赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年9月9日
(令和7年9月9日(火) 11:00~11:47 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)石破首相が退陣されたことに対して、大臣はどのように受け止めたかということをお聞かせください。
また、総理は日米関税交渉について「一区切りがついた」とおっしゃっていましたが、大臣も同じ考えかということと、今後の関税協議への影響についてどのようにお考えか教えてください。 - (答)退陣とおっしゃいましたが、辞意を表明したということです。政治家の出処進退というのは、本人が決めることであります。総理ともなれば、当然ながら誰も関与できるものではありません。総理ご自身が出処進退を判断されたので、石破総理の副官を自任している私としては、そのご判断を最大限尊重するということでございます。
その上で、石破総理が先日の会見で述べられた、断固として最低賃金を暮らしていける水準まで引き上げると覚悟を決めてやられた賃金向上に向けた努力、あるいは日本の国を未曾有の大災害から守り抜くための防災庁の設置、それから、私に対して、ぶれないというか恐れずに「関税より投資」と大統領に2月におっしゃったとおり、それを貫けと言って結果を出された日米関税交渉などは、どれも我が国の将来にとって大変意味のある、大きな意味のあるものであり、誰が次の総理になられてもしっかりその流れを引き継いで、日本国あるいは日本国民の将来を切り開いていっていただきたいというふうに思います。
それから、石破総理が日米関税交渉について一区切りがついたとおっしゃった点でございます。日米間の関税協議は、今般の訪米で相互関税の修正と、自動車・自動車部品の関税に関する大統領令は発出されましたが、医薬品や半導体に関する大統領令において、我が国の最恵国待遇は確保される必要があるなど、まだ決着はついていないという状況でございます。この点、石破総理も「一つの区切り」とはおっしゃいましたけれども、「これで決着ではない」旨を明確に述べられているところであります。
そういう意味で、関税引下げを実現したとはいえ、関税はなおかかり続けておりますし、また、まだこれから出され得る大統領令において、今般の日米間の合意の内容が確保される必要もあるため、引き続き米側への働きかけをしっかり続けていく必要があると考えております。
新たな首相の選出までの間についてのお尋ねでありますが、石破総理は新しい総裁が選ばれるまでの間、国民の皆様方に対して果たすべき責任を着実に果たし、新しい総裁・総理にその先を託したいと思っていると発言されていると承知しておりまして、私としても同じ思いでございます。 - (問)先日サントリーホールディングスの新浪会長が辞任しました。新浪さんは経済財政諮問会議などの民間議員を務めており、先日の会見では、今後について政府のほうで判断を委ねたいというような発言をされていました。政府としてどのように対応するのかということと、新浪さんから何らかの報告があったのかということについて教えてください。
- (答)現時点で、新浪さんから政府に対して何らかのお申出あるいはコンタクトというものはなされていないと承知しております。本件については現時点で捜査が行われているところであり、また、経済同友会において新浪氏は代表の活動を自粛した上で、会員倫理審査会を立ち上げて協議中というふうに聞いております。
いずれにしても、これらの動きを含めた今後の動向を踏まえつつ、適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。 - (問)自動車関税引下げなどに関する大統領令が、米国時間9日に連邦官報に掲載されることになりました。これに伴って、関税の引下げが今月16日までに実現する見通しとなりましたが、その受け止めをお願いします。
併せて、先ほどの政府の総合対策本部で、石破首相から労いのお言葉もあったかと思いますが、4月以降行われてきた関税交渉を振り返って今どのように感じておられるか、お伺いできればと思います。 - (答)まず、ご指摘の大統領令は、現時点では未公表です。unpublishedというステータスですが、既に米国時間9月8日に連邦官報ウェブサイトに掲載されております。Federal Registerがなされたということになります。9日付けで公表予定、to be publishedとされています。大統領令に基づき公表された日から7日以内、すなわち9月16日までに、これは営業日ではなくてカレンダーで7日間ということになりますので、9月16日までに改定された関税率表が連邦官報に載り、関税率引下げが正式に発効する見込みになったというふうに承知しております。本件については、米側による7月22日の日米間の合意の着実な実施の表れと認識しております。引き続き、強い関心を持って注視してまいります。
また、振り返れというご質問でありましたけれども、まず、総理から私が日米の関税交渉を担当せよというご指名といいますか、いただいたのが4月8日であったというふうに記憶しております。現在9月9日なので、結局5か月ですか。大統領令が出るまで5か月かかったということであります。
昨日も皆様の前で申し上げたことですが、国の内外で、我が国についていえばこれまでの相場観がなかなか通用しないような状況が生じていると。トランプ関税について申し上げれば、覇権国が外交のやり方もルールも変えてきた、世界秩序も変えようとしている、経済史も変えようとしているというような中であります。国内的にもやはり少数与党ということで、今までなかなかない状況の中でものが進んでいくということなので、なかなか相場観というのは分かりづらいのです。要は、今までは外交交渉であれば、大体これぐらいの期間かかって、その後は文書をつくってとか、いろいろ何となくお作法みたいなものがあったと思うのですが、今回の交渉についていうと、本当になかなか相場観というか、難しい。強いて言えば、米国と交渉している我が国以外の国の進捗とか、出てきた合意の内容とか、かかった期間とか、そういうものが参考になるかなと思いますが、私のほうはどちらかといえば交渉をやった交渉人なので、評価はいろいろな方々にお任せしたいというふうに思います。
その上で、この際振り返れというご質問でありましたので一言だけ申し上げれば、やはり石破総理のご指示は、2月にトランプ大統領に会われたときに「関税より投資ですよ、大統領」と言って、それで説得にかかったわけですけれども、当初からおっしゃっていたことが全くぶれずに一貫して最後までそれで米国を押し切ったということであります。そういう意味で、これも繰り返し述べていますけれども、上司との関係で苦労することはただの一度もなかったということで、大変ありがたいリーダーシップを発揮していただいたと思っております。
そしてまた、私なりに思う特徴を3つ申し上げれば、まず1番目には、米国が求める関税をどんと外国に課して、かしこまって関税を下げることを相手の国に求めるということに、世界で恐らく1か国だけですけれども、我が国だけが応えなかったと。日本は関税は下げませんと。ただ、米国は関税を撤廃してくださいということで、当初ファイティングポーズを取っていたわけで、非常に立ち上がりは針の穴を通すようなものでありましたが、最終的に投資イニシアチブということについて米国もその意義に気がついてくれて、日本と力を合わせて、日本を特別なパートナーとして経済安全保障をやっていこうということになったわけで、そういう意味で一つ特徴的な交渉であったというふうに思います。
それから、あと2点挙げれば、これは相互関税でNon-Stackingという特例が取れているのは、現時点において日本とEUだけであります。そういう意味でも特徴がある。
それからあともう一つは、半導体と医薬品についてまだルールが出ておりませんけれども、米国がそれを打ち出したときに、はじめの国が得た交渉の成果というのは、最恵国待遇として我が国に適用されると。キオクシアとか、あるいはラピダスといった、半導体を米国に大いに輸出することを念頭に置いている企業が国内にありますので、そういう意味では最恵国待遇が取れてよかったと。EUと並んでというのは大変意味のあることで、我が国、日本は4兆ドル経済です。ご案内のとおり、EUについていうと、ドイツ1国だけで日本を超えています。EU全体を合わせれば恐らく20兆ドル経済とかそういうことなので、最恵国待遇を何とか取っておいて、20兆ドル経済が総力を挙げて米国と交渉する、その成果に何とかあずかろうとか、あるいは相互関税でいえば、20兆ドル経済に認められた特例をしっかり4兆ドル経済である日本も獲得しておくとか、そういうことを念頭に置いて、できる限りのことはやったということだと思います。
それからあと、せっかくのご質問ですのでお答えしておくと、交渉の中でもいろいろ自分で思ったことがあって、その評価はいろいろ分かれますけれども、トランプ大統領と会ったときに、冒頭、格下ではなくて「格下も格下」と発信し、私自身は恐らく大統領の耳に入るだろうと思って当然交渉人としてはやっております。あるいは、帽子をプレゼントされたときに、こうではなくてこうだと。そういうようなことというのはやはり相手の懐に飛び込むために大事なことだなと自分では思ってやっておりました。いろいろな評価がありますし、それは皆様にお任せいたしますが、そういうことで最終的には直接大統領とディールをすることになり、結果が出たということが一つ自分としては印象に残っております。
それからもう一つは、これも皆さんからいろいろなご質問をいただいたのですが、関税の撤廃を求めるポジションは変わらないのですかと聞かれ続けましたけれども、これも当然のことながら交渉ですので、なおかつ私が日本語で申し上げたことは驚くほど英語にきちんと直されて、アメリカのインテリジェンスから米国の閣僚に入っているわけです。そんな中、交渉をやっている最中に「関税撤廃を求める。でも、最後は引下げでいいと思っていた」と言った途端に完全に相手に伝わって、交渉の相手方は当然のことながら、「日本は撤廃とか言っているけれども、最後は降りてくるんだよ」となったら、交渉にならないです。ということで、交渉人というのは、交渉をやっている間に発信していることは、ほとんど交渉の相手方に向けて発信しているということについて、これ以上言いませんけれども、一部のマスコミ、一部の野党の方たちにご理解があったかというと、あまりなかったなということは率直に思うところであります。
それから、もう一つ申し上げれば、共同文書をつくるかどうかについても全く同じで、外交の作法からいえばつくるものなのでしょうけれども、繰り返し申し上げたように、日本が取りたいものは共同文書をあまり必要としていません。プロ同士が関税について合意したことというのはほとんど疑いの余地がないので、ピン留めするところなんかないんです。というのは、当然ながら、徴税吏が迷うようなルールであっていいわけはないので、全ての徴税吏が、大統領が出た途端に迷いなくこれにはこういう関税がかかると分かっていなければ仕事にならないので、我々が取ろうとしたものは大統領が出た時点で明確に確定いたします。
だから、繰り返し申し上げていたのは、米国の側のほうがむしろ文書をつくりたいだろうという意味は、必ず米国の側が共同文書をつくろうとおっしゃってくるだろうなということです。
そういうことで文書をつくらないと言い続けて、最終的には米国が文書をつくろうと言ってこられて、私どもは、我々は必要ないと思っていますけれども、その文書をつくるんだったら同時に大統領令を出してくださいねというのが今回の交渉の流れであります。
その辺についても交渉人としてはそういうことだと思ってやってまいりましたけれども、この際、全体としてとおっしゃったので、過去を振り返ってそういう交渉だったということになります。
私としては、最後に感謝を申し上げておきたいのは、総理のリーダーシップというのは本当に類いまれなものであったと思いますし、加えて、本当に優秀なチームが支えてくれました。何らかの成果があったとすれば、今申し上げたようなことに本当に負うところが大でありますし、一方で、これも最後に申し上げておかないといけないのは、追加関税についてはそもそも遺憾であるということを申し上げております。なお関税がかかり続けるということでありますので、我が国の経済にダメージが今後とも続くということがあります。本来であれば、それも完全に撤廃していただくまではなかなか旧に復するということがないわけでありますし、今後とも半導体や医薬品については新たなルールが出てまいります。
引き続き一番大事なのは、我が国の経済の持続的な発展というものを確保することでありますので、それに向けて米側に約束したことについては、迅速かつ誠実に実行してもらう。また、今後とも関税政策等において、日本と合意した趣旨をしっかり踏まえてやっていっていただきたい。それによって、我が国の経済の持続的発展を最大限有効にといいますか、効率的に、確実に確保していきたいということを申し上げておきたいと思います。 - (問)相互関税について伺います。実務的なことで恐縮ですけれども、9月4日の大統領令では、相互関税のNon-Stackingの措置が8月7日にさかのぼって適用されると明記されました。実際に軽減措置が適用されるのはいつなのか、これまでの超過分の還付が始まるのはいつになるのかを教えていただきたいです。
- (答)それは私が必ずしも全部正確にご説明できるかということですけれども、まず、「8月7日に遡る」の意味は、当初7月9日と言っていた相互関税の引上げ期限、10%で課され始めて世界に一律に10%課され、それは4月だったと思いますが、それが7月9日に日本の場合24%になるという予告を受けていたんです。それがいざ7月9日が近づくと8月1日まで延ばされて、日本は25%だということで、1%引上げみたいなことになりました。8月1日の期限をいざ過ぎたら、8月7日から発効で、日本の場合15%になった。ただ、EUと同様のNon-Stackingの特例については明記されていなかったということであります。
よって、その経緯が、7月22日に大統領と私が合意した中身からすると、相互関税については10%でNon-Stackingという合意でありましたので、米側の内部の事務処理の問題で齟齬が生じたわけです。そこは私が訪米して確認したところ、赤澤の言うとおりだということで、米側から遺憾であるという表明があり、そして、EUと同じNon-Stackingということについて大統領令を出して修正する。出した際には8月7日から15%でNon-Stackingになるはずだったものなので、そこまでさかのぼって還付するということが事の顚末です。
従いまして、いつからということについてはもう一回確認しますけれども、事務方にもう一回お問い合わせいただければと思いますが、これは大統領令が今のままだと9月16日までには発効するということです。発効すれば、それまでに8月7日以降で例えば牛肉についていえば26.4%の関税、これは15%以上ですので、26.4%のままのはずが今41.4%課されています。その差額の分の15%分を米国政府に対して返してくれということが言えるし、言った結果お金が返ってくるという手続がきちんと取られるということなんですが、どこに求めればいいのかとか、いつから求められるのかについては確認いたします。私自身の理解は、16日に発効したら、できる体制がそのときまでに整っているだろう、だからこそ、官報が出てから7日間とかそういう準備期間みたいなものを置くのだろうと理解していますけれども、そこは事務的に確認していただければと思います。 - (問)先週、大臣が訪米した際に署名された日米投資に関する覚書、つまり、MOU(了解覚書)に関連して2問ありますけれども、順次伺わせていただきますと幸いです。
まずは第5条に書いてあります「投資委員会は大統領への推薦に先立ち、両国から指名される者で構成される協議委員会と協議する」との規定がありました。その上に、「協議委員会は、それぞれの国の関連する戦略及び法的な考慮事項について投資委員会にインプットを提供する」との記述についてですけれども、仮に日本の戦略的及び法的な利益に反するような投資プロジェクトが提示された場合に、日本側は協議委員会の枠組みを通じてどの程度までプロジェクトの採択判断に影響できるかという点について、大臣の認識をまず伺います。
2問目ですけれども、トランプ政権が発足した後、日本の民間企業による米国内の投資案件も幾つか公表されておりますけれども、例えば石破総理もたびたび関税よりは投資の好例として挙げられた、日本製鉄によるUSスチールの買収投資案件とか、またはソフトバンクグループが参画したAIファンドなどもありますけれども、こうした案件は今般の5,500億ドルの投資総額に含まれるのでしょうか。 - (答)今般の合意では、経済安全保障及び国家安全保障上の利益を促進するということで、日本が、そこに限られませんけれども、通称拡大法232条ですか、に挙げられている9つの分野など、経済安全保障上重要な分野において、具体的には半導体とか医薬品、あるいは重要鉱物とか自動車、造船、鉄鋼、航空機、それからAIとか、量子とか、エネルギー、そういった分野で5,500億ドルを米国に投資するということにしています。
その際、投資先は日米双方から構成される協議委員会での協議を経て選定するというのはご指摘のとおりでありまして、その過程で戦略的な考え方や法的な制約が適切に考慮されるというふうに考えています。
その意味は、JBIC(国際協力銀行)もNEXI(日本貿易保険)も法律に基づいて収支相償みたいなことも規定されていますし、端的に言えば大赤字のプロジェクトに出資、融資、あるいは融資保証はできませんし、あるいは日本に何の関係もないようなプロジェクトにそういったことをすることもできませんし、そういう意味で戦略的あるいは法的な制約があるので、これはできませんということを、米側にできないものはお伝えすることになります。その上で適切に考慮されるということだと思います。
この投資イニシアチブに沿った投資が日米の相互利益の促進、すなわち日米同盟の更なる強化と経済安全保障の確保、我が国の経済成長の大幅な促進につながることを期待しています。
これはご案内と思いますけれども、ラトニック商務長官もベッセント財務長官もこの認識をまさに共有すると。日米間のゲームチェンジャーだということをラトニック長官はおっしゃっていますし、ベッセント長官も日米関係を新たに強化するというものだという認識を言っておられると。具体的なプロジェクトの対象範囲や選定等については、米国と緊密に連携を図りつつ、日米双方の利益に資するものになるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
せっかくのご質問なので申し上げれば、USスチールとか、これは経済安全保障上重要な9分野といわれるものの中の鉄鋼でありますし、ソフトバンクグループの場合、例えばAIであるので、少なくとも概念的には対象になり得るとは思いますが、そこを絶対に勘違いしてほしくないのは、これは米国内にサプライチェーンをつくろうという話なので、米国がこれをやりたいと言ってくるわけです。だから、含まれますかとここで聞かれても、それは米国に聞いてくださいというのが正直なお答えで、日本が提案するわけではありませんので、米側がこれはソフトバンクのAIにやろうではないかと言ったら協議委員会に出てくることはあるかもしれませんし、日本製鉄のUSスチールの買収について何かをやろうと思えば出てくるかもしれませんけれども、それは我々が提案するものではない。仕組みからいうともう一回おさらいしておけば、おっしゃった協議委員会にかかります。そこには日米の両方から委員が出ていて、これは日本の法律に反するとか日本と関係ないとか、そういうことを言えばそれは配慮されるものであって、その後ラトニック商務長官が議長だったと思いますが、務める答申会があり、そこで候補のプロジェクトを用意して大統領の前に並べると、大統領がこれとこれと言って選ばれるということがMOUの中に書いてあると思います。
そういう仕組みなので、基本的に米国内にサプライチェーンをつくる話なので、アメリカ側が当然リーダーシップを持ち、米国側がこれをやりたいと言ってくると。それについて我々は法的に問題があれば、戦略的問題があればお伝えするという仕組みで、最後も大統領が候補の中から選ぶというやり方なので、申し上げたとおりです。入るのかどうかと聞かれても、米側がそれに意義を認めて、この5,500億ドルに乗せる意義を認めて提案してこられるかどうかは、現時点において分かりません。 - (問)農業に関してお伺いします。共同声明の中では、米国農産物の追加購入やミニマムアクセスの枠内で米国産のコメを75%増やすことが盛り込まれていたかと思いますが、まだ詳細については明らかになっていないかと思います。いつ頃をめどに例えばコメの輸入時期など、具体的な内容について明らかにするお考えでしょうか。
また、農業関係者に対して政府として今後どのような姿勢で説明していくお考えか、お聞かせください。 - (答)対策本部に農林水産省も当然入ってもらっていますし、基本的には小泉農水大臣にお尋ねいただきたいというのが取りあえずのお答えになりますが、例えばコメのミニマムアクセス制度の中での75%という話については、いつ明らかになる、最終的には売買ですので、国がいつと言うようなものなのかどうか、入札をやったりしながら結果的に積み上がって、1年間の米国からの輸入量が増えるという結果が出るということでありますけれども、いつやるのですかと言われても、それは農水省が計画を立てて入札いたします。その出た結果、米国からの輸入量が増えているという結果が出てくることになりますので、そこについてはなかなか、いつ75%が達成されるのかと言われても、私が説明し切るだけのあれを持っていません。農水省の入札のスケジュールとかそういうものによるので、これは小泉農水大臣にお尋ねいただけたらというふうに思います。
迅速な実施とか言っていることの意味についていえば、ミニマムアクセスについて、日本米と品質が近く加工用に適した中粒種の量を相当程度増やすことを今考えていて、これは必ずしも日米の交渉と関係なしに。そういった中で、今後、実際に輸入していく中で、結果として米国産米の輸入が75%拡大することが十分考えられるだろうと我々は思っているということと、あと、迅速な実施という意味でいつかとお尋ねになったんだと思いますが、入札手続を含めてミニマムアクセス制度の枠内で実際に中粒種を輸入していく手続が迅速に進められるとの認識を申し上げたつもりで、小泉大臣とは実際に話していますけれども、早めにやっていきますということはおっしゃっていたところでございます。
ただ、具体的な入札のスケジュールとか、私は分かっておりませんので、繰り返しになりますけれども、詳細は小泉農水大臣にお尋ねいただければというふうに思います。 - (問)農業関係者に対して政府として今後どのような姿勢でこうしたところをというのをお聞かせください。
- (答)そこについては繰り返し一貫して申し上げているとおりで、石破総理も農水大臣経験者ですし、私も農林族ですので、交渉を始めたときからずっと農業を犠牲にするような交渉はいたしませんということを申し上げて、そのとおりに合意に至り、今後とも実施していくつもりでありますので、私自身が繰り返し申し上げているように、農業生産者の皆様が安心して再生産に励めるという環境をつくることが政府与党の最も重要な仕事の一つであるということを申し上げているとおり、その言葉を違えることなくしっかりやってきますので、安心して農業再生産に励んでいただきたいということは申し上げたいと思います。
- (問)最初の大統領令の官報掲載に関する質問で確認ですけれども、16日までにアメリカでその官報が出る見通しではあるかと思うんですが、関税引下げの実施日が16日までの日付になるという理解でいいのか、そこを確認させてください。
- (答)改定された関税率表が連邦官報に載れば、それが関税率引下げの正式な発効ということになります。このため、9月16日までに正式に発効する見込みであると我々は考えております。
- (問)石破総理が監督で、この関税については、主演男優をまさにこの5か月、務められたのだというふうに見えます。すると、先ほど最初から格下の格下というところまで考え抜いて演じ切ったと。この主演男優としては、ご自身、タフに自分を褒めてやりたいというようなことになっているのか。まさにそういう歴史に残る交渉だったと思うのですけれども。
それが1点と、相手も、トランプ大統領の下でベッちゃんですとかラトちゃんも、これも向こうの主役だったわけですけれども、今回、総理が辞めたことで、向こうの主役は赤澤さんに何かメッセージですか、これからどうなるんだとかご苦労さんとか何かあったのか、その舞台の上での話をもう少し聞きたい。 - (答)まず交渉人というのは、それを、意義を認めて全力を挙げますけれども、私の感覚からすると、主演とかそういうものではどうもなくて、見えないところで国益をかけて真剣に一生懸命、真剣勝負でやっていくということです。そこは本当に我が国の国益がかかっていると思って、誠心誠意、ある意味、命がけで全力を挙げたことは、間違いがありません。
そこについては、国民の皆様に間違いなく誓えるというか、そのとおりやりましたということは言えるのですが、ただ、結果については、これからも国会等でも問われて、もっとうまいやり方がなかったのかということは常に言われますし、それから、実際に関税が残ってしまっていますよね。それは、先ほど申し上げたように覇権国がルールを変えようとしているので、これまでの相場観ではなくて、米国とほかの国の交渉と比べてどうかというような見方もしていただきたいと申し上げているのはそこのところで、関税は本当に残ってしまっていますので、引き続きこれについて遺憾であるという我々のポジションは変わりませんし、少しでも早くなくしていきたいということもあれなので、一生懸命やって、結果、大統領令も出ましたし、自分自身としてやったことに意味はあったと思ってはおりますけれども、なかなかということです。
あと、だから2点申し上げれば、ベッセント財務長官が、貿易赤字がもし減っていく方向になれば、相互関税はアイスキューブのように解けてなくなるものだということをおっしゃっていて、そう思っておられるならまさにそれは実現したいので、貿易赤字が着実に減るように、米国の、我々も約束したことはしっかり誠実に、かつスピード感を持ってやっていきたいという思いと、あとは、もう一つだけ申し上げておくと、交渉のやったことの意義ですけれども、自分としては、これは25%から15%に関税を下げました。ざくっと大づかみの話をすると、アメリカへの輸出って20兆円前後ですので、25%の関税を15%に引き下げたということは、我が国が関税で失うものが5兆円から大体3兆円に減ったということになります。それを我が国の企業全体の利益ということで考えると、大体、我が国の企業全体の利益も、マクロで見たときに100兆円ちょっとということなのです。
なので関税の結果、5%減益になるところを3%減益に抑えるという結果になったということを私は認識しておりまして、そのことについて、なんだ、たかだか2%かとおっしゃる方もいるかもしれないけれども、私自身は、かなり大きな意味があるかなと、少なくとも頑張っている日本企業の皆様に関税をなくすことはできなくて申し訳なかったけれども、そういうマグニチュードなので、今後とも是非賃上げのモメンタムを失わずに頑張っていただきたいと、賃上げ原資を全力で確保できるように我々も全力で応援を続けますので、賃上げのモメンタムを失わずに、しっかり稼いで賃上げしていただきたいということが何とか申し上げられる、そういう地合いを確保できたのかなという思いを持っております。
その点についても、今後いろいろなご評価をいただくし、経済界からの声もあるでしょうし、ですけれども、そういう感覚を持っております。 - (問)MOUは、もともと法的拘束がないわけですけれども、一方の交渉人が外れてしまうということで、非常に日本の優位性というんでしょうか、信頼関係の中でやっていて一方だけ途中で降りますと、途中の経過だとそれなりにマイナスもあるのではないかという見方もあると思うのですけれども、これまでの経緯を含めましてその辺はどうお考えになるのか。心残りもあると思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになるか伺いたい。
- (答)忸怩たる思いとか心残りというのは、総理がおっしゃっていたことを、副官である私は全く共有をいたしますので否定はいたしませんが、ただ、その辺は、我が国が大したもんだなと思うのは、日本国、日本国民というのは、米国からも当然信頼され、信用されていますので、MOUで閣僚が署名をし、約束をしたことについては、私の後任もしっかり守るだろうという前提には立ってくださっていると思いますし、米国側からも当然そうだろうなという考えでいると思いますし、こちら側も、それは何か内閣が替わったから、担当の閣僚が替わったから反故だよなんていうことは、ゆめゆめ考えておりませんので、そのようなことがあると本当に日米関係が最悪の状態になると思うので、当然ながら私は、後任にはというか、後任に引き継ぐまで全力で仕事を続けるとともに、後任にはしっかり引継ぎをして、今後とも今回できた合意が日米両国にとってWin-Winの形で、両国の経済発展を大幅に加速する、両国の経済安全保障の確保に大きな力を発揮すると、日米が特別なパートナーと認め合って、今後、次の30年間、日本も過去の30年間で失われた成長機会をしっかり取り戻して発展していけるような、そういう方向を私自身は思い描いております。
- (問)防災庁に関して伺います。石破総理は7日の記者会見で、新たな総裁に対する政策面の期待として、強力に実行し、成果を得ていただきたいと考えているとした項目の中に、いくつかあったのですけれども、防災庁の設立というのを挙げていらっしゃいました。
現状、設置に向けて組織体制の検討だとか、あと法案の検討等も進めていくことになっている最中だと思うのですけれども、2026年度の設置を目指すという政府の方針、こちらは維持すべきと考えていますか。今後の設置に向けた議論への影響だとか、議論をどう進めていくべきかというところについても、お考えがあればお聞かせください。 - (答)総理の会見の中で私が確認しているのは、私の担務についていえば、経済団体からいろいろとご指摘もいただきながら、それでもきちっと最低賃金を上げていく。私も介入ということで大分ご批判を受けたりしておりますけれども、そこは、とにかく暮らしていけない最低賃金の水準をしっかり上げていくことをやらない限り、私は政治の安定もないと思っていますし、総理がおっしゃった現行憲法下初の賃金向上担当大臣として、最低賃金を含めて賃上げを目指していくということについては、是非、私の後任にも引き継いでもらいたいという思いを総理と共有しています。
加えて、防災庁についても、過去10年以上、知事会が連続して要望してきているけれども、専任の大臣がいる防災組織ってつくられてきていないのにようやくお応えしようということですので、これもしっかり後任が引き継いで、これから東日本大震災の30倍の犠牲者、500万人の避難者が出る南海トラフの地震などに備えていってほしいという思いがあり、あと、日米関税合意についていえば、これは、先ほど申し上げたようにピンチをチャンスにと、関税より投資ということで、日米が特別なパートナーとして経済発展もすれば経済安全保障も確保してく、そういうことをやって、その3点をおっしゃっていたと思うので、私も全く同じ思いで次の内閣においても、私の後任においても、その思いは引き継いでもらいたいという強い思いを持っています。
防災庁について言えば、これは、世界有数の災害発生国であり、申し上げたように南海トラフの地震あるいは首都直下地震、さらには日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震とか、富士山の噴火とか、いろいろなものがあり得るので、これは、国民の生命・身体・財産を災害から守り抜くために、人命・人権最優先の防災立国を早急に実現する必要があることは、何ら変わるものではありません。内閣が変わろうが全く変わらない。
特に南海トラフの地震は、今後30年以内にマグニチュード8から9クラスの地震が発生する確率は80%程度ということです。本当に切迫をしております。それ以外の災害については、今申し上げたとおりで、令和8年度概算要求において、防災庁設置を見据えた災害対応力の充実強化に重点的に取り組むため、必要な予算・機構・定員の確保を盛り込んだところであります。
残された期間、全身全霊で国民の皆様方が求めておられる課題に取り組んでまいります。総理がおっしゃっていることを私も当然共有するわけでありまして、石破内閣の閣僚として引き続き任期いっぱい、令和8年度中の防災庁設置を目指して全力で職責を果たしてまいるとともに、次の内閣の体制いかんにかかわらずこの流れをしっかり引き継いでまいりたい、引き継いでいただきたいというふうに思っております。 - (問)今回、赤澤大臣の地元鳥取では、日米交渉をまとめた実績に対する評価も高く、対米交渉の継続性を考えたら、新しい政権でも閣僚を続投すべきではないかという声もあるんですが、そうした声をどう受け止められますでしょうか。
- (答)まず、どんなときでも、苦しいときも支え続けてくださった地元鳥取の県民の皆様には、そういうご質問ですので、この場を借りて心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
その上で、閣僚人事については、次の総理がお決めになることであり、私からコメントすることはございません。総理が辞意を表明されて総裁選も出ないとおっしゃったので、引き続き全力で仕事をし、完璧な引継ぎをした上で、今後、また地元の皆様と共に、鳥取県からの地方創生を必ず成し遂げるということにより新しい日本をつくるというかねてからの公約を、ぶれることなく実現するために邁進してまいりたいというふうに考えております。 - (問)先週の記者会見で、経済対策について引き続き与党とも連携し、経済・物価動向に応じた機動的な政策対応を行っていきたいとおっしゃられたと思います。
総理の辞意の表明の以前で状況が変わりましたけれども、この状況認識が同じであれば、機動的な対応が必要であるという状況というご認識だと思います。
一方で、総裁選になり、今後、伝えられるところですと、10月4日総裁選ということで、これから総裁選のプロセスになり、与野党とかの協議もそのプロセスの中でどう進むのか、なかなか分からないところでありますが、そういう総裁選プロセスあるいは今後の首班指名を想定しながらも、経済対策というのは、何がしか政府として検討なり準備を進めるということになるのでしょうか。なかなか難しいと思いますが、ご見解をお聞かせください。 - (答)石破総理は、先日の会見において、与党として公約した物価高対策としての給付金について、参議院選での議論も踏まえ、財政に対する責任も考えながら与党において検討を行い、野党との協議を更に進めてもらいたいという旨を述べられたものと承知をしております。
政府としては、そうした検討・協議の状況、さらには、米国の関税措置の実施状況及び我が国への影響など、諸情勢を見極めながら経済対策の検討を進めていくものと考えており、お尋ねの指示の時期についても、そうした中で決まっていくものと考えております。
いずれにせよ6年度補正予算や7年度予算に盛り込んだ施策や予備費を活用するなど、あらゆる政策を総動員しているところでございまして、家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら、引き続き経済・物価動向に応じた機動的な政策対応に努めてまいりたいと考えております。 - (問)誰が総理になっても日本の未来を切り開いていってほしいということでありましたけれども、総裁選に関連してお聞きします。今、少数与党という政治状況ですけれども、そういった中で次の総裁、総理大臣に求められる資質、この部分を大臣はどのようにお考えでしょうか。
- (答)これは、もう総理というのは雲の上でありまして、私自身がどうこう申し上げられるようなものではありません。ただ、石破総理とも共通の認識ということだけで申し上げれば、先ほど申し上げたように私の担務でいえば、経済団体等、いろいろなご指摘をいただきながらも、とにかく暮らしていける水準に最低賃金を持っていくための、あるいはそれを含めた賃上げとか、あるいは、10年来、知事会から求められたけれどもお応えしてこなかった防災庁の設置とか、あるいは、特別なパートナーとして日米間で合意を実施して両国の発展につなげるとか、そういった石破政権が国のためにやるべきと思ってやったこと、それは引き継いでくださる方といいますか、なんといっても是非引き継いでほしいという思いがあるということは、申し上げておきたいと思います。
(以上)