赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年7月1日

(令和7年7月1日(火) 11:25~11:39  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)昨日、大臣は7回目の日米協議を終えて帰国されましたけれども、今回の訪米では、ベッセント財務長官と調整がつかずに会えない結果となっております。また、トランプ大統領が自動車関税を25%にできるといった発言をするなど、いまだに日米間の隔たりは大きいままですけれども、これまで7回にわたって大臣ご自身が訪米をしてきた意義とその評価について、改めてお願いします。
(答)ご指摘のとおりで、ベッセント財務長官に今回会えなかったことは残念なことでありました。これまで7回にわたって訪米し、私のカウンターパートであるベッセント財務長官、それからラトニック商務長官、グリア通商代表との間で、日米間の貿易の拡大、非関税措置、それから経済安全保障上の協力などについて議論を積み重ねてまいりました。合計7回ということであります。米側とはそのたびに実りの多い意見交換を行うことができており、回数を重ねるごとにお互いの理解とか信頼関係は深まっていると考えています。
 そうした中で、これまで日米双方が真摯な議論を精力的に続け、合意の可能性を探っていますが、パッケージ全体がやはりいろいろな分野に及んで大きなものになりますので、双方の認識が一致しない点が残っております。現時点では、パッケージ全体として合意に至っていないということであります。
 引き続き、我が国の国益をしっかりと守りながら、日米双方にとって利益となるような合意を実現すべく、米側との調整を精力的に続けてまいりたいというふうに考えております。
(問)関連して、日米交渉について伺います。トランプ大統領は、自身のSNSで、日本は我々のコメを受け取ろうとしないと投稿し、日本のコメの輸入に不満を表明しました。また、先日のFOXニュースのインタビューでも、アメリカから日本への自動車輸出が少ないなどとして、公平ではないと述べています。こうした発言で日本側に揺さぶりをかけているという指摘もありますが、こうしたトランプ大統領の一連の発信の受け止めと、担当閣僚としての今後の対応をお願いします。
(答)ご指摘のトランプ大統領の発信については、もちろん報道を通じて、あるいは大統領ご自身の発信も私、自分の携帯で見られますので、承知しております。ただ、こうした米国側の発信等にコメントすることは差し控えたいというふうに考えております。
 その上で申し上げれば、日米間では、真摯かつ誠実な協議を精力的に続けております。6月27日及び28日に実施した閣僚級協議においても、引き続き日米間で精力的に協議を続けるということで一致しております。
 その上で、農業についてですけれども、これまでも繰り返し申し上げているとおり、農は国の基ということであり、生産者の皆様が安心して再生産を続けられる環境をつくっていくことが、政府与党に課せられた極めて重大な仕事であると認識をしております。私自身も20年間、農林族の端くれでありますので、その思いは誰にも負けないぐらい強く持っているという認識でございます。
 米国との協議に当たっては、農業を犠牲にするような交渉はしないという考えに変わりはなく、引き続き我が国の国益をしっかりと守りながら、日米双方にとって利益となるような合意を実現すべく、米側との調整を精力的に続けてまいりたいというふうに考えております。
(問)コメの輸入拡大というのは、これまでも米側から求められていたことなのか、それとも寝耳に水のような状態なのか、大臣のご認識をお伺いできればと思います。
 併せて、昨日の帰国後にもお話しされていましたが、これまで協議日程が確定しない状態で渡米することが多かったかと思います。今回、滞在日程を延長したにもかかわらず、ベッセント財務長官と会えなかったということでしたけれども、訪米する際の方針、確定しない状態で訪米すると手法を変更するお考えはおありかどうか、お伺いできればと思います。
(答)まず、コメについてでありますけれども、これはご案内のとおり、よく大統領から発信がありますよね。大統領以外の閣僚からも発信があることがあり、それは皆さんももう耳についていると思いますけれども、事実に合っているかどうかはともかく、700%の関税というのが再三出ているということ。今回、大統領の発信の中には、日本ではコメ不足という認識も示されていて、繰り返しそういうことが米側の政府の首脳あるいは幹部から出ているということは認識しております。その上で、交渉の中でどのような話をしているかについては差し控えたいというふうに思います。
 それから、調整せずに訪米しているということについてはそのとおりでありまして、羽田を離陸する時点で日程が確定していないことが、全てだったかどうかはともかくほとんどであります。
 ただ、私自身の認識としては、このタイミングで米側と交渉する、協議するのは有効だと思うタイミングで渡米していて、日程は未定の状態で行くわけですけれども、そういう意味ではこれまで、言い方は適当かどうかはともかく、押しかけてカウンターパートの閣僚と会えなかったことはありませんので、そういう意味で賛否はあるのでしょう。ちゃんと確定させてから行ったほうがいい、それはそのとおりなのですけれども、では今までのやり方で何か効果がなかったかといわれれば、押しかけ成功率100%ということなので、その辺はそういうものだと認識していただければいいと思います。
 ただ、ベッセント財務長官と会えなかったことは残念と認識しておりまして、今後ともベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表の3名の皆様を相手として、しっかり精力的に調整を続けていきたいというふうに思っています。
 7回とも大変実りのある協議ができ、私自身はそのことに意義を認めております。
(問)関税交渉から離れますが、今週、参院選が公示されますけれども、物価高対策というのが大きな論点になってくるかと思います。昨今、消費者物価の上昇率は3%を超える状態が半年続いております。日銀の物価目標2%を1%幅超えていると。こういう状況についての評価と、今後、例えば秋以降に向けて下がってくるというようなことを想定されているのかということについて、お考えをお聞かせください。
 それと同時に、実質賃金1%目標を掲げられていると思うのですが、これは物価安定の下でという前置きがついているかと思うのですけれども、そういう意味でいうと、物価が3%というのは物価目標より高い状況の中で、実質賃金が低めに出るのはやむを得ないのか、それともこういう状況下でも実質賃金の一定の上昇率を求めていくのか、その辺の考えをお聞かせください。
(答)消費者物価については、2024年秋頃以降、生鮮野菜やコメの高騰のほか、これまでの円安による輸入物価の上昇等により、食料品を中心に物価上昇率が高まり、2025年5月には、総合、コア、コアコアのいずれで見ても、前年比3%を超えている状況です。
 先行きについては、為替や資源価格など、輸入物価の動向にも依存するものであり、一概には申し上げられませんが、生鮮野菜の価格は平年並みに落ち着いている一方で、生鮮食品を除く食料品については、食品メーカーにおいて当面価格の引上げが続くことが見込まれています。このような身近な物の価格上昇が続く中で、国民や事業者は厳しい状況に置かれていると認識しております。
 物価高への対応としては、物価上昇を上回る賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくことが基本であり急務と考えており、全力で取り組んでおりますが、その上で、賃上げの効果が出るまでの対応として、所得税減税や低所得者世帯向けの給付金など、令和6年度補正予算や令和7年度予算に盛り込んだ施策を実施するとともに、物価や国民生活の状況に応じて、ガソリン等の激変緩和措置や、電気代・ガス代の支援に加え、随意契約を活用した政府備蓄米の売り渡しなどを行っているところです。
 引き続き、与党とも適切に連携しつつ、家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら、物価高対策に取り組んでまいりたいと思っております。
 その上で、ご指摘の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」(本年6月13日閣議決定)ですが、ここにおいて、「持続的・安定的な物価上昇の下で、物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルムとして我が国に定着させる」と記載しております。これについて注意喚起で申し上げれば、2029年度までの5年間の目標として掲げたものであります。
 その上で、日本銀行には引き続き2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待するとともに、政府としてはノルムの定着のため、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」の実現に向けて、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の実行を通じた、中小企業・小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備、更には投資立国の実現、スタートアップ育成と科学技術・イノベーション力の強化、人への投資・多様な人材の活躍促進、資産運用立国の取組の深化、地方経済の高度化など、ありとあらゆる政策を動員して、官民が連携して取り組んでいくということを通して、しっかり実現していきたいと考えております。
(問)関税交渉に関してですけれども、先ほど大臣おっしゃったように、パッケージ、かなり広範囲なものになるのではということをおっしゃったのですけれども、ここで1点確認させてください。いわゆる相互関税の部分と、セクターごとの自動車などの関税というのを、今まで引き続きパッケージ全体で、切り離すことなく一連の関税措置のパッケージでの合意を目指しているのかというところが1点と、トランプ大統領がおっしゃった、仮に一方的に向こうから手紙、レターが来て、こういう関税率でやってくださいというふうに一方的なものが来た場合に、日本としてはそれを国民に向かって公表して、それから対処法をどうするのかというところのシミュレーションが今どうなっているのかというのをお伺いしたいと思います。
(答)まず、相互関税と、それから分野別関税、このいずれについても我々は遺憾であって、その見直しを求めるという姿勢については変わらず交渉を続けているところであります。なので、お答えについてはそれから察してもらえばいいと思いますけれども、合意の中にそれが含まれていないと、我々としてはなかなか国益を守った交渉にはならないのではないかと思うということが1点。
 あともう一つは手紙について公表するのかとおっしゃいましたけれども、トランプ大統領がトゥルース・ソーシャル(Truth Social)で手紙を出したと発表すると思います。以上です。公表するまでもないと思うのですね。
(問)日米交渉に関して、今後の協議に臨まれる姿勢について1点確認させていただきたいです。相互関税や自動車関税など全ての追加関税の撤廃を求める方針に変わりがあるかないか、お願いします。
(答)これについては、私どもとして言えるのは、引き続き合意の可能性があるのかどうかを探っているということ以外、申し上げられることはありません。

(以上)