赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月8日

(令和7年4月8日(火) 9:17~9:37  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)トランプ関税についてお伺いします。昨日、日経平均株価が一時3,000円近く下落し、日本経済に影響が出ています。改めて政府としてこの関税に対しどのように対応していくのでしょうか。また、石破総理は報復関税については慎重な考えを示していますが、赤澤大臣はどのようにお考えでしょうか。さらに、昨晩、石破総理とトランプ大統領の電話会談が行われましたが、その受け止めについてもお伺いしたいです。
(答)今朝、閣議の直後、全閣僚からなる米国の関税措置に関する総合対策本部を官邸で開催いたしました。その際、総理からは、第一に、トランプ大統領による発表内容を含め、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析すること、それから、第二に、引き続き米国に対して措置の見直しを強く求めるなど、外交面の取組を進めること、第三に、関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な対策を取る旨、既に政府にとして表明しておりますが、引き続き必要な支援に万全を期すことについてご指示があったところでございます。
 世界の金融資本市場に不安定な動きが見られるところでありますので、こうした対策を有効に講ずるためにも、市場や投資家の動向に関してもよく注視し適切に対応していく必要もあります。
 政府としては、本日の総理のご指示を踏まえて、関係省庁間で協力・連携しながら、引き続き政府を挙げて対応していくということでございます。
 報復関税については、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析しつつ、引き続き米国に対して措置の見直しを強く求めていくということで、同時に国内産業、雇用への影響を勘案し、資金繰り対策など必要な対策に万全を期していくこととしております。
 その上で、何が我が国の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら取り組んでいく必要があると考えています。
 電話会談についてもお尋ねがありました。昨晩の石破総理とトランプ米国大統領との電話会談でのやり取りについて、石破総理からその概要のご紹介がありました。既にお聞きになられていると思いますが、石破総理からは、日本が5年連続で世界最大の対米投資国である旨を述べつつ、アメリカの関税措置により、日本企業の投資力が減退することを強く懸念をしているということ、その上で、一方的な関税ではなく投資の拡大を含めて、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきであると申し上げたこと、また、トランプ大統領からは、国際経済においてアメリカが現在置かれている状況について、率直な認識のご開陳があったということ、また、トランプ大統領とは今後も率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認したことについてご紹介がありました。
 その上で、首脳間のやり取りを踏まえ、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくことにしたとのご説明もありました。さらに、総理から、我が国は米国に対し協議を通じて今般の措置の見直しを強く求めていくこと、国難ともいうべきこの状況を乗り越えることで新しい日本があることについてお話があったところ、こうした総理の問題意識を踏まえて、引き続き関係省庁とも協力・連携の上で、政府を挙げて対応していくこととしております。
(問)このトランプ2.0の非常事態、これを大臣は本当に国難とお考えですか。少なくともこの問題は、やはり予見可能性、回避可能性がゼロではなかったと思います。結局、昨日の会談も含めまして、チーム石破というのでしょうか、対米対策に対して、この問題でも司令塔役を赤澤大臣が務められるのか、向こうの経済諮問委員会のミラン氏のカウンターパートでもあるわけですが、どういう形でこの問題について石破政権は向き合っていくのかというのについてのフォーメーションというのはできたのですか。その辺のことを、そこに赤澤大臣が中心的な役割になるのかどうかを含めて伺いたいと思います。
(答)まず、私自身の認識として国難と思うかというお尋ねだったと思います。その点は石破総理が既に「国難ともいえる状況」といった言い方でもうおっしゃっていますので、私も全く認識を同じくするものでございます。
 その上で、どういう体制でやっていくかということについては、総理から正にご指示が出ているところでありまして、やはり先ほどの繰り返しになってしまいますが、今朝の総合対策本部で3つご指示があったわけです。それに沿ってしっかり対応していくということだと思います。
 また、司令塔的役割というお話でございましたが、これについては特に現時点において私は担当する閣僚を人選中であるというふうに承知しておりますので、特にコメントをすることはございません。
(問)担当閣僚の件について伺います。今、人選中とお話がありましたが、先ほど報道で、赤澤大臣をその担当大臣に任命するという報道が出ているんですけれども、この事実関係を改めて伺います。加えて、総理からこの件について何か指示は既に出ているのか、確認させてください。
(答)申し訳ございません。通常そういうのは「報道は承知しているが」と言うのが通例なのですが、報道も承知しておりませんので、私から申し上げられることは特にございません。総理から指示が出ているのかといえば、特に私は指示を受けているという事実はありません。
(問)トランプ関税が発動して、国民生活、経済への影響も出てきていると思うのですけれども、物価高対策と併せて経済対策なり減税みたいなものを、国会で与党からも求める声がありますが、大臣として物価高対策、そしてトランプ関税を含めた影響に対する経済対策の必要性であるとか、その先の財源や補正予算というところに関しての考えを改めてお聞かせください。
(答)ご指摘のような報道があるということは承知しております。私、そういう意味で経済対策の担当閣僚ですので、そのような事実はないということを申し上げておきたいと思います。
 足元では、食料品やエネルギーなど身近なものの価格が高い状況が続く中で、国民や事業者の方々は厳しい状況に置かれているものと認識をしております。こうした状況に対応するため、令和6年度補正予算や令和7年度予算に盛り込んだあらゆる政策を総動員して、最大限の効果を発揮させていくことが必要という考え方でございます。
 米国の関税措置については、繰り返しになるのですが、今朝の米国の関税措置に関する総合対策本部第1回で、関係閣僚に対して先ほどのとおり、3つの指示が出ております。それに沿って対応していくということになります。
 通商政策など、米国の政策動向による影響が我が国の景気を下押しするリスク、物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響などに細心の注意を払いつつ、総合的に判断を行い、経済・物価動向に応じて引き続き機動的な政策対応を行うなど、経済財政運営に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
(問)確認ですが、今ほどの回答で、そのような事実はないというのは、経済対策とか補正、現時点では決まっているものはないということでしょうか。
(答)はい。そういう意味です。先ほど政府与党は補正予算の編成を検討しており、月内にもその指示があるみたいな報道があるやに私は承知しておりまして、そのような事実はございませんということを申し上げております。
(問)この米国発の関税を受けた株安の受け止めで2つ教えてください。この株価急落による企業への影響、設備投資とか企業のビヘイビアに影響があるのではないかと。その辺、大臣としてどう見ているかを教えてください。もう一つは、円高が進んでいるので、円高になると今度は物価が安くなったりして、消費を刺激するのではないかという前向きな見方もあるかと思うのですが、その両方、大臣として受け止めを。
(答)まず、株価の状況については、株価はご案内のとおり、経済状況や企業の活動など、様々な要因により市場で決まっていくものであります。ということで、日々の動向について私からコメントすることは差し控えます。
 加えて、為替についてもお話がありました。為替も含めていろいろな経済の指標といいますか、そういったものは国民の生活に影響を及ぼし得ることは全く否定いたしませんけれども、単純に何かが起きればこうなるといったようなものばかりではございませんので、円高についてもコメントすることは差し控えたいと思います。一般論としては、おっしゃるように円高が進めば、輸入物価が下がる方向に作用するであろうとか、いろいろなことはありますけれども、ただ、一概にそれだけで決まることではございませんので、私としてはコメントは差し控えたいというふうに思います。
(問)今朝の閣僚会議でどのような議論があったのか。総理の指示は分かりましたけれども、それ以外にどういう議論があったのか、可能な範囲で教えてください。それと、先ほど赤澤さんが担当閣僚になることについては聞いていないというお答えだと思いますが、現在の担当である経済財政諮問会議等で、このトランプ関税について取り上げていくとかそういう考え方はおありでしょうか。
(答)閣僚会議では、時間も大変短い中、今日はまず第1回で設置をするということが一つポイントでありましたのと、それから、先ほど申し上げた総理から3つのご指示がありました。世界の金融資本市場にも不安定な動きが見られるところ、こうした対策を有効に講ずるためにも、市場や投資家の動向に関してもよく注視し適切に対応していく必要もあります。
 そして、出席者からの発言ということで、必ずしも何か議論という感じではなかったかと思いますが、岩屋外務大臣から、米国による関税措置への対応状況について、それから、武藤経済産業大臣から、米国の関税措置に対する国内対応について、それぞれご発言があったということでございます。次回以降について、必要に応じて随時開催していく予定であるというご発言も、これは官房長官からだったと思いますが、あったところでございます。議論というところまではいかなかったなと思います。
 経済財政諮問会議については交渉事でもありますので、少なくとも日米両政府でやっていく内容について、なかなかリアルタイムにそれを諮るようなことも難しいです。ただ、経済財政諮問会議の有識者は、非常に頼りにしていますので、端的に言えば、トランプ関税が我が国の経済に、あるいは世界経済に及ぼす影響であるとか、こういう対策を講じるべきといったようなお話については、我々が議題・テーマを設定しなくても、有識者の方々からコメントがある可能性はあると思います。ただ、当面、設定しているテーマは賃上げとか投資といったことですので、現時点で何かトランプ関税について取り上げて議論するというふうなことが決まっているものではありません。
(問)先ほどの担当閣僚のことでもう一点お伺いします。現時点でコメントは控えるというか、総理からのご指示はないということですけれども、大臣がお考えになられる対米交渉の閣僚について、どういったポジションでまたどういった能力をお持ちの方がやるべきというふうにお考えかご所見をお伺いできますでしょうか。
(答)これは総理が決められることなので、総理の専権ということで、私が何か申し上げるようなことではないと思います。
 余計なことかもしれないですが、ベッセント財務長官が担当されるということなので、あまり詳しくものを言うべきかどうかはあれですが、ご担当している内容が、もしかすると割と米国政府の関心が高いものなのかなという感じはいたしますけれども、いずれにしても人事でありますので、石破総理の専権ということで、私からはコメントは差し控えたいと思います。
(問)ちょっと話題は変わりますが、昨日、初の緊急事態宣言から5年たちました。これはNHKの報道ですが、「新型インフルエンザ等対策推進会議」の議長などを務めておられた尾身茂さんが、一連の新型コロナ対策について、「対策のどこが良くてどこが課題だったのか、政治家や官僚に加え、専門家、医療関係者、それにマスコミも含めてしっかりとした過去の検証が必要だ」とご指摘されていました。まだきちんと検証が行われていないという認識を示されたものと考えられますが、大臣のご所見をお聞かせください。
(答)尾身さんには、実はJIHS(国立健康危機管理研究機構)の立上げの式で久しぶりにお会いしました。私も実は西村コロナ担当大臣の下でコロナ副大臣だったものですから、コロナ分科会で大体必ずお会いする顔が、尾身さんが座長といいますか、そこに知事会の平井鳥取県知事もおられて、そのことを大変懐かしく、大変だったなと思い出したりしておりました。
 総じておっしゃった問題意識、非常に正鵠を射ていますし、一般論として申し上げれば、尾身さんは当時からとにかく政府の対応をきちっと検証しなければ駄目だと、次に生かさなければ駄目だということは、その会議の中でもずっとおっしゃっていたことだと思います。
 そういう意味では、我々も全力を挙げてそういうことをやってきているつもりだけれども、その検証に終わりはないというか、不断にしっかり、新たな発見もあるかもしれませんし、そういうことは続けていかなければいけない。新型コロナウイルス感染症の対応について振り返りをし、次の感染症危機にしっかりと生かすことが極めて重要であるというのは問題意識を全く一にします。
 そのため、我々のやってきたことをご説明すれば、令和4年6月には社会経済の専門家や医療関係者、学者等を構成員とする「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」において、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応や、医療提供体制等に係る課題について報告書をまとめていただいたところです。
 そういった過去の対応や、その報告書も踏まえて、感染症法や特措法等の改正を行っておりますし、正に今、先ほど触れましたけれども、統括庁は既にできていましたが、JIHS(国立健康危機管理研究機構)をごく最近創設するなど、次の感染症危機への備えを強化してきたところです。
 さらに、令和5年9月からは、地方公共団体、医療関係団体、感染症に係る危機管理の専門家等を委員とする「新型インフルエンザ等対策推進会議」において、新型コロナの当事者や有識者からヒアリングを行い、平時の備えの重要性など、政府行動計画の改定に向けた主な課題をご指摘いただいたところで、政府としてはこれを踏まえて令和6年7月に政府行動計画を改めて全面改定をいたしました。同計画に基づき取組を進めているところです。
 引き続き改定した政府行動計画に基づく取組を着実に進めるとともに、感染症対応の訓練の実施とか取組の進捗状況のフォローアップなどを通じて、次なる感染症危機に万全を期してまいりたいと考えております。

(以上)