国際平和協力法の一部改正(平成13年12月)について

平成13年12月、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法)の一部を改正する法律が成立しました。

この改正は、国連を中心とした国際平和のための努力に対して適切かつ効果的に寄与するため、これまでの国際平和協力業務の実施の経験等を踏まえ、「いわゆるPKF(平和維持隊)本体業務の凍結解除」、「武器の使用による防衛対象の拡大」及び「自衛隊法第95条の適用除外の解除」の3点に関して改正を行ったもので、その概要は以下のとおりです。

1.いわゆるPKF(平和維持隊)本体業務の凍結解除

自衛隊の部隊等が行ういわゆるPKF(平和維持隊)本体業務(法第3条第3号イからヘまでに掲げる業務及びこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定める業務)については、国際平和協力法案の国会審議の過程において、別に法律で定める日までの間は実施しないこととされました。これは、法制定時において、PKF本体業務については、我が国として初めての試みである国際平和協力業務の経験を実際に積み、内外のより広い理解を得てから実施することとしたものとされています。

その後、我が国は、国連平和維持活動等に対し同法に基づく各種の協力を実施し、特に自衛隊の部隊等の派遣による協力については、同法施行後9年間において6回にわたり行い、着実に実績と経験を積み上げてきました。
政府としては、このような実績を踏まえ、我が国が国連を中心とした国際平和のための努力に積極的に貢献することについて内外で期待が高まってきていること、与党間において国際平和協力法改正についての合意があったことを受け、いわゆるPKF(平和維持隊)本体業務の凍結を解除することとしました。

2.武器の使用による防衛対象の拡大

これまでの国際平和協力業務の実施による実績を通じ、例えば、カンボジアやゴラン高原、旧ザイール(現コンゴ民主共和国)に派遣した自衛隊の部隊は、人員の輸送や各種の連絡調整など幅広い場面において他国のPKO要員や国連職員、NGOと同一の場所で活動することが少なくありませんでした。また、平和維持隊に参加する各国の部隊の要員が選挙監視要員などと同一の場所で活動することがあり得るとともに、平和維持隊が他のPKO業務と複合的に展開されるケースが増加しています。このため、国際平和協力業務に従事する自衛官等が行う活動の態様や場所、どのような者がその職務に関連して行動を共にすることが想定されるかなどの実態を考慮し、いかなる範囲が防衛の対象として適当であるか検討した、国際平和協力業務に従事する自衛官等が、「自己と共に現場に所在する・・・その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」の生命又は身体の防衛のために武器を使用できることとしました。

3.自衛隊法第95条(武器等防護のための武器の使用)の適用除外の解除

これまでの自衛隊の部隊等の派遣の経験を踏まえると、派遣先国において自衛隊法第95条を適用したとしても、事態を混乱させることはないと考えられる一方、武器等の破壊・奪取を看過することにより、隊員の緊急事態への対応能力の低下や治安の悪化につながることも想定されることが認識されるようになりました。そこで、派遣先国で国際平和協力業務に従事する自衛官について同条の適用除外規定を削除し、自衛隊の武器等を防護するために武器を使用できることとしました。