国際平和協力法の一部改正(平成10年6月)について

平成10年6月、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法)の一部を改正する法律が成立しました。

この改正は、同法附則第3条に定める見直しについて、平成7年8月に見直し時期を迎えて以来、国際平和協力本部事務局及び関係省庁間で、これまでの派遣の経験を踏まえつつ検討した結果、国連を中心とした国際平和のための努力に対して一層適切かつ効果的に寄与するため、「国際的な選挙監視活動」、「人道的な国際救援活動のための物資協力」及び「武器の使用」の3点に関して改正を行ったもので、その概要は以下のとおりです。

1.国際的な選挙監視活動

国連平和維持活動及び人道的な国際救援活動に加えて、新たに、地域的機関(米州機構(OAS)及び欧州安全保障・協力機構(OSCE))の要請等に基づいて紛争によって混乱を生じた地域において実施される国際的な選挙監視活動に係る規定を置き、人道的な国際救援活動と同様の、停戦合意、受入同意、中立性の要件を満たす範囲内において、国際平和協力法の枠組みの下で国際平和協力業務の実施及び物資協力を行うことができることとしました。

2.人道的な国際救援活動のための物資協力

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等の一定の国際機関によって実施される人道的な国際救援活動のための物資協力に関して、停戦合意が存在しない場合であってもこれを行うことができることとしました。

3.武器の使用

部隊として参加した自衛官による生命・身体を防衛するための武器の使用について、その一層の適正を確保するため、現場に上官が在るときは、生命又は身体に対する侵害又は危難が切迫し、当該上官の命令を受けるいとまがない場合を除き、その命令によらなければならないこととしました。

それとともに、上官の命令に関する規定を置き、かかる上官の命令による武器の使用が憲法上の問題を生じない範囲内のものであることを法律上明らかにしました。
すなわち、現場に在る上官は、統制を欠いた武器の使用によりかえって生命・身体に対する危険又は事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、武器の使用が国際平和協力法第24条の規定に従い、自己又は自己と共に現場に所在する我が国要員の生命又は身体を防衛するという目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとしました。