赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年5月20日
(令和7年5月20日(火) 9:47~10:05 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)日米の関税協議についてお伺いいたします。先週末に各社で行われた世論調査で、「協議について期待できる」という声は少数で、「期待できない」とする声が多くの社において半数以上に上っておりました。そのような点を踏まえまして、アメリカとの3回目の閣僚協議の日程の調整状況などを含めて、どのような考え方や姿勢で交渉に臨まれるか、お伺いしたいと思います。
また、2回目の閣僚協議以降、事務方との協議は続いているかと思いますが、その状況について何かご報告いただけるような進捗はございますでしょうか。 - (答)世論調査で「協議に期待できない」というのが半数以上ということでありますが、世論調査の結果などについてコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で申し上げれば、日米間では双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるよう目指すことで一致しています。これは第1回協議のときに一致した事項として皆様にご紹介したとおりです。
引き続き米国による一連の関税措置の見直しを強く求めるとともに、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、率直かつ建設的な姿勢で今後の協議に臨みたいと考えています。
一つ申し上げられるのは、事務レベルの協議については米国時間19日、昨日からワシントンD.C.において対面での事務レベル協議を行っております。かなりヘビーに行っております。外務省を中心に関係省庁が連携して対応しておりますが、それ以上の詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。 - (問)先ほどの質問に関連して、事務レベル協議について伺います。詳細はとのことでしたけれども、ワシントン時間の19日の何時からおおむねどれぐらい行われたか、あと出席者、事務方がどなたか教えてください。
また、先ほど大臣は官邸で石破総理大臣と面会されましたが、3回目の交渉に向けて日程感を総理に伝えたかも含めて、どういった議論をされたか教えてください。 - (答)まず1点目ですが、事務方の協議が何時から何時ぐらいになって、どれぐらいの時間やったかという報告を私は詳細に受けてはおりませんので、今ご報告できる状況ではないということは一つであります。
どういうメンバーでやっているのかというのは、幹部が各省からそれぞれの省を代表する立場で出席して、関係する分野について議論を進めているということになります。そういった協議の結果も踏まえながら、閣僚級協議に向かっていくということであります。
それから、今日、総理と会った話ですけれども、これについては必ずしも関税の話だけではなくて、最近の関税措置に関する動向や、次回の閣僚級協議に向けた調整状況等について報告したのもそのとおりですが、加えて、私の担務が6月に山場を迎えるものが多いです。例えば骨太の方針でありますとか、あるいは新しい資本主義実現会議でありますとか、それから骨太の方針に全部集約していくということかと思いますが、防災庁の設置準備についてもアドバイザー会議が一定の方向性を出すといったようなことも念頭に置いていますし、そういったことをいろいろ含めて、今後の方向性などについてご相談いたしました。それ以上の詳細についてお答えすることは差し控えたいと思います。
また併せて、ご関心があるようだったのでお答えしておくと、次回の閣僚級協議の具体的な日程等の詳細については、引き続き調整中であります。先方はかなりお三方とも多忙なので、なかなか毎回大変です。閣僚3人の日程を合わせてもらって私の日程と合わないといけませんので、そういう意味で毎回調整に非常に苦労しているということであります。
我が国としては、これまでの日米協議の結果も踏まえつつ、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいきたいと思っています。 - (問)アメリカの関税交渉の関係で、インドがアメリカに対して、対抗措置として報復関税の方針を今検討中という報道が出ていると思うんですけれども、こうしたインドの対応を受けて、日本の交渉方針に何か影響があるかどうかというところのお考えをお伺いできますでしょうか。
あともう一点、先ほどのご回答の中で、アメリカとの交渉で、向こうの3閣僚との日程を調整しているというお話でしたけれども、今後も3閣僚と同時に交渉を続けるのでしょうか。例えば、ベッセントさんとの日程が合わなかったらほかの2人と先に交渉して、また別途日程調整みたいなことがあり得るのか、その辺お伺いできますでしょうか。 - (答)インドですが、ご指摘の報道については承知しております。ただ、米国と他国、第三国との関係について逐一コメントすることは差し控えたいと思います。やはりバイの協議に私自身は担当官として集中しているところでありまして、日米間の協議について、引き続き米国による一連の関税措置の見直しを強く求めるとともに、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、最優先かつ全力で取り組んでいくという我が国の方針にいささかも変わりはないということでございます。
今後も3閣僚との交渉かとの点、ご質問いただきました。まず、私自身の承知しているところは、トランプ大統領が少なくともSNSで、私の相手はベッセント長官ということを発表されました。また、ベッセント長官ご本人がSNSで、グリア通商代表と一緒に交渉するのだと。しかも、1回目と2回目の協議では、ラトニック商務長官も出席されたということで、私自身はそのお三方が相手なのかなと理解しております。だから、事務的にも日米協議をやろうというときには、多分そのお三方の日程を伺うことをしているんだと思います。
ただ、他国の例を見ると、出張した先、アメリカでもその国でもない国際会議をやっている先で、例えばどこの国がグリア代表と会いましたとか、毎回そのお三方と必ずやっているような感じでもないように見えますし、ベッセント長官が交渉相手に選ばれた国が全部ということでもないと思うので、その時々で状況は違ってきますが、基本的には1回目と2回目はそのお三方が出てきてくださったので、今後もそうなのかなと思って調整しているということだと私は理解しています。 - (問)2点お伺いします。事務方協議の参加省庁で関係省庁ということだったのですけれども、前回までは外務省、経済産業省だったと思うのですが、今回はそれ以外の省庁も参加しているという理解でいいのかというのが1点目です。
もう一点は、交渉方針について、先週末の一部の報道で、これまで日本の交渉方針として、一律の撤回をずっと求めてきたわけですけれども、関税率の引下げを目指すことも一案との政府関係者のコメントが掲載されておりました。現時点で交渉方針を見直す必要性について、大臣ご自身はどのようにお考えか、その背景というか理由もございましたらご教授いただけますでしょうか。 - (答)参加省庁は、私の理解するところは外務省、経済産業省の幹部ということだと思っていますけれども、後で確認したいと思います。
それから、関税交渉ですかね。ご指摘の報道については、まず承知しております。各国の置かれた立場や状況は様々でありますので、米国との協議のスケジュールや、合意の内容及びタイミングなどが異なるのは自然なことであります。
繰り返し述べてきているとおり、自動車、自動車部品、鉄鋼・アルミニウムの相互関税を含め、米国の一連の関税措置は極めて遺憾であり、引き続き米国に対し一連の関税措置の見直し、すなわち、撤廃を強く求めていく立場に変わりはありません。
重要なのは日米双方にとって利益となる合意を実現することであり、早期に合意することを優先するあまり日本の国益を損なうものであってはならないというふうに考えております。何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら、引き続き取り組んでいきたいと思います。 - (問)今の確認ですけれども、「引き続き一連の関税措置の見直し」すなわち「撤回」なのですね。
- (答)はい。
- (問)石破総理は「撤回」と発信されて、赤澤先生は柔軟姿勢で「見直し」というワーディングを使っているみたいな一部報道がありましたけれども、両方「撤回」ということで変わらないと。
- (答)はい。総理と私の間で認識に違いはありませんし、私自身はずっと「一連の関税措置の見直し」というのは「撤廃」をお願いすると、どれも遺憾であるということで通しているということでございます。
- (問)一部、日銀とかエコノミストの間では、25%関税を維持すると日本経済は不況に入ってしまうけれども、途中、このぐらいだったら日本経済は持ちこたえるみたいな試算をしている方もいらっしゃるみたいですが、そういう柔軟姿勢というのは示さないと、そういう理解でいいですか。
- (答)はい。私は現時点において、全く交渉を始めたときと変わっておりませんで、遺憾であると。それで、見直してくれと。その意味は、撤廃してほしいということです。
- (問)昨日、石破首相から、日本の財政状況は極めてよろしくないという答弁がありました。こうした発言が更なる国債の買い控えを引き起こす懸念について、経済財政担当大臣のお考えをお聞かせください。また、現在の財政状況をどう捉えているかについてもお伺いします。
加えて、週末に米国債が格下げされたことへの受け止めもお聞かせください。 - (答)ご指摘の昨日の石破総理の発言についていえば、私自身承知しておりますし、加えて、総理も相場に与える影響といったようなことはよく考えた上でご発言いただいていると思います。私の理解は、我が国の債務残高対GDP比が、世界の中でも極めて高い水準にあると市場関係者も確認できるというか周知の事実で、それにお触れになったものというふうに承知しています。私も総理と同様、我が国の財政についていえば、今申し上げた債務残高対GDP比の点で、厳しい状況にあるというふうに認識しております。
ただ、一国の財政を評価する指標というのはそれだけではありませんので、そういったものを全体として見ていくということが必要だと思います。
その上で、金利のある世界となる中、政府が財政状況を過度に楽観視せずに、経済再生と財政健全化を両立させる姿勢を維持することで、我が国財政に対する市場の信認を確保していくことが重要と考えております。
今後とも、「経済あっての財政」という考え方に立ち、政策運営に万全を期してまいります。その下で、財政状況の改善も含め、力強く発展すると。危機に強靭な、しかも持続的に発展する経済財政をつくってまいりたいというふうに考えております。
それから、2つ目に米国債のお話をされました。米国時間5月16日、ムーディーズ社が米国債の長期債格付けを、最上位の「Aaa」から1段低い「Aa1」に引き下げたことは承知しております。
ただ、私の立場で民間格付け会社による他国の国債の格付けについてコメントすることは差し控えたいと思います。米国国債の格下げによる影響についても一概に申し上げることは困難でありますが、いずれにせよ、世界経済・日本経済に影響が生じるかどうかも含めて、注視してまいりたいと考えております。 - (問)昨日、江藤農水大臣がコメに関連してといいますか、ご自身のところには「売るほどある」であるとか、「支持者がたくさん下さっている」というような発言をされていて、既に総理からご𠮟責があったとか、あるいはご本人も修正・撤回されておりますけれども、物価高対策等を担当されてきた大臣として、このような発言が閣僚の中から出たことについてのご見解についてお聞かせください。
- (答)お尋ねの報道は承知しております。今、正におっしゃったことでもありますが、昨日、江藤大臣から「全面的に発言を撤回し、お詫びを申し上げたい」という旨を述べられたというふうに承知しています。私自身は、現在の物価高、コメもありますし、ガソリンとか電気・ガスもあります。コメ以外の生鮮食品といったこともあります。総じて物価が高い状況にあることで、国民生活が、あるいは皆様が経営されている会社の経営も大変厳しい状況にあるという認識を、私自身は持っております。
いずれにしても、我が国経済において物価上昇を上回る賃上げを実現していくということに向けて、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくことが物価高対策の基本であり、急務と考えています。私自身が現行憲法下で初めての賃金向上担当大臣ということでありますので、骨太方針に向けて、その方面でも全力で対応していきたい。5か年計画をつくったり、最低賃金の引上げに全力で取り組んでいるところでございます。
その上で、賃上げの効果が出るまでの間も、総理からたびたび国会でご紹介いただいていますが、6年度補正予算や7年度予算に盛り込んできたような様々な対策をしっかり実行していくということですし、物価や国民生活の状況に応じて、これもご案内ですけれども、随時、コメについて、夏まで毎月10万トンずつ。その中で、小売主導の入札優先枠の設定による備蓄米の売り渡しでありますとか、リッター当たり10円引下げなどのガソリン価格の定額引下げ、それから、暑い夏の7~9月の電気・ガス料金支援等の施策を追加してきているところでございます。
これからもあらゆる政策を機動的に総動員して、家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら、物価高対策に取り組んでまいりたいと考えております。
(以上)