赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年3月19日
(令和7年3月19日(水) 19:02~19:12 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告します。今月は「景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している」と、先月までの判断を維持しております。これは、企業部門は企業収益の改善が続き、設備投資も持ち直しの動きが見られるなど、引き続き堅調であること、家計部門についても身近な品目の物価上昇もあり、消費者マインドが横ばいとなっているものの、賃上げの効果等により個人消費の持ち直しの動きが続いていることなどを踏まえたものです。
先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策など米国の政策動向による影響等が我が国の景気を下押しするリスクとなっており、十分注意する必要があります。
加えて、会議で私から説明した内容のうち、本年の春季労使交渉の状況について申し上げます。今月14日に発表されました、本年2025年春闘の第1回集計では、定期昇給込みの賃上げ率は5.46%、ベアは3.84%と、33年ぶりの高い伸びであった昨年2024年を更に上回る結果となりました。ベアの金額は300人未満の中小組合を含めて1万円を超える水準となっています。
民間の調査によると、中小企業を含め、今年賃上げを行う企業の3分の2弱は、一定以上の確度で、今後5年間毎年賃上げが可能としています。力強い賃上げが定着するよう、価格転嫁の更なる推進、生産性向上のための省力化・デジタル化投資の促進、経営基盤の強化に資する事業承継・M&Aの支援が重要です。
この他、会議の詳細については後ほど事務方から説明させます。
2.質疑応答
- (問)2点、お伺いいたします。まず1点目がデフレ脱却についてです。先日、2次QE(四半期別GDP速報)後のGDPギャップはプラスとなり、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、賃上げもかなり良い状況です。デフレ脱却に関係する4指標もプラスになった状態です。改めてデフレ脱却に向けて、どの程度の距離感なのか、あとはどんなことが必要なのかということをお願いします。
- (答)ご指摘のとおり、2024年10-12月期GDP2次速報値を踏まえたGDPギャップはプラス0.2%と、6四半期ぶりにプラスに転じたが、10-12月期の実質GDP成長率は、主に輸入の減少により外需が増加したことが寄与しており、GDPの過半を占める個人消費は前期比プラス0.0%にとどまるなど、内需に力強さが見られない点に留意が必要であると考えております。さらに、経済の先行きについては通商政策など米国の政策動向による影響が、外需を通じて我が国経済を直接的・間接的に下押しをするリスク等に十分注意する必要があります。
従来から申し上げているとおり、デフレ脱却、すなわち再びデフレに戻る見込みがないと言えるかについては、物価の基調や背景を総合的に考慮する必要があり、ある指標が一定の基準を満たせばデフレを脱却したといった一義的な基準に基づくものではなく、慎重な検討が必要と考えております。具体的には、消費者物価やGDPデフレーターといった物価の基調に加え、物価の背景としてGDPギャップやユニット・レーバー・コストといったマクロ的な物価変動要因のほか、賃金上昇、企業の価格転嫁の動向、物価上昇の広がり、予想物価上昇率など、経済主体の価格・賃金設定行動や物価に対する認識などミクロ的な観点を含め、様々な指標の動きを丁寧に見ながら適切な判断をしていきたいと考えております。
具体的にもう少し足して申し上げれば、過去に私の承知している限り、デフレに陥って以降、先ほど申し上げた最初の4つの指標、CPI(消費者物価指数)、GDPデフレーター、GDPギャップ、ユニット・レーバー・コスト、これら4つともプラスになったということは過去にあるのですが、これまで一番長く続いても3四半期ということで、1年間続いたことがありません。今回、1四半期目、今はプラスになっているわけですが、今後どういう推移をたどるのかということを注視していきたいというふうに考えております。 - (問)2点目が日銀についてです。本日、日銀が金融政策決定会合で金利の維持を決めました。こうした政策の受け止めや、日銀がこれまで行ってきた利上げのペースについて、大臣の所感をお願いいたします。
- (答)本日の金融政策決定会合では、金融市場調節方針として、政策金利を0.5%程度に現状維持することが決定されたと承知をしております。植田総裁が記者会見で発言されているとおり、幅広く経済・物価・金融情勢を点検していく必要がある中で議論を深め、必要な金融政策の方針が決定されたというふうに受け止めております。
政府としては2月4日閣僚懇談会における総理指示に沿って、足元の物価高に対する万全の対応を行うとともに、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識の下、賃上げを起点とする国民所得の向上と経済全体の生産性向上を図り、成長型経済への移行を確実なものとしていきます。日銀には引き続き政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切な金融政策運用を行うことを期待しており、これまでの金利の引上げについてコメントを求められましたが、具体的な政策ツールをどう使って目的を達成するかについては、基本的に日本銀行にお任せをしておりますので、コメントは差し控えたいというふうに思います。 - (問)22日に開催される日中ハイレベル経済対話に関して参加されるご予定があるかどうかということをお伺いします。また、6年ぶりに開催される会合の意義と、世界経済の不確実性が増す中で、日中経済関係に関して問題提起したい点などがあれば教えてください。
- (答)日中ハイレベル経済対話は2006年10月、日中両首脳の間で、戦略的互恵関係の視点に立ち、経済分野での問題解決や協力促進について大所高所から議論する、経済閣僚間の定期的対話の場として創設が合意されたものと承知をしております。今回、6年ぶりの第6回会合となり、日本側は岩屋外務大臣、中国側は王毅(おうき)外交部長が議長を務める、確実に来日されるということでありますが、その他の出席者については現時点で調整中であるというふうに承知をしております。
現時点で成果を予断することはしませんが、いずれにしても中国との経済関係は重要であります。世界の名目GDPに占めるシェアが米国は4分の1を超えているということを申し上げていますが、中国も約17%を占めており、それから、米国について日本からの輸出金額に占める割合を2割といいますけれども、中国も約18%あります。我が国の経済にとって大きな影響がある中国との経済関係は極めて重要であるという認識でして、マクロ経済政策等について建設的な意見交換を行う機会になればと考えております。詳細については、外務省にお尋ねをいただきたいと思います。 - (問)商品券の配布について伺います。岸田前総理大臣の在任中に総理大臣公邸で開かれた政務官との懇談会にあわせて、出席者が岸田氏側から商品券を受け取っていたことが分かりました。自民党政権下で過去にもこうした商品券の配布が行われていたことへの受け止めを伺います。また、これまでの歴代政権でも同様の商品券の配布が行われていたのかどうか、大臣のご認識をお願いします。
- (答)お尋ねについては、個人としての行為に関するものであると私は理解をしておりまして、お答えする立場にはないということでコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)