赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月4日

(令和7年4月4日(金) 9:18~9:33  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)トランプ関税についてお伺いします。トランプ大統領が相互関税として日本に24%の関税を課すと発表しました。これによって日本の企業の投資抑制につながったり、また賃上げの勢いに水を差す可能性もあります。日本経済や人々の暮らし、それから景気への影響について大臣のお考えをお聞かせいただきたいのと、もう一つ、対アメリカで何か措置を取るなどの対応について、何かお考えがありましたら教えてください。
(答)まず、米国時間の4月2日にトランプ米国大統領は全ての国に対し4月5日から10%の追加関税を課すと、それから日本を含め一部の国に対しては4月9日から更に関税率を引き上げる大統領令に署名が行われたと承知をしております。我が国は24%ということであります。
 我が国から、これまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきではない旨など申し入れてきたにもかかわらず、米国政府が今般の相互関税措置を発表したことは極めて遺憾であります。今般の発表を受けて、改めて米国政府に対し今般の措置が極めて遺憾である旨を伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れたところであると承知をしております。
 今回の措置をはじめ米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねないものです。
 石破総理からは、既に関係閣僚に対して、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析すること、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めていくこと、同時に国内産業・雇用への影響を勘案し、資金繰り対策など必要な対策に万全を期していくこととの指示が出されており、日本政府を挙げて対応していくこととしております。
 何か対抗措置というようなことのお尋ねがありましたけれども、繰り返しになりますが政府としては米国による関税措置の内容を精査し、我が国の影響を十分に分析し、引き続き米国に対して措置の見直しを強く求めていくとともに、国内産業・雇用への影響を勘案し、資金繰り対策など必要な対策に万全を期していくということでございます。
(問)関連で、国内の事業者だけではなく国民生活への影響も大きいと思われます。政府内で補正予算を編成するという報道も出ていますが、追加の予算措置を含めた対策の必要性についてお考えをお聞かせください。
(答)我が国の経済については、通商政策など米国の政策動向による影響等が景気を下押しするリスクに十分注意する必要があるというふうに考えております。また、足元では食料品やエネルギーなど身近なものの価格が高い状況が続く中で、国民の皆様や事業者の方々が厳しい状況に置かれているものと認識をしております。米国の関税措置については、既に石破総理から先ほど申し上げたような指示が関係閣僚に出されておりまして、政府を挙げて対応していきたいというふうに思っております。
 その上で、米国の政策動向による影響、物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響等に細心の注意を払うとともに、令和6年度補正予算や令和7年度予算に盛り込んだあらゆる政策を総動員し、最大限の効果を発揮させていく必要があるというふうに考えております。
 具体的には、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識の下で、物価上昇に負けない賃上げの実現を目指していくことはもう既に申し上げているとおりであり、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくためにいろいろな政策を講じているというのが基本です。
 足元の物価高に対応するためには、低所得者世帯向け給付金とか重点支援地方交付金、それから燃料油価格激変緩和対策事業、政府備蓄米の活用などの施策に加えて、令和7年度予算を成立させていただきました納税者の8割強が対象となる所得税の基礎控除の上乗せによる所得税の減税や、高校無償化の先行措置など、物価高への対応を状況に応じて今後とも切れ目なく実施していくということであります。
 引き続き、経済・物価動向に応じて、こうした機動的な政策対応を行っていくことで「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものにしていくという考え方であります。様々な環境に対応できる強靭な実体経済を構築するようこれまでも務めてきたところでありますが、今後とも経済財政運営に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
(問)昨日連合が発表した第3回の集計で平均賃上げ率が5.42%、中小組合の賃上げ率が5%で、ベアは全体でも中小組合いずれもこの15年以降で過去最高となりました。これまでの春闘の賃上げ状況の進捗について受け止めをお願いします。
(答)今年の春季労使交渉では、連合の第3回回答集計において、今ご指摘のあったとおり前年を上回る5.42%、昨年比プラス0.18%、ベースアップは3.82%、昨年比プラス0.19%、中小組合については5.00%、昨年比プラス0.31%、ベースアップは3.73%、昨年比プラス0.52%の賃上げとなっているところであります。
 事実関係ということで言えば、第2回の集計結果を上回るものになったと承知をしております。33年ぶりの高水準となった昨年の勢いが継続しているものと考えておりまして、大変心強く感じております。この賃上げの勢いを中小企業や小規模事業者、地方で働く皆様の賃上げにつなげていくことが重要と考えておりまして、3月28日の新しい資本主義実現会議で石破総理からご指示があったとおり、6月までに「官公需における価格転嫁のための施策パッケージ」を策定します。このことで、地方の中小・小規模事業者にとって重要な官公需における価格転嫁を強化いたします。
 また、5月には、業種別の「省力化投資促進プラン」を策定し、2029年までの5年間を集中取組期間として、全国的に支援体制を整備して生産性向上に取り組みます。6月までには「事業承継・M&Aに関する新たな施策パッケージ」を策定し、不適切な買い手への対応強化や地域金融機関のコンサルティング支援等、施策の抜本的強化に取り組みますということで、今申し上げた総理の指示でやるというものについては、これまで申しておりますとおり、価格転嫁、生産性向上、それから事業承継やM&A、そういったものに対する支援を、いずれも新たな取組を打ち出して、政策総動員でやっていこうということであります。
 賃金・所得の増加を全国津々浦々に波及させ、今日よりも明日はよくなると、一人一人の国民の皆様に実感していただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
(問)各省大臣への指示は分かったのですが、やはり官邸として石破総理が未曾有の事態ですから、未曾有のフォーメーションで、やはりタスクフォースが立ち上がるのだと思うのですが。赤澤大臣、まず経済財政のお役目かと思いますが、その辺側近でもあられるのですが、やはりトランプさんがカウンターパートと安倍さんのことを言及されていたわけですから、その辺はどういうふうにお考えになっているのか、そういう指示というのはなかったのかどうか伺いたいです。
(答)総理から私にこの関係で特に具体的な指示というのはございませんが、今のお話に関して言えば、私は経済財政、あるいは経済再生を担当しておりますので、先ほども申し上げたように、経済の状況、通商の状況、そういったものを総合的に判断して、機動的な対応を図っていくということに変わりはありません。
 その上で、トランプ大統領が安倍元総理にも言及されたということで、お二人は大変な友情の関係で結ばれていて、それが声明の中にも表れたことについては、同じ日本人として、安倍元総理をよく知る者として、大変そういう意味ではありがたいというか、温かいものを感じたことは間違いありません。
 その中で、日米貿易協定に触れておられました。その辺は、官房長官もちょっとお触れになっていたかと思いますが、正に世界経済に与える影響などもいろいろ考えながら、WTO(世界貿易機関)の協定や日米貿易協定との整合性なども日米政府の間で今後話し合っていくことになのではないかと私自身は理解をしております。
(問)話題が変わりまして防災庁について伺います。本日午後に4回目のアドバイザー会議が開催される予定です。この中で、テーマの一つとして防災DXが取り上げられる予定ですが、現時点での防災DXについての課題の認識であったり、防災庁が設置された後に、防災庁として防災DXに対してどういう役割を担うべきか大臣のお考えをお願いします。
(答)防災DXと防災教育は、私が内閣府副大臣、3度目の防災担当の副大臣をやった2021年に取りまとめた提言のテーマであります。5つ提言は私のXのトップに固定してありますが、DXが2つ、デジタル関係が2つ、複合災害が1つ、あと防災教育が1つ、ボランティアが1つということで、防災教育はその中の1つであり、防災DXもその中の2つであったということです。
 提言を踏まえた防災DXについては、昨年の4月から、新総合防災情報システム(SOBO-WEB)の運用を開始しております。関係者間で迅速・効率的に情報を共有できる基盤が整ってきているということです。それまで、ネットで端末に打ち込めばみんなで一気に共有という体制にはなっていませんでしたので、大分パワーアップできたなと。新総合防災情報システム(SOBO-WEB)では全省庁、それから全都道府県を経由して全市町村、そして106ある指定公共機関を全部結んでおりますので、そういう意味で情報を共有できる基盤ができているということです。
 その上にいろいろなアプリなどを使って、今後どうやって情報の収集、分析、それに伴う対策、立案、実行といったものがどこまで高度化できるかということをやっていこうとしています。
 今後は、AI等のデジタル技術やロボット等の先端技術を徹底的に活用して、関係機関のパフォーマンスを最大化して、より効率的・効果的な災害対応に当たることが重要であると考えています。防災DXや防災技術を我が国における産業の柱として、これらの国際展開も通じて世界の防災に貢献することも重要だと考えております。
 防災教育には、正常性バイアスと戦い、「自らの命は自ら守る」、「率先避難者たれ」、こういったことを国民のお一人お一人がしっかりと肝に銘じていただいて行動していただく、そういう社会をつくっていくことが、災害大国である我が国にとって極めて大事なことであると考えております。
 今後は、特にデジタル防災教育の進展にも大いに期待するところです。シミュレーションのソフトで、15分避難が遅れるとこれだけ危ない目に遭うとか、そういうことはほぼ体験できますので、そういったことも含めてかなり効果的な防災教育がデジタルを活用してできるのではないかと思います。
 また、保護者の皆様の関心も高く、波及効果が大きいという意味では、小学校に上がる前です。小学校にお子さんたちが上がると、お受験が始まったりいろいろするので、カリキュラム本位など、なかなか先生も時間的余裕がなかったりします。ただ未就学児の場合はお遊戯の中にうまく防災を取り入れていただいたり、そこに消防団の方が講師として行ったりすると将来消防団員になりたいと思うお子さんが増えたりとか、いろいろな効果が期待できるので、未就学児に対する防災教育にも力を入れたいと思っています。
 本日は、こうした点について議論が深まることを大いに期待しているところでございます。

(以上)