赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年4月1日

(令和7年4月1日(火) 9:53~10:15  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)新年度予算の成立について伺います。今回の予算は、教育無償化や高額療養費制度などについて、与野党協議を踏まえて2度にわたり修正が行われました。こうした経緯で修正が行われた新年度予算案が成立したことの受け止めをお願いします。また、今回の予算がこの物価高への必要な負担軽減にどうつながるかも併せてお願いします。
(答)令和7年度予算については、私もその意義等について、幅広い国民の皆様にご理解いただくため、国会において可能な限り丁寧な説明に努めてきたつもりでございます。成立に至るまで、本当に充実したご審議をいただいたと考えております。
 その中では、党派を超えた政策協議や、国会審議の内容を踏まえて衆・参両院で予算修正が行われ、ご指摘のあった、いわゆる高校無償化の先行実施とか高額療養費制度関係の修正が盛り込まれました。これは熟議の国会の一つの成果であると考えておりまして、全ての関係者に敬意を表するとともに感謝を申し上げたいと思います。
 物価高に対しては、物価上昇に負けない賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくことが基本であると考えております。令和7年度予算には適切な価格転嫁や生産性向上、経営改善及び事業承継・M&Aの支援、企業の稼ぐ力や地域の可能性を引き出す取組などが盛り込まれており、こうした取組を着実に実行することで、物価上昇を上回る賃上げを全国的に幅広く普及・定着させていくということとしております。
 その上で、物価高による国民の皆様や事業者の方々の負担を軽減するための負担軽減策は何があるかと言われれば、例えば同予算や税制改正法には納税者の皆様の8割強が対象となる所得税の基礎控除の引上げによる所得税の軽減でありますとか、高校無償化の先行措置などの取組が盛り込まれております。国民の皆様のご負担が軽くなるようにという目的でつくられた予算でございます。
 物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いつつ、これらの施策をできるだけ速やかに実行に移すことで、令和6年度補正予算で既に措置しております低所得者世帯向けの給付金や重点支援地方交付金などと併せて、最大限の効果を発揮させてまいります。こうした取組によって、物価高から国民生活、事業活動を守り抜き、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものにしてまいりたいと考えております。
(問)先ほど大臣から言及もありましたけれども、当初予算では、昨年度の補正予算で物価高対策も盛り込まれているというお話がありました。一方で、強力な物価高対策というところで、与野党から追加の対策を求める声も出てきておりますけれども、当初予算が成立したタイミングでまた改めまして、追加の予算措置を含めた対策の必要性についてのご認識をお伺いできますでしょうか。
(答)足下では、食料品やエネルギーなど、身近な物の物価が高い状況が続く中、国民や事業者の方々は厳しい状況に置かれているものと認識をしております。このため、令和6年度補正予算や7年度予算に盛り込んだあらゆる施策を総動員して、物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いつつ、総合的に判断を行い、物価高の克服に取り組んでいくことが必要であると考えております。物価高対応に向けて、新たな予算措置を打ち出すことを考えているわけではございません。
 具体的には、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識の下、物価上昇に負けない賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくことが基本と考えております。
 ご案内のとおり、今年の春季労使交渉において、前年の水準を上回る賃上げの結果となっており、この勢いが全国津々浦々に波及するよう、適切な価格転嫁や生産性向上、あるいは事業承継・M&Aを後押しするなど、政策を総動員してまいります。
 先ほどと繰り返しになりますが、低所得者世帯向け給付金、重点支援地方交付金、あるいは燃料油価格激変緩和対策事業、そういった令和6年度補正の措置した施策に加え、昨日成立しました令和7年度予算や税制改正法で、これも先ほど申し上げました所得税の基礎控除上乗せによる所得税減税や高校無償化の先行措置などの施策を着実に実施していきます。
 また、ご関心の高いコメについても流通の目詰まりを解消し、消費者の皆様に安定的な供給を図るため、必要に応じて更に販売量を拡大することを含め、政府備蓄米の活用を進めることとしております。これにより、上昇した米価が落ち着くことを期待しています。
 こうした取組によって、物価高から国民生活、事業活動を守り抜いてまいりたいと思います。「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものにしてまいりたいと思っております。
(問)2つあるのですが、アメリカのトランプ政権の関税発動の日本経済への影響の受け止めをお願いします。
 もう1つは、この関税もあってアメリカ発で株安がしばらく続いておりますが、株安の割にはあまり為替が円高に行っていないと思います。物価上昇圧力は止まらないのかというような見立てもあると思います。そのあたりの受け止め・分析があればお願いします。
(答)まず、関税ですけれども、米国時間3月26日にトランプ大統領が大統領令に署名されたと承知しています。自動車完成車については4月3日から25%の追加関税、自動車部品には遅くとも5月3日から25%の追加関税ということであります。
 米国政府が自動車・自動車部品に対する関税措置を我が国も対象に含める形で発表したことは、極めて遺憾でございます。今般の発表を受けて改めて米国政府に対し、今般の措置が極めて遺憾であり、措置の対象から我が国を除外するよう強く申し入れていると承知をしております。
 今回の措置をはじめ、米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねないものです。
 政府としては、米国による関税措置の我が国経済への影響を十分に精査しつつ、引き続き米国に対して措置の対象からの除外を強く求めていくこととしております。また、国内産業・雇用への影響を引き続き精査し、資金繰り対策など必要な対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 それから、株安だが円高はさほどという話ですね。株式市場や為替相場の動向については、毎回申し上げて恐縮ですけれども、私の立場からコメントすることは市場に不測の影響を及ぼす恐れがあることから、差し控えます。株式市場や為替相場の動向をはじめ、金融資本市場の動きには引き続き十分に注視してまいりたいと考えております。
(問)今日で石破政権発足から半年となります。赤澤大臣について伺いますが、防災庁設置や経済政策など、ご自身が担当する施策への取組、この半年についてどのように評価しているのか、また、今後重点的に取り組む課題について、何に軸足を置くのか、考えを伺います。
(答)前回、石破内閣の評価を聞かれたときに、総裁任期は3年なのでまだ早いと申し上げたのですが、私の任期についてはそういうものではありませんので、ご質問に答えられる範囲でお答えをしたいというふうに思います。
 まず、私が担当しているものは、前任が担当しておられたものを6個引き継いだ上に2つ足されていて、1つは現行憲法下初の賃金向上担当大臣というものです。もう1つは防災庁設置準備担当大臣なので、特に総理からの指示で加わった2つを中心に、思うところをお話ししたいと思います。
 端的に申し上げて、賃金向上担当、そして経済財政も担当している立場から言えば、足下では食料品やエネルギーなどの身近な物の価格が高い状況が続く中で、国民や事業者の方々は厳しい状況に置かれておりまして、一言で言えば、物価上昇に負けない賃上げはまだ実現途上ということであります。昨年10月の就任以来、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、豊かさを実感できる成長型経済への移行を確実なものとすることを目指して、経済財政運営に当たってきておりますが、なかなかまだ実現途上と言わざるを得ない状況にあるということであります。
 昨年11月の経済対策、それから令和6年度の補正予算、そして昨日成立した令和7年度予算を着実に実行することで、何とか少しでも早く物価に負けない賃上げという状態をつくっていきたいと思います。
 賃金については、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識の下で、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性向上を図っていくことが基本であると思っております。ご案内のとおり、春季労使交渉ではいい兆しが見えているので、大いに期待をしているところであります。その勢いが雇用の7割を占める中小企業や小規模企業の賃上げにもつながるようにということで、政策総動員で応援をしていきたいということがあります。
 また、最低賃金についてはこれを着実に引き上げ、2020年代に全国平均を1,500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けております。5月までに対策を取りまとめよと総理からの指示を頂いているので、しっかりそれに取り組んで、賃金は据え置きで動かないという縮み志向、デフレマインドを過去のものとしていきたいと思います。
 また、防災庁設置に向けた取組については、本気の事前防災に取り組む防災庁の組織づくりを進めるために、今年の1月から防災庁設置準備アドバイザー会議を開催し、これまでに既に3回実施をしております。引き続き有識者の皆様の知見も頂きながら、時代の変化にしっかり対応し、日本社会の実情に見合った防災庁の在り方について、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと思っております。
 こうした取組を含め、それぞれの担務について、担当大臣として引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(問)昨夜ですけれども、官邸のほうで、「若者・女性にも選ばれる地方に関する車座」が開催されています。大臣もご参加になったと伺っておりますけれども、この若者・女性にも選ばれる地方というのは、地方創生を実現するための柱の一つと位置づけられています。参加者の意見なり発言なり、大臣はどのように受け止められたのでしょうか。また、もし大臣にとって印象に残った発言などありましたら、お聞かせください。それから、こうした指摘ですとか提言とかを今後政策にどう反映させていかれるのか、具体的に決まっていることなどありましたら、併せてお聞かせください。
(答)昨夜の車座で特に印象に残った発言、たくさんあります。地方創生2.0、それから令和の日本列島改造、その5つの柱の一丁目一番地が「若者や女性にも選ばれる地方」ということです。大変重視して取り組んでいる政策に資するというか、そういうことでやらせていただきました。
 印象に残った発言、幾つもあるのですが、やはり出発点は、「人口減少が女性の流出率と結びつけられて、あたかも女性の責任であるかのような雰囲気を感じる」とか、あるいは、「地元に戻ってきてくださいといういろいろな働きかけの中で、子供を産み育てやすくなっているという説明ばかり来る」、「女性は子供を産むべきという圧力に感じられて、地方が非常に女性にとって生きづらい場所になっているのではないか」ということをおっしゃっていました。
 それから、本当にこれはつらい思いをさせているんだなと思ったのは、学生の方だったと思いますけれども、なぜ自分は結婚し子供を産むという選択をしないのかといえば、女性が1人で生きていると生きづらい。なぜ結婚しない、子供をつくらないみたいなことを言われるような苦しみを、自分の子供には味わわせたくない。そんな社会に自分の子供を産み落としたくないという類いのことをおっしゃって、本当に大変申し訳ない状況だなということを感じたということがあります。
 それから、仕事のこともすごくおっしゃっていました。やはり地方にいると、自分がやりがいを感じられる仕事がなかなか難しく、話を聞くと営業をやりたいと言って入ったつもりなのに、気づいたら事務職に回されて、営業は男性ばかりでやっている。そういう友達の姿を見て、こんな所にはいられないと思ったとか、本当にそうした、いわゆるアンコンシャスバイアス、女性の役割を決めつける、そういうことですね。宴会をやっても男性だけで盛り上がっていて、女性はビールをついでいるとか、そういう姿をずっと見て、もう嫌だ嫌だということですよね。だから、アンコンシャスバイアスと、あと仕事の関係がすごく多いのかなと。
 あとは、とにかく1人で生きるという選択を女性がしたときに、それを社会が受け入れていると感じられる社会で自分は暮らしたいと。今のところ、別に都会も完全ではないけれども、地方ではなくてそれは都会のほうがましなのだという言い方がいいか分かりませんが、そういうことをすごくおっしゃっておられました。すごく感じるところの多い車座になりました。
 少子化の進展は、女性の責任でも子育て世代の責任でもありません。一言で言えば、政策責任者の問題なので、危機意識を持つべきは我々政策責任者であって、女性や子育て世代ではないということははっきりしていると思います。
 石破政権が目指す「楽しい日本」は、明日の暮らし、あるいは将来の不安といったものなしに自己実現できる社会を実現すると。それで誰もが安心して暮らせ、今日より明日はよくなると実感できる、それを楽しい地方、そういう地方から成っている日本を「楽しい日本」と呼ぶわけです。
 なので、皆様の不安を一つ一つ解消し、安心して楽しく暮らせるような環境を整えていく、若者や女性にも選ばれる地方を実現するためには、特に昨日は女性の車座でありましたけれども、最低賃金を含む所得賃金の引上げを、地方を含む全国で加速するということはまず必要だと思います。男女の賃金格差ということも昨日はおっしゃっていました。
 商工会、商工会議所、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省等からの働きかけを通じて、いろいろな経済団体にも頑張っていただきたいと思いますし、地方の企業において若者・女性の正規雇用を促進するということ。それからアンコンシャスバイアスを払拭していくため、自治体や経済団体、業界団体から働きかけ、企業経営者の意識改革に取り組むことが重要であるとの思いを強くしたところでございます。
 「若者・女性にも選ばれる地方」に向けて、地域の働き方・職場改革を起点として、若者・女性の皆さんが息苦しく感じるような空気を変えていく取組を国と共に進めていく自治体を募ったところ、全国から24の県を含む68自治体が参加することとなっております。
 こうした意欲ある自治体をしっかり後押しするため、昨日、総理が発表されたとおり、新たに官房副長官をトップとする「地域働き方・職場改革等推進会議」が発足いたします。同会議の議論も踏まえ、未来ある若者・女性の方々が活き活きと活躍できる地域社会に向けて、力を尽くしてまいりたいと思います。
 楽しい地方をつくり、私の言葉でいう、お父さんやお母さん、あるいはおじいちゃんおばあちゃんが、子や孫に楽しいから帰っておいでと言えるような地方、全国津々浦々そういう状況にすると。それが楽しい地方ですし、楽しい日本だと我々は思っているということであります。
(問)米国の自動車輸入関税を含めた発令について、関税政策の向こうに通貨政策があって、その先にある安全保障の問題についても、いわゆるアメリカの経済諮問委員会、スティーブン・ミランも含めたマールアラーゴ合意ですとか、そういうものがいろいろ出てきています。既に国際金融世界ではもう無視できない一つの考え方だと思うのですが、経済諮問委員会のトップの考え方とかそういうものについて、どういうふうにお考えになっているのでしょうか。
(答)マールアラーゴ合意については、ご指摘のスティーブン・ミラン、閣僚名簿にはお名前ないようですけれども、ポジション的には私のカウンターパートに当たる人かと思います。詳細は必ずしも詳しくありませんが、ご指摘のミラン氏はじめ、一部の方々がドルを減価させる合意として呼称しているものではないかというふうに承知をしております。現時点においては、とにかくご指摘のようなことが米国政府から発表されたとの事実はないものと承知をしております。
 株価や為替は本当に様々な要因により決まるものであり、その動向については、従来から申し上げているとおり、市場に不測の影響を及ぼす恐れがあることから、私の立場からはコメントは差し控えたいと思います。なかなかコメントすることは難しいところがあります。通貨についての合意というのは過去にもありましたけれども、大分時間がたって経済とか金融情勢も変わっていますし、申し訳ないですが、コメントできることはないです。
 いずれにせよ、米国政府の政策変更や金融資本市場や実体経済に与える影響については注視してまいりたいと思いますし、アメリカの政府が正式に発表し発動するような政策が明らかになれば、それについては十分影響を精査した上で、必要な対応を適切に取ってまいりたいということに尽きると思います。

(以上)