赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月11日

(令和7年4月11日(金) 9:25~10:04  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 4月8日火曜日、石破総理より米国との協議の担当閣僚として私が指名をされましたが、本日改めて米国との協議や国内産業への支援策の総合調整を担うよう指示を受けました。大串副大臣、それから国定大臣政務官にも、私とともにこの問題に当たるようご指示があったところでございます。
 また、「米国の関税措置に関する総合対策本部」について、私が官房長官に加えて副本部長を務めることになりました。官房長官と私が共同議長を務める「米国の関税措置に関する総合対策タスクフォース」を設置することも決定されました。いずれも閣議決定でございます。佐藤内閣官房副長官(事務)を、事務局長とする「米国の関税措置に関する総合対策本部事務局」も設置をされました。
 石破総理がおっしゃっているとおり、国難ともいうべきこの状況を何としても乗り越えなければなりません。今後我が国の国益に何が資するのか、あるいはあらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのか、そうしたことを考えながら、最優先かつ全力で取り組んでまいります。今後、タスクフォースのメンバーや関係閣僚と連携・協力をし、総合対策本部に参加する全ての閣僚の皆様のフルサポートをいただきながら、最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えております。

2.質疑応答

(問)米国の関税措置に関することで2点伺います。
 1つは、交渉のスケジュール感です。早期妥結を目指すのか、あるいは90日の猶予の中でじっくりと詰めていくのか、赤澤大臣の考え方を伺わせてください。
 2つ目は訪米の時期に関してですが、いつ頃を想定しているのかを伺いたく思います。
(答)まず、今後の対応についての具体的な検討状況等をつまびらかにすることは差し控えますが、一般論として申し上げれば、何が我が国の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら取り組んでまいります。
 そういう意味で、ご質問ではありますが、国益の観点から、ご指摘のとおり早期妥結を目指すこともじっくりと議論を深めていくことも、どちらもあり得るというふうに考えております。まだ、交渉担当者同士顔も合わせていませんし、交渉が始まっていませんので、今日はそれぐらいのところにとどめさせていただきたい。
 訪米については、できるだけ早く顔を合わせたいという希望があることは前から申し上げておりますが、現時点で何か決まったことがあるわけではございません。いずれにせよ、速やかに担当閣僚同士の信頼関係をつくりつつ、一日も早く成果が上げられるように最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(問)75か国の行列の先頭についた、優先交渉対象国になったと、このことはなぜなのでしょうか。やはり石破・トランプ会談の成果というように受け止めておられるのか、これが1点です。
 あわせて、世界の人々、メディア、国々が注目する大役になられたわけですが、今の心境を率直に伺います。武者震いというんでしょうか、そういうことなのか。
 それから、フォーメーションはできたようですが、その政府部内のというよりも、これまでの外交経験者、国内の困難のときには、例えば西村さんと赤澤先生はタッグを組んでやっておられましたが、やはりそういう過去の経験者を含めて、大臣の特命という形でサポーター役を起用したらよいのではないかという声をよく聞くのですが、そのチーム赤澤に、そういう民間人を含めた様々なアドバイザーを含めた総力戦で臨むに当たっての考え方をできたらお伺いさせてください。
(答)初は、なぜ我が国が最初になったかというご質問であったと思います。ベッセント長官が報道等でおっしゃっていることを拝見すると、まず日本が真っ先に手を挙げてきたからということを言っていただいているので、それが1つあるだろうと思います。その上で、まだ首脳会談は1回しかやっておりませんけれども、石破総理とトランプ大統領の間には、私は友情というとまだ早いかもしれませんけれども、既に信頼関係ができ始めているように感じておりますし、何しろ世界で最も重要と思われる、我々はそう思っている二国間関係、同盟国同士でありますので、そういう意味でいろいろな理由があって1番になったものというふうに理解をしております。
 それから、2番目は武者震いですか。これはちょっと、ご質問されたから言いますが、正直内々やってくれと、やってくれるかということを聞かれたときが非公式には最初だったのでしょうけれども、今日正式に決まりました。正直なところを申し上げれば、自分の体の中で何か胃が1センチかそこらせり上がったような感じは正直あります。今までに引き受けてやってきた仕事の中では、一番かどうかはともかく、大変思い職責だなということは体が反応していますので間違いないことだろうというふうに思います。そういう意味でも全力で、最優先で取り組んでいい結果を出したいと思っています。
 それから、総力戦という話です。これはまさにそのとおりで、最優先かつ全力で取り組むからには総力戦の構えを取ります。そういう意味でいろいろご質問がありましたが、既に、実は茂木先生、それから世耕先生からは、わざわざ時間を取っていただいてアドバイスをいただいています。8日に指名された以降に既にお二人には会って、それぞれ1時間以上たっぷりお話を聞かせていただいております。
 詳細は避けますけれども、お二人とも大変米国との関係では特色のある交渉をされて、茂木先生は本当にタフネゴシエーターで知られた方でありますし、世耕先生は、また交渉の本当に構えとか懐が深いというか、州政府とか米国の民間企業にも足を運んでいろいろな動きを出されたり、とにかくこれは党も挙げて、国も挙げてということですけれども、取り組む交渉なので、そのお二人から既にお話を聞き、甘利先生からもお話を聞くことは予定に入っていますし、西村コロナ担当大臣、私当時副大臣でしたが、できるサポートはすると言っていただいていますので、本当にありがたいことに、自民党にかつて日米交渉に関わったすべての先輩が、お願いをすれば必ずフルサポートしてくださる体制で現にあります。
 ちょっとこの話が長くなって恐縮ですけれども、我が国の強みはそこだと思います。というのは、やはり経済大国でありますから、いろいろな摩擦が生じることは同盟国で仲良し同士でもあります。その中で我々には日米交渉の経験があります。それはまさに自民党の強みです。それをフルに生かして、やはりこれは国難を乗り切っていくということは極めて重要だと思いますので、その強みを生かして全力で、最優先で取り組みたいと考えております。
(問)私も相互関税についてなんですが、今日正式に大臣が交渉役として指名されまして、交渉相手のアメリカのベッセント財務長官は、関税のほかにも非関税障壁だったり為替なども議題に上げていますけれども、これらは交渉材料になるというふうにお考えでしょうか。
 また、カウンターパートのベッセント財務長官の印象というのは、ちょっと厳しい感じもあるのかなと思うのですが、どういう印象をお持ちでどういう交渉になるというふうにお考えでしょうか。
(答)まず、冒頭とにかく我が国の国益にとって何が一番いいか、あるいは何が一番効果的かを考えながら交渉していくことにわりはありません。とにかく最上位にあって、唯一絶対に大事なのは我が国の国益ということでありますので、それの下にしっかりやっていきたいと思います。
 その上で、交渉事ですので、相手側から持ち出すことについて基本最初から頭ごなしにシャットアウトすることはできませんので、報道によれば非関税障壁や為替といったことにベッセント長官は触れられているようなので、そういう話題が向こうから出れば、もちろん我々もそれについて議論に応じることにはなるというふうに思います。
 その上で、またベッセント長官とはまだお会いしたことがありませんし、ただ、テレビではもう前から知っていたぐらい見ていますね。長官がたびたび我が国の重要性に言及をされていること、あるいはご子息が日本語を勉強中であったりと、大変な親日家であるということを承知しておりますので、好意的な印象を持っていることも間違いありません。加えて、深い金融のバックグラウンドをお持ちでありますので、タフな交渉相手にもなり得るなということも同時に感じております。いずれにせよ交渉事ですので、担当間の信頼関係、あるいはそういったものは大事ですので、できるだけ早く顔を合わせたいというふうに考えております。
 繰り返しになりますけれども、大事なことは我が国の国益であり、そして交渉がまとまるには、双方がWin-Winとなる結果が得られなければうまくいきませんので、米国には米国の国益がある、我が国には我が国の国益がある、双方にとってよい結果をどうやって実現していくのか、そこに全てがかかっていると認識をしております。
 ということで、以上申し上げた上で、今後の対応について具体的な検討状況はちょっとつまびらかにすることは差し控えますが、いずれにせよ総理の指示をいただいて、改めて関係省庁とも連携・協力の上、政府を挙げて対応していくこととしております。
(問)関連で伺います。総合対策タスクフォースについて、林官房長官と赤澤大臣が共同議長を務めるとのことですが、この役割分担というのはどういうふうになるのでしょうか。
 また、今回、赤澤大臣は石破内閣が初入閣で、与党からは閣僚としての外交経験が少ないことを指摘する声も出ています。こうした指摘をどのように受け止めているのか、また、どのようにカバーしていく考えなのか伺います。
(答)まず、役割分担といったことについては、これは私の理解でありますけれども、林長官は危機管理の関係もあって、なかなか容易に国を離れるわけにもいきませんし、そもそも東京を基本離れられないというお立場であります。なので、おのずと私が米国に足を運ぶ、あるいは国内の調整についても最前線でやると、林長官には大所高所からアドバイスもいただきますし政権の要でありますので、いろいろな意味で私の後ろに控えて、私の、端的に言えば上司として、いろいろなご指示をいただく、それから最終的には私の手に負えないところは、特に国内の調整についてはお力を借りることが多いのではないかと理解をいたします。
 それから、外交経験については、私率直に申し上げて、今回の事態は国難とも呼ぶべき状況で、大体国難と言われるような状況は、それを何度も経験してベテランだなんていう人はどこにも多分いないと思います。いろいろおっしゃる方は、それはもうご自身の判断でおっしゃっていることだけれども、それは気にせずに、きちっと仕事をしていきたいと思っています。
 いろいろな機会に申し上げていますけれども、私自身は役人の当時、運輸省航空局の国際航空課というところにいたときに日米航空交渉に携わっておりました。そのときは、首席交渉官ではもちろんありませんけれども、尊敬できる旧運輸省、国土交通省や外務省の先輩方がどのような交渉をやってくるのか、外国との交渉というのはどういうものなのか、特に私自身そこは強みとまであえて申しませんけれども、バイの交渉なので。トランプ政権については、マルチとバイについての立場、考えというのが非常に特色的な政権であると思います。バイを重視していますね。私がやってきた日米航空交渉は、これはまさに米国とバイで国益をかけてやる交渉ですので、そういう意味では、そういう経験をやったことある人はほかにあまりいないのではないかという気もいたします。マルチの交渉経験は、もちろんほかにいろいろ重要なものあると思いますけれども、そのようなところです。
 これは結果が出る出ないの問題で、別にバックグラウンドが何だからとか、過去に経験があるからとかは関係ありませんので、これ以上申し上げませんけれども。外交経験がないとおっしゃる方がいることは承知をしていますが、気にせずしっかり仕事をしたいというふうに考えております。
(問)先ほどの関税に関連してなんですが、今回、トランプ大統領が関税措置を90日間停止した理由について、マーケットのほうでは株価の暴落もあるのですけれども、米国債の長期金利の急上昇というのも理由に挙げられていて、トランプ大統領からもそういった発言もございました。今回トランプ大統領が90日間停止した理由について、そういったマーケットの要因もあるのか、赤沢大臣の分析をお聞きしたいです。
 もう一点が、今後、ベッセント長官と交渉するに当たって、ベッセントさんもマーケットに詳しい方でありますので、そういったマーケットの論理みたいなものが交渉の材料になるのか、今の時点でのお考えをお願いします。
(答)まず、最初の点でありますけれども、これは、もう米国政府から直接説明を受けたわけでもありませんし、私からすれば、トランプ大統領がいろいろな機会に発信をされたり、そういうもので推測するしかないということです。私の承知している限りは、それは皆さんのほうが詳しくて、教えてくださればありがたいですけれども、要は各国が少しアフレイドとおっしゃっていたかな、恐れるような状況になってしまった、それは本意ではないということ、柔軟性が大事であって、協議をしようと、米国とお互いWin-Winになるような、そういうものを生み出そうという国については猶予するというようなご説明をされていたように思います。そこは皆様のほうが詳しいかもしれません。
 私は、まさに米国政府の責任者であるトランプ大統領がおっしゃっていることから推測をするしかないというのが、私の立場でございます。
 それから、2番目はベッセント長官のバックグラウンドですか。先ほど申し上げたように、金融の非常に深いバックグラウンドを持っておられて、加えて米国内でも大変尊敬をされている金融マンであられるということなので、そこの知識、経験は、もう私をはるかに上回るものであって、これはいろいろなご提案があれば、私もよく説明を聞きながら受け入れていきたいと思いますけれども、交渉担当者のバックグラウンド次第で、いろいろな分野ごとに、この分野もすごく深みのある議論になる、この分野はなかなか議論が深まらないみたいなこともないわけではありませんので、そういう意味でおっしゃるように、ベッセント長官が交渉相手であることから、金融関係の分野でいろいろ持ち出された議論について深まるということはあり得るのかなとは思ってます。
 ただ、交渉は始まっていませんので、実際交渉の場で関心事項をお互いに言って交渉の土俵を決めるというのが一番最初にやることだと思いますけれども、それ次第ということで、予断を持って何か確定的に今申し上げられるものではないと思います。
(問)今日の総理の指示の中で、必要な支援についての総合調整というのも引き続き赤澤大臣の肩にということだと思いますが、一方で交渉を最優先でやる中で、米国との交渉と国内支援、この2つを両立させていくというのは大変だと思うのですけれども、どのように対応していかれるのでしょうか。
 それと連しますけれども、国内については、与党内などに現金給付を含めた対策を求めるような声がありますが、交渉がうまくいくというか、交渉の結果次第ではその必要性も変わってくると思うのですけれども、こうした経済対策の要求等についてどうお考えか、改めてお伺いします。
(答)まず、国内支援について言うと、1つ言えるのは、まだ影響が正確に分かっていません。経済産業省が力を入れて、武藤大臣も本当にフルサポート体制でありがたいですが、プッシュ型で日本のいろいろなところに回り、企業に足を運び、自動車業界で言えば、Tier1、Tier2、Tier3、Tier4もそうだと思いますけれども、どんな影響が出そうか、何を心配しているかを今精査中です。
 関税は、実は譲許表を見られたことあるかと思うのですけれども、自分のところは関税がかかるのだろうかというような悩みがあっという間に1,000件単位で出てくるような世界なので、心配とか不安、予測可能性があるかないかとか、そういうことが本当に今問題になっていて、そういうことも念頭に置きながら、国内の産業を守るために何をしなければいけないか考え抜いていく必要があるというふうに思っております。ただ、今のところどういう関税の体制に最終的になるのかが、まだ正直見えていないところがあります。ただ、その辺をよく見極めた上で考えていくということが絶対に必要なことであって、現時点で関税の影響はまだ見通せておりませんので、それについて適切な対策は何かということは、ちょっと確定的に申し上げることは難しいと思います。
 現時点において政権の立場は、確かに経済にいろいろな影響が出得るということは分かるのですけれども、今申し上げたようなことなので、令和6年度補正予算と7年度当初予算でいろいろな政策を、予算も成立させていただいておりますので、それを最優先でやっていくと、それをきちっと早く国民の皆様の下に届けるということが重要であるという考え方について、現時点において何か変わるところがあるものではありません。政府の経済対策についての考え方の方針は、現時点で変化はないものと私は理解をしております。
(問)先ほどの質問に関して確認なんですけれども、為替絡みの質問のところで、「先方の希望を最初からシャットダウンはできません」という話だったと思います。そうしますと、10日ほど前、アメリカのUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)が日本への課題として、アメリカの希望をいろいろ羅列していると思います。食べ物の話や農業関係が多かったと思います。アメリカが課題としているものというのは、やはりシャットダウンはできないという、議論せざるを得ないというお立場か、それとも国益最重視の場合は、アメリカが言っていることの一部は最初からシャットダウンというのもあり得るのか、ちょっとそこを、一般論で構いませんのでお願いします。
(答)何か記事にされようと思っているんでしょうけれども、変わったことを言ってるわけではありません。交渉事というのは、土俵を決めるのがすごく大事で、それはまだ決まっていません。土俵を決めるということは、今おっしゃった米国のレポートがありますけれども、ものすごい数のことが書いてあります。それを全部テーブルに乗せて議論するなんていうことは現実的にあり得ないです。
 なので、シャットダウンするのかしないのかとおっしゃっていたけれども、そういう前に、まず相手が何を望んでいるのか、何について今回の交渉で話をしたいのか、ベッセント財務長官と私との間でそのことをお互い腹を割って話した上で選んで、じゃあこの話をしようと言ってテーブルに乗せるわけです。まだテーブルの上には何も置いていなくて、なので何か現時点でそれ以上に申し上げられることがあるわけではないので、そういうものとして承知をしていただければいいです。
 先ほど私が言ったのは、交渉事であるから、頭ごなしに相手がこのことについて話したいと言ったときに「駄目だよ、それは」ということはいたしませんということを言っているだけで、ただ、付け加えておけば、お互い限られた時間で、日米で行き来というか私が行くことが多いと思いますが、やり取りをする中で、土俵を一たび決めたとします。今回このテーマを話すといって交渉を始めたときに、全く関係ないものを後で持ってこられたときに、土俵を一回決めてこれで議論をしましょうと言ったときに、後から後からもう次々にそこでお互い合意していないものを持ってこられると、これはなかなかもうかかる時間が全然変わってきてしまうこともあり得ます。
 その辺も含めて交渉事というのはステップを踏んでやっていきます。だから、まずは土俵決めがありますし、そして決めた上で、その決めたものについて集中的に議論をし、結論を出していくというプロセスを取りますので、現時点について言えば、まだその土俵決めもしていない、テーブルの上に何も乗っていない。そのときに、相手が話したいことを、これ話したいと言ったら駄目だよと言うことは、こちらは当然しないということを申し上げたことであって、誤解のないようによろしくお願いをいたします。
(問)USTRのグリア代表は農産物の市場開放を求めていて、交渉でも、具体的に何かというのは置いておいて、おのずと農産物も交渉の対象になってくると思いますが、大臣は農林族としての側面もあるというふうに私存じております。こうしたバックグラウンドが交渉にどういう影響を与えるか教えていただけますでしょうか。
(答)私が農林族とお認めいただいて大変ありがたいと思います。正直、私は政府に入っているとき以外は自民党の農林役員会から抜けたことがありませんので、民主党政権当時は個別所得保障検討チームの座長として、もう全力で戦ってきた、そういうことでありますので、農業について熱心に取り組んできたつもりの議員であります。
 大事なことは、農業は国の基ですので、非常に大事にしなければいけない。農業生産者の方たちが再生産可能な体制をつくり、そしてまたお子さんに継いでもらうとか、きちっと培われた最高の技術ですよね、農業。それをちゃんと伝承していくということが物すごく重要だということについての認識は、ものすごく強いものがあります。
 そういうバックグラウンドの上で承知しているのは、グリアUSTR代表ですか、農業について関心があると。ただ、これも土俵の議論をきちっとしてからじゃないとよく分からないのは、グリアさんはライトハイザー、茂木先生と交渉されたライトハイザー先生、彼も通商弁護士ですので先生と言っていいと思いますが、のときに次席だったですか、一緒にやってこられた。本当に評価の確立した名うての通商弁護士の立場で、過去やった交渉は農産物、畜産分野なので、皆さんそれぞれ自分の強い分野でご主張が、自信があるということなのでしょうから、そこについておっしゃることは、バックグラウンドからすれば自然なことだと思います。
 ただ、もう一回繰り返しになりますけれども、交渉というのは限られた時間で集中的にやるものですので、現時点において何を土俵に乗せて議論するかは全くの白紙で、テーブルの上にまだ何も乗っておりませんので、グリアUSTR代表が農産物について関心を示されていることは承知をしているということ以上に、ちょっと申し上げられることがあるわけではありません。
(問)ちょっと関税交渉の話題とずれるので恐縮ですが、前回コロナ対策の検証についてお尋ねしました。もう一度だけ伺いたいと思います。大臣からは検証の必要性について答弁がありました。ただ一方で、今まで有識者会議等の取組をしてきたというお話もありました。それが十分であったのかどうかということについて認識を伺いたいと思っています。というのは、これはもちろん全然違いますが、福島第一原発事故のときは、政府事故調、国会事故調というものをつくりました。そのときの、今日はちょっと簡単に持ってきましたけれども、そのときの報告書はこれ、政府事故調、国会事故調、本編だけでこれだけ分厚い、資料編を含めるとこの2倍あります。こういったものをきちんと第三者の科学的な検証というものが当時は行われたわけです。
 今回コロナのこれだけ大きな被害といいますか影響があったコロナ禍についての検証というのは、有識者会議で行われたものが、こちら、20ページの有識者会議の報告書です。その後の新型インフルエンザ対策推進会議での意見書もありますが、これも新型コロナの対策の検証という部分は20ページほどしか書いていません。これが全てになっているかと思いますが、改めて大臣として、この検証の必要性というものは十分であったのかどうか、これ以上はもう改めてこの5年間の振り返りは行わないのかどうかということについてのご見解をお伺いしたいと思います。
(答)一般論として申し上げて、こういった本当に重大な事態があって、国を挙げて対応したようなときに、その反省、検証が十分かと聞かれれば、それはもう良心のある担当者、政策責任者であれば、反省、検証がもう十分だということは決してないということは、もうこれみんな思ってやっていると思います、ということをまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、今のお話ですけれども、決して必要な反省、検証というのは紙の分量だけではないということもあわせて申し上げておきたいと思います。確かに、実は国会事故調は塩崎恭久先生です。私も設立に全力で走り回ったほうなので、その報告書は厚みもあっていいものができているというご評価であれば大変うれしく思う次第でありますけれども、これは必ずしも分量に限らずしっかり反省、検証しているということだと思います。
 具体的に、どういう検証が足りないということがあれば、またこれはぜひ事務方にお尋ねいただいて、私もそれはフォローしたいと思います。もう一つ申し上げれば、次なる感染症危機に万全を期すことというのは、これは本当に大事なことだと思いますので、決してこれで十分だと思わずにやっていきたいと思います。
 ただ、前回の会見でも申し上げたとおり、社会経済の専門家や医療関係者等の外部有識者も委員や構成員として、有識者会議や推進会議を開催して対応の振り返りを行って、統括庁の設置やJIHS(国立健康危機管理研究機構)の創設をやってきています。政府計画の全面改定など必要な対応も行ってきているので、それは必ずしも紙の分量だけでなくて、新たに統括庁が置かれた、JIHSが創設された、政府計画が全面改定された、私はその時々で必要と思われるきちっとした見直しを、反省、検証の結果を受けてやってきていると思うので、今後も具体的なご指摘があれば、その中身をしっかりフォローさせていただきたいというふうに思っております。
 現時点において、私自身は必要な対応を行ってきたところであり、今後は実際の感染症発生を想定して、訓練等を通じて感染症発生時にしっかりと機能する体制の確保に努めていきたいと考えております。基本的な考え方は以上でありますが、引き続き、詳細については事務方ともやり取りをしてみていただきたいと思います。
(問)ちょっと1点、また関税交渉の関係ですけれども、来週にもファーストコンタクト、訪米されるというような報道も一部出てはいるのですけれども、この最初の会談で議論のところをどこまで進められればいいという、現時点で大臣のお考えですか。信頼関係の構築からというところですけれども、とは言いながら、大臣もおっしゃったように時間的な制約もあるわけですけれども、ひとまず先ほどおっしゃったように、まず何を議論の土俵に乗せるのか、そこをまず整理したいだとか、ちょっとそのあたり、現時点でのお考えを、方針をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)今後の対応についての具体的な検討状況とか方針とかを、必ずしもつまびらかにすることは差し控えたいというふうに思います。繰り返しになりますが、我が国の国益にとって何が一番いいのか、あらゆる選択肢の中で何が一番効果的かということを考えながら、融通無碍に柔軟性を持ってやっていきたいというふうに思っております。
 とにかく、まず信頼関係を築くためにも、できるだけ早く顔合わせをしたいと思っていまして、時期についてはまだ議具体的に決まったものがあるわけではありません。ただ、一般的には、交渉をやる場合には、最初に会ったときに「やあやあ」と、初めましてということで、話し始める中身はお互いに腹を探り合うというか、具体的に何を求めているのか、どの議論がしたいのか、交渉者としてはテーブルにまず何を乗せるということです。場合によって相手との関係でどれぐらいのスケジュール感でやりたいのかとか、そういうようなことも話し合うかもしれませんし、手探りですけれども、最初に会ったときは信頼関係を築くという目的と同時に、おおよそのこの交渉がどんなふうに進んでいくのかについて探り合うということだと思います。
 ただ、相手のあることなので、現時点でもちろん何か決まったことがあるわけでもないですし、また、あらかじめ申し上げると、申し訳ないですけれども、1回目が終わった時点で詳細を聞かれてもなかなかお答えできることは多くはないと思いますが、一般論としてはそういうことかなというふうに思います。
(問)本日新たに設置されたタスクフォースについてですけれども、こちらは総勢何名、事務方も含めると何名体制になるのかというところと、本日時点で体制が出来上がっているのか、これから各省から人を集めるような形になるのかお伺いできますでしょうか。
(答)冒頭申し上げたとおり、今朝の閣議で総合対策本部の下に林長官と私が共同議長で総合対策タスクフォースを立ち上げました。それで、大串副大臣、国定大臣政務官とも連携協力させていただくことになりました。また、内閣官房や関係省庁の幹部職員が構成員となる総合対策本部事務局の設立も決まりました。
 タスクフォースについて言うと、いろいろと関係閣僚、先ほど申し上げた交渉の土俵、テーブルに何が乗るか次第でいろいろあるのですが、ちょっと数字が言えるという意味では、事務局の体制なのでご紹介をすると、事務局長の佐藤内閣官房副長官(事務)、それから内政担当の阪田副長官補、外政担当の市川副長官補に加えて、赤堀外務審議官、松尾経産審議官、江島TPP等政府対策本部国内調整統括官と、対米協議及び国内調整を担う関係府省の幹部職員の皆様など、計37名で構成をされる事務局に支えていただくことになっています。
 総理がおっしゃっているとおり、国難ともいうべきこの状況を何としても乗り越えていくために、今申し上げたような体制で、政府を挙げて最優先かつ全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 総理の指示に従って、米国との協議や国内産業への支援策について集中的に検討するための内閣官房や環境省の幹部職員を集めて立ち上がったタスクフォースということでありますので、速やかに開催をし、米国の関税措置の内容や我が国への影響に関する分析、あるいはこれまでの米国との協議の経緯などの説明を受けて、課題と論点を把握していきたいというふうに考えております。
(問)体制の関連で伺います。大串副大臣、国定政務官が選ばれた理由について伺います。任命権者は石破首相だとは思いますが、人選を巡って赤澤大臣のほうから何か要望などは出されていたのか伺います。
 あと、TPPのときは、首席交渉官という事務方のポストもあったかと思いますけれども、今回そのようなポストは今後つくる予定はあるのかあわせて伺います。
(答)副大臣、政務官の所管分野の状況や、本人の手腕、経験などを踏まえて、大串副大臣、国定政務官を総理が判断されたものであります。政府の人事については、所管分野の状況や、本人の手腕、経験等を総合的に勘案して行っているのが例でありまして、人事でありますのでこれ以上お答えをすることは差し控えたいと思います。
 それから、交渉のやり方は、その時々で最善の体制を組むということで、まだ具体的なことはかっちりと固まってるものでもありませんけれども、今回について言うと、事務的に詰めるより、早く政治家同士で話をしろと。確実に言えるのは、米国側もかなり急いでおられるように見えますので、例えばグリア代表がここ数週間でかなりいろいろな話をされるというようなことをおっしゃったような気もしますし、ちょっと体制を見ながらです。
 具体的に、もしそのテーブルに乗ってるいるものが詳細な協定の検討であるとか、そういう事務方の皆様にかなり力を借りなければいけないようなものが主になってくれば、それは首席交渉官というようなことを置くこともあるかもしれませんけれども、現時点において何か決まっているものがあるわけでもないので、そういうものとご理解をただければと思います。

(以上)