第3回基礎問題小委員会 議事録
平成13年10月26日開催
〇委員
それでは、時間になりましたので、今日、第3回目になりますが、基礎問題小委員会を開催いたしたいと思います。
それでは、議事予定に従って、今日は2つ大きなテーマがございますが、順次進めていきたいと思います。
最初に、企業以外のところの租税特別措置、それから、地方税関係につきまして、順次御説明をいただきたいと思います。5人ほど事務局の方から御説明を受けます。
〇事務局
前回、法人税関係の租税特別措置について御議論賜りましたが、今回はまず個人の所得税関係の特例措置につきまして、御説明させていただきます。資料は「基礎小3-1」というものでございます。
目次をめくっていただきまして1ページ目でございます。法人税の際にも御議論がございましたようですが、そもそもは租税特別措置というものは何なのかという概念の部分の御議論がございました。所得税のほうにまいりますと、事情がさらに複雑になりまして、もともと個人の事情をどの程度斟酌するかというところが所得税の根本にもあるということもございまして、そういう複雑な状況もございますので、租税特別措置を議論していただく際に、全体的な所得税の中での特例というものを大まかにつかんでいただくほうが、まず御議論の出発点としてよろしいかと思いまして、そういう1枚の資料でございます。
先般も議論に出ましたが、租税特別措置法に規定されているものと所得税法に規定されているものがございますので、大きく右左に分けてございます。それから、個人でございますので、法人と違いまして、個人の生活のうちの事業といいますか、稼ぐほうの分野に関係するもの、それから、「生活に関連するもの」とここでは書きましたが、個人のそういう側面に関するもの。それから、個人のそういう事業活動とか生活とかということは別に、別途の政策的観点から講じられているものもあるという感じもいたしますので、大まかにそんな区分けで並べてみましたが、それぞれこういうマトリックスの置きどころがよろしいかどうかというのも若干議論になるような感じもいたします。そういう表でございますが、概観していただくための表でございます。
このうち黒丸に塗ってありますのは租税特別措置で、減収額を後ほど見ていただきますが、減収額にカウントしているもの、それから、四角になっているものは、減収額の表には入っておりませんものでございますが、租税特別措置でございます。
それから、白丸は租税特別措置ということではございませんが、特例的な色彩がございますので、比較の意味もあわせましてここに並べている、そんな表でございます。
左上のところから見ていただきますと、租特法で個人の就業関係で、いわゆる企業関係租特でございます。これは法人税で各項目御議論がございましたが、それの個人版で、いわば引き移しのようなものでございます。
それから、その下に保険医の社会保険診療報酬につきまして、概算経費の所得計算特例というものがございます。それが個人の就業関係ということでここに掲げてございます。これは保険医の収入5,000万円以下の部分につきまして、概算の経費の特例というものでございます。
概算経費というふうに考えますと、例えばサラリーマンでも、右に白丸で置きましたが、給与所得控除も言ってみればそういう側面がございます。そこで、ここに給与所得控除と書いておきました。
その下に青色申告のケースに、個人の事業者ですと、専従者の給与を必要経費に算入できるという規定がございます。そうでない場合には、定額の事業専従者控除というものが設けられておりまして、これは所得税法のほうに入っておりますが、所得計算上の特例ではございますので、一応掲げておきました。
それに類するものとして、左側の黒丸の3番目に家内労働者の事業所得の所得計算特例ということで、経費の最低ラインを定めたようなものでございます。こういう個人の事業の所得計算に関しまして、特例的なものがこんな形でございます。
それから、就業に関連するものの4つ目の黒丸に、後ほど資料を見ていただきますが、青色申告の場合に特別控除の制度がございます。これは事業と申しますか、青色申告の普及との関係でそういう誘導的な控除の制度でございます。
次のカテゴリーでございますが、老人マル優、租特のほうには国債・地方債を対象になっております少額公債の老人マル優制度が規定されてございます。
それから、右に目を移していただきますと、郵便貯金、あるいは、銀行の預金につきましては、所得税法のほうに老人マル優の規定がございます。これは非常に長い昔からの前身マル優制度の非課税措置の経緯がございますので、所得税法に載っておる。ただし、貯蓄優遇ということで、租税特別措置ということで黒丸でございます。
その下に生命保険料控除・損害保険料控除でございます。
それから、租特法のほうにまいりますと、配当所得の源泉徴収の少額申告の不要の制度の特例でございますとか、あるいは株式のキャピタルゲインの特例などが租特法、金融証券関係でございます。
その次、いわゆる扶養控除、寡婦控除の特例というのが租税特別措置法のほうに黒丸でございますが、これは所得税法のほうを見ていただきますと、様々な人的控除につきまして、基礎的な人的控除のほかに特別な人的控除、あるいはそういった人的控除の加算とか割増という制度がございます。そのうち加算・割増が左のほうの租特法、黒丸になってございます。
それから、例えば所得税法のほうには、医療費控除などもございます。
右左いきまして恐縮でございますが、租税特別措置法のほうに住宅ローン控除がございます。
それから、例えば居住用資産を買換えした場合に、損失の繰越控除とか、これは政策目的が景気対策的なところもございますので、下のカテゴリーのほうに並べておきました。
その下に黒い四角が3つございますが、土地の譲渡所得の場合の特別控除制度でございます。これは様々な政策目的が反映しておりますが、ここでは黒い四角、こういったものは、これによってどの程度の減収額になるかというのが定量的に計算できないということで、減収額措置はございませんが、黒い四角で租税特別措置でございます。
それから、所得税法の右のほうに、下から3番目でございますけども、所得税本法に非課税所得の規定などもございます。後ほどもう少し関係する資料が出てまいります。
あとは配当控除ですとか、寄附金控除ですとか、白丸としてここに掲げてございます。
以上、大まかに達観していただきました上で、いくつかの大きなものについて内容を御説明させていただきます。
2ページ目は租特減収額の内訳資料でございます。法人税の際にもご覧いただいたかと思いますが、所得税のほう、左側のほうに住宅ローン控除から生損保控除、老人マル優、青色申告控除と、大きな租税特別措置の減収額になるものはこの4つがございます。この4点につきまして、個々に見ていただくようにいたします。
3ページ目は、いまのグラフになっていましたものを項目別に並べたものでございまして、左上のほうに所得税でございます。
4ページ、5ページは、さらにまたあとで申し上げますので除きまして、6ページでございます。6ページは、いま申し上げました減収額の大きい4項目につきまして、このところの減収額の推移を見たものでございます。住宅ローン控除、4,500億円程度から始まりまして、5,000億円、6,000億円のオーダーでございます。生損保控除が現在2,820億円です。
それから、老人マル優でございますが、これは金利の動向もございまして、平成9年、10年、11年あたり、減収額が小さくなっております。平成12年、13年にまた非常に大きくなっておりますのは、郵便貯金の集中満期がまいりまして、その関係の利子収入が大変多く入ってまいりますが、それが非課税で減収だという意味で、この集中満期の反映で12年、13年の減収額が大きくなっております。
それから、一番右の青色申告特別控除は690億円程度のものでございます。
以下、各項目につきまして簡単に見ていただきます。
住宅ローン減税制度でございますが、御案内のとおり、昨今の景気対策の関係で拡充が行われてきておりまして、現在のところ、真ん中で囲ってございますように、ローン残高5,000万円までに控除率1%までということで、10年間ということでございますので、最大限でございますと、この網かけにありますように、毎年50万円ずつの税額控除が10年間あるというものでございます。
この全体の控除額の最大値を各年別に並べましたものが8ページでございます。11年のところで非常に拡充がなされまして、ご覧いただきますような、11年から15年のところまで控除最高額が非常に大きくなっているというものでございます。
9ページは、そういう50万円の所得税額控除を適用いたしますと、その年の所得税がゼロになるというサラリーマンというのは、どの程度の水準の収入の方かというのを試算したものでございますが、夫婦子2人でございますと、一番左の上にございますように、900万円以上の収入の方も、そこから計算したもののあとからこの住宅ローン控除を引きますと、所得税額がゼロとなるという水準でございます。その下に課税最低限が書いてございますが、非常に課税最低限を上回る大きな金額のところの給与収入までその年の所得税額がゼロとなると、そういう水準の特別措置になってございます。
この住宅ローン減税につきましては、もともとは持ち家取得の初期負担軽減ということで始まったものでございますけれども、景気対策ということで非常に大きく拡充されておるということでございます。政策目的あるいは政策効果の検証といった観点で御議論を賜るということだと思いますが、やはりこういう持ち家重視の住宅政策、そういうものの是非の問題ですとか、ほかにも住宅に関してはいろいろな政策誘導がございますので、その辺との関係ですとか、6,000億円にも達するような大変な減収額と効果との関係をどう見るか、といったような論点があろうかと思います。
次に、生命保険料控除、10ページ目でございます。右の下に「生命保険料控除の沿革」という四角で囲んだところがございますが、こちらをご覧いただきますと、生命保険料控除自身は大正12年に創設された非常に古いものでございますが、昭和49年に5万円に上限がなっております。それから、昭和59年に別枠でできまして、平成2年から、これも5万円ということで、現在、生命保険料あるいは個人年金保険料、それぞれ5万円ずつの控除制度になっております。
これにつきまして、1点御説明を加える必要がございますのは、右上のほうの[3]に、「又は損害保険会社等」というところにアンダーラインを引かせていただきましたが、これは生損保の商品の乗入れで、いわゆる第三分野につきまして、損害保険会社も生命保険的な商品を売るということになりましたので、ここでは、それまでは生命保険料控除というのは生命保険会社にかかわるものということでございましたが、商品の相互参入がございましたので、損害保険会社の売るものもここに含まれ得るということを、13年の改正で加えております。
11ページは損害保険料控除でございます。損害保険料控除は、右下にございますように、39年に創設したもので、金額が短期3,000円、長期1万5,000円というものでございます。損害保険料控除につきましても、その四角のすぐ上に、生命保険会社も身体傷害に起因する保険契約を結ぶようになりましたので、ここも相互参入の部分につきましては、生保会社の部分を加えているというような改正がございました。
12ページに適用状況でございます。生命保険料控除が左側のほうにございますが、適用割合を見ていただきますと、生命保険料控除は納税者の大体8割強は使っておって、その水準は近年変わらない。非常に高い水準で使われておるというものでございます。右側に個人年金のほうでございますが、これはまだそこまでもいっていませんが、大体、15%から2割までの間という感じでございます。
13ページは損害保険料控除でございます。適用割合のほうですが、特に申告所得者のほうは、下のほうの半分でございますが、こちらのほうの適用割合の数字が高うなっておりまして、6割を超えるような感じでございます。右側に持ち家率の実態というのが(参考)というふうに囲んでございますが、この損害保険料控除、主だった資産という意味で持ち家というふうに考えますと、これが6割ということでございますので、そういう意味では、申告所得者の適用割合の6割というものは、持ち家率の6割にほぼ見合っている、あるいはそれを凌駕しているというような水準になっておるということでございます。
したがいまして、この保険料控除につきましては、長期貯蓄奨励というようなことで始まりましたが、非常に長いことたっておりますし、水準もかなり高い水準になっているということもございますので、貯蓄優遇税制の見直しという観点で、これを見直していくというのが課題になっているということかと思います。
それから、14ページは、いわゆる老人マル優、少額貯蓄非課税制度でございます。いわゆる老人マル優は、350万円ずつの非課税限度額が3つのカテゴリーがございまして、上にございますように、預貯金関係のもの、真ん中の国債・地方債の関係、それから郵便貯金ということで、それぞれ350万円ずつのものでございます。
利用人員が預金が1,500万人とか、郵貯が1,100万人とかいう数字がございますが、1人当たり貯金額が200万円、300万円、こういうオーダーでございます。
これは、この箱の下のほうに備考でございますが、もともと63年までは少額貯蓄非課税制度でございましたが、63年の段階で老人に限ったものになっておるということと、平成6年に、3.にありますように、限度が300万円から350万円に引き上げられたということでございます。
15ページを見ていただきますと、左側は減収額、先ほど見ていただきましたが、貯蓄の残高で見ますと、郵貯、少額貯蓄が30兆円台の残高でございますが、特別何か誘導で数字が動いているということではございませんで、こういうオーダーのようでございます。
本件につきましては、これまでも税制調査会で議論をいただいておりますけれども、その際に特に出てまいりました議論といたしましては、16ページにございますように、高齢者世帯の所得の内容を見ますと、昨今、年金もいろいろ充実してまいったというようなこともございまして、所得全体に占めますところの利子・配当による所得のウエイトというのは、これまでもそうでございますが、昨今また非常に小さくなっておりまして、右から2つ目の平成10年ですと、例えば1%を占める程度ということでございます。したがって、この1%、利子・配当全体でございますが、このうちから少額の老人マル優の貯蓄の利子の分のさらに税率分というだけのものでございますので、生活を支える所得と減税措置との関係では、かなり遠いものでございます。そういう利子・配当と非課税措置が老人の生活に影響するような課税のあり方として考えますと、現在は非常に小さなそういうオーダーでございます。
老人マル優につきましては、実は金融小委員会のほうでも御議論を賜っておりまして、先般、9月18日の日に、株式譲渡益につきましての意見をいただきましたときに、老人マル優につきましても触れていただいておりまして、貯蓄優遇税制につきましては、金融のあり方の切替えという方針、あるいは租特の聖域なき見直しという方針から、基本的には廃止に向けて検討するのが適当であるという御意見をちょうだいしております。
この老人マル優につきまして、政策目的の検証、あるいは効果というふうに考えますと、いま見ていただきましたように、貯蓄優遇制度の是正というのは大きな課題でございますし、高齢者の生活の実態とか、世代間の公平の問題とか、あるいは先ほど見ていただきましたように、こういった低金利のもとでは、この非課税措置でどういう減税効果がそれぞれの方に起きているかということを考えますと、全体では非常に大きな減収になっておりますが、個々の方の生活という面で見ますと、あまり減税効果のないものになっているというようなこともございますので、この際、この点につきまして、見直していく必要があるということは、金融小委員会の御議論でもちょうだいいたしているところでございます。
次に、青色申告特別控除制度でございます。青色申告制度は、シャウプ勧告を受けて昭和25年に設けられたものでございますが、この青色申告特別控除は、下の箱にございますように、平成5年に設けられたものでございます。実はその箱の直前に(注)というのがございますが、みなし法人課税の特例というのがそれまでございまして、それが平成4年の税制改正で廃止されたというようなタイミングでもございますが、青色申告特別控除制度というのができまして、正規の簿記の原則により記録している者には55万円の控除制度、簡易な簿記の方法により記録している者には45万円の制度、一般的には10万円の控除制度が設けられておりまして、こういう控除制度によりまして、青色申告の普及・奨励、適正な記帳慣行の確立というものを図っておるというものでございます。
青色申告の状況でございますが、18ページでございます。青色申告者数、左側にございますように、昨今、大体300万人ほどでございます。さほどの変化がございませんが、申告納税のある者と、そのうち青色申告者の比率というものをとってみますと、右にありますように、大体50%ぐらいで変化がないというような状況でございます。
したがいまして、この青色申告特別控除につきましては、この10年間この制度で適正な記帳慣行というものを誘導するということでございますが、青色申告者の割合などで見ますと横ばいに推移しておりますし、こういった形で誘導するのか、あるいは記帳指導を充実するというような形で記帳の慣行を定着させていくほうがいいのか、あるいは、そもそも記帳義務をどういうふうに考えたらいいのか、そういうような論点が出てくるように思っております。
それから、土地譲渡益課税が19ページ以降ございます。土地譲渡益課税につきましては、先ほどの減収額の中に入っておりませんが、制度といたしましては、19ページにございますように、上のほうは税率の特例がございます。下のほうに特別控除ということで、例えば収用等のために譲渡した場合の特別控除の特例ということで、譲渡益から5,000万円を控除するというような特別控除の特例が多数設けられております。それの概要が20ページでございます。個々には御説明いたしませんが、いろんな段階を設けまして特別控除制度がございます。
21ページは税率のほうの推移でございます。申し上げたかったのは22ページでございますが、土地の譲渡所得を見ますと、11年度の数字でまいりますと、全体の譲渡のうちから取得費を除きました譲渡益10.5兆円と右のほうに書いてございますが、このうち先ほどの特別控除の適用によりまして、課税ベースが抜けている部分が6.9兆円あるということで、減収額の試算には挙げてございませんが、特別控除によりまして、大きな課税ベースの欠落が生じているという面がございます。
この特例措置は、個々に見ますと、土地政策あるいは国土政策のために特例を設けているということになりますが、それがどの程度の効果があるのかというような検証の問題とか、あるいは、土地政策でございますので、税ではなく、都市計画とかの領域も考える必要がございます。この点、特別控除制度につきまして、租税特別措置の減収額の中に入っておりませんが、付け加えさせていただきました。
以上でございます。
〇事務局
続きまして、同じ資料の23ページ、資産課税関係の主な特例措置というのを説明させていただきます。
23ページに資産課税関係の特例措置、主なものを掲げてございます。このように住宅に関するものとして登録免許税の特例、あるいは贈与税の計算の特例、こういったものがございます。さらに土地に関するものとして、小規模宅地等についての相続税の特例、さらに農地についての納税猶予の特例、さらに保険金に関するものとして死亡保険金、死亡退職金に係る相続税の非課税制度というのがございます。
次のページから項目ごとに簡単に御説明させていただきます。
24ページは、最初にありました住宅に係る登録免許税の主な軽減措置の概要でございます。これは住宅対策の一環といたしまして、創設されております。下に個別にありますように、所有権の保存登記、あるいは所有権の移転登記、抵当権の設定登記、こういったものにつきまして、個人の住宅に関するものとして、床面積や、築後何年という要件を課しておりますが、本則の税率に比べまして、軽減税率として4分の1、あるいはそれ以下というような形での軽減を行っております。これは実は年間の不動産登記に係る課税登記件数が大体100万件ほどありますが、そのうちの1割程度はというのは、この住宅に係る軽減措置の適用を受けておるというような内容になっております。これも、これまで租税特別措置の整理合理化の流れの中で、税率を引き上げたり、あるいは景気の足取りとの関係で、住宅取得促進税制の見直しと合わせて引下げを行ったりというような経緯で、現在の税率になっております。
次のページ、25ページが同じく住宅に関するものとして、贈与税の税額の計算の特例の概要でございます。これも住宅建設の促進による内需拡大に資するためという政策目的で昭和59年に創設されております。細かな具体例は次のページになりますが、父母あるいは祖父母から実際に自分が居住の用に供する住宅を取得する場合に、贈与税額の計算の特例を適用するというような内容になっております。これは贈与税全体としていま申告件数が年間大体45万件ありますが、この贈与税の特例が大体5万件程度ということで、やはり申告の中に占める割合、比較的大きなものがございます。
具体的な計算等は26ページのほうの資料に掲げさせていただいております。俗に5分5乗方式と言われておりますが、これは一時に贈与された金額を5年間に均等にもらったというふうに、いうなれば仮定計算をいたしまして、5分割した形で税額を計算し、それを実際に贈与が行われた年に納めていただく。そういった考え方になっております。具体的には、ここに掲げておりますように、実際に1,500万円の贈与があった場合、その贈与を右側のように300万円ずつ5年間にわたって贈与を受けたというふうに仮定いたします。年間300万円の贈与と仮定した場合に、110万円の基礎控除を適用いたしまして、残った190万円に贈与税を課税する。これが大体税額21万円ほどになりますが、これを5年分足し合わせて105万円という数字になりますが、この105万円だけを1年目に納めていただくというような計算の仕方をする特例でございます。
27ページに、実際にそれぞれの贈与額のケースでどれぐらい軽減するかというのが下に掲げられております。私がいま申し上げました場合で105万円になるというのが一番下の1,500万円のケースでございます。このような形で負担軽減がなされております。
次のページ、28ページが小規模宅地等の相続税の課税の特例の概要でございます。これは昭和58年に創設されておりまして、被相続人、亡くなった方の事業や居住に用いられていた一定の規模までの宅地等につきましては、相続された方の事業や生活の基盤そのものでありやはり相当大事であろうと、あるいはそういった処分については、やはり相当の制約を受けるだろうと、こういった理由から、そういう点への特別な配慮を行うという趣旨で創設されたものでございます。現在、事業用宅地につきましては、事業を継続する場合、80%減額するという内容になってございます。適用対象面積は400平米まで。居住用宅地につきましては、居住を継続する場合に、これも減額割合80%。こちらは適用対象面積が240平方メートルというような内容になっております。
29ページがこの小規模宅地等の特例の推移でございます。昭和58年に創設された際、区分もたくさん持っておりまして、さらには減額の割合も、このようにそれぞれの性格に応じまして区別をしておりました。その後、地価高騰によります影響等もございまして、こういった形で整理統合され、平成6年度以降は、減額割合は事業用、居住用ともに継続する場合には80%、それ以外の場合には50%という内容になっております。さらに、適用対象面積も下にありますように、当初200平方メートルで始まりましたが、平成13年度には400平方メートル、あるいは240平方メートルという形で拡大されてきております。
30ページは、前の資料の注書きのようなものでございますので、ちょっと飛ばしていただきまして、31ページが農地等に対する納税猶予の特例の概要でございます。これは農業経営の近代化という政策目的のために、特に農地の場合には、民法に見られます均分相続等による農地の細分化というのがやはり相当大きな問題であったということもありまして、そういった農地の細分化防止、あるいは後継者育成ということを税制面で支援するという趣旨で始められた制度でございます。
もともとは、最初の丸にありますように、贈与税の猶予という形から始まっております。農業を営む方が後継者の方1人に農地の全部などを生前に贈与した場合、納税を猶予して、贈与者などが死亡した場合には、猶予された税額の納付を免除相続税の世界に入ってまいりまして、相続税の場合には、最後の丸にありますように、農地等の相続人が農業を継続する場合に限って、この農業投資価格という概念を導入しておりますが、農地価格のうち恒久的に農業の用に供されるべき農地として取引される場合に成立すると認められる価格、ここまでは相続税を負担していただいて、これを超える部分については納税を猶予すると。猶予した税額につきましては、相続人が死亡した場合、あるいはさらに後継者の方に農地等を一括贈与した場合、さらに申告期限後20年間農業を継続した場合、こういった場合について納付を免除するという内容になっております。
32ページが保険に関するものとして掲げさせていただいております死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額の推移でございます。これも昭和13年から始まっておりますけれども、一度25年に廃止され、26年に、先ほど説明がありました所得税の生命保険料控除とともに再度復活といいますか、創設されております。そういった中、物価の上昇あるいは保険金の契約金額の推移、退職金の上昇、こういった観点からこういう形で限度額が拡大してきておるという状況になっております。これも中期答申等では、公的社会保障制度の充実、あるいは資産選択への課税の中立性、あるいは税制の簡素化、こういった観点から検討すべきというような御指摘をいただいております。
次のページが相続税に関します中期答申の御指摘でございます。
35ページに、実はこれはちょっとこれまでの説明とは観点を変えるのですけれども、税法以外の規定による公租公課の禁止の例というのを掲げさせていただいております。冒頭、御説明しましたように、こういった非課税等の特例措置を置く場合、いわゆる税法本法に置く場合、あるいは租税特別措置法に置く場合がございます。実はそれ以外に税法以外の各種の法律にこういった特例措置を置く場合というのもございます。
ちょっと主なものをここで掲げさせていただきました。最初に、租税その他の公課というところで、障害厚生年金、遺族厚生年金などの保険給付等々を掲げさせていただいております。これはまさに社会保障政策との関係で、実はそれぞれの法律の中で、これらの保険給付の受給権の保護というものを行っております。具体的には譲渡ですとか、担保、さらに差押さえができないと、こういった受給権の保護を行っておりまして、それと並ぶ形で公租公課の禁止という規定を置いております。
さらに、所得税単独といたしまして、ここにありますように宝くじ、あるいはサッカーくじの払戻金といったものの非課税規定がそれぞれの法律に置いております。
さらに、登録免許税、印紙税等にもこういった登記あるいは書類につきまして、それぞれの法律で規定がございます。
こういった形で本法、租税特別措置法、あるいは税法以外の各法という特例措置が置かれておりますが、これは一応の整理といたしましては、本法には制度の基本となる本源的な措置、さらには租税特別措置法には臨時的あるいは特例的な措置、あと税法以外の各法には、先ほど申し上げましたように、社会保障政策などの個別の政策を実現するために立法するという立法趣旨から、政策ツールとして税制措置があるものについてはその規定を置くと、そういった一応の整理が可能かとは思います。しかしながら、一方でかなり古い時期に立法されたものについては、いろいろ沿革的なこともあること。あるいはサッカーくじのようなものは、実はこれは議員立法でつくられておるというようなケース等々、それぞれ事情もありまして、全体として必ずしも整合的になっていない点もあるのかなと感じております。
私からの説明は以上でございます。
〇事務局
地方税を手短に説明いたします。資料は右上に「基礎小3-2」とあります『地方税関係資料(非課税等特別措置)』という資料をご覧いただきます。
1ページでございますけれども、税収の減収の内訳、全体額であります。主なものでありますけれども、このうち左側にあります個人住民税あるいは法人住民税、事業税のほとんどが、ただいま御説明がありました国税と、若干控除額等違いますけれども、基本的に考え方は一緒でございますので、説明は省略をさせていただきまして、地方税独自のものとしまして、事業税の中の社会保険診療報酬の特例、それから固定資産税につきまして、順次説明いたします。
2ページはその一覧でございます。前回も御説明したとおりであります。
3ページから9ページまでは、個人所得税関係でありますので、国税準拠が多いものですから省略をいたしまして、10ページをご覧いただきます。これは事業税の社会保険診療報酬に係る特例措置でございまして、国税と違う扱いになっているものでございます。現在の特例措置、[1]でございますが、基本的に社保診の関係、収入は総収入金額に入れない、また経費は必要経費に算入しないということで、いわゆる非課税の扱いになっております。また、自由診療部分については課税されますが、その課税の場合も、なお書きでありますように、軽減税率が適用されるという優遇措置になっております。
これは経緯は[2]にありますが、昭和27年、古いですが、議員提案でこういう非課税の扱いになったまま今に至っております。減収見込みは、13年度で約820億円と見込んでおります。
11ページに国税のほうの扱いがありますが、この一番下の米印に経緯がございまして、国税のほうでは29年度から53年まで一律72%の概算控除の特例があったということでありますが、54年度改正で金額の段階が別に5段階になりまして、一番上の5,000万円超の部分が、最後の丸印でありますが、63年の改革で、5,000万円を超える事業者にはもう適用しない、そもそも適用しないとなりましたので、いまは5,000万円以下の収入の医師につきまして、この4段階で概算経費率の適用が可能であるということになっております。国税のほうは終始課税されております。地方税のほうはずっと非課税であるという違いがございます。
12ページに過去の答申の主なものを掲げさせていただきました。一番上に、昭和58年に事業税に着目してかなりはっきり初めて御答申をいただいたということになっておりまして、これを受けて59年の税制改正、あるいは消費税が入るときの63年の改正の時点では、いろいろ御論議はありましたけども、結果といたしましては、非課税措置のまま、昭和27年のままで現在に至っているということでございます。
私からは以上でございます。
〇事務局
続きまして、13ページをごらんをいただきたいと思います。固定資産税につきましての非課税等の特別措置については、先ほどごらんいただきました1ページのところで、3,250億円という計算をしてございますが、13ページはそのうちのまず非課税の主なものを出させていただいております。内容あるいは創設時点、それから減収額ということでございますが、下の注の1に書いてございますように、基本的には非課税対象の固定資産につきましては、その評価を行ってございませんので、正確な減収額というのは必ずしも明らかにすることはできないわけでございます。ここに挙げさせていただいておりますのは、一定の仮定をおき試算をさせていただいておるというものでございます。
さらに、注2に書いてございますけれども、非課税といたしましては、ここに5つほど挙げておりますもの以外にも、公共公益法人が一定の用途に供する場合の、いわゆる用途非課税というようなもの、この中にはまた社会福祉法人などが設置をする社会福祉施設の用に供する固定資産など、かなり数多くございます。
続いて14ページをごらんいただきたいと存じます。14ページ、15ページには課税標準の特例の主なものを掲げさせていただいております。13項目ほど挙げてございまして、減収額はそれぞれ右のほうに書いてございまして、ちょっとトータルを出していないのですが、この2ページ分で大体950億円の減収になるというものでございます。
課税標準の特例全体といたしましては、1,540億円ということでございますので、これ以外にまだあるわけでございますが、項目ごとの減収額が10億円に満たないようなものにつきましては、注を書いて省略をさせていただいております。ざっとご覧をいただきますと、項目的には電気、あるいは船舶、鉄道、ガス、航空機といったようなものが目立っておりますけれども、公共法人、公益法人関係はもちろんございますけれども、こういった公共の交通関係、あるいは産業関係の、特に固定資産税は土地家屋以外に償却資産にかかるわけですが、償却資産に関します特例という面が強いところでございます。
個々の御説明は省略させていただきたいと思いますけれども、全体にこういう特例の考え方としましては、多額の設備投資、これに伴っての税の当初の負担額が大きいということを緩和をする。あるいは公共料金にはね返りがあるようなものについての考慮、さらに設立当時の考え方としての国際競争力の涵養、培養というような観点でこういう制度が成り立ってきたと考えてございます。
16ページのほうをご覧をいただきたいと思います。こちらのほうには税額の軽減の主なものを挙げさせていただいております。税額の軽減につきましては、実質的には課税標準の特例と同じような効果を持つわけでございますけれども、主なものは新築住宅、それから新築の中高層の耐火建設物の住宅ということで、それぞれ最初の3年度分、あるいは5年度分について、税額の2分の1を減額するということで、額的には両方合わせますと1,500億円以上ということでございますので、固定の租税特別措置としては非常に大きなもの、半分ぐらいはこれで占めているということでございます。
ちょっと中身のほうをごらんいただきますと、要件といたしまして、床面積50平米以上から280平米以下というものを考えておりますけれども、減額される範囲につきましては、全部ではございませんで、上限として120平米というような形になってございます。これにつきましては、平成14年の3月31日までに新築されるものということでございますので、期限がございまして、今回もこの形をさらに延ばすというような形の要望を受けて、検討をさせていただいているということでございます。
17ページをご覧いただきたいと存じます。固定資産税につきましての非課税等特別措置の整理・合理化につきまして、政府税調としての中期答申の中で触れていただいた部分でございます。こちらの前段の部分に書いてございますように、3行目ぐらいからですが、「課税の適正化の観点から、政策目的が合理的か、政策手段として妥当か、利用の実態が低調となっていたり一部のものに偏っていないかなどの点について、今後も十分に吟味を行い、引き続き整理・合理化を行うことが必要」ということでございまして、そういう趣旨に沿って、私どもとしても整理・合理化をやってまいりたいと思っております。
その後ろの部分に「特に」とございまして、住宅用地についての特例措置、この水準の問題が触れられてございます。これにつきましては、この委員会でもお話があったわけでございまして、次のページをご覧いただきたいと思いますが、18ページのほうに、簡単に関係を出してございます。いま土地につきまして、宅地については、住宅ですとかアパートの敷地になっております住宅用地と、それ以外の非住宅用地、通常、商業地等というふうに呼んでおりますけれども、分かれております。住宅用地の中でも200平米以下の部分につきましては、これを小規模住宅用地と申しまして、通常の価格に対しての6分の1ということでの課税標準の特例を設けてございます。また、それを超えるものにつきましても、無限ではなくて家屋の床面積の10倍までという上限がございますけれども、一般住宅用地ということで、こちらのほうについては価格の3分の1ということで特例を設けさせていただいているということでございまして、右のほうに絵を描いていますが、300平米の場合ですと、200平米までが小規模、残る100平米が一般住宅ということでございます。
これにつきましては、平成6年のときにいまのような6分の1、3分の1という特例になったわけでございまして、それ以前は、それぞれ4分の1、それから2分の1という水準でございました。それについて、先ほどご覧いただきました17ページにございますように、地価の状況の変化、あるいは住民が応益的に負担すべき適正な水準を考えた場合に、拡充前の水準に戻すことについて検討する必要ということで御指摘がございまして、私どもとしても、納税者の税負担に対する配慮の観点を踏まえつつ、このあり方について検討していく必要があると考えているところでございます。
簡単でございますが、以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
あとしばらく時間を取りまして、国税・地方税に絡め、かつ、企業関係以外のところの租特を中心にいたしまして、御議論をいただきたいと思います。かねがね御指摘の点も出ておりますので、再度強調していただいても結構でございますし、今日新たに発見された部分について、またいろいろ御議論賜ればと思います。
それから、補足説明が1つあります。
〇事務局
1点だけ補足をさせていただきます。
前回、企業関係の租税特別措置を御議論いただいた際に、増収効果のある租特もあったではないかという御指摘がございました。「基礎小3-1」の資料にお戻りをいただいて、5ページをお開きいただきたいと思いますが、34番ということで交際費課税の特例。これは交際費につきまして原則損金不算入という特例をしてございます。この関係で6,200億円の増収効果があるということで、念のために資料をつけさせていただきました。
恐縮ですが、以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。では、そういうことも踏まえまして、どなたでも結構でございますから、御質問なり御意見なり、特に単なる御質問というより、いろいろ御意見もおありと思いますので、伺いたいと思います。いかがでしょうか。
〇委員
いま、企業課税の続きの説明がありましたが、交際費課税で、これは資本区分になっていますよね。それはあまり意味のないことだと思いますので、課税なら課税ということにするのが公平なのではないかと思います。あまり深い理由はないのですけど。
〇委員
ちょっとお待ちください。いま御説明いただいた箇所ですね。
〇委員
ええ。
〇委員
6,200億円ぐらい増収になっていると。ついては区分の立て方が……
〇委員
中小企業か大企業かというような資本金区分で非課税と否認したり是認したりしていますね。そういうものは必要ないのではないかと。課税なら課税というのが正しいのではないかという意見です。
〇委員
はい、わかりました。かねてそういう議論もございますね。ありがとうございました。
〇委員
いま説明を受けた部分についてなんですが、これは主に減収額の大きい、要するに、これがもしなければ、すごく税金が入るのになという感じのものが非常に多かったと思うのですが、やはり特別措置というのはそれぞれの政策誘導の目的があってできたはずで、それぞれもちろん理屈はあるのですが、中には、額は小さいけどもう当初の使命を終えたというような観点から、いろいろ問題点があるものがあるのではないかと思うのです。ですから、機会を追ってそういう部分をちょっと説明していただくと、その政策目的が終わったのかどうか、必要かどうか、老人マル優とか貯蓄優遇などはその1つかもしれませんが、そういう観点からの説明の機会も欲しいと思います。
例えば、私の考えでは、中期答申にも少し触れているようですけれども、退職金に対する特例措置というのがあると思うのです。長年勤めれば税制を優遇すると。今の時代ではこういうのはいかがなものかと常々思っておるものですから、政策的にどうかという観点からの説明もいずれの機会に欲しいというのが私の希望です。
以上です。
〇委員
退職金は租特になっているんですか。そうではないでしょう。
〇事務局
ここに掲げてございませんが、退職手当につきましては、年数ごとで控除がありますので、いまの御指摘のようなことはあると思いますが、私が説明いたしました白丸、黒丸的な意味でございますと、黒丸には入っておりません。
〇委員
入っていませんね。それはかねがねここでも議論になっているところでありまして、退職所得の特例をいずれまた議論しなければいけないと思います。
それから、いまおっしゃったように、今日いっぱい聞きましたが、企業のほうに関してはそれなりの問題意識を持って見ていたのですが、今日これを見て、事務局のほうで、少額も含めこれは問題ではないかというような御指摘をいただくと、我々の議論が進むだろうというのがいまの御意見だと思います。今日は無理かもしれませんが、事務局サイドから見て、これはもうそろそろいいのではないかとか、これはいろいろ意見があるけど残してもらうほうに入れてはどうか、といったような点がもしあれば、事例的に今日ちょっとおっしゃっていただくと議論が促進されると思いますが、今日は無理ですか。
〇事務局
御指摘の趣旨はよくわかりますので、どんな形でそれができるか、ちょっと検討させていただきます。
〇委員
わかりました。今日というのはちょっと難しいかもしれませんね。
〇委員
これは歴代の政府税調と党税調が全部、まあ主としてこういうことを全部やったのはほとんど党税調だけれども、しかし、政府税調だって見てきたわけで、共同責任を持っているんですよね。よくもまあここまでつくったものだと思って、日本の政党というのは政策誘導をやる場合に、税制というのを活用してきたんですね、要するに。それでも本体が、税収全体が膨らんでいるときだったらば、「まあまあ大したことないや、こんなものは」と言ってきたけれども、そこがもう全然逆の方向になってみれば、改めて全体としてこの重さが痛感されるということなんですよね。
それで、つまり言いたいことは、最低限これをどう切っていくかという考え方がまずあるべきなんだけど、とりあえずは、どうせ年度末になれば、いまでもちょろちょろ出ているけども、各業界その他でさらに各省庁を含めて、それにバックに政治家がついて、ないしは業界がついて、同じような要求がぞろぞろ出てくるのではないかと思うんですね。例年ほどではないかもしれないけれども、出てきそうな感じですよね。少なくともこれ以上政策誘導手段として税制を活用するというのは、税制本体が細っちゃって、すねかじりしてもらっても困るところに来ているわけですよね。だから、原則として新規のこういう項目は認めないと。
それから、もう一つ、仮にどうしても、これは従来と同じことを言っているだけにすぎないのだけど、どうしてもというのだったらば、自分のところの関連業界その他で、それに見合うだけのあれを持ってこいという、最低限そのぐらいのことから歯どめをかけたらどうかなと。それでも難しいと思うんですよ、実はね。と思うけれども、何か言わなければ、まあ来年、最終答申のときに書けばいいのかとも思うけども、どうせこういった問題が出てくるから、その頭が出ることを押さえるというところぐらいからしか始められないのではないかという気がするんですね。
〇委員
この租税特別措置というのを、この前の総会でも私ちょっと言ったのですが、極めて政府税調の無力な分野で、こっちだって議論はしているのだけど、なかなかそれが結実しないという歴史を繰り返してきたわけです。おそらく環境というのは変わっていない。もっとはっきり言うと、大体自民党が決める、政治が決めるという構造は変わっていないわけですね。その中でこの議論をするだけの意味が果たしてどれほどあるのかという虚しさを感じるということを、改めて申し上げておきたいわけです。
ちょっと話が違ってくるようなことがあるかもしれませんが、私はかねがね、自民党税調というのは一体どういう議論をしているのかというのは、前から関心がありまして、例えば政府税調ではほとんど実名入りで発言の内容が公開されている。しかし、肝心に決定権のあるとされている自民党税調での審議内容というのは、原則非公開ということで、これはおかしいではないかと、税制の決め方として。そういうわけで、例えば会長から、自民党税調に審議内容を公開してもらいたいというぐらいのことを言ってもいいのではないか。特に租税特別措置のような、あまり理屈というよりも、声の大きさ、力の強さで決まってしまうような分野、極めて政治的な分野、しかし決まることには変わりはないわけでありまして、それが法律になるということは、政府の提案だろうと、自民党の決定だろうと変わりないわけで、要は自民党税調の審議内容というのを、もっと国民の目に、あるいは国民の判断に触れさせてもらいたいということを、政府税調として言うべき時期かなと思います。
個別の話ですが、例えば個人関係、主として所得税関係の租税特別措置、このリストを見てみますと、大体ここら辺がやっぱり問題かなというのは自ずとわかってくるわけです。例えば老人マル優なんていうのは、確かに減収の規模も大きいですし、はっきり言って、いまの時代にこういうことが存在する意義がどれほどあるのだろうかという疑問を多くの人は感じると思うわけであります。
ただ、1つ私として注意を喚起したいのは、どうも最近の税制の議論は、理屈というものが何か御都合主義といいますか、はっきりしないところがある。それはどういうことかといいますと、貯蓄優遇はやめるのだということが、例えば老人マル優に関して言われているわけであります。例えば株式譲渡益課税の特例、これは資本市場、直接金融だというようなことで、これが大盤振る舞いというようなことで決まる。その対比というか相対の関係で、この老人マル優みたいなものが取り沙汰されている。
私は個人的には、貯蓄優遇というのはそんな悪いことなのかということを常々感じているわけです。貯蓄するのはけしからんことだと、もっと金を使え、あるいは株を買えというようなことが、個人のいろいろな考えがあるから、本当にそう思っている人もいるかもしれないけれども、しかし、それは税制として誘導するとか、あるいは主張するとかということが、税制の行き方として正しいのかどうか。私はむしろこの老人マル優というものを問題にする以上、もう金がないのだと、老人だけの貯蓄の利子を非課税にする、6,000億円を超える減収をしている余裕はないのだと言うほうがよほどわかりやすいし、また、高齢者への説得はしやすい。なまじ貯蓄優遇の時代ではないなんていうことを振りかざした場合、どれだけの高齢者の方々が素直に応じていただけるのか。それよりもむしろ、もう日本の国は金がないのだと、皆さん方もひとつ忍んでくださいと言うほうが、高齢者の理解を得られるのではないか。つまり、結果は同じかもしれないけれども、理屈をどう持っていくかということに、もっと私どもが慎重であってもいいような気がいたします。
それと、もう一つ、歳入の確保、税収の確保という面から言いますと、もっとほかにやるような方法はないのか。例えば生命保険料控除との関係ですが、この資料にもちらっと出ておりますが、確かに生命保険料控除というものがどれほどの意味を持っているかということは、大いに検討の対象になろうかとは思うのですが、500万円という非課税枠の存在、これが果たしてこのままでいいのかどうか、私はかねがねここでも指摘しているわけであります。子供さんがまだ小さいとかという場合は、非課税枠というのは効果があるかもしれませんけれども、30や40や50になって、立派に家庭を持っている人たち、それが年老いた親父さんが死んだ、保険金が入ってきた、それは非課税だというのはどうなのか。そこまで配慮する必要があるのかどうか。
あるいは、先ほどもちらっと退職金の話がちらっと出ましたけれども、私はいつか言った記憶があるのですが、もう退職金の2分の1カットというのは1回でいいと。例えば、役員になったときに退職金をもらう。その子会社に行って社長さんになる。その社長さんを辞めるときにまた退職金をもらう。何回ももらう人がいるわけです。お役人なんかもその口であります。学者の方々も、国立大学の教授を辞めると私立大学へ行く。そのときに退職金をもらう。私立大学の教授になって辞めるときにまた退職金をもらう。2回、3回、4回と、それはいいのではないか。最初の1回だけでこの退職金制度の優遇というのはいいのではないか。それだけやるだけでもかなりの増収というか、歳入の確保というのを果たせられる。
つまり、個別の租税特別措置の見直しというものに並行して、現行税制、ここであまり触れられていない、あるいは埋もれているといいますか、これまでの議論の表面に出てこないようなところで、もう少し、不合理であり、かつ歳入の増加というのが期待される方法がないのかどうか。ちょっと視野を広げた議論をしてもいいのかなと思っています。
それと、もう一つ、ちょっと長くなりますが、地方税関係です。地方税関係の説明を聞くたびに、また私はある思いを新たにするわけであります。というのは、地方税制の課税主体の自主性ということなのであります。例えば事業税の社会保険診療報酬に関する特例なんていうのがありますが、これは自治体で、例えばもうその特例は認めない、例えば東京都の石原慎太郎さんあたりだったら、こんなのはうちは認めない、東京都は認めないよと、例えば千葉県とか埼玉県は認めても、おれのところは認めないというような考え方は当然あり得るわけなのであります。しかし、法律を見ると、「特例をする」と、「できる」のではなくて「する」と書いてあるので、これは各自治体が対応できないようになっているのであります。
つまり、非課税特別措置の見直しを行う場合、これをやめるのだとか、やめないのだということとあわせて、各自治体に裁量権、これは例えば固定資産税の6分の1減額でありますが、東京都も6分の1、沖縄県も6分の1減額する必要は全くないわけで、東京都は6分の1ぐらい支払能力からいってやってもいいかなと、しかし、沖縄県はそれこそ2分の1でいいのではないかというような、例えば沖縄県がそういうふうに考えた場合、2分の1にもできるような道を開くという、これは法律の書き方の問題でありますけれども、つまり、全国一律にやめるとかやめないとかではなくて、各自治体の判断、裁量というのが働けるような、そういう見直しの方法もあるのではないかと思っております。
〇委員
いまの発言に対して、総務省から何かございますか。なかなか難しい点はあろうかと思いますが、地方分権下において問題提起だと思いますが。
〇事務局
いまの委員さんのおっしゃる点は、私どももかねて問題意識としては持っております。ただ、この6月末に閉じました地方分権推進委員会あたりでもそういう議論はあったのですけれども、地方分権だから地方の自主性を認めろという議論と、一方で、同じく日本国民なり日本の法人であると。これについて基本的なところはやはり同じにして、あまり差がつかないようにしていいのではないかという議論等がございまして、結局、いまはどうしているかといいますと、例えば、主として課税標準はなるべく混乱を招かないように基本的には同じにする。しかし、税率はできるだけ自由度を認めようと。しかし、その場合も個人所得課税みたいなものは、特に個人住民税なんかは、これはもう地域地域で自主的に判断して、例えば極端にいって税率が標準税率よりも5割増し、2倍になっても、それは住民が納得すればいいではないかという意味でも、条例の制限税率みたいなものは撤廃したり、届出すらしなくていいということにしたんですね。しかし、法人の場合には、やはりある程度そこに限定を設けないと、弊害が出るのではないかという声がむしろ強うございまして、これはいまでも法人事業税なんかを例にとりますと、1割増しまでしかできないというふうに制限税率が決まっているわけです。それから、固定資産税でいいますと、税率は1.4%が標準ですけれども、一番多くて5割増しの2.1%が上限となっております。
というふうに税の性格論もありますけれども、できるだけ自由度を認めるとすると、まず税率のほうだなということで、分権委員会の勧告などでは、先ほど申し上げた個人住民税などの上限の制限をやめるとか、報告は要らないようにするとかというようなところまでは来ております。
さらに、課税標準のところでもっと自由度を認める、あるいは国が政策減税としてやっているのを、それは別途違う観点でやってもいいのではないかという議論は、議論としてはあり得ると思うのですが、まだぜひそうしろという意見が非常に多いという状態にはいまのところなっていないと、こういうことだろうかと思います。今後勉強してまいりたいと思います。
〇委員
やや消極的というか慎重な考えで、総務省のおっしゃる説明というのは、私、常々感じているのですが、何か言うことをその場に応じて使い分けている。地方分権だとか地方の自主性だとか言うなら、もっと税制からも踏み込んでいったほうがいいのではないか。せっかくここまでやってきたのだし。
それと、もう一つ、これはちょっと技術的な質問ですが、こういった例えば社会保険診療報酬の開業医に対する特例ですとか固定資産税、諸々の減収は、交付税の算定においては、これを前提に算定するわけですか。
〇事務局
交付税の算定では、基準財政収入額はそれを前提に算定しています。
〇委員
よろしゅうございますか。いまエールが送られたと思ってください。
〇委員
今日の御説明で非常に印象深かったのは、16ページの老人マル優、いまや高齢者の収入では1%だという数字がございました。これは平成10年ですから、最近はこの平成10年よりも金利は半分ぐらいになっているのではないかと思いますから、もっとウエイトは低くなっているのではないかと思います。こういう意味で、あまり効果も期待できない制度になっているということもある。それから、個人金融資産はほとんど半分は高齢者が持っている。これ以上優遇するということは、どう見ても必要がないのではないか。しかし、そこは適宜な経過措置も考えながら、何かうまく処置をできないかと思うわけでございます。
それから、固定資産税のお話が先ほどございました。拡充前の4分の1という答申がありますけれども、4分の1ということにもこだわらず、その前の2分の1でもいいのではないかという感じもいたします。
それから、いまも御議論がございました社会保険診療報酬でございますが、これは国税は29年から、地方税は27年からと同じような歴史がある。確かに政府税調が何回言ってもなかなか世の中は動かないわけですけれども、国税の場合は、29年以来10数回、20回ぐらい政府税調の答申でいろいろ指摘をいただいた。昭和49年には社会保険診療報酬だけのための答申をまとめて、世の中にぶち上げたという経緯もございまして、そのくらいの積み重ねを持ってきますと、世の中も動いていくということではないかと思うわけでございます。それによりまして、国税は63年でほとんど実態のないものに近づきつつある。あれは消費税の導入のときだったわけでございます。次にまた税制改革をやるときには、必ずこの問題も出てくると思いますので、なかなか、政府税調がいくら言ってもという点はあるかもしれませんけども、やはりそこは努力の積み重ねがあってもいいのではないかと思うわけでございます。
それから、今日の御説明の資料の中に、資産課税関係の特例で、現行制度、農地の相続税の特例というのがございます。それに関連して最近よく世の中に出ておりますのは、中小企業の承継に関連して、農業でもああいう制度があるのだからという議論が世の中にちらほら出てきつつあるわけでございます。しかし、農業のこの制度というのもいろいろ問題をはらんでいる。それを農業ならまあまあという点はあるにしても、これを中小企業一般に広げるということは、大変いろいろな大きな問題がある。と申しますのは、その事業を承継するというときに、農業でありましたら、農地法の制約もあるし、農業をやっているのかどうか、これが農業と言えるか、承継していると言うか言わないかは、ある程度客観的な判断ができるが、中小企業の場合に、それを承継しているというのは、どういう場合までが言えるのかどうか。町工場をオフィスビルにしてしまったとか、洋品店をコンビニにしたとか、郊外に持っていったとか、いろいろな形態があり得る。それはシステムとしてなかなかなじまない。仕組みにくいのではないかと思います。
それから、もう一つは、中小企業でございましても、どんどんいろいろな時代の変化に応じて生生発展していくべきであろうと思いますが、これを承継なり継続ということを厳密に解釈して、5年、10年、20年、農業は20年ですけれども、同じことをやらなければいけないということを、税制が別に言うわけではない、適用を申請した人はそうだということですが、とかくそれでもって一定期間はその事業をそのまま継続しなければいけないということを、税制が暗黙のうちに認め、あるいはそれを奨励するというのは、制度としてもいかがなものかと思うわけでございますので、いろいろ農業があるからということで議論は出てくるかもしれませんけども、そこはよほど慎重に、また性質的にも不可能ではないか。そこを、そうした議論が本当に出てくるのかどうかわかりませんけれども、十分心して対応しておくべき話ではないかと思うわけでございます。
そして、中小企業の承継につきましては、法律でもいろいろ、ここにも評価の特例もありますし、また土地の評価の特例もございますし、中小企業の株式の評価についても、いろいろ執行サイドで配慮されている。本当に中小企業の承継に税が阻害している面があるのかどうか。相続税というのは、いまは100人亡くなられて5人、6人という税金でございますから、本当にあるのかどうか。本当にあるとしたら、それはどういうふうに対処すべきなのか検討はしなければいけない。ということであれば、1回じっくりと時間をかけて、本当に承継が税とどういう関連になっているのか、もしそういう点が問題になるとすれば、まず実態をよく調べ、よく勉強し、よく検討する必要があるのではないかと思います。
〇委員
いまの話は、財務大臣が言っている話のことを言っていたんだよね。だから、こういう議論で大臣を説得しろよと言っているわけだね。僕はそれは抽象的にしか言わなかったけれども、つまりこれは特別措置の追加の話だ。それを原則ノーと言ってしまったら、財務大臣も立場に窮するだろうと思うんだ。やるんなら増税を持ってこいという話だろうからね。つまりそれが頭にあるわけですよ。どうせ放っておけば出てくるんですよ。
〇委員
それで、メッセージは何ですか。僕は記者レクしなければいけないから、そういう意見が出たから……。
〇委員
先ほどの委員と同じ意見です。
〇委員
そうですか。では紹介しましょう。
あと3人でよろしいですか。次のテーマもまだあるので。
〇委員
この租特つぶしというのは、何度も挑戦して挫折している話なんですね。特にやはり生損保控除、それから、私は老人マル優はちょっと気の毒だなという気がして、あまりつぶせとは大きな声では言えないのですけれども、生損保控除はもういくら何でもいいのではないかと思います。
それから、社会保険診療報酬の事業税の特例というのは、もういいのではないかと。これも抵抗が強くて大変でしょうけれども、確かに先ほどの委員がおっしゃったように、声を上げ続けていくというのが大事だと思いますので、強いトーンで廃止というのを訴えたいと思います。
以上です。
〇委員
ついでに住宅ローンはどうですか。
〇委員
住宅ローンは、僕はもう何もなくてもいいと思うのですけど、全廃とやって、この景気情勢で言い出すのは度胸が要りますけれども、まあだけどやめてもいいのではないですか。
〇委員
先ほどの委員が、退職金は1回でいいのではないかと、それは本当にそう思うので、退職金が大体必要なのかということですね。日本だけなんだ、退職金は。中小企業はほとんどないですからね。僕なんか退職金はないしね。こんなもの日本だけの制度ですよ。年金があって退職金があるなんていうのはおかしな話、何回ももらうなんていうのは話にならない。それは取ればいいと思うのです。
僕が言いたいことはちょっと別の話なんですけど、これは前回の企業関係の租特のときに、これだけたくさん廃止させて取るのなら、法人税率を1%下げるとか何か考えたほうがいいのではないかと、返すことを。それは考え方であって、実際は返さなくていいと思うけれども。そういう考え方であるならば、僕はこの間たまたま、ある信金の会長がいますよね、住宅金融公庫の問題で、住宅金融公庫を廃止するという話をしたら、すぐ住宅金融公庫より安い住宅ローンの金利の商品を発売しましたよね。そういう非常におもしろい人ですけれども。
それで、その話をしたら、7、8年前にある信金が懸賞金付きの商品を売り出したときに、これは30万円なんだけど、普通50万円までは税金を取らないのに、30万円の懸賞に税金を取ったと。これは根拠は何だというと、租特であると。そういう租特があるのだという、つまり取るほうの租特があるということで、取らないほうの租特と取るほうの租特があるわけで、この前の話では、取らないほうの租特の話ばかりで、取るほうの租特の話をきちんとしないと、これは説得力がないですね。
だから、お役所がよこすデータは、都合のいいデータをよこすわけだから、取るほうの租特と取らないほうの租特が両方あるので、それをきちんと相殺して見ていく必要があるわけで、両方俎上に乗せないと、法人税率を1%下げるとかという話よりも、何でこれを取るのだということをきちんと考えていかないと。それは個人的には事務局の人へお伝えしましたけれども、たかだか30万円の懸賞金から金を取る。つまり7、8年前だから、当時の銀行局の古い考え方の時代のままなんですね。金利の競争をどんどんするということで、これは金利の競争ではないのだけれども、やはり新製品を出して、そして競争させるというようなことをやっているわけだから、そういうインセンティブを持っているところを大事にしていかなければいけないのに、一律にしてしまうということですね。
〇委員
わかりました。取るほうの租特、もし資料がありましたら出していただきましょうか。
〇委員
今日、御説明のありました生損保控除とか青色申告特別控除、住宅ローン税額控除、それと老人マル優、こういった大どころは、いずれも中期答申で問題点を指摘していますね。それぞれきちんと指摘していると思うのです。
それで、今後どうするか、具体的にどうするかということになりますので、ともかくやはり踏み込んでいく必要があるだろうと私は思うのです。その際、非常に重要なのは、税負担の公平の観点からおかしいのがあるわけですね。どう見てもおかしいというのがあるわけです。その点は徹底的に切り込んでいくということは不可欠であると思うのです。もう徹底してやると。絶えず問題点を提起していくということが重要であると思うのです。
例えば、住宅ローン税額控除。これは、この控除の適用によって所得税額がゼロとなる給与収入額、これは夫婦子供2人で最大934万8,000円ですか。これはいくら何でもひどすぎますね。やはり税負担の公平の観点から、どうしてこんなことが許されているのかと。身近にいるんですよね、この制度の適用を受けて、大金持ちがですよ、何不自由ない人がこの制度の恩恵を受けている。もう不公平極まりないですね。私の身近にいるんです。これは絶えず怒っているんですけど、けしからんと。ともかくこれの制度をさらに延長するということはとんでもないと。だって、景気対策の観点からも、果たしてどの程度の効果があるのか、これは非常に疑問があるわけですね。これは来年度の税制改正でも、そういう問題点をきちんと指摘しておく必要があると思います。
それから、もう一つ、土地譲渡益課税の中で、収用等のために譲渡した場合の特別控除の特例5,000万円。これも相当昔から問題点を指摘しているわけですね。なぜ5,000万円なのかさっぱり根拠はわからない。これも不公平だと思うのです。こういうのが依然として大手を振ってまかり通っている。本当に許せないと思うんです。だから、そういった不公平はおかしいと、そういう観点から徹底して切っていくということが私は必要であると思います。
それから、老人マル優、これは非常にデリケートな問題でありまして、私はもちろん廃止は大賛成なのですけれども、相当強い反発が出るわけですね。この前の総会でも出ていましたね。やはり弱い者いじめとか、いろいろな理屈はつけて出てくると思います。こういう反発に対して、金がないからともかく廃止するよということで理解が得られるかどうか。これはやはり非常に難しいところ、考えてみなければいけないところだと思うのです。だから、老人の方々にもシェアしてもらうという考え方もあると思いますし、ドラスチックにやるのか、段階的にやるのか、あるいはタイミングをどう考えるかですね。先ほど経過措置が必要だとおっしゃいましたけれども、その点はやはりじっくり考えてみる必要があるのではなかろうかと思います。
〇委員
大分時間が超過しましたので、次の環境関係の税制に話を移させていただきます。いずれにいたしましても、租特はまだ年度末の年度改正にかけてまだ議論するときがございますので、そのときもう一回御発言いただきます。
それでは、地球温暖化の問題につきまして、いくつかいま新しい観点から税制論議が出ております。COP7がもう始まるというのはすでに御承知と思いますので、その辺、中央環境審議会でもいろいろ立ち上げたことをまず御紹介いただき、その後、事務局のほうからそれに絡む資料を出していただこうと思います。
では、委員に、中央環境審議会の中の地球温暖化対策税制専門委員会ですか、そこで兼ねておられますので、ちょっと第1回目の御様子をお聞かせください。
〇委員
御紹介ありましたように、環境省の中央環境審議会で、「地球温暖化対策税制専門委員会」という専門委員会を立ち上げました。
ここに皆さまにお配りしてあります2枚紙がありますが、それの1枚目に書いてありますように、委員がおりまして、その中に政府税調のほうから5人がメンバーに入っております。基本的には政府税調とタグマッチでやっていきたいということだろうと思います。
第1回の委員会を10月17日、水曜日に行いました。そのことに関して簡単に御説明をしておこうと思います。
一番最初に総合環境政策局長が挨拶をされまして、地球温暖化対策税というのが環境省での税の位置づけですが、この税については、京都議定書の発効に不可欠なものとは考えてはいないけれども、わが国の実情に合った税制を検討し、国民の理解を得ながら、なるべく早期に導入することが望ましいというふうに考えて、この研究会での議論を来年度以降本格化すると思われる政府税調での議論、というふうに彼らは言うのですが、その来年度から始まると思われる政府税調での議論へとつなげる上で、国民的理解を得るための先駆的役割と位置づけているということだそうです。
そのあと、国内外の情勢、それから過去の検討経緯、3番目に今後の進め方という順序で簡単に説明がありました。国内外の情勢に加えて過去の検討経緯については、中央環境審議会の地球環境部会国内制度小委員会の中間取りまとめ、それから2番目に、これは会長が取りまとめられたものですが、数年前に環境省が取りまとめられた「環境政策における経済的手法活用検討会報告書」、それから、飯野座長のもとで環境省がまとめられた「地球温暖化防止のための税の論点報告書」という3つの報告書をもとに説明がありました。
そのもとで簡単にいくつかの質疑応答があって、多分、政府税調が関心を持つかもしれないと思うのは次のいくつかの点ですが、1つは、環境税導入によってどの程度温暖化が削減するか明確な目標を設けるべきではないか、という点ですが、「議定書発効に向けての国内対策は検討しているけれども、現時点では環境税導入を前提としているわけではない」というさっきの論点ですね。「むしろ環境税については、さまざまな施策を進めていくに当たって有効性は高いということになり、国民の理解を得られた段階で導入を検討することにしたい。この委員会ではいざ環境税を導入するとなったときの準備をしていくという位置づけである」と。基本的には、現状にあるどのような環境税をどのような形で、あとで御説明しますが、そういうことをいまのうちに仕分けしておきたいということだと思います。
それから、道路特定財源見直しとの位置づけをどういうふうに考えるかということですが、事務局からの答弁は、「政府税調でも議論されると思うけれども、現時点ではその方向性が不明なために、この環境省の委員会でもどのような方向で進めるかは未定である。いろいろなケースについて勉強して、来年の本格的な議論に向けて準備していきたい」ということです。
3番目に、環境税を国税ととらえて議論するのか、地方税を含めた議論とするのかということで、これも事務局の答えですが、「広義の環境税の中には、産業廃棄物税など地方税になじむものもあるけれども、本委員会では地球温暖化対策税として国税を中心に議論していく」というのが当面の答えです。
最後に、今後の進め方ということで、委員長のほうから、どのような環境税が考えられるのか、課税段階、課税標準、納税義務者など、あるいは温室ガス削減効果というものがどのぐらいあるのか、経済への影響はどのぐらいあるのか、ということ。3番目にその対策はどうかというようなことについて、順次検討していきたいという説明がありました。
その上で、この2枚紙の2枚目の「検討の進め方」でスケジュールが示されたのですが、あまりにも簡単すぎたということだと思うのですが、事務局からその後補足説明が入っておりまして、この委員長の発言をもう少し具体的に言うと、こういうことが問題になるのではないかということで、次回の委員会までに少し考えておくようにという各委員に対するペーパーが入っています。
まず1つ目は、どのような環境税が考えられるかという制度にかかわる部分ですが、1番目の論点としては、課税段階、つまり上流課税なのか下流課税なのか。上流課税の輸入とか採取とか原料引取段階でかけるのか、あるいは下流ということで、加工後ないしは最終需要段階でかけるのかというようなことが問題になるだろう。
それから、2番目に課税対象ということで、化石燃料等の範囲を包括的なものにするのか、あるいは個別燃料ごとに見ることにするのか、というようなことですね。現状を見てみると、例えば石炭というのは全然課税されていない。それから、各石油製品もいろいろな税率が違うのに加えて、灯油とか重油などは課税されていない。天然ガスも課税されていない。電力は原発の関係の税金になっていて、発電燃料とか電力消費という形ではかかっていないわけですが、そういうような個別の税制がいまでもあるわけですけれども、それを調整していくというような方向でいくのか、あるいは先ほど申しました包括的な形でいくのかということだろうと思います。
それから、そのほか制度に直接かかわる論点として、課税標準をどうするか、税率をどうするか、国税にするのか、地方税にするのか、地方独自税にするのか、というような論点。
4番目に、既存税制との関係整理ということで、先ほど申し上げた課税対象ともかかわりますけれども、既存の税が課税されているものを対象とする場合、単純に上乗せをするのか、税率を調整して導入するのか。それから、既存税が課税されていないものを対象とする場合には、そこをどう調整するのかというような論点が多分あるだろうというようなことが示されています。
2つ目は、税による効果、影響に関する評価についてということで、例えば温暖化ガス排出削減効果として、いろいろなものが考えられます。例えば物価上昇による需要抑制効果とか、中長期的な技術開発燃料転換を伴う動学的効果とか、アナウンスメント効果、こういう需要抑制、動学的効果、アナウンスメント効果、その他もあるかもしれませんが、排出削減効果の大きさの評価をどうするか。それからマクロ経済への影響ですね。景気とか経済成長への影響がこの温暖化対策税というものがどの程度の影響を持つのか。
それから、もう少しミクロにおいて、産業の国際競争力への影響があるのかどうか。あるいはもう少し効率ではなくて分配の問題として、低所得者への影響、例えば逆進性への配慮、ということが影響を考えてみる必要があるだろう。
それから、もう少しより一般的な公平の話として、業種間とか世代間等の公平性の確保の問題もあるだろう。
3つ目は、税によるネガティブな影響の緩和の方策として、税の減免措置によって対応するというやり方もあるわけですが、その場合には影響緩和と効果減退のトレードオフがあるだろうと。
もう一つは、温暖化対策税について、課税対象等により減免するというやり方もあるだろう。特定の燃料種別とか、納税義務者別とか、納税負担者別、特定用途別等によって減免するというやり方もあるだろうけれども、こういうことをどう考えるか。
最後にその他の論点として、温暖化対策の政策パッケージにおけるほかの政策・手法との組合せ、分担によって、効果をより一層発 揮させ、またネガティブな影響を緩和し得るということで、例として財政的措置による対応、多分これは具体的な例を私の頭の中で挙げれば、技術開発に対する補助金というようなものが一つの典型かと思います。もう一つが排出量取引との組合せ。これを温暖化対策税と組み合わせるというやり方もかなり考えているようなので、こういうことについてどういうふうにお考えになるかということを聞いてきています。
大体そんなところが状況ですが。
〇委員
京都議定書の調印ということをめぐって、いよいよ議論は本格化してきたなという感じがいたしますが、環境省はいろいろ始めたわけでありまして、いずれ我々もその議論に参画するのか、参画しないのかも含めまして、タッチしなければいけない時期が来るかもしれません。
それでは、事務局からもっと一般的な意味での地球温暖化と税制につきまして、御説明いただけますか。
〇事務局
それでは、私のほうから経緯を中心といたしまして、「基礎小3-3」という資料でございます。『説明資料』と書いてございます。
1ページめくっていただきまして、これはここ10年程度の地球温暖化問題の経緯でございます。始まりは、そこにございますように、92年の5月に気候変動枠組条約というものが採択されまして、これは94年の3月に発効しておりますが、ここでは拘束力のあるものとしてではなく、努力目標といたしまして、先進各国が90年代末までに、温室効果ガスを排出する、これはCO2等中心でございますが、これを90年のレベルまで戻すということになりまして、これを受けまして、97年の12月、気候変動枠組条約第3回締約国会議、俗にCOP3と言っておるものでございますが、これは京都で開かれた京都会議でございます。ここで実は努力目標をさらに格上げするということが合意されまして、先進各国ごとにCO2等の温室効果ガスの拘束力のある削減目標を定めるということで、京都議定書というものが採択されたわけでございます。
この発効要件が定められておりまして、先進各国の総排出量が合計で55%になるまでの国が締約しまして、そのほか途上国等も含めまして、55ヵ国が加わるということで発効するということになっております。
ちなみに、アメリカが総排出量の先進国中に占めるシェアが36%、日本が8%強ということでございます。実は御存じのようにアメリカがいま離脱ということでございますので、日本が加わることは必須であるということでございます。
その削減目標というのが下に書いてございますが、90年を基準年といたしまして、2008年から2012年。したがいまして、これは実際削減を実施するのは2008年から実施するということの義務になっているわけでございますが、この5年間に、そこに書いてございますが、先進国全体といたしまして5%以上、それぞれの国に、日本は6%、アメリカは7%、EUは8%というぐあいに割り振られておるわけでございます。
そこの(注)にございますが、日本は90年以降、実は民生用あるいは運輸用を中心といたしまして、温室効果ガスは増加を見ておりまして、99年度の数字しかございませんけれど、6.8%上回っているということでございますので、単純にいいますと、いまから10数%削減していかなければならないということでございます。
この間、98年には総理を本部長といたします地球温暖化対策推進本部で地球温暖化対策推進大綱というのが決定されておりますし、98年には基本方針を定めました地球温暖化対策推進法というのも成立しております。
これは今年に入ってからでございますけれど、気候変動枠組条約の第6回締約国会議(COP6)の再開会合と。実はこれは2000年の秋にCOP6が開かれたわけでございます。ここで京都議定書の実施の細目につきまして合意ができなかったということで、一旦開かれなかったわけでございますけど、これがドイツのボンで7月に開かれまして、基本的に細目で合意を見たということでございます。
そこの下にございますように、2001年10月29日、来週からでございますけれど、モロッコのマラケシュでCOP7というのが開かれまして、これは基本的にボン合意を成文化するというものでございまして、一段と実施に向けての環境が整ってくるということでございます。
これは先ほど発効条件の話を申し上げましたけど、国際的に2002年に発効させるということが目標になっておりまして、2002年の9月に南アのヨハネスブルクで地球サミットというのが開かれますので、これを目指して来年度というのが1つターゲットになってくるということでございます。
駆け足で恐縮ですが、その次のページが、昨年いただきました中期答申の関係部分の要約でございます。これも読み飛ばしで恐縮でございますけれど、まず最初一番目の丸のところでございますが、「汚染者負担原則(PPP)を基本としつつ」ということでございますが、そのPPPにつきまして下に書いてございます。環境負荷の原因者に対して負担を求めるべきという原則でございまして、これはOECD等で1つの原則として確立しているものでございます。
恐縮ですが上に戻っていただきまして、「規制的手法、自主的取組み、経済的手法といった各種手法の特徴を踏まえた適切な組合せを考えていくことが必要だ」ということでございまして、この点につきましては、次のページでもう少し御説明させていただきたいと思います。
その下でございますが、「地球温暖化問題など、排出源が多数存在し排出削減に向けた継続的なインセンティブが必要な問題については、税を含む経済的手法の有効性が指摘されています」ということでございます。
それから、2番目の丸でございますが、このポイントは、「環境施策全体の中での税制の位置付けが明確にされる必要がある」ということ。
3番目の丸は、「既存のエネルギー関係諸税との関係についてどう考えるかという議論がある。」
4番目の丸でございますが、税収の使途でございます。「特定財源等として活用することについては、税の基本からいたしまして好ましくない」という一方で、少数意見ということでございますが、「環境施策の財源調達手段として検討すべきという意見もあった」ということでございます。
最後の部分が結論でございますけれど、「税制の環境施策全体の中での位置づけを踏まえながら、国内外における議論の進展を注視しつつ、PPPの原則に立って引き続き幅広い観点から検討」ということが昨年度の答申でございます。
次のページでございますが、環境政策としての各手段の比較のメリット・デメリットというのを書かせていただいております。大きく分けまして、先ほども出てきました規制的手段、自主的取組み、経済的手段の3つでございますが、その経済的手段の中に1つ税・課徴金、そのほかに助成措置、ここにも税の措置が関係しておりまして、補助金、低利融資のほかに租税特別措置が入ってくるということでございます。
それから、排出権取引、デポジット制。ただ、このデポジット制はもっぱらリサイクルのインセンティブということでございますので、地球環境問題との関係ではあまり議論されることがないものでございます。
シャドウのつけてある部分、税・課徴金の問題でございますけれど、これはまさにいま問題になっている話でございますが、汚染物質の排出等に税・課徴金を課して、過剰生産を抑制するということでございまして、基本的に先ほど申しましたPPPに適合的しているということ。
それから、メリットのところの一番目の丸でございますが、市場メカニズムを通じて各主体が最も効率的な施策を選択するため、多数の排出源があっても、社会全体として最も少ないコストで済むということでございまして、経済理論的に言いますと、限界的な除去のための費用と税率が等しくなるところまで皆さんが合理的に行動すれば、排出が抑制されるということでございまして、コストも最も社会的に少なくて済む。
それから、継続的なインセンティブがあるために、技術開発等にも長期的にプラスということと、副次的ということではございますけれども、収入をもたらしてくれるという一方で、デメリットといたしまして、社会的合意の形成が大変であるということと、特定排出源に対する細かな配慮を盛り込みにくいということがございます。
あと、助成措置についてもメリット・デメリットを御紹介させていただきますと、これはメリットのほうは、社会的合意は何としてももらうほうの話でございまして、得やすいということがございますが、何といってもPPPに反する可能性があるということと、社会的に不公正であるということに加えまして、財源が必要になってくるということでございます。
駆け足で恐縮ですが、次のページ、これは各国の状況でございます。そこにございます北欧4ヵ国、あるいはオランダで90年代の初めに炭素税あるいは一般燃料税というものが導入されております。これは当時多くの国で失業の問題と公害の問題というのがかなり大きな問題になっておりまして、グリーン税制改革ということで、1つはこういった炭化水素課税を導入する一方で、社会保険料等を減らすということで、エネルギーから労働への代替を進めるということで、環境にもOK、それから失業にもOKということで、「二重の配当」というようなことが言われておったわけでございますが、近年の実証的な研究では、どうも「二重の配当」というのはやや疑わしいというか、はっきりわからないということが言われております。
それと、この導入されたもののもう一つの特徴といたしまして、どちらかというと法人部門に軽い。と申しますのは、ヨーロッパの大陸は地続きでございますので、非常に国際競争力の観点というのが重んじられておりまして、特に一国できつくかけますと、他国に逃げていって、地球全体としては変わらないというようなことがあると言われておりまして、若干法人の部門のほうに軽くなっているということがあるそうでございます。
その後、先ほど御紹介いたしましたような地球環境問題の経緯がございますので、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア等におきましても、既存税制の引上げ、あるいは新税の導入といったような形で、地球温暖化問題に対応する税制面の取組みがなされているわけでございます。
次のページでございますが、これがそれぞれの国でどういったものが課税物件になっているかというようなことを一覧表にしたものでございます。これも概ね課税物件は似ておりますが、個々のところを見ていただきますと、若干課税されていないようなものもございまして、1つ申し上げると、例えばドイツでは石炭が課税されていないわけでございます。御存じのように、ドイツというのは大きな炭鉱地帯を抱えていますので、産炭地への配慮が働いたのだというようなことが言われております。
それから、課税の主体でございますが、これは地球環境全体ということでございますので、基本的に国が課税するということ。
それから、税収の使途でございますが、若干の目的が書かれておりますが、基本的には一般財源ということになっているところでござ います。
次のページでございますが、しからばということで、わが国の税制と環境のかかわり、いま現状どうなっているかということでございます。「環境との関わり」というところにございますが、1つは課税目的は全く異なっておりますが、結果といたしまして、エネルギー課税をしておりますので、これが環境負荷の軽減に役立っている、整合的であるというものがございます。このエネルギー課税の細かなことにつきましては、「基礎小3-4」という資料の後ろのほうにもう少し細かな一覧表がつけてございますので、あとで御参考にしていただければと思います。
それから、もう一つ下のほうでございますが、個々の政策目的に照らし特例的に税負担の軽減等を行うもののうち環境に関連するものということでございまして、これは環境関連の租特等でございますが、そこにございます租特といたしまして3つ並んでいるもの、これも参考資料のほうに詳細をつけてございます。
それから、もう一つ、これはあとで地方税の関係でお話があるかと思いますが、自動車税のグリーン化、あるいは自動車取得税の軽減措置といったような措置もございます。
簡単でございますが、以上です。
〇事務局
地方税の関係については、「基礎小3-5」『地方税関係資料』で新しくいくつか御説明させていただきます。
まず、1ページのところでは、地方団体はいろいろなことをやっておりますが、一番上にポツをいっぱい打ってございます。自動車利用の合理化とか、あるいはパーク・アンド・ライド、交通基盤の整備、さらに緑化等、地球温暖化対策につながるものも地方団体で始まってございます。
2ページ飛ばしていただきまして、3ページのところに全体のかかわりを書いてございます。1つは地方税の場合にも重量税として軽油引取税、あるいはかつて電気税、ガス税等が市町村税としてございました。
それから、2番のところにありますのは、自動車取得税、後ほどお話しします。そのほか公害防止の関係の特例がございます。
3番のところが新しいところで、御説明しますが、軽減するだけでなくて重課のほうもあわせて行う自動車税の関係でございます。
それと、4のところで、産業廃棄物税として1枚資料をつけておりますが、三重県の産業廃棄物税、9月28日、ついこの間同意したところでございます。
なお、一番下の核燃料の関係では、福井県の核燃料税、あるいは青森県の核燃料等取扱税、これも9月に更新してございます。
そこで、さっそくですが、自動車税のグリーン化ということで、これは関係の省庁も多ございますが、1行目にございますように、1つは排出ガスということで、窒素酸化物NOXの関係、あるいはPMの関係の問題等、それから燃費性能と書いてございますが、これは逆にCO2のほうですね。これを組み合わせる。ある意味でディーゼルなんかは排出ガスは非常に悪いわけですが、重たいものを運ぶ燃費という意味ではいい面もあるかと思います。いずれにしても、この排出ガス及びの「及び」というのは、「かつ」、排出ガスと燃費性能、ともに優れた環境負荷が小さいものを軽減、一方で一定年数を経過したものを重課するということです。
真ん中の表ですが、特例を低公害車はともかくとしまして、その下に星印がございますが、この星のほうは、排出ガス規制値の25%をよくする分、星1つが25%ということで、3つですから75%以上性能がいい。すなわち4分の1以下に抑えている。かつ、その低燃費として2010年の基準をクリアしている。ブルーバードのシルフィーとかプリウスとかありますが、その場合には税率を2年間50%軽減させる。以下、星2つの場合ですと、これは半分、50%以上性能がよければ4分の1、25%軽減、さらに1つの場合とございます。
例で申しますと、1,800㏄クラスですと、3万9,500円のところ、50%減だと2万円、あるいは25%減だと3万円、こんな感じでございます。
一方、下のほうが環境負荷が大きいということで、登録してから11年を超えるディーゼル車、それからガソリン車の場合には車検1回分をたして13年を超えるもの、それについては、バスなどを除いてございますが、税率を10%重課。2トントラックですと、1万1,500円が1万2,600円になる。こんな形で(1)(2)で2年度間を通じて、それぞれ220億円の軽課・重課、こんなような数値になってございます。
恐縮ですが、5ページのところは自動車取得税ということで、これはいくつか更新延長がございますので、箱が5つございます。上の低公害車特例、これは11年改正を2年延長してございます。14年のほうは、次の箱が早出し特例と言われているものでございます。いずれも下のほうに税率5%とか、営業用は3%、そこの率をどれくらい引くかと。それから、真ん中の低燃費の場合には、これは取得価格に税率がかかるわけですが、取得価格のところから30万円控除するという仕組み、これを1年延長でございます。
下の2つは、まず廃車をして、NOX法の中のものは延長。それから、新たに一番下ですが、NOX法対策地域外でもそういった特例をつけ加えるというものです。
最後に、6ページ、三重県の産業廃棄物税ですが、趣旨はそこにありますように、県内企業の排出抑制等の取組み促進ということで、信頼確保、産業基盤の確保ということですが、上から3つ目の「税収の使途」に書いてありますように、発生抑制、再生、減量、その他適正処理に係る施策を使途とする目的税でございます。そして、課税客体がその上にございますように、三重県に持ち込んだ中間処理施設、または最終処分場への搬入について、その重量、トン当たり1,000円。ただし、中間処理施設の場合には、乾燥とか焼却すると総量が落ちますので、その係数を掛けてございます。実際の見込みとしては、平年度で約4億1,100万円見込んでおります。
ポイントして非課税の事項として免税点1,000トンということで、これで区切ることによって、県内外で約91社がこれに該当するということで考えてございます。
はしょりましたが以上です。
〇委員
ありがとうございました。あと時間は4時まで5、6分しか残っていないのですが、せっかくでございますので、少し議論の時間を取りたいと思いますが、どうぞ。
〇委員
委員にお尋ねしたいのですけど、税調とタグマッチで先生を含めて5人のメンバーが入られたですよね。これは年内にまとめると書いてありますね。えらい忙しい仕事だと思うのですけど、ぜひお願いしたいのは、いままで研究者、学者、会長も大学者だけども、かなり抽象的・理念的に整理したのがあるんですよね。もう本になっていますから、全部読ませてもらってあるけれども、いまこれから始まる話は、国家批准を前提として、そうなるだろうということを前提として、これは大問題だけれども、とにかくそのあとに税制を組みましょうと、こういう話になっているんですね。
だから、ぜひお願いしたいのは、正直言って、いろいろな税金のかけ方はあると思うんです。優先順位付きの選択肢を示してもらいたいんだ。私ここで5分しゃべらせてもらえば、言いたいことは山ほどあるけど、とりあえずはそれをお願いしたいんですよ。それがないと、これは環境省だけの話ですから、この税金の話は。ほかにもたくさん税金の議論をやっている。財界等もやっている。僕は全部関係しているから、いろいろな裏の話を全部知っているんだけど、とりあえずは環境省がまとめるというから、それはそれで結構なんですよ。
問題は、タグマッチということが本当だとすれば、受けて税調は、年内にもまとめるそうだから、税調はいつごろから行動を起こすのか、これは会長に聞きたいんですよ。私の判断では、来年の5月か6月ごろ、順調にいって批准という公算が99%だと思いますね。批准して発効するに至るということは。その前にこれをやるというつもりは全くないですね、財務省も環境省も何もないんですよ。終わってからで結構だということになっているんです。だから、そうすると、一体我々のところに球が投げられて、今日は一応最初のボールですけど、真剣に本当の話を聞きながらやるのはいつごろになるのかなという気がするんです。それはどういうふうに判断されているのか。
〇委員
委員、いまのメッセージよろしいですね。
私の判断では、まだ定かではないのですが、要するに、実際に縛りがかかってくるのは2008年、2012年の間にマイナス6%ですから、おそらく政策手段として頭に入れなければいけないのは、数年先なんだろうと思いますよ。ただ、京都議定書を批准しなければいけないわけですね。そのときに無手勝流でやるわけにいけないわけです。しかるべき手段がないと、おそらくなかなか批准しにくいでしょうね。
ただ、環境省も地球温暖化対策税制を必要条件にはしない、つまりそれを絶対入れなければ批准できないということまではなかなか言えないと思います。ほかにまだいろいろ手段がありますから。技術的な問題もあるし、排出権売買もあるし、シンクの問題もあるから。ただ、この税制活用がないと、多分、今後議論はしにくいし、難しいと思いますから、私はここ1年以内にどうこうというところまではなかなか議論がいかないと思いますよ。特に財界、経済界、これは7団体ですから、あと経産省が少し乗ってきたようなところもあるけれども、これは難しいですね。
そういう意味で、ここで受けとめたときは、本格的にやる気が起きなければ無理ですよ。例えば小委員会を立てるとか。それはちょっと様子を見ないとと思っています。いずれ委員のお知恵もお借りしたいと思っていますけど。
〇委員
この環境税の話で2つあると思うのですが、要するに環境をよくするために何とかするという場合は、税でいろいろやるという手法は当然あると思います。でも、例えばさっきの自動車の軽減ですけれども、考え方として、よくやったやつをまけてやるというよりは、そうではないのを高く取るという方向でやっていくのが僕は正解ではないかなと思います。片一方で租税特別措置をちまちまと積み上げていくのはやめようよと一方で、ああいうのをつくっているのは、どうかなという気もちょっとするのですが、確かに税で何とかしなければならないところはありますので、それはどちらかというと増やすほうに、まけるほうではないというのをやるべきだと思います。
あともう一つ、税金のほうから環境と税をくっつけるという話は、非常に魅力的でありまして、これはPPP原則とかかわると思うのですが、汚染原因というのは必ずしも誰かわからない。わからないというのはどういう意味かというと、宅急便を運んできた車の運転手が汚染者なのではなくて、その荷物を受け取った人が汚染者だということだと思うのです。そういうふうにしていけば、結局、空気を吸っているやつは全員汚染者なわけで、だからこの環境というものは、あらゆる人が自分は汚染者だと思わなければいけないという観点から、全員に払わせる人頭税というか、10兆円、20兆円規模で取れるネタだなという気がしますので……
〇委員
10兆円は難しいですよ。
〇委員
いえ、急にはできませんけど、将来的に。だから税調のほうではそっちのほうから考えていったらいいかなと思います。
〇委員
わかりました。いい御提案をいただきました。
〇委員
この環境省の委員会に私も入っておりますが、まだ時間の都合で出ておりません。
環境税の問題は、会長が代表で本にされてもう10年ですね。あと、OECDの委員会のレポートも翻訳されていらっしゃいますし。最近のOECDのレポートは、ほとんど毎年か1年おきぐらいに経済的手法に関するレポートが出ていますが、読み比べると、どこが違うのだろうというような感じで、具体的に簡単に一言で申しますと、基礎的な理論的な検討というのは、もう随分進んでいる。いま、これ以上やっていると、空回りばかりして時間が無駄になっているような気がいたします。
先ほど事務局が御紹介いただいた例では、いままでは北欧に主に環境税というものでありましたけれども、いわゆるドイツ、フランス、イタリアもそうですが、ヨーロッパ全体でこういう方向に進んでいますので、やはり日本でも具体的な方向を考える時期であろうと思います。
先ほどの委員などの御発言にありましたように、いろいろ経済的な背景など御存じのようにいろいろ問題があるのだと思いますが、やはり具体的に入れるに当たっての障害がこういうことになる、あるいは環境税を入れる場合には、マイナスがこういう要因がある、典型的には自動車、エネルギーに関連しますので、道路特定財源のところが響いてくるのは目に見えていますけれども、そういったかなり具体的なレベルで、入れようとした場合に、こういうマイナス、あるいは阻害要素がある、にもかかわらず、このぐらいプラスが上回るのだという観点で、ちょっと具体的な議論にしていくのがよろしいのではないかと思うのですが。一言だけです。
〇委員
いずれにいたしましても、基礎作業が終わって、これから具体的な議論というときには、まさにおっしゃったように、優先でいいんですよね。この議論は避けて通れません。そういう意味で、今日は最初でございますから、まずジャブの応酬みたいなものですが、いずれにしても、事務局を中心として議論をフォローして、絶えず我々にインセンティブを与えるような、そういうデータをお出しいただきたいと思います。
すみません、数分過ぎましたが、これで終わりにしたいと思いますが、ちょっとこれからの予定を申させていただきます。
次回は11月16日の金曜日、午後2時~4時を考えておりまして、かねてより宿題になっておりました「バブル期以降の税制措置の総点検」をちょっと行いたいと思います。それと抱き合わせて何かまたカレントトピックスが出てくるかもしれません。
それから、11月の最終週から12月前半にかけまして、例の年度改正に伴う起草委員会、このメンバーでおやりいただきますので、それはいずれ代理を中心として数回起草の会合を持ちたいと考えております。そのときまた今日御議論いただきました租税特別措置の具体的なこと等々をまた御議論いただこうと思います。お忙しいと思いますが、よろしくお願いをいたします。
では、今日は数分超過いたしましたが、よろしゅうございますか。では、また次回までよろしくお願いいたします。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。