第4回野口英世アフリカ賞授賞式 [挨拶]医療活動分野受賞者 ギニア虫症撲滅プログラム

医療活動分野受賞者
ギニア虫症撲滅プログラム

プログラム担当ディレクター アダム・ウェイス氏 (カーターセンター)

岸田総理大臣閣下、サル外務大臣、林外務大臣、各国首脳の皆様、野口英世アフリカ賞委員会の皆様、各国大臣の皆様、受賞者の皆様、そしてご来賓の皆様。コンニチハ、おはようございます。(日本語で)

ここで、国際的なギニア虫症撲滅キャンペーンを代表して野口英世アフリカ賞を受賞できることを大変光栄に思っております。我々のギニア虫対策チームは、各国の保健担当省、非政府組織、伝統的リーダーシップ、地域及び国の政治的リーダー、そして、その多くがこのギニア虫症に苦しんだ経験を持つ何千人もの村のボランティアの人々で構成されています。彼らの誰もがこの感染症と戦うために辺境の地で休みなく働き続けています。本日のこの栄誉は、彼らのその努力にこそ捧げられるものです。

カーターセンターはギニア虫症の撲滅を目指した世界的な連携を35年以上前から主導しています。活動を始めた当初、ギニア虫症はアフリカ、アジア、及び中東の合計21か国で、年間約350万人が発症していると推計され、1億2000万人以上が感染のリスクに晒されていました。しかし昨年は、報告されたヒトの感染は15例にとどまりました。80億人近くが住むこの惑星で、これは驚くべき成果といっていいでしょう。今年は現時点で、チャドで4例と南スーダンで1例の、合計わずか5例となっています。

皆様ご存知の通り、ギニア虫は地表の飲料水を通して感染する衰弱性寄生虫疾患です。1年間の潜伏期間を経て、長さ1メートル近い寄生虫が体内から出てくるときになって初めて病気が発覚します。寄生虫を徐々に体外へと引っ張り出すのですが、それが時には何週間、何カ月もかかることがあり、耐えがたいほどの苦痛をもたらします。南スーダンの女性はそれを、いつまでも和らぐことがないので陣痛よりもつらい、と表現しました。この病気は、安全な飲み水が適切に確保されていないことの象徴であり、社会的に、潜在的に、そしてしばしば地理的に周縁化された人々へ公共医療を提供することの難しさをも現わしています。

目標は、2030年までにギニア虫を撲滅させることです。四肢を不自由にさせるこの病気さえなくなれば、ギニア虫症撲滅プログラムに携わり、これを支援したすべての人々の残した功績は今後も、病気そのものの範囲を超えて受け継がれていくことになります。実際、このキャンペーンは国連の持続可能な開発目標、すなわち貧困及び飢餓の根絶、ならびに女性の能力強化、安全な飲料水へのアクセスの改善、などの達成に貢献するものです。このキャンペーンでは、何百万もの人々に携行フィルターを提供し(このように、と首の周りのフィルターを示す)、どこへ行ってもギニア虫が含まれない水を飲めるようにしています。農業生産は向上し、子どもの感染が減ったことで学校の出席率も高まりました。女性をプログラムのリーダーとして登用し訓練の機会を提供したことで、コミュニティのボランティアとしてリスペクトされるようになっています。各国の保健省が構築した村単位での公共医療提供システムにおいては、ギニア虫症撲滅プログラムはその他の疾患対策の基盤となっており、誰もが受ける権利のある基本的な医療の提供に貢献しています。トーゴでは、ギニア虫症に加えてさらに3種類の疾患の撲滅を最近になって発表しており、このことを証明しています。

日本は、私たちにとって最も重要な支援者のひとつです。これまでに2000万ドル以上を寄付していただいただけでなく、青年海外協力隊による医療従事者の派遣でもご協力いただき、そのうちの何人かの方々とは、ガーナでギニア虫症撲滅の仕事をしているときに直接一緒に働く機会がありました。ギニア虫症を歴史上2番目に地球上から根絶されるヒト疾患とするための歴史的な試みに携わるドナーやパートナーの中に、今回野口英世アフリカ賞が加わってくださったことを喜ばしく思います。

ジミー・カーター元アメリカ大統領、ロザリン・カーター元ファーストレディ、そしてカーターセンターの役員及びスタッフに代わりまして、他者の苦しみを和らげるために多大な犠牲を払って自身の生涯を捧げた何千人もの人々の功績を讃えていただいたことに深く感謝申し上げます。この恐ろしい病に苦しむ何百万もの人々が、希望と人道を取り戻すお手伝いをしていただいたことを感謝しております。

私たちは光栄です。(日本語と英語で)私たちは感謝しています。(日本語と英語で)
ありがとうございました。(日本語で)、Shukraan jazilaan(アラビア語)、 Merci beaucoup(仏語)、Asante sana(スワヒリ語)。