赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年9月2日
(令和7年9月2日(火) 10:53~11:09 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)日米関税協議について伺います。28日に事務方協議のために米国へ出発した事務方が帰国されたかと思います。議論の進捗状況だったり、これを踏まえた赤澤大臣の次の訪米日程、お話しいただける範囲で伺えればと思います。
また、今回の事務方での協議を通じて、米国との認識の隔たりがもしあったのであれば、それが解消したのか伺えればと思います。 - (答)日米間では、今般の合意の誠実かつ速やかな実施のために協議を続けています。私が、faithfully and swiftlyということを申し上げ、大変向こうもそれを気に入って繰り返しそれを言いながら、お互いにしっかり実施していこうということです。
米側に対し、可及的速やかに相互関税及び自動車・自動車部品関税に関する大統領令を発出するよう強く求めてきておりますが、米側との外交上のやり取りの詳細に関してはお答えを差し控えます。その上で申し上げれば、合意の内容について日米間の認識に齟齬があるというようなことはございません。
一方で、既に関税が課されており、繰り返し申し上げていますけれども、自動車については1日に20億円の損失を出している企業もあれば、1時間に1億円ずつ損害を出している企業もあると承知しておりますので、私自身としては、事務方の協議が整えば、閣僚級の協議をやることが必要であればということでありますし、調整が整い次第、一日でも早く、一刻も早く、相互関税及び自動車・自動車部品関税に関する大統領令を発出してもらう必要があります。
今後については事務レベルの協議が整い次第、繰り返しになりますが、大統領令の発出までにあと1回は少なくとも私自身が訪米することになるのではないかというふうに考えております。現時点で事務レベルの調整が続いており、私の訪米日程は決まっておりませんが、引き続き、日米間の合意の誠実かつ速やかな実施の方策について、あらゆるレベルで協議を行ってまいりたいと考えております。 - (問)自動車関税などの引下げ時期についてお尋ねします。大臣は、イギリスでも合意が実現するまでに54日かかったことを念頭にやっていくとおっしゃっていましたけれども、この50日前後というのが節目になるというお考えは、今、現状は変わっていないということでよろしいでしょうか。
- (答)結論から申し上げればそういうことというか、丁寧にもう一回説明しますけれども、米側からは今後、適時に相互関税に関する大統領令を修正する措置を取ること、同措置を取るのと同じタイミングで自動車・自動車部品を引き下げる大統領令を発出することを確認しております。
私からはこれまで引下げの時期についての見通しを申し上げたことはないんですけれども、今後行われる大統領令の発出は米側内部の事務処理でもあり、米側の対応についてコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で、各国ごとに事情が異なるため、あくまで参考ということでしかありませんけれども、米英間の場合、自動車の関税割当てを含む貿易合意が発表されてから発効するまでに54日間。詳しく申し上げれば、大統領が署名されるまで40日間、そして、それが発効するまで更に2週間かかって、トータル54日間ということです。
その上で更に申し上げれば、我が国と英国を比べた場合、米国は、我が国との関係では年間687億ドル約10兆円という巨大な貿易赤字を抱えております。英国に対しては、実は米国は年間114億ドル、約1兆7,000億円の貿易黒字を持っています。
また、日本は、自動車関税について台数制限のない引下げの合意を世界で初めて勝ち取ったということでありますが、英国の場合、年間10万台という台数制限がある。それを上限に関税率10%とする関税割当てが合意されているということなので、そういった違いを考えると、英国は米国と交渉するに当たって、我が国よりもかなり有利な立場にあることが間違いないと思うので、私自身が申し上げたのは、このため我が国が7月20日の合意の後、英国の例である54日程度で実現できれば、それは他国と比べて悪くはないのではないかということを申し上げた次第です。
ただ、繰り返しになりますが、関税を課されている以上、日々、我が国の自動車産業、あるいは相互関税を課されている産業分野がダメージを受けていることは間違いがないので、何かしらそれでいいということではなくて、一日でも早く、一刻でも早く大統領令が出るように、強力に働きかけを続けているということです。
いずれにせよ、政府としては米側に対し、可及的速やかに自動車・自動車部品の関税を引き下げる大統領令を発出するよう、あらゆる形で強く申し入れてまいります。 - (問)相互関税を含めた米国の関税措置を巡って、米国の連邦控訴裁判所は現地時間の29日、いわゆるIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税発動は違法であるとの判断を示しました。4月に発動された相互関税はこちらに該当しますし、1審に続き控訴審で2度目となる違法判断ですけれども、大臣はこれらの動きについてどのように分析していらっしゃるのかと、また、日本側の立場からすると何らかの影響を想定しているのでしょうか。
- (答)いろいろな報道がありますので、米国の司法の動きについては報道されている範囲内で承知しております。ただ、国内ですらそうでありますけれども、司法の動きについては、特に外国の司法判断ということについては、何か私がコメントを申し上げることは差し控えたいというふうに考えます。
ただ、もちろん判決が今後確定するような段階まで至れば、一定の影響というのは出てくると思うので、そういう意味で判決の今後の成り行きなどについては注視してまいりたいというふうに考えております。 - (問)関連して、一部のエコノミストは、相次ぐ違法判決や関税コストによる米国内のインフレ圧力などが影響し、トランプ政権は年内にも関税措置から自ら撤退するのではないかというような期待感を示してきましたけれども、大臣は交渉担当者の目線から、こうした見方をどう評価されているのかをお伺いしたいと思います。
- (答)エコノミストの方たちがいろいろな見方をしてそれを発表されるのは、もちろん民主国家で言論の自由があり、発表されることについて私が何か申し上げることはありません。
ただ、繰り返しになりますけれども、我が国についていえば、関税を課すぞと言って何か交渉しているわけではなくて、もう課された状態で交渉していますので、繰り返しになりますが、日々、自動車産業に限らず、相互関税を課されている我が国の産業分野全てがダメージを受けているということになります。そのこと自体が大変遺憾でありますし、それをとにかく一刻でも早く解消したい、あるいは解消にはならないけれども引き下げたいということでありますので、そこについてゆっくり急ぐと。国益を守りながらできるだけ早くということを目指すということについては、いささかも変わりはないところであります。 - (問)冒頭の質問とも重なってしまって恐縮ですけれども、合意の内容について日米間で齟齬はないというお話だったのですが、先週取りやめとなった大臣の訪米に関連して、一部の報道でコメの輸入の拡大だとか、あと農産品への関税の引下げ、後者は特に合意に反するような内容になってくると思うのですが、これが大統領令に盛り込まれるということが米政府側から伝えられていたという報道が出ておりました。ここに関しての事実関係と、もし仮に事実だとすれば受け止めのところ、今後どう臨んでいくか、ご所感をお伺いできますでしょうか。
- (答)報道レベルでいろいろなことが出てくるのは、もちろん目を通して承知はしているということになりますが、日米間では7月22日、大統領と私が直接会ってお話しして成立した合意、これの誠実かつ速やかな実施のために協議を続けておりまして、米側に対し、相互関税の修正、それから自動車・自動車部品関税に関する大統領令を発出するよう強く求めてきております。
結論から申し上げれば、ご指摘の報道のような事実はありません。何かの農産物の関税を引き下げろとか、そういう話が合意の中にあったではないかという議論はもちろんありませんし、合意した記憶もありませんし、農業を犠牲するような交渉はしていないということについて、いささかの何か変更もあり得るわけもないわけでありまして、しっかりと7月22日に大統領と直接会って成立させた合意を誠実かつ速やかに実施していきたいと思っています。引き続きその方向で米側との協議をあらゆるレベルで行っていくということにしている次第でございます。 - (問)昨日、一部の報道で、首相が経済対策を指示する案が浮上しているというような報道がありましたが、これに関してそういう事実があるのかも含め、ご所見をお願いしたいと思います。
あと、関連してですけれども、今日の午前中の与党の二幹二国後のブリーフでも、与党側から経済対策を求めたいというお声が公明党さんのブリーフで出ていたようですが、その辺も含めてどのようにお考えかお聞かせください。 - (答)ご指摘の報道については承知しておりますが、そのような事実関係については承知しておりません。そして、政府としては、6年度補正予算や7年度予算に盛り込んだ施策や予備費を活用するなど、あらゆる政策を総動員しているところでありまして、家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら、引き続き与党とも連携し、経済・物価動向に応じた機動的な政策対応を行っていきたいというふうに思っております。
やはり懸念事項というのは当然あるわけで、トランプ関税の影響が出始めているというような情報も当然一部にはありますし、引き続き物価の状況なども注視が要りますし、いろいろな意味で必要なことは機動的にやっていくという体制でありますけれども、先ほどご確認を求められたような事実については、そういう事実関係は承知していないということであります。 - (問)先ほど大臣は質問に対して、日米間の関税合意の中で、日本側農産物に関しての関税を下げるというような事実はないというふうにおっしゃったんですけれども、細かい点で恐縮ですが、コメに関してアメリカからの買い入れを拡大するというような文言が大統領令のほうに入るのではないかという話があったんですけれども、そこは従来からご説明のように、ミニマムアクセスのところで対応ということで変わりないのか確認させてください。
- (答)おっしゃるとおりで、要するに、確認に対してお答えいたしますが、関税を下げようとすると、我が国の場合、当然ながら法律か条約をいじるようなことになるわけです。要するに、国際約束について国会の承認を求めるか法律を改正するかということなので、いずれにしてもそういう類いのことが必要な関税の引下げというようなことは、我々は一切合意もしていないし、早い時期にそれは我が国はできませんということを申し上げて交渉してきているので、そこが崩れることはありません。
コメについて米側がファクトシートでいろいろ書いたり、我々が確かに合意した覚えがあるということについてはまさにおっしゃったとおりで、ミニマムアクセスの制度の中で、いろいろな食料安全保障とかを考えたときに、例えば中粒種を輸入する量を増やそうとかいろいろなことを考える中で、米側と折り合えるところはあるのではないかなということで進めているものでございます。 - (問)トランプ関税が発動されたのが4月2日ですから、今日は9月2日ですから、丸5か月。この5か月をどう振り返るかというか、大臣は就任のとき、水泳が得意で体力だけは自信があると。私はそう覚えているんですけれども、夏休みを含めて多少お疲れというんでしょうか、どれぐらい休みが取れて、9月以降もずっとこのまま行くわけですけれども、その辺をじっと耐え忍ぶ5か月だったのかなと思うんですけれども、体力も含めましてどんなふうにお感じになっているのか伺いたいです。
- (答)最近、私の体重の話まで記事になっているので、ちょっと面食らうところがあるのですが、ざっくばらんに申し上げると、体調管理をするために土日、家内といろいろ出かけたりみたいなことを習慣にしておったわけでありますが、例えば4週連続米国に行ったようなときというのは物理的に木金土日が潰れて、しかも車の移動とかそういうことでほとんど歩かないとかいって、正直ちょっと体重も増量したようなところもありますし、いろいろな意味でなかなか体力的には負担のかかる5か月ではあったなということは感じます。
ただ一方で、これは国益を背負った真剣勝負の交渉なので、そんなことも言っていられないので、結論が出るまではきちんと責任を持って、ベストと思われるものを目指して全力を尽くしてしっかり結果を出したいというふうに考えております。
(以上)