赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月28日
(令和7年2月28日(金) 9:53~10:03 於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
(冒頭発言なし)2.質疑応答
- (問)昨日27日に発表された2024年の出生数は過去最小の72万人でした。少子高齢化が進めば潜在成長率の低下にもつながるかと思いますが、経済への影響をどう見ているか教えてください。また、現役世代の負担が増す可能性も高まるかと思うのですが、全世代型社会保障改革担当大臣としてどのように受け止めるか、お聞かせください。
- (答)まず、少子化の進行が社会構造や社会保障制度に影響を与えることは事実でありますが、子育て世代の方々の責任ではないということは申し上げておきたいと思います。危機意識を持って対応しなければならないのは我々政策責任者でありまして、子育て世代の方々が「楽しい」と感じることができる社会をつくっていくことが何より重要だと私は思っております。
当然の前提として、全ての働く国民の皆様が、明日の心配のない生活を営めるようにする、働くことができない国民の皆様もしっかりとお支えをするということが出発点として非常に重要であると認識しております。このため、賃上げ環境の整備や、若者や女性にも選ばれる地方をつくるための「地方創生2.0」の推進、それから、「こども未来戦略」の推進など、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会の実現に向けて取り組んでいく考えでございます。
それを申し上げた上で、社会保障制度の持続可能性を引き続き確保するため、全世代型社会保障改革担当大臣として、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を転換することで、現役世代の皆様の負担を軽減すること、また、働き方に中立な社会保障制度とすることで、社会保障制度の支え手を増やすことに取り組み、全世代型社会保障の構築を進めてまいるという考えに変わりはございません。
また、推計によれば2020年から2040年の20年間で、生産年齢人口が1,296万人、すなわち約2割減少すると。東京都の人口と比べられるぐらいの働き手が減るという見込みであります。人口減少は2030年代に加速することが見込まれており、現状のまま生産性上昇率が高まらず、労働参加の拡大や出生率の向上も十分でないという前提に立てば、我が国の潜在成長率は長期にわたりゼロ近傍の低成長に陥りかねません。長期的に経済成長を遂げるためには、生産性向上、労働参加拡大、出生率の向上を通じて潜在成長率を高め、持続的に所得が向上する経済を実現する必要があります。AI技術の活用やDXをはじめとする投資の拡大等による生産性上昇率の引上げ、意欲のある高齢者や女性などの労働参加率の上昇など、我が国の成長率を高める取組を全力で進めていくべきであると考えております。 - (問)激変緩和の電気とガスの分ですけれども、1~3月、復活されているということですが、本日時点で電力会社・ガス会社に通知がないということは、一応、3月で予定どおり終了、4月以降はないという理解でよろしいでしょうか。あと、消費への影響や7月の参議院選挙への影響などを大臣としてどのようにご覧になっているかお願いします。
- (答)まず、電気・ガスについて言えば、一番使用が増える時期を対象に対策を打たせていただいているという考え方ではありますので、1~3月ということになっております。その上で、基本的な考え方は、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行するというその過程で、まだ痛みが生じている、要するに、物価上昇に賃上げが追い付いていない、あるいは追い抜いていない状況で痛みが生じているという家計・企業があるということなので、そこについて必要な対策を講じていくという基本的な考え方を持っております。そのような意味で、常に物価、それから賃上げの状況、そのようなものについてはこれからも注視していきたいと思っております。
- (問)今の激変緩和に絡むのですけれども、今朝、東京都区部の消費者物価指数が発表されました。電気・ガスの激変緩和で0.3ポイントほど押し下げられて見た目は下がっておりますが、食品価格は生鮮食品を除くと引き続き上昇傾向で、消費者マインドの低下にまた影響が懸念されます。政府はデフレ脱却はまだだとしておりますけれども、3年程度2%上昇という状況が続いております。景気回復に当たっては力強い消費回復が必要かと思いますけれども、このあたり、本日の物価指数を踏まえてどのようにお考えか教えてください。
- (答)まず、これは物価上昇が続いているという認識については、私も国会の答弁で、現在はインフレの状態にあるという日銀の認識と相違はないということは申し上げました。その上で、デフレ脱却と我々が例えば宣言できるかということになると、これは別途、要は逆戻りしないということを、これは持続的・安定的なものなのだと思えるだけの経済指標が出てくることが必要で、そこは本日あまり詳しく言いませんけれども、いつも申し上げている物価の基調の二つの指標、更にはその背景にある指標の中で非常に重んじているもの二つに、更には四つぐらい、合わせて八つぐらいの指標を見ながらやっております。
具体的な主要な四つについて言えば、過去、全てプラスになったことはあるのですけれども、3四半期続いたのが一番長かったのですかね。デフレに陥って以降、その四つの指標、CPI(消費者物価指数)、GDPデフレーター、GDPギャップ、ユニット・レーバー・コスト、その四つが全てプラスになって1年間、4四半期続いたことがないのです。我々はそのようなものはしっかり見た上で、間違いのない判断をしていかなければいけないということだと思っています。
その上で、ご指摘の東京都区部のCPIの話ですけれども、本日公表された2月の東京都区部のCPIについて言えば、総合で前年同月比プラス2.9%、それから、生鮮食品を除く総合で前年同月比プラス2.2%と、それぞれ1月から上昇幅が縮小したということであります。その要因としては、これは主としてコメですけれども、生鮮食品を除く食料は上昇幅が拡大した一方で、エネルギーは電気・ガス料金の負担軽減支援事業により上昇幅が縮小したことなどがあると承知をしております。
政府としては、「賃上げこそが成長戦略の要」との認識のもとで、賃上げ上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現に向けて、省力化投資の促進や価格転嫁の徹底、経営基盤の強化に資する事業承継、M&Aの支援などを進めて、賃上げ環境の整備などに取り組むとともに、そうした経済を実現するまでの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々をきめ細かく支援するため当面の対応を講じていきます。ご案内の世帯当たり3万円、こども1人当たり2万円の給付金、これは低所得者世帯の方々向けです。それから、地域の実情に応じてエネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々、あるいは学校給食の支援等を行う重点支援地方交付金など、総合的な対応を講じることとしておりまして、これについては各自治体のご協力もいただきながら、各施策の迅速かつ適切な執行に今、努めているところでございます。 - (問)年収103万円の壁について、与党が基礎控除額等を123万円まで引き上げた上で、年収が850万円以下の基礎控除額を段階的に上乗せする修正案を提出する予定です。収入階層ごとの減税額は1人2万円前後の減税効果と見込まれていますが、中低所得者への減税を拡大する修正案の評価と個人消費への影響をどのようにご覧になっているか、大臣のお考えをお聞かせください。
- (答)ご指摘の報道については承知をしておりますが、現時点においては政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。各党における対応も含め、引き続き状況を注視してまいりたいということです。個人消費への影響というご質問でしたけれども、現時点で政府としてコメントすることはまだ差し控えたいと思います。
(以上)