赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年6月10日
(令和7年6月10日(火) 9:16~9:33 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)日米関税協議についてお伺いいたします。日米首脳会談が予定されているG7が迫ってきておりますけれども、今後の関税協議の日程や先方の協議者のご予定、G7に赤澤大臣もご同行されるかなどをお伺いできればと思います。
また、大臣はこの関税協議でまだ一致点を見出せていないとおっしゃっておられますが、次回協議で一致点を見出す道筋が見えてきておられるのか、また、どのように協議を進められるご予定なのか、具体的にお話をお伺いできますと幸いです。 - (答)まず、米国時間6月5日から6日にかけて実施した閣僚級協議において、米側との間では、G7サミットに際する日米首脳間の接点も見据えつつ、日米双方にとって利益となる合意ができるよう、日米間で精力的に調整を続けることを確認いたしました。その上で、次回の閣僚級協議の日程や会談相手等の詳細については、現在調整中ということでございます。
引き続き、第1回、第2回の協議が基本形だと思っていますので、ベッセント財務長官、それからラトニック商務長官及びグリア通商代表の3名の閣僚を相手として、今後とも精力的に協議を続けていきたいと思っています。
私がG7サミットに同行するのかというお尋ねでありましたが、これについては予断を持って申し上げることは差し控えたいと思います。
それから、道筋でしたか。五里霧中みたいな感じがいたします。全体がパッケージとして最終的に合意が成立するか否かが重要であって、これは相手のある話なので。しかも、最終的に決めるのはトランプ大統領ということがはっきりしていますので、3閣僚と私が精力的に協議し、第4回で進展した、第5回では更に進展したと申し上げましたけれども、最終的に一致点を見出せるかどうかについて道筋は見えているかと言われれば、見えているとはまだ言えないということだと思います。
とにかく全体がパッケージとして最終的に合意が成立すれば、それは合意したということで、どんな議論を積み上げても、全体についてパッケージとして日米で合意しない限りは、まだ合意ができたとは言えませんので。何回か前に申し上げたけれども、英語では全てが合意するまでは何も合意されていないと言うみたいなのですね。交渉の基本的な考え方だと思いますので、道筋についてはまだ見えていないというのが正確なところだと思います。
いずれにせよ、これまでの協議を通じて、合意の実現に向けた議論が4回目で進展していると申し上げ、5回目で更に進展していると申し上げましたので、引き続き政府一丸となって、最優先かつ全力で取り組んでいくと。進展、更に進展、その次どうなるんだということですよね。 - (問)関連して関税交渉について伺います。前回の日米協議でも、大臣は冒頭おっしゃられましたが、サミットに際する接点も見据えつつということでしたけれども、G7サミット開幕まで1週間を切る中で、サミットに向けて両首脳に上げることができる環境が整い得るか、先ほどまだ道筋が見えていないということでしたけれども、引き続きサミットに向けて両首脳に上げることを目指すのか、ご認識をお願いします。
- (答)まず、確実なのは、15、16、17日ですか、今月の中旬に予定されているG7サミットの場において、日米の首脳はお互いに会うことを楽しみにしているということは電話会談で確認されているわけです。これだけ日米間の関税が両国間の大きな課題として存在しているときに、そういうオケージョンにおいて話題に出ないとかしないということは、常識的に考えてあり得ないと思いますので、そこでどういう取り上げ方、どういう話をしてもらうかについては、日米双方の交渉担当者が当然ながらよく考えて整えなければならないということだと思います。
ご質問は、上がる状況なのでしょうかということですが、確実にそれは上がりますよね。要は、G7サミットの場でどういう話をしてくださいということは、それまで最大限精力的に積み上げた上で、その状況を両首脳に必ず入れることにはなるというのが常識的なところだろうと思います。 - (問)首脳間の話合いについて、先ほどG7サミットに際するというような表現だったかと思いますけれども、これはG7サミットでということなのか、それともその前後もまだ排除していないということなのか、お考えを伺います。
- (答)そこは総理と大統領がどう考えられるかに尽きるところがあると思いますので、私が何か申し上げても詮無いところがあると思います。それに尽きます。
私の日程についても現在調整中でありますし、関税については結局事務方協議が積み上がり、閣僚級協議が積み上がり、その上で最新の状況を踏まえて日米の首脳が話をするというのが順番だと思いますが、G7サミットの前後でどの段階までそれが行き着いて、ではどういうタイミングで何をしようかということは、現時点において全く白紙だということだと思います。 - (問)先週の金曜日に新しい資本主義の実行計画の改訂版と、今年度の骨太の方針の原案が示されました。両案についての大臣の現状の評価といいますか、仕上がり具合だとかこだわった点を伺わせてください。
併せてですが、大臣、今も質問ありましたが、米国との関税交渉のために3週続けて訪米されていて、お忙しい状況かと思います。先週金曜日の関連会議には参加できない状況になりましたが、その点についてのご所感ですとか、もし影響等があればその点についてもお願いいたします。 - (答)私の思いというか、それは石破総理がよく分かっておられて、私に割り振られた担当が、現行憲法下初の賃金向上担当大臣です。私自身が賃上げ、それから最低賃金の引上げに並々ならぬ思いを持って政治活動をこれまで続けてきています。そういう意味で、今回の骨太方針あるいは実行計画をどう評価しますかと言われれば、減税より賃上げということをはっきりうたっている点が、私は高く評価できる点だと思っています。
やはり持続的に成長する日本経済をつくっていくためには、パイを大きくしていかなければいけない。総理は2040年に名目GDP1,000兆円とおっしゃったけれども、私の思いとしては、1,200兆円を目指したいというぐらいの思いを持っています。端的に言えば、今の倍の規模ということです。それだけの力が日本経済あるいは日本国民にあると私は思っていまして、その勢いになかなか乗り切れていないのがデフレマインドであり、あと、物価も賃金も上がらないと、成長もしないと。言い換えれば、そういうノルム、社会通念ですね。
そこを打ち破ろうということで、これまでの議論と一線を画して今回の骨太の方針等で打ち出しているのは、新資本の実行計画もそうですし、賃金向上推進5カ年計画もそうなのですけれども、賃上げが成長戦略の要と言う以上、賃上げの目標がなければおかしいではないかと。
今までの議論がどうなっていたかというと、賃上げの原資が稼げなければ賃上げできなくて当たり前ですよねという経営者の皆様のお考えで、それに基づいて我々は賃上げ原資を稼いでいただけるように、価格転嫁、生産性向上、事業承継・M&Aの支援を一生懸命やってきました。それがずっと続いてきているわけです。要は、賃上げ原資が稼げなければ賃上げできないと言われると、そうですよねと言って、価格転嫁、生産性向上、事業承継・M&Aの応援を一生懸命すると。
だけれども、では思ったように最低賃金が上がっているかと。しかも、実質賃金がちゃんとプラスになっているかというところを見て、やはりもう一声というか、もう一踏ん張りというか、もう一押しというか。なので、実質賃金が毎年1%ずつ上昇するような、それを社会通念のノルムにするということを明確にうたい、それを目指していきたいと。
一つ申し上げたいのは、最低賃金を目に見えて引き上げた徳島県では、実質賃金はずっとプラスが続いているわけです。日本経済全体を見たときに、実質賃金というのは今、ご案内のとおりでマイナスの状態が続いているわけで、やることはいろいろあるだろうと。賃上げが本当に要でしょと。成長戦略の要と言う以上は、そこに目標を定めて本気でやろうよということで。本気と使うとすぐに今まで本気でなかったのかと言われるのですが、本気の事前防災というのを言ったのと同じ思いで、いろいろな政策の陣立てを整え、目標を定めて、本気でやるということを賃上げについてやりたい。その思いが流れ込んでいるのが今回の骨太だというのが、私から見たときの骨太方針でございます。 - (問)米国との交渉を3週続けてやっていらっしゃって、先週の金曜日の会議には出られない状況でしたけれども、その点についてはいかがでしょうか。
- (答)体が2つあれば両方出たかったと思います。両方、本当に大事な会議でありますので、本当に体が2つあればいいなと思ったわけであります。
経済財政諮問会議では、ご案内のとおり、前回、骨太の方針の原案について議論した会を私は欠席いたしました。ただ、その原案の中に私の思いは十分に込められています。今申し上げたようなことです。賃上げを起点とした成長型経済、本気でやるなら目標を定めようよと。今までそれなしで、賃上げ原資が稼げなければ賃上げできないよねということで、ある意味、流れてきたわけですよね。そこにくさびを入れていきたいと。本気でやりたいということであります。
財政健全化の取組も含め、持続可能である活力ある経済社会を構築する道筋を明確に示すものとなるよう、与党とも調整を進め、閣議決定を目指していきたいというのが今のポジションであり、また、加えて、繰り返しになりますが、先日の新しい資本主義実現会議において、新しい資本主義実行計画の改訂版案を示して、そこにやはり「賃上げこそが成長戦略の要」と書いてあり、2029年度までの5年間で実質賃金が年1%程度上昇。これを賃上げの新たな水準のノルムとして我が国に定着させようということで、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現できるよう、与党とも調整を進め、閣議決定を目指していきたい。それがその2つについての思いで、全く揺るぎないですし、いずれも案の中には私の思いを十分に込めさせていただいているということであります。
出張中で出られなかったのですが、これは本当に体が2つないからで、両方とも非常に重要な仕事でありまして。分かりやすく言えば、訪米中も実は骨太方針については、機内Wi-Fiで担当の統括官とずっとやり取りしながら米国に向かっております。帰りでもその期間中にあった調整状況を聞きながら、事務方からの案文の調整状況等の報告を逐一受けて指示を出していたので、私自身は業務に支障があったとは考えていません。
いずれの業務も国益の観点から極めて重要なものであり、総理から担当せよというご下命をいただいている以上は、全力で取り組んでいきたいと思っております。 - (問)今の骨太の件ですけれども、「減税より賃上げ」という言葉と、「減税政策によって手取りを増やすのではなく」という言葉が盛り込まれております。今、与野党の一部の議員からも減税を求める声が出ている中で、減税という言葉の狙いをもう少し詳しくお願いいたします。
- (答)私自身は、「減税より賃上げ」と申し上げたときは、持続的な成長を続ける日本経済。先ほど総理が2040年に1,000兆円とおっしゃったGDP(国内総生産)、そこに持っていこうと思ったら、経済全体のパイを増やさないといけないわけです。今ある皆様の稼ぎを前提に、税を減らせば手取りが増えるだろう、そのとおりです。だけれども、それだけで1,000兆円、日本経済が、GDPが伸びないといわれている状態から抜け出せますかということが基本的に投げかけたいことであって、やはりもっと稼いでいただくと。その力が日本の働いている方たちにはあると思っているので。今なかなか実質賃金のプラスが続かない状態は申し訳なく思っていますけれども、これを確実に乗り越えて、総理がおっしゃっている2040年1,000兆円というものを目指す。それが見えてくる状況に持っていくということは、我々からすれば減税より賃上げという考え方でやっていかないとならないということをお伝えしたいということだと思います。
そういう意味で、政府与党は揺るがずにそういうポジションでやっていきたいと。国の経済に責任を負い、持続的成長に我々は責任を負っているわけなので、なかなか減税ということだけ言っていればよろしかろうということにはならないということだと思います。 - (問)ということは、足元で減税は一切やりませんということを書いているわけではないと。
- (答)全くないです。だって、我々は現に所得減税をやっていますから。それは必要に応じて。現に所得減税の2万円から4万円をやったことは、この部屋におられる全ての方がご案内のことだと思います。今の局面において、所得減税もやってきた今の時点においての我々の立ち位置は、減税より賃上げに本当に重点を置いてやりたいという思いを言っているわけです。だから、所得減税をやりましたけれども、また今度も減税、減税と言っていては、パイは大きくならないですから。そのことは繰り返し申し上げておきたいというふうに思います。
(以上)