第2回基礎問題小委員会 議事録
平成13年10月2日開催
〇委員
それでは、皆さんお見えでございますから、第2回目になりますが、基礎問題小委員会を開催いたします。
最初に、お手許に『基礎問題小委員会における検討課題』という1枚紙が(案)という形で載っていると思います。それをごらんいただけますか。
今日は、議論に入る前に、どういう形で検討課題を処理しようかという点を、まず最初にお諮りいたしたいと思います。
この「検討課題」の欄の下に、「第2回目 租税特別措置等(総論、企業関係)」と書いてございます。今日はこれが主たるテーマでございますが、御案内のように、いま様々な、『改革工程表』『改革先行プログラム』をはじめとして、いくつか政府のほうから資料が出ておりますので、経済財政運営をめぐる最近の状況につきまして、この租税特別措置と抱き合わせて今日のテーマにいたしたいと思います。
そして、第3回目、10月26日は今度は企業課税関係以外の租特、いうなれば所得税、住民税、固定資産税等々、地方税関係も含めてここでやっていきたいと。
そして、またその頃、右側に書いてございます「参考」の中でいくつか項目が出てくるもので関係があるものがありましたら、拾い上げたいと考えております。
第4回は、11月中旬と書いてございますが、これは日が決まっていましたね。一応、16日を仮置きしてございますが、バブル期以降の税制措置の総点検を一応ここで総整理しつつ、頭を少し昔に戻しつつ議論をしたいと。この辺あたりでCOP7、例の地球温暖化の話ですが、このあたりが出てくれば、3回目か4回目に環境税の話も少し紹介してもらおうかと思っております。
そういうわけで、メインのトピックスとカレントなトピックスを抱き合わせまして、4回目ぐらいまでは一応我々の工程表をつくりました。
第5回以降は、中期答申に向けた検討として様々な問題が並んでおりますが、各個別の税の問題点、納番、税と社会保障の問題、あるいは道路を含めた特定財源、地方税財政、こういうことがおそらくあと2年後に迫る中期答申の準備として議論を開始しなければいけないと思っています。2年後といっても、実質的に審議できるのは1年ちょっとだと思いますので、そうのんびりもしていられないなという感じがしておりますし、11月以降になりますと、おそらく年度改正の審議を行うことになりますので、そこになりますと、今言った基礎的な問題はしばらくできなくなります。こういう段取りで考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
それでは、本論に入ります。今日は、冒頭申し上げたカレントのトピックスという意味で、経済財政運営をめぐるいくつかの諸問題を、まず事務局のほうに御説明いただくという形でスタートしたいと思います。よろしくお願いします。
〇事務局
では、私のほうから、9月21日でございますけれど、経済財政諮問会議のほうで取りまとめられました『改革工程表』、それと、これは中間取りまとめということでございまして、おそらく10月の中下旬と言われておりますけれど、私どもの税収のほう、9月末決算法人の見込みが少し固まってきまして、税収のほうが少し固まってくれば、補正予算の具体的な姿が描けるようになってきて、それを受けてということになろうかと思いますけれど、最終的な取りまとめになると言われております『改革先行プログラム』、これらにつきまして御報告させていただきます。
まず初めに、お手許に『改革工程表』という少し分厚い資料でございますが、これの中にございます税制に関係します部分、主だったイシューとしましては4つ程度でございますが、これについて御説明させていただきたいと思います。
恐縮でございますが、これの31ページでございます。お開きいただけますでしょうか。ここに、それぞれの分野ごとに、下に書いてありますようなI、II、IIIというようなタイムテーブルをつくりまして、工程表をつくっているわけでございますが、この中のまず一番上の「〇」のところでございますが、1つ目のテーマといたしまして、連結納税制度について書いてございます。「国際的に遜色のない、21世紀の我が国法人税制としてふさわしい制度を構築すべく、平成14年度予算の『国債発行30兆円以下』との方針の下、所要の財源措置を講じたうえで、平成14年度創設を目指し検討を進める」ということでございまして、これまで実をいいますと、政府としては、導入時期についてはかなり慎重な物言いをしていたわけでございます。依然として慎重ではございますが、平成14年度創設を目指すということを初めてタイムテーブルとして明らかにしたということでございますが、御存じのように、かなりの減収が見込まれますので、所要の財源措置、これを埋めて「30兆円」という政府としての方針に合わせるということが書かれているわけでございます。
2番目といたしまして、これは今日のテーマと関係しておるわけでございますが、租税特別措置につきまして、「平成14年度改正において、徹底した見直しを行い、廃止を含め大幅な整理・合理化を行う」ということで、14年度税制改正におきます租税特別措置の聖域なき見直しというものが書き込まれております。
それから、3番目のところでございますが、これはむしろ一般論といいますか、税制改革の方向といいますか、基本論でございまして、ざっと読ませていただきますと、「今後の経済社会の構造変化等に対応した望ましい税制の構築に向けて、政府税制調査会において、今後とも引き続き、所得、消費、資産等の適切な課税ベースの選択、できるだけ広い課税ベースの確保等、幅広い観点から検討を行う。とりわけ貯蓄・消費行動、投資・起業行動、労働供給・就業形態に対する誘因を十分に考慮して、個人、企業の経済行動に対して中立的な税制の構築に取り組む」ということが書かれております。
それと、ちょっと戻っていただきまして恐縮ですが、最後の大きな話でございますが、25ページ目でございます。これは分野といたしましては、「証券市場の構造改革」ということでして、全体といたしましては、その「関係府省」のところに書いてございますように、金融庁の話が中心でございますが、その中のIIの「臨時国会で措置」のところでございますが、ここに「証券税制について、早急に対応する」ということが書かれております。
これを受けまして、この工程表のうちから急いでといいますか、先行して実施すべきものを取りまとめたものがこの『改革先行プログラム』でございますが、ここにつきましても、証券税制につきまして、恐縮ですが7ページ目でございます。大きな項目といたしましては、「証券市場・金融システムの構造改革」というところでございますが、そのうちの[1]の「証券市場の構造改革」の中に、証券税制につきまして、最後のパラグラフでございますが、「さらに、貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替えなどを踏まえ、透明性・公平 性の高い証券市場の構築に資する税制改革案を早急にとりまとめる」ということが書かれております。
あと、27日、先週でございますが、国会におきまして、臨時国会冒頭に当たりまして、小泉内閣総理大臣の所信表明が行われたわけでございます。現在、御存じのように、衆参でこれを受けまして代表質問が行われているわけでございますが、この所信の中で、私どもの税制にかかわる部分だけ御紹介いたしたいと思います。
恐縮でございますが、3ページ目でございます。「経済運営の基本姿勢」という項目でございますが、そのうちのまず第2番目のパラグラフでございますけれど、「経済の基本的な成長力を高めるための構造改革に邁進してまいります。なお、経済情勢によっては、大胆かつ柔軟に対応します」というところで、ここにつきましては、あとでちょっと付言させていただきたいと思います。
それから、2番目でございますが、「十月中には『改革先行プログラム』を取りまとめます」ということで、これは最終的な取りまとめを行うということでございます。
その次のパラグラフでございますが、「平成十三年度補正予算については、安易な国債増発によるべきではありません。平成十四年度予算における『国債発行額三十兆円以下』と同様の方針で取り組んでまいります」ということがうたわれているわけでございます。
あと、恐縮でございますが、6ページ目でございます。ここも証券税制の話でございますが、このページの3番目のパラグラフでございます。後ろのほうでございますが、「市場の信頼向上のためのインフラ整備などを進めるとともに、証券税制についての改正法案を今国会に提出したいと考えております」ということが総理からも所信の中で述べられているわけでございます。
それから、そのページの最後のところからのパラグラフ、「第三は」というところでございますが、財政構造改革につきまして、「平成十四年度予算については、『国債発行額三十兆円以下』との目標の下、『五兆円を削減しつつ重点分野二兆円を再配分する』との方針で、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組みます」ということ。
それから、その次、「十一月を目途に、予算編成の基本方針を策定する」ということ。
それから、一番最後でございますが、「中期経済財政計画を策定する」ということでございまして、これはいずれも先ほどのこの小委員会におきますテーマの表でございますが、「参考」のところにございまして、これらの動きが今後予想されるというところでございます。
先ほどの総理の基本的な姿勢の問題につきまして、国債の30兆円につきまして、柔軟かつ大胆にという御発言をされたのではないかということが報道されまして、これにつきまして、私の立場から何か申し上げるということではございませんので、翌日、塩川財務大臣が記者会見でお答えになったところだけ御紹介させていただきますが、「国債30兆円枠についても、経済情勢によっては柔軟に取り扱うという報道があるが」という問いに対しまして、塩川大臣の答えは、「総理の腹はやっぱり30兆円ということで固まっているのは間違いないわね。大胆なというのは、切って張ってというそういうメリハリを大胆なということであって、スケールの問題のことを言っているのではないと思うんだね」というお答えをされているということだけ御紹介させていただきます。
〇事務局
地方税の関係ですが、『改革工程表』、分厚いほうへお戻りいただきたいと思います。38ページでございます。 ただいま事務局のほうから証券税制、連結納税等ございました。地方税の関係もございますが、重複は避けまして、38ページのほうへ入らせていただきます。ここでは2つ外形課税の話と地方税の充実でございます。「9月末までに措置」というIのところですが、「〇」が4つございます。そのうちの一番下、「課税団体である都道府県と連携しつつ、経済界等と具体的な議論を深めるなど、各方面の意見を聞きながら、外形標準課税に対する理解を求める取組みを進める」。
そうしまして「〇」を2つ飛ばしていただきまして、IIIの(1)「14年3月までに措置」のところで、外形については、「中小法人の取扱い、雇用への影響の問題等、検討経緯を踏まえるとともに、景気の状況等も勘案しつつ、14年度改正に向け、課税の仕組み等について検討」と、こういうふうにまとめられております。
ちょうどその「〇」の一つ上のところ、「III 10月以降に措置」のところに、地方税の関係について、「地方行財政の効率化を前提に歳入基盤を確立し」、税調のほうからも御指摘いただきましたように、「税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとの観点から、充実確保を図る。地方分権改革推進会議における議論、調査を踏まえながら、役割分担の見直しを踏まえつつ、国庫補助負担金の整理合理化、交付税のあり方の見直しとともに、税源移譲を含め国、地方の税源配分について根本から見直しそのあり方を検討する。その際、国・地方それぞれの財政事情や個々の自治体に与える影響等を踏まえる」とされてございます。
それから、最後にもう1点、ページをおめくりいただきまして、49ページのところで、これは一昨年、固定資産税の議論のときに多少ございましたが、「規制改革(都市再生)」のところでございますが、表題としては、「III 10月以降に措置」「(1)14年3月までに措置」の14年度法改正(B)のところでございます。IIIの(1)、[1]、(B)法改正、「固定資産税課税台帳の縦覧対象範囲の拡大等」、それからちょっと下へ飛びまして(2)の「14年度中に措置」の「〇」の2つ目、「固定資産税評価額に関する情報開示の一層の拡充」ということで、上のほうの縦覧対象の拡大と申しますのは、自分の課税評価が適正かどうか、周りのところと比べられるようにということで、同一の市区町村内のほかの土地や家屋の評価額も縦覧できるように法令措置をとるということ。
それから、下のほうの閲覧、情報開示ですが、借地人、借家人等が自分の家賃等との関係があって、その課税がわかるようにと、それを閲覧できるなり、あるいはその証明書をもらえる、こういう仕組みを設けるという趣旨で改革工程表の中に位置づけられ、その固定の話については、『改革先行プログラム』の18ページにも、縦覧対象の拡大ということを触れているところでございます。
地方税の関係は以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。最新の情報の提供をいただきました。
それでは、今日の本論でございます租税特別措置等につきまして、議論を移していきたいと思います。
いくつか資料を御用意いただいておりますが、この租特というのは、税調とは切っても切り離せない関係でございまして、私も税調に参加してもう10年以上たちますが、毎年毎年この租特が俎上に上り、いろいろなことを言うのですが、何かぱっとした成果が上がっていないという繰り返しであったように思います。先ほどの『改革工程表』等々にもございましたように、本格的に廃止を含めて議論するという決意が一応政府からも述べられておりますので、我々としてもそれを追い風に、例年とは違った形で租特の議論をしたいと考えております。
今日は、まず企業関係をやりたいと思いますし、次回は、先ほど申し上げたように、企業関係以外の租特、地方税関係も入れて御議論いただくという意味で、2つに分けて議論いたしたいと思います。
それでは、続けて御説明をいただきます。よろしく。
〇事務局
では、まず最初に私のほうから、租税歳出といいますものについて御説明させていただきたいと思います。資料は「基礎小2-1」と書いてある資料でございます。
この租税歳出、租税支出と訳したりしますが、英語でいいますとTax-Expendituresでございます。大体、我々が言っています租税特別措置に相当します概念として広く世界的に使われているということでございまして、そこの下にございます概念、これはOECDのペーパーに基づいてまとめたものでございますが、「租税体系上のある基準または規範から乖離した特別な措置」ということでございまして、例えば所得控除、税額控除、軽減税率、課税繰延べ等が含まれるということでございますが、その「他方」というところでございます。何が具体的に租税歳出、租税支出に該当するかという具体的な定義、判断基準でございますが、これは主観的なものとならざるを得ないということでございまして、実は各国で公表されております租税歳出の内容は、それぞれ異なっているということでございます。
例えば、アメリカを見てみますと、適格年金あるいは401kといったようなもの、あるいは州税、地方税の所得控除、あるいは寄附金控除、こういったものも入っておりますし、実はあとでお話ししますが、これは広い基準と狭い基準と2つございまして、広い基準のほうで租税歳出をとりますと、長期キャピタルゲインの軽減税率とか、一定以下の所得の法人に対する軽減税率といったものまで入ってしまう。
それから、イギリスで見ましても、中小企業の軽減税率などは入っている。
それから、フランスはまた変わっておりまして、連結納税でございますが、これもフランス語でディペンセス・フィスカルスというのですか、タックス・エクスペンディチャーということで入っているようでございます。
もちろん、これをどう使っているかというのは、いろいろ国によってばらばらでございます。概していえば、もちろん整理合理化という観点もございますけれど、むしろ財政民主主義の観点から、いわば補助金の裏返しということで、これもきちっと見ていかなければいけないという観点から見られているようでございます。
そこの公表状況でございますが、アメリカ、ドイツ等では、すでに1960年代後半からこの公表を始めております。1999年の時点での資料でございますが、OECD加盟国の約4分の3が定期的に租税歳出の内容を公表しております。
ちなみに、わが国は昭和33年からでございます。むしろ米、独よりもこの点では先立っているわけでございますが、毎年度、項目別の租税特別措置の減収額という形で、これは予算審議のために国会にお示ししているということでございます。
1枚めくっていただきまして、OECDのエコノミック・サーベイの99年でございますが、ここでわが国の租税特別措置の見方について言及がございます。「租税特別措置は、『正規』の税体系からの逸脱という点から概ね定義することができる。厳密な定義は、何が『正規』の体系と認識されるかによって、各国毎に若干異なっている」、先ほどの話でございますが、「日本では、退職所得控除を含む大部分の諸控除が『特別』ではなく『正規』と考えられていることから、租税歳出はかなり限定されている」ということでございまして、これも非常に国によって見方が異なるので単純比較はできないのですが、比べてみますと、かなり限定された見方をしている。かなり限定されたものだけが租税特別措置としてピックアップされているという見方もできるのかもしれません。
次、3ページ目でございますが、この国際的に使われています租税歳出という概念が出てきた経緯でございますが、もともとはアメリカでございます。アメリカは1960年代の後半になりまして、ベトナム戦争の戦費調達問題が契機でございますが、連邦財政赤字の削減についての議会での検討が行われます。この過程で各種の税制上の特別措置が直接的な財政支出、補助金等と実質的に同じ政策目的を達成する手段でありながら、いわば隠れた補助金でありながら、予算書には計上されない。このため、毎年の予算審議にかけられない「隠れた歳出(hidden spending)」になっていることなどが指摘されたということでございまして、こういったことを背景に、1967年、当時の財務省の租税政策担当次官補のスタンレー・サリーという、これはハーバードの名誉教授だった方だそうですが、政府の予算措置を通じて行われる直接歳出以外の税制上の措置を通じて行われる間接歳出に対して、「Tax Expenditures」という造語を当てた上で、租税歳出をも含んだ完全会計、この必要性を主張。この結果、1968年からでございますが、財務省の年次報告書におきまして、租税歳出予算というものが公表されたわけでございます。
これは実は1974年に議会予算執行留保法という法律ができたわけでございますが、ここで明文上定義されまして、大統領及び議会の予算局、CBOというものでございますが、ここが毎年租税歳出予算を作成して議会へ提出するということが法律上の義務になっております。
1枚めくっていただきまして、4ページ目でございます。その定義でございますが、そこにございますように、「租税歳出は、連邦税法の規定に基づく総所得からの特別の除外、免除若しくは控除又は特別の税額控除、特別の税率若しくは課税繰延べから生ずる歳入の減少をいう」ということでございまして、もちろんこれは訳文でございますので、わかりにくいというのもあるのですが、実際問題としてこれをどう適用して判断するのかというのは解釈の余地があるところでございまして、そこの判定基準が、現在は実は2種類ありまして、租税歳出額の推計が公表されております。
一番目の基準が標準税基準、normal tax baselineというものでございまして、これはがちがちの包括的所得概念、これをもとにしまして、これを正常な税構造といたしまして、これからの乖離をすべて租税歳出とするものでございまして、もともとこの基準に従って行政府のほうも議会予算局のほうも公表しておったわけでございますが、実は83年になりまして、レーガンの時代でございますが、実はレーガンの第1期に、特にサプライサイダーの立場に立って、やや租税歳出の数字が膨らんだということも背景にあったと言われておりますけど、ややこれは広すぎるのだということが議論になりまして、次の参照税法基準というreference tax law baselineというのが採用されました。これは現行税法の一般原則、これも何が一般原則だというのは難しいところでございますが、これからの乖離を租税歳出とするということでございまして、上の標準税基準よりは狭い基準が使われておりまして、実は政府の予算局でありますOMBのほうからは、この2つの基準に基づきまして並列したリストが公表される。一方、議会のほうは依然として上のほうの標準税基準ということになっておるわけでございますが、この中身の話はあまり詳しく入る余地はございませんけど、私どもの目から見ても、実は参照税法基準でいくと、標準税基準のほうで入っていた加速度償却、これが入らないというような問題がありまして、何を選ぶのかというのはかなり難しい問題なのかなということを感じるわけでございます。
その下にGAO、アメリカの会計検査院からの指摘でございますが、一番最後のところで、これがどう使われているかという評価でございますけど、政策決定者が租税歳出と直接歳出とを明示的に比較したり、あるいは振り替えたり、これはトレードオフしたりするということはほとんどないということで、正直言って、先ほどお話ししたような経緯で、かなり野心的に出てきたわけでございますけれど、決してきちっと使われているという状況にはないという指摘がなされているわけでございます。
さらに1ページめくっていただきまして、さはさりながらということでございまして、アメリカにおきましては、この租税歳出を統制するためにいくつかの試みが続けられておりまして、それをクロノロジカルに並べたものでございます。
1番目は、ミニマムタックスというものの導入でございます。これは1969年に導入されておりますが、担税力があるにもかかわらず、各種の特別措置を最大限利用いたしまして、税負担を大幅に軽減している個人あるいは法人、言い換えますと、租特をいくつか使って、ほとんど税額をなくしてしまっている納税者に対しまして、最低限の税負担を求める措置ということでございまして、現在、これはやや複雑になったということがございまして、個人については78年、法人については86年に代替ミニマムタックスというもう少し簡便な方法に変えられておりますが、基本的にそういった発想で、最低払わなければいけない税額計算というものが定められているわけでございます。
2番目は、サンセット法導入の試みということでございまして、一番目の「〇」のところはサンセットの仕組みの話でございますので、抜かさせていただきまして、実は1977年、連邦政府の全事業、これは税制措置にかかわらず全事業でございますが、5年間のサンセット条項の対象とする法案が提案されたわけでございます。残念なことに、審議の過程におきまして、すでに租税歳出は見直しの対象から除外する等の修正が付されておりまして、さらに、この法案につきましては、上院は通ったものの下院では通らずに廃案となってしまったという歴史でございます。
それから、6ページ目でございますが、レーガンの税制改革。これは1986年、レーガンの2期目になろうかと思いますが、「公平・簡素・経済成長」というものを改正理念として税制改革が行われたわけでございますが、その際に、課税ベースの拡大ということで、14の租税歳出項目が廃止、16の租税歳出項目について規模の縮小が行われておりまして、実は86年から88年にかけまして、大体もとの租税歳出額からすると、4分の1程度カットされたという歴史がございます。
その下の「●」のところは、廃止・縮小された特別措置の例でございます。
それから、その下、4でございますが、Pay-As-You-Go原則ということでございまして、これはそこにございますOBRA90、1990年包括的財政調整法において、CAPという制度、これはもっぱら歳出のほうに係る制度でございますが、これとともに導入された仕組みでございまして、このCAPといいますのは、義務的ではない経費につきまして、一定の上限を決めまして、上限を超過したら、そこについて大統領命令で一律削減をかけるという仕組みでございます。
それから、その2番目の「〇」でございますが、これがPay-As-You-Goの話でございます。義務的経費、裁量的経費ではない経費につきまして、これを新たに設ける場合、あるいは減税を行う場合、その歳出増または歳入減に見合った増税または義務的経費の削減が同一年度内に行わなければならず、それが行われない場合には、大統領命令により義務的経費全体に対する一律削減。ただし、これは実は一律削減対象経費は除外額が大きいので一部分だけでございますが、一律削減が実施されるということで、一般的には、むしろ義務的経費の増、あるいは歳入減を伴う施策をやる場合には、それに見合いの財源を増税あるいは義務的経費の削減で持ってこいと、スクラップ・アンド・ビルドに似たような考え方でございますが、そういった原則として理解されているものでございます。
それから、その次のページでございますが、Line-Item Veto Act、項目別拒否権法というのがございまして、これはブッシュ政権のほうが、いま2002年度の予算教書で提案しているということでございます。ここにおきましても、歳出と特別な歳入について一緒に考えるという考え方が貫かれているのかと思いますが、1つは、新たな裁量的な歳出、あるいは新たな義務的歳出権限を承認すること、に加えまして、100対象以下を対象といたします税制上の恩典を与えるような措置、これを法律上つくった場合は、項目別に、それぞれの条項一つ一つについて拒否する権限を大統領に与えるものでございます。もともと、御存じのようにアメリカの大統領は法律について拒否権があるわけでございますが、これは憲法上全体について拒否権発動ができるということで解されておりまして、部分的に拒否権を発動することはできないということで、実は96年にも同じような法律があったわけでございますが、これは98年に違憲判決を受けておりまして、効力を失っているということでございます。1つの法案の一部について拒否権を発動できるというような憲法上の修正がいま付託されておりまして、これがおそらく通った暁ということでございましょうが、このような権限を大統領のほうに与えるという法案が審議されるということになっているそうでございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。引き続きお願いします。
〇事務局
私のほうから、わが国の企業関係の租税特別措置を中心に御紹介をしたいと思います。お手許の「基礎小2-2」という『説明資料』、横長のものですが、これをごらんをいただきたいと思います。
1枚おめくりをいただきまして、これはやや総論的なことになりますが、昨年の当税制調査会の中期答申での表現でございます。「税制の基本原則と租税特別措置等」ということで、アンダーラインが引いてございますが、「特定の政策目的を実現するための政策手段として、租税特別措置等があります。これは、基本的に特定の人々の負担を軽減することにより、特定の政策目的の実現に向けて経済社会を誘導しようとするものです。このため、租税特別措置自体は、『公平・中立・簡素』という租税原則に反するものとなります」と、こう書いてございますが、御承知のように、わが国には租税特別措置法という法律がございまして、これから御説明をいたします租税特別措置は、大体その租税特別措置法に規定をされている特別な措置というふうにお考えをいただいてよろしいかと思いますが、これについては、連年、当税制調査会でも御議論をいただいておるわけでございます。アンダーラインを引いてはございませんけれども、このページの下から4行目でございますが、「租税特別措置等についてすべてを不合理と断じるわけにはいきませんが、税制によって経済社会を誘導しようとすることには自ずと限界があります。また、一旦優遇措置が講じられるとそれが既得権益化し、政策効果の再検討が十分行われないまま優遇措置が長く継続してしまうことになりがちです」と、こう書いてございますが、まさにそういった現状にございますということを、これからそれぞれの項目について御説明をしたいと思います。
次のページにいっていただいて、先ほど事務局からも紹介がございましたけれども、6月のいわゆる小泉内閣の「骨太の方針」におきまして、一番下にございますが、租特について聖域なく徹底した見直しを行うということが決められまして、先ほどの『改革工程表』の中にもございましたように、14年度の改正において徹底した見直しを行って、廃止を含め大幅な整理合理化を進めるということになっておるわけでございます。
次のページでございますが、こうした「骨太の方針」の中に租特の聖域なき見直しが書かれたということもございまして、大変異例ではあったのですが、今年の夏、14年度の概算要求の閣議決定がございました際に、私どもの財務大臣のほうから、閣議の発言といたしまして、そこにございますが、歳入面における各種租税特別措置につきましても、徹底した見直しを行って、廃止を含め大幅な整理合理化を行っていく必要があるということで、関係閣僚に協力を依頼したということがございました。
それで、4ページに進んでいただきまして、大変小さな字で恐縮でございますが、企業関係租税特別措置一覧ということで書かせていただいてございます。実は、「基礎小2-3」という『参考資料』というのがございまして、そこにそれぞれの措置の内容をすべて整理をして、資料としてお出しをしてございますが、現在、企業関係の租特と言われますものが78項目ございまして、4ページのそれぞれの小見出しを見ていただきますと、税額控除、所得控除というグループがまずございまして、それから、特別償却、準備金、その他ということで、特別措置の一種の手法ごとに整理をしてございますが、これは左の上から右下にかけまして、租税特別措置法の規定の順番に並べさせていただいてございます。この78項目に、実は(注)の2に「上記のほか、経済対策として中小企業投資促進税制がある」と書いてございますが、現在、経済対策として講じております中小企業投資促進税制を加えて、俗に「79項目」ということで御説明をさせていただいております。
5ページをごらんいただきますと、企業関係の租税特別措置の手法の例ということで書かせていただいておりますが、まず税額控除、これは各事業年度の所得に対する法人税額から一定割合の税額を控除することにより、法人税を減免する方式でございます。
それから、所得控除。これは特定の収入金額、所得金額等の一定の割合の金額を損金の額に算入することにより、法人税を減免する方式ということで、この税額控除と所得控除は、法人税をいわば恒久的に免除をする手法として使われております。
それから、次の特別償却。これはそこにございますが2つございまして、初年度の特別償却と一定期間の割増償却というふうに書いてございますが、初年度の特別償却は、特定の償却資産について、取得時に通常の減価償却とは別に取得価額の一定割合を償却することにより、課税を繰り延べる方式。
それから、一定期間の割増償却。これは特定の償却資産について、一定期間にわたりまして、通常の減価償却とは別に普通償却限度額の一定割合を償却することにより、課税を繰り延べる方式。
これは次のページをちょっとごらんいただくと、ポンチ絵にしてございますが、真ん中に普通償却というのが書いてございまして、実は企業税制には減価償却制度という仕組みがございまして、投資をいたしますと、一定期間にわたって減価償却をして、適正な期間損益計算を行うという仕組みがあるわけですが、その適正な期間損益計算のルールを超えて、初期の段階で加速度的に費用化するという手法で、投下資本を早期に回収をしたり、企業が資金繰りを確保するというメリットを与えるのがこの特別償却なわけですが、6ページで見ていただきますように、特別償却というのは、上の箱に書いてございますように、設備投資をしたその年度に取得価額の一定割合を通常の償却に加えて行うということでございます。
それから、下の割増償却というのは、この場合には、機械なりを買って、この絵では当初の4期間にわたって、それぞれの期の普通の償却割合をいわば割増をして償却ができるという形で、それぞれ課税の特例を認めるというのが特別償却という制度なわけですけれども、こういった形で一定の設備投資について加速度償却を認めて、資本の早期回収を図るという手法をかなり企業関係の租税特別措置では多用をいたしてございます。
それから、5ページにお戻りをいただいて、準備金というのが一番下に書いてございますが、特定の費用または損失に充てるために準備金として積み立てた金額を損金の額に算入することにより、課税を繰り延べる方式ということで、法人税の本体のほうには引当金という制度がございますが、準備金はその事業年度の収益とそれほど明確な因果関係なり対応関係を持っていないような場合にも、利益の一般的な留保の仕方として、こうした準備金という制度を用いて課税の特例を行うという仕組みがございます。
この特別償却と準備金というのは、そこにも書いてございますように、税額控除や所得控除と異なりまして、課税を繰り延べる特例として使われております。
それで、7ページにお進みをいただきまして、今日御説明をしたい租税特別措置、企業関係のものは、その図の右のほうにございますが、法人税4,900億円ということになっておりまして、平成13年度で企業関係の租税特別措置による減収額は、約5,000億円弱でございます。このほかに所得税で1兆6,620億円等ございますが、これは次回御説明があると思います。
この7ページの減収の内訳が8ページに書いてございます。所得税、法人税、その他ということで内訳を書かせていただいておりまして、このような形で国会のほうに資料として出させていただいているというものでございます。
9、10を飛ばしていただきまして、11ページをごらんをいただきたいと思いますが、減収額の大きい企業関係租税特別措置ということで、上位15個の租特について並べてございますけれども、1番目に大きいのが中小企業投資促進税制1,450億円と書いてございますが、これは平成10年の経済対策の際に、中小企業の機械装置の取得について、一般的な投資減税措置を行うということで、1年間の時限として実施をしたのですが、3回延長されて、14年3月までの時限措置として現在機能している特別措置でございます。
一つ一つを説明し出しますと長くなりますので、若干ポイントだけ申し上げますが、2番目の中小企業新技術体化投資促進税制、これは俗に中小企業メカトロ税制と称しておりますけれども、昭和59年に中小企業の生産とか流通の効率化を目指すということで、コンピュータを装着した電子機器利用設備について、投資優遇措置を設けるということで、現在まで続いてきている措置でございます。
それから、5番目の中小企業等の貸倒引当金の特例ですとか、7番目の同族会社の留保金課税の特例、それから、14番目の中小企業等基盤強化税制、この辺が中小企業を念頭に置いた租税特別措置でございます。
それから、3番目のエネルギー需給構造改革推進投資促進税制、大変ややこしい名前になっておりますが、これは省エネルギーですとか地球環境問題への対応といったことで、企業が取得をする機械装置について、減税措置を講じるというものでございまして、似たものといたしまして、12番目の公害防止用設備の特別償却、それから15番目に再商品化設備等の特別償却。これは容器包装リサイクル法の施行に伴って、再生紙を製造する設備といったリサイクル設備について減税措置を講ずるということで、3番目とか12番目、15番目というのは、やや環境問題との兼ね合いで講じられておる政策減税なわけですれども、よくいえばグッズ減税とも言えますけれども、環境税等、全体の施策の中できちんと位置づけして議論が行われてきたかどうかという点になりますと、やや疑問がある措置でございます。
それから、4番目の増加試験研究費等の税額控除。これは民間企業の試験研究活動の助成ということで、昭和40年代からずっと続いておる税額控除制度でございます。
それから、準備金で大きいものを申し上げますと、6の使用済核燃料再処理準備金。これは電気事業者がその使用済み核燃料の再処理費用を電気料金に上乗せをしまして、その再処理の費用を支出するまでの間、準備金として積み立てるということで、電気事業法上の積立て義務に対応してこういった準備金を税法上も設けております。
それから、原子力発電施設解体準備金。これも電力会社の原発の施設を解体するために準備金を設けるということでございまして、この6番目が12年度末で約1.4兆円の残高、原子力発電施設解体準備金というのが約5,000億円の残高ということで、電力会社にとってはかなり大きな準備金になっております。
それから、10番目に医療用機器等の特別償却というのがございますが、医療法人が取得したいろいろな医療用機器について、特別償却を認めるということで、これもかなり長く続いている制度でございます。
それから、もう一つだけ御紹介をいたしますと、13番目、低開発地域等の工業用機械等の特別償却。これは昭和36年から続いている制度でございますが、池田内閣の所得倍増計画で決まりました低開発地域工業開発促進法、それに基づく低開発地域で企業が機械や装置を買った場合に、税金の減免をするということで、いまだに続いている制度でございます。
それから、12ページをごらんいただきたいと思いますが、この企業関係租税特別措置の先ほど申し上げました4,900億円の減収額が、法人税全体に対してどれくらいの割合で推移してきたかということで、一番右の(b)/(a)というのをごらんいただきたいと思いますが、昭和40年代、高度成長期はかなりこうした政策減税措置というのは多用されておりまして、7%台でございました。ここには書いてございませんが、ピークは昭和47年の9.0%でございます。その後、「増税なき財政再建」といった議論もございまして、不公平税制の是正という努力の中で、この企業関係租特についても、かなり縮減が図られてきておりまして、50年代から最近の間は、約3%前後のウエイトで推移をしてきてございます。
ただ、先ほど申し上げた中小企業投資促進税制がここ3年間実施をされておりますので、11、12、13というのは、括弧書きで7%台から4%ということで推移をしてございます。
それから、13ページにお進みをいただきまして、創設後、長期にわたる企業関係租税特別措置ということで並べさせていただきましたが、現在ある79項目の租特の中で一番古いのが、昭和26年にできた船舶等の特別償却ということでございます。
それから、昭和28年に技術等海外取引に係る所得の特別控除というのができておりますが、この20年代後半から30年代ごろは、輸出振興関係の特別税制がかなりございましたが、その後、時代の流れの中で廃止や整理が行われてきておりまして、この技術等海外取引に係る所得の特別控除というのが、海外取引関係ではいまだに残っているということでございます。
それから、40年以上のところで、昭和36年に先ほどの低開発地域工業開発地区における工業用機械等の特別償却ということで、御紹介したものができておりますが、この40年代から50年代にかけて、いろいろな地域振興関係の特別償却制度、税制上の優遇措置ができましたが、それらのものは大体現在に至るまで残っております。
それから、30年以上というところで、昭和42年に公害防止用設備の特別償却というのができておりますが、この40年代に入りまして、公害ですとか中小企業、あるいはコンピュータ、障害者対策、こういった観点からの租税特別措置がつくられてきております。
それから、一々言うと時間がないですけれども、右のほうで10年以上というところでいくつか見ていただきたいのは、昭和62年に特定余暇利用施設の特別償却、これはいわゆるリゾート法の関係でございます。この辺で民活の関係で税制の特例措置が多用された時期がございました。
14ページに進んでいただいて、毎年のように企業関係租税特別措置、関係省庁と議論をしまして、廃止や縮減という努力はしてきておるのですが、新しい租税特別措置の創設といったこともままございまして、大体80項目前後で推移をしてきておりまして、現在、78項目ということでございます。
それから、最後に15ページでございますが、一番最初のページで、租税特別措置の一般的な位置づけを税調でやっていただいておるわけですけれども、法人税という観点からも、中期答申でこのような形で整理をしていただいておりまして、税率と課税ベースの適正化ということで、租税特別措置の整理合理化ということがうたわれております。
御承知のように、法人税につきましては、経済活動、企業活動への中立性ということが最近重視をされてきておりまして、なるべく課税ベースを広く取って税率を下げるということで、税率は30%まで下がってきておるわけですが、課税ベースの適正化という観点からの大きな宿題として、この租税特別措置の整理合理化というテーマがいまだに残っているということでございまして、私どもとしては、引き続き関係省庁と十分な議論を行って、この整理合理化の実を上げたいと考えております。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。地方税関係をお願いします。
〇事務局
いまの『説明資料』の9ページへお戻りいただきたいのですが、「基礎小2-2」の『説明資料』9ページのところでございます。地方税のことについては、来週お願いいたしたいと思いますが、全貌と今日との関係だけ一言コメントさせていただきます。
まず、9ページに個人住民税、法人住民税とございますが、これは都道府県の住民税、それから、市町村のものが両方まじった形で、個人住民税と法人住民税、さらに法人道府県税、法人市町村税というふうな組み合わせになってございます。このうち法人住民税のところについては、今日御議論をいただきます法人税の関係が当然ここへ影響してくるという話になってまいります。780億円ございますが、もっぱら法人税絡みでございます。
そのお隣りの事業税のところ、これは法人と個人とございますが、この960億円のうちにはかなり多くの部分、法人税の影響があるということを申し添えさせていただきます。
一番大きく出ております固定資産税でございますが、ちょっとおめくりいただきますと、各税目、10ページに概況を書いてございます。一番下のところで、「2固定資産税」、(3)の「税額の軽減」ということで、新築住宅あるいはマンション等の中層のものでございますが、これが新築から3年あるいは5年、2分の1という仕組みがございますので、この辺が1,580億円ということで、固定資産税の一番大きな部分になっております。
いずれにしましても、次回、また整理して資料を提出させていただきたいと思います。
〇委員
ありがとうございました。
いまのお話のように、地方税関係は次回に回すということで、今日は主として国税の法人税関係に焦点を絞りたいと思います。
事務局から克明な御報告をいただきました。以下、どういうふうな形で進めようかということなんですが、これだけの膨大な資料、そして78、79ある租特の中身、こういうものを御説明いただきましても、どういうとっかかりでこれを整理統合していこうかということは、非常に困るわけですね。
そこで、議論のたたき台といたしまして、ちょっと私、どういう基準から整理・統合しようかというときの判定の視点みたいなのを、事務局と相談いたしまして一応つくりましたので、それをまず考え方としてどうかということを御披露いたしまして、そういうものを参考に、いまいただきました資料に即しまして、いろいろな論点を自由に御討議いただきたいと考えております。
そこで、租特というのは、代々の税調の報告書に書いてございますように、我々が旗印のように掲げております「公平・中立・簡素」、これとは原理的にやはり矛盾するわけですよね。いうなれば政策減税でありますから、当然のこと、特定の業種、特定の地域、あるいは特定の何か経済主体に対して、ある恩典を与えるということでございますから、公平でなくなる、あるいはひずみを生む、税も複雑にするという意味において、これは元来、言葉は悪いけど、目の敵にして、いろいろ直すべきであるということを累年言ってきております。その成果もあって、先ほど御披露ありましたように、数はかなり減ってきてはおりますが、依然として78とか79あるわけですよね。それをどういう形で切り込むか。今年は財務大臣も、あるいは小泉さんのほうのいろいろな資料を見ましても、本格的にやるぞという意気込みを見せておりますので、我々としても何か本格的に切り込む材料というか、切り込み口がどうしても必要だろうと思います。
そこで、私はいくつかの判定基準をつくる必要があろうかなと考えております。そして、どうしてもこれは廃止すれば増収という形に一応なるわけでありまして、国債30兆円以下という、いうなればそういう小泉内閣の目標とも合致するということもございますから、やはりある種の判定基準をつくりつつ、これは果たして残すのか、残さないのか、というような議論は当然できるし、それは例年以上に厳しくやらなければいけないだろうと思います。いうなれば、これは隠れた補助金でございますから、隠れた補助金との兼ね合いも含めていろいろ議論が必要かと思います。
お手許に『租税特別措置の見直しについて(メモ)』というのが配られていますよね。2ページ目をめくっていただきますと、4つほど一応物差しをつくってみました。
最初は、政策目標の検証ということでございまして、先ほどの資料にもございますように、もう40年、それ以上前からつくられているものがあるわけですよね。ということは、45年前の政策目標といまの政策目標を比べれば、当然のこと、経済社会が変われば政策目標も違ってくるわけでありますから、その視点から、いつまでも租特を残していいかどうかというのは、十分に検証のタネになると思いますね。例えば、従来、貯蓄を優遇する、あるいは輸出を優遇する、あるいは輸入を促進するといったような、そういうのは非常に重要な政策目標でありましたから、税でやる根拠はあったと思いますが、いま果たしてそうかねという議論は当然あります。そういう意味で、40年前、それ以上にわたる長い間経てきたものが、政策目標の現実的な観点からいうと変わってきたときには、これは見直さなければいけないだろうという視点は1つありますね。
それから、2番目は、やはりコストベネフィットのアナリシスが重要でありまして、政策効果を上げるのに税制を使うのがいいかどうかという議論は、やはりしなければいけないかと思いますね。特に減収がもろに出てきますし、それから、税制は複雑になりますし、経済主体にゆがみを与えるというディストーションですね、それが起きますから、そういうコストも当然見なければいけない。
典型的なものが投資減税ですよね。従来、投資減税というのは、まさに投資を促進するために非常に有効であり、いうなれば景気対策としては重要であると、いまもって言ってる人もいますけれども、よく読みますと、それは生産要素の代替関係に影響を与えますね。つまり、投資を優遇すれば、資本コストが下がり雇用が減ることもございますし、過剰投資ということもあるのかもしれない。そういうこともございますから、投資減税1つとっても、様々な影響を与えるわけですね。
たしかレーガンの第2期の税制改革のときに、投資減税を大幅に削ったときの最大の理由は、投資減税というのをつくっておくと、減税目的のために投資をする。本来の投資をしないで、投資減税のそっちを期待して、要りもしないときに、税金をまけてもらうために投資をするのは、極めて経済主体としておかしいというようなことがるる言われていたと思います。そういう意味で、レーガンの第2期は、中立という原則から投資減税をやめたのですが、そういう議論というのは十分にあり得るわけですね。
それから、最適手段の選択からいえば、補助金でやったほうがいいという場合がありますよね。あくまで税を使うかどうか。過去十数年見ていますと、財政再建でどうしても補助金のカットが進んできたということもあって、税にシフトしてきたということは否めないと思いますよね。
そういう意味で、隠れた補助金である税制、それは租特ですね。それが使われてきたという経緯がありますので、どっちがいいかという議論もやはり必要なんですね。確かに税制でやれば小さな政府に合致するでしょう、行政コストが少ないから。しかし、これは赤字企業の支援には役に立ちませんよね。しかし、隠れているわけだから、表に出すという意味においては、歳出面の補助金のほうがはっきりしているわけですよね。そういう意味で、納税者、国民の目に映るという意味においては、補助金のほうがいいというやつもあるわけですよね。そういう視点から、もう一回79の租特を見直すという視点はあろうかと思います。
そういう意味で、政策効果の検証、最適手段の選択とまとめてしまったけれども、これを2つに分けることも可能だと思います。
それから、3つ目は、先ほどの79の一覧表を見てもわかりますように、特定業種、企業、地域、特に沖縄が地域としましては目につきましたけど、そういうふうに税制というのは、一般に広く薄く負担してもらうという原理原則からいきますと、租特はまさに特定の地域、業種等々にいくという意味において、原則から外れるわけですよね。また、特定業種・業界の基本資産、要するに、もう租特なんかなくたって事業存続のためにこれは必要だというようなものまで優遇するかどうか、これはやはり問題ですよね。税制のインセンティブという視点から見ても、こういうものはやるかという議論があると思います。
4番目に、制度はつくってみたが使われていないというのもよく見るとあるんですね。そういう意味で、低調な利用実態というのも一応整理・統廃合の1つの大きな理由になるだろうと。
私、いろいろとつくってみて、いまつらつら考えるとまだあるというのは、これは1の政策目標の検証に合致するかもしれませんが、長期間、いうなれば、ずっと昔に45年前から使われているという、要するに創設後長期にわたるというのは、やはり1の政策目標という視点と相並んで、本当にそんなに必要だったかねという1つの切り口にはなりますよね。
それから、79個を比較して、特に参考資料のほうと見比べると、大分類似したのはあるし、重複しているのではないかというようなものも、これは専門家の目から見れば、多分違う違うと言うのでしょう。しかし、そういうものも随分あるから、そういう意味で、類似・重複というような視点もおそらくあると思います。
こういうふうに正攻法で、いうなればいまの既存的な枠組みの中で一個一個減らしていくという努力、これはおそらく一番オーソドックスで、かつ、事務局もこの方式で今後やられる努力をされると思います。ぜひそれをやっていただきたいと思いますが、ただ、議論の仕方として、一々一個一個拾っていって、落とす、落とさないというと、これは大変な話ですよね。例えば、一時マスコミで話題になっていましたけど、ゼロベースで見直す、全廃して新しくつくるものだけ新しい基準でつくっていくというほうが、ある意味では議論としてはしやすい。ただ、これは現実的にはちょっとフィージビリティーはないかもしれません。ただ、まさにいま申し上げた廃止の切り口の逆を言えばいいわけですよね。例えば政策目標に一番いま合致している、例えばIT産業の支援のためというようなものが挙がってくるでしょうし、政策効果からいって、こういうのがいいだろうというような議論もありますから。そういう大胆なことまで含めて、全面的に見直すといったときには、ゼロベースに立って見直して、新しいものを10とか15つくるとかというような、そういう議論もおそらくあり得るのだろうと思いますね。税調としましてはね。ただ、それは私のほうから例えばの話で言っているわけであります。
そういう意味で、いまいくつか具体的に切り口を出したこと、具体的な進め方等々につきまして、まだ小1時間時間がございますから、今日はこの論点に絞って集中的に議論をしたいと、このように考えております。
私の問題提起がちょっと長引きましたけど、そんなことでございますので、どうぞ御自由にこの切り口も含め、あるいは特定の租特の項目について質問もあろうかと思いますし、あるいはこれは断固残すべきだという指示もあるかもしれません。そういう点も含めてぜひ御議論いただきたい。どうぞ、どなたからでも結構です。
〇委員
僕は、特殊法人等の議論と似てくると思うのです。特殊法人等では今年の1月から、それぞれ各特殊法人で重複しているものはないかとか、ずっと個別事業の見直しをやっていたのですけれども、それはずっとやっていますと、結局、最終的には8月10日とか、回答が来るわけですが、もう一回9月にも来たのですけれども、結局、各省庁に返していくと、必ず必要であるという形の答えしか出てこないんですね。ですから、ここは最後におっしゃったゼロベースで見直しという形で言わないと、結局やりとりしているときりがなくて、基本的にはゼロ回答で来てしまうんですね。
小泉さんがたまたま総理大臣をやっているというときですので、あの人は非常にシンプルで、「やる」とか「よし」とかしか言わないのですけれども、語彙が非常に少ないのですが、その少ないところがいいわけでありまして、そういうことで、断行するというふうな言葉はありますけれども、やはりゼロベースで見直すという、つまり特殊法人の場合も廃止か民営化しかないと、こういう言い方だったわけですが、ここでもやはりそういう言い方をしないと、一つ一つやっていくと、全部必要だということになりますね。もちろんこれは全部族議員がくっついていますし、それから、特定の利益を得ている人たちは、絶対に反対に回りますから、族議員を動かしたり、それから、各省庁も各課ごとに、絶対にこれは必要だと言わないと、自分の課がなくなってしまいますから、そういうことで、やはりゼロベースで見直すという小委員長の姿勢を、僕はメディアに強く打ち出すべきだと思うんですね。
官邸が「聖域なき構造改革」と言っているわけですから、強く打ち出して、僕はこれはメディアが勝負だと思うのですが、これを強く打ち出すことによって、「聖域なき構造改革」の広がりというものは、税の世界にもあるのだということを、きちんと見せていかないといけないのではないかと。それが特殊法人等を含めて、公益法人も含めたいろいろな問題を全体にあぶり出す効果になるだろうと。だから、小泉改革というものをわかりやすく見せるためにも、やはり税の側できちんとこれを言っていくということが非常に重要だと思いますね。
この時期を逃したらなかなかないのではないかなと。できるか、できないか、わからないけれども、とりあえずアピールして、これだけあるのだということと、やるという姿勢を示していくことによって、メディアが動いて流れが変わっていけば、可能性があるのではないかと思うのですけれども。
〇委員
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
〇委員
小委員長がおつくりになった判定の視点、まあ概ねこういうことなのではないかと思うのです。それで、国民の視点から見て、この租特に対してどうなのか。特に企業関係。そういう点から考えますと、中期答申に触れているように、「一旦優遇措置が講じられると、それが既得権益化し、政策効果の再検討が十分行われないまま優遇措置が長く継続してしまう」と。ここのところが、どうしてなのだろうと。
当然なくしていいものが、どうしてこういうことになってしまっているのだろう、というような疑問がやはりあると思うのです。アンタッチャブルになってしまっているわけですね、事実上。いろいろな問題がある。やはり政治が介入しているとかいろいろとあると思うのです。ややこしいのですけど、やはりこの79項目全部、どうしてこういうものが必要なのか、どうして既得権益化してしまっているのか、やはり具体的なデータを出す必要があると思うのです。それがないと、やはりちょっとわかりにくいという点があると思います。ですから、これはややこしくはあるけども、そういった具体的なデータが欲しいと。
〇委員
誰がつくるんですか、データは。先ほどの委員は、つくらせたらだめだろうと言ってるんでしょう。
〇委員
いろいろこれまでやってきているでしょう。予算編成の中で各省庁の折衝でやってきていますよね。
〇委員
事務局がつくるんですね、基本的には。
〇委員
そうですね。もちろんそうしていただきたいと思うわけです。少なくともこの基礎小委には、そういうデータを出して、それに基づいて判断する必要があると私は思います。
〇委員
でも、データを出すと、結局必要だというデータが全部各省庁から来ますので、間違いなく。ただ、基本的にいつできたとかというのがここに書いてありますけども、それ以上の詳しいものを知りたいと思いますけれども、ただ、省庁に出せば全部、基本的にいかに必要であるかというデータで届いてきますよ。それはこの間の特殊法人のやり方であって、事業の見直しをやったら、全部そういう形で来ましたから。
〇委員
各省庁はもちろん自分のほうが正当性があると言うわけですから、ただ、そこで客観的に判断する材料は事務局にあるでしょう。そういうものを出していただく必要があるのではないかと思うわけです。
〇委員
データ的なことはどうですか。事務局のほうで「基礎小2-3」という形で大体性格は書いてあるのはおつくりいただきましたけど、これは客観的な成り立ちの話ですね。これをいまおっしゃるように事務局の視点から見て、これは必要か、必要ではないか、もうどうでもいいよ、といったようなそういう話をするかどうかですね。
実は私、いまのような視点から自分なりにちょっとチェックしたんだけど、例えば、第1番目の政策目標の検証の視点なんていうと、製品輸入額が増加した場合の税額控除と、税額控除のおしまいのほうについていますよね。こういうのはもうどうかなという感じがするとか、それから、リゾート法の絡みで、特定何とか地域の、ありましたよね、例の「基礎小2-2」の4ページに。リゾート法というのは、特別償却の特定余暇利用施設の特償とか、それから、いうなれば特定の業界の者にだけ、何でこんなにする必要があるのかというのは、船舶とか航空機の特償なんていうのも、特別償却の5つ目にございますよね。それから、あと一貫して中小企業関係がずらっと並んでいますから、これはまさに政策効果、あるいは最適手段という視点からいうと、歳出面でやれるかもしれないし、これだけ減収が多いのを税でやるかという問題もありますから、私が見ただけでそれぐらいのことしか言えないのですが。
事務局、どうだろう、先ほど時間があれば十分説明したいようなことをおっしゃっていたけど、今日でなくていいんですよ、そういうことができるかどうか、先ほどの質問にお答えいただけますか。
〇事務局
おそらく各措置の利用状況がどうなっているかというようなデータは、私どもでも整理すればできるのだろうと思うのですけれども、小委員長のほうでおまとめをいただいていますように、政策税制ということで、そもそもいろいろな措置を講じておる関係上、補助金ですとか財政投融資の融資制度、そういったものと税制が政策措置として組み合わさっていろいろな施策を各省がやっているという面がありまして、そのうちの税制という手法が私どもの租税の大原則の観点からどうかという評価はあるのだろうと思いますけれども、政策を講じているいろいろな立場からいくと、税制だけが落ちることについての違和感というのが一方にあって、そこが私どもといつも論争でせめぎ合っている部分であるのですけれども、小委員長のほうでおまとめいただいたように、政策目的の合理性という問題がまずございまして、その目的に対して税を活用することが、ほかの措置よりも効果的かどうかというテストがあろうかと思います。
それから、その効果が税制の弊害を補って余りあるかどうかという政策自体の合理性、手段の効果、税制全体との関係という3つぐらいのテストをして、これまで各省といろいろな議論をしてきたというのが経緯でございまして、先ほどの委員のほうから、一遍全部やめて、大事なものだけ復活させるという御意見をいただきましたけれども、そういうこともよく考えてはみるのですけれども、なかなか実際に作業をしている身からすると、難しいという面が一方にはあります。
そういう前提でいま御指摘いただいたいくつかの施策について、私なりの感じをお答えをしたいと思いますが、御指摘のあった製品輸入額が増加した場合の税額控除というのが、『参考資料』の11番というのがございますけれども、「基礎小2-3」の資料でございます。これは平成2年に経常収支の黒字削減策ということで、輸入促進税制というのがつくられまして、その後、いくつかの措置は廃止をされたのですが、この措置だけがまだ残っておるということでございまして、最近、貿易収支の黒字は減少してきておりますし、製品輸入比率も高い水準になってきていますので、私どもとしては、そろそろこの措置は廃止をしてもいいのではないかということを、強く担当省庁のほうには申し入れをしているところでございます。
それから、リゾート法というのは、この資料の24番、4ページの一番下でありますが、昭和62年にリゾート法がつくられたときに設けられた税の特例なのですけれども、ハウステンボスとかシーガイアといったものがリゾート法で鳴り物入りで始まったのですが、この措置が適用された例として志摩スペイン村なんていうのがこの税制が適用されたのですが、最近数年間はほとんど適用実績がございませんで、そういう意味では、利用実態が低調な措置だということで、問題意識を持って担当省庁には話をしております。
こういった観点から、ちょっと眺めていただきますと、6ページにいくつか措置が書いてございますが、30番、低開発地域工業開発地区、これはさっき言った池田内閣の所得倍増計画のときにできた特別措置でありますが、31番の農村地域工業等導入地区、32番の半島振興対策、33番の過疎地域、34番の離島、こういったところはいわゆる地域特償と言われる特別措置でありますけれども、なかなか利用がないというのが実態でございます。ただ、これは先ほど申し上げましたように、地域開発の関係は、補助金と税と財政投融資、3つが組み合わさって施策体系ができていますので、税だけやめてくださいといっても、なかなか通ってこないというのが現状でございます。
それから、ついでに言わせていただきますと……
〇委員
どんどん言ってください。
〇事務局
3ページの16番、17番、航空機、船舶ということで、船舶は昭和26年から続いておりますと申し上げましたが、当時の海運業の経営合理化ということでこういう税制措置ができたわけです。その後50年経過してもまだあるということですが、実はつぶさに見ますと、中身は近代化船ですとか、油漏れ防止のための二重構造タンカーとか、特別措置の対象は時代とともに変えてきてはいるのですが、船舶について特別措置を講じるという制度自体がまだ残っているという問題があります。
それから、航空機の特別償却、これについても、セブン・シックス・セブンとか、最近のトリプルセブンのような大型の飛行機を運送業の方が購入をすると特別償却を認めるということで、こういった当該企業の本来事業資産みたいなものまで優遇措置が要るかどうかといった観点から、これまでも担当省庁とは議論をしてきたものでございます。
それから、最後に中小企業というお話がございました。1ページの3番とか4番、2ページの5番とか、ほかにもいろいろございますが、中小企業向けで約3,000億円ほど減収額になっておりまして、全体を4,900と申し上げましたが、その約3分の2が中小企業関係の租税特別措置というのが現状でございまして、例年にわたっていろいろな措置が講じられた結果、古い措置の上に新しい措置が乗っかって、ある機械装置について、2つないし3つの制度が重複的に適用ができるといった関係が生じているのも事実でございますが、これは税法上調整をして、1つの投資には1回の特別措置というふうにはなっておるのですが、そういう意味で中小企業関係の特別措置がある意味で複雑化しているという点は否めないと思いますので、そういった観点からの整理合理化ができないかというのは、担当の省庁に言っているということでございまして、ひとつひとつ言い出すといろいろあるのですけれども、まとめて1つのクライテリアでやっつけるというのは、なかなか現実には難しいという面が一方にあることも御理解をいただけるとありがたいなと、こう思います。
〇委員
だんだんクリアカットになってきましたね。どうぞ。
〇委員
長い間のテーマで、毎度毎度議論しながら、ほとんど事態は改善されないできたのですけど、ゼロベース論が非現実的だとすれば、いま事務局から説明があったけども、個別税制について積み上げるということも、これからの与えられた時間を考えてみれば、なかなか難しいと思うんですよ。例えば、輸入に対して税制優遇なんていうのは、いまだったらとんでもない話で、こんなものは。来年あたりから貿易収支が赤字になるかもしれないというときに、何を考えているのだ、こんなものは、ということでしょう。所管の役人だって、こんなようなことはいつかやめなければいけないと思っていると思うんだね。
ただ、個別の問題を積み上げるという作業は、いまの御説明で明快だから、大いにやってもらいたいし、頼みますよと言っておけば我々は気楽で済むから、年末になったら、どいつもこいつもだめだったということになってもしようがないかもしれないけど。
それで、僕の言っていることは極めていつもラフなんだけど、私のは2段階説なんですよ。ゼロベースでもなければ、個別の積み上げでもない。うまくいくかどうかはわからないけど、素人としていえば、今年は全体として4分の1ぐらいの税金をとにかくこれから落とすと。
〇委員
税額で?
〇委員
税額を目標を設定して、とにかく、あなた方、やめたいのはやめていいよと。かえって政策効果がマイナスの輸入なんかは自発的にやめればいいわけで、しかし、ほかに頑張る人は当然いるわけで、ほとんどの9割以上は。それはこういうふうに減税するよということを書き直せばいいわけだから、面倒くさいけども、やってやれないことはないわけだ、そんなことは。それに従って減税額をとりあえず削減して足場をつくる。来年度、いま説明していた個別のことについて本当に攻めていく。2年がかりで。これまた随分堕落した案なんだけど。ということも現実的には考えてもいいのではないかと。
第2に、いま我々は、たまたま今日与えられているあれは法人税関係、企業関係の話をやっているのだけど、どこから見ても所得税関係が一番でかいんです。極めてでかい。住宅ローンからマル優に至るまで。それから生損保の話。これは全部古典的なテーマです。これとの関係をどういうふうに裁くかなと。企業関係だけ締め上げて、所得のほうは来年度回しというのもなかなか難しいですよね。といって、所得に踏み込むというのは、これまた別の意味で抵抗が大きいこともわかっているわけで、それやこれや考えると、とりあえずは、さっき申し上げた、本年度は金額を割って、とにかくそれぞれみんな1割なら1割、2割なら2割、4分の1でも構わないけども、カットしてくれと。
〇委員
押し並べて79項目について?
〇委員
構わないから全部切ってこいと。やめたいのはやめていいよ、自発的に、良心的にやってもらえば。
〇委員
だから、79のやつの1個1個について4分の1減らして来いという話ですか。
〇委員
全部。甲乙つけると、必ずイチャモンがつくから。個別の問題は、1年後にしっくりと腰を落ち着けてやるというのもどうかなと。えらい堕落した案だけどね。すっきりしている。
〇委員
この租税特別措置の問題は、規制緩和だとかそういう話の裏返しの話でもあると思うんですね。ですから、要するに経済的な規制に見合うようなものはだめと。ただ、社会的規制と同様に、何らかの社会的特権を与えなければいけないようなものだけ残すというような考え方で一つ整理できるのではないか。さっき飛行機が出たら、飛行機はだめだけども、荷物検査をするような機械は特別償却を認めるとか。ここに若干気がついたのは、身体障害者を雇うための機械なんかをどうするかとか、あるいは公害防止施設なんかは若干グレーゾーンになるのだけれども、そういうものは残すこととして、いわゆる経済的規制の裏返しの経済的特権を与えるようなものは、一応全体アウトというような整理の仕方から進んでいったらいかがだろうかと、こう思うのですけど。
〇委員
ありがとうございました。それも1つの視点ですね。
〇委員
私、最近サプライサイダーになっちゃって、この中で袋叩きにあいそうなんですけれども、必ずしも企業関係の租税特別措置は悪いと思っていないんですよ、最近。
ただし、このメモはよくできていて、これに1つ私として加えたいなと思っているのは、国際競争力の観点なんですね。実は日本は一番まじめにやっていて、OECDの有害な税制というのもないのですけれども、諸外国ではかなり激しいことをやっているんですね。それで、個別企業というのは、国際市場の場でそういうかなりアンフェアな優遇税制を受けた外国企業と戦っているわけですね。そういうものについては、日本も汚いことをやらないともたないと思うのです。
よく言われている船舶の特償も、外国の船会社に比べると、これでも日本は厳しいようなものでして、航空機も同じなんですよ。これはすべて競争力にかかってくるわけでして、そういうものも全部やめてしまって、日本の会社がみんなつぶれていくと、雇用もなくなるわけですね。だから、全部国内的に完結するものについては、かなり思い切って廃止・縮減があってもいいのですけれども、競争力にかかわる部分は、ちょっと吟味しなければいけないかなというのが最近私が考えていることなんですけど。
〇委員
それは全廃したあと何を残すかというときに、有力な物差しだよね、多分。ありがとうございました。それは重要でしょう。
〇委員
やはりすべて廃止すべきだと思います。ここで一旦すべて廃止して、廃止を宣言して、あわせて新しく租特を今後設ける際の基準を示す。パブリックコメントでどうしても租特を必要とする、新たに租特を創設することを必要とする意見があったものに関して、必要とする人が挙証責任があると思うんですね、必要とする人がこちら側が提示した基準に合わせたデータを出して、それを受けてこの場で議論するという手順だと思います。
その基準ですけれども、このおまとめいただいた[1]と[2]に尽きると思うのですが、[1]も必要性というよりも、政府介入の根拠だと思うのです。先ほどの委員がおっしゃったように、かなり規制の議論にこれは近いわけで、規制の場合は情報の非対称性といった根拠がありますけれども、補助金の場合は、外部性とか緊急性とか、それから幼稚産業であるとか、そういったかなり厳しい基準だと思います。その中にいま議論が出た国際的な整合性というものが入るかどうかは、また検討の余地があると思います。
それから、中小企業に関しても、現在の時点で機会が不均等であるというような明らかな市場の失敗があるものというような基準、それから、[2]の政策効果、これは費用対効果ですね。それから、税制が最適の手段であるということのやはり立証が必要だと思います。
というわけで、やはりこの際、一旦すべてを廃止して新たにつくる。その新たにつくる場合の基準をこの場で議論する。そして、挙証責任は要求する側にあるということですね。
それから、新たにつくる場合も、期間は最長2年とするということで、2年たったら一旦また廃止する。またどうしても必要なものは、向こうがデータを添えて要求を出すということではないかと思います。
〇委員
いま、つくるときに2年とか3年とか予め決めてやるんですか。
〇事務局
最近の租税特別措置は全部適用期限というのを設けて、2年とか3年でやめてくださいということにはなっていますが、実際には何回か延長が行われておるということでございます。
〇委員
それが常識になっておるわけですな。
〇委員
やはりこの時点では、相当思い切って見直しをすることが必要ではないかと思うわけでございます。
それは、1つは法人税の基本税率に関連するわけでございまして、平成10年度の改正で37.5%から34.5%に引き下げられた。しかし、このときは非常な大がかりな作業が行われて、課税ベースの拡大ということでもって、何とかそこで収支を合わせて、そして思い切って34.5%にしましたと。ところが、平成11年度の改正では、およそそこらはあまり議論されない。もう何でもありというような形で、一応は特例措置にはなってはおりますけれども、ほぼ恒常的に一挙に34.5%が30%に引き下げられておるわけでございます。これの4.5%の引下げというのは、1兆円単位になるわけでございまして、これによる恩典、これによる軽減効果というものは、ちょこまかした租税特別措置の効果を全く凌駕するものだろうと思います。こういう大きな、いわば特別措置がなされているのに対しましては、本当の細々した特別措置は全部なくなっても、ある意味ではいいのではないかという気もするわけでございます。したがいまして、ゼロベースで見直していいのではないか。
しかし、先ほどもお話がございましたように、まさに各省庁の生命でございますから、絶対これは要らないということはないわけでございます。しかし、それにつきましては、もう非常なマクロ的な見地からすれば、すべてなくしていただきたい。あるいは10年たったものは、この際全部もう廃止させていただくというようなこと、いろいろな考え方、やり方があろうかと思いますけれども、相当思い切った見直しが行われていいのではないか、こんなふうに思います。
〇委員
具体的な御提言は、いまおっしゃった10年以上は廃止しろというところが一番のポイントですか。例えばですか。
〇委員
例えばですね。そのほかいろいろ御議論がございました、社会的規制と経済的規制の問題とか、そういったもの。いろいろな基準のとり方があろうかと思います。
〇委員
一個一個細かく眺めていましたら、新聞記者をやっている間ずっと、「これは必要だ」と書いた記憶があるんですよね。それで、その都度その都度はこれが国を救うみたいなことを書いてきたんですが、前のほうは僕いないから知りませんけど、きっとそのときはそうだったと思うのですが、そういうのを考えると、当然必要だからあるわけですけれども、意見としては、やはり必要でも全部要らないというところに踏み切らなければいけないなと。
というのは、一つ一つのこの額を見ますと、たかだか10億とか20億とかが多いわけで、10億まけたからその産業が生き残って、10億取ったらその産業がつぶれてしまうというようなものだったら、そんなものはなくてもいいということなんだと思います、1つは。金額が大きいものというのは、大体数が多いか大きい会社だということですので、それはまたそのぐらいの金額を出せないようなら、そんな事業はやらなくて結構でございます、というふうに一旦踏み切るのがいいのではないかなと思います。
もう一つ、すでに80もあるわけですから、現に租税特別措置というのが必要な新しい産業というのは、たくさん毎年毎年生まれてきていると思うのです。だけど、すでにある、80以上にしたら叱られるというのは目に見えているわけですから、これがあるゆえに新しいほうが優遇されないという事態のほうをもっと心配するべきであって、なくなればどうせまたこういうものはできてくるわけですから、政策の重要な手段なわけですから。だから、そういう意味でも一回なくしてしまうというのが、各省の役人さんも脳みそを使うのにいいのではないかということも考えますと、できない、できないと最初から思わないで、この際、全廃がいいと僕は思います。
ただ、それができなかったら、先ほどの委員が言ったように、公平というか、理屈づけには、30年以上はなし、20年以上は半分とか、10年以上は4分の1カット、そういう区切りをしないと、これは一個一個見ていったら、絶対存続になってしまいますから、多少無謀なやり方しか当面ないのではないかな。でも、心としては一旦全廃。それは新しく考えるためでもあるという意味も含みますけど。
あともう一つ、先ほど言われた、僕もそれは絶対引っかかると思うのですが、法人税のほうだけ特別措置をやめて、所得税のほうをやめないというわけにはきっといかないでしょうから、それを含めると、法人税のほうのやり方がイコール所得税のほうに引っかかってくるというのも考えなければいけないなと思います。
〇委員
ありがとうございました。いろいろな新説が出て、今日は楽しいですな。どうぞ、ほかに。
〇委員
特に言うこともないのですけど、それは全廃をするのが一番いいのだろうと思いますが、実際問題として、それぞれ理屈を言わせれば、おそらく必要論が100倍ぐらい返ってきますから、それは収拾つかない話だと思いますから、いくつか出ていますように、期限の切られているものばかりですから、その期限が来たものは、やはり無理でもやめていただくということを言うということでしょうね。それで何度か延長しているというのであれば、もうこれっきりですよということで、10年でも15年でも、とにかく期限を守ってもらうということではないかと思います。
それから、内容的に説明がいくつかありましたが、使われていないものを廃止するかどうか。これはあまり意味がないので、使われていないものは放っておけばいいわけで、減収にも何にもなりませんから、放っておけばいいわけですからね。使われているものをやるというのは、つまり、増税の1つの形ですよね。それを狙うのであれば、そういうやり方はあるし、すっきりさせる必要があるというなら、法人税の基本税率をいま例えば27%にします、そのかわり全部やめますとか、何かそういう増減税はゼロにします、中立にします、そのかわり特定の業界あるいは企業にだけ優遇されているものは、公平ではないので、それはやめさせていただきますというようなやり方もあるかと思います。
〇委員
たしか、基本税率1%で税収は5,000~6,000億円でしたか。いくらでしたか。
〇事務局
いまは3,000億円から4,000億円ぐらいです。
〇委員
そのくらいでしたか。そうすると、2%分必要ですな。やめろという説もあるわけですよ。
〇委員
いまのレベニュー・ニュートラルなんですが、租特の場合は補助金と同じであって、これは歳出削減に類似した措置だと位置づけたほうがいいと思うのです。それをやりませんと、小泉総理が当面、増税はしないということを言っているわけで、それとの齟齬がまた来年度の場合は出てきますので、所得控除ではなくて租特の場合は、補助金ではないかなと。
〇委員
非常につまらない発言で恐縮なんですけど、ガソリン税とかあのたぐいは、増税になっているのは租特でなっているのではないかと思うのですけれども、そうすると、租特全体だとプラスにならないかな。だから、こういう整理の仕方はあまりフェアではないような気がするのですけど。
〇委員
増収になっている租特もあるよということですね。増収要因の租特というのはデータがたしかありましたよね。交際費等々も含めて。一回出していただくといいですね。どのぐらいかわからないけど。おっしゃるとおりです。
ほかにございますか。二度目の発言でも結構ですが。
〇委員
先ほど、もう少し詳しいところを知りたいというのが委員から出て、僕もそれは同じなんですけど、それで、事務局が少し説明なさいましたね。これ、もっと1個につき1ページか2ページぐらいエピソード付きで入れてもらうとわかりやすいんですよ。それが大事なんですね。このときこういうことがあって、こういう発言があったとか、金額がいくらでどうだというだけでなくて、こういう省庁とこういう交渉をしたら、こういうことを言われたとか、そういうのが1枚1枚全部あると、すごくわかりやすいですね。そういう整理を一つしてもらいたいのと、もう一つ要求があるんですけど、この中に財務省が何か関係しているのは入っていますか。つまり、財務省が自分で人質を出してほしいのね。そうでないと、よそに言うときに、自分のところだけいいじゃないのと。特殊法人の問題もそうなんですけど、自分のところが身を切らないとやはりまずいと思うんですよね。ですから、そういうものが何かあるのだったら、率先して、うちはこれをやりますよというところを出していただいたほうが、それは説得力がありますね。その辺も含めて、新しい資料を出していただければありがたいですけど。
〇委員
79の中に財務省のはありますか。みんな廃止しましたか。
〇事務局
金融庁関係はあるかと思うのですが、いまや財務省で残っているのは酒税のお酒の業界ぐらいになってしまって、あとは何もなくなってしまっています。ですから、むしろ先ほどの委員の言われたような意味で、事務局が増収になる租特というのは、交際費を代表としてありますから、そちらは事務局が関連といえば関連かもしれません。
あとはお酒は、いわゆる中小企業特例の中に紛れ込んでいるのはあると思いますが、それだけ取り出すことができるのかどうか、少し調べてみたいと思います。
〇委員
金融庁も、だけど元財務省ですから、それはやはり僕は一緒だと思いますよ。
〇事務局
これを申し上げますと、また混乱するかと思うのですが、租税特別措置という言葉の意味なんですが、租税特別措置法に規定されている措置であると一括いたしますと、例えば国際関係の課税でもいろいろなものが全部入っています。例えば増収というか、タックスヘイブンとか、ああいうのも租特で規定しますし、場合によっては例えば土地税制もみんな租特ですし、そういった形で租税特別措置法に規定されているのが租特だというと、すべからくほとんど租特になってしまう可能性があります。
例えば、いまマル老の話が議論になります。マル老でも例えば郵貯の非課税と少額預金の非課税、これは所得税本法ですが、少額国債の非課税、これは租特であります。我々は規定されている法形式にかかわらず、その3つとも基本的にこれは政策税制ということで租特に位置づけておりますし、さらに言えば生損保控除等につきましても、所得税法本法で規定している。したがって、必ずしも法形式だけ見ますと、例えば先ほどもありました揮発油税の増収措置というのを政策税制と位置づけるかどうか、これはなかなか難しい話でございまして、いままでいろいろな議論をする際に、それは増収措置として、暫定的な意味で租税特別措置で規定しておりますけれども、必ずしも政策税制という位置づけはないし、例えばタックスヘイブン税制につきましても、これはある意味では本来的に必要な税制でありまして、なぜ租特でやっているかと申しますと、非常に動きが激しいものでございますから、やはり本法に規定してしまいますと、なかなか、いいか悪いかは別として、動かしにくいという面も結果的にはあるもので、そういったこともありまして、租特で規定していると。いろいろな背景があることだけは申し上げたいとは思っております。
〇委員
これは日本の税制を研究すると必ず出てくる問題で、要するにこういうことでしょう。本法があって、租税特別措置が2つ並んでいて、そこから租税特別のやつを引っこ抜いてきているわけね。本法並びに租税特別措置法から。租税特別措置法イコール租税特別措置ではないんですよね。そこが難しいんですよ。
〇委員
こういう問題は、今度本格的に提起する動機の問題なんですよ。それを連結納税であの8,000という数字が正しいかどうか知らないけど、相当程度減収になるなということは、そうかもしれないですね。デタラメな数字でもないと思うから。それがあるので、法人税の減収は法人税の中で埋め合わせようではないかという発想が根っこに1つあると思うんですね。それも1つの有力なというか、非常に説明しやすい動機なんですね。
だけど、いまやテロ問題が起こってしまったから、枠を外れるような議論ばかり天下に横行しているわけだ。30兆がどうだとかという話を含めて、平時だったらば、法人税の枠の中で何とかだという議論はかなりすっきりしている理論構成だと思うけども、いまの世の中で、そういうふうな動機で我々が一生懸命始めましたというのは、どうもすっきり受け取ってくれるかどうかよくわからない。それならば、さっき小委員長が示したみたいに、こういうクライテリアで、いろいろ時期もあったけれども、今回1つのきっかけがあるのだから見直そうよというのが、正々堂々たるロジックなんですね。金額がどうなるかは知りませんよ、最後は。
だから、僕は中途半端なことを言ったけども、ある程度金額で押さえ込んで、あと2段階でということを言いましたけど、あんなのは撤回しても構わないけども、筋を通したことを財務省は各省とやる、全面戦争をやるというわけだから、特定の省庁とだけけんかするわけじゃないから、この話は。これをいまの財務省がやってくれるのなら、ああ、そうですかと言って、鼓舞激励すれば足りるのだけど、本当にできるかなと。そんなことを言うのは気の毒じゃないか、という気がしないでもないですね。
〇委員
ちょっと本題と離れるかもわからないです。連結納税での考え方で、要するに連結納税というのは、現在3分の2赤字法人があって、3分の1の黒字法人をハイジャックされるような話で、これはかなり減収になることは当然予想されるのだと思うのですよ。
ただ、やはりいまの状況からいえば、それをあとで取り戻さなければいかんと言うけど、この間ちょっと説明しかけたようないわゆる連結法人、また法人数が少なくなってくるわけですね。それに特別税率をぶっかけようというのは、まさしく集中的に限られたところに税負担をかけるわけなので、連結納税を考えた趣旨とまた乖離してしまうのだと思うのです。ですから、私は連結関係だけではなくて、全法人に準備金、積立金といわずこういう租特、そのほかその周辺のものも含めて、やはり課税ベースの拡大をして、取り返すにしても薄く広く回収するのがあれで、やはり連結付加税というのはもたないと思うので、ちょっと本題ではないですが。
〇委員
重要な論点です。いまの租特と連結の関係等々で、もしございましたら。
〇委員
連結につきましては、またいろいろ考え方があると思います。減収額をどうするかという問題も含めてですね。
ただ、一般的にこの租税特別措置、先ほどから議論を伺っていると、法人関係のものにつきましては、非常に割り切りがはっきりしているのですが、そうしますと、この間まで議論していました、特に個人所得税関係の金融商品ですけれども、あれなどは株式譲渡益をはじめとしまして、租税特別措置の最たるものなのですが、ああいうものが出てくると、税制調査会の場でありながら非常に政策目的が重視されて、正当視されるような意見が多く出て、こういう企業関係のものになると、特別措置だから廃止しろと。私の頭の中では両方がつながらないのですけれども、初めに御説明いただきましたように、この考え方というのは、先ほどタックス・エクスペンディチャーがありましたけれども、もともと包括的に所得を捉えるという考え方から出てきますので、それを一貫させると、当然、証券のほうにも話は及んでくる問題なんですね。ところが、個人の所得税については二元的所得税だ何だという形でガチャガチャになって、法人のほうは公平のために租税特別措置を廃止すると。これが2つこういうような議論の仕方になると、非常に混乱いたしまして、租税特別措置を廃止させるというのは、私も賛成ですが、そうである以上は、包括的な所得概念というのをやはり税制調査会でも基本的な租税の方針にあるのだと、そこを再確認した上で議論しませんと、何か議論の中で非常に行き当たりばったりの租税特別措置の見直しになってしまうということをちょっと懸念しておりますが、おそらく企業課税につきましても、先ほどちょっと御意見がありましたけれども、支出税的な発想ですと、これはみんな特別措置でなくていいという話になってしまいますし、現実問題、アメリカ合衆国の例では、先ほどのタックス・エクスペンディチャーですが、大体民主党政権になりますとタックス・エクスペンディチャーが増えまして、共和党政権になると縮んでくる。これの繰り返しをやっているわけですので、だから、ここではっきりと税制調査会でやはり包括的な所得概念がいいのだということを基礎に置いて議論できるというのならいいのですけれども、どうも一部に違った考え方が入り込んでくるようなところで、法人については一斉に見直しということでいくと、どこかで何か衝突が起きるような気がしてしようがないですが。
〇委員
ちょっと教えてもらいたいのですが、包括的所得税議論は個人所得の世界ですと言いますよね。それを言って、それで今度は企業の租特を直せというとき、それを言っておかなければいけないというのは、どこに根拠があるんですか。
〇委員
個人のそれが前提に立っていればいいのですけれども。
〇委員
だから包括的所得税云々の話と、企業の租特を見直すという話がどう連結しているか、僕はいまの説明ではよくわからなかった。
〇委員
そもそも企業課税をどう捉えるかもありますけれども、いわゆる配当に対する課税がどうのとか、そこまで遡る必要はないと思いますけれども、いわゆる包括的所得概念で、さて、ではそれを徹底しますと、法人税の場合はどうなりますか、配当課税について完全に調整しますかとか、そこはやらないですね。
〇委員
所得問題と包括的所得税を密に引っかけて議論すると、何かちょっと難しくなるなという気がするんですよ。
〇委員
難しいと思います。
〇委員
やめましょう。
〇委員
そこは包括的所得税と多元的所得税という、そっちから結び付けるというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、やはり法人税の場合においても、課税ベースは広くという発想はあっていいのではないかと思うわけでございます。したがいまして、連結の問題もありますけれども、この際、聖域なく課税ベースを見直す、その中の1つの方法として租税特別措置が非常に大きな問題としてあるということで位置づけたらと思います。
それから、それは先ほどもありましたが、租税特別措置法で定められているものに議論を限ることはないので、先ほど増収になっている部分として、例えば交際費なんかがあるということでございましたが、逆に法人税法の中でまだ引当金が残っておる。こういったものは税理論上の問題なのか、課税ベースの問題として捉えてもいい面もあるのではないか。例えば退職給与引当金とか寄附金控除とか、あるいは配当の益金不算入とかいろいろな問題がある。もし租税特別措置として増収になっている分を挙げるということで、交際費だけを挙げるというのは、ちょっとまた誤解を招くのではないか。そういった場合においては、退職給与引当金とか、益金不算入はともかくとしましても、寄附金の問題等からもあわせて挙げていただいたらいかがかなと思います。
特に1つ退職給与引当金というのは、このごろは企業会計のほうはどんどん退職給付債務ということで徹底してきている。逆に税は、昔は5割だったのが4割になる、2割になるということでございますから、かなり乖離してきている。そういった意味においては、もういまや100%乖離してもいいのではないか。
そうすると、この方向についても検討していい面もあるのではないかと思います。そういった面からいくと、これは課税ベースを侵食しているものとして整理してもいいのではないかという気もします。
〇委員
税調の10年前ぐらいの議論は、引当金というのはいいと。これは正当なるもので課税から除いていい。準備金は悪玉であるという仕分けをしていたんですよね。それで、我々は一生懸命引当金には手をつけないで、これは租特ではないから、これは正当なる税の理論の中に入っている引当金であると。それに比べて政策的な準備金は、これは減らさなければいけないと、こういう使い分けをしていたんです。ところが、平成10年のときに引当金にまで手をつけ出したときに、私ははたと困ったんですよ。前言っていたことを撤回しなければいけないかと同時に。でも、その辺、委員はどう使い分けられていますか。引当金も、もうこれは課税ベースの侵食だから、特に時代が変わり、世の中変わったからいいよと、それも説明だと思いますがね。
〇委員
まあそこまで行くことはないと思いますが、退職給付債務は、このごろ随分世の中変わってきてしまった。向うのほうがどんどん100%までいってしまった。PBIで。ほとんど泣き分かれになってしまっているから、中途半端に税がやらなくたっていいのではないかという気が……。
〇委員
しないほうがいいと。それも1つですね。それから、賞与引当金等々も大分変わってきたし、わかってきたので。
〇委員
これは廃止されましたですけどね。
〇委員
世の中変わったと説明すればいいわけですな。
ほかにどうでしょうか。もう大分時間がございませんが。
〇委員
しかし、いまの話、仮にこれだけ企業業績が悪いときにやると、損にならないですかね。業績がいいときに引当金を廃止したほうが、どっと税金は出るのではないかという気がするのですけど。
〇委員
引当金を積んでいないということですか、いま。
〇委員
だから、それを利益として捻出させると、本業のほうの赤字がうんとあるから、ちゃらになってしまって、こういうタイミングでやると損なのではないかという気がしますけど。
〇委員
それは事務局に考えてもらいましょう。
〇委員
さっきの委員がおっしゃっていた数値目標ですけれども、やはりあったほうがいいと思うのです。例えばそれは、この法律ごとに全部一律ということではなくて、省庁にある程度割り当てさせるといいと思うのです。あまえさんのところは大体いくらだと、そういうある種の割り当てっぽい感じがあったほうが、民間でいえば営業成績みたいなものですから、数字が出てくるほうが成果は出やすいですよね。
戦術的な問題ですけどね。特殊法人のときは5兆3,000億円のうち1兆、2割と言って、1兆取れということだったのですけど、そういう意味での数値目標はある程度見せながら攻めていったほうがいいと思いますけど。
〇委員
最後に、委員から御発言がございます。
〇委員
議論を拝聴しているだけの、それ以上には出ない感じなのですけれども、お聞きしている中で思いましたのは、租特の見直しというのを、税制の一番大事な「公正・中立・簡素」という規範を守るというようなことで考えていくのか、あるいは当面するいろいろな財政事情等を考えて、税収をできるだけ上げるというようなことを考えてやるのか、どうも、どなたからも同じようなことをおっしゃっていましたけれども、対応するときの態度が2つあるのではないかなという気がしまして、どっちもないわけにはいかないということなのだと思うのですけれども、それぞれの目的意識によって取る手段というのが少し違うような気もしまして、しかし、税収がどれぐらい必要なのか、どういう実態になるのか、その辺の状況もわからないと、税収を上げるためというようなものの言い方もしにくいということはあると思うのですけれども、体制とすれば、連結納税の関係のマイナスもあり、30兆円の赤字公債発行では多分締まらないのではないかなというような気もしますので、やはり税収確保の観点というのは、明らかにあるのではないかなと私は思うのですけれども、その辺の目的意識に合わせた手段のとり方というふうに考えて議論をする必要があるのかなと、ちょっと感じですけど、思いました。
〇委員
ただ、税調は、租特を直すときには、副産物として税収確保ということは言って、表立った錦の御旗は「公正・中立・簡素」なんですよ。そういうほうがカッコはいいですわな。ただ、おっしゃるとおり、やはり衣の下には何かあるというような話になるかもしれないけど、それは両方使い分けるというか、やはり表裏の関係だと思いますけどね。
それでは、どうもありがとうございました。今日は非常にいろいろ気合いの入った議論をしていただきました。
次回以降は、先ほど御説明いたしましたように、企業関係以外の租特、地方税も含めまして、これを10月26日、午後やる予定でおります。金曜日です。それから、次々回は一応11月16日、これは固めていいと思いますが、これを考えておりまして、またメインのテーマと、そのときそのときのカレントのトピックスを抱き合わせまして、ここでいろいろ御議論をいただく予定でおります。よろしゅうございますか。
では、どうも長時間ありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。