赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月23日

(令和7年4月23日(水) 18:35~18:45  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 第33回新しい資本主義実現会議、本日は「人への投資・多様な人材の活躍」と「科学技術・イノベーション」について議論を賜りました。本日の議論を踏まえ、以下の2点について総理から指示がございました。
 第一に、三位一体改革の労働市場改革の着実な実行ということであります。労働移動の円滑化のため、労働者一人一人がそれぞれの職種で必要となるスキルや賃金水準を具体的に把握できるよう、職業情報提供を充実させます。リスキリングについて、いわゆるアドバンスト・エッセンシャルワーカーや、企業の幹部候補人材の計画的な育成を促します。ジョブ型人事指針の普及によるジョブ型人事の導入、同一労働同一賃金制の徹底、女性の活躍推進などに取り組みます。地域の経営人材の確保・育成のため、「週1副社長」といった副業・兼業の形での人材マッチング事業を強化するとともに、自治体、農協、地域金融機関等の職員の副業・兼業の推進に取り組んでまいります。
 第二に、科学技術・イノベーションの取組の強化であります。「スタートアップ育成5か年計画」の強化、それから、高等専門学校における起業家教育の充実やスタートアップの創出・成長の後押し、そして、ディープテック・スタートアップへの官民の資金供給の強化に取り組みます。大学等の高度な研究・教育を後押しするため、10兆円規模の大学ファンドの支援対象の拡大を進めるとともに、研究開発の整備を通じて優れた研究者を日本に呼び込みます。また、AI等の先端分野における研究開発や産業化を推進いたします。
 「令和の日本列島改造」の重要な柱である「地方創生イノベーション構想」の具体化ということであります。本日新たに全国10か所の産学連携のイノベーション拠点への支援を決定いたしました。
 我が国におけるデジタル関連産業のグローバル化を促進するため、林官房長官を議長、私を副議長とする関係閣僚会議を立ち上げ、政府全体として戦略的・統合的に施策を検討し、具体化してまいります。
 本日の会議の具体的な様子は、後ほど事務方からご説明します。

2.質疑応答

(問)新資本の会議の関連で伺います。最低賃金についてですけれども、今回EU(欧州連合)では指令において、最低賃金設定の指標が加盟国に示されていることや、日本が低い水準にあることをどう受け止めているかをお願いします。
 また、EU指令を踏まえた際に、日本の最低賃金の中央値や平均値についてどう分析しているか、引上げに向けた今後の対応をお願いします。
(答)最低賃金については、2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続することとしております。最低賃金の国際的な状況を見ると、EU加盟国の最低賃金については、EU指令において賃金の中央値の60%又は平均値の50%というのが参照指標として示されているところであります。
 本日の会議においては、「例えばEU指令においては賃金の中央値の60%や平均値の50%が最低賃金設定に当たっての参照指標として加盟国に示されており、最低賃金の引上げについては、これらに比べて我が国の最低賃金が低い水準となっていることも踏まえるべきではないか」との論点を提起して議論いただいたところです。
 諸外国では若年層や未熟練労働者について適用除外や減額措置があるため、単純比較はできないといった指摘もありましたが、その他に大きなご指摘はなく、EU指令など国際的に活用されている中央値60%や平均値の50%の指標を参照することに賛成であるというご意見もありました。
 前回の3月28日の新しい資本主義実現会議では、石破総理からご指示がありましたとおり、官公需における対策等を含めた価格転嫁、官公需等の取引適正化の徹底、業種別の「省力化投資促進プラン」を通じた生産性の向上、事業承継・M&Aに関する経営者の方々の不安や障壁を取り払い、先々の経営判断を計画的に行うことができる環境の整備等の施策パッケージを新たに策定・実行することとしております。
(問)米国との関税交渉の関連で伺います。昨日、武藤経済産業大臣が、EV(電気自動車)の充電規格のCHAdeMO(チャデモ)について、障壁になっているのであれば今後精査していく、赤澤大臣のチームとも情報共有して検討していくというようなお考えを述べられました。この点について、大臣のご認識はいかがでしょうか。また、情報共有というか協議みたいなものはもうされたのでしょうか。
(答)米国の関税措置に関する交渉の中で、今後議論する具体的な事項については、今般の訪米の結果を踏まえ、引き続き検討を進めていくこととしております。
 いずれにせよ、米国との間で幅広い論点を協議する中で、双方の問題意識をよく把握の上、意思疎通を図っていくことは重要であると考えています。
 引き続き、武藤大臣がおっしゃったとおり、経済産業省をはじめとして関連省庁とよく連携しながら、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(問)先ほどおっしゃられた最低賃金の話ですけれども、本日の会議では、諸外国では適用除外もあり単純比較すべきでないというご意見もあったとご紹介されましたが、資料を見ると、日本商工会議所の資料にそういうことが書かれておりましたけれども、政労使の一角からこういう声が出ているということの中で、今後、この提示された論点をどのように煮詰めていくのか、その方向性とスケジュール感について教えてください。
(答)現時点においては未定でありますし、いろいろなご意見を伺いながら、中小企業についていろいろ調査をかけられていること、その結果についてもご案内だと思うので、そういうものを当然踏まえながら考えていかなければいけませんが、いずれにしても、我々としては最低賃金については2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向けて、たゆまぬ努力を継続していきたいと思っておりますし、その方針について、現時点で変わりはございません。
(問)もう一点、話題は変わりますが、訪米について、第2回は月内にというこの方針は変わりないという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。いろいろ報道されていることについては承知しておりますが、先般の日米協議において、既にお話したとおり、次回の協議を今月中にも実施すべく日程調整をするということで米側と一致しており、調整中であります。現時点では何ら決まっておりません。
 いずれにせよ、前回の協議も踏まえ、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(問)関税協議の関係でお伺いします。先ほどグラス駐日大使と面会されていたかと思うのですけれども、ここで緊密な連携を確認されたということですが、関税交渉に当たってどのようなやり取りがあったか、可能な範囲でご教授いただけますでしょうか。
(答)交渉相手国の大使との話となると、ほとんど外交上のやり取りということでありますので、誠に恐縮ですけれども、詳細をお話しすることは差し控えたいと思います。
(問)先ほどの訪米の2回目の関連で、次回、2回目の交渉となりますと、1回目とは議論する内容とか性質が変わってくるかと思うのですけれども、2回目はどういった議論の場にしたいか、現時点でのお考えをお願いします。
(答)1回目のやり取りを踏まえ、お互いが例えば宿題で持って帰ったこととかがございます。また、これも私が申し上げたことだと思いますが、1回目の議論の結果、相手の関心の高さとか優先順位について、我々なりに感じたことがございます。そういうものをあわせて、少しずつといいますか、スコーピングということをこの間申し上げましたけれども、どこを重点的に議論するのかとか、そういうことを早急に決めていかなければいけませんので、その辺も含めて2回目の協議に臨みたいと思っております。

(以上)