赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年9月16日

(令和7年9月16日(火) 11:12~11:21  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)自動車・自動車部品の関税や相互関税の引下げが米東部時間16日から実施されると米政権が発表しました。この件に関する受け止めと、今後の米関税対応における課題をお聞かせください。
 加えて、日銀の金融政策についてもお伺いします。政府はこれまで様々な物価高対策に取り組んできましたが、コアCPI(消費者物価指数)は3%を上回る状況が続いています。政府・日銀はデフレ脱却に加えて物価安定に向けて取り組むことをアコード(共同声明)にて定めていますが、これまでの日銀の物価安定の取組への評価を教えてください。お願いします。
(答)最初の米国の関税でありますが、米国時間の9月15日、同4日に発出された大統領令に基づき、関税率表を改正する通知が米国の連邦官報(Federal Register)のウェブサイトに掲載されました。この通知は同16日付けで公表予定であり、同16日、改正された関税率表が発効すると承知しています。
 これにより、具体的に申し上げれば、相互関税と自動車・自動車部品の関税、航空機・航空機部品の関税について申し上げますが、まず相互関税については、米国の東部時間8月7日の午前0時1分に遡って「上乗せなし(Non-Stacking)」、すなわち既存の関税率が15%以上の品目には追加関税が課されず、15%未満の品目については既存の関税率を含め15%が課されることになります。
 2番目に、自動車・自動車部品の関税についてですが、米国東部時間9月16日午前0時1分から15%に引き下げられることになります。これについてもこれまでのMFN(実行最恵国)税率を含めて15%ということになります。
 改めて申し上げれば、25%の上乗せということがアメリカから言われていたわけですが、当初議論したときは、米国側は相互関税の引下げには応じるだろうが、自動車関税の引下げには絶対に応じないというようなことを言われておりましたけれども、結論において25%の追加関税は、その半分の12.5%が課されるという結論になったということです。その方向で発効いたします。
 それから、3点目ですけれども、これまで相互関税の対象となっていた航空機・航空機部品については、米国東部時間9月16日午前0時1分から、相互関税や分野別関税が課されないこととなります。
 政府として、今般の米側の取組を7月22日の日米間の合意の着実な実施として歓迎いたします。
 一方で、このたびの関税引下げが実現してもなお関税はかかり続けます。また、今後あり得べき医薬品や半導体に関する大統領令において、我が国の最恵国待遇、これは7月22日に合意したものでありますが、これが確保される必要があるなど、引き続き米側への働きかけを続けていく必要がございます。今後とも米国と緊密に連携を図りつつ、日米双方の利益に資するものになるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、金融政策ですけれども、金融政策の具体的な手法については、日本銀行に委ねられるべきと考えております。政府としてコメントすることは差し控えます。
 日本銀行には引き続き政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行っていただくことを期待しております。今後とも政府と日本銀行は共同声明に沿って、政策目標や方向性を共有し、それぞれの役割の下で必要な政策を遂行していくことが肝要であると認識しております。
(問)自動車関税に関連してお伺いします。例えば韓国は引き下げるということで7月末に合意はしておりますが、大統領令はまだ出ていません。EUに関しては、対米工業製品の関税引下げの手続を8月末に開始しまして、8月1日に遡及して自動車関税は引き下げられるべきだというふうに主張しておりますが、アメリカ側がどのような対応を取ってくるか分かっておりません。
 このような他国との状況と比較して、今回、日本が自動車関税、本日午後1時1分から引き下げるということについての受け止めをお伺いできますでしょうか。
(答)これも繰り返し皆様に申し上げていることであるのでご理解いただいていると思いますが、覇権国がこれまでの外交のルールでありますとか、外交交渉のやり方を大きく変えてきていると。覇権国があるがゆえに、我が国もそれについて対応していかなければいけないということがあります。
 そのような中で評価するに当たっては、当然これまでの流れからいえば、追加関税はけしからんもので撤廃があってしかるべきという考えが一方であり、それについては我が国ももちろん主張してきておりますが、一方で、現実問題として、なかなかそれに覇権国の理解が得られないということがあります。
 そうした中、現実的対応としていろいろな合意をいたしました。この合意はいずれも法的拘束力はないので、共同声明、それからMOU(了解覚書)について、いずれも法的拘束力がない日米貿易協定等の過去に我が国が結んだ国際約束に基づく権利義務には影響を与えない範囲で、現実的な対応として結論を出してまいりました。
 そういったものを評価するときには、やはり今までの価値観・相場観というものにはなかなか当たらず、他の国がどういう交渉をしているか、どういう内容をどういう期間で実現したいか、そういうもので相場観をつくっていくしかないということは繰り返し申し上げてきたことだと思います。
 そういう中で、私が交渉人として念頭に置かざるを得なかったのは、やはりEUの存在というのは大きいです。ご案内のとおり、27か国20兆ドルの経済です。我が国は4兆ドルの経済でありますが、既にドイツ1国で日本の4兆ドルを上回る。そして、全部足し上げると20兆ドルで、日本の5倍の経済規模を持っているEUという存在があります。現実問題として、我が国よりかなり交渉力があるだろうということは考えざるを得ない中で、EUに負けない結果を必ず出すという思いで交渉人としては交渉してまいりました。
 それについての評価は皆さんにお任せしたいと思いますが、結果的に一定の成果は上げられたのではないかというふうに考えております。具体的に言えば、関税を引き下げることを我が国はしておりません。
 そんな中で、投資イニシアチブを米側に提案し、最後は理解を得て、ベッセント財務長官の言を借りれば、日本の提案した投資イニシアチブ、これが米国とEU、あるいは米国と韓国の間の合意のひな型になったという評価をいただき、ラトニック商務長官からは、日本の投資イニシアチブは、米国にとってのゲームチェンジャーだと。ベッセント財務長官からは、日米関係を飛躍的に強化すると。そういう合意になったというふうに評価いただいているところであります。
 それから2番目に、相互関税についても20兆ドル経済であるEUと我が国がそれについて取得したということになっております。現時点でほかの国がどうなっているか分かりませんが、20兆ドル経済に劣後することなく、何とかついていっているということがあり、また、半導体、医薬品については、EU20兆ドル経済が交渉した結果というものが最恵国待遇として我が国に適用されるということがございます。
 また、航空機部品についても無税ということで、これもEUについてはまだ未発効でありますが、恐らくEUは同じことになってくると思いますけれども、とにかく繰り返しになりますが、覇権国がルールをがらっと変えてきた、世界秩序を変えてきた中で、他国に劣後しないような形で、特に日本より交渉力がある、経済規模が5倍あるEUとの関係で劣後しないようにということで、石破政権を挙げて全力で取り組んでまいりました。一定の成果が上がっているのではないかと思いますが、その評価については皆様にお任せしたいというふうに思う次第でございます。

(以上)