4つあるような問題がございます。1つは、全法人の3分の2の赤字法人がサービスを受けながら一切負担していないという公平性の問題。それから、所得でございますので、活動規模を適切に反映していない。それから3番目に、基幹税であるのに、所得ですから、景気変動の影響で非常に不安定であるということでございます。それから最後に、利益を上げれば上げるだけ課税されるということで、そういう意味では法人の意欲を阻害しない税制にしなければいけないという観点でございます。

6ページ以降、中期答申と、今の4つについて若干詳しくあれしてますが、飛ばしまして、12ページでございます。ここから昨年の案をちょっと念頭に置いてお聞きいただきたいのですが、これは昨年の案の税率設定の考え方でございます。要するに、1.6%が大法人、中小法人が1.0%の案を出しましたが、大法人と中小法人の相互の現行の負担割合があまり変わらないようにというような考え方をとったわけでございます。大から中小、中小から大に転嫁というものはないようにというのが基本の考え方に置かれております。全体としての税収はもちろん中立でございます。

それから13ページでございますが、去年の案は、一番単純にいいますと、ここにありますように、単年度損益と報酬給与額と利子と賃借料、この4つを足し込みました加算型の付加価値を、つまり事業規模額という課税標準にいたしました。これは全体のベースを、単純にその報酬給与を切っても、削っても、損益は増えまして、4つの合計は変わらないという仕組みでございますので、私どもは、この報酬給与を減らせば税が減るという税ではないと。税は減らないというふうに考えております。こういう考え方は、一番下にありますように、税理士会等もおっしゃっておられまして、基本的に非常に中立的な課税標準ではないかと思っております。

ただ、大変、いわゆる雇用等の懸念をする声がありましたので、14ページ、細かい説明は省略いたしますが、雇用安定控除という仕組みも導入いたしまして、例えばこのX、Y社にありますように、同じような事業活動の規模の会社があれば、むしろたくさん給料払っているほうが税金が減るというような仕組みも導入してみたわけでございます。

そういう意味で、雇用とか給与水準を維持していただければ、むしろ税負担は抑制されますという仕組みになっているわけでございます。

それから15ページでさらに、賃金にも関係するのですが、零細な法人につきましては、年の外形基準分の税額を4万8,000円でもうアッパーにするという仕組みを入れたということでございます。

16ページでございますが、そういうことも入れましたので、全体、245万社の対象のうち、右側でありますが、零細な法人、53%の130万社は基本的に4万8,000円で打ちどめということで、報酬給与とはあまり関係なくなるということでございまして、それ以外の法人、47%の法人につきましても、雇用の安定控除というような仕組みで配慮がなされていると考えております。

それから17ページですが、東京、大阪は、当時非常に議論になった問題として、銀行税条例の話がありまして、こういうものを整理するためにはやはり全国で一律のきちんとした外形標準課税の導入が必要であろうと、我々の案が入ればこういうものが対象から外れていくというふうな考え方で臨んだわけでございます。

それから、若干後は飛ばしまして、その後の若干の動きに関係しますので、各県の独自の動きとして2つほどございまして、21ページは大阪府で法人住民税の均等割を上げたということがございます。これも大分話題になりましたので申し上げますが、真ん中の2.の「課税の仕組み」にありますが、要は、資本等の金額1億円超の会社につきましては県分の均等割を2倍にした。1,000万円超1億円以下の中小法人につきましては5割増し、5万円を7万5,000円にした。これは年間でございます。それから零細の法人は据え置いたということでございます。

4.にありますように、これで51億円程度の増収を大阪府は図るわけでございますが、仮に全国で全部これと同じことをやりますと、約700億円というふうな見込みになります。

22ページは神奈川県でございまして、これは全国的な外形が入るまでの間という限定で、「対象」ですが、資本金が5億円以上の法人を対象に、繰越欠損金の当期控除額に相当する金額を課税標準といたしまして、税率が3%。これは9.6%が基本税率でありますので、言ってみれば事業税と違いますが、法定外税ですが、事業税にたとえていえば、繰越欠損金の3分の1弱を否認したと同じような効果になります。これで神奈川県は、4.にあるように、40億程度の増収を見込んでおりますが、仮に全く同じことを11年度ベースで全国で計算しますと約600億円。

いずれにしましても、額的にはこの2つの方式、全国で入れますとそう大きくなくて、外形にかわるものにはなり得ないのではないかと思っております。

そこで、その後の動きを4-4の「外形標準課税説明資料(旧自治省発表後の主な経緯等)」で説明させていただきます。

1ページは、昨年この案を出した後の当調査会の年度答申でございまして、上の2つの線をごらんいただければ、全体として現行の所得課税よりも望ましいということ、それから真ん中の線で、引き続き各方面の意見を聞きながら早期導入を図ることが適当というようなおまとめをいただいております。

2ページは与党3党のものでございまして、やはり地方税として望ましい方向の改革であるという評価をいただきまして、今後、課税の仕組み等についてさらに検討を深め、景気の状況等も勘案して早期の導入というふうなまとめでございます。

それから6月20日には、地方分権推進委員会も当調査会とほぼ同様のおまとめをいただいております。最終報告でございます。

それから4ページは、6月26日でありますが、初めて外形に絡みまして閣議決定に盛り込まれたということで、ご報告でございますが、ご存じのいわゆる「骨太の方針」の中で、下の4行でございます。外形標準課税につきましては、中小法人、あるいは雇用への影響の問題等の検討経緯を踏まえつつ、これも各方面の意見を聞きながら課税の仕組み等についてさらに検討を深め、景気の状況等も勘案して導入を図る、とされております。

5ページは、「改革工程表」にも記載されたということでございます。

6ページ、最後に、私ども、この案を発表しまして、昨年まとめたわけでありますが、経済界等を中心にいろいろな方からご意見を伺う機会をつくってまいりまして、それを大胆にまとめた資料がこのページでございます。概して、改革の理念、趣旨等、「薄く広く」、あるいは応益性、応益課税であるということにつきましては理解をする方が多かったと思っております。

それから真ん中の(課税の仕組み)でありますが、一番言われたのは、我々は、人件費課税ではないし、また雇用に悪影響はないと思いますが、非常にそこの懸念がやはり大きかったということでございます。

それからもう一つ、雇用安定控除等を中心に制度が非常に複雑ではないかというご意見がございました。それから、中小企業に配慮したのはいいけれども、配慮し過ぎで複雑になってしまったというようなご意見。それから定額課税4.8万円というのはわかりがいいので、もう少し広げられないかという意見とか、あるいは控除型の地方消費税がいいのではないかというような意見もございました。これは企業課税でありますので、消費者への転嫁になってしまうというようなお話は、我々、させていただいております。

そのほか、行革やるのが先だとか、あるいは今は非常に景気悪いのでタイミングとして悪いのではないかというようなお話、それから地方税全体の抜本改革で議論すべきだというようなお話もございました。それから、今ちょっとご説明しました神奈川等の関係ですが、均等割、あるいは欠損金の利用制限でどうかというようなお話がございました。それから国際的な流れに逆行というのがございました。この点につきましては、きょうも若干議論ありましたが、やはり我々は広く薄く、あるいは次のページに実効税率の下げてきた経緯がございますが、外形を入れれば所得に係る実効税率はさらに下がるわけでありますので、むしろ我々は国際的な流れにマッチしているのではないかと考えております。

こういうふうな意見をいただきましたので、現在、鋭意、我々としてこういう意見にどういうふうに答えられるかということの詰めの検討を行っている最中でございます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

事務局

基礎小4-6「法定外税説明資料」で、一言お願いします。

1ページのところに仕組みが書いてございます。課税自主権の活用の柱になります法定外税ですが、分権の際に制度が変わりまして、許可制から協議制になりました。ただ、同意が必要な協議ということで、不同意要件がそこの[1]から[3]までございます。これらがあると認める場合を除き、総務大臣は同意すると。今までの、税源の所在ですとか財政需要、この積極要件はなくなってございます。

それからもう一点、法定外目的税を起こせるというのが大きな点です。仕組みは、真ん中にございますが、地方財政審議会、あるいは財務大臣からの意見も出ます。地方団体が不服がある場合には係争処理委員会に出る。

それで12年4月1日以降は、そこに一覧にしてございますが、線が引いてあるのがいわば新しい税、今までなかった税です。そして二重線は目的税でございます。1件だけ不同意で、あとは同意で全部出しております。新聞でホテル税とかレジ袋とかありますが、これは協議にまだまいっておりません。

線の引いてある4つのうち下のほうの神奈川の臨時特例企業税は、今説明ありましたから省略します。また三重のも前回報告しましたので、河口湖と横浜だけ1つ触れさせていただきます。

2ページのところに、河口湖の「遊魚税」ということで、ブラックバスを釣りに来た人、地元の人も含めて、1日200円、トイレとか駐車場整 備のために使う。そして漁業協同組合に徴収をお願いして、年間、3カ町村で5,000万円といった税でございます。

1枚飛ばして4ページが横浜市の「勝馬投票券発売税」、課税客体は馬券でございます。JRAに対して、横浜市内の発売額、その割合で、勝馬投票券払戻金として75%の払い戻し、それから国庫納付金、第1納付金の10%、それに特別給付資金、これは単複の上乗せの部分ですが、それを除いたものについて100分の5、5%掛けると10億円になり、一般財源としてということですが、これは不同意にしてございます。

公営競技、国・地方それぞれすみ分けて、競馬であれば、JRAが国、地方は地方競馬、その他いろいろあるわけですが、国の財政収入を得るという財政施策、これは消極要件の経済施策に当たるということで、照らして、適当でないという不同意を出しましたが、横浜のほうから争いがございまして係争処理委員会にかかりまして、経済的影響を問題としてもう一度議論し直せということで、現在、横浜と総務省のほうで協議をしてございます。先般、委員からも、ちょっと無理な税だなと、いろいろ議論もありますが、現在なお協議中という状況でございますので、報告申し上げます。

以上です。

委員

ありがとうございました。それでは、あとまだ委員の問題提起がございますので、15分ぐらい時間を使いまして、外形の話、それから法定外税の話等々につきましてご議論をいただきたいと思います。特に外形のほうは昨年来からやっておりまして、ほぼ方向は出て、やるべき時期なのですが、条件が整わないということで昨年先送りになり、そういう視点からいうと、ことしはどういう対応をするのかという形ですよね。そういう点でご議論いただけたらと思います。

どうぞ、どなたでも結構です。

委員

ものの考え方としては、この外形標準課税というのは非常に合理的なものだと。これは皆さんそうおっしゃっているわけで、特にそのことについて議論する必要はないのではないか。問題はそのタイミングということで、これは政治判断になってきているわけですよね。ですから、政府税調が何か言うとすれば、やはり引き続き、この税はいわゆる「骨太」の一つだと思いますので、こういう税をきちっとやるべきということを書いておくということが必要だと思います。

委員

タイミングを見計らえと。

委員

これは言ってもしようがないから、書いておく以外にやりようがないわけですから。

委員

わかりました。どうぞ。

委員

この税のタイミングが一番難しいわけですが、ただ、消費税を入れるときを考えますと、あれは、免税事業者だと簡易税額算定方式、あれで大体3分の2は外してしまいましたよね。かなりの水準にして。やはり新税は悪税というか、要するに税負担の変動がどうなるのか、納税者、それから税務当局も事務処理が、最初ですから慣れないような点があるだろう。特に地方税の場合にはまた税収が地域によってどういうふうに出てくるのか、そういう変動要素もあるわけなので、考えられたように、外形課税2分の1、所得課税分2分の1という案ですけれども、もっと外形課税部分を減らしてもいいのではないか。

消費税の流れを見ても、そういうふうに最初思い切った外し方をしましたけれども、税金が実際運営されてくると、益税がおかしいではないかとか、そういうような議論があってだんだん適正化されておるわけなので、最初から100点をとるということではなくて、そこいらは弾力的に入れて。実際入れてみますと、税負担の変動だとか、税源がどういうふうにあるのかわかってきますから、そこでまたもう一度考え直して逐次改善するのもいいのではないかと思うのですけれども。

委員

そういうための妥協をちょっと考えたらどうかというご提言ですな。

委員

ええ。

委員

どうぞほかに。

委員

この問題は法人事業税そのもののあり方と絡むのですよね。だから、法人事業税そのものを考えると、どうも企業に負担をさせ過ぎているという問題がやはりありますよね。個人の場合は受益と負担の関係がはっきりしているのですけれども、企業の場合はそこはあまりはっきりしてませんよね。そういう根本的な問題がありますよね。それがどうしても私はひっかかるのですね。だから、もうちょっと弾力的に考えてもいいのではないか。ほかに選択肢があるのではないか。大阪府の場合なんか、やっているわけですね。法人の……

委員

今のは外形の話ではなくて、この法定外のほうの話ですか、おっしゃっているのは。

委員

いいえ、均等割のところ。

委員

均等割の話ね。

委員

均等割のところは、もうちょっと引き上げるとかそういうことによって対処したほうがいいのではないかと思うのですね。その法人には選挙権がないわけですから、よそ者課税になってますから、そこはやはり依然としてひっかかるということを申し上げておきます。

委員

私もひっかかりますね。ほかにいかがでしょう。どうぞ。

委員

私は、この外形課税そのものの考え方、それから、去年自治省が提案されたこの内容、大筋で、まあこのこと自体は異論をはさむようなことにはなってないというふうに考えておりますが、先ほどもご意見出たように、タイミングの問題というのはどうしてもひっかかる。この1年間の大きい変化は失業率が5%に乗ったということで、これは雇用政策からいいますと、危機ラインを超えたということになるわけであります。雇用調整助成金等々の制度は、5%超えたということで一斉に発動になったという状況変化がある。

その中で、つまり人を雇えば助成金を、全国隈なく配りますよという時世に、この賃金というものが大きなウェイトを占める課税標準を用いた税を導入するのがタイミングとしてどうなのか、やはりどうしてもひっかかる。そこら辺の判断は、究極的には政治なり国会に任せるしかないわけでありますが、少なくとも政府税調として直ちに導入すべきということはなかなか言いにくいと思っております。

内容的にも、先ほどから二三ありましたけれども、資本金の小さいところは除外するとかいう、少し除外し過ぎではないかという感じはする。どうせやるのならもっと広い範囲で、受益課税だというのならば、資本金が大きかろうと小さかろうと、地域のサービスの受益を受けているということ自体は変わりないわけなので、そこら辺はきちんとやらないとかえって不公平な税制になってしまう。内容的に申し上げればそんなところです。

それからもう一つ、外形標準課税と若干絡むのですが、法定外税の問題で、1つは、自治体の間で独自課税といいますか、いろいろ筋のよさ悪さはあるにせよ、何とかやろうという神奈川とか大阪とかいう事例がある一方で、ともかくこの外形課税やってくれと、あるいは税源移譲やってくれと。ともかく国の政策に期待してますと、自分のところはそれを待っているというような県もかなりあるように見受けているわけです。ですから、独自課税ということで知恵を絞るという時期がしばらく続くのかなあと考えているわけです。

ただ、ここで一覧表で示されているように、どうしてもやはり自治体の独自課税は企業が多い。本来、地方税というのは投票権持つ住民がみずからの受益との関係で判断すべき話であって、そろそろもう個人に対する応分の負担というものを求める機運が出てきてもいいのではないかなというふうに思います。

委員

外形は入れるときにそう妥協は図るなというようにお考えですね。

委員

僕は随分長い間この議論にかかわってきたのですけれども、非常に不幸なことは、景気の問題は皆さんおっしゃったから、それはそれとして当たり前のことだけれども、もう一つ、景気とのバッティングの問題と若干絡むけれども、日本経済・製造業空洞化論というのがあるのですね。これはものすごい大きなテーマなのですよ。今財界が新しく、これに対する批判論に援用している理屈は、空洞化を促進するのではないかと。国内投資が嫌になって。ほかにもたくさん雇用化促進論をということで反対する。たくさんあるのです、実はね。こういう言葉を使えばわかりやすいから反対しているのだけれども、それにしても全然無視もできない議論であることは間違いないですね。景気論プラス、長期構造的に、国内における日本の製造業をどうするかという話も絡んでくる。それは賃金との関連がある。

しかし同時に、赤字法人だって税金負担するのは当たり前なのですよ。そこのところが、原則的にはそういうことから出発しているわけで、どこかで折り合いつけなければいかんと思うけれども、少なくとも当面、今の内閣と今の景気の状況の中で通るという可能性は極めて少ないと思うのですね。

さっきちょっと、その後どういう努力をされているかというお話があって、そこが僕は一番大事なところだと思って聞いていたのですよ。随分産業界との話し合いもされているし、いろいろ工夫もされているので、もし時期到来すれば、今ほかの委員の方もおっしゃったと思うけれども、何かもっとのみ込みやすい、入りやすい工夫がね。どうせ完璧なものは最初からできる話はないのだ、こんな話はね。ということをさらに工夫するということが最終段階では避けられないのではないかという気がしますね。

委員

総務省から何か、最近のご努力の奮闘ぶりなどをちょっとお聞かせいただいたほうがいいのではないですか。いかがですか。

事務局

先ほどからご説明申し上げましたように、ことしの1月以降、経済界の皆さんを中心に、公式、非公式に相当程度、いろいろな勉強会をやったり意見交換を積み重ねてきたのですけれども、さっき意見の集約、大まかに申し上げましたように、結局、賃金課税というところに、その1点にむしろ批判の矛先が向いているわけですね。

これは、経済界のリーダー的な方に随分お会いしたのですが、少しゆっくりお時間いただいて説明をしますと、先ほどの課税標準を非常に中立的な税制であるとか、あるいは先ほど1,000万以下定額というのはどうかというお話もありましたが、1,000万以下は、今、所得課税のもとで納めている税収を、赤字、黒字問わず定額でとるとしたら、しかも選択制ですから、安全度を見るとこのぐらいになるという、資本金1,000万以下で大体1,000億弱ですけれども、というご説明をしたり、それから、なおかつ労働組合も含めてそれでも心配されるので、雇用安定控除というものを入れますと。これは税制の基本論からいうとややどうかという議論はあり得るのですけれども、実は同じ事業活動の規模だと、人をたくさん雇っている企業、給料をたくさん払っている企業のほうがむしろ税金は若干減るといったようなところも、じっくり聞いてくださる企業なり、あるいは労働組合の皆さんなり、課税側の地方団体はもちろんですけれども、私が言うとちょっと恐縮ですが、よく考えたなと言ってくださる方が多いのです。ただ実際問題として、特に、なかなか申し上げにくい点もあるのですけれども、どうも理由がよくわかりませんが、どうもこの税制はよくないと思い込んでいる方々もいらっしゃるようでありまして、本当は賛成なのだけれどもなかなか正式の場では言いにくいとか、それから最近になってちょっと強まってますのは、今何人かの委員さんがおっしゃいましたように、それにつけてもここのところ景気が悪いなと。もう少し、景気がよくなってからということはないにしても、ちょっと安定した段階のほうがのみ込みやすいなとか、こういったようなお話もございまして、私どもとしても、大変そういったいろいろな方々のご意見も踏まえて、この14年度税制改正もいよいよ本格的に政治の場でも議論になりますので、最後のいろいろな詰めを行っていると。

さっき、均等割をもっと重視しろというお話、そういう方法もあるのではないかとか、いろいろ弾力的に考えてはどうかとか、いろいろなご意見もございますので、私どもは、もともとこの外形課税の課税標準、加算型付加価値を基本にしてますのは、これは石先生にも当時ご尽力いただいて、地方法人課税小委員会で1年余りも議論して、本当にいろいろなご意見をいただいて詰めに詰めてまとめた案なものですから、今でも、非常にいい、基本はまずこれは捨てがたいといいますか、大変いい案だと思っているのですけれども、しかし、いろいろなご意見がございますから、そういったご意見も踏まえたらどういうことになるのか、これは今いろいろと勉強いたしておりますので、またいい機会がありましたらご説明もさせていただきたいと思っております。

委員

では、最後にどうぞ。

委員

法定外税について一言申し上げたいと思います。

ここに挙げられた後、東京のホテル税とか、あと新潟のほうの何とか町というところが、川から取水しているJRに対する、JR東日本1社だけを対象とする法定外税を導入しようなどという動きがあって、まさにこれはよそ者課税のコンクールになっているわけですね。地方の独自課税というと、この法定外税のほかに割増税率を適用するという方法もあるのですけれども、それは大阪だけにとどまっていて、あとは本当によそ者を競っているみたいなところがある。唯一ましかなと思っていた杉並のレジ袋税、あれは僕は筋のいい税だと思うけれども、これはやはり議会がおさまらなくて継続審議になりそうだということで、自治体のレベルの低さを痛感するこのごろなのですね。

ことしは、年度答申でもそうした問題をちょっと指摘してもいいのではないかという気がするのですけれどもね。あまりよそ者課税に走るなと。それから、財源が欲しいのなら割増税率という手もあるのだよというあたりを指摘できないかなと考えます。

委員

どうぞ。

委員

いろいろな意見があるというのの分類の中に入ると思うのですが、私はこの外形標準課税、先生がご苦労なさったので、今こういうのもあるのかなあとは思うのですが、一番問題なのは、これから事業を興そうとする人にとって簡素な税体系がどのぐらい重要なのかということについての関心が乏しいと思うのですね。

先ほど来、課税当局の皆さんからのお話の中で、例えばたくさん人を雇っている職場にペナルティが加わるとか加わらないとかいうお話があったのですが、特定の職場がどういう雇用の状態になっているかを税制を通じて、税制はそんなことを考える必要はないので、雇用問題というのはもちろん重要ですが、雇用問題の解決というのは、新しい事業所が次々と起きることを通じて雇用問題を解決するのであって、すでに雇っておられる企業が、今後も雇い続けろとか、こんなのが入れば減員に追い込まれるとかいう話に耳を傾けること自体がおかしい。だから問題は、新しい事業所をどうやって興せるのかと。雇用問題はそこでしか解決しないわけですね。

ごく世間的にいっても、我々が昔から行っているような飲み屋は、相当よく勉強している飲み屋でも、おばさん、言いますよね。1年間に3分の1は来なくなる。それは転勤したりお酒が飲めなくなったり、いろいろな理由があるのだけれども、とにかく変わるのですよ、客は。

事業所も、それはいろいろな理由があって、今のように、産業構造を大きく転換しますし、それから委員が言われたような形のリロケーションも起きるし、別に税制があろうがなかろうが変わるものは変わるのですよ。

問題は、新しい事業所が興しやすいかどうかがかかっている。それからいけば、応益課税の一番いい方法は付加価値税ですよ。だから、先ほど消費税でなぜ税率が上げられないかというお話が出てますけれども、それは免税点制度を置いたり簡易課税制度を置いたりしていれば、税率はそんなに引き上げられないですよ、実際問題。ですから、これは企業の企業番号を入れて、前段階税額控除の付加価値税といいますか、消費税にして、その一定割合を応益課税としてとるという仕組みが私は一番、新しく事業を始めようとする人にとって簡素な税体系だと。多分それが一番公平だと。雇用問題は事業所の数をどうやって増やせるのかというところで対応すべきだと。だから、税制でその話を受け持つ理由は何もない。そういう恣意的な考慮を払うことによって雇用の問題を解決しようというのは、何となく説明は通るかもしれませんけれども、現実はそんな仕組みでは動かないと思ってます。

委員

貴重なご意見ありがとうございます。

では、きょうの最後の議題になりますが、委員に10分程度ご説明いただいて、あと自由にまた議論ということで、よろしくお願いします。

委員

「カジノ・ゲーミング法と税」というタイトルにしましたけれども、タイトルはあえて「ギャンブル」という言葉をやめたほうがいいのではないか。各国皆「ゲーミング法」という言葉で統一しておりますので、ギャンブルという、賭博という考え方ではない、明るい印象で物事を考えていったほうがいいだろうとちょっと思っているのです。

これは非常に重要なことなので後でご説明しますけれども、ただ、僕は道路公団とか特殊法人改革の対応でこの準備ができなくて、国交省の6公団と石油公団、11月中に結論出すということだったものですから、それで、すみません、そっちのほうの準備がいろいろ対応があったものですから、こっちがプレゼン用にきれいに用意できなかったのですが、基本的な問題提起だけさせていただきます。

まず、基本的な考え方として、先ほどから出ているタックスペイヤーの意識をどう高めるかという問題というのは常につきまとってくるわけですが、そういうのは法人税とか所得税で考えていくことだろうなと思うのですね。

もう一つは、税金というのは知らない間にとられているというのが一番いいので、たばことか酒も知らない間にとられているわけですから、この2つは矛盾しないと思うのですね。だから、おれは払っているぞ払っているぞということを常に刺激するような形の税金の取り方と知らない間にとられているというのと2つ、両方あっていいと思います。ゲーミング法は知らない間にとられているというほうで、それで増やしていけばいいだろうという考え方ですが、4点ちょっと申し上げたいと思います。

1点は、課税ベースが広がるということですね。カジノということで。つまり、先ほども製造業の空洞化という話が出てきましたけれども、産業のソフト化という中にカジノというのは入ってくると思うのですけれども、製造業はどんどん衰退していくだろうと。こういうカジノのようなレジャーを含めた産業が増えていくだろうということで、そういうところにきちんと網をかけていくことは望ましいのではないかということが第1点です。

それから第2点は、現在カジノというのは非合法で行われている。赤坂とか新宿とかああいうところで隠れてやっているのですけれども、そういうブラックマーケットができている、そういうところをきちんと、これも課税ベースに関係してきますけれども、課税させていくということも意味がある。それから隠れてやっていると犯罪の温床になるのですけれども、それも防げるだろうということ。これが第2点です。

それから3点目は地方分権の問題ですけれども、地方の独自財源というものがそれぞれの創意工夫によってつくられていくことが望ましいので、いろんな地方のそれぞれの税金とる取り方はあると思うのですが、うちの県はカジノをやってとるというふうに考える、例えば沖縄とかそういうところはそういうのがあったほうがいいのではないか。石原慎太郎さんなんかはお台場にカジノをと言ってますけれども、そういうふうにそれぞれの独自性を競うということが大事ではないか。

それから4点目が特殊法人改革との関連で考えていただきたいということで、今、各省庁が胴元になって、競馬、自転車、オートレース、それから船舶振興会のあれもありますけれども、そういうのをやってます。財務省が予算として出す場合は国会がチェックするわけですけれども、各省庁が胴元になって入ったお金というのは各省庁のへそくり予算になっているということで、これはおかしいのではないか。そのへそくりの使い道が非常に不透明で、各種公益法人をそこで太らせて、天下りの温床になっている。

こういうことで、4点問題があるだろうと考えております。

お手元の資料をちょっと見ていただきますが、1番目はレジャー白書からとったものですけれども、かなり大きな市場なのですね。それはともかく置きまして、このギャンブルというところで、先ほどの4点目のもので特殊法人改革に絡んできますけれども、中央競馬、地方競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、これをどういうふうに考えるかということです。

次のページにいきますけれども、僕の本からとりましたが、169ページの真ん中あたりで、例えば自転車振興会というのを例にすると、全体の売り上げから自転車振興会に回ってくるのが600億円ぐらいある。これは年度によって違いますけれども、大体600億円ぐらいとして、これは5年前に書いたものですけれども、基本的にはあまり変わってません。その中で、「国家予算とは別のヘソクリ」と書いてある3行前ですが、95年度の競輪の売り上げは1兆6,000億円、1号交付金は267何億円、2号交付金は250億円、3号交付金は45億。これらはほとんど公益法人に配分される。

171ページの後ろから10行目ぐらい、これで独自の配賦先を各省庁が持っておりますから、これはたまたま経済産業省ですが、300団体ぐらいに機械振興資金が行き渡る。大体公益法人、財団法人ですけれども。それから、それとは別に、やはり自分のところだけではあれなので、身体障害者とか、高齢者とか、教育とか、そういうところにも配るという形で2号交付金というのがあるのですね。

いずれにしろ、独自の判断で自分でこのお金を配っているということで、これは本当は予算として計上されるべきものなのですね。ですが、各省庁のへそくり予算として配られているということであります。ここはそのぐらいにします。

本来、だから、こうしたお金がきちんと別の形で、これは公営ギャンブルですけれども、公営ギャンブルがいいかどうかという問題ですが、公営ギャンブルは本当は民間でやるべきでありますが、官が民の市場を圧迫しているというか、自分で奪っているということでありますね。

次にいきます。法律のところですが、すでにご存じだと思いますけれども、先ほどのギャンブルという言葉ですが、賭博という言葉を翻訳するとギャンブルということになるのでしょうけれども、刑法ですが、第百八十五条です。お金をかけてやったら、これは犯罪であるということであります。

じゃパチンコ屋さんはどうしているのかということですが、パチンコ屋さんは風営法の対象であります。次めくってください。パチンコ屋さんは現金と玉をかえてはいけないということになっているのですが、二三条の一ですが、「現金又は有価証券を商品として提供すること」、これはいけませんということですが、皆さんご経験あると思いますけれども、裏のほうに回って現金にかえるということでやっております。これは法律としては非常に不健全な法律だと思いますけれども、そうであるならば、まずゲーミング法というのをつくるべきですが、パチンコ屋さんの問題というのはこういうことでも考えられるのですね。

ゲーミング法が、なくても現行法のこの風営法を前提にして、こういう換金方法が可能であるならば、カジノでお金にかわるチケットみたいなものを持って、そして商品と交換できるということ。パチンコ屋さんもいろいろなものを交換しておりますけれども、出玉と交換しますけれども、それをカジノのゲーム場で交換することもできるし、さらに裏側に回って現金ととりかえることが許されているならば、カジノは、例えば地域振興券みたいなものを、独自の貨幣のようなものをつくって、それで、現金はいけないというならば、現金に似たものをつくって、それをカジノで交換する、そのカジノで交換するのは、例えばお台場ならお台場全体で交換するチケットにもなるというか、買い物できるもの、そういうふうなチケットができるということもあっていいだろうし、あるいはそれをさらに広げると東京都で使える地域振興券でもいいだろう。

考え方として、このパチンコの現金交換が可能であるということから演繹すれば、そういうことはできるだろうと。つまり、ゲーミング法がなくてもカジノはできるだろうということになります。ただ、その場合には、パチンコ屋さんの税金の納め方というのは、現在、普通の会社の税金の納め方と同じですから、年間の利益に対して課税されるわけですけれども、それだと普通の会社と全く同じですが、黒字があまり出てなければほとんど税金はとれない。だけど、本来、カジノは公営ギャンブルと同じですが、掛金から配当を支払ったもののその粗利に対して課税することができるわけですから、ゲーミング法があればきちんと課税ベースは広がるだろうと考えていいと思います。

それから、パチンコがあるからカジノはできないかもしれないということではなくて、パチンコもあって、カジノもあって、何でもあってというふうに、これは相殺し合わない世界だと思います。

風営法の次にいきますけれども、「カジノが合法化されている国」、国連加盟の世界185カ国のうち124カ国が合法化されております。

それから次の「カジノの一般的なゲームの種類」、これは適当にご覧になってください。いろいろなのがありますよということですね。

それから次に「アメリカ各州のギャンブル合法化状況」。これもご覧になっていただければいいのですが、ほとんど各州でやっていて、これもいろいろな種類の遊び方がありますよと。パチンコだけで台と向かい合って孤独にやっていると暗い風景ですけれども、こんなにいろいろあって、楽しくやりましょうということですね。

次に、各国のカジノの税率。これは千差万別なのですね。ドイツは80%とか、そういう高いのもあれば、左のほうのイギリスは18%とか、いろいろあります。

それから次のページですが、アメリカは各州によってカジノの税率が違いますが、ネバダの6.5%から、一番左のインディアナの20%、これもいろいろ違いますということであります。

次のページへめくります。「ニュージャージー州のカジノ税とその他の州のカジノ税」。ニュージャージー州のカジノというのはアトランティックシティですけれども、ニュージャージーの場合、限られた地域だけと。ネバダ州はまた違う。州によっていろいろ違います。ほかの州と違いますというのだけ見ていただければいいです。

それから次にめくります。ラスベガスのあるところですが、「ネバダ州カジノ統制管理組織一覧表」。これは基本的に地方税だという発想でつくっておりますが、これはかなりきちんとした組織をつくって犯罪防止を考えてやっているということであります。この法律を詳しく見ていくと何百ページもあるのでわからないので、これも省略です。かなり複雑なきちっとした形で書かれています。

次に、ルイジアナ州のリバーボートカジノの税金がどのぐらいかということであります。この表の一番右下のほうで僕がちょっと字を書き込んでありますけれども、2.7億ドル、120円換算で324億円も入りますよと。納税合計額です。これは市町村と州と両方合わせてという意味です。それから94年と95年で随分差があるなということですが、これはだんだん増えていっているという流れです。できて間がなくて、それからどんどん伸びているということです。

ざあっと説明させていただきましたけれども、カジノを合法化する、ゲーミング法という形でやるということで、税金がかなりとれるということだと。結局、GDPの6割は消費なのですから、消費が伸びていくかどうかというときに、ライフスタイルの膨らませ方というのがあると思うのですけれども、こういうカジノで楽しむということも、ライフスタイルを膨らませていくことによって時間消費が増えていくということであると思うのです。

それで、ギャンブルではなくてカジノというのは、例えばおしゃれして出かける場所がたくさんあっていいだろうと。そういうことによって消費が増えるだろうから、パチンコのように、ただ向かい合っているのではなくて、カジノに行けば、服を買って、靴も買って、車も買ってというふうに、あるいは1人で行かないで何人かと行くとか、そういうことで消費も増えるだろうというふうに考えていくべきだろうと思います。

先ほどから言いましたけれども、4点ありますと。特殊法人の改革も含めて、今までと違う考え方でカジノ・ゲーミング法を考えていったほうがいいのではないかということであります。

委員

ありがとうございました。夢のある、楽しいお話でした。10分ぐらい時間とって、少し時間超えるかもしれませんが、皆さんのご感触もお聞きしたいし、どうぞご自由に。

委員

それから、これは雇用も増えるのですね。

委員

それはそうでしょう、当然ね。

委員

僕は若干競輪とか競艇に関心があるのであれだけれども、今、公営賭博が総いかれなのですよ。この前の天皇賞だって随分減ってしまっているし、競輪はもう全然破滅的な水準まで下がりそうな気配で、目下のところとまらない。中央競馬と競輪はやめる市町村も随分出てきているというのが今の状況なのですね。

その中で、これは東京都知事が言って、委員もそれに乗っかっているお話であったのだけれども、確かに、競輪に来る、競馬に来る人たちとカジノへ来るのは違うのかもしれないのだ。ただ、ポケットは同じだからね。こっちに取り込まれれば競馬に行くのは少なくなるとか、競輪は少なくなるとか、競艇が少なくなる。あるマーケットがあると思うのですよ。膨れるとは思うけどね。だから、これはどのくらいの成算があるのかなと思ってね。いつもそれが、話聞きながら不安なのです。

今までは、公営ギャンブルを認める。そのかわり、おまえ、冥加金よこせよと。それでおまえらのギャンブル認めてやるよというロジックでやっているわけだ、今までは。これも公営の賭博みたいに地方自治体がやるのでしょうけれども、そのときに冥加金の取り方というのはいろいろあって、税率も各種違うらしいからいろいろあると思うし、おもしろいアイデアだとは思うけれども、今の状況下で店開きするのは大変ではないかなという気が率直にするんですわ。

委員

だって赤坂とか新宿でやっているのだもの(笑)。ブラックで。

委員

どの程度やっているのかね。

委員

かなりやってますよ。

委員

そう? 行ったことないからわからないな。

委員

どうぞ。

委員

委員もいろんなお考えで幅広く、経済全体のあれでおっしゃったけれども、1つは税調でどう扱うかという。あまり前例というか経験がないことなので。自治体なり国の歳入の確保という視野でとらえた場合、それが税金だけでやっていけるのかどうか、その他いろいろな収入の、歳入の道を考える時期に来ているのかなという観点からいうと、まあ検討の対象にしてもいいのではないかと私は思うわけです。

ただ、石原慎太郎さんが就任と同時に言い出して以来よくわからないのは、つまり、これはどこが担当というか所管するのかということですね。当然、国法、国の法律との関係も出てくるのでしょうし、じゃそれは警察庁なのか法務省なのか、何か別の役所なのか、財務省なのか、よくわからないというのが1つ。

それから、これはどこで議論するのか。税調の議論……まあ税調で関与するのはいいけれども、どんなカジノがいいのかなあという、あるいはその際の設計とか規制とかどうするのだというような、担当するところがはっきりしてないというのが1つあるのですね。だから、例えば総務省では、検討というか、勉強というか、何かされてます?

事務局

カジノについて正面から現に検討を進めているというのは残念ながらないのですけれども、地方団体の中には、石原都知事がカジノという議論もされましたし、それからあまり新聞に大きくは出ませんけれども、パチンコに法定外税とか、あるいは地方税法を直してでも何かかけられないかと、ちらほらそういう声もあります。カジノの場合は、今言われたように、まさにどこの役所がそういう問題を考えるのかという、まずそちらのほうが先なので、税制当局の我々がそこに出てくるわけにもちょっといきにくいのですけれども、そういう意味で、地方の歳入確保の一助として、以前、地方税で娯楽施設利用税なんていうのもありましたけれども、そういった経緯もありますし、勉強はさせていただいております。

ですから、今おっしゃっていただいたカジノ・ゲーミング法のお話も大変興味深く拝聴いたしまして、勉強したいと思いますが、確かに、委員が言われましたように、日本でこういうものを認めていいではないかということのメインの役所が総務省の少なくとも税務当局というわけにいかないので、これはよく考えてみたいと思いますが。

委員

さあ、ぼつぼつよろしゅうございますか。

委員

お金は欲しいと思っているのが税調なのだから(笑)、そういう、欲しいと思っているところが手を挙げないと。別に警察は今のままで、今の利権でいいわけですから、そうするとその警察にあわせないほうがいいわけで、やはり税金をどうとるかということで考えるほうが正しいので。だから、税調、これは財務省と総務省がやはり、特に国税も地方税も両方とも、国によっては国税でとっているところもありますし、だから両方とも、どちらの省も検討対象として考えたほうがいいと思いますけれども。

委員

私、この後記者レクしますけれども、どうもここに議論が集中しそうですなあ、きっと(笑)。今のような議論をご紹介しておきます。

それでは、よろしゅうございますか。予定した時間が来て、これで基礎問題の今年度中の議論は終わることになります。年明けにまた再開ということになりますので、そのときはまた、どういうテーマでやるかということをお諮りしたいと思います。

そこで、あと、この同じメンバーで14年度答申案の作成、起草委員会が入りますので、またお願いしなければいけませんが、一応日程は、11月30日金曜日、12月7日金曜日、2回を考えておりますので、テイクノートをお願いいたします。2時からとは思いますが、2時間で終わらなくて3時間ぐらいになる可能性もありますので、おしりのほうは5時ぐらいになるという覚悟の上で、ぜひ日程をお組みください。よろしゅうございますか。

それでは、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。小委員会、きょうはこれで終わりにしたいと思いますが、同じメンバーでありますので、また再会ができますので、よろしくお願いいたします。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。