赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年3月11日

(令和7年3月11日(火) 9:23~9:36  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日、東日本大震災の発災から14年ということで、引き続きライフワークであります防災に全力で努めていきたいと思っています。

2.質疑応答

(問)先ほど、2024年の10-12月期のGDPの2次速報が公表され、成長率が実質でプラス0.6%、年率換算でもプラス2.2%と下方修正されました。また、個人消費も下方修正されましたが、このことについての受け止めと、大臣の分析をお聞かせください。
(答)本日公表した2024年10-12月期のGDP2次速報値では、設備投資等が上方改定された一方で、個人消費等が下方改定されました。ご指摘のとおり、名目成長率は前期比プラス1.1%、実質成長率は前期比プラス0.6%と、若干の下方改定となったものの、1次速報値と同様にそれぞれ3四半期連続のプラスとなっております。
 先行きについては、春季労使交渉における高い賃上げの継続に向けた動きが見られるなど、引き続き雇用・所得環境が改善する下で、景気の緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外経済の下振れリスクや通商政策など、アメリカの政策動向による影響のほか食料品など身近な品目の物価上昇の継続が消費者マインドの下押しを通じて個人消費に与える影響には十分注意する必要があると考えております。
 政府としては、2月4日の閣僚懇談会における総理指示に従いまして、足元の物価高に対する万全の対応を行うとともに、「賃上げこそが成長戦略の要」という認識のもと、賃上げを起点とする国民所得の向上と、経済全体の生産性向上を図り、成長型経済への移行を確実なものにしてまいりたいと考えております。
(問)防災対策について伺います。大臣から冒頭ございましたけれども、津波や地震で多くの犠牲者が出た東日本大震災から本日で14年になります。震災の教訓を踏まえて、住宅の耐震化や避難所運営などについて、現在の課題をどう認識されているか、また、こうした課題の解決に向けて防災庁を設置する意義や効果をどう考えるかお願いします。
(答)一言で言って、課題は尽きないということです。東日本大震災の発生から、冒頭申し上げましたとおり、本日、3月11日で14年を迎えます。改めて亡くなられた方々に哀悼の誠をささげるとともに、全ての被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 東日本大震災は我が国の観測史上最大の地震と、従来の想定を大きく上回る大津波によって、広域かつ甚大な被害が発生した災害です。ハード・ソフト両面による様々な対策の強化が図られるとともに、大規模災害を見据えた防災対策を強力に推進していく契機となったものと認識しています。
 ご指摘の住宅の耐震化については、震災前の2008年は全国で約79%であったものが、2023年には約90%となっております。全体としては、「2030年までにおおむね解消」との目標に向けて、着実に進んでいると考えていますが、地域によって進捗にばらつきがあると認識しております。
 能登半島地震で、明らかに高齢化が進んでいる地域では、自分が生きている間、この家でもういいのだと、高齢者のご夫婦、あるいは単身でもそうですけれども、そのように思う傾向が非常に顕著なのだろうと思います。私の記憶が間違いでなければ、能登については耐震化の率が5割前後だったような気がするので、そのような高齢化が進んでいる地域で耐震化が遅れていることについてどう考えていくのかということは、一つの大きな課題として、政策責任者の我々に突きつけられている問題だと受け止めています。
 避難所運営については、南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大で避難所への避難者数は約500万人に上ると想定されております。それに対する備えを行っておかなければならないということで、防災庁の主要な仕事の一つになるということだと思います。
 そのため、新地方創生交付金(地域防災緊急整備型)という新たなタイプも作りましたが、それにより自治体におけるトイレカー、キッチンカー等の資機材の導入を支援する他、国による迅速なプッシュ型支援を可能とするため、全国7か所において、段ボールベッド等の分散備蓄を進めることとしております。また、避難所運営等を担ってくれる地域のボランティア人材の育成・研修等も進めているところでございます。
 人命・人権最優先の観点から、少しでも人的被害を減らすことができるよう、「本気の事前防災」に取り組むのが防災庁であり、東日本大震災をはじめとした過去の災害対応の教訓や経験をしっかりと活かしながら、防災庁を中核として、関係機関が連携し、耐震化や避難所運営等の各種災害対策を一層効果的・効率的に進めていくことができるよう、検討を加速してまいります。
(問)昨日の参議院予算委員会で、石破総理が、日本銀行の金融政策に関連して2%の物価目標は大体達成しているというふうにおっしゃって、その上で、食料やエネルギーなどの価格は安定の状況を超えた状況というような、ご心配の発言をされていたと思うのですけれども、そちらの真意について解説できる範囲でお願いいたします。
(答)昨日、3月10日の参議院予算委員会で、石破総理が答弁されたように、政府・日銀は2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指しており、成果も挙げてきていると思いますが、そうした中、エネルギーに加え、食料品など、身近なものの価格が上昇し、国民や事業者の方々が厳しい状況に置かれているものという認識であります。政府としては、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識の下、物価上昇に負けない賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がっていく環境をつくっていくことが基本であるが、こうした賃上げの効果が出るまでの間にも物価高対策を講じていくという考え方であります。
 具体的には、2月4日の閣僚懇談会で石破総理から指示があったとおりで、これも何回か申し上げていますけれども、低所得者世帯の方々への給付金や地域の実情に応じた物価高対策を後押しする重点支援地方交付金など、経済対策で決定済みの施策を迅速に執行していくということです。また、価格上昇が著しいコメについては、消費者の皆様に安定的に供給していくため、一定期間後に買い戻すことを条件として、政府備蓄米を活用する仕組みを導入することとしたところであり、既に入札が行われたと承知していますが、速やかに準備を進めていくということです。これらの施策を最大限活かすことで、物価高から国民生活、事業活動を守り抜き、成長型経済への移行を着実に実現してまいりたいと思っております。
 為替について今、ご質問はしていないですね。
(問)石破総理の発言の真意は、行きすぎた物価上昇を止めるための為替に関するメッセージも含まれているのでしょうかという質問です。
(答)それであれば、そこまでは含んでいないということだと思います。為替政策について私の立場から具体的に言及することは従来から差し控えておりますけれども、石破総理が繰り返しおっしゃっているように、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であるということで、金融政策の具体的な手法については日本銀行に委ねられておりますし、これについても我々がコメントすることは差し控えます。いずれにしても、日本銀行と引き続き緊密に連携をして、十分な意思疎通を図りながら、日本銀行には2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行っていただくということだと思います。
(問)高額療養費制度についてお聞きします。負担上限の引上げについて、今夏の引上げを見送って、本年秋までに方針を検討するということでしたけれども、今後どのように検討を進めていこうとお考えでしょうか。また、高額療養費制度の負担上限の引上げが盛り込まれた改革工程は、岸田政権下で決定されたもので、石破政権でもそれを継承して進めておられるという流れだと思うのですが、こちらについてまた改めて何かを見直したり再検討したりする可能性はあるのでしょうか。
(答)石破総理が極めて厳しい決断をされたということですが、高額療養費制度の見直しについては、厚生労働省において、高額な薬剤の登場などにより高額療養費が増大をする中で、保険料負担を抑制するとともに、この大切なセーフティネットを次の世代にも持続可能なものとする観点から、これまで2度にわたる修正を行いつつ、制度の見直し自体は実施する方針であったと承知しております。
 一方で、患者団体の皆様などから、本件の検討プロセスに丁寧さを欠いていたとの指摘や、受診抑制につながるおそれがあるとの不安の声が寄せられており、患者の皆様が不安を抱えたまま見直しを実施することは決して望ましいことではない。こうしたことから、石破総理は先週3月7日に、見直し全体について実施を見合わせ、本年秋までに改めて方針を検討し、決定することを表明され、極めて厳しい決断をされたと思っております。
 私としては、会見で石破総理が言及されたように、高額療養費が患者の皆様にとって大切な制度であるからこそ丁寧なプロセスを積み重ねることで持続可能なものとして次の世代に引き継ぐことが極めて重要であると考えております。厚生労働省においては、本年秋までに方針を決定するに当たって、制度を利用する当事者の皆様の声も丁寧に聴いた上で検討を進めていただきたいと考えております。
 また、改革工程への影響ということですけれども、改革工程は社会保障制度の持続可能性を高める観点から、高額療養費制度の見直しも含めて、医療・介護等の改革について、2028年度までに実施について検討する課題を幅広く示しているものであります。担当大臣としては引き続き厚生労働省と連携し、全世代型社会保障の実現に向けて、改革工程に沿って取り組んでまいりたいと考えております。

(以上)