第1回基礎問題小委員会 議事録
平成13年9月14日開催
〇委員
それでは、お待たせしました。第1回目の基礎問題小委員会を開催いたしたいと思います。きょうは若林財務副大臣、ご出席でございます。
実はきょうは、22人いる委員の方のうち21人がご出席でございまして、満を持して開会という感じであります。この基礎問題小委員会は7月31日の総会で承認されたという形で、きょう初めてでございますが、昨年の今ごろ、当時の森首相から諮問を受けまして、21世紀初頭の税制のあり方を議論するという意味において、答申を2年後に書かなければいけません。それを踏まえて、我々、やはり専門的な立場、あるいは理論的な立場から、21世紀にふさわしい税制の再構築という議論をしていかなければなりませんので、言うならば、その受け皿として、この基礎問題小委員会は大いに活用、かつ、皆さんのご議論を待ちたいわけであります。当然のこと、そういう理論的な、あるいは基礎的な検討とともに、経済財政諮問会議等々でいろいろな問題も提起されておりますし、世の中いろいろな形で問題が出ておりますので、それも適宜取り上げまして、メインのトピックスと、あるいはカレントのトピックスを組み合わせながら、これから議論していきたいと思います。
きょうは第1回目でございますので、事務局からもちょっと言ってくれと言われるような、この運営のルールをちょっと申し上げたいと思います。
随行者等のことでございますが、これは総会同様、委員のご本人だけご出席いただくということにしております。各省の幹事もご遠慮いただいておりまして、委員の間で十分に審議を尽くそうというねらいをそこに秘めているわけであります。
それから、ここは公開ではないのです。きょうはインターネットによる収録も入っておりませんが、議事録は公表しようと思っています。それで、議事録の作成は一応個人名をつけないでご発言をまとめるという格好にして公表したいと思います。
と同時に、会議終了後、私が原則として記者会見をして、この状況をお知らせしたいと考えております。
また総会も、今月末でしたか、予定されておりますが、適宜総会でも、他の小委員会と同じように、内容をご紹介して、また総会の委員の方々からいろいろなご意見をいただこうと考えております。
それでは、きょうのメインのトピックスは、皆さんからいただきましたレポートを中心として、今後の議論の進め方、あるいはどういうテーマを集中的にやろうかというご議論をいただくわけでございますが、最近の話として、「改革先行プログラム」ができ上がりつつあります。特定財源制度の問題等々も絡んでおりますので、まずこれを簡単に事務局からご説明をいただこうと思っています。
それでは、事務局、お願いします。
〇事務局
どうも、よろしくお願いいたします。まず、私のほうから簡単に、お手元に「『改革工程表』『改革先行プログラム』をめぐる最近の動き」という資料があるかと思いますが、これに沿いましてご説明させていただきたいと思います。
これは8月28日から日程表が始まっているわけでございますけれども、ご存じのように、6月末、26日でございますが、経済財政諮問会議の議を経まして、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる「骨太の方針」でございますが、これが閣議決定されました。その後、8月の初めにかけて、いわゆるシーリングの決定を見るという最中に、この「骨太の方針」をどういうように具体化していくのかという議論が閣議の場等でなされまして、「改革工程表」という、進行管理をすると同時に国民の皆さん方に構造改革の進行を明らかにするものをつくってはどうかという議論になりました。大体3つのフェーズ、秋までにできること、それから臨時国会で法改正する事項、それとそれ以降に行っていくものというようなことに分けてお示ししてはどうかという議論が出まして、これを受けて、実は8月28日から9月4日にかけて、これは3回だったと思いますが、経済財政諮問会議で、各省の大臣から、各省の所管事項について、「骨太の方針」を受けてどういうことをやっていくのかということにつきましてヒアリングを行っていただいております。
かたがた、別の動きといいますか、これももともと予想されていたわけでございますが、9月7日に、後ろに―ご説明いたしませんが―資料としてはおつけしておりますが、13年の4~6のいわゆるQE、四半期別のGDP速報というものが出まして、これが前期比にいたしましてマイナス0.8%ということで、3四半期ぶりのマイナスになってしまったと。直前に1%超えるようなマイナスだというような観測が流れましたけれども、それよりは若干よかったわけでございますけれども、やはり数字としてはやや懸念される数字ということでございまして、同日でございますが、閣議の場におきまして総理のほうから指示が出ております。
恐縮でございますが、3枚めくっていただきまして3ページ目、右のほうにページ数振ってございますけれども、「当面の経済財政運営について」ということで、ポイントといたしましては、その上のほうに3ポイントございます。国民にわかりやすい形で「改革工程表」、先ほどご紹介したものでございますが、これを明らかにする。それから補正予算で措置する事項を含め先行して決定・実施すべき施策を「改革先行プログラム」として取りまとめる。同時に、平成13年度補正予算の編成について準備を進めるということでございます。
それに加えまして、その下のほうの段落でございますが、この「改革先行プログラム」、具体的内容につきましては、経済財政諮問会議の議論も踏まえた上で、14日に内閣総理大臣から改めて指示すると。
その内容でございますが、公共投資等による単なる需要追加策は厳に排すということで、柱立てとして大きな柱として3つ、1つが新産業・チャレンジャー、雇用を生み出す制度改革・環境整備、規制改革等でございます。それから2点目といたしまして、雇用・中小企業に係るセーフティネットの充実策。3点目といたしまして、構造改革を加速させるため特に緊急性の高い施策に絞り込むということでございます。
一方、これも、予想されていましたGDPの数字を受けまして―恐縮でございますが、1ページ目でございます―9月7日、同日でございますが、与党三党から、総合経済・雇用対策の第一次提言というものが官邸のほうへ提出されております。これは与党の政調会長レベルでございますが、政策責任者会議の議を経まして、与党の幹事長、政策責任者等で構成されております与党三党総合雇用対策協議会というところで決定を見たということでございます。これは後ろの4ページ目以降につけてございますが、かなり粗々の項目のみをまとめたということで、さらにこれを受けて細かな第二次提言をしていくという予定だそうでございます。
恐縮ですが、この中身でございますが、4ページ目以降にございます。税制の関係といたしましては実は幾つか細かなものが入っておりまして、6ページ目でございますが、IIの「新市場創出とベンチャー支援」の3の[3]「中小企業等の設備投資等に対する優遇税制の拡充・強化」、それから[4]「ベンチャー優遇税制の拡充」、それともう少し下でございますけれども、IIIの2「連結納税制度の導入など、企業を取り巻く法制上、税制上の環境整備」という項目、それからその次の7ページ目でございますが、細かな話で恐縮ですが、4の「都市の再生」の[4]に「土地・住宅税制の見直し」というものが入っております。
それと、その次のページでございますが、VIの「証券市場の活性化」というところに「証券税制の改革推進」ということ。これは中身は入っておりませんが、項目として入っているのと、あと、その2つ下でございますが、「金庫株関連税制の整備」といったような、わりあい細かめに税制についても、タッチだけでございますが、されているということでございます。
それで9月11日に経済財政諮問会議がございまして、この「改革工程表」等についてご議論がなされたというふうに伺っております。本日、先ほど、7日の総理指示にもございましたが、改めまして閣議で総理から
具体的な指示がございました。これが9ページ目でございます。
これも先ほどの指示をさらに具体的に肉づけしたというものでございますが、これに基づきましてさらに各レベルで作業が進んでいくというものでございます。これにあわせまして、塩川財務大臣のほうから発言がありまして、1つは、補正の要望を9月21日までに締め切るので、各大臣お願いしたいという話と、もう一つは、総理の指示に加えまして、その補正の中身としては、6つの基準といいますか、考え方というのを示して、これに沿ったものをお願いしたいということでございます。
これはご紹介いたしますと、1つが単なる公共投資等による需要追加でないこと。それから2といたしまして、雇用創出効果や民間経済活性化効果が特に高い施策であること。3として、目に見える成果が早期にあらわれること。4、特殊法人等向けの財政支出は、真にやむを得ない場合、雇用等を除き対象としない。5、早急な予算執行、すなわち年度内執行が可能な事業であること。特に施設等であれば、例えば原則としてすでに用地手当てが済んでいること。6として、構造改革を加速させるものであり、14年度予算において予定している7分野の要求等の単なる前倒しではないこと。ということでございまして、さらにこれを受けて作業は進んでいくということでございます。
これ以下は、予定というか、報道等で伝えられている話でございますが、9月下旬に「改革工程表」の取りまとめと「改革先行プログラム」の中間取りまとめとなっておりますが、これは予算の絡まない事項中心、規制改革等が中心になろうかと思いますが、これが取りまとめられると伺っております。おそらくこれに先立って、政府のほうの産業構造改革雇用対策本部というところがございますが、ここのほうで総合的な政策パッケージがまとめられる。それから与党三党のほうでもおそらく第二次提言というのが出てくるのではないかと思われます。
9月下旬、27日と伝えられておりますけれども、臨時国会が招集されて、そこで先行プログラムの一部分につきましては議論がされるということでございます。10月の中・下旬でございますが、ここで「改革先行プログラム」、予算措置まである程度見通したものが最終的に取りまとめられまして、10月下旬には補正予算の枠組みが確定してきて、その後、おそらく11月中旬ぐらいになってしまうだろうと思われますが、補正予算が提出されるということでございます。
ただ、この先行きにつきましては、ご存じのような事情がございまして、少し早めに動こうというご議論もあるやに伺っておりますので、とりあえず今までの情報を総合するとこういうことで、ご紹介させていただきました。
あと、道路特定財源の話につきまして、最近の状況について、私のほうから若干ご報告させていただきたいと思います。これは資料ございませんが、実は先般の9月11日でございますが、小泉総理から塩川財務大臣及び扇国土交通大臣に対しまして、自動車重量税については一般財源化すると、ただ平成14年度の税率は維持するという旨のお話がございましたので、ご報告させていただきたいと思います。
道路特定財源につきましては、今後の経済財政運営及び経済社会の基本方針におきまして見直すということが明らかにされているところでございますが、いずれにいたしましても、今後、平成14年度予算編成過程において、まずは使途をどうするかという歳出面についての真剣なご議論が進められることと考えております。今後、暫定税率の議論といったことに及べば、政府税調でご審議いただきたいと考えておりますが、まずはこの歳出面での議論の推移を注視してまいりたいと思っております。
以上2つでございますが、この後のご議論とも関係あるかと思いますので、簡単にご報告させていただきました。
〇委員
ありがとうございました。委員のほうから何か補足ございますか。あればちょっと簡単に最近の事情をご説明ください。
〇委員
はい。それでは、特に11日に経済財政諮問会議で展開されました流れをお話しさせていただきたいと思います。
今、事務局からご説明がありましたとおりでありますけれども、実は民間4議員が資料を3つ付け、そして「改革先行プログラム」の具体的内容について、これをセットにして経済財政諮問会議に出したわけであります。今現在、各大臣からのプラン、あるいはイニシアティブ等に対して、経済財政諮問会議側として前倒しすべきもの、あるいは抽象的なものを具体化すべきことについて、◎と〇をつけて報告書を作成し、さらに21日開かれる経済財政諮問会議で加速させていただくような形で提案したいと思っております。
もう一つ、税の問題で申し上げますと、実は民間4議員が私案をまとめて、証券税制に関して発表を添付資料としてつけております。そのご議論がこのペーパーをめぐってあったわけですが、総理は基本的に、理論的にはこの位置づけでよいと。具体に、早急にまとめてくれということを明言されました。それと同時に、我々が提出した4つの資料というものを統合化して、簡単化して、国民にわかりやすく提示してくれというご注文がつきました。そういう作業を今後やっていくことになろうかと思いますが、きょう資料が出ておりませんけれども、そういう経緯の中で議論が進んでいるということを承知しておいていただきたいと思います。
〇委員
ありがとうございました。事務局と委員におのおの質問があるかもしれませんが、あとの議題が押してますので、後ほどの発言の機会にあわせてご質問いただいたほうがいいかと思います。きょうの本題に入らせていただきます。
きょうは、かねてより皆様にお願いしておりましたレポートですね。なんか大げさなことを言いましたが、要するにこの基礎問題小委員会で何を検討すべきか、何を重点的に先議するか等々についてレポートを出していただきました。お忙しいところをどうもありがとうございました。そこで、今お手元に冊子になって配られております。当初は私あてにお出しいただくというような考えでございましたが、ただ、考えてみますと、我々の仲間同士も、あの人はどういう意見を持っているかということがわかったほうがいいと思いますし、やはりもので書いてあるほうが読めば頭に入りますので、無理を言いまして、一応皆さんの内諾を得た格好になりますが、ここに整理させていただきました。
そこできょうは、このご自分のお書きになったものをもう一回ごらんいただいても結構ですが、おれはもう十分書き尽くしたから別に意見はないという人はそれで結構ですが、やはりまだ言い尽くしてない点もあろうし、あるいは平板的に書いたので、どこをもっと強調したいのだというようなお考えもあるでしょう。そこで、残った1時間20分ほどの時間がございますので、それをフルに使いまして、これから基礎問題小委員会でやる論点の整理をぜひやりたいと考えておりますので、きょうは全員にご発言いただきたいと思います。
そこで、これをまとめたのが基礎小1-1と書いてあります2枚紙でございます。これは「委員から寄せられた検討課題案」と「案」がついているのは、まとめ方についていろいろまだ固まってないということかもしれませんが、とりあえず項目別にずうっとピックアップしていただきました。右のほうの括弧は、この数だけの委員の方がこういう問題について議論すべきであるというご提示があったということです。
一番上の課税ベースの拡大、個人所得税でございますが、13というのはやはり一番多い数字でございまして、個人所得税、ご覧いただきますと、ほぼ我々が検討しなければいけないというものは網羅されていると思います。それから法人所得税もここに書いてあるようなことでございますし、それから消費税については、酒税、地方消費税も含めて項目がここに並んでおりますが、消費税のあり方、税率、福祉目的税化等々で、やはり皆さんの中には大きな問題意識がおありと思います。
それから2枚目の資産課税、贈与税、相続税、この問題のあり方論、それからその他のほうに実はいろいろな難しい問題が入っておりまして、特定財源ですね。道路と限りませんが。それから税と社会保障の問題、あるいは環境税の問題、地方財政のあり方等々、これを一応網羅してございます。そういう意味では、今問題になっているすべての問題がここに網羅されたかなあという感じがいたしております。
そこで、順次ご発言いただくわけですが、特にご関心のあるところ、特にこの基礎問題小委員会で優先的にやらなければいけない問題等々をご開陳いただけたらと思います。考え方としては、これが終わった後、きょうは租税特別措置のご説明を受けますが、租税特別措置みたいに税制の根幹にかかわる問題は一応メインのトピックスとして数回やって、それプラス、カレントなトピックスとして、我々としても意見を整理しておかなければいけないという問題をつけ加えてという感じで考えておりますので、メインとサブ、マイナーと言ってもいいですが、そういうような組み合わせで、どういう論点をこれからとらえたらいいかといった点を中心にご発言いただけたらと思います。
どなたからでも結構でございますので、私の今の問題意識に対して早速お答えをいただけたらと思います。
〇委員
個別の税でも議論しなければいけないことがたくさんあるのですけれども、これから先の税がどうなるのかという選択肢がまだ全く議論が始まってないというのが非常に気がかりで、そのプライマリー収支を均衡させるためにはどうしても増税も不可避だと思いますので、やはり全体ビジョンにかかわることをしっかりと議論すべきだと思ってます。
そのときに、ポイントとしては消費税をどう位置づけるかということ。それから社会保険料と税の役割分担をどうするかということ。それから国税と地方税の役割分担をどうするかということ。この3点かなと思ってます。
あと個別としては、所得税の課税ベースの拡大とか土地課税といったようなところが重要だろうと。それから、これは金融小委員会でも重要なテーマだと思ってますが、やはり納税者番号の議論をしっかりと進めるということが大事だと思います。
〇委員
重点の置き方、論点の取り上げ方で特にご希望ございますか。消費税といっても、すぐさまというわけにはなかなかいかないかもしれないと思うのですね。
〇委員
そうなのです。全体ビジョンと、個別にも早く議論していかなければいけないことがありますので、その分担が非常に難しいと思うのですが……。
〇委員
じゃまたあと考えをまとめて、再度登場してください。
〇委員
私はこの基礎問題小委員会というのは非常に重要な役割というか、位置づけになるのではないかと思っているのですね。というのは、いろいろ今までやってきましたけれども、日本が成熟化して、高齢化して、そして資産は非常に量は多いのですけれども、キャピタルストックにしても、ハウスストックにしても、いろいろな資産、量は膨大にありますが、それが本当に有効活用されないという構造になってきていて、活力が出ないのですね。ですから、私はぜひ先生のご指導のもとで、税制を考える基本原則に公平・中立・簡素というのはありますけれども、もう一つやはり、歴史的な意味で、経済活力というのは石税制の時代にはっきり入ったのだというようなぐらいの角度でやっていただきたい。
それを考えるときに、だれかがこういうことを言ってましたけれども、日本というのは保守主義政党が社会主義をやったと、むしろヨーロッパ諸国なんかは社会主義政党が市場主義を志向するというような矛盾があると。中国もそうかもしれませんが、非常に日本は社会主義過ぎると思うのですよね。ですから、本来の建前、本質に戻って、資本主義、市場経済による活力を生かすためには、今我々が持っているさまざまなストック、これを有効活用できるようなもの。もう論点は2つだけに絞ります。たくさん言いたいのですけれども、2つだけに絞ります。
1つは、資本、キャピタルストックというものが有効に活用される。個人の持っている資産が成長性のある企業に円滑に流れ込むことを支えるような仕掛けが必要。これは仕組みとしては税制はごくそのうちの一部で、透明性とかリライアビリティとかいろいろなものが重要ですけれども、税制も重要です。そういう意味では、キャピタルゲイン課税について、例えばドイツのような税制について一度しっかり研究をして、深く研究をして、ある意味では日本に構造の似ている国がなぜああいう税制をとっているのかですね。
それから損益通算というのは先進国はみんなやっているわけで、日本は源泉分離やっているからできないという面もあるのですけれども、一刻も早く状況を整えて、損益通算をかなり長期にわたって、国によってはロスがなくなるまでやっていいという国もあるわけですから、そのぐらいのことを視野に置いて検討すると。
〇委員
損失の繰延べのことだね。
〇委員
そういうことです。
〇委員
損失の通算って横だから、縦の話。
〇委員
繰延べです。そういうことですね。
〇委員
わかりました。
〇委員
それから長期保有株式についての優遇税制。本当のことをいうと、これはエクイティファイナンスのようなものが育つ仕組みというのをつくらなければいけないのですけれども、しかし、税制もやはりそれを後押しする、支えるという意味で非常に重要なので、ぜひこれは考えていただきたい。
もう一つは住宅ですけれども、日本は今5,100万戸の住宅があって、4,400万家計なのですよね。この住宅が流通してない。中古市場は全然流通してない。ですから、売るとただになってしまうというようなすごい世の中で、国民は働いて働いて膨大な資産をつぎ込んで家をつくるのだけれども、高齢化して、病院の近くの温かくて小さな家へ越そうとすると、持っている家はただになってしまう。ですから、非常な恐怖感で、何が起こるかわからないから貯蓄だけしているという姿になって、リスクのあるところなんか、とてもできないという姿。
これを直すためには、基本的には中古住宅市場が円滑に動くようにしなければいけないので、家の資産の流通というものをもっと円滑にするようなことが必要だと。これもまた、税制はごく一部でして、家の性能検査だ
とか工法の標準化だとかのほうが重要ですけれども、ただ税制としても、例えば取引に関する税はもう一回やはり検討する余地があるのではないか。登録免許税とか、不動産取得税とか、特別土地保有税とかいうのが、建物についてだと免許税5%。住宅は安くしてありますけれども、取得税が4%もかかってきますし、土地保有税というのは3%かかっているわけですし、いろいろありまして、これが流通するのを支援するような税制体系というのを本気で考える必要があるのではないか。
キャピタルと住宅という、大きな資産の有効活用ということで申し上げたいと思います。
〇委員
キャピタルのほうは、金融小委員会のほうでもメインのテーマでありますから、そっちに多分お任せするということになろうかと思います。
〇委員
住宅の話が出たので、ちょっと。住宅金融公庫の廃止というのを行革断行協議会で案として出したのですけれども、これは今4,000億円税金が入っているわけですけれども、前は6,000億円ぐらい入ってました。大体4,000から5,000億円税金が出ていっているわけですが、それで年間50万戸つくっているのに対して4,000億円出ていくわけですから、というか、累積でいうと550万戸ありますけれども、そういうものに対して4,000から5,000億円出ていくわけです。それと、今、委員がおっしゃったように、そういうことが経済活力に結びつくようなものであるかどうかということで、住宅減税が当然もう一回議論されるべきだと思うのですが、6,000億円ぐらいありますから、合わせると1兆円のお金が結局550万戸の人たちにいっているということになりますから、4,400万世帯で考えれば8軒に1軒の人たちしか1兆円の恩恵にあずかってない。特に年間50万戸つくるのに対して6,000億円の減税ですから、そういうことを考えると非常に不公平であると考えていいと思うのですね。そこのところを、改革のプログラムの位置づけでいえば、今特殊法人改革があって、それと一体化しながらそれを見直していったらいいのではないかと思います。
〇委員
ありがとうございました。どうぞ。
〇委員
税の公平・中立・簡素というのはいいですけれども、長いこと見てますと、結局今、要するに政府に大赤字がたまって、それとほとんど同額の黒字が家計にたまっていると。それは税制によって、こっちに移動すべきものをしなかったことによる失敗だったと思うのです。そのおかげで別な活性化というのは当然あったわけですけれども、でき上がりとしては必ずしも成功ではなかった。
それを見ますと、やはり税制というのは、もう一つ、プラスとして分量ですね。税収の分量、これをやはりある程度経済に見合ったものを確保しなければいけない。それを確保するというのは義務感として、別に税調に限ったわけではないですが、主税も含めて、集める側にちょっと薄かったのではないかという感じがしますので、この分量に集まってくる税収のトータルの総量に結構こだわってもいいのではないかなと思います。
じゃ具体的に増税すればいいかというとそういうことではなくて、それもありますが、その点ではやはり課税最低限の引き下げというのは圧倒的に重要な課題ではないかと1つ思いますし、あと租税特別措置というのを、あまり勉強してなかったのですが、いろいろ勉強すると、数の多さにびっくりするということ。その特別措置というのが何が特別なのかわからなくなっているということで、僕は、こまごま考えていてもしようがないから、全部やめてしまうというところから始めてみるのもおもしろいかなと思います。
あともう一つは、それは中長期的な話でもあるのですが、目先、やはり増収ということにこだわって考えてみますと、株の値段が下がるというのは、あちこち二次的な影響で、法人税の減収を含めて入りが減るということを考えますと、株にかかわる税金、どのぐらい集まっているのかというと、たかだか3,000から4,000億ですから、それをすべて捨ててしまえばいいのではないか。それによって株価がもし上がれば、法人税のほうで1兆2兆出てくる。そういう計算の方法もあるのではないだろうか。ここのところは厳密ではありませんが、26を10にしたところで大した話ではない。
株に関する限りは一銭も税金とりませんと言ったら、随分集まってくるのではないだろうか。それで、株の3,000億、4,000億というのはほとんど法人税の見積もり誤差の範囲なわけですから、そんなところにこだわっているよりは、この際ということはありますけれども、やはり9,000円というのは異常な値段ですから、損ばかりする必要はないということも考えてはどうだろうかと思います。
あともう一つ、せっかくですから言わせてもらいたいのは、道路特定財源というもの、これは詰めるとなかなか難しいのでしょうけれども、特定財源というのはやはり基本的に廃止すべきであって、とれるところから税金は当然とるのですが、それを一般財源化するということをもう一回詰めてアピールする必要があるなと思います。
〇委員
例の株価のささいなところは公平・中立・簡素に反しますけれども、これは1万円割れたから緊急避難的にやろうと、こういうご提案ですか。
〇委員
まあわかりやすく言うとそうかもしれませんが、公平・中立・簡素の簡素は間違いなく簡素。中立という意味でも別に、まあちょっと疑いはあるのですが、公平という意味ではあらゆる人に公平な機会を与えるということですから、いいのではないかと。
〇委員
株に関係ないのがあらゆる人に公平という判断ですね。
〇委員
ええ、まあ株価は……
〇委員
所得税というのはキャピタルゲインのためにあるわけではないから、企業所得者もいるし、事業所得者もいるし、あらゆる所得の人と比べれば、何で株でもうけた人だけがいいかという議論は残るでしょう。
〇委員
損する場合もあるという。いや、そういう観点ではなくて、公平というのは機会はみんなにあるということでとらえてちょっと考えてみたのですが、もとのところはだから、そこのところはちょっとルール違反かもしれませんが、トータルで税収が上がる方法として、まあ永遠にということではなくて、最終的には総合課税というのを目指してということですけれどもね。それにつけても、株でもうかるという世の中が来てないと、とりようも何もないと。
〇委員
私案ですね、言うならばね。
〇委員
ともかく、この基礎問題小委員会の進め方、いろいろご意見あるでしょうけれども、1つだけ、もう一言述べますと、やはり当面の課題というのに年内あたりは重点といいますか、ウェイトがかかっていくのではないかと思います。今この時期に消費税どうするのだというような議論をしても、どうも実が入らない。やはり現下に迫っているといいますか、抱えている問題に議論が集中していくのはやむを得ないと思うわけです。
ただ、その場合、どうも最近の論調等々を見ていると、少し時勢に流されるというような印象がしてならないわけであります。確かに失業率が5%に達したり、あるいは株が1万円を割ったりという、ちょっとこれまで想定していなかった日本経済の前提みたいなものが揺らいでいると、そういう大変な状況であるということはわかるわけですが、だからといって、時勢に迎合するといいますか、あるいはおもねるといいますか、そういう態度というのはやはりとるべきではない。それはほかの人にやってもらって、少なくともここの人たちはそういう姿勢で物事を議論してもらっては困るというふうに感じるわけであります。
ちょっと各論で申し上げますと、今現在抱えている問題といいますか、ホットイシューの一つとして証券税制の問題がございます。先日、諮問会議のほうの案として提示されたものが新聞等々に掲載されました。私も読ませていただいたわけでありますが、この問題一つとっても、どうも従前から私個人は疑問に思っている。なぜこう譲渡益課税ばかり議論するのだと。あるいは譲渡益課税が下がれば、あたかもそこに個人の資産が資本市場に流入し、株が上がると。上がるのはいいけれども、下がることはないという前提で税制の議論をし過ぎるのではないか。もちろん何かしなければいかん。何もしなくてもいいということではありませんが、少し極端から極端に流れ過ぎるという印象を私はかねがね持っているわけであります。
1つだけ、この諮問委員会で、私なりに若干考え方違うなあという点は、これは前から申し上げているのですが、私は配当課税というものをなぜもっと議論しないのだと。確かにこの前の諮問会議でも50万円ぐらいまではたしか20%ですか、今の10万円を50万円に上げるのだというところはありますが、全体の証券税制をめぐる議論を、小委員会でもおやりになっている、そういうものを伺ってますと、一体何を目指した議論なのか、何を目指した改正なのか、私にはよくわからない。
つまり、株式の配当というものに期待して、長期保有、つまり、株の金融資産としての地位を高めるための議論なのか、それとも売買の回転を高める議論なのか、一体どっちなのだと。そこら辺からしてわからないわけであります。どうもこの税調、あるいは諮問会議等々の議論を聞いていると、株の売買を、回転を早めるということばかりに議論が少し偏り過ぎているのではないか。
もう一つ、株の資産としての価値は配当という形でのいわゆる金融資産としての意義もあるわけで、むしろ私は税制の議論としては、金融資産の中における株式のウェイト、価値というものを高めるには配当に対してもう少し配慮する必要があるのではないか。現に配当課税は10万円までは20%の源泉徴収、10万円を超えると35%の税率に上がるわけであります。金利、利子の場合はどこまでいっても20%。配当だとなぜ10万円超すと35%なのだと。ここら辺は税制の議論としても少しいびつではないかという感じはかねがね持っているわけであって、証券税制の議論を進めるのはそういうサイドからのアプローチというものをもっともっとみんな持つべきではないかと思うわけであります。あたかも譲渡益課税をゼロにすれば株が上がると、みんなハッピーになるというようなその前提での議論は、その前にその前提が正しいかどうか、みんなできちんと議論すべきであると。そういう前提の議論もしないままに、あたかも不明確な前提を絶対の前提として議論する、そういう姿勢は少なくとも税制の議論としてはやるべきでないと私は思います。
それから道路特定財源、これもこの前小泉さんが極めて唐突といいますか、自動車重量税、税調ではかねがねそういう意見もあったわけですが、首相のほうからああいう形での指示といいますか、意思の表明というのがあったわけで、私は一般的にいって道路特定財源というのはもう完全に見直す時期に来ていると、遅きに失しているという基本的な考え方は異論がないわけであります。
ただ、全部一般財源化なのか、あるいは特定財源として残す、使途の拡大というものでともかく現状を維持したいと。あるいは道路整備特別会計というものをそのまま維持すると。使途は都市計画とか何とかに使うにしても、ふところ、財布としての道路特会は堅持するという、どうもマルかバツかの議論が少し目立ち過ぎるという印象を持っております。
1つ、私はかねがね自分の個人的な意見として持っているわけですが、この道路特定財源と地方税源というものをつなぐ発想があっていいのではないか。つまり、道路特定財源の一つの特徴は、ガソリン税等々のいわゆる国の税収をすべてといいますか、地方税以外の国税での何兆円という特定財源を国が一括管理し、一括して配分すると。その不透明さ、不合理さというものに問題が1つはあるわけでありまして、ある程度これを地方の財源として移す考えというものを持っていいのではないか。
例えば揮発油税の、現在4分の1は一般会計通らないで道路特会に直入れと。そして地方道路整備交付金という形で地方に流れていく。あくまでもこれは国土交通省の道路局が配分権を握っているものでありますが、この4分の1、大体今7,000億あるわけですが、これを地方の税源に移す。そして地方が責任を持ってその使途、全部道路に使う使わない、それは地方の裁量に任せるとして、これを全部、この4分の1を地方の財源にしたらどうだと。この前、分権推進委員会で地方への税源移譲のリストとして所得税とか消費税とかたばこ税とか出ていましたけれども、なぜこの揮発油税が入ってなかったのか、私はちょっと不思議な気がするわけであります。
つまり、道路特定財源の検討の幅を地方税源というものと関連づけて、その税源を地方に渡す。しかし、その渡す範囲内で、道路整備とか、その使い方を考えてもらう。当然ながら、税源を渡すのですから、それに伴う補助金とか、交付金とか、ここら辺は圧縮せざるを得ない。むしろ税源を渡すということは地方を喜ばせるということではなくて、地方に厳しい選択を、あるいは自助努力を迫るという考え方に立ってそういうことも考えていいのではないか。
ちょっと長くなりますが、もう一つ。これは中長期的課題かもしれませんけれども、私は議論は早急に始めるべきだという考えに立っているテーマでありますが、ともかく日本経済の環境の変化、構造の変化というものの一つに、やはり生産が海外に大量に急激に移転しているということが挙げられるのではないか。しかもこの傾向はこれからやむことはない。ますます流れが早まっていく。つまり、これは経済的に見れば付加価値が海外に流出するということであります。その分だけ海外から来てくれればこれは収支バランスとれるわけですが、なかなかそういうふうにいかない。
つまり、国内からの付加価値の流出に対してどう対処するか。一方で国民は行政といいますか、政治からの受益というものを求めるわけであります。そのためにお金が必要だと。しかし、その財源たる付加価値が海外に流れていってしまう。これを税制に何か吸収する方法というのも考える時期に来ているのではないか。
私はここで海外投資税なんてことを言ってしまいましたけれども、一番過激な、ラディカルな案かもしれませんけれども、その場合に、例えばみなし税率をどうするのだとか、段階を踏まえてやるべきことはいろいろある。歳出のほうではODAの見直しというようなことも言われていますが、税制面からも、このODA的なものはもういいのではないかということは、中長期的課題というよりも、私は当面の課題として議論していただきたい。
〇委員
ありがとうございました。新しい視点を出していただきました。どうぞ。
〇委員
幾つかありますけれども、第1に、皆さんから出たテーマ、一覧表、2ページにわたって見て、大体こんなことだろうと思いますが、この個人所得税、法人所得税、それから消費税というのは、去年つくった「我が国税制の現状と課題」の中にいろいろなことが書いてあって、そこでもう一わたり議論はでき上がっているのですね。その上にこれをどういうふうに展開するかの話であってね。あとはタイミングの話だけなのです、この話は。特に消費税の扱いは極めて政治的にデリケートだということなので、だからここのところは、僕はいざ詰めの段階に入ればそんなひどいことにはならないと思っているのですが、問題は、最初に言われたけれども、「その他」というところに書いてあるのがすごいのです。どいつもこいつも。これをどういう順序で……。ある日思いつきである人が何かを言い、別の人もまた思いつきで同じことをつまみ食いして言う。それもいいけれども、全体として、流れとしては、工程表というのはどういう意味で使ったかわからないけれども、我が方だって、その他の問題をどのタイミングで、この点はどのタイミングで手がけるかと。政治情勢、経済情勢、全部加味しながらやらなければなりませんから、この手順をどうするかということが実は議論をわりあいと効率的に進めるためには極めて重要だと思っている。それが第1。
第2は、個別税制で証券問題が目先にぶら下がっているわけですよ。僕はこの前も何遍も申し上げたけれども、これが今即効薬であろうなんて考えている人は一人もいないのですね。それがあるから世の中おかしいという、ほとんど90%ぬれ衣だけれども、そう言っている議論をためにする人も世の中にたくさんいるわけです。それならば、どうせ年末までやるのなら、あと3カ月の話だから、早めにけりつけて、さっさとこの話は卒業というふうにしたほうがすっきりする。
漢方薬的にいえば、間接金融から直接金融というロジックはあって、これはだれだって否定できない話であって、それを3カ月早めて言ったって別段そんな筋は曲がらないだろうと。ただ、そのときにどういう内容を盛り込むかが問題であって、時間あまりないのですけれども、会長が最近意図的にあちこち、データを言って、全部インタビュー受けてしゃべっているのを聞いていれば、あれも一つの会長らしい考え方だと思うのですね。あれをどの程度、みんなが議論するときにまとめるか、それは知りませんけれども、大筋は会長みずから出馬してしゃべっているわけだから、あの線で、我が税調はこれでやると。あと党とか政府が何考えるか、そんなことは別の話よと。税調としてはそういう判断でやるということを早く出してしまったほうがいい。すっきりすると。年末までこんなものを抱えていたのでは、おまえら不勉強だと言われっぱなしになって、こんなあほな話ないと思っているのです。
3番目は、今ちょっと言ったけれども、僕もこの中に書いたのは、税制の話を書いたのですよ。税制の話ではなくてマクロ経済政策論の話を、ここではやるあれがないかもしれないと思うけれども、一言だけ言っておくけれども、今の状況で製造業の空洞化が進めば、おそらくあと1年ぐらいで貿易収支は赤字になる。今いろいろなことがあるわけですよ。で、圧倒的に中国に流れていく。
決定的な要素というのは、向こうの労働者の技術水準がどんどん上がっているわけですから、日本の労働者と変わらないわけだから、賃金がべらぼうに安いだけの話ですから、この格差、防ぎようがないのですよ、実は。そうすると、雇用がどうだとか何だかんだ言っているけれども、日本の経営者はみんな国内の労働者の首を切って海外に移転する方向に今流れているわけで、平均の製造業の海外生産依存率は14%だけれども、それは業種によって全然違うのですね。電機なんていうのはもう二十何%いっているわけだから。自動車は特に高くなっているしね。それを当たり前だと考えて行っているし、それも当たり前だと思うけれども、しかし、そのまま放置していいという議論にはもうならないのではないかと思うのですよ。そのときに、海外投資に税金かけるというのはどうもいささか、昔、田中角栄が出国税なんか考えることあったけれども、僕はそうではなくて、そこでマクロ政策論なのだ。
何を言いたいかというと、いろいろな議論があることはわかってますよ。つづめて言えば、財政、金融のセットの話の中で、今たまたまこんな事件が起こっていて、ドルが若干安くなって円が高くなっているけれども、これは極めて過渡的な現象だと思うので、中長期的に追求すべきは間違いなく円安政策だと。表現は極端な円高防止で構わないけれども、事態として眺めてみれば、為替レートの変更があって、それが徐々に効いてくるという方向で救わなければ、デフレから脱却できなければどんな高級な経済政策やったって始まらないです、こんなものは。これはマクロ政策をやる議論の場ではないからちょっと言い過ぎたかもしれませんけれども、僕はそう思っている のですよ。
民間の人4人を含めて立派な人が集まって今官邸でいろいろなことをやっていらっしゃるけれども、この話は一体どう考えるのだと。日銀にインフレ目標率あって、どうだこうだという議論はいろんな議論の人が今言ってますよね。そういう言い方は実に世の中、賛否両論読むけれども、いろいろな手法があるけれども、日銀さんにいろいろやってもらって妥当な円レートに持っていくということは間違った選択ではない。マイナスはありますよ。あらゆる政策、全部マイナスあるのだから。だからそこに逃げ込むということを言うとちょっとあれだけれども、しかし、それがごくごく常識的な真っ当な政策の一つではないかなと。デフレがそこで幾らか救われないと、個別の議論をやってみたってみんなひっかかってくるのですよ。どいつもこいつも個別議論やったって、デフレ政策にならないのだから。そこがしっかりしなくてはどうにもならないという気がしているので、ちょっとテーマから外れて申しわけないですけれども、一言だけ。
〇委員
今、お二人の方から経済財政諮問会議に関するご質問がございましたので、お話をさせていただきたいと思います。
まずマクロ政策の問題、これは我々も為替レートのありようについて関心がないわけではありませんで、今ご指摘のとおりのラインというのは、国内的に見ると、実物面及びマネーサプライの両面において有効であるということは認識をしております。実物面というのは、輸出入の交易条件を通じての効果、これは特に元がドルにリンクしているという二重のパンチをどのように我々が回避していくかという問題が第1点であります。
それから第2点は、これはマネーサプライの伸びをこれから助長する、推進する手段としてこの問題をどのような形で、円・ドルのいわば債券の購入という形でこれを処理するかと。そういう意味におけるマネーサプライのプラス要因、これは我々も十分認識しておるわけでありますけれども、アメリカ経済が非常に悪くなり、かつ今の事件が起こっている状況の中で、表立ってこの政策をやると、あるいは表明をするということが極めて難しい局面に立たされ、その意味における通貨政策が縛られてきているというのが現状だろうと思います。
それから第2番目のご指摘、これは先ほどの委員のご質問にも関係するわけですが、我々は実は出しゃばったことをしたという意識を証券税制の問題については持っております。しかし、あえてなぜしたかという問題は、これは2つの側面を持っております。
1つは、これは政治的な、いわば内部の執行体制の問題として、総理がはっきりと、証券税制について前倒しで「改革先行プログラム」に載せるということを言いながら、それを政府部内で担当する部署の動き、あるいは与党を含めての動きというものが極めて緩慢であり、このことが一般的な情報も含めて世の中に要らざる不評、あるいは批判というものを招いている状況の中で、スピードを加速させるためにあえて我々が問題点の整理をし、具体的な内容をつくり、たたき台にしたということでございます。たたき台になるかどうか、これはご批判があろうかとは思いますけれども、一考に値する案であると自負しておりますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
2番目は経済政策として、そのたたき台の中にも私は現在の租税理論の中における位置づけを明確に出したつもりで書いております。最初のところでは理論的な形での論点を二元性所得の中で書いております。これは税調内部で、金融課税小委員会の流れのまとめで我々はこれを今出しておるわけでありまして、決して税調の動きと私は矛盾しないという具合にこの提案を考えております。
具体的に、先ほど、証券の問題の中で、なぜこの配当のインカムゲインのところとキャピタルゲインのところの整合性がとれないのだというご指摘がございました。我々は実はその問題を意識しておりまして、その結果として、非課税枠を大きく引き上げろということをやっております。これは法人課税の段階の中で内部留保と配当の部分のところの、これまで戦後は分けて2本の税率でやってきたものを一本化した後で、配当の部分の二重課税を軽課するという形でこの問題は理論的に整理していかなければならないわけで、その部分が、ご指摘のとおり、急に35%ということになれば、これは日本に投資をする際の収益率を税引き後で引き下げるということでございますから、魅力のない日本の法人所得課税になっているということから、この部分のところを取得の一つのインセンティブ、売買で購入される方々ではなく、長期に保有される方々に対してもインセンティブを与えるということで、この引き上げを提案させていただいているということであります。
第2番目の問題、もう一つ指摘させていただきたいと思いますが、キャピタルゲインに対する譲渡益の問題、これは象徴的になっておりまして、この問題は金融性所得の中で一番リスクの変動の高い証券のキャピタルゲインの部分のところにどのように政策上対応するか。それも国民的規模で株式所有をし、厚みのある証券市場を形成するためには、これは異例的な措置であるということを十分承知した上で、軽減税率及び取得の限度枠というものを設けたということでありまして、委員にもこの報告書を、我々が考えている意図をぜひお酌み取りいただきたいと思っております。
〇委員
ありがとうございました。今の後段の部分は金融小委員会のほうで受けとめて、また議論の対象にしたいと思いますし、マクロのほうは税制と直接関係ありませんが、絶えず我々が念頭に置かなければいけない話でしょうね。
〇委員
この「委員から寄せられた検討課題案」を見ますと、先ほども触れられましたけれども、すべて中期税制答申に盛り込んである、中期答申に網羅されている問題ですね。したがいまして、私はこの中期答申の内容をやはり全委員がきちんと把握しておくということがこれから審議を進める上での前提条件になるということをはっきりと再確認しておく必要があると思うわけです。
この消費課税のところで、消費税のあり方について検討課題として提案された方が12人いらっしゃいますが、私は、財源調達機能の回復の観点からやはり消費税の増税というのがいずれ検討課題になるのは避けられないとは思いますが、国民の理解を得るには非常に厳しい環境が続いているということに注目する必要があると思うわけです。古くて新しい問題でありますが、やはり歳出構造の抜本的な見直し、合理化を一層強く税制調査会として求めていく必要がある。
そういう点から、それに関連しまして、道路特定財源の問題はもちろん、地方交付税交付金制度、それから年金制度についてもっと突っ込んだ議論をする必要があると思うのです。地方交付税交付金制度についても、これは本当に突っ込んだ議論をこれまで政府税調としてしていないのではないのかと思います。
ということでありまして、当面の問題については、今、証券税制について先生からご説明を受けまして、そのねらいはわかりました。ただ、新聞報道しか私は見ておりませんので、その具体的内容についてやはり説明していただく必要はあると思いますが。今でなくてもいいですが、後ほどでもいいですけれども……。
〇委員
これは金融小委で説明いただきましたので、後で資料をお渡しするという格好で処理させていただきます。
〇委員
税制の基本問題についての委員会でございます。公平・中立・簡素等々言われますけれども、税制は国家財政を支えるというのが基本的な役割でございます。そういった意味においては、50兆円ぐらいしかない税収で80兆円の歳出を数年間続けているというこの状態というのは、税としての基本的な役割が果たされていないということではないか。基本問題とすれば、まずこの問題に正面から取り組んで、税の本来の役割、機能を回復するということが最大の問題ではないかと思うわけでございます。しかし、現時点では内閣も増税の問題は取り上げないということでございますから、正面からそれは言うわけにはいかないわけですけれども、基本問題の小委員会であるという以上は、やはりそこに位置づけを置くべきではないかと思うわけでございます。
そういった意味において、今それに触れられないということであれば、ほかの問題を議論するときにも、いずれ必要となる基本的な見直しの邪魔にならないような税制にしておく必要があるわけでございます。現在議論されている証券税制にしても、現時点での証券市場問題から考えて必要なことはやらなければいけないにしても、それが将来の基本的な税制の検討のつまずきの石になってはいけない、よく考えなければいけないと思うわけでございます。
したがって、証券税制についても、売買してもうかったときの所得をどうするということよりは、証券市場、証券を保有することによる危険負担、リスクテイキングに対してどのように配慮してやるか。損はこうなるよということで、損失に対する扱い、これを中心に取り上げていけば、国民の皆さんからの反発も少ないし、将来の改革のつまずきにもならないだろうと思うわけでございます。
そういった意味におきましては、所得課税の面を、26下げるとか0にするかというのはどうも将来に問題を残す。十数年前に、結局、消費税、一般消費税の障害となったのは、そういう資産課税の穴が大きいのではないか、それを放置してはならないという議論であったと感ずるわけでございます。
それから、そうした当面の問題についての検討のスタンスとともにやはり基本的な問題は忘れてはいけない。しかし、本来であれば所得課税の問題、課税最低限を含めたその問題、あるいは消費税の税率の問題というのはあるわけですけれども、それがどうも今の情勢に合わないということであれば、残るのは資産課税でございます。もし増収を図るとしても、それが最小限度消費支出に影響を及ぼさないというものがあるとすれば資産課税だろうと。その意味においては、資産課税の問題は現時点で取り上げ、あるいは検討してもいいのではないか。
非常に身近なものは固定資産税でございまして、小規模住宅用地は、現在、課税標準が6分の1になっている。ここらは6分の1をすぐ6分の6にするということはないにしても、見直しの機会があってもいいのではないか。それから個人資産が1,400兆円ある、預貯金がその6割ぐらいと言われております。それだけのものがあってなかなか消費に向かわないのであれば、薄い富裕税的なものがあって、それを国がかわって消費するということだってあり得る。そういう消費に影響を及ぼさない税があるとすれば、何か考えてみる余地はないか。
また、相続税、贈与税も検討課題になってますけれども、むしろ課税ベースは広げるという検討の方向があってもいいのではないか。最高税率の問題はあるにしても、課税最低限の点はまた別途考えられる余地もあるのではないか。そういう意味での検討もあってもいい。
それから資産の中の基本的なのは人的資産でございます。そういった意味におきましては均等割の問題がある。ここらも検討がされてもいいのではないかと思います。しかし基本的には所得課税、消費課税の問題ですが、これは現在なかなか難しい。そういった意味においては資産課税ですが、その他の問題としても、先ほどご議論がありました特定財源の問題、これを幅を広げていくことによって、使途を広げていくことによって、実質的に収入範囲の拡大を図るという方向も1つあり得るだろうと思いますし、また国際化の傾向に対して税制としてどういった手が考えられるか。アメリカが一生懸命いろいろな工夫をして海外からの課税収入の確保を図った努力は見習うべきものがあるのではないか。
連結納税の問題、これは現時点でのご検討の方向をお伺いすると国内単位ということのようですけれども、ある意味では海外の部分も含める、あるいは含めさせて、日本国内での産業の空洞化にも対処できる分野がないか。それは逆の方向ではないかとしかられるかもしれませんが、それで
なくてもいいですけれども、経済の空洞化、国際化、グローバル化に対応して何らかの方向を考える余地があるのかないのか、このあたりからの検討であってもいいと思いますけれども、そうした努力もされていいのではないかと思うわけでございます。
〇委員
ほとんど網羅的におっしゃられましたけれども、これはおっしゃった順番が重要なのですか。ほとんどすべての問題をおっしゃっていただきましたけれども。
〇委員
当面は……
〇委員
税収確保で、それからずうっとおっしゃってましたけれども。委員の問題意識、大変広範でありますから、よくわかりました。
〇委員
重点は2枚目なのですね。「その他」として片づけられておりますけれども、これが基礎小委としては重要かなと。
〇委員
はい、わかりました。
〇委員
まず、この基礎小委員会を今スタートするというこのタイミングをどう見るかということだと思うのです。やはり最初の問題提起にならなければいけないのは、もちろん各論もありますが、やはり日本の税収全体が長期的に伸びていく可能性が非常に低いと。その低いという要因が何かというのは、もちろん何度か減税をしたということもあると思うのですけれども、もっと根本的な問題は、やはり今の税制が今の経済の姿と非常に合わないところが大きくなっている。今までの税制というのは生産体制に非常に照準をあわせたものであって、必ずしも人的サービスとかサービス産業化に対応したような税制ではなかったと考えると、はっきりいって、今税制が一種の欠陥商品になっていると。全体的に見てですね。
特にどこが欠陥商品の性格があらわれているかというと、これからコスト増が考えられる分野というのはいわゆる対人サービス的なもの、例えば医療とか介護とかいうような分野。それから環境関連の、環境処理とか、あるいは水とか、そういうようなもの。これは地方公共サービスにも非常に関係のある分野ですが、こういったサービスの対価に対する資源調達機能としては税制は非常に弱いというのが今私が考えている問題提起なわけです。
したがって、これからのコスト増と、この税制をどうやってフィットさせたらいいかということになると思うのですが、過去、税収の見通しがいろいろな意味で崩れていくのですけれども、やはり一番大きいのは、まず住民税とか法人税とか所得税の分野というのは非常に今後税収が減っていく可能性も極めて高く、このままでいくと、まず日本全体が受けている行政サービスと税収の乖離というのがさらにひどくなるということになると、資金調達の手段をもっと広く考える必要があるのだと。大きくいえば、保険収入、それから料金とか借金とか、この4つのバランスの中でどうやってお金を集めていったらいいかというのをトータルに見る必要があるのではないかと思っているのですね。
そういうふうに考えていくと、これからとれるところはどこかということになると、例えば医療でいえば、現在の医療保険という制度以外に、もっと医療サービスに対するコストに見合うお金の取り方みいなものがあるのかないのか。あるいは、まさに私が申し上げたいのは、税金というのは本当にナショナルミニマムに対応するものをカバーすると。それを超えていくものをなるべく行政サービスを受けた人がその段階で払うような仕組みに変えていく……
〇委員
受益者負担ですね。
〇委員
そう、受益者負担の発想に徹底的に変えていくというようなことが必要だろうと。ただ、もちろん、筋ジストロフィとか、極めて難病であるというようなものを全部個人負担は難しい。個人負担が難しいものは難しいということをはっきり認定する。しかし、トータルに見て、みんなで受けた行政サービスの対価が延々と税金で払うということはもう不可能に近い。したがって、受益者負担でとれるものにどんどん変えていく。
過去の税収を見ても、とれている部分というのはやはり取引発生時点でとれているものが非常に多いのですね。例えば自動車を買ったとか、自動車を走らせたとかいうガソリン税とか、実際に活動が行われている段階で税がかかっているものが最も税をとりやすい。だから、消費税なんかもそういうとらえ方をすれば、今、生産体制が外に出ていく、しかし取引は日本に残っている以上、やはり取引段階にかける税金というものが最も、はっきりいうと透明度が高ければそっちのほうがいいわけで、企業の実績に係る税金というのはどんどんとるのが難しくなると思います。
私が分野として最も興味があるのは、行政サービスの最終的な提供者としてはやはり地方公共団体であると。7割というか8割というか、現場で行われているサービスに対しては地方公共サービスというのが非常に大きい。この分野においてはやはりはもっと料金制ないしは受益者負担の考え方を取り入れられないのか。
税制を見てみますと、日本に受益者負担という言葉もない。ということは、今まで地方税の範囲でも、日本の国税の範囲でも、受益と負担とか言っていながら、税制上きちっと、この場合は受益者負担を導入すべきだという一言もないのですね。そういうことを考えると、ぼやっとは受益者負担とは言っていながら税制上全く考えられていないという意味でも、日本の税制の欠陥的な部分というのはあるのではないかと思っていまして、特に環境の分野、あるいはいろいろなサービスの分野においては、受益者負担というものをどのぐらい税制とマッチングさせて導入させることができるのか。ちょっと長期的な話になってしまいますけれども、これはもし地方自治の本旨を使えば、条例分野でもかなり前倒しでできる分野もあるのではないかと考えます。
〇委員
それはシャウプが来たときに指摘した問題ですよね。つまり、税金でなくて、料金だとか受益者負担とか、さまざまなものがあるからけしからんと。で、地方税制を確立しなさいと言い置いていって戦後できたのだから、また新しい展開で、そういう点に再度戻るという議論はあり得ると思いますね。ちょっと私も問題意識を持つべきでしょうね。ありがとうございました。
〇委員
最近の景気の落ち込み方というのはやはり想像を絶していて、30兆の国債発行というのは金科玉条になっているのですけれども、今年度の補正についてもまず無理でしょうし、来年度のことを考えると、税収はやはり相当落ちると思いますから、これも、言葉悪いですけれども、今度のテロをきっかけに、あれで運が悪かったのだと言って撤回せざるを得なくなるかもしれません。そういう状況で、僕は増税が大好きなのですけれども、税金増やすという論議はとても持ち出せる状況にない。やれるとしたら、ある委員がおっしゃった、本当に発泡酒ぐらいではないかと思うのですね。
そういう状況で何ができるかというと、使途で不合理なもの、目的税の使用先の見直し、まあ一般財源化というのがまず1つできるのではないか。それからもう一つやれそうだし、やらなければいけないのが、いつもある先生が言っている問題で、外に逃げていくということです。これもやり始めると挙証責任の問題までいくから相当大きなテーマであるのですけれども、当面それぐらいしかやれないのではないかなというのが私の実感でして、ここであえて増収をねらったような税の論議をしかけると逆に攻め込まれて、かえって減収になりかねないようなことになるのではないかということを危惧しております。
〇委員
この小委員会というのは基礎問題に関する小委員会で、2年後の報告の柱になる基本的な思想を示す、そういうことを議論する委員会かなと思っておるのですけれども、そういう観点から見ますと、今国民が何を税制について心配しているのか、国民が税制を信頼しておるのかと。これはそうでない、非常に不安を持っていることは皆さん感じておられるとおりでありまして、経済がどんどん上がっているときには、税金を納めても、その中身がわけわからなくても、それで効果あるのだろうぐらいに感じておったと思いますけれども、これだけどんどん下がっている時代になり、しかも財政のほうはどんどん赤字が膨らんでくるといいますと、家計の感覚からいうと、そういう国のやり方というのは考えられないという事態。そういう直観的な国民の感覚の中で、一体税がどうなるのか。これは上がっていくに違いないだろうと。しかし、一体どこまで上がるのだろうか。それから、上がっていって、自分たちは最後きちんと保障してもらえるのだろうか。そのあたりについて大きな不安があって蓄財に走っているというのが実情ではないかと思います。
そういう事態を前提にいたしますと、今度出す報告書では、特に大きなところで私2つあると思うのですけれども、1つは社会保障、社会保険料と税負担について、もっと具体的に姿を見せて、トータルでこのあたりですよという議論をどこかで示さなければいけないので、先生のところで示していただくのもいいですけれども、この委員会では権限超えるという議論が出てくるに違いないと思いますが、そこは両方が、社会保障と税のことを切り離して議論するというのはとても国民にはわからない。国民の感覚からすればこれはまとめて、今のところとられるものという、負担だという感覚でありますので、この両方についてきちんと具体的な姿を示すべきではなかろうか。前の報告にもそういう項目は確かにありますけれども、両者の性質の違いということが書いてあるだけで、具体的なところは全く姿が見えておらないということだと思います。それが第1点です。
それから第2点はやはり国税と地方税との関係、特に地方税、これはサービスとの関係で、地方税にどれだけ税源を譲り、どういう姿にするのか、これももっと具体的に姿を見せないと国民としては理解できないだろう。なかなか国民は増税に応じないという意見もありましたけれども、例えば介護保険料をとる際の国民の反応を見ますと、うん、これはきちんと介護のほうに使ってもらえるのだということがわかれば、7割とか8割の国民の人たちが賛成しておるので、ですから、納めたものがこういう形で返ってくるということが具体的にわかることが一番基礎的な条件だろうと。
それが具体的に変えるのが見えるのはやはり地方自治体のサービスでありまして、これと税との結びつき、あるいは社会保険料との結びつきをしっかり国民にわかる形のものにしていくという議論、これもこの審議会の議論を超えるという意見もあろうとは思いますけれども、やはり一番基本のところとしてそこをしっかりすることが大切ではなかろうかと思います。
〇委員
超えた領域でも議論したいと思いますから、大いにご参加ください。
〇委員
私、個別的に書いてありますので、もう大体見ればおわかりかと思いますが、むしろこれは全般的な考え方といいますか、問題意識ということで申し上げたいと思います。
基礎問題小委員会ですから、税制の全般にわたっていろいろな問題があるのは当然ですし、また先ほど出たように、増税論議はタブーというのが一般の空気ですけれども、しかし、ここに書いてございます3番目の基礎年金の問題、これはある程度方向を出していかなければタイミングが合わなくなるのではないか。今話が出ました社会保険料というものが、あれからいえば一番の大衆課税なのですね。それの財源として消費税というのをぶつけるのはわりにやさしいかと思いますけれども、ここに書いてあります食料品非課税というようなものをここで片づける段階ではないのではないか。
そこで具体的に私なりに考えていたのは、むしろ1のほうの所得課税の定義、これの問題をどうするのだと。これも漫然とすれば戻らないでいってしまう。しかも税制としてはかなりゆがみを持ったものでございますので、むしろ基礎年金問題ということにこの定率減税の問題までひっくるめて考える必要があるのではないかと思います。
それから基礎年金、要するに国庫負担ということは個人負担だけではなくて、事業主負担の問題もあるわけです。事業主負担の問題をどうするかというのは、やはりかねてから言われております法人課税の課税ベースの問題、それから私どもがお願いしております外形課税の問題、ここいらも、基礎年金問題ということでこれだけでもかなり大きな問題でございますので、ぜひこの基礎小委で取り上げていただく緊急性はあるのではないかと思います。
それから6番目、租税特別措置ということですけれども、これも単純な租税特別措置というよりは、今やられております構造改革の一環として、いわゆる公共法人というものの公的活動、あるいは公益法人は公益活動というものに優遇措置を与えるというよりは、構造改革でむしろ民間分野を拡大する。民間分野とのイコール・フッティングのためにこんなものを残しておいていいのかどうか。ちょっと発想の転換もしつつ、この特別措置の整理問題を取り上げたらいかがかということです。
〇委員
大分時間もなくなってきましたが、ご発言のない方、どうぞ。
〇委員
さっきからいろいろ論議があっていろいろ聞いていたのですが、結局今まで、お上が吸い上げて、わしらに任せなさいと、いいようにしてあげるからということでずうっときたわけです。それがいいようにならなくなったわけでして、そのときに、やはり選択肢が、私は行政改革というのは、役所の数だとか、歳出を減らすとか、そういうことではなくて、決定権をお上から個人の手に戻すことだと思っているのですね。
そういう考えでいくと、個人が不公平感を持つというのが一番まずい。簡素が一番大事だと私は思っているのですが、フランスの地下鉄、パリの地下鉄は均一料金ですよね。1駅乗ろうが20駅乗ろうが同じ金額ですよね。そうすると駅員は少なくて済むし、変なボードは要らないしということで、全体のコストはものすごく少なくて済むと思うのです。だけど日本だったら、1駅乗るのと20駅で同じ料金なんてけしからんと、多分、不公平感とか、平等とか、言うと思うのですね。そういうことをどうやってみんなに浸透させるかという話がものすごく大きくて、いろいろな控除とか、特別措置とか、例外があればあるほど、その境目にいる人は不公平感というのは出てくるわけでして、これからも、今の社会に合った税金の取り方と、どういうところに本当に使うのかと。ナショナルミニマム以上にお金が来てしようがないから使っているなんていうところがあるわけですから、それを全部チャラにする。今までずうっと、温泉宿の増築、改築みたいなことをやっていて、趣旨と全然違うものができ上がっている部分がいっぱいあると思うのです。それをチャラにして、更地にして、今の税、どういう形で、国民がやるところはどこで、国がやるべきところはどこかという図を書くのが私は基礎的問題であろうと思ってます。
〇委員
ポイントありますか。図を書くといったって……。これから考えるということですな。
〇委員
ここの問題ではないですが、先ほど産業の空洞化と為替レートの話が出ましたけれども、簡単にいうと、昔のプラザ合意以前の240円とか、それ以前の360円はもとより、そのころの日本というのはちょっと楽し過ぎたというか、アメリカの政策によって非常に楽な交易条件でやっていたというのがその後正常化し、そしてちょっと行き過ぎたのかもしれませんが、それで経済が一時的にうまくいったということの中で日本経済が酔っていたといいますかね。ところが、実際はそんなに昔から日本の企業に競争力があったわけではなく、ちょっと為替が正常化すると外へ出ていってしまう、空洞化が始まるという中と、それからこの税金と財政の問題というのは非常に同じような状態だと思うのです。実際にはそんな力がないのに、財政が大盤振る舞いをしているうちに本来の姿に戻ってきた。そして収支が合わなくなったというのが今の姿ではないかと思います。
そういうマクロ的な問題はともかく、今のとられるほうの国民の意識というのは、相当程度、増税、高負担やむを得ないというふうに今なってきていると思うのですね。これはもう間違いないと思いますが、ただ将来展望がないから、それだけで、お金ばっかり、貯金ばっかりしてしまうという点にあると思います。
税制に関していうともう一つは、高負担はしようがないと思うのと、それから非常に不公平感に警戒心を持っている。今後の長期的な問題としては、やはり不公平感の是正というのをもうちょっと、今まではあまり十分やってきてないのではないかという気がするのですね。
例えば納税者番号制度というのはもう随分前から論議されてますが、一向に進まない。これが何で進まないのか、本当のことをいうとちょっとよくわからないのですね。例えば、私もちょっとアメリカに住んだことがありますが、アメリカではソーシャルセキュリティ、社会保障番号、それからタックスナンバー、納税者番号、このどちらかを選ばないと、もちろん任意ですけれども、生活していけない。それはどういうことかというと、あちらには戸籍というのか、住民登録というのはない。だから、だれがどこに住んでいるかわかりませんが、家を買う、あるいは借りる、自動車を買う、登録する、銀行預金を開設する、すべてこのどちらかが必要ということで、問題は、こういうことに対して一度も不平を聞いたことがない。これは当然のことだと思うのです。ですから、日本でなぜこの部分が今まで放置されているというか、なかなか進まないのか。
例えばこういうものを警戒する人というのは、簡単にいえば後ろめたい人ですよね。大多数の国民というのはほとんどこういうことに問題ないのではないかと思いますけれども。ですから、もうちょっと、今後の税制の長期的な問題については、増税はやむを得ないという前提の中で国民は考えているわけですから、将来展望ということについては、税制調査会と直接関係ありませんでしょうが、不公平感をピチッと正しつつ増税を納得していくという、今一つの非常にチャンスだと思います。
〇委員
金融小委の委員としての立場を離れまして、したがって、証券のことはもうきょうは触れません。先ほどから、増税は無理だからどうしようもないという議論がちょっと多過ぎるように思いまして、だからこそやらなくてはいけないことというのが大ぐくりにいって2つあるのではないかと思います。
1つは、すぐに税制に結びつくような議論ができないのだから、ここは長期充電のために、将来問題になる話ということをきちんと議論しておくべきではないかということですね。それからもう一つは、お二人の委員がおっしゃったような議論に関連するのですが、長期的にどうしても増税をしなくてはいけない時期が来るだろうから、そのときに備えて、今ある税制の不備を、とりわけ税制を増税するための環境づくりとして考えるべきではないか。その2点をもうちょっと考えたらどうかと思います。
前者の点としては、地方税とか社会保障税とかいろいろありますけれども、先ほどからあまり触れられていない論点としては、1つは地球環境ないしは環境問題として、ご存じのように、2008年から2012年まで、要するに京都プロトコルというのが入る予定で、もちろんアメリカの問題等はありますけれども、環境庁はコミットするつもりのようですし、そういうきちんとした炭素税とか環境税とかいうことを考えるべきだろうし、場合によっては排出権取引のような代替的な制度が生まれてくる可能性もあるので、それが出てきたときにどういうふうに考えるかということも含めて考えるべきではないかと思います。
それからもう一つは先ほどおっしゃった納税者番号制度ですが、私は、これをやはりきちんと入れるということが、長期的に景気が回復してきたときに、資産所得とかそういうものから増収するためにも非常に重要な仕組みではないかと一方では思います。他方では、委員はあまり強調されなかったのですが、プライバシーという問題に関するおそれを普通の人たちは非常に大きく感じているように思います。諸外国でも、アメリカはやや例外だというのが私の理解であって、例えば典型的にいえば、韓国のICカードというものが事実上法案として入れる方向では議論されていながら、最後になってつぶれてしまうというようなことがあって、今情報化ということが言われていて、情報がどんどん出てきていて、他方では、その陰に隠れてプライバシーがどこに行ってしまうのか、何かよくわからないというような意味でも不安が出てきている。そういう時代の動き、それとの絡みで納番ということをもう一度きちんと考え直す必要があるのではなかろうかと思います。
それから後者のほうとしましては、つまり長期的に増税をするために短期的に何をすべきかということですが、これは中立・公平・簡素ということからいうと、一番重要なのはやはり公平なところ。とりわけ垂直的公平よりも水平的公平、あるいは別の言葉でいえば公正とか透明性というようなところをもうちょっときちんと確保していくことが必要ではないかと思います。
典型的には、委員がおっしゃった公益法人の問題であるとか、あるいはこれはだれもおっしゃってませんが、消費税の益税の問題とか、あるいは中小法人の問題とか、あるいは捕捉の問題とか、さまざまな問題があると思いますので、そういうことを少しきちんと是正する方向で議論すべきではないか。
それからもう一点、やや関連する論点でいえば、こういう時期はさまざまな租税特別措置がむしろ逆に導入される傾向が強い。先ほどの自民党の、あるいは与党の報告にも出てましたけれども、そういうものが出てくる可能性が強いので、無制限にそういう特別措置というものが導入されることを避け、きちんとそれをチェックしていくというのが我々の役目ではないかと考えます。
〇委員
もう皆さんおっしゃったことと重複する面もありますが、政府税調として先にやったらいいと思いますのは、先ほどお二人の委員もおっしゃったと思いますが、景気対策としての税制を点検して、税調としてはっきり言っておく。9月7日でしたか、会長、日本記者クラブで講演されましたのを、私、拝聴しましたけれども、そこで非常に明確に、金融小委員会の討議を踏まえてのことだと思いますが、考え方を打ち出しておられる。私もそれでいいと思いますけれども、それを党税調がもたもたしている間に先に言っておくという必要があるのかなと思います。
といいますのは、例えば証券税制について言えば、現在の株価の値下がりと税制とはあまり関係がないのではないか。したがって、いろいろなことをやってもそれで株価の上昇というのは期待できないのではないかという認識のもとに、しかし、世間一般では株価の下がっているときに何を言っているかということになりますから、そこは党もいずれは動くと思いますので、動くのは動くとして仕方がないとしても、景気対策としてというよりは、以前から出ておりますような預貯金、間接金融に偏在している状態を少し政策的に是正したいと。そういう趣旨であれば、そういう趣旨に沿うような、例えば非常にリスクをとらなければいけない株価についての損失を繰り延べてみてやるというようなことも確かに一つの方法ですから、それをやるのであれば、それではその前提となる源泉分離というのをそのままにしておいたのではぐあい悪いのではないかというようなことを会長は明確に言っておられるわけですから、そういうものをきちんと先に言っておく必要があるのではないか。
それから景気対策として税制を考える場合に、若干租税特別措置みたいな話になるかもしれませんけれども、先ほども出てましたが、中国とまともに競争するという形では勝てないわけですね。資金格差が大き過ぎますから。したがって、中国でできないことを日本で起こしていく必要があるという意味で、開業支援とかベンチャー企業の育成とかいう観点から税制を少し考えてみたらどうか。
今、経済産業省を中心にクラスター制度というのを研究されているようですが、これは官・学・産ですね。地域別に調べてありますが、世界で、あるいは日本で100%シェアをとっている企業もあるのですね。それがせいぜい100人ぐらいの企業だったりする。そういうところが結構数あるのですね。そういうものを伸ばしていくという形で、そこで広がっていけば雇用もある程度拾っていけるというようなこともあるし、ただ、中国とのまともな競争ということでなくて済むということもあるかもしれません。
それからちょっと観点は違うのですが、株が下がっている要因の一つは、やはり銀行、金融機関の持ち合いの解消ですよね。売り一方で回っているという現象ですが、そういうことの背景にはいわゆる国際会計があるわけで、その中で象徴的なのは、退職金給与引き当て、これをきちんとやりなさいと言ってますね。それは大変結構なことですが、支払う企業から見れば、それで四十何%、実効税率で税金をとられるわけですね。税金のほうは税金でちゃんと払いなさいと、会計審議会のほうは会計審議会でグローバル会計やりなさいという。両方お互いに勝手にものを言っているという状況ですが、払う側からすれば、これは両方につき合わなければいかんということになりますね。こういうことが株価急落のやはり大きな要因の一つであって、別に税制でも何でも構わないわけ。極端な言い方をしますとね。そういうことをもう少しはっきりさせて言っておく必要があるのではないかと思います。
それから小泉構造改革で出されている公益法人の問題とか、道路特定財源の問題とか、租税特別措置の改廃、そういうものは政府がやろうとしているわけですから、それに対応する答えを出しておく必要があるかと。税調としては、やはり中長期の視点での税のあり方を議論することに時間を割くべきではないかと思います。
私、この中で、地方税制について法人事業税のことと税源移譲のことをこういう形でちょっと書いてますので、脈絡がとれないかもしれませんので一言申し上げておきますと、この考えとしては、国と地方のいわゆる財源配分、税源配分のあり方をまず議論すべきであって、その個別の例えば地方交付税がいいとか悪いとか、そういうようなことを1つ取り上げてということでは物事は解決しないということですから、それを総合的な観点から議論していく。その中で税源移譲の問題とか法人事業税の外形標準の問題、そういうものも議題になってくるであろうと。そういうような思いで書いておきましたので、そこはちょっと説明しておきたいと思います。
〇委員
委員のレポートは非常に詳しいのですが、何かつけ加えることはありませんか。もしあれば簡単に。
〇委員
まず2つの、金融小委員会と法人課税小委員会ありまして、それと今度の小委員会どうなるのだろうと、関係が1つ気になっていたのですが、皆さんのお話を伺っていて、何となくすみ分けみたいなものがわかってまいりまして、こちらの委員会、年度末になりますと、どうしても来年度税制ということで出てくると思いますけれども、しばらくはやはり中長期的なお話を続けるのが適当ではないかと思っております。
多少戸惑っておりますのは、ほかの2つの小委員会とかなり温度差が違いまして、先行き、増税もやむを得ないと、あるいは公平な課税ですが、これはどうも、2つの小委員会では中立性という話までは出ますが、公平ということはほとんど忘れ去られてしまったような残念な事態で、それプラス減税ですね。減税はやむを得ないといいますか、減税の可能性が高いという話できております。連結すれば必ず多少税金が減らざるを得ませんので、そういう前提の上でありますが、喫緊の課題ということで早急に結論を出すということですが、幸いこちらの委員会は大分長い期間とれますので、やはり基本原則を考えながらやっていただくのがいいのではないかと思っております。
中には、こんなのんきなことをしていてはいけないとか、そういうご意見もありましたし、またタイミングが難しいということでありますが、中期的な答申ということでありますので、その中期答申でも、新聞に出ると、世の中これだけ経済が悪いのに何でそんなのんきなことをやっているのだというご批判が出ることは承知しておりますが、今現在そういう議論をするのはなかなか難しいと思いますので、タイミングの問題ですが、どうやったらいいのかなと思ってます。
1つ例を挙げてみますと、先ほど委員から出ました配当の二重課税の問題、これはドイツが従来は完全に配当に係る二重課税は排除していたのですが、それをやめまして、おそらくドイツがやめますとよそのEU諸国にかなりの影響を与えますので、そういう話が各国の法人税の改正という話につながってくると思います。
他方で、じゃ日本はどうするかと。これは法人課税の委員会では以前にこのような神学的なところには立ち入らないということでやってきたのですが、私としては、中長期的に、やはり世の中、ヨーロッパが動き出した以上は考えてみる必要があるのではないかとは思っているのですが、ただ、これを提案として仮に出しますと、じゃ配当控除10%から今度20%に上げると、そういう話に方向が向かってしまうことが、どうもそういう感じがしてならないので、それでなかなか議論を持ち出すタイミングというのは難しいだろうなということですけれども。大体そんなところで、やはりできれば、多少現在の喫緊の課題に対応する委員会と、それとは距離を置いた形で中長期――中長期といっても3年、5年でしかありませんけれども、少し冷静な議論ができれば非常に有益ではないかと思っております。
〇委員
ちょっと1分だけ。
〇委員
どうぞ。
〇委員
きょうは暗い話が多いのですよね。やはり新製品を開発しないと。この場合、ここに書きましたけれども、カジノです、カジノ。あそこからとれば消費も上向くし。消費からとるわけでしょう。それで、要するに雇用もできるし、税金は入るし、消費は増えるし、こんないいことないではないですか。さっきからずうっと、きょうのあれは租税特別措置の全面的見直しという話の流れでいくから僕は黙っていたのだけれども、話ずうっと聞いていると暗いから。カジノは絶対お金とれますし、あと国と地方の配分の問題は、後で分け前の取り合いは考えるわけであって、僕はそういうぐらいの新製品を出していかないとだめだと思うのですよ。幾らでもこれはとれますよ。カジノはね。先進国は全部ゲーミングあるわけですから。日本だけないわけで、法律改正が一番望ましいけれども、法律改正しなくてもやり方は幾らでもありますから、そういうのをやらないと……。消費がもっと活性化してお金がとれる。アリバイとして残しておきたいので、もうちょっと強く打ち出してほしいなあ。
〇委員
わかりました。巨大なご著書もあるようだし、お考えもあるようで、一回問題提起していただいたほうがいいかもしれませんね。石原慎太郎さんも何か臨海につくりたいと言ってますし、まあいろいろ、それこそ期待の持てる話題になるかもしれませんから。
〇委員
きょうお示しいただいたこの税の項目、「委員から寄せられた検討課題案」を見てみますと、何遍これ見たのだろうなあという感じがしておりまして、実は問題は、こういう項目を挙げてお茶飲み話的にこれを検討すると、そしてそれぞれの委員の方々がそれぞれのご持論を展開されるという段階をもう卒業しなければならないのではないか。
その意味は、1つはやはりスピードの問題で、これは今、全領域に工程表の作成をお願いしておりますが、税制改革においてもこの中から何を最初にやり、そして最終的には中長期的な問題としてどのような課題を持っているか、そしてそのプロセスの中に具体案をつくっていくということが大事なわけで、結果的に税調がガス抜きの場になっていて、具体の案は実は実務レベルで決着をつける、あるいは党の税調で決着をつけるという非常に不透明な形でこれが展開されているというところが非常に大きな問題であろうと。したがって、こういうことが続きますと、我々、本当は出しゃばりたくないわけでありますけれども、やはりこういうものについて意見を表明せざるを得ないというのが事実です。
それから委員のご指摘の問題は、実は今回の注文の中に連結の納税の問題は前倒しで実現すべきだというコメントを今用意しておりまして、そんなにのんびりした問題ではなく、先ほどの委員のご指摘のとおり、空洞化の問題に対してどのように税というものを考えるかというときに、この連結納税の問題がそんなに悠長な話でいいのかどうか。これはやはり加速して検討していただくことが必要ではないかということを今感想として持っておりますので、ぜひご対処いただきたいと思います。
〇委員
今の委員の連結の話、理解いたします。ただ連結というのは、何度も言っておりますように、これは最後は法律になりますので、しかも日本に今までなかったような制度で、なおかつ、個別の法人の所得を計算した上で、それを今度合算して、中の取引をどうするとか、出入りをどうするとか、非常に難しい問題があります。おそらく法律ができたときにこれを理解するのが大変であると。これは覚悟していただかなければいけないので、そうなりますと、いわゆる会社の中でのコスト、それから、あるいはそれをアウトソーシングしますと相当なコストがかかってくるだろうと。
今そういうようなことは言っておりますが、そうしますと今度は経済界では、何とかもっと簡素な方法でと言われてますが、やはりしっかりとしたものをつくるというのは出だしからの方針でありますので、急いでめちゃくちゃなものをつくるという、これはできませんし、後々非常にまずい結果を招くことになりますので。しかも、なぜそんな数カ月を争ってやらなければいけないのかと。企業の一体的な経営であるということが連結納税によって、それによってどうこうというものではなくて、現実問題におきまして各子会社が今まで納付してきているわけですから、それを何か急に変えないと世の中大変なことになると、そこはちょっと私、理解しかねますが。
〇委員
そういうご意見も当然あろうと思いますで、委員のほうは、そうはおっしゃっても着々と今議論は進められているようですから、それなりの将来展望はお持ちではないかと思いますので、諸般の事情を見て議論を少し早めにまとめていただけたらと思います。
実はもう一つ議題があるのですけれども、あと5分しか残ってないし、いずれにしても、租税特別措置の資料はございますが、これは事務局、来週回しでもいいですね。何か中途半端になってしまうと、せっかくの話が腰が折れてしまうといけないから、来週に租税特別措置を本格的に、もっと別な資料もつけていただいて議論したいと思います。
今、委員のお出しいただいたテーマ、非常に重要でありまして、要するにこの税調でも審議の工程表みたいのがあったほうがいいではないかということですよね、早い話が。
きょうはいろいろな論点をお出しいただきましたので、事務局とも、あるいは代理とも相談の上、あと年内にきょうを入れて4~5回考えておりますので、何をその時点でどうやるかということをできたらお示しするようなことができればと思ってますが、いろいろな外のほうの事情もありますからできるかわかりませんが、とりあえずテーマ設定はなるべく早くして、皆さんのご期待に沿いたいと思っています。
あと数分、ちょっとアナウンスメントでありますが、日程的には、今のところ、10月2日の火曜日と10月26日金曜日、ともに2時~4時になると思いますが、この小委員会を考えております。租税特別措置をメインテーマにしつつ、その時々のカレントなイシューも含めながら議論を詰めていきたいと考えております。
適時適切に論点を整理しつつ情報を発信するということもこの基礎問題小委員会では重要だと思いますので、その点の配慮も十分したいと。その過程でいろいろ実務的な問題も出てこようかと思いますので、実務に精通した方をお呼びするとか、この間の申告納税のやり方、あれは国税庁から来てもらいましたが、ああいう形でやるか、あるいは委員の方に特にお願いしてレポートを改めてやってもらうかということも考えておりますので、割り振られたときには積極的にご登場いただきたいと考えております。
なるべく早く、きょうから考えて、3回目以降の日程が決まり次第お知らせいたしますが、今のところ2回決まっているだけでございます。いずれにいたしましても、これから審議が本格化いたしますので、ぜひご協力をいただきたいと思います。
特に何かご発言ございますか。事務局から何か伝達ございます? よろしいですか。
それでは、最後はしょったもので2~3分早く終わりましたが、これもいいでしょう。では、また次回以降もよろしくお願いします。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。