赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月22日

(令和7年4月22日(火) 8:24~8:46  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)アメリカの関税措置の関係で2点ほど伺います。
 まず1点目ですが、4月中に2回目の訪米を実施するということでしたが、いつ頃なのかということを教えていただきたいと思います。また、次回の協議内容についてですが、帰国直後の会見で大枠はつかめたとおっしゃっておりましたので、差し障りない範囲で何を協議するのか、ご教授いただきたく思います。
 2点目は、政府が対策に掲げました資金繰り支援についてです。具体的には、コロナ禍でのゼロゼロ融資のようなイメージなのか、併せて伺いたく思います。
(答)まず、次の協議ということで、合意したのは今月中にも次回ということなのですが、まだ日程調整中で決まっておりませんので、申し上げることができません。
 それから、2点目は次回の協議の中身ですか。これについてはまだ何ともで、話合いをしなければならない範囲も割と広いというか、いろいろなことがあるので、まだ申し上げられる感じではないと思います。実際、決まってからもどこまで申し上げられるか分からないところがあります。
 それから、資金繰り支援ですけれども、今般の関税措置を受けて、中小企業の資金繰り支援に万全を期すべく、まずは短期の支援策として、全国約100か所の特別相談窓口の設置、セーフティネット貸付の利用要件の緩和、官民金融機関に対する相談への丁寧な対応要請等を実施しているところでございます。セーフティネット貸付は、実質無利子で提供したゼロゼロ融資のようなものではなく、長期固定金利での融資によって、資金繰り支援を行うものです。
 現在、経済産業省の副大臣や政務官が中小サプライヤーを含めた現場を訪問して、「プッシュ型の影響把握」に取り組んでいるところです。総理も神戸で現場の声を伺っており、私自身も米国で現地の日本企業から生の声を伺ったところです。今回の関税措置の影響がどの程度なのか、どういう範囲で生じてくるのか冷静に見極めた上で、必要な支援に万全を期してまいりたいと考えております。
 これまでも総合対策タスクフォース中心に米国との協議の対応方針について詰めた議論を行うとともに、各所において実施しているヒアリング結果も踏まえて、各産業に及ぼす影響を精査し、業界に特化した対応も含めて必要な対応を行ってきております。引き続きこれらの取組を継続し、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(問)私も関税交渉についてお伺いしたいと思います。今日も各紙朝刊で記事が載っていたのですが、米の市場開放について、ミニマムアクセスを含めて輸入の拡大案というものが政府内で出ているという報道が出ております。大臣は帰国後、自民党のCafeStaで、トランプ大統領だとか長官らと話す中で、一筋明かりが見えてきたというお話もされていたかと思うのですが、現状、日本として米の輸入拡大について検討の余地があるとお考えかどうか、改めてご見解をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)一筋明かりがというのを申し上げたのは、交渉の輪郭について何となく少し見えてきたという意味で、総理もおっしゃっているように、依然隔たりは大きいので、見通しが明るいということでは必ずしもないのですが、とにかくスコーピングというか、土俵を決めることも含めて、まだ作業の最中ということだと思います。
 これについて、いろいろ報道が出ているのは承知しておりますが、今般の協議についての詳細、外交上のやり取りであるので、恐縮ですけれども、言及は差し控えたいと思います。
(問)日米交渉に関連して、本日から加藤財務大臣が訪米し、ベッセント財務長官と為替分野の協議を今検討しているところです。為替分野の協議で今期待されることがあればお願いします。
(答)加藤財務大臣とベッセント財務長官とのこれから行われる協議について、私からコメントすることはないのですが、いずれにせよ、総合対策本部の構成員でもある加藤大臣とも引き続き緊密に連携して、良い結果を目指していきたいと考えております。
(問)弾丸訪米、予算委、弾丸訪米みたいになるのですが、チーム赤澤のパフォーマンスを今どんなふうに考えているのでしょうか。それから、先生の体力・体調を心配する声も結構あるのですが、小学校時代の先生はベストスイマーで格付けは「特級」だったというふうに聞くのですけれども、体調や体力についての今後、その辺はどうお考えなのでしょうか。多少お疲れだと思うので、伺いたいのですが。
(答)そういう話はどこから聞かれるんですか。
(問)同級生の方が、先生は赤い線の水泳帽をかぶってトップスイマーだったから、体調は大丈夫だと言っているんですけれども、どうでしょうか。
(答)分かりました。どちらかというと体力が一番自慢というか取り柄なので、体力の限り、頑張っていきたいというふうに思っております。
 チームについては本当によくやってくれて感謝しておりまして、今般の訪米では、トランプ大統領への表敬や、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、それからグリア代表との間で、米国の関税措置に関する日米協議を実施したところです。世界各国に先駆けて訪米し、準備期間が限られる中でも米国との間で今後の協議に向けた道筋に合意するなど、大変有意義な訪米ができたと考えております。
 こうした会談の準備に当たっては、既に皆さんご案内と思いますが、外務省や経産省を中心とする37名のチームで取り組んできたところですが、今後の米国との交渉の本格化を見据えて、昨日付けで体制を拡充し、農林水産省や国土交通省を含む各省の参事官、参事官補佐等10名を加えて、事務局の業務に専従してもらうことにしました。合計47名になります。これだけの優秀な皆様、高度な調整協議を担うために、必要かつ有為な人材を関係省から集めて取り組ませていただいているところでありまして、本当にありがたいことですし、その働きは現時点でも非常に目を見張るものがあり、大変頼もしいと思っています。
 引き続き緊密に連携し、省庁の枠を超えて、米国との交渉や国内産業に対する必要な対策に、オールジャパンで最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えています。
(問)昨日もアメリカのマーケットで不安定な動きが続いておりますし、あるいは昨日、アジア経済研究所が出したリポートですと、やはりアメリカ経済への打撃が一番大きくなるのではないかというふうな見通しが改めて出ています。こういった要素というのは、交渉において、今の関税措置はアメリカのために基本的にならないよということを改めて注意喚起するというようなことは、もはや現段階ではあまりできないというか、意味がないということなのでしょうか。それとも、何かのチャネルを通じてそういう方面での説得なり働きかけも考えるということはあるのでしょうか。
(答)私どもがある意味、職業として国内経済財政に責任を負っているのと同じように、米国においても当然ながら、内政、経済の運営について、責任を負っている職業政治家というかプロがいるわけです。彼らは当然、一番情報を持ち、真剣にものを考えてやっているという世界であり、米国の内政のことについて何か私がコメントできることは特にないと思います。
 また、バイの交渉ですので、もちろん世界経済に及ぼす影響とかにも言及いたしますけれども、基本的には二国間の話で、米国の内政について私のほうが何か申し上げるという感じではないというふうに理解しています。
(問)大臣がトランプ大統領にプレゼントされた貯金箱なんですけれども、今、インターネットのほうで転売されて、定価を上回るような価格で取引されているそうなのですが、ご存じでしょうか。
 その点に関連して確認ですけれども、このプレゼントをどなたがどういう考えで準備されたのか。見方によっては、トランプ大統領は金色が大好きですので、これを準備した人はもしかしたらトランプ大統領と直接お目にかかることを想定していらっしゃったのかなとも思うのですが、その辺いかがでしょうか。
(答)今回の訪米に当たっては、私が面会する全ての要人、当初の想定は、ベッセント財務長官あるいはグリア通商代表などに、是非大阪・関西万博にお越しくださいという要請をしようということは当初から思っておりました。
 トランプ大統領にお会いする予定はなかったのですが、ベッセント財務長官とグリア代表に託して大統領にお渡ししようということは思っておりました。何がいいかなと思っていたのですが、たまたま私が大阪・関西万博に開会式に出席した際に、職員の方が万博会場のみで販売している金色のミャクミャクの貯金箱があるということを教えてくださって、私としてはひらめいてしまったんです。トランプ大統領は、私の記憶に間違いがなければ、トランプタワーというのも金一色でありますし、大統領のお好みを踏まえて、今般の米国出張時の贈呈品として選定したところです。
 その後、全く予想外だったわけですけれども、トランプ大統領が協議に直接参加されて、じかにお目にかかる機会があったので、結果として大統領自身に直接お渡しすることができたというのが顛末です。
(問)物価高対策についてお伺いします。夏の暑さがまた予想されていますが、電気・ガス代支援についてどのようにお考えか、また、財源などについてもどのようにお考えか、見解をお伺いします。
(答)足元で身近な物の価格が高い状況が続く中、国民の皆様や事業者の方々が厳しい状況に置かれているという認識を持っております。電気・ガス代などエネルギー価格を含めた物価高については、令和6年度補正予算や令和7年度予算に盛り込んだあらゆる政策を総動員して、物価高対策に取り組んでいくこととしております。
 政府として、与党でのご議論の状況も踏まえながら、物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いつつ、適切な対応を取ってまいりたいというふうに考えております。先日、石破総理がおっしゃったように、いつの時期にどのような内容が適切なのかを見極めながら対応していくということになります。
(問)関税から離れますが、アメリカのホワイトハウスが新型コロナの起源について、研究所の流出説に関する公式発表をしました。中には保健衛生当局のコロナ対策の問題点も指摘しておられます。感染症対策危機の担当大臣として、このホワイトハウスの発表をまずご覧になったかどうかと、大臣の受け止めを教えてください。また、来月、パンデミック条約がWHO(世界保健機関)で準備されていますが、アメリカはWHOを脱退し、アルゼンチンも参加しないのではないかというふうにいわれています。こういったアメリカ抜きのパンデミック条約というものを、大臣としてはそのまま予定どおり進めていきたいとお考えなのか、その辺のお考えもお聞かせください。
(答)まず、米国政府が本年4月18日にホームページ上で、新型コロナウイルスの起源や当時の米国の保健衛生当局の新型コロナ対策について意見を発表したことは承知しております。新型コロナウイルスの起源については諸説ございます。現在も国際的な結論は得られていないと承知しておりますが、WHOを中心に科学的な調査が継続していると承知しております。
 当該発表は、米国政府の公式ホームページに掲載されたというものでありますが、その発表の中の一つと認識しておりまして、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 それから、パンデミック条約交渉に関しては外務省を中心に議論が行われ、5月のWHO総会に向けて、引き続き調整が行われていると承知しております。パンデミック条約は、国際社会が一致して対応する必要があるという観点から、パンデミックの予防・備え及び対応の強化のための国際規範をつくるということが重要と考え、日本政府として本件交渉に建設的に参加し貢献してきたと承知しております。
 一方で、議論すべき論点も残されているため交渉が継続中で、米国がトランプ大統領就任の1月以降、交渉に参加していないという影響について、予断をもってお答えすることも差し控えたいと思います。
 詳細については、外務省にお尋ねいただきたいと思います。
(問)日米関税交渉について話を戻しますけれども、昨日の国会では石破総理から、自動車を守るために農業を犠牲にするような考え方は全く持っておりませんとのご発言もございました。赤澤大臣も同じスタンスという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい、もちろんです。私自身が農林族で20年間議員をやっていますが、政務に入っているとき以外は常に二十数名、30名ぐらいしかいない農林役員を続けておりますので、農林族の一人であります。大事なのは、農は国の基であり、農業生産者の皆様が安心して再生産を続けられる環境をつくっていくというのが我々自民党に、あるいは政府与党に課せられた大変大きな仕事であると思っておりますので、総理と認識は全く一致しております。
 一方で、一般論としてはやはりDXといったようなこともあるし、生産者の皆様がしっかりと新しい技術も取り入れたり工夫することで生産性向上を目指す。あるいは、私自身は日本の農産物は世界一だと誇りにしていますので、もっとやりようで世界に打って出られる、国富を生める、もうけてもらえると思っていますので、生産性の向上と併せて輸出力の強化、こういったことも本気でやっていかなければいけないと思っております。
(問)対米交渉で、交渉の一部について開示することはできなくて、パッケージでまとまらないと話せないというご趣旨はよく分かるのですが、アメリカ側は恐らく為替と外交安保もセットで考えている方が多いように見受けられるんですね。その場合、日本としても外交安保、為替、全部パッケージで出す場合は、赤澤先生はご説明が難しくて首相に一任という形なのか、それとも中谷大臣とかもご一緒に説明するということがこれから出てくるのか、その辺を教えてください。
(答)まず、交渉について申し上げておかないといけないのは、時々交渉の作法とかそういうことが全然ぴんと来ずに記事を書かれたり、国会でご質問が出たりがあるので、じわじわとそういう交渉事の作法みたいなものについて、共通認識ができていくといいなと思います。
 まず、パッケージと言っているということは、簡単に言うと、交渉をやっている同士で、こっちが欲しい結論を得られないのに、相手に何か持っていかれるということを警戒しているわけです。
 パッケージで“Nothing is agreed until everything is agreed.”と言っているのは、要するに1か所で特定のテーマで議論して、大体こんな方向かなと出たときに、それは相手にとっても私にとっても頂きにはならないということです。ほかの項目も全部そろえて、全体としてこういう合意といって、それを眺めたときに、総理が、大統領が、よし、それでいいと、Win-Winだと、あるいは、少なくともうちの国にとって損ではないと判断したときにものが決まるので、そこは知っておいていただかないと、一回交渉をやるごとに何が結論ですか、どうなっているのですかと皆さんから責め立てられても、結局お答えはできないのです。そもそもお答えできるとしても言えないということです。そこは本質を理解しておいていただきたく。
 交渉事で一番下手な交渉者がやってしまうのは、相手にどんどん小出しで取られていって、そこを約束させられて、ふたを開けてみたら自分の欲しいものは取られなかったと。自分の国がやたら損をしているというのが駄目パターンの交渉ですので。それは交渉をやる人間がみんな一番最初にたたき込まれることで、その辺は是非理解しておいていただきたいと思います。
 それから、もう一つ交渉事で大事なのは、スコーピングといいますけれども、これは交渉範囲を決めるということで、逆に言えば、茂木大臣が交渉したときもそこの戦いが結構すごくて、後々、しまった、この土俵だと自分たちがよかったと思える交渉ができないと思ったときに、交渉の相手方が新たにこれも付け加えて議論させろと言ってくることが後から出るわけです。そのときにはある意味で、事前にきちんと合意したものをもって、ぴしゃっと「あなた、事前にした合意と違うじゃないですか。今頃そんなものを出してきて、それはなしですよ。最初に言わなきゃ駄目でしょ。」というようなことの中で、がりがりやっているわけです。
 そういうことなので、結構張り詰めて、土俵の話、私は土俵と呼んでいますが、国際派はこれをスコーピングと呼ぶのが正しいと思いますが、今まさにその辺のことを両国の間でやっているということなので、内容はお話しできませんが、一般論としてその辺のことを共通認識として持っておいていただけるとありがたいと思います。
 なので、総理がおっしゃったことでいえば、今後の交渉について予断をもってお答えすることは差し控えますが、総理も安全保障の問題と関税の交渉については分けて議論するというのは、そういうスコーピングを考えているということです。この際、こちらの言い分を通したいなら、安全保障の部分でこれということを、我々はそういうやり方でない交渉がしたいということです。
 それから、米国の関税措置を巡っては、全閣僚を構成員とする米国の関税措置に関する総合対策本部を立ち上げるなど、オールジャパンで対応してきておりますので、当然ながら、中谷防衛省とも緊密に連携していきますし、交渉事なので、相手がどうしてもその話題をしたいと言ったときには、少なくともテーブルに載せるかどうか、スコープに入れるかどうかはともかく、耳は傾けなければなりませんので、その辺のことをしっかりやりながら、どのような形であれ、どういうスコーピングであれ、最終的に出てくる結論がパッケージとして我が国に、全体パッケージで日米両方の取ったものとかそういうものを全部並べて、我が国にとって損がないというものにしていかなければならないということです。
 同じことは当然向こうの交渉者も考えていますので、交渉が進めば進むほど、どんどんぎりぎりしたものになっていくということになります。

(以上)