河内内閣府事務次官記者会見要旨 平成29年7月11日

(平成29年7月11日(火) 17:25~17:45  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨

 本日付で内閣府事務次官を拝命いたしました、河内隆でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは、この度の九州北部豪雨災害により、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様に心より御見舞申し上げます。
 今回の豪雨は、地域においてこれまで経験したことがない異常事態であり、甚大な被害が生じております。
 内閣府としても人命第一、被災者の救命救助活動に全力を尽くすことは元より、被災者の方々が一日も早く安心して生活できるように、また、被災地の復旧・復興が早期になされるよう、被災者、被災自治体の方々の御希望を、御要望を十分お聞きしながら、関係省庁、関係機関と協力しながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 さて、事務次官として総理、官房長官、特命担当大臣を始めとした政務三役のリーダーシップをしっかりお支えし、内閣の重要政策、内閣府の直面する課題に、国民目線で職員一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
 先ほど、職員への新旧次官の挨拶がございました。私の抱負といいますか、職務遂行に当たっての心構えを話をさせていただきました。聞かれた方には重複をいたしますので、簡潔に3点冒頭に申し上げたいと思います。
 まず一つは、公務員としての原点に立ち返り、直面する課題の解決に全力を尽くすということであります。
 九州北部の豪雨災害への対応は待ったなしと申し上げましたが、他にもそもそも内閣府におきましては、内閣の重要政策、多様な横断的政策を取りまとめる舵取り的役割を期待されている、これが内閣府でございます。
 その企画立案、総合調整に際しましては、特定の利害ではなく、常に国民全体の利益を基本とすること。そして、国民目線に立ってエビデンスベースでの課題解決に全力を尽くす。スピード感を持って対応すると同時に、説明責任を果たしていく。このことにより、政策の信頼性を確保していきたいと考えています。
 二つ目、内閣府という組織の特性を強みに変えようということを申し上げました。
 内閣府は余りに間口が広過ぎて、組織としてのまとまりがないとか、特定の現場や対象者が常にあるわけではございませんことから、職員がなかなか手応え感というものが味わいにくいといった面が、率直に言ってございます。
 横断的政策の総合調整におきましては、他省庁との協力が不可欠でございますが、他省庁の専門家と同じ土俵で議論するのでは、内閣府としての存在意義が問われる場面もあろうと思います。
 新たな価値を生み出すためには、既存の枠組みにとらわれない柔軟性と、幅広い視点が求められるわけですが、変化に対応しながらいい知恵をいかに提供し続けられるのかが問われているというふうに考えています。
 幸い、内閣府には関係省庁、地方自治体、民間、学会、法曹等、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっております。多くの刺激や新たな気付きが得られる環境こそ、内閣府の強みだというふうに捉えております。
 自由闊達な議論の場作りを一層強化しながら、知識、知恵を機動的に生み出す力、言わば知的機動力の向上につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 そして、三つ目は、人材の潜在力を最大限に引き出すべく、能力向上に向けての支援と、職員のニーズに応じた柔軟な働き方の導入、これらに本格的に取り組むときと考えております。
 ライフという言葉の持つ三つの意味、命、生活、人生という意味を大事にしていきたいというふうに申し上げました。
 私自身は甚だ微力ではございますが、前川、幸田両氏と力を合わせ、職員に支えられながら全力を尽くす所存でございますので、記者の皆様方の御指導のほども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の担当の関根と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほどの御挨拶と、冒頭の御発言の中であったことなんですけれども、特定の利益でなくて常に国民全体の利益を考えるであるとか、あるいは、説明責任を果たすことで政策の信頼性を確保していくというようなお話があったんですけれども、これは内閣府の所管の関係で、国家戦略特区を巡る様々な問題が昨今あるんですけれども、そうしたことも念頭に置きながらの御自身の問題意識を吐露されたという理解でよろしいんでしょうか。
(答)はい。御質問ありがとうございます。
 内閣府は言うまでもなく、大変幅広い所掌を抱えております。そうした中におきましては、今御質問の中にもございましたように、国家戦略特区における獣医学部新設の件ということも非常に注目をされていることは確かだろうと思います。
 この点につきましては、これまで内閣府として山本幸三大臣始め、政府の担当者の方が国会の場で説明を重ねてきたところでありますが、特区の指定、規制改革項目の追加、そして、事業者の選定のいずれのプロセスでも関係法令等に基づいて、そこは適切に実施されてきたものというふうに考えております。
 また、その意味においては、追加調査によって文部科学省における文書の存在が確認されたことを踏まえまして、内閣府においても同調査の結果に対しての調査を実施したり、その結果を速やかに6月16日に公表させていただいたところですが、このように内閣府として説明責任を尽くすために、真摯にできる限りの対応をさせていただいてきたと考えております。
 ただ、残念ながら、必ずしも国民の皆様の御理解を十分には得ることができていないことについては、率直に認めざるを得ないような部分もあろうかと思います。
 頂いているそれ以外の様々な内閣府に対しての御批判等々もあろうかと思いますが、そういったものについては、謙虚に受け止めながら、反省すべきは反省し、そして、様々な取組を通じて国民の皆様から内閣府が信頼していただけるよう、その意味では事務方の先頭に立って、全力を尽くす決意でございます。
(問)ちょっと追加で、その説明責任を果たすという部分におきまして、新たに例えば何か調査をしたりだとか、追加で考えていらっしゃることを、現時点であるのかどうかだけを教えてください。
(答)ありがとうございます。
 説明責任といいますか、私は今、反省すべきは反省というふうに申し上げましたが、新たな追加調査ということではなくて、例えばこれまでマスコミの方からも様々な御指摘を頂いてきました。今思いつくのは3点、課題として挙げてみたいと思いますが、一つは国会でも審議の中で御指摘があったんですが、特区ワーキンググループの議事要旨の公表が遅いという、スピーディーな国民の皆様への情報公開ができていないのではないかという御指摘がございました。それは確かにその面があったろうと思います。また、交渉過程の記録が十分に残されていない、つまり適切な公文書管理が必ずしも十分ではないのではないかというような御指摘もございました。さらに、国家戦略特区の調整過程において、規制改革全般について、スピード感を持って実現しようとする余りに調整に丁寧さが足りなかったのではないかというような御指摘もございました。こうした点について反省すべきは反省しながら、内閣府を信頼していただけるように努めてまいりたいという趣旨でございます。
(問)読売新聞の寺島と申します。よろしくお願いいたします。
(答)よろしくお願いします。
(問)内閣府の業務、多岐にわたると思うんですけれども、次官が認識されている内閣府の課題を教えてください。よろしくお願いいたします。
(答)これはもう本当にいろいろあろうと思います。一つ一つ取り上げると切りがないようなところもございますが、一つは、やはり経済財政運営という固まりの中で財政健全化をどう果たしていくのかという部分、これは非常に重要な、そしてまた来年度に向けて重要な、いわば節目のときを迎えてくるんだろうと思います。そして地方創生、沖縄振興というような部分につきましても大きな課題がありますし、また科学技術・イノベーション推進という点についても、これも非常に重要な局面を迎えていると思います。また国民生活一般におきましても、子どもの貧困の問題、あるいは少子化、子ども・子育て支援の問題等々、そして何よりも最初に申し上げましたが、喫緊の課題としては、国民の生命、身体、財産という面からすると、防災対策に万全を尽くすというのは非常に重要な課題だと認識しています。
(問)日本経済新聞の平本です。
 先ほどの御挨拶の中で内閣府設置法の話をされていたんですけども、最近、内閣府のスリム化のリバウンドがちょっと進んでいるのかなと思っているんですが、山積みの課題の中でスリム化に関してはどう考えていらっしゃいますか。
(答)ありがとうございます。どうしても内閣官房とか内閣府に新しい政策課題が生じたときには新たな組織を作って、そこに事務を担わせる。人も各省庁から集めてという嫌いがございます。そうした中におきまして、本当に真に必要な優先順位の高い課題を処理していくためには、どうしてもマンパワーに限りがありますので、そして時間にも限りがありますので、スリム化というのは、これはもう不断に考えていかなければならないものだろうと思います。
 その意味からしますと、これまでもスリム化法というのが施行されたんですが、3年後見直しという部分がございます。その3年後見直しに向けては、例えば、これは私自身のまだ個人的な構想段階にとどまるものですが、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部と、それから私ども内閣府の地方創生推進室、この部分が、いわば外から見ると、それぞれ重要な仕事をしているんですが、非常に分かりづらいというような部分もございます。そうしたものについて、何が今後より効率的にできるのかということは考えていく価値が十分あるというふうに捉えています。
(問)朝日新聞の松浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
(答)よろしくお願いします。
(問)お話の中でも何度も、内閣府というのはとても調整をする役所であるというふうにお話があったかと思います。なかなか難しいお仕事かと思うんですけれども、ともすれば、やはり政権からの施策の方向性を各省にやらせるというような形にもなりがちかと思います。次官の考える調整の在り方というのはどのようにお考えでしょうか。
(答)非常に重要な御質問だろうと思います。なかなか一言で申し上げにくい部分がございますが、確かに内閣府は、内閣の重要政策に関する総合調整を担う役割を担っているわけですが、それぞれの調整プロセス、長い長いプロセスの中でいろいろなそれぞれの省庁、そして内閣府側の主張等々でも理というものはございます。ただ、その理、どうしても本当の現場といいますか調整の正に最先端の現場におきましては、職員は日々様々な調整業務に従事しているわけなんですが、省庁間の対立が先鋭化したり、あるいは困難な調整を要する案件については、どうしても担当職員が熱意の余り時として強い口調になったりということは現実にはあるんだろうと思います。そういうときに、いわば態度というのも、場合によっては何か威光をバックにして強引に物事を進めているかのように受け止められるおそれもあるのかもしれません。そうしたところはやはり反省をしなければならないと思いますし、そういう面からすると、内閣府職員の一人一人の信頼もあわせて重要なんだろうと思います。
 内閣府の重要政策を取り組むに当たっては、もとよりスピードは極めて重要であります。いつまでにというのをずるずると先延ばしをすることは許されない課題というのはたくさんあると思うんですが、一方で、言葉はなかなか適当な言葉が思いつきませんが、雑といいますか乱暴な仕事をしてはならないということも確かなんだろうと思います。そういう面からすると、ミクロの中における総合調整という意味からしますと、当然それぞれの折衝、関係省庁と例えば内閣府との折衝プロセスにおいても内閣府として、あるいはそれぞれの省庁としても主張すべきことはきちっと主張し、堂々と論戦を戦わせながら、対立する意見にも真摯に耳を傾けて、いわば丁寧にバランスのとれた調整を心がけよ、そういったことを職員に対してもこれより指示・指導してまいりたいと考えております。
(問)フジテレビの鹿嶋と申します。よろしくお願いします。
(答)よろしくお願いします。
(問)次官、先ほど、職員への挨拶の最後の方に、これまでの質問と重複したら申し訳ありませんが、「内閣府への厳しい目もあるが」というふうにおっしゃっておりましたけれども、これは次官としては、厳しい目というのは具体的に何を指しておっしゃっているのか、また、それに対してどのように対処していくのかというお考えでしょうか。
(答)内閣府に対する厳しい目というのは、必ずしも特区制度をめぐる問題だけではございません。それ以外にも、内閣府というのがあまりにも幅広がゆえに、外から見ても捉えどころがないとか、そしてそれは、先ほどの職員への挨拶の中でも申し上げたんですが、働く人間自身も自分自身のキャリアパスが見えないとか、いろいろな指摘を抱えている部分があります。
 ただ、今の御質問にお答えするとすると、一つは、やはり公文書管理という点についてはいろいろ反省すべき点もあるんだろうと思っております。公文書管理につきましては非常に重要な、そもそも過去から現在、そして未来に向けて国の歴史や文化を引き継いでいく貴重なインフラという形に捉えるべきものでございます。そういう面からすると、内閣府は公文書管理の制度を所管する官庁でも一方であります。もとより一般論としては公文書管理法、そして内閣府の行政文書取扱規則に基づいて適切な公文書管理が行われるように努めてきたところではありますけれども、今回の点においては、例えば国家戦略特区の関係で申し上げますと、国家戦略特区法の改正法における附帯決議におきましても、もっともっと公文書管理の適正化とか、あるいはプロセスの透明化、情報公開等を更に進めるよう努力する必要があるというふうに指摘もされておりますので、その点については、いわば管理の質の向上、この点については既に公文書管理委員会でも議論を始めているところでございますが、年度内に、いわゆる行政文書の管理の公文書のガイドラインの見直し等々を含めてそういったところにつなげていきたいと現時点では考えているところでございます。
(問)日経新聞の吉田と申します。
 先ほど、次官の就任時の御挨拶の中でもおっしゃっていたんですけれども、職員の方のキャリアパスが見えにくいという問題について、現時点で何かどのように取り組まれるかお考えがあれば教えてください。
(答)このキャリアパスの問題というのは、なかなか一朝一夕には解決できないのが実情だろうと思っています。ただ、これまでも慶應大学の齋藤先生にお力をかりながら様々な研修プログラム、育成プログラムというのを、特に旧経企庁系の方々の経済に関心を持っている方々についてはしていただいている部分がございます。そうしたものというのは、なかなかすぐ一朝一夕に効果が上がらないんですけれども、例えば留学にしても、あるいは学会との関係においての交流を深めるとか、いろいろやりようはあろうと思います。その意味におきまして有識者、いろんな立場からの、マーケットに精通された民間エコノミストの方の意見を聞くことも極めて重要だと思います。それと、中長期的な、あるいは構造的な問題を本来期待されている官庁エコノミストというのは、その視点なり性格は違うと思いますけれども、そういうある種の異質な目、異質な視点というのと接することによって切磋琢磨できる部分というのはあるんだろうと考えています。
 ありがとうございました。どうかよろしくお願い申し上げます。

(以上)