黄川田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年11月11日
(令和7年11月11日(火) 9:36~9:54 於:中央合同庁舎8号館1階S103 会見室)
1.発言要旨
地域未来戦略担当大臣として報告します。
本日の閣議におきまして、地域未来戦略本部の設置が決定されました。
「地域未来戦略本部」は、総理を本部長、官房長官と担当大臣である私を副本部長としまして、地方の持つ伸び代を活かし、国民の暮らしと安全を守るため、地域ごとの産業クラスターを全国各地に形成し、世界をリードする技術・ビジネスを創出するとともに、地場産業の付加価値向上と販路開拓を強力に支援することなどを検討して実施していくため、内閣に設置するものであります。
さらに、本部の下には、私を議長とする関係副大臣等会議を開催することとしたところであり、関係府省庁で連携し、具体的な議論を精力的に行っていくこととしております。
女性活躍・男女共同参画担当大臣として、「DV防止法改正法案」についてお知らせします。
先ほどの閣議で、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されました。
DV防止法においては、DV事案に関して、被害者からの申立てにより、裁判所が加害者に対し、接近禁止命令等を発することができることとなっています。
昨今、いわゆる「紛失防止タグ」を用いて、相手の所在を把握するストーカー事案が増加しており、DV事案においても、紛失防止タグを悪用したケースが見られるようになっていることから、同法で既に接近禁止命令等の禁止行為とされているGPS機器を用いた加害者による被害者の位置情報の取得等に加え、いわゆる「紛失防止タグ」を用いた行為についても、禁止行為に追加する改正を盛り込みました。
同じく本日閣議決定されたストーカー規制法改正法案についても、同様の内容が盛り込まれるところであります。
詳細は、男女共同参画局にお尋ねください。
続きまして、女性活躍・男女共同参画担当大臣として、「女性に対する暴力をなくす運動」についてお知らせいたします。
明日11月12日から25日までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施いたします。
配偶者等への暴力、性犯罪・性暴力は、重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。 本年のキャッチコピーは、こちらのポスターにあります「DVや性暴力に気づいたら、相談されたら。そのとき、私たちにもできることがある。」です。
このキャッチコピーには、被害に気づいた方や相談を受けた方に、被害にあわれた方に寄り添って話を聞いていただきたいとの思いを込めています。
12日からの運動期間には、東京スカイツリーをはじめ、全国のランドマークをシンボルカラーの紫色にライトアップする「パープル・ライトアップ」が行われ、相談窓口を記載したカードや、シンボルマークである「パープルリボン」バッジを配布するなど、各地で様々な取組が行われる予定となっています。
詳細は、内閣府男女共同参画局にお問い合わせください。
続きまして、消費者及び食品安全担当大臣として報告します。
本日、この後、国民生活センター東京事務所を訪問します。
相談対応の現場の視察とともに、最前線で活躍されている消費生活相談員との意見交換を行います。
消費生活を支えるセーフティーネットであり、国の消費者政策の情報基盤でもあります全国各地の消費生活センターを支えているのが、国民生活センターです。
担当大臣として、現場で活躍されている皆様のお話を直接伺うことで、消費者問題の実情を把握し、今後の国と地方の消費者行政の充実・強化に努めてまいります。
視察の行程等の詳細については、消費者庁までお尋ねください。
以上です。
2.質疑応答
- (問)冒頭にありました地域未来戦略に関して伺います。石破前政権は、地方創生2.0を掲げておりました。この地方創生2.0から今回発足しました地域未来戦略へどのようにつなげていくのかというところと、あと、石破政権の掲げていた地方創生2.0と地域未来戦略の違いといいますか、どういった部分を今回の未来戦略にすることによって変えていくのかというところを改めて伺えればと思います。
- (答)本年6月に取りまとめました地方創生の基本構想を踏まえまして、従来からの地方創生の取組は引き続き行ってまいります。
これに加えまして、地域未来戦略では、国民の暮らしと安全を守るためには、地域経済の発展が不可欠であることから、地域ごとに産業クラスターを形成し、世界をリードする技術やビジネスの創出、地場産業の付加価値向上と販路開拓の強力な支援など、より経済に重きを置いた取組を進めてまいりたいと考えています。 - (問)沖縄・北方担当大臣として、8日に実施された北海道視察について伺います。大臣は、北方領土を望む根室の納沙布岬で記者から感想を問われて、「一番やっぱり外国に近いところですから、目で見て感じるというのは大切だと思う」との発言をされました。
その後の元島民の方との懇談で、「誤解を与えるとしたならば、今後、大臣として責任のある言葉を発していきたい」と釈明されましたが、改めてこの発言について、撤回や謝罪をするお考えはありますか。また、この発言をめぐって自らの進退についてのお考えも伺います。 - (答)昨日の予算委員会でも御説明いたしましたが、私は、平素から、足を運ぶことのできる最東端、最西端、最南端、最北端等の先端に行って、自分の目で見て、領土の問題や外国との距離感を実感し、様々な問題について考えるようにしてまいりました。
また、様々な機会をとらえて、多くの人にそのように勧めてまいりました。
今回の納沙布岬からの視察で、改めて北方領土を眺めさせていただきました。特に若い方々に、納沙布岬などの場に実際に足を運んで自分の目で見て、領土問題を自分の事として思いを馳せてもらいたいという思いを話させていただきました。
しかしながら、納沙布岬の当時の気象状況は、非常に寒風が吹きすさぶ中で、私の話の全体の文脈をとらえて聞いていただいたり、御理解をいただくことが難しい状況でありました。
ですから、改めて、現地での会見の場でも、北方領土は我が国固有の領土であるということをはっきりと申し上げた上で、先ほどの私の思いをお話をさせていただきました。納沙布岬に立ちまして、北方領土の近さを改めて実感する中で、これを絶対に取り戻したいという気持ちを新たにしたこともお話をさせていただきました。
一方で、厳しい現状の中で一体何ができるのか、元島民の皆様の思いに寄り添い、まずは北方墓参の再開に向けて尽力していきたいという趣旨の発言もさせていただいたところであります。
今後とも、担当大臣として、北方問題に全力を傾けてまいる所存でございます。そして、発言の当日に総理と官房長官から連絡をいただき、閣僚として、日頃の言動には、一層、緊張感を持つよう注意を受けました。今後、より一層緊張感を持って職務に邁進したいと考えております。 - (問)冒頭の発言に関しましてお伺いします。地域未来戦略についてです。
今後、地域未来戦略本部の目玉となる政策や、「新しい地方経済・生活環境創生本部」から継続して進めていく取組、先ほどの朝日新聞さんのお話もかぶるところがあると思いますが、教えていただければと思います。 - (答)繰り返しになる部分がありますが、この地域未来戦略では、より経済に重きを置いた取組を推進していきたいというふうに考えております。ただ、議論の取りまとめや具体的な取組については、今後検討するということで、これからしっかりとやってまいりたいと思っております。
- (問)第11次の交通安全計画について、目標が達成できなくなりました。これについての受け止めをお尋ねしたいと思います。
残り2か月で少しでも死亡事故を減らすために、どのようなことを都道府県に要請されるか、12次の計画にどのように立て直すか、これをお答えいただきたい。
もう一つは、11次の計画、世界一安全な道路環境を目指すということをおっしゃっていました。道路環境というのは各国様々でして、交通安全を世界で競う意味がどこにあったのか。交通事故の減少傾向と自動運転の楽観的な予想で、少し緩んでいるのではないかと思いますが、受け止めお願いいたします。 - (答)本年の交通事故死者数は、10月31日に2,005人となりまして、前年同期比123人、5.8%の減少となりました。しかしながら、残念なことに、現行の第11次交通安全基本計画における「交通事故死者数を2,000人以下」とする目標は、御指摘のとおり達成できませんでした。
例年、秋から年末にかけて、交通事故死者数が増加する傾向にありまして、交通事故で亡くなる方を一人でも多く減らすよう、都道府県及び関係省庁に対し、現行計画に基づき、地域の実情にあわせて、地域住民と一体となった効果的な交通安全対策を一層積極的に推進するようお願いしたところであります。
令和8年度から始まる第12次計画におきましては、交通事故のない社会を目指し、現行計画で重点的に取り上げている高齢者、こども、歩行者等の安全対策に加えまして、外国人や小型モビリティの安全対策など最近の情勢を踏まえた課題についても焦点を当てて、策定作業を進めているところであります。
お尋ねの「世界一安全な道路交通の実現」については、平成18年度からの第8次計画以降、意欲的な目標として掲げてきたところであり、これにより官民の力を結集し、中長期的に交通事故死者数を減少させてきたものと認識しております。
現行の第11次計画における交通事故死者数の目標については、従前の各種交通安全施策を継続することに加え、新たに導入された施策から生まれる効果や、今後、新たに行われる施策による効果等も一定程度見込んだ死者数の長期予測を踏まえつつ、より意欲的な目標として設定されたと考えております。
令和8年度から始まる第12次交通安全基本計画の中間案におきましては、令和12年までに交通事故死者数を1,900人以下とする目標を設定し、現在、国民からの意見募集や有識者を交えた検討会議を実施しているところでございます。 - (問)大臣、少し厳しいことを言うようですけれども、目標を達成できなかったのは、11次だけではありません。10次も目標を達成しておりません。そうすると、足かけ10年、目標を達成しないまま、大臣がおっしゃるより意欲的な目標を掲げていることになります。
目標というのは、あくまでも達成することが重要なのであって、理想ではないと思います。この点をどんなふうにお考えですか。 - (答)第10次計画、第11次計画の目標を達成できなかったことは認識しております。ただし、この目標をしっかりとハードルを上げてやってきたからこそ、着実に交通事故死者数を減らすことができたということも事実でございます。
ですので、厳しい御指摘は重く受け止めたいと思いますが、12次計画においては、やはり世界一安全な国を目指していくという高い目標を掲げることによって、更に交通事故死者数が減らせるというふうに思っております。
また、長期的な傾向を見て一番厳しい数字を設定しておりまして、この傾向をあと5年続けていけば、決して目標を達成できないという数字ではないというふうに思っております。
10次計画、11次計画の目標を達成できていないという御指摘はそのとおりでございまして、その点については大変残念に思っておりますが、そこを目指すことによって着実に死者数を減らしてきたということも事実でございますので、高い目標を掲げて第12次交通安全基本計画も策定し、安全な国を目指していきたいと思っています。 - (問)すみません、もう少しだけ。経済目標であれば分かりますが、これは生身の人間の不幸の数だという遺族の指摘もあります。この辺のところで言えば、2,000人がちょっと上回るのではなくて、2,500人ぐらいになると思います。大臣、この状況は本当にそれでいいんでしょうか。
- (答)決していいと思っておりません。だからこそ高い目標を掲げる、世界一安全な国を目指す。この目標を掲げることによって、来年こそはまず2,500人を切る、そして5年後、この第12次計画はしっかりと目標を達成するという強い決意を持って進めていくことで、世界一安全な国を目指していきたいと思っています。
- (問)地域未来戦略本部について伺います。石破政権で使われていた地方創生という言葉が使われなくなったんですけれども、もしその言葉を使われなくなった理由等があれば、教えていただければと思います。
- (答)地方創生というものは、また一つ部署としてはきちんとと残っています。ただ、私の就任記者会見でも述べたとおり、きちんと地方創生が土台にあって、その上で地域未来戦略を立てていくということで、ここは両方進めていく、進んでいくというふうに考えています。
(以上)