ギニア虫症撲滅プログラムの略歴

(写真提供:カーターセンター / J. Hahn)

ギニア虫症撲滅プログラム

要点

1980年に開始。
対象国:
現在(5か国):アンゴラ、チャド、エチオピア、マリ、南スーダン
感染停止 及び/又は 認定前(2か国):スーダン、*コンゴ民主共和国(DRC)
ギニア虫症撲滅認定(16か国):ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、コートジボワール、ガーナ、*インド、ケニア、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、セネガル、トーゴ、ウガンダ、イエメン
主要団体: カーターセンター
主な協力機関:中央政府、地域コミュニティ、並びにWHO、米CDC、ユニセフを含む多くの地方、国内及び国際的なパートナー

年表

1980年 天然痘の撲滅が認定され、史上初の撲滅疾患となる。米国疾病予防管理センター(CDC)は、ドナルドホプキンス博士の指導の下、2番目の撲滅ヒト疾患として、ギニア虫症の撲滅を模索し始める。
1986年 元米大統領のジミー・カーターは、顧みられない病気であるギニア虫症の撲滅のチャンピオンとなる。
カーターセンターは、ホプキンス博士の指導の下、国際キャンペーンの音頭を取り、パキスタンで活動を開始する(1996年に撲滅認定)。
1988年 ナイジェリア(2013年に撲滅認定)、ガーナ(2015年に撲滅認定)、ケニア(2018年に撲滅認定)で活動開始。
1989年 カメルーン(2013年に撲滅認定)で活動開始。
1991年 エチオピア(現在も感染国)で活動開始。
1992年 ブルキナファソ(2011年に撲滅認定)、セネガル(2004年に撲滅認定)で活動開始。
1993年 ベナン(2009年に撲滅認定)、チャド(現在も感染国)で活動開始。
1995年 コートジボワール(2013年に撲滅認定)、モーリタニア(2009年に撲滅認定)、イエメン(2004年に撲滅認定)、スーダン(2002年に感染停止;認定申請準備中*)で活動開始。
1996年 ウガンダ(2009年に撲滅認定)で活動開始。
2000年 中央アフリカ共和国(2007年に撲滅認定)で活動開始。
2002年 トーゴ(2011年に撲滅認定)で活動開始。
2003年 マリ(現在も感染国)で活動開始。
2011年 南スーダン(現在も感染国)で活動開始。(南スーダンは世界で最も新しく誕生した国となり、プログラム活動は継続。)
2018年 アンゴラ(現在も感染国)で感染が報告される。
2022年* コンゴ民主共和国が撲滅認定申請書を提出。(結果待ち)

*WHOは、あらゆる疾患の撲滅又は根絶を公式に認定できる唯一の機関である。
*現在までに、世界保健機関(WHO)は、ギニア虫の存在しない199か国を認定している。
コンゴ民主共和国を含め、認定されていないのは7か国のみである。コンゴ民主共和国では、1958年以降、症例は報告されておらず、同国は撲滅認定の申請書を提出している。また、スーダンは2022年に認定申請書を提出する予定である。
*感染が止まった場合、カーターセンターは監視を継続的に支援するとともに、感染国に対し、ギニア虫症撲滅認定のための独立した国際委員会による公式評価及びWHOによる認定の準備を支援する。米CDCは技術支援を提供し、虫の標本が本当にギニア虫であることを確認する。
*キャンペーンの初期、1983年にインドは独自のプログラムを開始し、1996年に最後の現地由来の症例を報告した。インドは2000年に撲滅認定された。

主な受賞と栄誉

ギニア虫症撲滅プログラム関係者の主な受賞歴

カーターセンター・ギニア虫症撲滅プログラム
2006年 -ビル&メリンダ・ゲイツ財団から「ゲイツ国際保健賞」を受賞。
2017年 「保健チャンピオン功労(REACH)賞」を以下のとおり受賞。(アブダビ首長国シェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド皇太子により授与。)
-ジミー・カーター元米大統領 : 「生涯功労賞」
-ナビル・アジズ・アワド・アラ博士(スーダン): 「勇気賞」
-アマドゥ・. キアーナ・サラウ博士(ナイジェリア): 「ラスト・マイル賞」
-レジーナ・ロトゥバイ・ロマレ・ロチランゴル博士(南スーダン): 「陰の英雄賞」
-ダニエル・マディット・クォ-ル・マドゥット(南スーダン): 「陰の英雄賞」
ジミー・カーター元米大統領  カーターセンター創設者
2002年 - 「ノーベル平和賞」 を受賞。
アダム・ワイス(公衆衛生学修士)  ギニア虫症撲滅プログラム責任者
2016年 -エモリー大学ロリンズ公衆衛生大学院から「チャールズ・C・シェパード賞」を受賞。
クレイグ・ウィザーズ(経営学修士、医療経営学修士)  カーターセンター副会長(海外事業担当)。ギニア虫症との闘いに長年従事。
2015年 -バイタル・スマート株式会社から、インフルエンサーとして、 「アルバート・バンドゥラ賞」を受賞。
2017年 -南スーダン政府から、ギニア虫症撲滅への貢献により、「感謝表彰」を受賞。
ドナルド・R・ホプキンス博士  ギニア虫症撲滅特別顧問
1983年 -「CDC功労メダル」を受賞。(米公衆衛生局の特別サービス・メダル。)
1998年 -「マリ国家騎士勲章」を受章。
2004年 -ニジェール政府から 「公衆衛生名誉メダル(金賞)」を受章。
2005年 -テュレーン大学 から「公衆衛生チャンピオン」を受賞。
2007年 -メルク株式会社から 「メクティザン賞」を受賞。
-「ジェームズ・F&サラ・T・フライズ財団保健改善賞」を受賞。
2012年 -州及び海外領土疫学者評議会(CSTE) から、応用疫学への卓越した貢献により、「ポンプハンドル賞」を受賞。
-ハーバード大学、イェール大学、モアハウス大学、エモリー大学から「名誉博士号」を授与。
アーネスト・ルイーズ・ティベン博士  元ギニア虫症撲滅プログラム責任者 (1998-2008)
1990年 -米疾病予防管理センター(CDC)から 「功労メダル」を受賞。
2017年 -南スーダン政府から、ギニア虫症撲滅への貢献により、「感謝表彰」を受賞。
ケリー・キャラハン  カーターセンターのトラコーマ管理プログラム責任者。ギニア虫症との闘いにも長年従事。
2017年 -米平和部隊(U.S Peace Corps) から「卓越した人道活動に対するサージェント・シュリバー賞」を受賞。
エマニュエル・S・ミリ博士  カーターセンター保健プログラムのナイジェリア責任者
2012年 -ナイジェリア連邦共和国政府から「ナイジェリア連邦共和国勲章・オフィサー」を受賞。
アブドゥルラーマン・A・アル=アワディ博士(クウェート)
2011年 -クウェートへの30年間の奉仕に対し、クウェート首長のシェイク・サバーハ・アル=アハマド・アル・ジャービル・アル・サバーハ殿下により賞を授与。

主な論文

査読出版とオペレーショナル・リサーチ

カーターセンターは、ギニア虫症撲滅プログラムを皮切りに、オペレーショナル・リサーチの先駆者としての評判を築き上げてきた。多くの場合、査読済みの文献に調査結果を公開することで、事業活動の実施と評価の両方を行っている。これらの数百の学術出版物は、成功を示し、課題を説明し、ローカル及びグローバルなベスト・プラクティスに貢献し、WHOのガイドラインに情報を提供している。

 

同様に、数百の獲得したメディア記事が配置され、数十のヒューマンインタレスト記事が様々な形式で収集されて、ギニア虫症撲滅プログラムのゼロへの道のりを記録している。

 

 

以下が5つの例である。
1. Eberhard, Mark L., et al., “The Peculiar Epidemiology of Dracunculiasis in Chad.” American Journal of Tropical Medicine and Hygiene, vol. 90, no. 1, 2014, pp. 61-70.
2. Priest, Jeffrey W., et al., “Development of a Multiplex Bead Assay for the Detection of Canine IgG4 Antibody Response to Guinea Worm.” American Journal of Tropical Medicine and Hygiene, vol. 104, no. 1, 2021, pp. 303-312.
3. Ribado, Jessica V., et al., “Linked surveillance and genetic data uncovers programmatically relevant geographic scale of Guinea worm transmission in Chad.” PLOS Neglected Tropical Diseases, vol 15, no. 7.
4. Wuilbercq, Emeline, ‘“End is in sight’: tackling a rare disease in a global pandemic.” Thomson Reuters Foundation News. 29 April 2021.
5. “Guinea Worm Warrior’s Weapon is a Song.” The Carter Center. 24 August 2021.

 

受賞者の決定について