赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年5月9日
(令和7年5月9日(金) 9:35~9:59 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)2点お願いします。アメリカの関税措置について、アメリカがイギリスと初の交渉合意に至ったことの受け止めについて教えてください。この合意では、自動車には低関税枠を設けるとの内容で、日本はアメリカに対して関税措置の見直しを求めていましたが、日米の交渉でも同様に低関税枠の設定といったことが選択肢に入ってくるのかどうか教えてください。
2点目が、日米交渉の進捗についてで、大臣の2回目の訪米以降、担当者レベルでの協議の状況がどのように進んでいるか、また今月中旬にも本格化させるとの閣僚協議の調整状況を教えてください。 - (答)4つぐらいまとめて聞かれたかと思います。今日は、朝から大変おめでたい話が報道されていまして、プレボスト枢機卿がローマ法王になられるということで、レオ14世に、心からお祝いを申し上げたいというふうに思います。
ご指摘の発表について承知をしておりますが、米英間でも詳細は今後議論されるものと認識をしておりまして、いずれにせよ、米英の関係者の努力に敬意を表したいと思っております。その上で、日米間について申し上げれば、双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意をし、首脳間で発表できるよう目指すことで一致をしているところであります。我が国としては、先般の日米協議の議論の結果も踏まえつつ、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいきます。
ご質問に絡むことで申し上げれば、我が国のポジションは、一連の関税措置について見直しを求めるというポジションに変わりはありませんし、自動車、自動車部品、鉄鋼・アルミ、あるいは相互関税、いずれについても遺憾であるということをかねてより申し上げてあり、米側にも伝えているところでありまして、そのポジションに現時点において何ら変わりがあるものではございません。
それから先般の協議においては、米国側との間で今後事務レベルで集中的に協議を行った上で、次回の閣僚間の協議を今月中旬以降集中的に実施すべく日程調整していくことで一致をしたということであります。これを受けて現地時間の2日には事務レベルの協議が実施され、しかるべく報告を受けましたが、その詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。その後も事務レベルでやり取りを継続しつつ、次回の閣僚級協議に向けて調整をしているところでございます。 - (問)関税交渉に関連して伺います。前回の2回目の交渉に向けて、大臣はスコーピングや土俵を決めたいとお話しされていましたが、先週の協議で土俵を決めることができたという認識かどうか伺います。
また、自動車や、鉄鋼・アルミは交渉の対象外だという考えがアメリカ側から示されたという一部報道もありますが、事実関係も含めまして、改めて自動車などが交渉のテーブルにのっているかどうかについてもご認識をお願いします。 - (答)お互いの関心事項について突っ込んだ議論を行うことができたということを申し上げております。詳細は差し控えますが、両国間の貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて具体的な議論を深めることができました。自動車、自動車部品、あるいは鉄鋼・アルミニウム、相互関税含め、一連の米国の関税措置全てについて協議を行っているところであります。
これ以上の詳細については、外交上のやり取りであり、つまびらかにすることは差し控えますが、いずれにせよ、米国の関税措置は極めて遺憾であり、引き続き米国による一連の関税措置の見直しを強く求めていくと、現時点においてずっと求めておりますし、求めてきたわけですけれども、そのポジションに変わりはございません。 - (問)5月1日に行われた2回目の日米関税協議についてお伺いをします。大臣は協議で議論した項目の1つとして経済安全保障を挙げられていました。半導体に関するテーマも含まれているといった一部報道もありますが、どういった分野について議論をされたのか、可能な範囲でお伺いできますと幸いです。
- (答)先般の協議において、例えば両国間の貿易の拡大、非関税措置、それから経済安全保障面での協力等について具体的な議論を深めることができました。その経済安全保障面での協力についてのご質問であると理解いたしますが、議論の詳細については、外交上のやり取りなのでお答えを差し控えたいと思います。
一つ言えるのは、もう報道されているトランプ大統領、あるいは米国側の閣僚の皆様のご発言からもかなり明らかなとおり、米国内には忘れ去られた人々がいると、そういう方たちに心を寄せて、雇用や、あるいは産業を復活させるのだというトーンでアメリカの交渉は進められているわけで、その中でやはり私が感じるのは、特に安全保障面に大きな影響のある産業はしっかり再構築をし、そしてそのことにより雇用を復活させていきたいという米側の考え方はかなり不動のものでありますので、そこはしっかり議論していかなければならない、そういう分野だと思っております。 - (問)2つあるのですけれども、先週、日銀が展望レポートで日本経済の成長見通しとか修正しまして、特に25年度の成長率を大きく下げて市場関係者がびっくりしたのですが、あまりに下げ幅が大きいので、どうも日銀の人たちは25%関税、自動車関税がなかなか取れないのではないかという悲観的な見通しをしているとの解釈があるのですが、赤澤大臣の受け止めをお願いします。
もう一つは、森山先生とかも米は譲れないと一所懸命ほえていらっしゃいますが、やはり自動車関税がなかなか容易には外れないというのであれば、農産物も、コメとか、安易にカードを切るべきではないという、赤澤先生としてもそちらの意見でいらっしゃるのか、今話せる範囲でお願いします。 - (答)まず、日銀のレポートについては、ご指摘のとおり先日、5月1日公表された日銀の展望レポートで、これは会見で総裁もおっしゃっていたと思いますが、各国の通商政策等をめぐる不確実性は極めて高いという見方が示されたと承知しています。また、今年度の実質成長率の見通しがプラス0.5%ということで、前回1月の見通し、プラス1.0%から確かに大きな下振れになったと承知をしております。
日本政府としては、米国の一連の関税措置は極めて遺憾であり、見直しを強く申し入れていますし、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいきたいと考えております。
あと、先ほどのご質問の中で森山幹事長がほえているという言葉遣いをされましたけれども、私が承知している中で最も冷静かつ穏やかな尊敬すべき先輩議員であり幹事長でありますので、ほえた事実はないというふうに私は思っておりますけれども、その前提でお答えしますが、今後の協議の内容について予断を持ってお答えすることは差し控えます。守るべきものは守り、我が国にとって最大限のメリットを獲得するため、政府一丸となって引き続き最優先かつ全力で取り組んでまいります。 - (問)日本時間の今朝、ラトニック商務長官がブルームバーグテレビのインタビューで「日本や韓国との貿易協定を締結するには膨大な時間がかかる」との発言がありました。この発言に赤澤大臣は同意をするのか異論があるのか、お立場をお伺いします。
- (答)それは、ラトニック商務長官の発言ですか。すみません、その発言自体、報道自体、私は承知をしておりませんので、発言を承知していないことも含めて、特に報道でありますので直接聞いたわけでもありませんので、交渉の相手方である米側の閣僚の発言一つ一つについてコメントすることは控えたいと思います。
- (問)米英の関税交渉の大枠の合意に関連して、大臣ご自身の率直な受け止めをお聞かせいただければありがたいのですが、分野別の関税にも交渉の余地があると、そういうことで前向きな受け止めなのか、それともやはり日本が、従来おっしゃっているように、一連の見直しというものを求めているところには届かない内容にはなっていると思うのですが、厳しい受け止めなのか、率直な受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
- (答)交渉の途中なので、あまり受け止めとかいろいろいってみても結果にはあまり関わらないような気もいたしますので、そういう前提ですけれども、各国の置かれた立場や状況は本当に様々であります。米国との協議のスケジュールや合意の内容及びタイミング等が異なってくるのは、したがって自然なことであると私は理解をしております。自然なことがいろいろ、いろいろなところで起きるわけで、その一つ一つについて受け止めと言われても、私自身はちょっとお答えするのが難しいかなと思います。
いずれにせよ、日米間について申し上げれば、双方が率直かつ建設的な姿勢で協議に臨み、可能な限り早期に合意し、首脳間で発表できるよう目指すということが第1回目の協議で合意されておりますので、我が国としてはこれまでの日米協議の結果も踏まえつつ、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいきたいと考えております。 - (問)アメリカ、イギリスの貿易協定関連で伺います。ラトニック長官が言っているように、トランプ大統領も日本時間の昨夜10%の相互一律関税は貿易差が小さい同盟国のための最低関税率であり、米国との貿易差が大きい国々に対しては交渉合意があってもそれ以上の税率をかけるだろうというのと、イギリスのような自動車向けの低関税率枠を設けたことについては、今後同じ取引はしないという旨の発言がございました。大臣がどう受け止めていらっしゃるのかと、今後日本の交渉の行方についてどのような影響を想定していらっしゃるのかを伺います。
- (答)すみません、報道を承知していないので、2番目におっしゃったのは、イギリスのような。
- (問)品目別で、自動車だけ低関税率の枠を設ける、確か10万台の枠の中に10%というか。
- (答)はい。それを。
- (問)今後そのような同じ取引はしないという旨の発言があったことについて。
- (答)まず、これも交渉の作法について皆様と徐々に共通認識を持っていきたいというお話で、交渉についてのいろいろなことをこれまで申し上げていますけれども、交渉事をやるときは、通常、アンカリングという言葉を使いますが、まず、最初の打ち出しをハードボールにしておく、そうすると交渉の相手方は少しでも譲歩してもらうと大変高く評価してくれるとか、交渉について言えばいろいろなことがあります。なので、実際に協議の場で言われたことでもない、交渉の相手方が報道機関に対して言っているようなことについていちいちコメントをすることの意味は、私は認めませんので、その点については特に差し控えたいと思っています。
協議の場で先方がどうおっしゃるかを真摯に受け止めて、きちっと対応していくということかというふうに思っております。 - (問)実質賃金について伺います。今日発表された毎月勤労統計から新しい算出方式の記載も始まりましたが、政府としてはこれまでの帰属家賃を除く総合で実質化した系列ではなくて、新たに公表される総合で実質化した系列を主系列としていくのか、また月例経済報告や関係閣僚会議、あとは経済財政諮問会議などでどちらを使うことになるのかお考えをお聞かせください。
- (答)今回の新たな系列の追加公表は、実質賃金の国際比較ができるような統計情報の充実という観点から行ったものでございます。3月の経済財政諮問会議後の記者会見でも申し上げましたが、統計の連続性を大事にしながら、今まで使っていた系列をやめて新しい系列に替えるというようなことではなくて、現行系列に追加する形で統計ユーザーの選択肢を増やし、利便性を向上させることが重要であるという考えに基づいております。2つの系列については、統計のユーザーが用途に応じて指標を適切に使い分けることが重要であり、両者の主従関係は政府として一概に論ずることはなじまないと思っています。
ご指摘の点ですけれども、私が担当する経済財政諮問会議や月例経済報告等に関する関係閣僚会議においては、従来から国際比較の重要性を踏まえ、総合で実質化した系列をわざわざ自ら算出して使っておりましたので、今回の系列の追加は歓迎をし、今後は総合で実質化した系列を使っていくことになると考えております。 - (問)今朝発表された統計について2点質問があります。
まず、総務省の家計調査についてですけれども、3月の1世帯当たりの消費支出は前年同月比で2か月ぶりのプラスとなった一方、2024年度の消費支出は物価高の影響もあって2年連続でマイナスとなりました。この結果についての大臣の受け止めを教えていただきたいというのが1点目です。
次に、厚生労働省が発表した3月の毎月勤労統計について、1人当たりの実質賃金は前年同月比2.1%減って3か月連続のマイナスとなりましたが、こちらの受け止めについても併せて教えてください。 - (答)本日公表された毎月勤労統計の2025年3月速報値では、まず名目賃金は前年同月比プラス2.1%と、2024年5月以降11か月連続でおおむね2%以上の伸びが続いております。就業形態別に見ると、フルタイム労働者の現金給与総額が前年同月比プラス2.7%、パートタイム労働者の所定内時給は前年同月比プラス3.8%となっております。
実質賃金については、今回より実質賃金の国際比較ができるような統計情報の充実という観点から、消費者物価指数の総合で実質化した系列を公表しているということはご案内のとおりで、その結果を見ると、食料品等の価格上昇率が高い状態が続いていることにより消費者物価上昇率が名目賃金上昇率を上回り、総合で実質化した系列は前年同月比マイナス1.5%と。帰属家賃を除く総合で実質化した系列は、前年同月比マイナス2.1%となっております。
また、本日公表された家計調査の2025年3月調査では、2人以上の世帯の消費支出は名目で前年同月比プラス6.4%、実質で前年同月比プラス2.1%ということでありますが、実質消費支出の内訳を見ると、食料などが減少した一方で、電気代やパソコンなどが増加したというふうに承知をしております。引き続き米価を下げる努力とか、そういうものはきっちりしていきたいと思っておりますし、また、電気代についても対策を打つという方向を打ち出しておりますので、少しでも家計、あるいは企業の経営上のコスト、それが抑えられるように努力をしていきたいと思います。
最終的には物価上昇を安定的に上回る賃金上昇ということになりますけれども、とにかく個人消費が我が国GDPの過半を占めておりまして、その動向が本当に我が国経済に与える影響が大きいので、「賃上げこそが成長戦略の要」という認識の下で、これは繰り返し強調しておきますけれども、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、個人消費の力強い回復につなげていくことがどうしても必要ということであります。従来から力を入れておりますように、省力化投資の促進でありますとか、生産性向上、それから価格転嫁の推進、経営基盤の強化に資する事業承継やM&Aの支援等を進めることで賃金所得の増加を全国津々浦々に波及させて、今日よりも明日はよくなる、一人一人の国民の皆様に実感していただけるよう取り組んでまいりたいと思っております。 - (問)冒頭、事務レベル協議に関する質問に対する大臣のご回答のところで、事務レベルで継続しつつ次回の閣僚協議に向けて調整しているというふうにおっしゃっていたと思うのですが、2回目以降の事務レベル協議も既に開かれているという認識でよいのかというところと、初回、課長さんが事務レベル協議をされたと思うのですけれども、今後、例えば審議官であったり局長であったり、担当者も替わっていくのか、今後どういうような展開になっていくのかというところの認識をお伺いできますか。
- (答)どういうふうになっていくかは正直決まっておりませんし、分かりませんので、確定的なお答えはできませんが、一般論として言えば、閣僚級協議をやるときには、やはり政治的な判断が要るものを残して事務的に詰められるところは詰めるということになります。その際には、やはりこれもご案内のことだと思いますけれども、役所同士でやっていくときに、まず本当に詰まっていない状態であれば課長クラスが粗ごなしをやる。その場合は、ほぼ丸一日協議を続けるみたいなことは頻繁にあります。それに加えて、大分まとまってきたらこれで閣僚に上げられる状況かを、例えば局長クラスが確認しながら更なる詰めを行ったり、あるいは一部課長級に差し戻したり、いろいろなことがあります。そういうのを全部踏まえて、最終的に5月中旬以降集中的な協議ができるようにもっていこうということを認識が一致してやっておりますので、どうなるかは具体的に決まっておりませんけれども、そういう考え方が基本であるということは申し上げておきたいと思います。
- (問)ありがとうございます。2回目以降の事務レベル協議も既に開かれているということでしょうか。
- (答)そこは、私は報告を受けておりませんので、報告がなければやっていないという前提で言えば、まだ2回目をやっていないのかもしれません。そこは自信を持ってお答えできる状況にないので改めさせていただきたいと思います。
(以上)