赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月25日

(令和7年4月25日(金) 9:19~9:36  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日行われた米国の関税措置に関する総合対策本部において、「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を取りまとめたところでございます。
 これは、米国の関税措置が我が国の産業・経済、そして世界経済に大きな影響を及ぼしかねない中事業者や国民の皆様から不安の声を頂いていることを踏まえ、相談体制の整備や資金繰り支援など必要な施策をパッケージとしてお示しし、万全の対応を取るものでございます。
 引き続き、政府一丸となって米国の関税措置に関する対応に最優先かつ全力で取り組んでまいります。

2.質疑応答

(問)アメリカとの関税交渉について大きく2点お聞きします。
 まず1点目についてです。2回目の交渉のため、赤澤大臣が今月30日に訪米し、5月1日にアメリカ側との会談が調整されているとの報道がありますが、現在の調整状況を教えていただけますでしょうか。また、2回目の協議に向けた手応えや自信などについての大臣の所見、そして次の交渉における最大のテーマは米国にはどのようなカードを切っていくか、大臣のお考えを伺いたいです。
(答)先般の日米協議において、次回の協議を今月中にも実施すべく日程調整することで一致をしております。それを受けて米側と調整中でありますが、現時点で決まってはおりません。また、次回の協議の内容について予断することは差し控えたいと思います。前回の協議も踏まえつつ、関係府省庁とよく連携しながら全ての閣僚のサポートを頂いてしっかり検討を進めているところでございます。
 引き続き、米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れるとともに、日米双方にとって利益となるよう、率直かつ建設的な姿勢で協議に臨んで最良の結果を出したいというふうに考えております。
(問)2点目ですけれども、先ほど米国関税措置総合対策本部が開催されましたが、パッケージを取りまとめた意義をお伺いします。さらに、このパッケージが関税における影響の軽減にどうつながるのか、またパッケージには「躊躇なく追加的に必要な対応を行う」と盛り込まれましたが、追加の補正予算の必要性をどのようにお考えでしょうか。
(答)本日の総合対策本部において取りまとめた「緊急対応パッケージ」は、事業者や国民の皆様から不安の声をいただいていることを踏まえ、必要な施策をパッケージとしてお示ししたものでございます。具体的には、全国約1,000か所に上る特別相談窓口の設置でありますとか、セーフティーネット貸付の利用要件の緩和でありますとか、あるいは納税猶予の柔軟な運用の周知でありますとか、ガソリン等の定額引下げ措置の実施、「ものづくり補助金」等の優先採択など、幅広く柔軟に施策を講じていくことで、事業者や国民の皆様の不安に寄り添い、必要な支援に万全を期していくということであります。
 今後も、米国との協議の状況や関税措置による国民生活への影響等をよく注視するというのは基本でありまして、必要に応じ、躊躇なく追加的に対応を取っていくという構えであります。必要に応じて予備費を活用して対応することはありますけれども、総額115兆円の令和7年度予算が成立したばかりであって、政府としては、補正予算の編成を検討している事実は現時点においてございません。
(問)アメリカとの関税交渉について関連で伺います。大臣は、これまで次の交渉について土俵を決めたいとお話しされていますが、土俵を決めるに当たりまして、2回目の協議で日本側からどのようなメッセージを伝えることが重要だと考えているか、またアメリカ側の本心を見極めるため、提案をどう聞き取っていきたいか伺います。
 併せて、2回目の協議でコメやトウモロコシが議論の俎上に上る予定があるか、また日本側からコメやトウモロコシの輸入拡大を提案する考えはあるか伺います。
(答)次回の協議の対応方針について具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えます。前回の協議も踏まえつつ、関係府省庁とよく連携しながら検討を進めているところでございます。引き続き、大事なのは追加関税です。米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れるとともに、関税とは違うWin-Winのやり方、投資とかいろいろあると思いますけれども、考えましょうということがこちらから投げかけているメインのメッセージでありますので、日米双方にとって利益となるように、Win-Winの、そういう合意ができるように、率直かつ建設的な姿勢で協議に臨みたいというふうに考えております。
 その上で、米国との間で幅広い論点を協議する中で、双方の問題意識をよく把握し、意思疎通を図っていくことが重要であると考えております。
(問)現在アメリカで行われていますG20の財務大臣会合で、参加されているベッセント財務長官が、一部日本メディアを含むインタビューに応じまして、中国との報復関税の合戦は持続不可能なレベルにあると、あと貿易交渉については二段階で進めていく、まずは貿易赤字をアメリカにとって削減していくというところの原則論の後、各論に入っていくという趣旨のインタビューの内容だったのですが、こういったご発言がありましたが、大臣、報道の内容について受け止めがございましたらお伺いできますでしょうか。
(答)ご指摘のインタビュー報道については承知をしておりますが、協議の担当閣僚である私が、ご指摘の発言を含めカウンターパートであるベッセント財務長官の発言の逐一に、公の場でコメントすることは差し控えたいと思います。2回目の協議の中で必要があれば意見交換をさせていただこうと思います。いずれにせよ、前回の日米協議を踏まえつつ、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいります。
 今後の対応について言うと、具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えますが、毎回申し上げているとおり、何が我が国の国益に最も資するのか、あるいはあらゆる選択肢の中で何が最も効果的かよく考えて取り組んでいきたいと考えております。
(問)米国側の発言なのですけれども、同盟国と関税等について合意に至った後に、中国に対して不均衡な貿易構造を是正するよう集団でアプローチするという構想をベッセント財務長官が示されていますが、そういったスタンスをアメリカが求める場合に、日本はどうするべきなのかというところをお伺いしたいです。
 それから、大臣は常々スコーピング、スコープを決める重要性をおっしゃっていますが、どのぐらいまで今交渉の範囲というものを絞り込めているのかという、その2点をお伺いできますでしょうか。
(答)まず、最初の点について言うと、私が総理から指示を受けて担当しているのは、米国の関税措置についての日米交渉、それから、それに備えるための国内対策の調整ということだと理解をしています。なので、私としては当然与えられた仕事をこなすという意味で、我が国に対する追加関税について極めて遺憾であり見直しを求めるということについて、それがミッションですので、それを全力でやるということにまずなります。
 今のご質問の中身は、何かそういうものがまとまった後で日米以外にも合意できたほかの国と一緒になって米国が、みたいなお話に聞こえたのですが、その話になると既に私のタームは多分超えていて、ご質問いただく先は、答えるかどうかはともかくとして、外務大臣など、そちらのほうになるかもしれませんし、少し私が担当している範囲は超えているように思います。ということで、特にコメントすることはいたしません。
 加えてスコーピングの話ですけれども、これは大体交渉事はそうなのですが、どの程度進んでいるのだと言われても、完全に合意ができるまでなかなかご説明できる感じにならないです。そちらがそういうことを言って、それにこだわるならこちらもこういうことを追加しようとか、そういうことはしょっちゅう起きるので、現時点においてどこまで合意ができているか、どの程度スコーピングが決まっているのかというのは、それもコメントしづらいので、申し訳ないですけれどもコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
(問)大変細かい質問で申し訳ないのですが、先週アメリカに行かれたとき、トランプ大統領などにお渡しされたお土産の金のミャクミャクが中国製だったのではないかとあちらの記者は取り沙汰しているようで、それに何かメッセージがあったのではないかと勝手に邪推をしている人もいるみたいなのですけれども、事実関係を教えていただければ、ご存じなければそれで構わないです。中国製ですかという質問です。
(答)贈呈品の詳細についてコメントすることは、まさにいろいろ言っている相手方の皆様との関係もありますし差し控えますが、先日大阪関西万博の開会式に出席した機会に、万博会場のみで販売している限定品であるということであり、しかもトランプ大統領がお好きだということは我々承知をしている金色の貯金箱ということだったので、今般の訪米にふさわしい贈呈品として選定したものだということであります。
 込めたメッセージは言うまでもなく、ぜひ大阪・関西万博にお越しくださいというメッセージを込めておりまして、それ以外のメッセージを込めた覚えはありません。
(問)米国現地時間24日に行われた加藤大臣と財務長官の会談についてお伺いします。為替レートを市場において決定されるや、引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致したとのことですが、今回のこういった会談を受けて、次の赤澤大臣が行われる会談に向けて、こういった今回の財務大臣の会談は前向きな内容だったのか、まだ隔たりは大きいままなのか、また、全体的に今回の会談が次の協議に向けてどのような影響を与えるかお聞きしたいです。
(答)日本時間の本日未明に同僚の加藤財務大臣が米国のベッセント財務長官、カウンターパートと初のバイの対面での会談を行い、その際、加藤大臣からは米国による一連の関税措置は極めて遺憾であるということ、それから日米貿易協定との整合性に懸念があるこうした措置の見直しというものを強く申し入れてくださったというふうに承知をしております。
 その上で、二国間の諸問題について生産的な議論を行い、為替についても従来の基本的な認識を再確認できたというふうに、これは加藤大臣直接ではないですけれども、報告を受けています。また、両大臣は、今まさにご指摘のあったように現在進行中の日米協議に関連して、為替に関して引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくということで一致したと承知をしております。
 次回の協議の内容について予断することは差し控えますが、前回の協議も踏まえつつ、今回の加藤大臣の会談の結果の報告もいただきながら、次の協議につながるということだと理解をしております。これからも関係府省庁とよく連携しながら検討を進めてまいります。
(問)少し話題が変わりまして、賃金所得統計についてお伺いします。3月の経済財政諮問会議の民間議員の意見を受けて、先般内閣官房で有識者検討会が開かれました。ユーザーに資するべき国際水準を比較できるようにということで、時系列で実質賃金を公表するようにという方向性になったかと思います。実質賃金を巡っては、個人消費の動向を左右するとして、新しい資本主義でも岸田前首相などが重要視されておりました。
 今後経済財政運営をやっていくにあたって、この2系列のどちらを特に重要視されていくか、何かご意見とかご所感があればお願いします。
(答)先週開催された「賃金・所得統計の在り方に関する検討会」では、実質賃金の国際比較を可能にするという観点から、現行の実質賃金系列、帰属家賃を除くという例のものに加えて消費者物価指数の「総合」で実質化した系列を追加的に算出し、ユーザーの利便性が高まる形で統計情報の充実を図ることが適当とのご意見が取りまとめられたと承知をしております。
 本日10時からの統計委員会に対し、検討会の意見を報告した上で、それぞれの統計所管部局において5月以降の公表分から「総合」で実質化した系列を追加する等の対応を行う予定となっております。私の承知している限りでは、5月9日(金)に毎月勤労統計調査と総務省の家計調査と両方出るというふうに、毎月勤労統計調査のほうは3月の速報です。それ以降出てくる統計には、それが追加されているということになります。
 統計の連続性を大事にしながら、今まで使っていた系列をやめて新しい系列に替えるようなことではなくて、現行系列に追加する形で統計ユーザーの選択肢を増やし、利便性を向上させることが重要であり、かつ主眼でありまして、両者のどちらが重要かとか、そういうことは政府として一概に論ずることにはなじまないと考えております。
(問)関税交渉についてお伺いします。トランプ大統領が米国の軍事費負担に改めて不満を示した上で、いかなる取引にも軍事を絡めるつもりはないと関税交渉とは切り分ける考えを示したのですが、これについての受け止めと、日米交渉においてもこれが適用されるのかどうかお考えをお聞かせください。
(答)私の承知しているところ、これまで総理がどういうご発言をしてきたかでありますけれども、やはりものの考え方やバックグラウンド、関税、あるいは経済・貿易の交渉と安全保障の二国間のいろいろなすり合わせ交渉というのは、やはり少しトラックが違うというか、私自身はなかなか、今まさに大統領がおっしゃったことがすとんと落ちるというか、常識的な話ではないかというふうに受け止めますけれども、総理がどのようなご発言をしていたか今すぐにはわかりませんが、私自身はそのように受け止めます。

(以上)