黄川田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和8年6月12日

(令和8年6月12日(金) 9:19~9:34  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 まず、消費者および食品安全担当大臣として、令和8年版消費者白書について報告します。本日の閣議において、「令和8年版消費者白書」が閣議決定されました。消費者白書は、消費者基本法と消費者安全法に基づき、消費者政策の実施状況や消費者事故等に関する情報について、毎年、政府が国会へ報告するものであります。また、今回の白書では、「デジタル化とAI技術の進展で変化する私たちの消費取引」を特集として取り上げました。変化の激しいデジタル社会における消費者の意識や行動を分析し、消費者行政の課題を整理しています。
 具体的には、調査結果の分析から、デジタル化やAI技術の進展は消費者に利便性をもたらす一方で、これらに伴う消費者問題への不安意識が消費者の間で高まっていること、デジタル取引上で一定数の人が購入までの選択肢やデザインに不公平さを感じており、SNSチャットによる執拗な勧誘等を経験していること、消費者の間でAIの活用に広がりが見られるものの、トラブルの未然防止に役立てている人は限定的であることなどが明らかになりました。こうした白書の分析も踏まえまして、今後もデジタル化への対応をはじめ、変化し続ける取引環境に適切に対応し、消費者が安全・安心に取引できる環境の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、共生・共助政策を担当する大臣としてご報告します。本日の閣議において、共生・共助政策に係る三つの白書として、「高齢社会白書」、「障害者白書」、「交通安全白書」を閣議決定しました。
まず、「高齢社会白書」では、国際比較調査の結果をもとに、特集として生活満足度、就労意欲、人付き合い、社会活動や社会との関わりなど、日本の高齢者の生活と意識について取り上げました。
 次に、「障害者白書」では、「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」に基づく取組や、障害者差別の解消に関する事業者等の取組状況を調査した結果などについて取り上げています。
 また、「交通安全白書」では、本年3月に決定した第12次交通安全基本計画に焦点を当てまして、道路交通の安全確保に向けた特集を設けております。我が国では、高齢化率が29.4%に達する中で、高齢者における就労意欲が高く、地域で元気に社会活動を行っておられる方が多くいらっしゃることが「高齢社会白書」で示されております。その一方で、「交通安全白書」をご参照いただくと、全交通事故死者数に占める65歳以上の高齢者は半数を超えておりまして、高齢化が進む中で高齢者の交通安全が一層深刻な課題となっていることがよく分かる内容となっております。また、近年では外国人運転者による交通事故件数が増加傾向にあります。先般決定した第12次交通安全基本計画では、新たに外国人の交通安全対策に焦点を当てたところでありまして、その必要性を白書のデータでも参照していただけるようにしております。
 障害者施策に関しては、改正障害者差別解消法の施行によりまして、令和6年4月から事業者に対し合理的配慮の提供が義務付けられております。「金融業、保険業」、「運輸業、郵便業」、「医療・福祉」を中心に障害のある方への合理的配慮の取組を進めていただいていることが今回の白書においても見て取れるところであります。
 ご紹介した3白書は、国民の皆様の暮らしに密接に関わる内容となっております。3白書が国民の皆様に広く活用され、社会の変化や政府の政策について御理解、御関心を深めていただく一助となることを期待しております。詳細は内閣府共生・共助担当までお問い合わせください。以上でございます。

2.質疑応答

(問)LGBT基本計画が自民党の政審に了承されました。3年かかりました。策定から3年かかったことでの受け止めと、あとガイドライン、いつ施行されるのかという話と、あと、議連の方でいろいろ懸念が上がっていましたけれども、教育現場で特定の価値観や立場に偏らないよう、多様な見解を踏まえた講師などを選定する担保、必要性はどういうふうにお考えになっていますか。
(答)まず、理解増進法に基づく基本計画の策定については、国会審議等における御指摘なども踏まえまして慎重に検討を進めてまいっているところでございます。基本計画の案が自民党内で了承されたとの報告を受けております。引き続き、基本計画の策定に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えています。
 また、教育現場における講師の選定についてのお尋ねでありますが、理解増進法は理念法でありまして、何らかの制限や介入をするためのきっかけとなるものではない旨が法案審議において示されております。したがいまして、同法に基づく基本計画によって教育現場の対応方針に変更をきたすことはありません。教育については、引き続き、文部科学省において適切に対応されると考えておりますが、国においては、理解増進に必要な知識をまとめた素材を作成し、地方自治体等に提供することを検討しております。
 ガイドラインについては、今この段階で作成、またはいつ作るかということを申し上げる段階ではございません。理解増進法に基づきまして、できることをしっかりと行ってまいります
(問)今年の消費者白書では、去年1年間の消費生活相談のうち、SNSが関係するトラブルの相談件数が初めて10万件を上回り、統計を取り始めた2010年以降で最多となりました。これについての大臣の受け止めをお聞かせください。また、そのSNS関連の消費者トラブルが拡大している要因をどのように分析されているのか、併せて抑止に向けて今後どのような対策が必要と考えか具体的にお聞かせください。
(答)SNSが関係する消費生活相談件数は近年増加傾向が続いておりまして、2025年の相談件数は2021年と比べると約2倍となりました。こうした増加の要因については一概に申し上げることは困難ではありますが、SNSが幅広い年代に普及し、商品・サービスの広告や勧誘等の様々な場面で利用されることになったことが背景の一つとして考えられます。消費者庁では、SNSをきっかけとした事案について注意喚起や行政処分等を行ってまいりました。引き続き、注意喚起や厳正な法執行を通じまして、消費者被害の発生および拡大の防止に取り組んでまいりたいと考えています。
 また、消費者への注意喚起や法執行に加えまして、デジタル取引特有の課題に対応するため、今年1月に「デジタル取引・特定商取引法等検討会」を立ち上げました。お尋ねのSNSに関連するトラブルとして、インターネット取引に関して、SNSチャット等を用いた不意打ち性が高い勧誘への対応等について検討を行っているところであります。消費者の皆様におかれましては、少しでも不安に思ったら、消費者ホットライン「188(いやや)」に御相談いただきたいと思います。
(問)SNSチャット勧誘の規制については、電話勧誘販売と同様にクーリングオフなどを導入する方向で提言が出され検討が進んでいます。一方、今回の調査で、インターネット通販で返品しようと思った経験がある人が5割に上り、希望どおりに返品できた人は52%という結果が出ています。この一般のインターネット通販についても、EUのようにクーリングオフを導入するお考えはありませんでしょうか。消費者庁の対応方針についてお教えください。
 それからもう1問合わせて。一方で、高齢者や認知症等の高齢者の相談件数が増加傾向に転じており、中でも80歳代、70歳代の高齢者の点検商法の相談が増えています。この相談が増えていることをどう受け止め、どう対応されるかについてもお教えください。
(答)まず、クーリングオフについてでございますが、このクーリングオフは訪問販売等の不意打ち性の高い取引類型において冷静に再考する期間を与え、消費者を保護することを目的とする制度でございます。一方で、通信販売は基本的に購入者等が販売業者等から圧力を受けずに契約意思の形成を行うものであり、クーリングオフは付与されておりません。他方で、現在開催中の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」におきましては、SNSチャット等を用いた不意打ち性が高い勧誘への対応について、クーリングオフの付与等の規律も含めて検討が行われているところであります。
 また、今回の白書の調査では、インターネットで購入した商品の返品について、手続や条件面で困難を感じた人も一定数存在することが分かっております。こうした返品・解約に関する消費者トラブルに対しても、同検討会において解約手続の妨害への対応等についても議論が行われているところでありまして、引き続き有識者のご意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、高齢者向けの対策についてでございますが、点検を装って不要な契約を結ばせる「点検商法」に関する消費生活相談件数は、高齢者を中心に近年増加傾向が続いておりまして、2025年は約2万件を超えたと承知しております。具体的な相談内容としては、給湯器や太陽光発電システム等の高額な住宅施設設備や、分電盤やブレーカー等の電気設備に関する契約トラブルの相談が多くみられます。消費者庁では、点検商法に係る事案について注意喚起や行政処分等を行ってまいりました。引き続き、注意喚起や厳正な法執行を通じまして、消費者被害の発生および拡大の防止に取り組んでまいります。
 また、「デジタル取引・特定商取引法等検討会」におきまして、点検商法等、近年被害件数が増加しているものへの対応等についても検討を進めております。引き続き、有識者のご意見を伺いながら議論を深めてまいります。加えまして、高齢者の中には認知症等により判断力が低下した方もおりまして本人がトラブルにあっていることを認識しにくい傾向もございます。このため、消費者庁では、地方消費者行政強化交付金によりまして見守りネットワークの活性化や、好事例の収集・横展開等を通じまして、高齢者のトラブルの未然防止、拡大防止にも取り組んでいるところでございます。引き続き、高齢者等の消費生活におけるセーフティーネットとしての地方消費者行政の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。

(以上)