赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年7月15日
(令和7年7月15日(火) 12:06~12:21 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)2問お伺いします。1点目は、トランプ大統領が昨日、日本を念頭に、彼らが急速に方針を変えてきているというふうな発言をされました。日米間の交渉がいまだ妥結には至らない中で、この発言が何を指しているのかは憶測を呼ぶところではありますが、日本側として交渉の方針・アプローチに何か変化があったのか否かについてのご見解を伺います。
2点目は、万博ナショナルデーでベッセントアメリカ財務長官が来日されます。この機会を捉えての日米間のコミュニケーション、関税交渉に関する交渉の協議の有無ですとか、その見通しについてお伺いできればと思います。 - (答)ご指摘のトランプ大統領のご発言については、報道を通じて承知しております。日本を念頭にということをおっしゃったのですけれども、もっとストレートでして、日本はということでご発言いただいたと思っています。その発言を含め、米国政府関係者の発信にコメントすることは差し控えます。
いずれにせよ、我が国としては引き続き日米間の協議を継続し、国益を守りながら、日米双方の利益となるような合意の可能性を精力的に探ってまいりたいと考えております。
それから、現地時間の7月9日に米国のホワイトハウスで、7月19日に大阪・関西万博に出席する米国大統領代表団がトランプ大統領により指名され、ベッセント財務長官が同代表団を率いる旨を発表したと承知しております。
7月19日に予定されている大阪・関西万博の米国ナショナルデー関連行事への日本政府からの参加者については、現在調整中であると承知しております。政府として、どのような形で米国大統領代表団をお迎えするかについていろいろな検討をした上で、ベストな方法が決定されるものというふうに承知しております。
また、米国の関税措置に関する日米協議の今後の進め方について、予断をもってお答えすることは差し控えたいと思います。 - (問)トランプ大統領による一連の新たな関税措置の発表を受けて、EUは影響を受ける他の国々との連携を強化する準備を進めていると報じられています。石破首相も、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の枠組み拡大に向けて、EUとの対話を模索するとも発言されていましたが、EUとどのように協力する可能性があるのか、お考えをお聞かせください。
- (答)CPTPPは日本が主導して何とか立ち上げて、我が国としては大変大きな誇りを持っている、そういう国際協定であります。これは本当に生きている協定でありまして、現在もこの協定の見直しが進んでいますし、最近であれば英国が新しく参加したとか、いろいろな動きのあるものです。このCPTPPは、非常に我々が大事にしなければいけないと考えている、幅広い分野をカバーした高い水準の共通ルール、これを世界に広めていくという意義を有していて、CPTPPの枠組みの発展に向けた議論に今後とも積極的に貢献していくというのが我が国の立場です。
ご質問のEUとの対話に関しては、まさに本年5月のCPTPPの閣僚声明において、作業を進めるということが決定されているところで、今申し上げたような我が国にとって、あるいは世界経済にとってのCPTPPの意義も踏まえながら、日本としてはEUとの対話の実施に向けて貢献していきたいというふうに考えております。 - (問)関連で、フォン・デア・ライエン欧州委員長らの来日予定や、会談などの調整、あとはEUとの共同声明の発表など、関連してする予定はあるかもお伺いします。
- (答)現在、EUとの関係、CPTPPとの関係をどういうふうに発展させていくかについては、まだ議論が緒に就いたばかりというふうに承知しておりまして、その枠組みの中で、今後いろいろなことが決まっていくということだと思います。現時点で申し上げられるのはそこまでです。
- (問)先ほどの万博の関連で伺います。今回、関税交渉で、赤澤大臣のカウンターパートを務めるベッセント長官が日本に来日することになりますけれども、来日するという機会を、閣僚の信頼関係の強化も含めてどのように生かしていきたいお考えでしょうか。
また、総理とベッセント長官の会談も模索されるお考えはあるでしょうか。 - (答)まず、ベッセント長官の来日についていえば、ご案内のとおり、目標はまさに大阪・関西万博のナショナルデーが7月19日であって、米国としては大統領の代表団を編成して派遣してくださっているということになります。必ずしも関税を含めてそれ以外の話をしに来られるわけではないということであります。
そういう前提の下で申し上げれば、米側と度重なる協議を経て、私自身としては日米間で信頼関係は構築されていると考えておりますし、議論も進展が見られると。引き続き進展中と理解しております。
今後とも、いろいろなチャネルを通じていろいろなレベルで、米国との間では追加関税の問題について、日米双方が合意できる内容を目指して、真摯かつ誠実な協議を精力的に続けていくということになります。 - (問)長期金利についてお尋ねします。今朝、10年物の国債利回りがおよそ17年ぶりの高水準となりました。市場では、参院選挙後に拡張的な財政政策が進むのではないかという懸念から債券売りにつながったのではないかという見方もあるのですけれども、このことの受け止めと、改めて財政運営のスタンス、財政への信認をどういうふうに確保していくか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
- (答)長期金利については、当然ながら、私どもとして常にその状況を注視しております。その上で、その水準とかについては為替とか株価と同様で、私の発言が市場に不測の影響を与えることは避けなければなりませんので、コメントは差し控えるというのが申し上げられる最大限であります。
財政規律についての話は別途、その質問とは切り離して、長期金利の動向について、私は特定の水準についてものを申すことはないということを申し上げた上で申し上げれば、成長なくして財政をなかなか論じられないというのが我々の立場でありまして、しっかりと成長型経済への移行を目指すと。それに必要な選択肢はきちんと選択しながら、その上で財政規律についても満たしていくというのが我々の立場でありまして、いずれも大事であるということです。
今、本当に経済を成長させる分岐点に来ていると我々は思っていまして、失われた30年から抜け出して力強い成長軌道に日本経済を乗せる。そこでは物価上昇に負けない賃金上昇・所得上昇を必ず実現する。そのために必要な生産性向上とか、あるいは価格転嫁、事業承継、ありとあらゆることを全力でやっていく。それを実現するために必要な政策については、大胆に資源配分・予算配分を行って取り組んでいく。
その選択、そういう政策ということについて、何か財政を念頭に置いて手をこまねくということはいたしませんけれども、一方で、それはしっかりと経済成長を実現する中で、財政規律については守っていく。骨太方針でもいろいろな方針を示させていただきましたし、これについてはこれからしっかり取り組んでいくと。両方のバランスが非常に大事だという考え方だというふうに思っております。 - (問)今、経済成長というお話がありました。今日は「外国人との秩序ある共生社会推進室」の発足式などもあったようですけれども、参院選でも外国人を巡る政策等も論点的になっておりますが、日本の経済成長において、これまで、あるいは今後、外国からの人材、あるいは外国の資本が果たしてきた役割とか、そういうものを受け入れていく意義について大臣はどのようにお考えか、改めてお聞かせください。
- (答)大変大事なご質問だと思います。
その上でまず、少子高齢化が進む中、皆さんと共有しておきたい一つの事実は、2020年から2040年にかけて、我が国の生産年齢人口は約1,300万人。正確に言うと1,296万人という推計だったと思いますが、減ると言われています。まだまだ人手不足に対する認識は国全体として十分でないと私は思っていまして、今、人手不足がひどいですけれども、今から全ての職場から2割の人がいなくなる。それも農林水産業から、商工業から、サービス業から、全部です。だから、このインパクトはすごくて、東京都1個分、東京都の人口分がなくなるということですよね。
我々が本気で考えていかなければいけないのは、例えば高齢者の皆様、女性、あるいは障害者の皆様、まだ期待するまで就業率が高くないと思われる方たちの力を借りるということに加えて、それだけの人手不足、人口急減少を考えたら、外国人の方たちの力を借りるということも考えなければいけないという中で、特定技能制度とかいろいろなものをつくってきています。
その上で足りない部分は、いつも申し上げているデジタル、省力化投資、そういうもので補っていくということなのです。今後、成長型経済への移行を確実なものとするためには、一定の範囲での外国人労働者の受入れとか、あるいは国富を生む、経済成長していくという意味では、インバウンド消費の拡大などによって、海外の活力を取り組んでいくということ。
あるいは、国際頭脳循環ということで、少しでも魅力のある日本にしていろいろな生活環境も含めて改善することで、研究者の方たちを招聘していく。今、大変タイムリーな取組としてそれもやっているところでありますし、そういう意味で、外国の方々の活力を借りる、受入れを考えるということは、非常に重要な論点であると思っています。
他方で、一部の外国人による犯罪や迷惑行為、それから各種制度の不適切な利用など、国民の皆様が大きな不安や不公平を感じる状況が生じていることも承知しております。
そういう意味で、国民の皆様の安全・安心の確保は経済成長に不可欠な前提であり、石破政権にとっても非常に大事にしなければいけない大命題でありますので、ルールを守らない方々への厳格な対応や、外国人を巡る現下の情勢に十分に対応できていない制度・施策の見直しは、政府として取り組むべき重要な課題であると考えています。
こうした問題意識の下で、まさに先ほどご質問の中であった、本日、内閣官房に、外国人施策の司令塔となる事務局組織として「外国人との秩序ある共生社会推進室」が設置されたものと承知しております。
今後、政府としては、外国人の皆様との秩序ある共生社会の実現に向けて、国民の皆様の不安がない形で総合的・横断的に取り組んでいく必要があると考えております。 - (問)官邸での面会について伺います。先ほど記者会見の前、閣議の後に大臣は官邸に少し残られていましたけれども、石破総理、林長官との面会はあったでしょうか。また、面会の中で、関税交渉について意見を交わされたのでしょうか。
- (答)総理とは会っていません。官房長官とお話をしていました。ただ、今日の話は、関税の話ではございませんでした。
(以上)