赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年3月28日

(令和7年3月28日(金) 19:42~19:50  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日は第32回の新しい資本主義実現会議についてです。本日は、価格転嫁・官公需、生産性向上、事業承継・M&A等の経営基盤の強化について議論を行いました。我が国の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者が「コストカット型の経営」から「成長型の経営」へと変革を進めることを集中的に後押しをいたします。
 本日の議論を踏まえ、以下の3点について石破総理からご指示をいただきました。まず第一に、価格転嫁・官公需等の取引適正化の徹底ということです。新たに「官公需における価格転嫁のための施策パッケージ」を策定いたします。地方の中小・小規模事業者にとって重要な官公需における価格転嫁を強化いたします。また、下請法改正法案の早期成立、業所管省庁の執行強化、労働基準監督署の活用、中小・小規模事業者の知的財産の保護の強化に取り組みます。
 第二に、中小企業・小規模事業者の生産性向上です。新たに業種別の「省力化投資促進プラン」を策定します。2029年までの5年間を集中取組期間といたします。全国的に支援体制を整備して、生産性向上に取り組んでまいります。
 第三に、事業承継・M&A等の選択肢も含め、先々の経営判断を計画的に行える環境の整備です。「事業承継・M&Aに関する新たな施策パッケージ」を策定し、不適切な買い手への対応強化や地域金融機関のコンサルティング支援等、施策の抜本的強化に取り組みます。
 6月の新しい資本主義実行計画の改訂に向けて議論を加速してまいります。石破総理からは、本日いただいたご意見について、私を中心に5月を目途に取りまとめる最低賃金の引上げのための施策の中にも反映するようご指示をいただいたところです。
 本日の会議の具体的な様子は後ほど事務方から説明をさせます。

2.質疑応答

(問)石破総理が目指す最低賃金の2020年代に全国平均1,500円の引上げに向けて、中小企業の価格転嫁対策が重要だと思います。本日の会議でも議論されましたが、価格転嫁が遅れている業種も存在します。中小企業の価格転嫁対策について、現状の課題と今後の政府の取組について、大臣のご所見をお聞かせください。
(答)中小企業・小規模事業者の皆様が賃上げの原資となる稼ぐ力を高めるためには、価格転嫁の徹底が重要です。政府としても「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の遵守徹底等に取り組んできております。価格転嫁率は全体では改善傾向にありますが、トラック運送、広告、放送コンテンツなど、転嫁が遅れている業種が存在していることも事実でして、道半ばと考えております。そのため、業所管省庁に指導・助言の権限を新たに付与する下請法改正法案の早期成立を目指すとともに、業所管省庁の執行強化や、労働基準監督署の活用等により、価格転嫁の更なる徹底を図ってまいります。
 また、地方の中小・小規模事業者にとって、官公需における価格転嫁は重要でして、新たに「官公需における価格転嫁のための施策パッケージ」を策定します。低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の導入の徹底や効果的な活用、地方自治体における相談窓口の開設などに取り組んでまいります。このように、民間取引のみならず、官公需における価格転嫁の促進にも新たに取り組んでまいります。
(問)石破政権が4月で間もなく半年を迎えます。この間の政権運営の評価と、あと、経済対策や防災庁の設置準備を含め、政策面でのご自身の振り返りで評価、また、今後の意気込みについてお聞かせください。
(答)石破内閣の総括評価については、総裁の任期は3年あるわけで、まだ半年でありますので、評価すべきタイミングにはないかなと思っています。また、評価については国民からいただくものだと考えておりますので、その部分については発言を控えさせていただきたいと思っています。その上で、意気込み、それから、特に取り組むべき課題というご指摘でありますので、そこについては丁寧に触れさせていただきます。
 昨年10月の就任以来、我が国経済が「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にあるという認識のもとで、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、豊かさを実感できる成長型経済への移行を確実なものとすることを目指し、全力で経済財政運営に当たってまいりました。引き続き、昨年11月に取りまとめた経済対策及び令和6年度補正予算を迅速かつ効果的に実施するとともに、令和7年度予算案の早期成立を図り、着実に実行に移すことで、国民の皆様に生活が豊かになったことを実感していただけるような経済をつくってまいりたいという思いです。
 賃金については、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識のもと、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性向上を図っていくことが基本であります。今年の春季労使交渉では、日本労働組合総連合会の第2回回答集計において、前年を上回る5.40%、昨年比プラス0.15%の賃上げ、中小組合についても前年を上回る4.92%、昨年比プラス0.42%の賃上げとなりました。この勢いが雇用の7割を占める中小企業や小規模企業の賃上げにもつながるよう、適切な価格転嫁や生産性向上、人材・経営基盤を強化する事業承継やM&Aを後押しするなど、あらゆる施策を総動員して取り組んでまいります。
 また、最低賃金についてはこれを着実に引き上げ、「2020年代に全国平均1,500円」という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けることにより、賃金は据え置きで動かないという縮み志向、デフレマインドを過去のものとしてまいりたいと思います。
 こうした取組を含め、骨太の方針や新しい資本主義実行計画の取りまとめに向けて、引き続き担当大臣として全力を尽くしてまいりたいと考えています。

(以上)